JPH08100818A - 電食防止転がり軸受 - Google Patents
電食防止転がり軸受Info
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- JPH08100818A JPH08100818A JP23724394A JP23724394A JPH08100818A JP H08100818 A JPH08100818 A JP H08100818A JP 23724394 A JP23724394 A JP 23724394A JP 23724394 A JP23724394 A JP 23724394A JP H08100818 A JPH08100818 A JP H08100818A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 電食防止転がり軸受を、絶縁性樹脂被膜の良
好な成形性を維持し、しかも高速回転時及び急加減速回
転時の温度上昇を充分に抑制されたものとする。 【構成】 内輪1、外輪2の少なくとも一方の表面に絶
縁被膜4を有する電食防止転がり軸受において、前記絶
縁被膜を、熱伝導率20W/(m・K)以上で粒径0.
1〜100μmのセラミック微粉末を15〜70容量%
含有した熱可塑性樹脂により形成する。セラミック微粉
末としては窒化アルミニウム微粉末などを採用し、熱可
塑性樹脂としてはポリフェニレンサルファイド樹脂など
を採用する。
好な成形性を維持し、しかも高速回転時及び急加減速回
転時の温度上昇を充分に抑制されたものとする。 【構成】 内輪1、外輪2の少なくとも一方の表面に絶
縁被膜4を有する電食防止転がり軸受において、前記絶
縁被膜を、熱伝導率20W/(m・K)以上で粒径0.
1〜100μmのセラミック微粉末を15〜70容量%
含有した熱可塑性樹脂により形成する。セラミック微粉
末としては窒化アルミニウム微粉末などを採用し、熱可
塑性樹脂としてはポリフェニレンサルファイド樹脂など
を採用する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は絶縁被膜により電食防
止を図った転がり軸受に関するものである。
止を図った転がり軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、玉軸受や転がり軸受等の転がり軸
受においては、軌道輪と転動体の間に生じる電食現象を
防止するため、軌道輪の表面に絶縁被膜を形成して、外
部から軌道輪に流れ込む電流を遮断することが行われて
いる(実開平2−85016号)。
受においては、軌道輪と転動体の間に生じる電食現象を
防止するため、軌道輪の表面に絶縁被膜を形成して、外
部から軌道輪に流れ込む電流を遮断することが行われて
いる(実開平2−85016号)。
【0003】このような絶縁被覆を有する電食防止転が
り軸受として、特開平3−277818号には、ガラス
繊維を含有したポリフェニレンサルファイド樹脂の被覆
を有するもの、実開平5−89953号にはポリアミド
樹脂またはポリフェニレンサルファイド樹脂等の熱可塑
性樹脂を被覆材料に用いたものがそれぞれ開示されてい
る。
り軸受として、特開平3−277818号には、ガラス
繊維を含有したポリフェニレンサルファイド樹脂の被覆
を有するもの、実開平5−89953号にはポリアミド
樹脂またはポリフェニレンサルファイド樹脂等の熱可塑
性樹脂を被覆材料に用いたものがそれぞれ開示されてい
る。
【0004】これらは、軌道輪の表面に絶縁性の高い樹
脂からなる被膜を形成したものであるから、安定した電
食防止機能があり、また射出成形によって軌道輪に被膜
を一体成形するので、成形性がよく、低コストで被膜を
形成することができる。
脂からなる被膜を形成したものであるから、安定した電
食防止機能があり、また射出成形によって軌道輪に被膜
を一体成形するので、成形性がよく、低コストで被膜を
形成することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年、軸受を
使用した回転体は、設備の高能率化にともなって、高速
回転及び急加減速で使用される頻度が高くなり、このよ
うな条件では回転する軸受からの発熱量も増大し、軸受
内に充填されるグリースは加熱されて劣化し易くなる。
使用した回転体は、設備の高能率化にともなって、高速
回転及び急加減速で使用される頻度が高くなり、このよ
うな条件では回転する軸受からの発熱量も増大し、軸受
内に充填されるグリースは加熱されて劣化し易くなる。
【0006】通常、絶縁被覆を有しない転がり軸受は、
金属製部品を嵌め合せて組み立てられており、部品同士
または外部に対しても熱伝導性が高いので、発熱量が増
えてもそれだけ発散する熱量が多くなって軸受温度は比
較的低く抑制される。
金属製部品を嵌め合せて組み立てられており、部品同士
または外部に対しても熱伝導性が高いので、発熱量が増
えてもそれだけ発散する熱量が多くなって軸受温度は比
較的低く抑制される。
【0007】しかし、樹脂製の絶縁被覆を有する従来の
電食防止転がり軸受は、樹脂の低熱伝導性によって高速
回転及び急加減速回転条件での軸受温度がかなり高くな
るという問題点がある。
電食防止転がり軸受は、樹脂の低熱伝導性によって高速
回転及び急加減速回転条件での軸受温度がかなり高くな
るという問題点がある。
【0008】なお、特開平3−277818号のような
ガラス繊維を含有したポリフェニレンサルファイド樹脂
を被膜材料にした場合には、ポリフェニレンサルファイ
ド樹脂の耐熱性が高いので、被膜自体が軸受の温度上昇
の影響を受けることはないが、軸受に封入したグリース
の寿命を考慮した場合には好ましいことではない。
ガラス繊維を含有したポリフェニレンサルファイド樹脂
を被膜材料にした場合には、ポリフェニレンサルファイ
ド樹脂の耐熱性が高いので、被膜自体が軸受の温度上昇
の影響を受けることはないが、軸受に封入したグリース
の寿命を考慮した場合には好ましいことではない。
【0009】そこで、この発明の課題は、上記した問題
点を解決して、電食防止転がり軸受を、絶縁性樹脂被膜
の良好な成形性を維持し、しかも高速回転時及び急加減
速回転時の温度上昇を充分に抑制できるものとすること
である。
点を解決して、電食防止転がり軸受を、絶縁性樹脂被膜
の良好な成形性を維持し、しかも高速回転時及び急加減
速回転時の温度上昇を充分に抑制できるものとすること
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、軌道輪の表面に絶縁被膜を有
する電食防止転がり軸受において、前記絶縁被膜を、熱
伝導率20W/(m・K)以上のセラミック微粉末を含
有した熱可塑性樹脂により形成したのである。
め、この発明においては、軌道輪の表面に絶縁被膜を有
する電食防止転がり軸受において、前記絶縁被膜を、熱
伝導率20W/(m・K)以上のセラミック微粉末を含
有した熱可塑性樹脂により形成したのである。
【0011】また、前記絶縁被膜を、熱伝導率20W/
(m・K)以上で粒径0.1〜100μmのセラミック
微粉末を15〜70容量%含有した熱可塑性樹脂により
形成した電食防止転がり軸受としたのである。
(m・K)以上で粒径0.1〜100μmのセラミック
微粉末を15〜70容量%含有した熱可塑性樹脂により
形成した電食防止転がり軸受としたのである。
【0012】前記セラミック微粉末は窒化アルミニウム
微粉末を採用し、前記熱可塑性樹脂としてはポリフェニ
レンサルファイド樹脂を採用することが好ましい。
微粉末を採用し、前記熱可塑性樹脂としてはポリフェニ
レンサルファイド樹脂を採用することが好ましい。
【0013】以下に、その詳細を述べる。この発明に用
いる熱伝導率20W/(m・K)以上のセラミック微粉
末は、特定のセラミックスの成分を限定したものではな
く、前記熱伝導率を満足するものであればよく、そのよ
うなセラミックスとして例えば窒化アルミニウム(Al
N)、アルミナ(Al2 O3 )、酸化マグネシウム(M
gO)、窒化ほう素(BN)などがあり、これらは単独
で使用しても混合して使用しても良い。このうち、Al
Nは、熱伝導性が顕著に高いことから特に好ましいもの
である。
いる熱伝導率20W/(m・K)以上のセラミック微粉
末は、特定のセラミックスの成分を限定したものではな
く、前記熱伝導率を満足するものであればよく、そのよ
うなセラミックスとして例えば窒化アルミニウム(Al
N)、アルミナ(Al2 O3 )、酸化マグネシウム(M
gO)、窒化ほう素(BN)などがあり、これらは単独
で使用しても混合して使用しても良い。このうち、Al
Nは、熱伝導性が顕著に高いことから特に好ましいもの
である。
【0014】このようなセラミック微粉末の粒径は、
0.1〜100μm、好ましくは1〜30μmの範囲に
あるものを採用することが好ましい。なぜなら、0.1
μm未満では、飛散し易いので作業性に問題が生じ、1
00μmを越える大径では、樹脂に混合した際に均一に
分散し難いために、熱伝導性を上げる効率が低くなるか
らである。
0.1〜100μm、好ましくは1〜30μmの範囲に
あるものを採用することが好ましい。なぜなら、0.1
μm未満では、飛散し易いので作業性に問題が生じ、1
00μmを越える大径では、樹脂に混合した際に均一に
分散し難いために、熱伝導性を上げる効率が低くなるか
らである。
【0015】セラミック微粉末の充填量は、15〜70
容量%が好ましい。なぜなら、15容量%未満では、熱
伝導性を上げる効果が低く、70容量%を越える多量で
は、熱可塑性樹脂の溶融粘度が上昇して成形性が著しく
阻害されるからである。このような傾向からみて、より
好ましい充填量は、20〜60容量%である。なお、後
述する他の充填剤を併用する場合は、セラミックス微粉
末と充填剤の合計量を上記割合で配合すればよい。
容量%が好ましい。なぜなら、15容量%未満では、熱
伝導性を上げる効果が低く、70容量%を越える多量で
は、熱可塑性樹脂の溶融粘度が上昇して成形性が著しく
阻害されるからである。このような傾向からみて、より
好ましい充填量は、20〜60容量%である。なお、後
述する他の充填剤を併用する場合は、セラミックス微粉
末と充填剤の合計量を上記割合で配合すればよい。
【0016】この発明に用いる熱可塑性樹脂は、軸受に
要求される耐熱性に合わせて比較的成形容易なものを選
択採用すればよく、特に限定することは困難であるが、
比較的好ましいものを列挙するならば、以下の通りであ
る。なお、括弧内には略称を示した。
要求される耐熱性に合わせて比較的成形容易なものを選
択採用すればよく、特に限定することは困難であるが、
比較的好ましいものを列挙するならば、以下の通りであ
る。なお、括弧内には略称を示した。
【0017】すなわち、ポリフェニレンサルファイド
(PPS)、ポリアミド(PA66)、ポリアミド46
(PA46)、ポリアミド6(PA6)などの脂肪族ポ
リアミド、ポリアミド6T、ポリアミド6/6Tなどの
芳香族ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリア
ミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(TP
I)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケ
トン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PE
KEKK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリ
エーテルニトリル(PEN)、液晶ポリマー(LCP)
などである。
(PPS)、ポリアミド(PA66)、ポリアミド46
(PA46)、ポリアミド6(PA6)などの脂肪族ポ
リアミド、ポリアミド6T、ポリアミド6/6Tなどの
芳香族ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリア
ミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(TP
I)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケ
トン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PE
KEKK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリ
エーテルニトリル(PEN)、液晶ポリマー(LCP)
などである。
【0018】上記した熱可塑性樹脂のうち、被膜の熱伝
導性、耐クリープ性、その他の機械的強度を向上させる
ためには、前記したセラミック粉末や後述する充填剤を
可及的に多く充填できるものであることが好ましく、こ
の点からポリアミド、PEN、PPSがより好ましい。
導性、耐クリープ性、その他の機械的強度を向上させる
ためには、前記したセラミック粉末や後述する充填剤を
可及的に多く充填できるものであることが好ましく、こ
の点からポリアミド、PEN、PPSがより好ましい。
【0019】また、PPS樹脂は、被膜の耐熱性、耐ク
リープ性、耐環境性(耐薬品性、吸水吸湿性)、製造コ
ストおよび成形性についても望ましいものである。PP
S樹脂には、架橋型、セミ架橋型、およびリニア型のも
のがあるが、いずれのものでも使用可能である。
リープ性、耐環境性(耐薬品性、吸水吸湿性)、製造コ
ストおよび成形性についても望ましいものである。PP
S樹脂には、架橋型、セミ架橋型、およびリニア型のも
のがあるが、いずれのものでも使用可能である。
【0020】なお、電食防止転がり軸受は、軌道輪の表
面の絶縁被膜が軸箱に嵌め合わされた際に荷重を受ける
ので、絶縁被膜には耐クリープ性に優れた物性が要求さ
れる。したがって、前記したセラミック微粉末を単独で
充填してもよいが、耐クリープ性を高めるために絶縁性
の充填剤を併用してもよい。
面の絶縁被膜が軸箱に嵌め合わされた際に荷重を受ける
ので、絶縁被膜には耐クリープ性に優れた物性が要求さ
れる。したがって、前記したセラミック微粉末を単独で
充填してもよいが、耐クリープ性を高めるために絶縁性
の充填剤を併用してもよい。
【0021】この場合の充填剤としては、ガラス繊維な
どの無機繊維、チタン酸カリウムウィスカなどの無機ウ
ィスカ、ガラスビーズなどの無機球状粉、ガラスフレー
ク、マイカなどの無機薄片粉、炭酸カルシウム、タルク
などの粉末が挙げられる。このうち、ガラス繊維は、充
填効率、耐クリープ性、機械的強度、製造コストの面か
らみて特に好ましいものである。
どの無機繊維、チタン酸カリウムウィスカなどの無機ウ
ィスカ、ガラスビーズなどの無機球状粉、ガラスフレー
ク、マイカなどの無機薄片粉、炭酸カルシウム、タルク
などの粉末が挙げられる。このうち、ガラス繊維は、充
填効率、耐クリープ性、機械的強度、製造コストの面か
らみて特に好ましいものである。
【0022】ここで、所定の配合割合で熱可塑性樹脂と
前記充填剤を混合するには、通常、広く用いられている
方法を採用でき、たとえば、主成分となる熱可塑性樹
脂、その他の材料を順次にまたは一括してヘンシェルミ
キサー、ボールミル、タンブラーミキサなどの混合機で
混合し、次いで溶融混合性のよい射出成形機または溶融
押出し機に供給するか、または予め、熱ロール、ニー
ダ、バンバリーミキサ、溶融押出し機などで溶融混合す
るなどの手法を採用すればよい。
前記充填剤を混合するには、通常、広く用いられている
方法を採用でき、たとえば、主成分となる熱可塑性樹
脂、その他の材料を順次にまたは一括してヘンシェルミ
キサー、ボールミル、タンブラーミキサなどの混合機で
混合し、次いで溶融混合性のよい射出成形機または溶融
押出し機に供給するか、または予め、熱ロール、ニー
ダ、バンバリーミキサ、溶融押出し機などで溶融混合す
るなどの手法を採用すればよい。
【0023】溶融された被膜形成材料で軌道輪の表面に
絶縁被膜を形成するには、射出成形法を採用すること
が、成形効率がよく好ましい。この場合、充填剤の配合
量によって溶融粘度が変化するので、そのような配合量
が多い場合は、同一種類の樹脂であっても溶融粘度の低
いグレードを使用して、成形性を阻害しない溶融粘度に
調整すればよい。
絶縁被膜を形成するには、射出成形法を採用すること
が、成形効率がよく好ましい。この場合、充填剤の配合
量によって溶融粘度が変化するので、そのような配合量
が多い場合は、同一種類の樹脂であっても溶融粘度の低
いグレードを使用して、成形性を阻害しない溶融粘度に
調整すればよい。
【0024】軸受の軌道輪には、外輪および内輪がある
が絶縁被膜を形成する対象は、外輪、内輪のそれぞれ一
方または、両者であってもよく、軸受の種類は玉軸受、
ころ軸受、またラジアル軸受またはスラスト軸受のいず
れの構造のものを採用してもよい。
が絶縁被膜を形成する対象は、外輪、内輪のそれぞれ一
方または、両者であってもよく、軸受の種類は玉軸受、
ころ軸受、またラジアル軸受またはスラスト軸受のいず
れの構造のものを採用してもよい。
【0025】
【作用】この発明に係る電食防止転がり軸受は、耐熱
性、絶縁性が高く、しかも所定の熱伝導率のセラミック
ス微粉末を熱可塑性樹脂に添加することによって被膜の
熱伝導性を改善しているので、放熱性に優れており高速
回転時及び急加減速回転時の温度上昇が充分に抑制され
る。
性、絶縁性が高く、しかも所定の熱伝導率のセラミック
ス微粉末を熱可塑性樹脂に添加することによって被膜の
熱伝導性を改善しているので、放熱性に優れており高速
回転時及び急加減速回転時の温度上昇が充分に抑制され
る。
【0026】また、前記セラミックス微粉末として所定
粒径のものを採用し、これを所定量の添加することによ
り、絶縁性樹脂被膜は上記同様の作用と共に良好な成形
性を有する。
粒径のものを採用し、これを所定量の添加することによ
り、絶縁性樹脂被膜は上記同様の作用と共に良好な成形
性を有する。
【0027】前記セラミックス微粉末として、窒化アル
ミニウムを採用すれば、より効率よく熱伝導性が高めら
れる。また、熱可塑性樹脂として、ポリフェニレンサル
ファイド樹脂を採用すれば、被膜の耐熱性、耐クリープ
性、耐環境性がより好ましいものとなる。
ミニウムを採用すれば、より効率よく熱伝導性が高めら
れる。また、熱可塑性樹脂として、ポリフェニレンサル
ファイド樹脂を採用すれば、被膜の耐熱性、耐クリープ
性、耐環境性がより好ましいものとなる。
【0028】
【実施例】この発明の実施例1〜7の電食防止転がり軸
受の構造を、添付図面に基づいて以下に説明する。
受の構造を、添付図面に基づいて以下に説明する。
【0029】図1に示すように、実施例は、標準型の軸
受の内輪1を設けると共に、NU214の外輪2の表面
には円周溝3を機械加工により形成し、その上に別途成
形した一定の厚さ(1mm)の絶縁被膜4を被せた状態
に嵌め合わせた円筒ころ軸受(外径170mm、内径9
5mm、幅32mm)である。絶縁被膜4は、表1に示
す材料を一括混合し、射出成形で形成した。
受の内輪1を設けると共に、NU214の外輪2の表面
には円周溝3を機械加工により形成し、その上に別途成
形した一定の厚さ(1mm)の絶縁被膜4を被せた状態
に嵌め合わせた円筒ころ軸受(外径170mm、内径9
5mm、幅32mm)である。絶縁被膜4は、表1に示
す材料を一括混合し、射出成形で形成した。
【0030】図2に示すように、リング状の成形体であ
る絶縁被膜4は、その内周側に外輪2(図1)の円周溝
3に嵌め合い可能な突条5を有しており、これに円周溝
3を嵌めると絶縁被膜4の軸方向のずれが防止できる。
なお、図1中、符号6は転動体としての”ころ”、7は
ハウジング、8、9は保持器、10は軸受を抜け止めす
るリングを示している。
る絶縁被膜4は、その内周側に外輪2(図1)の円周溝
3に嵌め合い可能な突条5を有しており、これに円周溝
3を嵌めると絶縁被膜4の軸方向のずれが防止できる。
なお、図1中、符号6は転動体としての”ころ”、7は
ハウジング、8、9は保持器、10は軸受を抜け止めす
るリングを示している。
【0031】実施例1〜7および比較例1、2に用いた
絶縁被膜の材料を一括して挙げると、以下の通りであ
る。なお、括弧[ ]内に略号を示し、表に示す配合割
合は全て容量%である。
絶縁被膜の材料を一括して挙げると、以下の通りであ
る。なお、括弧[ ]内に略号を示し、表に示す配合割
合は全て容量%である。
【0032】(1)ポリフェニレンサルファイド樹脂
[PPS] トープレン社製:LN−2リニア型 (2)ポリアミド66樹脂[PA66] BASF社製:A4H (3)ポリエーテルニトリル樹脂[PEN] 出光石油化学社製:ID3000 (4)ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン[PE
KEKK] BASF社製:A2000 (5)熱可塑性ポリイミド樹脂[TPI] 三井東圧化学社製:オーラム450 (6)窒化アルミニウム粉末[AlN] 共立窯業原料社製:AlN−7、平均粒径7μm、熱伝
導率70〜320W/(m・K) (7)ガラス繊維[GF] 日本電気硝子社製〕:ECSO3T−717G 実施例1〜7については、前記したように、図1に示す
円筒ころ軸受を作成し、また、比較例1および2につい
ては、表1に示した配合とし、それ以外は実施例と全く
同様にして円筒ころ軸受を作成した。
[PPS] トープレン社製:LN−2リニア型 (2)ポリアミド66樹脂[PA66] BASF社製:A4H (3)ポリエーテルニトリル樹脂[PEN] 出光石油化学社製:ID3000 (4)ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン[PE
KEKK] BASF社製:A2000 (5)熱可塑性ポリイミド樹脂[TPI] 三井東圧化学社製:オーラム450 (6)窒化アルミニウム粉末[AlN] 共立窯業原料社製:AlN−7、平均粒径7μm、熱伝
導率70〜320W/(m・K) (7)ガラス繊維[GF] 日本電気硝子社製〕:ECSO3T−717G 実施例1〜7については、前記したように、図1に示す
円筒ころ軸受を作成し、また、比較例1および2につい
ては、表1に示した配合とし、それ以外は実施例と全く
同様にして円筒ころ軸受を作成した。
【0033】得られた実施例1〜7および比較例1、2
に対し、または各試験に合わせて別途作製した絶縁被覆
試験片について以下の測定試験〜を行ない、結果を
表1中に併記した。
に対し、または各試験に合わせて別途作製した絶縁被覆
試験片について以下の測定試験〜を行ない、結果を
表1中に併記した。
【0034】熱伝導率の測定:実施例1〜7および比
較例1、2における絶縁被覆の製法と全く同様にして直
径10mm、厚さ3mmの絶縁被覆からなる試験片を別
途作成し、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率W/(m
・K)を測定した。
較例1、2における絶縁被覆の製法と全く同様にして直
径10mm、厚さ3mmの絶縁被覆からなる試験片を別
途作成し、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率W/(m
・K)を測定した。
【0035】締め代の減少量:実施例1〜7および比
較例1、2の軸受を締め代30μmでハウジングに圧入
し、100℃の雰囲気中に3000時間放置し、締め代
の減少量を測定した。
較例1、2の軸受を締め代30μmでハウジングに圧入
し、100℃の雰囲気中に3000時間放置し、締め代
の減少量を測定した。
【0036】急加速回転時の上昇温度の測定:実施例
1〜7および比較例1、2の軸受に、リチウム石けんを
増ちょう剤とする鉱油系グリースを封入し、軸箱に装着
して静止状態から回転速度5500rpmまでを30秒
間に加速し、その後は5500rpmで一定回転させ、
外輪つば内径面の最高昇温(℃)を測定した。
1〜7および比較例1、2の軸受に、リチウム石けんを
増ちょう剤とする鉱油系グリースを封入し、軸箱に装着
して静止状態から回転速度5500rpmまでを30秒
間に加速し、その後は5500rpmで一定回転させ、
外輪つば内径面の最高昇温(℃)を測定した。
【0037】
【表1】
【0038】表1の結果からも明らかなように、比較例
1、2では熱伝導率が極めて低く、急加速回転時の温度
上昇も90℃と高く、グリースは劣化し易いことがわか
る。
1、2では熱伝導率が極めて低く、急加速回転時の温度
上昇も90℃と高く、グリースは劣化し易いことがわか
る。
【0039】これに対して、実施例1〜7では、締め代
に大きな減少もなく耐クリープ性に優れたものであり、
また急加速回転時の軸受の温度上昇は50〜66℃と比
較的低く抑えられており、被膜なしのブランク50℃の
上昇温度とほぼ同レベルであった。
に大きな減少もなく耐クリープ性に優れたものであり、
また急加速回転時の軸受の温度上昇は50〜66℃と比
較的低く抑えられており、被膜なしのブランク50℃の
上昇温度とほぼ同レベルであった。
【0040】
【効果】この発明は、以上説明したように、所定の熱伝
導率のセラミックス微粉末を熱可塑性樹脂に添加した被
膜を軌道輪の表面に形成したので、樹脂被膜は絶縁性と
共に熱可塑性を有して良好な成形性、耐クリープ性があ
り、しかも高速回転時及び急加減速回転時の温度上昇が
充分に抑制された電食防止転がり軸受となる利点があ
る。
導率のセラミックス微粉末を熱可塑性樹脂に添加した被
膜を軌道輪の表面に形成したので、樹脂被膜は絶縁性と
共に熱可塑性を有して良好な成形性、耐クリープ性があ
り、しかも高速回転時及び急加減速回転時の温度上昇が
充分に抑制された電食防止転がり軸受となる利点があ
る。
【0041】また、前記セラミックス微粉末として所定
粒径のものを採用し、これを所定量添加したので、絶縁
性樹脂被膜の良好な成形性を維持できる。また、前記セ
ラミックス微粉末として、窒化アルミニウムを採用した
ので、より効率よく熱伝導性が高められる。また、熱可
塑性樹脂として、ポリフェニレンサルファイド樹脂を採
用すれば、被膜の耐熱性、耐クリープ性、耐環境性がよ
り好ましいものとなる利点もある。
粒径のものを採用し、これを所定量添加したので、絶縁
性樹脂被膜の良好な成形性を維持できる。また、前記セ
ラミックス微粉末として、窒化アルミニウムを採用した
ので、より効率よく熱伝導性が高められる。また、熱可
塑性樹脂として、ポリフェニレンサルファイド樹脂を採
用すれば、被膜の耐熱性、耐クリープ性、耐環境性がよ
り好ましいものとなる利点もある。
【図1】実施例の転がり軸受を示す縦断側面図
【図2】外輪の絶縁被覆の成形品を示す縦断側面図
【符号の説明】 1 内輪 2 外輪 3 円周溝 4 絶縁被覆 5 突条 6 ころ 7 ハウジング 8、9 保持器 10 リング
Claims (4)
- 【請求項1】 軌道輪の表面に絶縁被膜を有する電食防
止転がり軸受において、前記絶縁被膜を、熱伝導率20
W/(m・K)以上のセラミック微粉末を含有した熱可
塑性樹脂により形成したことを特徴とする電食防止転が
り軸受。 - 【請求項2】 軌道輪の表面に絶縁被膜を有する電食防
止転がり軸受において、前記絶縁被膜を、熱伝導率20
W/(m・K)以上で粒径0.1〜100μmのセラミ
ック微粉末を15〜70容量%含有した熱可塑性樹脂に
より形成したことを特徴とする電食防止転がり軸受。 - 【請求項3】 前記セラミック微粉末が窒化アルミニウ
ム微粉末である請求項1または2に記載の電食防止転が
り軸受。 - 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂がポリフェニレンサル
ファイド樹脂である請求項1、2または3に記載の電食
防止転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23724394A JPH08100818A (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | 電食防止転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23724394A JPH08100818A (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | 電食防止転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08100818A true JPH08100818A (ja) | 1996-04-16 |
Family
ID=17012524
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23724394A Pending JPH08100818A (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | 電食防止転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08100818A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000205276A (ja) * | 1999-01-18 | 2000-07-25 | Koyo Seiko Co Ltd | 転がり軸受 |
JP2014185741A (ja) * | 2013-03-25 | 2014-10-02 | Nsk Ltd | 電食防止転がり軸受及びその製造方法 |
WO2016195107A1 (ja) * | 2015-06-03 | 2016-12-08 | 日本精工株式会社 | スラストころ軸受及び軸受装置 |
US10823229B2 (en) | 2017-03-24 | 2020-11-03 | Aktiebolaget Skf | Rolling-element bearing including an electrically insulating layer |
-
1994
- 1994-09-30 JP JP23724394A patent/JPH08100818A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000205276A (ja) * | 1999-01-18 | 2000-07-25 | Koyo Seiko Co Ltd | 転がり軸受 |
JP2014185741A (ja) * | 2013-03-25 | 2014-10-02 | Nsk Ltd | 電食防止転がり軸受及びその製造方法 |
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CN107949710A (zh) * | 2015-06-03 | 2018-04-20 | 日本精工株式会社 | 推力滚子轴承和轴承装置 |
US10557499B2 (en) | 2015-06-03 | 2020-02-11 | Nsk Ltd. | Thrust roller bearing and bearing device |
CN107949710B (zh) * | 2015-06-03 | 2020-06-19 | 日本精工株式会社 | 推力滚子轴承和轴承装置 |
EP3327301B1 (en) * | 2015-06-03 | 2020-10-07 | NSK Ltd. | Thrust roller bearing and bearing device |
US10823229B2 (en) | 2017-03-24 | 2020-11-03 | Aktiebolaget Skf | Rolling-element bearing including an electrically insulating layer |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20040330 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |