JPH06328063A - 廃棄物安定化処理剤及び廃棄物安定化処理方法 - Google Patents
廃棄物安定化処理剤及び廃棄物安定化処理方法Info
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- JPH06328063A JPH06328063A JP5142917A JP14291793A JPH06328063A JP H06328063 A JPH06328063 A JP H06328063A JP 5142917 A JP5142917 A JP 5142917A JP 14291793 A JP14291793 A JP 14291793A JP H06328063 A JPH06328063 A JP H06328063A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 種々の有害金属を含有した産業廃棄物を確実
に固化封入し、再溶出しないように安定化処理可能な廃
棄物安定化処理剤、及び廃棄物安定化処理方法を提供す
る。 【構成】 セメントとリン酸水素塩化合物、例えばリン
酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸
二水素アンモニウム、リン酸一水素アンモニウム、リン
酸二水素カリウム、リン酸一水素カリウム等とを含有す
る。又、更にフライアッシュ、セッコウ、ベントナイト
及びアロフェンの少なくとも1種を含有する処理剤は、
より優れた安定化処理効果を示す。尚、上記処理剤を、
カドミウム、鉛、亜鉛、銅などの有害重金属を含有する
廃棄物に混合し、水を添加した後に混練して養生固化さ
せると、上記金属が再溶出することなく、確実に固化封
入できる。 【効果】 広範囲にわたる産業廃棄物の安定化処理に非
常に有効である。
に固化封入し、再溶出しないように安定化処理可能な廃
棄物安定化処理剤、及び廃棄物安定化処理方法を提供す
る。 【構成】 セメントとリン酸水素塩化合物、例えばリン
酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸
二水素アンモニウム、リン酸一水素アンモニウム、リン
酸二水素カリウム、リン酸一水素カリウム等とを含有す
る。又、更にフライアッシュ、セッコウ、ベントナイト
及びアロフェンの少なくとも1種を含有する処理剤は、
より優れた安定化処理効果を示す。尚、上記処理剤を、
カドミウム、鉛、亜鉛、銅などの有害重金属を含有する
廃棄物に混合し、水を添加した後に混練して養生固化さ
せると、上記金属が再溶出することなく、確実に固化封
入できる。 【効果】 広範囲にわたる産業廃棄物の安定化処理に非
常に有効である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有害な重金属を無害化
処理するのに有効な廃棄物安定化処理剤、及び廃棄物安
定化処理方法に関するものである。
処理するのに有効な廃棄物安定化処理剤、及び廃棄物安
定化処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、有害な重金属を含有する産業
廃棄物を処理する際には、水硬性セメントを産業廃棄物
1トン(重量部)に対して150kg(重量部)以上の
割合で混合し、更に水を加えて混練した後、養生固化
し、有害金属を封じ込めて処理する方法が用いられてい
る。その他、硫黄系キレート剤を産業廃棄物1トン(重
量部)に対して10〜50kg(重量部)以上の割合で
混合し、更に水を加えて混合し、硫黄系キレート化合物
を生成させて安定化処理する方法がある。又、処理が非
常に困難な産業廃棄物や、有害な重金属化合物が極端に
多く含まれている産業廃棄物に対しては、先に硫黄系キ
レート化合物で安定化処理した後に、水硬性セメントを
添加して固化する方法が採られる場合等がある。
廃棄物を処理する際には、水硬性セメントを産業廃棄物
1トン(重量部)に対して150kg(重量部)以上の
割合で混合し、更に水を加えて混練した後、養生固化
し、有害金属を封じ込めて処理する方法が用いられてい
る。その他、硫黄系キレート剤を産業廃棄物1トン(重
量部)に対して10〜50kg(重量部)以上の割合で
混合し、更に水を加えて混合し、硫黄系キレート化合物
を生成させて安定化処理する方法がある。又、処理が非
常に困難な産業廃棄物や、有害な重金属化合物が極端に
多く含まれている産業廃棄物に対しては、先に硫黄系キ
レート化合物で安定化処理した後に、水硬性セメントを
添加して固化する方法が採られる場合等がある。
【0003】しかしながら、これらの水硬性セメント固
化処理や、硫黄系キレート安定化処理、あるいはこの2
つの方法の併用法などによる処理は、産業廃棄物を限定
して使用しなければ2次公害の発生や十二分に安定固化
処理できないなど種々の問題がある。
化処理や、硫黄系キレート安定化処理、あるいはこの2
つの方法の併用法などによる処理は、産業廃棄物を限定
して使用しなければ2次公害の発生や十二分に安定固化
処理できないなど種々の問題がある。
【0004】例えば、都市ごみ焼却炉において発生する
飛散灰を、電気集塵機やバグフィルターで捕集して無害
化処理する場合、飛灰中には、鉛(Pb)、カドミウム
(Cd)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)などの有害な重金
属が含まれているのはもちろんであるが、煙道中の飛灰
と共に発生する有害ガス、例えば塩化水素(HCl)や
硫黄酸化物(SOX)を無害化処理するために、スラリ
ー状あるいは粉末状で水酸化カルシウム(Ca(O
H2 ))や酸化カルシウム(CaO)などが噴霧されて
いる。このため、電気集塵機やバグフィルターで捕集さ
れた飛灰中には、有害な重金属と共に有害ガスの塩化水
素とカルシウムが反応してできた塩化カルシウム(Ca
Cl2 )や、硫黄酸化物と反応した硫酸カルシウム(C
aSO4 )などが共存する。更に、余剰に噴霧された水
酸化カルシウムや酸化カルシウムが共存し、捕集飛灰と
しては非常に高いアルカリ性を示す。このような高アル
カリ飛灰を従来法で処理しようとした場合、鉛、亜鉛、
カドミウムなどが高アルカリ雰囲気下で再溶出する性質
を持っている。従って、無害化処理が不十分なまま埋め
立て処理されたり、処理後の2次公害が懸念されてい
る。
飛散灰を、電気集塵機やバグフィルターで捕集して無害
化処理する場合、飛灰中には、鉛(Pb)、カドミウム
(Cd)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)などの有害な重金
属が含まれているのはもちろんであるが、煙道中の飛灰
と共に発生する有害ガス、例えば塩化水素(HCl)や
硫黄酸化物(SOX)を無害化処理するために、スラリ
ー状あるいは粉末状で水酸化カルシウム(Ca(O
H2 ))や酸化カルシウム(CaO)などが噴霧されて
いる。このため、電気集塵機やバグフィルターで捕集さ
れた飛灰中には、有害な重金属と共に有害ガスの塩化水
素とカルシウムが反応してできた塩化カルシウム(Ca
Cl2 )や、硫黄酸化物と反応した硫酸カルシウム(C
aSO4 )などが共存する。更に、余剰に噴霧された水
酸化カルシウムや酸化カルシウムが共存し、捕集飛灰と
しては非常に高いアルカリ性を示す。このような高アル
カリ飛灰を従来法で処理しようとした場合、鉛、亜鉛、
カドミウムなどが高アルカリ雰囲気下で再溶出する性質
を持っている。従って、無害化処理が不十分なまま埋め
立て処理されたり、処理後の2次公害が懸念されてい
る。
【0005】又、製鉄くずや自動車スクラップなどを電
気炉で溶融し、再生鉄や特殊鋼を生産する際に発生する
ダストを、サイクロン、電気集塵機あるいはバグフィル
ターで捕集したダストの場合においては、鉛や亜鉛が多
量に含まれており、無害化処理するには多硫化カルシウ
ムなど硫化物法が採用されているが、共存物質による水
素イオン濃度(pH)の変化で影響を受け、十二分に無
害化処理できず、有害金属の鉛や亜鉛が再溶出するとい
う問題点がある。
気炉で溶融し、再生鉄や特殊鋼を生産する際に発生する
ダストを、サイクロン、電気集塵機あるいはバグフィル
ターで捕集したダストの場合においては、鉛や亜鉛が多
量に含まれており、無害化処理するには多硫化カルシウ
ムなど硫化物法が採用されているが、共存物質による水
素イオン濃度(pH)の変化で影響を受け、十二分に無
害化処理できず、有害金属の鉛や亜鉛が再溶出するとい
う問題点がある。
【0006】このように、有害金属を含有する産業廃棄
物を無害化処理し、埋め立て処分するには、高アルカリ
飛灰のアルカリ性による有害金属の再溶出や、産業廃棄
物のpHの変動により影響され、無害化処理できないこ
となどが深刻な問題となっており、産業廃棄物の処置時
のpHあるいは処理後のpHなどに関係なく、埋め立て
処分後も確実に安定化処理される廃棄物安定化処理剤が
要求されている。
物を無害化処理し、埋め立て処分するには、高アルカリ
飛灰のアルカリ性による有害金属の再溶出や、産業廃棄
物のpHの変動により影響され、無害化処理できないこ
となどが深刻な問題となっており、産業廃棄物の処置時
のpHあるいは処理後のpHなどに関係なく、埋め立て
処分後も確実に安定化処理される廃棄物安定化処理剤が
要求されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おける問題点を解決し、種々の有害金属を含有した産業
廃棄物を確実に固化封入し、再溶出しないように安定化
処理可能な廃棄物安定化処理剤、及び廃棄物安定化処理
方法を提供することを課題とする。
おける問題点を解決し、種々の有害金属を含有した産業
廃棄物を確実に固化封入し、再溶出しないように安定化
処理可能な廃棄物安定化処理剤、及び廃棄物安定化処理
方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の廃棄物安定化処
理剤は、セメントとリン酸水素塩化合物を含有すること
を特徴とする。又、本発明の廃棄物安定化処理剤は、更
に、石炭火力発電所から発生するフライアッシュ、同じ
く石炭火力発電所の硫黄酸化物を処理する脱硫工程で発
生するセッコウ(硫酸カルシウム)及び粘土鉱物(ベン
トナイトやアロフェン等)からなる群より選ばれた少な
くとも1種を含有することを特徴とするものでもあり、
この場合には、より優れた安定化処理効果を得ることが
できる。
理剤は、セメントとリン酸水素塩化合物を含有すること
を特徴とする。又、本発明の廃棄物安定化処理剤は、更
に、石炭火力発電所から発生するフライアッシュ、同じ
く石炭火力発電所の硫黄酸化物を処理する脱硫工程で発
生するセッコウ(硫酸カルシウム)及び粘土鉱物(ベン
トナイトやアロフェン等)からなる群より選ばれた少な
くとも1種を含有することを特徴とするものでもあり、
この場合には、より優れた安定化処理効果を得ることが
できる。
【0009】更に、本発明は、カドミウム、鉛、亜鉛及
び銅からなる群より選ばれた少なくとも1種の有害重金
属を含有する廃棄物を安定化処理する方法でもあり、こ
の処理方法は、処理しようとする上記廃棄物を、セメン
ト及びリン酸水素塩化合物と共に一定の割合で混合し、
更に水を添加した後に混練し、養生固化させることを特
徴とする。
び銅からなる群より選ばれた少なくとも1種の有害重金
属を含有する廃棄物を安定化処理する方法でもあり、こ
の処理方法は、処理しようとする上記廃棄物を、セメン
ト及びリン酸水素塩化合物と共に一定の割合で混合し、
更に水を添加した後に混練し、養生固化させることを特
徴とする。
【0010】まず、本発明の廃棄物安定化処理剤につい
て詳細に説明する。本発明の廃棄物安定化処理剤の主成
分はセメントであるが、このセメントは、ポルトランド
セメント系(普通、超早強、中よう熱、耐硫酸塩など)
や、混合セメント系(フライアッシュ、高炉、シリカな
ど)等の各種のものを使用することができる。ただし、
対象となる産業廃棄物によっては、セメントの混合割合
は少なくなり、硫酸カルシウム(セッコウ)を多く含む
こともでき、処理対象の産業廃棄物によっては混合比率
を変えることもできる。
て詳細に説明する。本発明の廃棄物安定化処理剤の主成
分はセメントであるが、このセメントは、ポルトランド
セメント系(普通、超早強、中よう熱、耐硫酸塩など)
や、混合セメント系(フライアッシュ、高炉、シリカな
ど)等の各種のものを使用することができる。ただし、
対象となる産業廃棄物によっては、セメントの混合割合
は少なくなり、硫酸カルシウム(セッコウ)を多く含む
こともでき、処理対象の産業廃棄物によっては混合比率
を変えることもできる。
【0011】特に、本発明の廃棄物安定化処理剤に含有
される硫酸カルシウムは、リン酸水素塩と反応して、リ
ン酸水素カルシウムやリン酸カルシウムとなり、早期強
度に大きく作用し、安定のための養生日数を短期間にし
たり、産業廃棄物を再生利用する時に大きな効果を発揮
する。又、本発明の処理剤中に含有されるリン酸水素塩
としては、リン酸二水素ナトリウム(Na2 HP
O4 )、リン酸一水素ナトリウム(NaH2 PO4 )、
リン酸二水素アンモニウム(NH4 H2 PO4 )、リン
酸一水素アンモニウム((NH4 )2 HPO4 )、リン
酸二水素カリウム(K2 HPO4 )、リン酸一水素カリ
ウム(KH2 PO4 )、リン酸二水素アルミニウム(A
l(H2 HPO4 )3)等が挙げられる。尚、これらの
薬品添加剤の純度、品質、結晶水の規格は特に限定され
るものではなく、不純物などを含んでいるものであって
も使用可能である。
される硫酸カルシウムは、リン酸水素塩と反応して、リ
ン酸水素カルシウムやリン酸カルシウムとなり、早期強
度に大きく作用し、安定のための養生日数を短期間にし
たり、産業廃棄物を再生利用する時に大きな効果を発揮
する。又、本発明の処理剤中に含有されるリン酸水素塩
としては、リン酸二水素ナトリウム(Na2 HP
O4 )、リン酸一水素ナトリウム(NaH2 PO4 )、
リン酸二水素アンモニウム(NH4 H2 PO4 )、リン
酸一水素アンモニウム((NH4 )2 HPO4 )、リン
酸二水素カリウム(K2 HPO4 )、リン酸一水素カリ
ウム(KH2 PO4 )、リン酸二水素アルミニウム(A
l(H2 HPO4 )3)等が挙げられる。尚、これらの
薬品添加剤の純度、品質、結晶水の規格は特に限定され
るものではなく、不純物などを含んでいるものであって
も使用可能である。
【0012】更に、本発明の廃棄物安定化処理剤にあっ
ては、上記のセメント、セッコウ、フライアッシュある
いはリン酸水素塩などの薬品添加物の他に、粘土鉱物
(ベントナイトやアロフェン等)を補助的に加え、セメ
ント、セッコウ、フライアッシュなどの固化作用を助長
させることが好ましい。粘土鉱物は、ベントナイトやア
ロフェンなど細孔が小さく、比表面積の大きいもので、
物理吸着の能力に優れたものであれば十二分に使用でき
る。従って、コスト的な問題が解決されれば種々のゼオ
ライトも使用可能であるが、物理吸着作用には優れてい
ても固化作用を助長することが難しいゼオライトが多
い。
ては、上記のセメント、セッコウ、フライアッシュある
いはリン酸水素塩などの薬品添加物の他に、粘土鉱物
(ベントナイトやアロフェン等)を補助的に加え、セメ
ント、セッコウ、フライアッシュなどの固化作用を助長
させることが好ましい。粘土鉱物は、ベントナイトやア
ロフェンなど細孔が小さく、比表面積の大きいもので、
物理吸着の能力に優れたものであれば十二分に使用でき
る。従って、コスト的な問題が解決されれば種々のゼオ
ライトも使用可能であるが、物理吸着作用には優れてい
ても固化作用を助長することが難しいゼオライトが多
い。
【0013】次に、本発明の廃棄物安定化処理剤におけ
る各成分の混合比率について説明する。本発明における
各成分の混合比率は、対象となる産業廃棄物により適宜
調整されるが、セメントが5〜50重量部%、フライア
ッシュが0〜50重量部%、セッコウが0〜50重量部
%、粘土鉱物が0〜50重量部%で、リン酸水素塩は5
〜95重量部%の範囲内で混合して用いる。セメントの
混合比率は高ければ高いほど亜鉛などの安定化作用には
効果が認められるが、鉛などの安定化作用には逆効果と
なり、安定化処理できない場合があるので最高でも50
重量部%の混合比率にする必要があり、より好ましくは
20〜40重量部%の混合比率である。
る各成分の混合比率について説明する。本発明における
各成分の混合比率は、対象となる産業廃棄物により適宜
調整されるが、セメントが5〜50重量部%、フライア
ッシュが0〜50重量部%、セッコウが0〜50重量部
%、粘土鉱物が0〜50重量部%で、リン酸水素塩は5
〜95重量部%の範囲内で混合して用いる。セメントの
混合比率は高ければ高いほど亜鉛などの安定化作用には
効果が認められるが、鉛などの安定化作用には逆効果と
なり、安定化処理できない場合があるので最高でも50
重量部%の混合比率にする必要があり、より好ましくは
20〜40重量部%の混合比率である。
【0014】一方、フライアッシュもセメントと同様の
作用をするので、セメントと同様に20〜40重量部%
の混合比率が好ましい。又、セッコウは0〜50重量部
%の範囲内で使用できるが、早期強度の確保や対象とな
る産業廃棄物の種類によって限定するのは難しいが、よ
り好ましくは20〜40重量部%の混合比率が適切であ
る。更に、粘土鉱物の例としては、ベントナイトを挙げ
て説明する。ベントナイトは、生成した化合物などの吸
着作用があるので添加するが、好ましくは10〜20重
量部%の範囲が適切である。この範囲を越えると、添加
水量が多くなったり、安定処理後の固化物が固化しない
などの弊害が生じることもある。尚、アロフェンも同様
の作用が認められるので、ベントナイトと同様に添加す
ることができる。
作用をするので、セメントと同様に20〜40重量部%
の混合比率が好ましい。又、セッコウは0〜50重量部
%の範囲内で使用できるが、早期強度の確保や対象とな
る産業廃棄物の種類によって限定するのは難しいが、よ
り好ましくは20〜40重量部%の混合比率が適切であ
る。更に、粘土鉱物の例としては、ベントナイトを挙げ
て説明する。ベントナイトは、生成した化合物などの吸
着作用があるので添加するが、好ましくは10〜20重
量部%の範囲が適切である。この範囲を越えると、添加
水量が多くなったり、安定処理後の固化物が固化しない
などの弊害が生じることもある。尚、アロフェンも同様
の作用が認められるので、ベントナイトと同様に添加す
ることができる。
【0015】本発明の廃棄物安定化処理剤におけるリン
酸水素塩の混合比率は、有害金属の含有量の多少で5〜
95重量部%の範囲内で変化させることがあるが、25
〜50重量部%の範囲がより好ましい。本発明の廃棄物
安定化処理剤は、セメント、フライアッシュ、ベントナ
イト、セッコウ及びリン酸水素塩を、一般的には上記の
混合比率の範囲内で混合してなるものであるが、各々の
添加材料を別個に保存し、処理時に廃棄物に直接各化合
物を添加し、混練することもできる。又、各化合物単独
での保存、及び混合後の処理剤の保存については、水分
の混入を避けて密封状況で行い、処理性能の安定性を確
保するのが良い。
酸水素塩の混合比率は、有害金属の含有量の多少で5〜
95重量部%の範囲内で変化させることがあるが、25
〜50重量部%の範囲がより好ましい。本発明の廃棄物
安定化処理剤は、セメント、フライアッシュ、ベントナ
イト、セッコウ及びリン酸水素塩を、一般的には上記の
混合比率の範囲内で混合してなるものであるが、各々の
添加材料を別個に保存し、処理時に廃棄物に直接各化合
物を添加し、混練することもできる。又、各化合物単独
での保存、及び混合後の処理剤の保存については、水分
の混入を避けて密封状況で行い、処理性能の安定性を確
保するのが良い。
【0016】尚、本発明の廃棄物安定化処理方法におい
ては、上述の廃棄物安定化処理剤が使用され、この処理
剤を、カドミウム、鉛、亜鉛及び銅からなる群より選ば
れた少なくとも1種の有害重金属を含有する廃棄物に混
合し、更に水を添加した後に混練し、養生固化させれば
良く、上記有害重金属が再溶出することなく、確実に封
入、固化することができる。
ては、上述の廃棄物安定化処理剤が使用され、この処理
剤を、カドミウム、鉛、亜鉛及び銅からなる群より選ば
れた少なくとも1種の有害重金属を含有する廃棄物に混
合し、更に水を添加した後に混練し、養生固化させれば
良く、上記有害重金属が再溶出することなく、確実に封
入、固化することができる。
【0017】
【作用】本発明の廃棄物安定化処理剤が有害重金属を再
溶出せずに安定化処理できるのは、主にリン酸水素塩と
有害重金属との直接反応によるところが大きい。即ち、
水酸化物及び硫化物と有害金属との生成物に比べて、リ
ン酸化物と有害金属との生成物は水に対する溶解度が非
常に小さく、安定性に優れている。又、リン酸塩化合物
では反応しない水素イオン濃度領域(pH範囲)でリン
酸水素塩化合物が反応し、リン酸化合物を形成する。そ
の他に加えるセメント、フライアッシュ、ベントナイ
ト、セッコウなどは廃棄物中の有害金属とリン酸水素塩
との生成物であるリン酸化合物を固化封入したり、物理
的吸着作用する補助的な働きを行う。更に、本発明の処
理剤の対象となる産業廃棄物の適用範囲を広げるために
も、補助的に添加するセメント、フライアッシュ、ベン
トナイト、セッコウの作用が重要である。このような作
用により、本発明の処理剤は、産業廃棄物中に含有され
る有害金属を再溶出することなく安定化することができ
る。
溶出せずに安定化処理できるのは、主にリン酸水素塩と
有害重金属との直接反応によるところが大きい。即ち、
水酸化物及び硫化物と有害金属との生成物に比べて、リ
ン酸化物と有害金属との生成物は水に対する溶解度が非
常に小さく、安定性に優れている。又、リン酸塩化合物
では反応しない水素イオン濃度領域(pH範囲)でリン
酸水素塩化合物が反応し、リン酸化合物を形成する。そ
の他に加えるセメント、フライアッシュ、ベントナイ
ト、セッコウなどは廃棄物中の有害金属とリン酸水素塩
との生成物であるリン酸化合物を固化封入したり、物理
的吸着作用する補助的な働きを行う。更に、本発明の処
理剤の対象となる産業廃棄物の適用範囲を広げるために
も、補助的に添加するセメント、フライアッシュ、ベン
トナイト、セッコウの作用が重要である。このような作
用により、本発明の処理剤は、産業廃棄物中に含有され
る有害金属を再溶出することなく安定化することができ
る。
【0018】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的
に説明するが、本発明は、これに限定されるものではな
い。
に説明するが、本発明は、これに限定されるものではな
い。
【実施例】処理しようとする廃棄物としては、ごみ焼却
炉から発生する飛散灰を用いた。この飛散灰は、有害な
塩化水素や硫黄酸化物などのガスを無害化するために、
煙道中に水酸化カルシウムや酸化カルシウムなどが吹き
込まれ、未反応分の水酸化カルシウムや酸化カルシウム
が、バグフィルターや電気集塵機に捕集され混在してい
る。従って、有害金属を含んだ飛散灰は高アルカリ雰囲
気下にあって、鉛や亜鉛などの溶出が多い。
炉から発生する飛散灰を用いた。この飛散灰は、有害な
塩化水素や硫黄酸化物などのガスを無害化するために、
煙道中に水酸化カルシウムや酸化カルシウムなどが吹き
込まれ、未反応分の水酸化カルシウムや酸化カルシウム
が、バグフィルターや電気集塵機に捕集され混在してい
る。従って、有害金属を含んだ飛散灰は高アルカリ雰囲
気下にあって、鉛や亜鉛などの溶出が多い。
【0019】 実施例1:ごみ焼却炉バグフィルター捕集灰の処理実験 まず、以下に示す各成分を下記の混合比率で調合するこ
とによって、本発明の廃棄物安定化処理剤を得た。 (1)普通ポルトランドセメント : 45重量% (2)リン酸水素ナトリウム : 25重量% (3)フライアッシュ(市販、石炭火力発電所): 10重量% (4)ベントナイト : 10重量% (5)無水セッコウ : 10重量% そして、上記の飛散灰1トンに対して、上記の本発明の
廃棄物安定化処理剤200kgと水500kgを添加
し、混練し、常温にて7日間養生し、環境庁告示第13
号の溶出試験方法を実施した。
とによって、本発明の廃棄物安定化処理剤を得た。 (1)普通ポルトランドセメント : 45重量% (2)リン酸水素ナトリウム : 25重量% (3)フライアッシュ(市販、石炭火力発電所): 10重量% (4)ベントナイト : 10重量% (5)無水セッコウ : 10重量% そして、上記の飛散灰1トンに対して、上記の本発明の
廃棄物安定化処理剤200kgと水500kgを添加
し、混練し、常温にて7日間養生し、環境庁告示第13
号の溶出試験方法を実施した。
【0020】一方、比較のための従来技術としては、普
通ポルトランドセメント200kgと水500kgを添
加して同様に処理した場合と、硫黄系キレート剤を50
kg添加し、水500kgを添加し処理した場合の、2
種類の比較実験を行った。この時の実験結果を表1に示
す。尚、表1において、実験に用いたごみ焼却炉飛散灰
中に含有される有害金属の量、無処理の場合の溶出量及
び、総理府令第5号昭和48年2月17日に発令された
金属等を含む産業廃棄物に係わる判定基準値を併記し
た。
通ポルトランドセメント200kgと水500kgを添
加して同様に処理した場合と、硫黄系キレート剤を50
kg添加し、水500kgを添加し処理した場合の、2
種類の比較実験を行った。この時の実験結果を表1に示
す。尚、表1において、実験に用いたごみ焼却炉飛散灰
中に含有される有害金属の量、無処理の場合の溶出量及
び、総理府令第5号昭和48年2月17日に発令された
金属等を含む産業廃棄物に係わる判定基準値を併記し
た。
【0021】
【表1】
【0022】表1に示される実験結果より、本発明の処
理剤は、カドミウム、鉛、亜鉛、銅の4種類の有害金属
すべてに優れた安定化効果を示し、有害金属を含む産業
廃棄物の処理に適したものであった。又、従来より知ら
れている処理剤、即ち普通ポルトランドセメントや硫黄
系キレート剤と比較しても、非常に優れた安定化性能が
あることが分かった。中でも、従来の処理剤に比べて鉛
の安定化性能で顕著な差があることが確認された。
理剤は、カドミウム、鉛、亜鉛、銅の4種類の有害金属
すべてに優れた安定化効果を示し、有害金属を含む産業
廃棄物の処理に適したものであった。又、従来より知ら
れている処理剤、即ち普通ポルトランドセメントや硫黄
系キレート剤と比較しても、非常に優れた安定化性能が
あることが分かった。中でも、従来の処理剤に比べて鉛
の安定化性能で顕著な差があることが確認された。
【0023】 実施例2:産業廃棄物焼却炉飛散灰の処理実験 本発明の処理剤の材料混合比率は、実施例1と同じもの
を使用した。従来技術については、実施例1と同様の、
普通ポルトランドを用いた場合と、硫黄系キレート剤を
用いた場合とで行った。前記の飛散灰1トンに対して、
実施例1記載の本発明の処理剤200kgと、水650
kgを添加し、混練して、常温にて7日間養生を行っ
た。一方、従来技術の場合に関しても、普通ポルトラン
ドセメントを飛散灰1トンに対して200kgと、水5
75kgを添加し、混練後、7日間養生を行った。又、
硫黄系キレート剤は、飛散灰1トンに対して70kg加
え、水を435kg添加し、混合して7日間の養生を行
った。その後、従来の処理剤と、本発明の処理剤との安
定化の比較を、環境庁告示第13号による溶出試験の溶
出量によって行った。この実験結果を表2に示す。
を使用した。従来技術については、実施例1と同様の、
普通ポルトランドを用いた場合と、硫黄系キレート剤を
用いた場合とで行った。前記の飛散灰1トンに対して、
実施例1記載の本発明の処理剤200kgと、水650
kgを添加し、混練して、常温にて7日間養生を行っ
た。一方、従来技術の場合に関しても、普通ポルトラン
ドセメントを飛散灰1トンに対して200kgと、水5
75kgを添加し、混練後、7日間養生を行った。又、
硫黄系キレート剤は、飛散灰1トンに対して70kg加
え、水を435kg添加し、混合して7日間の養生を行
った。その後、従来の処理剤と、本発明の処理剤との安
定化の比較を、環境庁告示第13号による溶出試験の溶
出量によって行った。この実験結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】表2に示される実験結果より、実施例1と
同様に、本発明の廃棄物安定化処理剤は、鉛の安定化性
能に対して従来の処理剤に比べており、顕著な差が認め
られた。
同様に、本発明の廃棄物安定化処理剤は、鉛の安定化性
能に対して従来の処理剤に比べており、顕著な差が認め
られた。
【0026】実施例3:ごみ焼却炉飛散灰の処理実験 実施例1に記載されるごみ焼却炉飛散灰を用いて、セメ
ントと各種リン酸水素塩化合物を含有する処理剤による
安定化処理実験を実施した。実験は、前述のごみ焼却炉
飛散灰1トンに対して、セメント100kgと各種リン
酸水素塩化合物100kgを添加し、水600kgを加
えて混練し、7日間養生固化した。安定処理効果の比較
は、環境庁告示第13号の溶出試験により、有害金属の
溶出量(mg/l)で行った。この実験結果を表3に示
す。
ントと各種リン酸水素塩化合物を含有する処理剤による
安定化処理実験を実施した。実験は、前述のごみ焼却炉
飛散灰1トンに対して、セメント100kgと各種リン
酸水素塩化合物100kgを添加し、水600kgを加
えて混練し、7日間養生固化した。安定処理効果の比較
は、環境庁告示第13号の溶出試験により、有害金属の
溶出量(mg/l)で行った。この実験結果を表3に示
す。
【0027】
【表3】
【0028】表3の実験結果に見られる通り、セメント
とリン酸水素塩化合物とが混合してなる本発明の廃棄物
安定化処理剤(実験No.3〜9)については、陸上埋
立処分の基準値を満たしており、特に鉛について顕著な
効果を示すことがわかる。これに対し、リン酸塩化合物
やリン化合物を含む処理剤(実験No.10〜12)に
ついては、全て鉛の溶出基準値を満たさないことが示さ
れた。
とリン酸水素塩化合物とが混合してなる本発明の廃棄物
安定化処理剤(実験No.3〜9)については、陸上埋
立処分の基準値を満たしており、特に鉛について顕著な
効果を示すことがわかる。これに対し、リン酸塩化合物
やリン化合物を含む処理剤(実験No.10〜12)に
ついては、全て鉛の溶出基準値を満たさないことが示さ
れた。
【0029】
【発明の効果】本発明の廃棄物安定化処理剤は、有害金
属を含む産業廃棄物を処理するのに適しており、有害金
属を高アルカリ雰囲気下でも再溶出することなく安定的
に封じ込めることができ、広範囲にわたる産業廃棄物の
安定化処理に非常に有効なものである。又、このような
廃棄物安定化処理剤を用いる本発明の処理方法を用いる
ことにより、有害金属を含む産業廃棄物を安定化処理す
ることができる。
属を含む産業廃棄物を処理するのに適しており、有害金
属を高アルカリ雰囲気下でも再溶出することなく安定的
に封じ込めることができ、広範囲にわたる産業廃棄物の
安定化処理に非常に有効なものである。又、このような
廃棄物安定化処理剤を用いる本発明の処理方法を用いる
ことにより、有害金属を含む産業廃棄物を安定化処理す
ることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 セメントとリン酸水素塩化合物を含有す
ることを特徴とする廃棄物安定化処理剤。 - 【請求項2】 フライアッシュ、セッコウ、ベントナイ
ト及びアロフェンからなる群より選ばれた少なくとも1
種を、更に含有することを特徴とする、請求項1記載の
廃棄物安定化処理剤。 - 【請求項3】 カドミウム、鉛、亜鉛及び銅からなる群
より選ばれた少なくとも1種の有害重金属を含有する廃
棄物に、セメント及びリン酸水素塩化合物を共に混合
し、水を添加した後に混練して養生固化させることを特
徴とする廃棄物安定化処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5142917A JPH06328063A (ja) | 1993-05-21 | 1993-05-21 | 廃棄物安定化処理剤及び廃棄物安定化処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5142917A JPH06328063A (ja) | 1993-05-21 | 1993-05-21 | 廃棄物安定化処理剤及び廃棄物安定化処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06328063A true JPH06328063A (ja) | 1994-11-29 |
Family
ID=15326634
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5142917A Pending JPH06328063A (ja) | 1993-05-21 | 1993-05-21 | 廃棄物安定化処理剤及び廃棄物安定化処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06328063A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1996020049A1 (fr) * | 1994-12-28 | 1996-07-04 | Kanegafuchi Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Materiau pour mise au rebut de dechets et procede d'utilisation dudit materiau |
WO1997002101A1 (fr) * | 1995-07-05 | 1997-01-23 | Kanegafuchi Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Matiere et procede d'elimination de dechets |
JP2001342461A (ja) * | 2000-05-31 | 2001-12-14 | Ube Ind Ltd | 地盤改良材 |
-
1993
- 1993-05-21 JP JP5142917A patent/JPH06328063A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1996020049A1 (fr) * | 1994-12-28 | 1996-07-04 | Kanegafuchi Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Materiau pour mise au rebut de dechets et procede d'utilisation dudit materiau |
WO1997002101A1 (fr) * | 1995-07-05 | 1997-01-23 | Kanegafuchi Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Matiere et procede d'elimination de dechets |
JP2001342461A (ja) * | 2000-05-31 | 2001-12-14 | Ube Ind Ltd | 地盤改良材 |
JP4493159B2 (ja) * | 2000-05-31 | 2010-06-30 | 宇部興産株式会社 | 地盤改良材の製造方法 |
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