JPH0799959A - 酢酸セルロースから形成した構造物、そのフィルタートウ製造への利用、フィルタートウのタバコ喫煙フィルターエレメント製造への使用、およびフィルタートウおよびタバコ喫煙フィルターエレメント - Google Patents

酢酸セルロースから形成した構造物、そのフィルタートウ製造への利用、フィルタートウのタバコ喫煙フィルターエレメント製造への使用、およびフィルタートウおよびタバコ喫煙フィルターエレメント

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JPH0799959A
JPH0799959A JP6158834A JP15883494A JPH0799959A JP H0799959 A JPH0799959 A JP H0799959A JP 6158834 A JP6158834 A JP 6158834A JP 15883494 A JP15883494 A JP 15883494A JP H0799959 A JPH0799959 A JP H0799959A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】酢酸セルロースで形成され、大量生産品として
適し、環境影響力の作用下で優れた生減成性を示す構造
物の製造法を提供する。 【構成】微生物による減成により、塩基性分解物、特に
アンモニアおよび/又は1又は2以上のNH基および/
又は1又は2以上のNH2 基を有する塩基性化合物を生
成する含窒素有機化合物からなる添加剤がその中にある
いはその表面上に存在する酢酸セルロースから構造物が
形成される。本構造物はフィラメント、ステープル繊
維、フィルム、ホイル、シート又は他の対象物の形状を
取ることができる。フィラメントおよび/又はステープ
ル繊維形状の構造物がフィルタートウの製造に使用され
る。この種のフィルタートウはタバコ喫煙フィルターエ
レメントの製造用のものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、その中又はその表面上
に添加物が存在する酢酸セルロースから製造された構造
物に関する。本発明はさらに、フィルタートウの製造用
のフィラメントおよび/又はステープル繊維形状の酢酸
セルロースから製造された構造物の使用に関する。本発
明はまたフィラメントトウにも関する。さらに、本発明
はタバコ喫煙フィルターエレメントの製造へのフィルタ
ートウの使用に関する。最後に本発明は、酢酸セルロー
ス用可塑剤又は接着剤で硬化された軸に横方向に充填さ
れた酢酸セルロースフィラメントおよび/又は酢酸セル
ロースステープル繊維からなるフィルタートウの断片か
らなるタバコ喫煙フィルターエレメントに関する。
【0002】
【従来の技術】紙巻きタバコフィルターは比較的分解が
遅く、またその為、より多く喫煙が行われる場所の広い
人口集団にとって悩みの種となっている。
【0003】殆どの紙巻きタバコ用フィルターには、今
日、米国特許第2,953,837号中に記載されてい
る例のように53〜57%の間のアセチル数を有する繊
維状の酢酸セルロースが使用されている。この特許中に
引用された数値、すなわちアセチル含量としての38〜
41%は、前記アセチル数としての53〜57%の数値
に対応するものである。
【0004】他のポリマー、特に合成ポリマーと比較し
て、酢酸セルロースは実のところ生減成性であるが、こ
のような繊維物質の紙巻きタバコフィルターが環境要因
下で少なくとも光学的に消失した後のタイムスパンは今
日の推定では余りにも長過ぎる。
【0005】紙巻きたばこフィルターのみならず、これ
はフィルム、ホイル、シート、又は例えば射出成形、押
し出し又は吹き込み成形によって得られた酢酸セルロー
スの他の目的物等の酢酸セルロースの他の構造物にも利
用され、このような構造物が例えばごみ捨て場中に溜め
られた場合、これら構造物が完全に生分解されるまでに
は余りにも長い時間が必要とされる。
【0006】例えばドイツ特許第1079521号は、
表面に添加剤が処理された酢酸セルロース繊維からなる
フィルタートウおよびタバコ喫煙フィルターエレメント
を開示する。ドイツ特許第1079521号によれば、
酢酸セルロース繊維の表面に処理された添加剤はこれら
の繊維の粗さの改良に働く。しかし、ドイツ特許第10
79521号にはフィルタートウおよびタバコ喫煙フィ
ルターエレメントの生減成性の促進に関しては何らの示
唆もない。
【0007】さらに米国特許第5,141,006号
は、中に添加剤が存在する酢酸セルロース繊維からなる
フィルタートウおよびタバコ喫煙フィルターエレメント
について記載している。この米国特許第5,141,0
06号によれば、この酢酸セルロース繊維中の添加剤
は、特にニコチンの濾過効率を改善するものである。し
かし、同じく米国特許第5,141,006号には、フ
ィルタートウおよびタバコ喫煙フィルターエレメントの
生減成性を促進する可能性に関する何らの示唆もない。
ドイツ特許出願第4013293号およびドイツ特許
出願第4013304号は、環境影響力の作用下で比較
的早く分解する紙巻きタバコフィルターについて記載し
ているが、これらの紙巻きタバコフィルターは、スパン
PHB(ポリヒドロキシ酪酸)又はPHBとPHV(ポ
リヒドロキシ吉草酸)の共重合体の軸に横方向に充填し
た繊維束の断片を含んでいる。現在これらのポリマー
は、工業的規模での入手が未だ不十分であること、酢酸
セルロースと異なる喫味に対する影響、およびこれらポ
リマーをフィルタートウやタバコ喫煙フィルターエレメ
ントへ加工する際に未だ不明瞭な技術的問題があること
(例えばタバコ喫煙フィルターエレメントの硬化、ある
いはこれらポリマーの紡糸に際して使用する問題視され
ている溶媒に関連するもの等)などにより、フィルター
トウおよびタバコ喫煙フィルターエレメントの製造には
使用されていないか、あるいは少なくとも注目に値する
程には使用されていない。
【0008】最後に、ドイツ特許出願第3914022
号から、肥料化によって容易に生減成性であり、オイル
ランプ、永久光オイルキャンドル、組成オイルランプ、
グレーブランプモデル、犠牲ランプおよびホイル用の被
覆/容器の製造に使用されている新規なプラスチック物
質が知られている。ドイツ特許出願第3914022号
にはプラスチック物質として、クエン酸エステル類、ポ
リエステル類、リン酸エステル類および有機鉄化合物等
の添加剤を含む酢酸セルロース等をベースとするプラス
チック物質が引用されている。有機鉄化合物としては、
例えばフェロセン類、すなわちビス−(シクロペンタジ
エニル)−鉄又は鉄(II)アセチルアセトネートを用い
ることができる。
【0009】しかし、ドイツ特許出願第3914022
号に記載のプラスチック物質は、前記添加剤の必要量が
非常に高く、このことが前記プラスチック物質の使用の
可能性をかなり制限すること、およびそれら添加剤の価
格が高く前記プラスチック物質から製造した目的物のコ
ストをかなり上昇させるため、大量生産製品の製造には
殆ど適さないかあるいは全く適さない。さらに他の要因
として、ドイツ特許出願第3914022号に記載のい
くつかの添加剤に関しては、食品規制法の下での認可又
はTVO(たばこ法令)の下での認可がその必要量とそ
の毒性ゆえに不可能であるか又は困難であり、ドイツ特
許出願第3014022号に記載のプラスチック物質の
例えばフィルタートウおよび紙巻きたばこフィルター等
のタバコ喫煙フィルターエレメントへの使用を不可能に
している。さらに、ドイツ特許出願第3914022号
には、フィルタートウおよびタバコ喫煙フィルターエレ
メントの生分解を促進する可能性についてのヒントを見
出すことができず、ドイツ特許出願第3914022号
に記載の製剤は酢酸セルロース中の可塑剤の過度に高い
割合ゆえにフィルタートウおよびタバコ喫煙フィルター
エレメントの製造には適さないと思われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】先行技術によって大量
生産された酢酸セルロース製品に関しては、それらをさ
らに生減成性とする必要があり、また食品法および/又
はたばこ法令により統制される酢酸セルロース繊維物質
からなるフィルタートウのみならずかかるフィルタート
ウから製造されるタバコ喫煙フィルターエレメント等の
酢酸セルロース構造物に関しても、それらの生減成性を
促進する方法は未だ知られるに至っていない。
【0011】上記より、本発明の目的は酢酸セルロース
で形成される有用な構造物、特に大量生産品として適し
あるいは食品法およびたばこ法令により統制され、環境
影響力の作用下でより優れた生減成性を示す構造物を製
造することである。
【0012】本発明の他の目的は、環境影響力の作用下
で優れた生減成性を示すフィルタートウの製造のみなら
ず環境影響力の作用下で優れた生減成性をもつタバコ喫
煙フィルターエレメントの製造へのフィラメントおよび
/又はステープル繊維形状の酢酸セルロースから形成さ
れた構造物の使用を提案することである。
【0013】本発明のさらに他の目的は、環境影響力の
作用下で優れた生減成性を示す、フィラメントおよび/
又はステープル繊維形状をなす酢酸セルロースから形成
された構造物をベースとするフィルタートウのみなら
ず、かかるフィルタートウから製造されるタバコ喫煙フ
ィルターエレメントを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的は、酢酸セルロ
ースから形成した構造物に関し、添加剤を中にまたは表
面に有し、この添加剤は、微生物による塩基性分解物に
より減成(デグラデーション)された含窒素有機化合
物、特にアンモニア、および/又は1又は2以上のNH
基、および/又は1又は2以上のNH2 基を有する塩基
性化合物であることを特徴とする酢酸セルロースから形
成される構造物により達成される。
【0015】前記含窒素有機化合物は尿素あるいは尿素
誘導体であることが好ましい。これらの物質は食品法の
下で異議を唱えられるものでなく、大量かつ受け入れ可
能な価格で供給できることから好ましいものである。
【0016】前記含窒素有機化合物はさらにタンパク
質、とくにβ−ラクトグロブリンであることが好まし
い。タンパク質も食品法の下で問題のあるものではな
く、β−ラクトグロブリンについては、チーズ製造の中
で工業的に使用可能な程ではないが副産物として大量に
得られるものである。
【0017】さらに前記含窒素有機化合物のため、アン
モニア又はアミンとアルデヒドからの縮合物を用いるこ
とが好ましく、この縮合物としてはヘキサメチレンテト
ラミンが最も好ましい。
【0018】最後に前記含窒素有機化合物のため、環状
化合物、特にカルバゾール(ジベンゾピロール、ジフェ
ニレンイミド)を用いることが好ましい。
【0019】他の含窒素有機化合物も使用可能である
が、でき得る限り有毒でないことを要する。酢酸セルロ
ースから形成される構造物中に別の生減成性添加剤をさ
らに含めることも有効である。
【0020】さらに、酢酸セルロースから形成された構
造物は、53%未満、より好ましくは50〜52%の間
のアセチル数をもつアセトン可溶酢酸セルロースからな
ることが有利である。この特徴は、酢酸セルロースの加
水分解処理が短時間で生分解を進行させることをもたら
している。
【0021】さらに、酢酸セルロースから形成された構
造物はフィラメント状、ステープル繊維状、フィルム
状、ホイル状、シート又は射出成形、押し出し又は吹き
出し成形により得られた他の対象物の形とすることがで
き、当然に酢酸セルロースから形成される構造物は他の
成形方法によっても得ることができる。
【0022】フィラメント状および/又はステープル繊
維状の酢酸セルロースから形成された構造物のフィルタ
ートウ製造への使用に関して、前記問題点は、多数のフ
ィラメントおよび/又はステープル繊維を集めてなり、
この前記セルロースフィラメントおよび/又はステープ
ル繊維は酢酸セルロースからなり、その中又はその表面
に添加剤を有し、前記添加剤が、微生物による塩基性分
解物により減成された含窒素有機化合物、特にアンモニ
ア、および/又は1又は2以上のNH基、および/又は
1又は2以上のNH2 基を有する塩基性化合物である特
徴によって解決される。
【0023】フィルタートウに関しては、提起された問
題点は上記フィラメントおよび/又はステープル繊維の
形状をした多数の構造物からなることを特徴とするフィ
ルタートウにより本発明に従って解決される。
【0024】前記フィルタートウの全力価と関連した引
き裂き強度は、多くて4×10-4daN/dtex、より好まし
くは多くて3×10-4daN/dtexである。この特性によっ
て、生分解に先行する機械的細片化を容易とすることが
できる。
【0025】タバコ喫煙フィルターエレメントの製造用
のフィルタートウの使用に関して、提起された問題点
は、フィルタートウへ酢酸セルロース用可塑剤又は接着
剤を処理し、次いでこのフィルタートウを軸と交差する
方向に密集化し、必要ならば包装用ストリップで包み、
密集化されたフィルタートウを切断し、必要ならば包ん
で個々のタバコ喫煙フィルターロッドとし、最後にこれ
らのタバコ喫煙フィルターロッドをタバコ喫煙フィルタ
ーエレメントに切断することによって本発明に従って解
決される。
【0026】タバコ喫煙フィルターエレメントに関し、
提起された問題点は、酢酸セルロース用可塑剤又は接着
剤で硬化した酢酸セルロースフィラメントおよび/又は
酢酸セルロースステープル繊維からなる上記フィルター
トゥの軸に横方向に充填したフィルタートウの断片から
なるタバコ喫煙フィルターエレメントにより本発明に従
って解決される。
【0027】本発明のタバコ喫煙フィルターエレメント
に関して、酢酸セルロース用可塑剤は生減成性でありお
よび/又は酢酸セルロースフィラメントおよびステープ
ル繊維上での微生物の生育を促進するものであること、
あるいは、前記接着剤は水溶性でありおよび/又は生減
成性であること、最も好ましくは該接着剤はデンプン糊
又は酢酸ポリビニル糊であることが好ましい。
【0028】水溶性および/又は生減成性接着剤の使用
により、生分解に先行するタバコ喫煙フィルターエレメ
ントの機械的細片化が容易となる。
【0029】さらにタバコ喫煙フィルターエレメント
は、酢酸セルロースフィラメントおよび/又は酢酸セル
ロースステープル繊維の重量に対して多くとも6重量%
の量で酢酸セルロース用可塑剤を含有することが好まし
い。この特徴から、タバコ喫煙フィルターエレメントの
硬度の一定の減少が受け入れられるが、結果的に生分解
に先行するタバコ喫煙フィルターエレメントの容易な機
械的細片化を再度達成する。
【0030】最後に、本発明のタバコ喫煙フィルターエ
レメントに関しては、酢酸セルロースフィラメントおよ
びステープル繊維の表面の半分未満が酢酸セルロース用
可塑剤又は接着剤で処理されていることが好ましい。こ
れは同じく、生分解に先行するタバコ喫煙フィルターエ
レメントの機械的細片化を容易にする。
【0031】酢酸セルロース用可塑剤としては、トリア
セチンを用いることが本発明では好ましいが、トリエチ
レングリコールジアセテート等の他の可塑剤も同様に用
いることができる。
【0032】もし本発明の構造物がフィラメント状又は
繊維状で存在する場合は、前記含窒素有機化合物はアセ
トンに可溶であるか、あるいはフィラメントの製造中に
相互に押し出されることにより紡糸工程に先行する濾過
作業中には全く分離されない形態でアセトン中に分散可
能であることが好ましい。
【0033】本発明では、前記添加剤は含窒素有機化合
物からなるものである。当然にこのことはこの添加剤が
数種の含窒素有機化合物からなることを意味し、数種含
窒素有機化合物の混合物を本発明の範囲内において用い
ることができる。
【0034】本発明の根底を成す原理は、含窒素有機化
合物の生分解および生じた塩基性分解物によって、酢酸
セルロースから形成された構造物の表面上で酢酸セルロ
ースの部分的加水分解を引き起こす塩基性(アルカリ)
媒質を生成することである(含窒素生来物質に関しては
G.シュレーゲル,Allgefmeine Mikrobiologie,改訂第
6版、カリン・シュミット共著、1985, Georg Thieme V
erlag Stuttgart-NewYork, ページ430以下を参
照)。
【0035】本発明の範囲内においてフィルタートウと
は、多数の酢酸セルロースフィラメントおよび/又はス
テープル繊維の束と理解される(例えばドイツ特許出願
第4109603号中の用語「フィルタートウ」の定義
を参照)。本発明のフィルタートウは、中のフィラメン
トを特に加圧下くせつけ機中でくせつけを行った多数の
酢酸セルロースフィラメントの束であることが好まし
い。
【0036】用語「フィラメント」は実際上エンドレス
な繊維と解釈され、用語「ステープル繊維」は一定の長
さの繊維を意味する(これらの二つの定義に関しては、
「Rompps Chemie-Lexikon 」改訂増補8版, Franckh'sc
he Verlagshandlung, W. Keller & Co., Stuttgart/198
7, 第2巻ページ1283、および1974年12月の
DIN60001T2を参照した第5巻ページ3925
を参照)。
【0037】本発明のタバコ喫煙フィルターエレメント
は紙巻きたばこフィルターであることが好ましいが、シ
ガー、シガリロー又はパイプたばこ用のフィルターであ
っもよい。
【0038】用語「アセチル数」は、本発明の範囲内に
おいては、酢酸セルロース中の結合酢酸の重量%で表し
た割合を意味する(ウルマン工業化学大辞典、第5改定
版A5巻ページ444および445、VCH Verlagsgesel
lschaft mbH, D-6940 Weinheim, ドイツ1986年と比
較)。
【0039】
【実施例】本発明によるフィルタートウの製造は、実質
的に多孔紡糸口金を介してアセトン中酢酸セルロース溶
液を押し出すことによって酢酸セルロースフィラメント
を紡糸し、かつ必要ならば次いで酢酸セルロースフィラ
メントを切断して酢酸セルロースステープル繊維とし、
および多数の酢酸セルロースフィラメントおよび/又は
ステープルファイバーを集めてフィルタートウを得るこ
とによって行われる。
【0040】酢酸セルロースフィラメント中および酢酸
セルロースステープル繊維中に添加剤(含窒素有機化合
物又はこれら化合物の数種)を存在させるため、この添
加剤を前記酢酸セルロースのアセトン溶液へ導入した後
に該溶液を紡糸する。
【0041】本発明によるタバコ喫煙フィルターエレメ
ントの製造は、実質的に酢酸セルロースフィラメントお
よび/又はステープル繊維からなるフィルタートウを酢
酸セルロース用可塑剤又は接着剤で処理し、次いで軸に
横方向に充填し、必要ならばフィルタートウを包装用ス
トリップで包み、このフィルタートウを切断して個々の
タバコ喫煙フィルターロッドへ充填、また必要ならば包
装し、最後にこれらのフィルターロッドを個々のタバコ
喫煙フィルターエレメントへ切断することによって行わ
れる。
【0042】酢酸セルロースフィラメントおよびステー
プル繊維の表面上に添加剤(含窒素有機化合物又はこれ
ら化合物の数種)を存在させるため、この添加剤をフィ
ルタートウの製造工程中にこれらのフィラメント又はそ
れから生成される酢酸セルロースステープル繊維上に処
理できるが(例えばこの添加剤は、前記酢酸セルロース
フィラメントを酢酸セルロースステープル繊維へ切断す
る直前にフィラメントへ処理することができ、あるいは
この添加剤は製造の終了したフィルタートウ、つまり酢
酸セルロースフィルターおよび/又はステープル繊維を
フィルタートウへ集めた後、該フィラメントおよび/又
はステープル繊維へ処理できる。)、酢酸セルロースフ
ィラメントの生成後には処理できず、又はこの添加剤は
タバコ喫煙フィルターエレメントの製造中に前記酢酸セ
ルロースフィラメントおよび/又はステープル繊維上へ
処理できる(この添加剤はフィルタートウを可塑剤又は
接着剤で処理した直後に酢酸セルロースフィラメントお
よび/又はステープル繊維へ処理するのが好ましい)
が、フィルタートウの軸に横方向の充填前には処理でき
ない。
【0043】以下本発明について、実施例によりさらに
詳細に説明する。 <比較例>アセトン中、固形分28重量%の酢酸セルロ
ースおよび0.5重量%の酸化チタンを含む酢酸セルロ
ース紡糸液を調製した。
【0044】この紡糸液の水分含量を3重量%へ調整し
た。用いた酢酸セルロースのアセチル数は55.4%で
あり、重合度(DOP)は200である。この紡糸液を
濾過し慣用のフィルタートウ紡糸装置を用いる乾式紡糸
によって紡糸した。生成された酢酸セルロースフィラメ
ントを束に纏め、加圧下くせつけ機によってくせつけを
行い、次いで乾燥した。得られた酢酸セルロースフィラ
メントのフィルタートウを最初に充填機を用いて緩く積
み重ねたくせつけ機中でくせつけを行い、次いで圧縮梱
包した。この梱包の残存水分は5.5重量%であった。
【0045】このように製造したフィルタートウの規格
は3Y35HKであった。この名称は以下の特性を意味
する。 フィラメント力価 3.3dtex 全力価 38,500dtex 酢酸セルロースフィラメント断面形状 Y 前記フィルタートウの本フィルタートウの全力価に対す
る引き裂き強度は、4×10-4daN/dtexであった。
【0046】前記フィルタートウはドイツ、ハンブルグ
のコルベルAG社のフィルターロッドマシーンモデルK
DF2/AFで400m/分の速度で下記規格のフィル
ターロッドへ加工した。 全長 126mm 直径 7.85mm 延伸耐久性 390 da Pa 酢酸セルロース重量 690mg これらフィルターロッドの生産に際しては、トリアセチ
ンを酢酸セルロース用可塑剤として用いたので、最終製
品のフィルターロッドにはフィルターロッド当たり55
mgのトリアセチンが含有されていた。
【0047】これらのフィルターロッドをまず前記コル
ベルAG社の実験用フィルター処理機モデルLab Max で
長さを84mmへと短くし、次いで「アメリカンブレン
ド」タイプのたばこの1束と前記Lab Max と称される装
置を用いて常法で混合し、21mmの長さのフィルター
をもつフィルター紙巻きたばこを得た。
【0048】このようにして生産されたフィルター紙巻
きたばこの中から、20のグループについてコレスタ(C
ORESTA) スタンダードに従ってドイツ、ハンブルグ、ボ
ルグバルド社の標準喫煙装置モデルRM20を用いて1
0サイクル喫煙させ、下記結果を得た。 凝縮物 18.4mg ニコチン 1.23mg 凝縮物保持率 42.5% たばこの残さおよび種々の紙(紙巻きたばこ紙、フィル
ター包装紙、チッピング)を注意深く除去した喫煙され
た紙巻きたばこフィルターを秤量し、メッシュの細かい
ナイロンネット(ポリアミドネット)中へ別々に縫い込
んだ。同じく長さが21mmで紙を取り除いた未喫煙の
紙巻きたばこフィルターの同量を秤量し、同じ方法でメ
ッシュの細かいナイロンバック中へ縫い込んだ。
【0049】このように調製したサンプルを20日間浄
化プラントの生物的精製工程の活性化槽(浄化槽)中へ
置いた。
【0050】浄化槽からサンプルを除去した後紙、巻き
たばこフィルターを脱イオン水を用いて慎重に洗浄し、
乾燥し、秤量した。
【0051】サンプルの酢酸セルロース量に対する平均
重量のロスは8%であった(別の試験では、トリアセチ
ンと同様に紙巻きたばこフィルター中に残った煙物質調
製20日以内に前記条件下で完全に分解した。これは酢
酸セルロース重量のロスの計算時に考慮された)。
【0052】喫煙前および喫煙後の紙巻きたばこフィル
ター間で重大な重量ロスの相違は認められなかった。
【0053】<実施例1>紡糸液は、最初に細かいスク
リーン(網の孔径は20/μm)を通したフランス・ブ
リドル社製のβ−ラクトグロブリン粉末1.5重量%を
アセトン中に分散させた点を除いて、比較例で用いたも
のと同様に調製した。
【0054】この紡糸液を比較例と同様に、その全力価
に対する引き裂き強度が2.9×10-4 daN/dtex のフ
ィルタートウ50Kgへ紡糸し、酢酸セルロースフィラ
メントを加圧下くせつけ機中で再度くせつけを行い、乾
燥し、そして比較例と同様にフィルタートウから再度フ
ィルターロッドを、およびそこから紙巻きたばこフィル
ターを製造し喫煙させた。喫煙後の結果は下記のとおり
である。 凝縮物 18.1mg ニコチン 1.25mg 凝縮物保持率 42.0% 比較例に記載したように、喫煙後および喫煙前の紙巻き
たばこフィルターの生減成性を浄化プラントの浄化槽中
で試験した。これらの浄化槽は常に十分量のβ−ラクト
グロブリンから窒素を変換できる微生物種を含んでいる
ので、塩基性分解物が生成され、そのため酢酸セルロー
スフィラメントの表面上に塩基性(アルカリ性)媒質が
生成される。
【0055】喫煙前同様喫煙後の紙巻きたばこフィルタ
ーに関して、酢酸セルロース量に対する重量ロスは平均
で15%であった(別個の試験で、β−ラクトグロブリ
ンが引用の試験条件下で完全に分解することが認めら
れ、この事実は紙巻きたばこフィルター中に残った煙物
質とトリアセチンの完全な分解に関する補正に加えて比
較例の手順に従って考慮された)。
【0056】<実施例2>紡糸液は、最初に1.5重量
%の尿素をアセトン中に導入し60℃で溶解させる点を
除いて、比較例で用いたものと同様に調製した。
【0057】比較例と同様にこの紡糸液を用いて、くせ
つけ機でくせつけを行った酢酸セルロースフィラメント
から200Kgのフィルタートウを調製し、このフィル
タートウはさらにフィルターロッドへ、そして最終的に
紙巻きたばこフィルターへと加工された。このフィルタ
ートウの全力価に対する引き裂き強度は3.5×10-4
daN/dtex であった。
【0058】これらのフィルター(比較例参照)を用い
たフィルター紙巻きたばこの喫煙から、下記結果を得
た。 凝縮物 18.7mg ニコチン 1.20mg 凝縮物保持率 42.1% 比較例および実施例1の記載のとおり、浄化プラントの
浄化槽中の喫煙後および喫煙前の紙巻きたばこフィルタ
ーに対して分解試験を実施した。
【0059】酢酸セルロース量に対する重量ロスは、喫
煙後および喫煙前の紙巻きたばこフィルターについては
平均で10.5%であった(別個の試験において、尿素
が引用の試験条件下で完全に分解することが認められ、
これは紙巻きたばこフィルター中に残った煙物質とトリ
アセチンの完全な分解に関する補正に加えて酢酸セルロ
ースの重量ロスの計算において前記比較例および実施例
1の手順に従って再度考慮された)。
【0060】<実施例3>紡糸液は、最初に1.5重量
%のヘキサメチレンテトラミンをアセトン中に導入し溶
解させた点を除いて、比較例で用いたものと同様に調製
した。
【0061】比較例と同様にこの紡糸液を用いて、くせ
つけ機中の酢酸セルロースフィラメントから200Kg
のフィルタートウを調製し、このフィルタートウをさら
にフィルターロッド、さらに最終的に紙巻きたばこフィ
ルターへと加工した。このフィルタートウの全力価に対
する引き裂き強度は3.5×10-4 daN/dtex であっ
た。
【0062】これらのフィルター(比較例参照)を用い
たフィルター紙巻きたばこの喫煙から、下記結果を得
た。 凝縮物 18.3mg ニコチン 1.18mg 凝縮物保持率 41.5% 比較例および実施例1の記載のとおり、浄化プラントの
浄化槽中の喫煙後および喫煙前の紙巻きたばこフィルタ
ーに対して分解試験を実施した。
【0063】酢酸セルロース量に対する重量ロスは、喫
煙後および喫煙前の紙巻きたばこフィルターについては
平均で25%であった(別個の試験において、ヘキサメ
チレンテトラミンが引用の試験条件下で完全に分解する
ことが認められ、これは紙巻きたばこフィルター中に残
った煙物質とトリアセチンの完全な分解に関する補正に
加えて、酢酸セルロースの重量ロスの計算において前記
比較例、実施例1および実施例2の手順に従って再度考
慮された)。
【0064】<実施例4>前記比較例に記載の紡糸液か
ら厚さ0.05mmのホイルAを流し出した。
【0065】実施例1の紡糸液を用いて、厚さ0.05
mmのホイルBを再度流し出した。
【0066】実施例3の紡糸液を用いて、厚さ0.05
mmのホイルCを再度流し出した。
【0067】ホイルA,BおよびCを注意深く脱イオン
水で洗浄し、猶残存するアセトンを除去した。
【0068】対照例に記載のとおり、限定された微生物
条件下で生減成性試験を実施した。
【0069】制御された微生物条件下での生減成性試験
(対照例) 限定された微生物的条件下での本発明方法の特徴に基づ
く生減成性の促進効果を立証するため、DIN3840
9H52に記載された水溶性物質用の減成試験法に類似
した水不溶性サンプル用の変形の試験方法を開発した。
【0070】この修正試験方法によれば、微生物的減成
は減成過程における微生物による酸素消費の測定によっ
て測定される。この酸素消費は圧力ゲージを用いて測定
される。微生物の代謝によって生成する二酸化炭素は苛
性ソーダによって結合されるので、これは圧力測定に影
響を与えない。
【0071】各試験においては、比較例、実施例1、実
施例2および実施例3に記載の200mgのフィルター
トウを、実施例4に記載のホイルA,BおよびC200
gとともに微量要素溶液中へ導入した。微生物的減成に
必要な土壌細菌は土壌濾過液から得た。前記各要素溶液
を2mlの前記土壌濾過液といっしょに植え付けた。
【0072】酸素消費量から計算したサンプルの重量ロ
ス%を下記表に列記した。
【0073】
【表1】
【0074】前記比較例、実施例1、実施例2および実
施例3に記載の手順と対照的に、各添加剤の生分解に関
する補正はこれらの試験結果の計算では行わなかった。
【0075】
【発明の効果】以上の説明から明らかなとおり、本発明
によれば、酢酸セルロースから形成されたこの新規な構
造物は大量生産品としてのおよび食品法および/又はた
ばこ法令に従った構造物としての利用にも適する。さら
に、本酢酸セルロースから形成されたこの新規な構造物
は酢酸セルロースから形成された既知の構造物よりも安
価である。
【0076】本発明によるフィルタートウおよびタバコ
喫煙フィルターエレメントは、酢酸セルロース繊維物質
から製造される既知のフィルタートウおよび既知のタバ
コ喫煙フィルターエレメントと比較して、環境の影響力
下での腐敗速度の促進が認められ、さらに現在常用され
る条件下で本発明のフィルタートウおよびタバコ喫煙フ
ィルターエレメントを微生物の減成の危険性なしに容易
に実施可能であることを示している。
【0077】本発明によれば、添加剤の微生物的減成に
よる酢酸セルロースから形成された構造物の機械的細片
化の促進のみならず、酢酸セルロース自体の微生物的減
成の促進をも達成できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 2/28 Z 7199−3B (54)【発明の名称】 酢酸セルロースから形成した構造物、そのフィルタートウ製造への利用、フィルタートウのタバ コ喫煙フィルターエレメント製造への使用、およびフィルタートウおよびタバコ喫煙フィルター エレメント

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】添加剤を中にまたは表面に有し、この添加
    剤は、微生物による塩基性分解物により減成された含窒
    素有機化合物、特にアンモニア、および/又は1又は2
    以上のNH基、および/又は1又は2以上のNH2 基を
    有する塩基性化合物であることを特徴とする酢酸セルロ
    ースから形成される構造物。
  2. 【請求項2】前記含窒素有機化合物が尿素又は尿素誘導
    体であることを特徴とする請求項1記載の構造物。
  3. 【請求項3】前記含窒素有機化合物がタンパク質、特に
    β−ラクトグロブリンからなることを特徴とする請求項
    1記載の構造物。
  4. 【請求項4】前記含窒素有機化合物がアルデヒドからの
    アンモニア又はアミンとの凝縮物、特にヘキサメチレン
    テトラミンであることを特徴とする請求項1記載の構造
    物。
  5. 【請求項5】前記含窒素有機化合物が環状化合物、特に
    カルバゾールであることを特徴とする請求項1記載の構
    造物。
  6. 【請求項6】該構造物中に生減成性添加剤が追加的に存
    在することを特徴とする先行する請求項1項から5項の
    少なくとも1項記載の構造物。
  7. 【請求項7】前記酢酸セルロースが、53%未満、好ま
    しくは50%〜52%のアセチル数を有するアセトン可
    溶性の酢酸セルロースであることを特徴とする先行する
    請求項1項から6項の少なくとも1項記載の構造物。
  8. 【請求項8】フィラメント、ステープル繊維、フィル
    ム、ホイル、シート、又は射出成形、押し出し又はブロ
    ー成形によって得られた他の目的物の形態を有すること
    を特徴とする先行する請求項1から7項の少なくとも1
    項記載の構造物。
  9. 【請求項9】多数のフィラメントおよび/又はステープ
    ル繊維を集めてなり、この前記セルロースフィラメント
    および/又はステープル繊維は酢酸セルロースからな
    り、その中又はその表面に添加剤を有し、 前記添加剤が、微生物による塩基性分解物により減成さ
    れた含窒素有機化合物、特にアンモニア、および/又は
    1又は2以上のNH基、および/又は1又は2以上のN
    2 基を有する塩基性化合物であること特徴とするフィ
    ルタートウの製造方法。
  10. 【請求項10】請求項8記載のフィラメントおよび/又
    はステープル繊維の形状をした多数の構造物からなるこ
    とを特徴とするフィルタートウ。
  11. 【請求項11】当該フィルタートウのその全力価に対す
    る引き裂き強度が多くて4×10-4 daN/dtex 、好まし
    くは多くて3×10-4 daN/dtex であることを特徴とす
    る請求項10記載のフィルタートウ。
  12. 【請求項12】フィルタートウを酢酸セルロース用可塑
    剤又は接着剤で処理し、次いでこのフィルタートウを軸
    と交差する方向に密集化し、必要ならば包装用ストリッ
    プで包み、前記密集化されたフィルタートウを切断し、
    必要ならば包んで個々のタバコ喫煙フィルターロッドと
    し、最後にこれらのタバコ喫煙フィルターロッドをタバ
    コ喫煙フィルターエレメントに切断することから構成さ
    れるタバコ喫煙フィルターエレメントの製造方法。
  13. 【請求項13】酢酸セルロース用可塑剤又は接着剤で硬
    化した酢酸セルロースフィラメントおよび/又は酢酸セ
    ルロースステープル繊維からなる請求項10記載の軸に
    横方向に充填したフィルタートウの断片からなるタバコ
    喫煙フィルターエレメント。
  14. 【請求項14】酢酸セルロースフィラメントおよび酢酸
    セルロースステープル繊維上の酢酸セルロース用可塑剤
    が、生減成性でありおよび/又は微生物の生育を促進す
    るか、 又は、前記接着剤が水溶性でありおよび/又は生減成性
    であることを特徴とする請求項13記載のタバコ喫煙フ
    ィルターエレメント。
  15. 【請求項15】前記接着剤がデンプン糊又は酢酸ポリビ
    ニル糊であることを特徴とする請求項14記載のタバコ
    喫煙フィルターエレメント。
  16. 【請求項16】前記タバコ喫煙フィルターエレメントが
    酢酸セルロースフィラメントおよび/又は酢酸セルロー
    スステープル繊維の重量に対して多くとも6重量%の酢
    酸セルロース用可塑剤を含有することを特徴とする請求
    項13又は14項記載のタバコ喫煙フィルターエレメン
    ト。
  17. 【請求項17】前記酢酸セルロースフィラメント又は酢
    酸セルロースステープル繊維の表面の半分未満が、酢酸
    セルロース用可塑剤又は前記接着剤で処理されることを
    特徴とする請求項13、14、15又は16項記載のタ
    バコ喫煙フィルターエレメント。
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