JPH0810141A - 調理器用鍋 - Google Patents

調理器用鍋

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JPH0810141A
JPH0810141A JP14919994A JP14919994A JPH0810141A JP H0810141 A JPH0810141 A JP H0810141A JP 14919994 A JP14919994 A JP 14919994A JP 14919994 A JP14919994 A JP 14919994A JP H0810141 A JPH0810141 A JP H0810141A
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西田  隆
Hideyuki Ohashi
大橋  秀行
Yukio Nomura
幸生 野村
Tsuneo Shibata
恒雄 柴田
Kenji Kiwa
健二 際
Susumu Nakamura
勧 中村
Matsunori Takada
松典 高田
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Du Pont Mitsui Fluorochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フッ素コ−ティングに用いられるフッ素樹脂
にフィラ−または他のフッ素樹脂を添加し、長期間の実
使用に耐える調理器用鍋を提供することを目的とする。 【構成】 フッ素コ−ティングに用いられるフッ素樹脂
に、ガラス、炭化珪素、マイカ、セラミックス粉体等の
フィラ−、または種類の異なるフッ素樹脂を添加して成
る塗料を用い、これを調理器用鍋に塗装して最終的に添
加物の濃度がコ−ティング膜中に5重量%以上50重量
%未満とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は家庭用及び業務用炊飯器
等の調理器における調理器用鍋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、調理器として炊飯器の場合は、そ
の内鍋はアルミニウム材の上にフッ素コ−ティングされ
たものが多いが、従来の技術としてはエッチング処理面
にPTFEを塗装するメタルコ−ト(商標名 スミフロ
ン)やブラスト処理表面に接着剤であるプライマ−を塗
り、その上にトップコ−トとしてフッ素樹脂を塗装する
方法が存在している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、炊飯器
は家庭用調理器の中でも使用頻度が極めて高い製品であ
り、そのため内鍋に施されているフッ素コ−ティングに
は熱や水蒸気などの負荷がかかる上、しゃもじによる引
っ掻きや洗浄時に生じる傷、さらには、調理されるご飯
や調味料による腐食作用が徐々にフッ素コ−ティングを
劣化させていき、上記の塗装技術では一般家庭の使用状
況において早いもので数ヵ月でフッ素コ−ティングに腐
食が生じたり、剥がれや破れが生じることがある。
【0004】本発明は上記課題を解決するもので、フッ
素コ−ティングに耐熱水性、耐蒸気性、耐腐食性を付与
し、耐久性を高め、劣化を遅らせた調理器用鍋を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、コ−ティング層のトップコ−トを構成する
フッ素樹脂にフィラ−として、ガラスビ−ズ、ガラスフ
レ−ク、ガラス粒子、炭化珪素、マイカ、セラミックス
粉体のうち少なくとも1種類以上を添加した調理器用鍋
としたものである。
【0006】また、主剤のフッ素樹脂に種類の異なるフ
ッ素樹脂を添加して成る塗料をコーティングした調理器
用鍋としたものである。
【0007】
【作用】上記のように本発明は主剤のフッ素樹脂にフィ
ラ−を添加するか、または種類の異なるフッ素樹脂を添
加して成る塗料をコーティングすることにより耐久性に
優れた調理器用鍋が得られるものである。
【0008】コ−ティング層のトップコ−トを構成する
主剤のフッ素樹脂に添加するフィラ−としては、ガラス
ビ−ズ、ガラスフレ−ク、ガラス粒子、炭化珪素、マイ
カ、セラミックス粉体が挙げられるが、フィラ−を添加
することにより、炊飯器用鍋としては、(1)コ−ティ
ング膜は伸び率が減少し、基材の金属と線膨脹係数が接
近するため、炊飯により熱がかかってもコ−ティング膜
中の応力が少なくなる。また、(2)プライマへのアン
カ−効果が出て密着性が向上する。さらには、(3)炊
飯や保温中に浸透してくる水分をブロックする、という
効果があるため、コ−ティング膜の耐久性は向上する。
【0009】しかしながら、フィラ−を添加する場合、
添加量が多くなればなるほど、コ−ティングの表面はザ
ラつき、フッ素コ−ティング本来の性質である非粘着性
が低下していく。
【0010】また、管理面においても主剤のフッ素樹脂
とフィラ−との馴染み、粒子径の違い、密度の違い、特
に粉体塗装では静電特性の違い、さらに、均一に混合す
るために入念に攪拌する必要がある、といった点も考慮
しなければならず、単に主剤のフッ素樹脂とフィラ−を
混合する場合はこれらの点に留意する必要がある。
【0011】この点を改善するために、マイクロカプセ
ル化処理法を用いて、主剤のフッ素樹脂粒子にフィラ−
を包み込む、または融着させる方式を実施した。
【0012】このマイクロカプセル化処理をした塗料を
用いた場合、主剤とフィラ−の偏析等の分離現象がな
く、安定した均一な添加量の塗膜が得られ、またフィラ
−が樹脂内に包まれているため、コ−ティング表面にも
フィラ−が突き出しにくく、ザラつきは減少し、さら
に、粒子自体の性質も主剤のフッ素樹脂の性質と大差が
なくなるため、塗装時の管理も簡略化されるという利点
がある。
【0013】主剤のフッ素樹脂及びこれに添加する種類
の異なるフッ素樹脂としてはPFA(テトラフルオロエ
チレン パ−フルオロアルキルビニルエ−テル共重合
体),PTFE(ポリテトラフルオロエチレン),FE
P(テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン
共重合体),ETFE(エチレン テトラフルオロエチ
レン共重合体),CTFE(ポリクロロトリフルオロエ
チレン),PVDF(ポリビニリデンフルオライド)が
挙げられるが、例として、主剤のフッ素樹脂にPFAを
用いた場合、これとは種類の異なるPTFEやFEPを
一種類以上添加すれば良い。
【0014】主剤のフッ素樹脂に種類の異なるフッ素樹
脂を添加した塗料を用いて、炊飯器内鍋に塗装した場
合、異種の樹脂を混合することによりコ−ティング膜の
伸び率が低下する、耐水性が向上するといった、フィラ
−を添加したときと同様の効果が現れコ−ティング膜の
耐久性の向上が見られる。
【0015】このとき主剤のフッ素樹脂とこれに添加す
る異種のフッ素樹脂は、両者の溶融粘度等の諸特性に大
きな差があった方が、お互いが完全に混じり合わずに、
両者が独立に存在するため、構造的にもフィラ−添加の
場合と同じくなり効果が大きい。したがって、主剤のフ
ッ素樹脂とはコ−ティング焼成温度における溶融粘度が
ポイズ単位で1〜1000倍異なる異種のフッ素樹脂
を、1種類以上混合して成る塗料を塗装することが好ま
しい。
【0016】また、フィラ−を添加した場合と異なり、
フッ素樹脂同志の混合系であるため、非粘着性に大きな
変化が見られないことが優位な点である。
【0017】しかしながら、主剤のフッ素樹脂に種類の
異なるフッ素樹脂を添加する場合、電気的特性、物理的
特性、化学的特性、粒子径などの違いにより、樹脂同志
の馴染みが悪く、塗装に著しい困難を伴う場合があり、
さらに、塗装前に入念に攪拌しても分離しやすいなど、
留意すべき点が多い。
【0018】この点を改善するために、フィラ−を添加
する場合と同様に、2種類以上のフッ素樹脂を互いに融
着、あるいは一方が他方を包み込むマイクロカプセル化
処理法を用いて塗料を作製すると、塗料中の粒子の諸特
性は一定するため、塗装性が向上し、塗装前に攪拌をす
る必要性もなくなる。
【0019】マイクロカプセル化する場合、主剤のフッ
素樹脂を大粒子とし、これとは異種のフッ素樹脂を小粒
子として、互いに融着、あるいは大粒子が小粒子を包み
込んだ粒子はおおむね主剤の性質となり、塗装上の管理
が容易である。
【0020】また、主剤のフッ素樹脂には溶融粘度が比
較的低いものを使用した方がフッ素コ−ティングとして
の成膜性がよく、滑らかな表面状態となる一方、添加剤
とするフッ素樹脂は溶融粘度が比較的高い、具体的には
溶融粘度に1〜1000倍の差があるものを選んだ方
が、主剤と完全に混じり合わないため、フィラ−効果が
大きく耐久性がある。
【0021】以上の例として、主剤を溶融粘度が比較的
低い、粒子径10〜50ミクロンのPFA、添加剤を溶
融粘度の高い、粒子径数ミクロン以下のPTFEとして
マイクロカプセル化した。
【0022】なお、主剤のフッ素樹脂にフィラ−及び種
類の異なるフッ素樹脂を添加して成る塗料を塗装、焼成
後、コ−ティング膜中にこれらの添加物が5重量%以
上、50重量%未満存在するように塗料を調整する必要
があるが、5重量%未満では効果が現れにくく、50重
量%以上ではコ−ティング表面が極端に粗れるといった
弊害が生じる。
【0023】また、主剤のフッ素樹脂にフィラ−及び種
類の異なるフッ素樹脂を添加して成る塗料は粉体塗料で
も液体塗料でもよいが、液体塗料の場合は必要に応じて
分散剤、増粘剤、安定剤、たれ防止剤、防腐剤、顔料を
加えてもよい。
【0024】さらに、主剤のフッ素樹脂にはフィラ−と
種類の異なるフッ素樹脂を混合して添加することも可能
である。
【0025】
【実施例】
(実施例1)主剤のPFA(三井・デュポンフロロケミ
カル株式会社製)80重量部に対し、平均粒径5ミクロ
ンのガラスビ−ズ(東芝バロティ−ニ株式会社製)20
重量部をマイクロカプセル化処理し、ガラスビ−ズがP
FAに包み込まれた粉体塗料を作製した。マイクロカプ
セル化処理は350℃で溶融したPFAにガラスビ−ズ
を添加し、これをスプレ−シンタ−装置に投入して、空
気中へ霧状に噴射して焼結させる方法でマイクロカプセ
ル化粒子を得た。調理器用鍋(この例では炊飯器内鍋)
の内面のアルミニウム材にプライマ(デュポン株式会社
製)を塗装し、乾燥処理した後、マイクロカプセル化処
理した粉体塗料を静電塗装ガンを用いて60kvの電圧
をかけ最終膜厚が約50ミクロンになるように塗装し
た。続いて内鍋を焼成炉に投入し、380℃で20分間
処理して鍋へのコ−ティング処理を完成させた。
【0026】図1はその状態を示したものであり、1は
コーティング層のトップコートを構成する主剤のフッ素
樹脂コーティング層を示し、2はフッ素樹脂コーティン
グ層1に添加したフィラーである。3はプライマ層で、
鍋を構成するアルミニウム基材4の表面に設けている。
なお、フッ素樹脂コーティング層1とプライマ層3の合
計の厚みは、この例では約50μmである。また図2は
主剤のPFAの粒子5にフィラー6をマイクロカプセル
化させた粒子を示している。
【0027】(実施例2)主剤のPFA(三井・デュポ
ンフロロケミカル株式会社製)70重量部に対し、平均
粒径2ミクロンのPTFE(三井・デュポンフロロケミ
カル株式会社製)30重量部をマイクロカプセル化処理
して粉体塗料を作製し、実施例1と同様に調理器用鍋に
コ−ティング処理した。このマイクロカプセル化した粒
子は図3に示しているとおりであり、7はPFA、8は
PTFEである。
【0028】(比較例1)添加物を含まない、PFAの
みから成る粉体塗料(三井・デュポンフロロケミカル株
式会社製)を用いて実施例1と同様に調理器用鍋にコ−
ティング処理した。
【0029】(比較例2)炊飯器内鍋の内面のアルミニ
ウム材をエッチング処理した後、PTFEのエナメル塗
料(ダイキン工業株式会社製)を塗装し、380℃で2
0分間焼成して鍋へのコ−ティング処理を完成させた。
【0030】以上の実施例及び比較例の耐久性評価を行
った結果を(表1)に示す。耐久性評価は、作製した鍋
を炊飯器の内部に入れ、3合の米を炊飯し、炊飯終了
後、約10分間保温するという操作を繰り返し行い、内
鍋内面のコ−ティング膜の膨れや破れ、また、基材のア
ルミニウムからの腐食が何回炊飯した時点で生じるかを
観測した。
【0031】
【表1】
【0032】(表1)に示すように、主剤のPFAにガ
ラスビ−ズやPTFEを添加した実施例1と実施例2で
は、鍋内面のコ−ティング膜の膨れや破れ、基材からの
腐食の発生が遅く、コ−ティング膜の耐久性が向上し、
より長期の実使用に耐えうる炊飯器内鍋となっている。
【0033】なお、本発明の調理器用鍋は炊飯器内鍋に
限らず他の一般的な調理鍋としても有効なことはいうま
でもない。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明の調理器用鍋は、
主剤のフッ素樹脂にフィラ−を添加するか、または種類
の異なるフッ素樹脂を添加して成る塗料を塗装して得ら
れるものであり、長期に渡る実使用中に度々見られるフ
ッ素コ−トの劣化現象を遅らせ、耐久性を向上させたも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】主剤のフッ素樹脂にフィラ−を添加してアルミ
ニウム基材に塗装した状態の断面図
【図2】主剤のフッ素樹脂粒子にフィラ−をマイクロカ
プセル化させた粒子を示す図
【図3】主剤のPFAにPTFEをマイクロカプセル化
させた粒子を示す図
【符号の説明】
1 主剤のフッ素樹脂コ−ティング層 2 フィラ− 3 プライマ層 4 アルミニウム基材 5 主剤のフッ素樹脂粒子 6 フィラ− 7 PFA 8 PTFE
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 秀行 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 野村 幸生 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 柴田 恒雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 際 健二 神奈川県横浜市港北区新吉田町4997番地 デュポン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 中村 勧 静岡県清水市桜が丘町9番23号 (72)発明者 高田 松典 静岡県静岡市用宗3丁目3番14号

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コ−ティング層のトップコ−トを構成す
    るフッ素樹脂にフィラ−として、ガラスビ−ズ、ガラス
    フレ−ク、ガラス粒子、炭化珪素、マイカ、セラミック
    ス粉体のうち少なくとも1種類以上を添加したことを特
    徴とする調理器用鍋。
  2. 【請求項2】 フィラ−をフッ素樹脂で包み込む、また
    は融着させるマ イクロカプセル化処理を行った塗料を
    用いて塗装したことを特徴とする請求項1記載の調理器
    用鍋。
  3. 【請求項3】 主剤とは異なるフッ素樹脂であるPFA
    (テトラフルオロエチレン パ−フルオロアルキルビニ
    ルエ−テル共重合体),PTFE(ポリテトラフルオロ
    エチレン),FEP(テトラフルオロエチレン ヘキサ
    フルオロプロピレン共重合体),ETFE(エチレン
    テトラフルオロエチレン共重合体),CTFE(ポリク
    ロロトリフルオロエチレン),PVDF(ポリビニリデ
    ンフルオライド)のうち少なくとも1種類以上を主剤の
    フッ素樹脂に添加して成る塗料をコ−ティングした調理
    器用鍋。
  4. 【請求項4】 主剤のフッ素樹脂とはコ−ティング焼成
    温度における溶融粘度がポイズ単位で1〜1000倍異
    なる異種のフッ素樹脂を、1種類以上混合して成る塗料
    を塗装した請求項3記載の調理器用鍋。
  5. 【請求項5】 2種類以上のフッ素樹脂を混合し、互い
    に融着、あるいは一方が他方を包み込むマイクロカプセ
    ル化処理を行った塗料を塗装した請求項3記載の調理器
    用鍋。
  6. 【請求項6】 主剤のフッ素樹脂を大粒子とし、これと
    は異種のフッ素樹脂を小粒子として、互いに融着、ある
    いは大粒子が小粒子を包み込むマイクロカプセル化処理
    を行った塗料を塗装した請求項3記載の調理器用鍋。
  7. 【請求項7】 溶融粘度の比較的低いフッ素樹脂を主
    剤、高いフッ素樹脂を添加剤として塗装した請求項3記
    載の調理器用鍋。
  8. 【請求項8】 フッ素樹脂にフィラ−及び種類の異なる
    フッ素樹脂を添加して成る塗料を塗装、焼成後、コ−テ
    ィング膜中にこれらの添加物が5重量%以上、50重量
    %未満存在する請求項1または請求項3記載の調理器用
    鍋。
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