JPH08104645A

JPH08104645A - 経口摂取用育毛剤

Info

Publication number: JPH08104645A
Application number: JP6266172A
Authority: JP
Inventors: Yoichi Kobayashi; 洋一小林; Shuichiro Ueda; 修一郎上田; Katsuko Sudou; カツ子須藤; Keiko Yokoyama; 桂子横山; Hiroko Sakata; 裕子坂田
Original assignee: Viox Inc
Current assignee: Viox Inc
Priority date: 1994-10-05
Filing date: 1994-10-05
Publication date: 1996-04-23

Abstract

(57)【要約】【目的】経口摂取用の育毛剤であって、ローヤルゼリ
ーの滋養強壮等の効果も期待できる育毛剤を提供する。【構成】ローヤルゼリーの懸濁液に、好ましくは基質
に対する作用部位の異なる二種類以上のプロテアーゼを
作用させて、分子量3000以下のペプチドを含有する透明
なローヤルゼリー溶液とし、必要に応じて更に粉末化し
て本発明の育毛剤を得る。この育毛剤は、そのまま摂取
してもよく、例えば、ハチミツ等に混合して摂取しても
よく、栄養ドリンクや清涼飲料水等に混合して摂取して
もよい。なお、摂取量は、ローヤルゼリーとして、一日
当たり、２〜５ｇ程度とするのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ローヤルゼリーのプロ
テアーゼによる分解物を有効成分とする経口摂取用の育
毛剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】ローヤルゼリーは、若い働き蜂の分泌線
（下咽頭線、大腮腺）から分泌される乳白色を帯びた強
い酸味のある物質で、女王蜂を育てるための特別な餌と
なるものである。ローヤルゼリーの成分については、ま
だ不明の点もあるが、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、
アセチルコリン、10−ヒドロキシデセン酸、ステロー
ル、ホルモンなどの栄養成分をバランスよく含み、人体
に対して好ましい生理活性を持つことが知られている。
そのため古くから、生タイプ、カプセルタイプ、飲料タ
イプなどの健康食品、医薬品、化粧品等として利用され
ている。

【０００３】ローヤルゼリーを化粧品として利用したも
のには、例えば、特開平3-167113号、特開平3-200709
号、特開平5-58851 号、特開平5-70334 号等がある。す
なわち、特開平3-167113号においては、養毛剤中の皮脂
分泌過剰を正常化する成分として用いられ、特開平3-20
0709号においては、皮膚の血行及び新陳代謝を促進する
化粧料の保湿剤として利用され、特開平5-58851 号にお
いては、発毛、育毛剤の一つの成分であって、皮膚組織
の新陳代謝を促進し、皮膚の保湿性を高める成分として
用いられ、特開平5-70334 号においては、皮膚外用剤に
おける細胞賦活剤として利用されている。

【０００４】このように、ローヤルゼリーには、皮脂分
泌過剰を正常化する効果や、血行及び新陳代謝を促進す
る効果があると考えられており、それを利用して発毛、
育毛剤や、化粧料に配合することが知られている。

【０００５】ところで、ローヤルゼリーは、上記のよう
に人体に対して好ましい生理活性を持つものの、生ロー
ヤルゼリーは粘稠、黄白色で生臭いような独特の風味を
有し、かつ食すると喉を刺すような強烈な刺激があり、
さらに加熱などの処理に対して不安定であり、常温では
保存しにくい等の問題を有するものである。

【０００６】このため、本発明者らは、生ローヤルゼリ
ーを基質に対する作用部位の異なる二種類以上のプロテ
アーゼで処理することにより、生ローヤルゼリーと同様
な成分を含有し、しかも透明で、安定性に優れ、飲料等
にも添加しやすく、したがって経口摂取しやすい透明な
ローヤルゼリー溶液が得られることを見出し、特願平3-
255921号としてすでに出願している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ローヤルゼリーの育毛剤への利用は、全て外用剤として
塗布するタイプのものであった。育毛剤を塗布する場
合、特有の臭いがあり、また、均一に塗布しにくいとい
う問題があった。さらに、塗布した場合、ローヤルゼリ
ーの血行及び新陳代謝を促進する効果は利用できるもの
の、その効果は表面の一部に現れるだけであり、また、
滋養強壮効果等の他の効果は期待できないという問題も
あった。

【０００８】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、優れた育毛効果を有し、塗布する必
要がなく、経口摂取しやすく、滋養強壮効果等も期待で
きる経口摂取用育毛剤を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、繁殖を終
了した雌のマウスに、ローヤルゼリーのプロテアーゼに
よる分解物であって、分子量3000以下のペプチドを含有
するものを摂取させ、その生理活性効果について調査し
ている過程で、ほとんど毛が抜け落ちている繁殖を終了
した雌のマウスに、黒々と毛が生えてくること、及び頭
髪の薄くなった人間にこの分解物を摂取させると頭髪が
濃くなることを見出し、この事実に基づいて本発明を完
成させるに至った。

【００１０】すなわち、本発明の経口摂取用育毛剤は、
ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物であって、
分子量3000以下のペプチドを有効成分として含有するこ
とを特徴とする。

【００１１】以下、本発明について好ましい態様を挙げ
て、詳細に説明する。本発明において、ローヤルゼリー
のプロテアーゼによる分解物であって、分子量3000以下
のペプチドを有効成分として含有するものは、ローヤル
ゼリーの懸濁液に、プロテアーゼ、好ましくは基質に対
する作用部位の異なる二種類以上のプロテアーゼを、同
時又は逐次添加して室温以上の温度に保持し、酵素反応
させることにより得られる。

【００１２】この場合、プロテアーゼとしては、微生物
や植物起源の酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、ア
ルカリプロテアーゼや、ペプシン、パンクレアチン等の
哺乳動物由来の消化酵素など、通常、食品加工に用いら
れているものを使用することができ、これらの中から基
質に対する作用部位の異なる二種類以上を選択して用い
ることが好ましい。

【００１３】プロテアーゼによる処理は、蛋白質の分解
率を経時的に測定し、分解率が最高に到達した時点で打
ち切るのが好ましく、最終分解率は、使用するプロテア
ーゼにより異なるが、分解率が75％以上、好ましくは85
％以上となるまで行うのが好ましい。なお、上記製造法
の詳細は、特開平3-255921号に記載されている。

【００１４】こうして得られたローヤルゼリーのプロテ
アーゼによる分解物は、分子量3000以下のペプチドを含
有している。また、蛋白質が分解されてペプチド化して
いる以外は、生ローヤルゼリーと同様な成分を含有して
いる。このローヤルゼリーの分解物は、水溶液にしたと
きに透明で、安定性に優れており、したがって飲料等に
も添加しやすく、経口摂取しやすいものである。なお、
このローヤルゼリーの分解物は、そのまま溶液状で用い
てもよく、凍結乾燥などの手段によって粉末化して用い
てもよい。また、このローヤルゼリーの分解物は、「バ
イオサンローヤル」（商品名、株式会社バイオックス
製）として市販されている。

【００１５】本発明の経口摂取用育毛剤は、上記のよう
な製造方法によって得られたローヤルゼリーのプロテア
ーゼによる分解物であって、分子量3000以下のペプチド
を有効成分として含有することを特徴とするが、その
他、高麗人参、イチョウバ、クコシ、ビタミンＥ、コン
ブエキス、ニンニクエキス等を併用するとより好まし
い。

【００１６】本発明の経口摂取用育毛剤は、健康食品や
医薬品として、濃縮液、錠剤、カプセル剤等にしてその
まま経口摂取してもよく、例えば、ハチミツ等に混合し
て摂取してもよく、栄養ドリンクや清涼飲料水等に混合
して摂取してもよい。なお、摂取量は、生ローヤルゼリ
ー換算で、一日当たり、２〜５ｇ程度とするのが好まし
い。

【００１７】

【作用】本発明の経口摂取用育毛剤は、ローヤルゼリー
のプロテアーゼによる分解物であって、分子量3000以下
のペプチドを有効成分として含有するものであり、これ
をマウスに経口摂取させると、前述したような優れた育
毛効果が発現することがわかった。また、人間に摂取さ
せた場合にも、同様な育毛効果が得られた。

【００１８】また、本発明の有効成分であるローヤルゼ
リーのプロテアーゼ分解物は、蛋白質が分解されてペプ
チド化している以外は、生ローヤルゼリーと同様な成分
を含有し、それを経口摂取するので、従来より知られて
いるローヤルゼリーの滋養強壮効果、その他各種の生理
活性効果等も期待することができる。

【００１９】

【実施例】

製造例生ローヤルゼリー100 ｇに温水を加えて、ローヤルゼリ
ーの懸濁液1 kgを調製し、20％水酸化ナトリウム溶液を
用いて、ｐＨを4 にした。この懸濁液に、哺乳動物の消
化酵素であるペプシン（1:10,000、シグマ社製）0.1 ｇ
を添加し、45℃で、6 時間酵素処理を行って、ペプシン
処理液を得た。

【００２０】次に、このペプシン処理液を、20％水酸化
ナトリウム溶液を用いて、ｐＨを8に調整した後、哺乳
動物の消化酵素であるパンクレアチン（2,000,000 単位
／ｇ、シグマ社製）0.1 ｇを添加し、45℃で、6 時間酵
素処理を行った。

【００２１】酵素処理を終了した後、80℃で、10分間加
熱して酵素を失活させ、次いで、濾過して異物や不溶性
残渣を除去して、透明な溶液を得た。

【００２２】次いで、得られた溶液を、初めに用いた生
ローヤルゼリーと同じ重さである100 ｇまで減圧濃縮し
て、透明なローヤルゼリー溶液を得た。なお、このロー
ヤルゼリー溶液は、「バイオサンローヤル」（商品名、
株式会社バイオックス製）として市販されているものと
同様のものである。

【００２３】また、酵素処理時間は、以下に示す方法
で、酵素反応開始後０、２、４、６時間後にそれぞれ蛋
白質の分解率を測定し、分解率が最高に達した時点とし
た。

【００２４】蛋白質の分解率は、サンプル2.0 mlに、等
量の10％トリクロル酢酸（ＴＣＡ）を加えて遠心分離を
行い、この上清を希釈した後、ローリー法で比色定量
し、ＴＣＡ可溶性成分の量の推移を調べた。なお、ロー
ヤルゼリー中の粗蛋白質は、ＴＣＡ溶液のかわりに等量
の水を加えた溶液を用い、同様に比色定量して求めた。
そして、下記数１に示す式により、蛋白質の分解率を求
めた。

【数１】分解率＝｛（ｃ−ｂ）／（ａ−ｂ）｝×１００％ａ：ローヤルゼリー溶液の粗蛋白質含有量ｂ：ローヤルゼリー溶液のＴＣＡ可溶性成分の含有量ｃ：酵素処理サンプルのＴＣＡ可溶性成分の含有量

【００２５】上記の方法により求めた6 時間酵素処理後
の蛋白質の分解率は、91.6％であった。

【００２６】次に、製造例で得られたローヤルゼリー溶
液と、生ローヤルゼリーとについて成分を分析し、その
組成を比較した。その結果を表１に示す。

【００２７】

【表１】（表１中、デセン酸は10−ヒドロキシ−δ−デセン酸を意味する。）

【００２８】表１の結果から、製造例で得られた透明な
ローヤルゼリー溶液と、生ローヤルゼリーとは、その組
成が殆ど同じであることがわかる。

【００２９】また、得られたローヤルゼリー溶液と、生
ローヤルゼリーとに含まれる粗蛋白質について分子量分
布を測定し、比較した。なお、測定方法は高速液体クロ
マトグラフィーにより行った。その結果を図１に示す。
図において、Ａは製造例で得られたローヤルゼリー溶液
の結果、Ｂは生ローヤルゼリーの結果を示す。

【００３０】図１の結果から、製造例で得られた透明な
ローヤルゼリー溶液中の粗蛋白質の分子量分布を、生ロ
ーヤルゼリー中の粗蛋白質の分子量分布と比較すると、
製造例で得られたローヤルゼリー溶液中には、分子量１
万以上のものがほとんどなくなって、分子量500 〜3000
のペプチドが主成分となっている。このことは、電気泳
動等の結果からも確認した。

【００３１】すなわち、製造例で得られたローヤルゼリ
ー溶液は、蛋白質が分解されてペプチド化している以外
は、生ローヤルゼリーと同様な成分を含有し、ペプチド
としては、特に生理機能を有するといわれている分子量
数百〜数千のペプチドを多く含有していることがわか
る。

【００３２】なお、製造例で得られたローヤルゼリー溶
液は、弱酸性の飲料に添加しても、生ローヤルゼリーの
ように凝集沈殿することなく容易に溶解し、また、その
まま食しても、喉を刺すような刺激もなく、むしろ若干
の旨味と甘さがあるものであった。

【００３３】実施例１水に、製造例で得られたローヤルゼリー溶液を、生ロー
ヤルゼリー換算で１重量％濃度となるように添加した。

【００３４】比較例１水をそのままコントロールとした。

【００３５】実験例１実施例１及び比較例１の水を、１群につき７匹の、体重
28〜32ｇの脱毛した繁殖を終了した雌のマウス（Ｃ３Ｈ
／Ｈｅ、12カ月齢）に、飲料水として飲ませた。なお、
マウスの一日当たりの飲料水の摂取量は３〜５ml程度で
あることから、ローヤルゼリーとしての摂取量は一日当
たり１〜1.5mg ／ｇ程度となる。

【００３６】30日間経過後、実施例１の水を飲ませたマ
ウス７匹に発毛が見られ、90日間経過後、図２に示すよ
うに育毛した。

【００３７】比較例１の水を飲ませたマウスは90日間経
過後も、図３に示すように発毛、育毛は見られなかっ
た。

【００３８】図２と図３との比較から、ローヤルゼリー
のプロテアーゼによる分解物であって、分子量3000以下
のペプチドを有効成分として含有するものを経口摂取す
ると育毛効果が現れることがわかる。

【００３９】実施例２製造例で得られたローヤルゼリー溶液を、一本当たり２
ｇ含む飲料を調製した。

【００４０】実験例２頭髪が全体として細く、縮れ毛で、前頭部が薄く、カツ
ラを使用していた65才の女性に、実施例２の飲料を、１
日当たり２本、朝と夜に摂取させた。

【００４１】２カ月程度経過後、頭髪の１本１本が太く
なり、明らかな効果が認められるようになり、４カ月経
過後には、前頭部の薄かった部分が濃くなり、頭髪全体
のボリュームも増加し、カツラを着用しなくても気にな
らない程度になった。

【００４２】実験例３悪性リンパ腫と診断され、放射線療法と化学療法との併
用により治療を行っている50才の男性に、副作用による
頭髪の脱毛を防ぐことを目的として、実施例２の飲料
を、１日当たり２本、朝と夜に摂取させた。

【００４３】４カ月経過後も、頭髪のボリュームは減ら
ず、褪色もなく、治療前と変化は認められなかった。

【００４４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の経口摂取
用育毛剤は、ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解
物であって、分子量3000以下のペプチドを有効成分とし
て含有するもので、これを経口摂取することにより育毛
効果が期待される。また、蛋白質が分解されてペプチド
化している以外は、ローヤルゼリーと同じ成分を有する
ものを経口摂取するので、育毛効果だけでなく、ローヤ
ルゼリーの滋養強壮等の他の効果も期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】製造例で得られたローヤルゼリー溶液中の粗蛋
白質と、生ローヤルゼリー中の粗蛋白質の分子量分布を
示す図表である。

【図２】本発明の実施例であるローヤルゼリーのプロテ
アーゼによる分解物であって、分子量3000以下のペプチ
ドを含有する水を経口摂取させて飼育したマウスの育毛
状態を示す写真である。

【図３】比較例である普通の水を経口摂取させて飼育し
たマウスの育毛状態を示す写真である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者横山桂子埼玉県大宮市日進町２−1337−５パフオ日進202号 (72)発明者坂田裕子埼玉県鶴ケ島市松が丘３−32−６

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分
解物であって、分子量3000以下のペプチドを有効成分と
して含有することを特徴とする経口摂取用育毛剤。