JPH0798998B2 - 高耐食性表面処理鋼板 - Google Patents
高耐食性表面処理鋼板Info
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- JPH0798998B2 JPH0798998B2 JP2768991A JP2768991A JPH0798998B2 JP H0798998 B2 JPH0798998 B2 JP H0798998B2 JP 2768991 A JP2768991 A JP 2768991A JP 2768991 A JP2768991 A JP 2768991A JP H0798998 B2 JPH0798998 B2 JP H0798998B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は優れた耐食性,加工性,
溶接性を有し、自動車用防錆鋼板として好適な高耐食性
表面処理鋼板に関する。
溶接性を有し、自動車用防錆鋼板として好適な高耐食性
表面処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、冷延鋼板の耐食性や塗装後耐食性
を向上させ、加工性を損なわずに量産できる表面処理鋼
板として電気亜鉛めっき鋼板が汎用されていることは周
知である。また、近年では寒冷地帯における冬期の道路
凍結防止用の散布岩塩に対する自動車の防錆対策として
亜鉛めっき鋼板の使用が試みられ、苛酷な腐食環境での
高度な耐食性が要求されている。亜鉛めっき鋼板の耐食
性の向上要求に対しては、亜鉛のめっき量(付着量)の
増加という手段であるが、これは溶接性や加工性の点で
問題が多い。そこで亜鉛自体の溶解を抑制し亜鉛めっき
の寿命を延ばす方法として、多くの合金めっきが提案さ
れている。中でもFe,Co,Niといった鉄族金属を
合金成分として含有するZn系合金めっきは、その良好
な裸耐食性や塗装後耐食性が認められ、実用化されてい
る。また、さらに耐食性を向上させる目的で、これら合
金めっきの上に有機皮膜を付与した種々の有機複合型の
めっき鋼板が開発されている。これらは、主として自動
車内面側の自動車塗装が付き回りにくく、かつ水や塩分
がたまりやすい部位,すなわちヘム部や合わせ部など、
孔あき錆が問題となる部位に適用されている。一方、自
動車走行中の飛び石による損傷部を起点にしたいわゆる
外面錆の問題に対しても、めっき鋼板の適用による解決
が図られている。また、車体内外面の防錆性の向上のた
めに、付着量が多い両面のZnめっきあるいは両面のZ
n系合金めっき鋼板に加えて、特開昭60−50181
号公報に開示されているような、片面が有機複合型の合
金めっき,他面が合金めっきというタイプのものも開示
されている。
を向上させ、加工性を損なわずに量産できる表面処理鋼
板として電気亜鉛めっき鋼板が汎用されていることは周
知である。また、近年では寒冷地帯における冬期の道路
凍結防止用の散布岩塩に対する自動車の防錆対策として
亜鉛めっき鋼板の使用が試みられ、苛酷な腐食環境での
高度な耐食性が要求されている。亜鉛めっき鋼板の耐食
性の向上要求に対しては、亜鉛のめっき量(付着量)の
増加という手段であるが、これは溶接性や加工性の点で
問題が多い。そこで亜鉛自体の溶解を抑制し亜鉛めっき
の寿命を延ばす方法として、多くの合金めっきが提案さ
れている。中でもFe,Co,Niといった鉄族金属を
合金成分として含有するZn系合金めっきは、その良好
な裸耐食性や塗装後耐食性が認められ、実用化されてい
る。また、さらに耐食性を向上させる目的で、これら合
金めっきの上に有機皮膜を付与した種々の有機複合型の
めっき鋼板が開発されている。これらは、主として自動
車内面側の自動車塗装が付き回りにくく、かつ水や塩分
がたまりやすい部位,すなわちヘム部や合わせ部など、
孔あき錆が問題となる部位に適用されている。一方、自
動車走行中の飛び石による損傷部を起点にしたいわゆる
外面錆の問題に対しても、めっき鋼板の適用による解決
が図られている。また、車体内外面の防錆性の向上のた
めに、付着量が多い両面のZnめっきあるいは両面のZ
n系合金めっき鋼板に加えて、特開昭60−50181
号公報に開示されているような、片面が有機複合型の合
金めっき,他面が合金めっきというタイプのものも開示
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記防
錆鋼板では、耐食性はもとより自動車用鋼板で要求され
る加工性や溶接性という観点からもまだ充分なものとは
言えない。従来のZn系合金めっきの場合には、飛び石
(チッピング)によるめっき層の剥離や、切断部の露出
した鋼板面を起点とした端面腐食が新たな問題として生
じ、高性能の自動車用防錆鋼板を供給するためには、多
くの問題を解決する必要があった。チッピングによるめ
っき層の剥離や端面腐食に対してはZnめっきが有利で
あるが、耐食性を充足させるためには付着量を多くせざ
るをえず、加工性や溶接性は著しく劣化する。特に両面
めっきの場合には加工性や溶接性は一層深刻な問題にな
る。本発明者らはかかる事情に鑑み、自動車用防錆鋼板
として適用された場合、車体内外面の耐食性に優れ、加
工性,溶接性にも優れた表面処理鋼板を提供することを
目的に、鋭意検討した結果、本発明に到った。
錆鋼板では、耐食性はもとより自動車用鋼板で要求され
る加工性や溶接性という観点からもまだ充分なものとは
言えない。従来のZn系合金めっきの場合には、飛び石
(チッピング)によるめっき層の剥離や、切断部の露出
した鋼板面を起点とした端面腐食が新たな問題として生
じ、高性能の自動車用防錆鋼板を供給するためには、多
くの問題を解決する必要があった。チッピングによるめ
っき層の剥離や端面腐食に対してはZnめっきが有利で
あるが、耐食性を充足させるためには付着量を多くせざ
るをえず、加工性や溶接性は著しく劣化する。特に両面
めっきの場合には加工性や溶接性は一層深刻な問題にな
る。本発明者らはかかる事情に鑑み、自動車用防錆鋼板
として適用された場合、車体内外面の耐食性に優れ、加
工性,溶接性にも優れた表面処理鋼板を提供することを
目的に、鋭意検討した結果、本発明に到った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はC
r,鉄族金属,有機高分子を含有し高度の耐食性を有す
るZn系複合めっき層を鋼板の両面に適用し、内面側を
想定した片面側には該Zn系複合めっき層の上にさらに
クロメート皮膜と薄膜の有機皮膜を形成させた両面タイ
プの表面処理鋼板である。本発明の要旨は、以下の通り
である。 (1)鋼板の片面に鋼板側から順に、Crを5重量%以
上,鉄族金属をCrとの合計で30重量%以下,有機高
分子を0.001〜5重量%を含有する付着量10g/
m2以上のZn系複合めっき層,総Cr付着量1〜15
0mg/m2クロメート皮膜,膜厚0.3〜2μの有機
皮膜が形成され、他面にはCrを5重量%以上,鉄族金
属をCrとの合計で30重量%以下,有機高分子を0.
001〜5重量%を含有する付着量10g/m2以上の
Zn系複合めっき層が形成されたことを特徴とする高耐
食性表面処理鋼板。 (2)有機皮膜を有さない片面側のZn系複合めっき層
と鋼板の間に、付着量0.01g/m2以上のNiめっ
き層を形成させた(1)の高耐食性表面処理鋼板。 (3)鋼板の両面に、Zn系複合めっき層と鋼板の間に
付着量0.01g/m2以上のNiめっき層を形成させ
た(1)の高耐食性表面処理鋼板。 (4)有機皮膜を有さない片面側のZn系複合めっき層
の上層に、付着量1g/m2以上のZnもしくはZn系
合金めっき層が形成された(1)の高耐食性表面処理鋼
板。 (5)Zn系複合めっき層中の有機高分子がカチオンポ
リマーである(1)の高耐食性表面処理鋼板。 (6)クロメート皮膜が水可溶分5%以下の難溶性クロ
メート皮膜である(1)の高耐食性表面処理鋼板。 (7)有機皮膜がエポキシ樹脂を30重量%以上とシリ
カを5〜50重量%を含有する有機皮膜である(1)の
高耐食性表面処理鋼板にある。
r,鉄族金属,有機高分子を含有し高度の耐食性を有す
るZn系複合めっき層を鋼板の両面に適用し、内面側を
想定した片面側には該Zn系複合めっき層の上にさらに
クロメート皮膜と薄膜の有機皮膜を形成させた両面タイ
プの表面処理鋼板である。本発明の要旨は、以下の通り
である。 (1)鋼板の片面に鋼板側から順に、Crを5重量%以
上,鉄族金属をCrとの合計で30重量%以下,有機高
分子を0.001〜5重量%を含有する付着量10g/
m2以上のZn系複合めっき層,総Cr付着量1〜15
0mg/m2クロメート皮膜,膜厚0.3〜2μの有機
皮膜が形成され、他面にはCrを5重量%以上,鉄族金
属をCrとの合計で30重量%以下,有機高分子を0.
001〜5重量%を含有する付着量10g/m2以上の
Zn系複合めっき層が形成されたことを特徴とする高耐
食性表面処理鋼板。 (2)有機皮膜を有さない片面側のZn系複合めっき層
と鋼板の間に、付着量0.01g/m2以上のNiめっ
き層を形成させた(1)の高耐食性表面処理鋼板。 (3)鋼板の両面に、Zn系複合めっき層と鋼板の間に
付着量0.01g/m2以上のNiめっき層を形成させ
た(1)の高耐食性表面処理鋼板。 (4)有機皮膜を有さない片面側のZn系複合めっき層
の上層に、付着量1g/m2以上のZnもしくはZn系
合金めっき層が形成された(1)の高耐食性表面処理鋼
板。 (5)Zn系複合めっき層中の有機高分子がカチオンポ
リマーである(1)の高耐食性表面処理鋼板。 (6)クロメート皮膜が水可溶分5%以下の難溶性クロ
メート皮膜である(1)の高耐食性表面処理鋼板。 (7)有機皮膜がエポキシ樹脂を30重量%以上とシリ
カを5〜50重量%を含有する有機皮膜である(1)の
高耐食性表面処理鋼板にある。
【0005】
【作用】本発明の高耐食性表面処理鋼板の構成を図1に
示す。鋼板1の片面側は、鋼板側から順に、Crを5重
量%以上,鉄族金属をCrとの合計で30重量%以下,
有機高分子を0.001〜5重量%を含有する付着量1
0g/m2以上のZn系複合めっき層2,総Cr付着量
1〜150mg/m2のクロメート皮膜3,膜厚0.3
〜2μの有機皮膜4が形成された処理面であり、 自動
車の内面側を構成し、ヘム部や合わせ部などにおける耐
孔あき錆性を向上させる。他面側は、Crを5重量%以
上,鉄族金属をCrとの合計で30重量%以下,有機高
分子を0.001〜5重量%を含有する付着量10g/
m2以上のZn系複合めっき層5が形成された処理面で
あり、自動車の外面側を構成し、耐外面錆性を向上させ
る。鋼板1と外面側Zn系複合めっき層5の間に付着量
0.01g/m2以上のNiめっき層6が形成されても
よく、外面側Zn系複合めっき層の耐チッピング性を向
上させることができる。 鋼板1と内面側Zn系複合め
っき層2の間に付着量0.01g/m2以上のNiめっ
き層6′が形成されてもよく、内面側Zn系複合めっき
層のめっき密着性を向上させ、総合的な加工性を向上せ
しめることができる。また、外面側Zn系複合めっき層
5の上層にさらに付着量1g/m2以上のZnもしくは
Zn系合金めっき層7が形成されてもよく、端面耐食性
を向上させることができる。
示す。鋼板1の片面側は、鋼板側から順に、Crを5重
量%以上,鉄族金属をCrとの合計で30重量%以下,
有機高分子を0.001〜5重量%を含有する付着量1
0g/m2以上のZn系複合めっき層2,総Cr付着量
1〜150mg/m2のクロメート皮膜3,膜厚0.3
〜2μの有機皮膜4が形成された処理面であり、 自動
車の内面側を構成し、ヘム部や合わせ部などにおける耐
孔あき錆性を向上させる。他面側は、Crを5重量%以
上,鉄族金属をCrとの合計で30重量%以下,有機高
分子を0.001〜5重量%を含有する付着量10g/
m2以上のZn系複合めっき層5が形成された処理面で
あり、自動車の外面側を構成し、耐外面錆性を向上させ
る。鋼板1と外面側Zn系複合めっき層5の間に付着量
0.01g/m2以上のNiめっき層6が形成されても
よく、外面側Zn系複合めっき層の耐チッピング性を向
上させることができる。 鋼板1と内面側Zn系複合め
っき層2の間に付着量0.01g/m2以上のNiめっ
き層6′が形成されてもよく、内面側Zn系複合めっき
層のめっき密着性を向上させ、総合的な加工性を向上せ
しめることができる。また、外面側Zn系複合めっき層
5の上層にさらに付着量1g/m2以上のZnもしくは
Zn系合金めっき層7が形成されてもよく、端面耐食性
を向上させることができる。
【0006】まず、自動車の内面を構成する片面側につ
いて述べる。この片面側は、Cr,鉄族金属,有機高分
子を含有するZn系複合めっき層をベースとし、この上
層にクロメート皮膜と薄い有機皮膜を有する薄膜型の有
機複合めっき層で構成される。本発明鋼板の高度の耐食
性は、Cr,鉄族金属,有機高分子を含有するZn系複
合めっき層に負うところが大であり、該Zn系複合めっ
き層の高耐食性は従来になく多量に含有されるCrの作
用により発現される。Cr含有率は5重量%以上とす
る。1重量%以上ですでに耐食性向上効果が認められる
ものの十分ではなく、5重量%以上になると耐食性は大
巾に向上する。例えばめっきのまま塩水噴霧試験を50
0時間以上行なっても容易に赤錆は発生しない。このよ
うな高耐食性は、従来公知のZnめっきはもとよりZn
−Ni,Zn−Feなどの合金めっきでは到底得られな
いレベルのものである。CrはZnとの共存下では不働
態化せずZnとともに犠牲防食作用を発揮し、しかも腐
食生成物が難溶性の保護皮膜を形成して表面を覆い腐食
の進行を抑制する。これが画期的な高耐食性を発揮する
理由であろうと推定される。また、クロメート皮膜,有
機皮膜と組み合わせることにより、腐食生成物の保護皮
膜としての作用がさらに効果的なものとなり、ヘム部や
合わせ部など腐食環境の激しい部位に適用しても極めて
優れた耐食性(耐孔あき錆性)を発揮する。
いて述べる。この片面側は、Cr,鉄族金属,有機高分
子を含有するZn系複合めっき層をベースとし、この上
層にクロメート皮膜と薄い有機皮膜を有する薄膜型の有
機複合めっき層で構成される。本発明鋼板の高度の耐食
性は、Cr,鉄族金属,有機高分子を含有するZn系複
合めっき層に負うところが大であり、該Zn系複合めっ
き層の高耐食性は従来になく多量に含有されるCrの作
用により発現される。Cr含有率は5重量%以上とす
る。1重量%以上ですでに耐食性向上効果が認められる
ものの十分ではなく、5重量%以上になると耐食性は大
巾に向上する。例えばめっきのまま塩水噴霧試験を50
0時間以上行なっても容易に赤錆は発生しない。このよ
うな高耐食性は、従来公知のZnめっきはもとよりZn
−Ni,Zn−Feなどの合金めっきでは到底得られな
いレベルのものである。CrはZnとの共存下では不働
態化せずZnとともに犠牲防食作用を発揮し、しかも腐
食生成物が難溶性の保護皮膜を形成して表面を覆い腐食
の進行を抑制する。これが画期的な高耐食性を発揮する
理由であろうと推定される。また、クロメート皮膜,有
機皮膜と組み合わせることにより、腐食生成物の保護皮
膜としての作用がさらに効果的なものとなり、ヘム部や
合わせ部など腐食環境の激しい部位に適用しても極めて
優れた耐食性(耐孔あき錆性)を発揮する。
【0007】鉄族金属の作用は、 Crとの相互作用に
より腐食生成物の安定性をさらに高め、耐食性を向上さ
せる点と、スポット溶接性を向上させる点にある。鉄族
金属とはFe,Co,Niであり、 1種もしくは2種
以上同時に用いて差し支えない。これらの含有率はCr
との合計で30重量%以下とする。合計が30重量%を
超えても高度の耐食性を有するが、後述するカチオンポ
リマーなどCr析出を促進する有機高分子の共析効果を
もってしても、加工時のパウダリング性(めっき層の粉
状剥離)の劣化を防止し得ず、実用上は適用が難しい。
鉄族金属の含有率がCr含有率を上回ると、鉄族金属の
性質が強くなりCrの効果が低減するため、鉄族金属の
含有率は10重量%以下であることが好ましい。なお、
鉄族金属の中でもNiは耐食性に対しても効果的であ
り、最も有利である。
より腐食生成物の安定性をさらに高め、耐食性を向上さ
せる点と、スポット溶接性を向上させる点にある。鉄族
金属とはFe,Co,Niであり、 1種もしくは2種
以上同時に用いて差し支えない。これらの含有率はCr
との合計で30重量%以下とする。合計が30重量%を
超えても高度の耐食性を有するが、後述するカチオンポ
リマーなどCr析出を促進する有機高分子の共析効果を
もってしても、加工時のパウダリング性(めっき層の粉
状剥離)の劣化を防止し得ず、実用上は適用が難しい。
鉄族金属の含有率がCr含有率を上回ると、鉄族金属の
性質が強くなりCrの効果が低減するため、鉄族金属の
含有率は10重量%以下であることが好ましい。なお、
鉄族金属の中でもNiは耐食性に対しても効果的であ
り、最も有利である。
【0008】有機高分子は、Cr析出促進剤としてめっ
き浴中に添加されるものであり、これをCrとともにめ
っき層中に微量共析させることにより、加工時の耐パウ
ダリング性を向上させることができる。このような有機
高分子の共析効果は、CrがZnの均一な電析成長を阻
害し、均一性,平滑性に欠けためっき構造になってしま
うことを防止する点にあると推定される。すなわち、共
析する有機高分子を介することによって、Zn,鉄族金
属とCrが均一に混合もしくは合金化した緻密なめっき
層が形成されると考えられる。有機高分子の含有率は
0.001〜5重量%が好ましい。0.001重量%未
満では、耐パウダリング性向上効果が乏しく、5重量%
超の含有率はめっき浴中の有機高分子濃度を増しても得
られ難いのみならず、多量に共析すると反ってめっき密
着性が低下する。耐パウダリング性を確実なものとする
ためには、Cr含有率の1/1000以上の含有率で有
機高分子を共析させることが望ましい。
き浴中に添加されるものであり、これをCrとともにめ
っき層中に微量共析させることにより、加工時の耐パウ
ダリング性を向上させることができる。このような有機
高分子の共析効果は、CrがZnの均一な電析成長を阻
害し、均一性,平滑性に欠けためっき構造になってしま
うことを防止する点にあると推定される。すなわち、共
析する有機高分子を介することによって、Zn,鉄族金
属とCrが均一に混合もしくは合金化した緻密なめっき
層が形成されると考えられる。有機高分子の含有率は
0.001〜5重量%が好ましい。0.001重量%未
満では、耐パウダリング性向上効果が乏しく、5重量%
超の含有率はめっき浴中の有機高分子濃度を増しても得
られ難いのみならず、多量に共析すると反ってめっき密
着性が低下する。耐パウダリング性を確実なものとする
ためには、Cr含有率の1/1000以上の含有率で有
機高分子を共析させることが望ましい。
【0009】本発明に用いる有機高分子としては、水溶
性のカチオンポリマーが効果的であり、中でも4級アミ
ンの重合物が特に効果的なポリマーである。この場合、
分子量は103〜106が望ましい。具体的には次に示す
アミンポリマーのうち、ポリアミンスルホン(PASと
略),及びポリアミン(PAと略)がCr析出促進剤と
して最も効果的である。この理由としては、アミン基に
よる陰極面への吸着作用とスルホン基へのCr3+イオン
の配位結合が寄与していると考えられる。これらは基本
的には次に示す4級アミンの塩(アンモニウム塩)を主
鎖に含むホモポリマーあるいはコポリマーで構成されて
いる。
性のカチオンポリマーが効果的であり、中でも4級アミ
ンの重合物が特に効果的なポリマーである。この場合、
分子量は103〜106が望ましい。具体的には次に示す
アミンポリマーのうち、ポリアミンスルホン(PASと
略),及びポリアミン(PAと略)がCr析出促進剤と
して最も効果的である。この理由としては、アミン基に
よる陰極面への吸着作用とスルホン基へのCr3+イオン
の配位結合が寄与していると考えられる。これらは基本
的には次に示す4級アミンの塩(アンモニウム塩)を主
鎖に含むホモポリマーあるいはコポリマーで構成されて
いる。
【0010】以下具体的にいくつかの化合物を列挙す
る。まず、ジアリルアミンから得られる次のような高分
子が挙げられる。
る。まず、ジアリルアミンから得られる次のような高分
子が挙げられる。
【化1】
【化2】 R1,R2は低級アルキル基を示し、XはCl‐,HSO
4‐,H2PO4‐,R‐SO3‐(RはC1〜C4のアルキ
ル基),NO3‐ のアニオンを示す。あるいはビニルベ
ンジンから合成される高分子が挙げられる。
4‐,H2PO4‐,R‐SO3‐(RはC1〜C4のアルキ
ル基),NO3‐ のアニオンを示す。あるいはビニルベ
ンジンから合成される高分子が挙げられる。
【0011】
【化3】 R1,R2,R3は低級アルキル基を示し、XはCl
−,HSO4−,H2PO4−,R−SO3−(RはC
1〜C4のアルキル基),NO3−のアニオンを示す。
さらにはアリルアミンポリマーが挙げられる。
−,HSO4−,H2PO4−,R−SO3−(RはC
1〜C4のアルキル基),NO3−のアニオンを示す。
さらにはアリルアミンポリマーが挙げられる。
【化4】 R1,R2,R3は低級アルキル基を示し、XはCl
−,HSO4−,H2SO4−,R−SO3−(RはC
1〜C4のアルキル基),NO3−のアニオンを示す。
この他、1,2,3級アミンのポリマーも前述の4級ア
ミンポリマーには及ばないがCr析出促進剤として効果
がある。またこれらカチオンポリマー以外では、ポリオ
キシアルキレン誘導体、特にポリエチレングリコール
(PEGと略)が有効である。
−,HSO4−,H2SO4−,R−SO3−(RはC
1〜C4のアルキル基),NO3−のアニオンを示す。
この他、1,2,3級アミンのポリマーも前述の4級ア
ミンポリマーには及ばないがCr析出促進剤として効果
がある。またこれらカチオンポリマー以外では、ポリオ
キシアルキレン誘導体、特にポリエチレングリコール
(PEGと略)が有効である。
【0012】Zn系複合めっき層の付着量は10g/m
2以上とする。10g/m2未満では耐食性不足の懸念が
ある。上限は特に制約されないが、加工性,溶接性の観
点からは50g/m2以下が好ましい。 該Zn系複合め
っき層の形成方法は、 Zn2+,Cr3+,さらにはCo2
+,Fe2+,Ni2+ の1種以上をそれぞれ10〜100
g/l含有し、かつCr析出促進剤としてPASに代表
されるカチオンポリマーあるいはPEGなどの有機高分
子を0.01〜20g/l含有するpH0.5〜3,浴
温40〜70℃の硫酸酸性浴を用いて、電流密度20A
/dm2以上,液流速1m/min以上で電気めっきを
行なえばよい。Crは元来Znとは共析し難い金属であ
ったが、上記特定の有機高分子を添加することによって
多量のCrをZnとともに析出させることができるので
ある。めっき浴中には、Na+,NH4+などの電導度助
剤,あるいは耐食性をさらに向上させるためにSi
O2,TiO2,Al2O3などの酸化物粒子やBaCrO
4などの難溶性クロム酸塩粒子を添加してもよい。
2以上とする。10g/m2未満では耐食性不足の懸念が
ある。上限は特に制約されないが、加工性,溶接性の観
点からは50g/m2以下が好ましい。 該Zn系複合め
っき層の形成方法は、 Zn2+,Cr3+,さらにはCo2
+,Fe2+,Ni2+ の1種以上をそれぞれ10〜100
g/l含有し、かつCr析出促進剤としてPASに代表
されるカチオンポリマーあるいはPEGなどの有機高分
子を0.01〜20g/l含有するpH0.5〜3,浴
温40〜70℃の硫酸酸性浴を用いて、電流密度20A
/dm2以上,液流速1m/min以上で電気めっきを
行なえばよい。Crは元来Znとは共析し難い金属であ
ったが、上記特定の有機高分子を添加することによって
多量のCrをZnとともに析出させることができるので
ある。めっき浴中には、Na+,NH4+などの電導度助
剤,あるいは耐食性をさらに向上させるためにSi
O2,TiO2,Al2O3などの酸化物粒子やBaCrO
4などの難溶性クロム酸塩粒子を添加してもよい。
【0013】次にクロメート皮膜は、下層のZn系複合
めっき層と上層の有機皮膜を密着させると共に、耐食性
にも寄与する。クロメート皮膜の付着量は、総Cr量と
して1〜150mg/m2とする。1mg/m2未満では
有機皮膜の密着性が不十分であり、150mg/m2を
超えると加工性,溶接性低下の懸念がある。より好まし
い範囲は、総Cr量10〜100mg/m2である。ク
ロメート皮膜の形成方法としては、電解型,塗布型,反
応型が考えられ、何れも適用可能であるが、反対面側の
めっき表面へのクロメート付着の防止という観点から
は、ロールコーターによる塗布型クロメートが最も適す
る。塗布型,反応型クロメート処理としては、Cr6+,
Cr3+を主成分として、他にSiO2やTiO2などの無
機コロイド類,りん酸やモリブデン酸などの酸類やその
塩類,ふっ化物,水溶性ないしはエマルジョン型の有機
樹脂を含有するものが適用できる。また、電解型クロメ
ート処理としては、Cr6+,Cr3+を主成分として、他
に硫酸やハロゲンイオンを含有するものや、さらにSi
O2やTiO2などの無機コロイド類,CoやZnなどの
金属イオンを含有するものが適用できる。 通常は鋼板
を陰極として電解するが、陽極電解や交流電解を付加す
ることもできる。これらの方法で形成されるクロメート
皮膜は、水可溶分が5%以下の難溶性クロメート皮膜で
あることが好ましい。これは自動車製造時に行なわれる
化成処理や電着塗装の際に、これら処理液中へのクロメ
ート皮膜からのクロム溶出を避けるためである。クロメ
ート皮膜から溶出するクロムは皮膜中のCr6+に起因す
るので、難溶性クロメート皮膜を得るにはCr3+主体の
クロメート皮膜が形成されやすい電解型や反応型が有利
である。しかし、塗布型においてもりん酸やコロイド類
によってCr6+を固定するなど処理浴の工夫により難溶
性クロメート皮膜を得ることができる。
めっき層と上層の有機皮膜を密着させると共に、耐食性
にも寄与する。クロメート皮膜の付着量は、総Cr量と
して1〜150mg/m2とする。1mg/m2未満では
有機皮膜の密着性が不十分であり、150mg/m2を
超えると加工性,溶接性低下の懸念がある。より好まし
い範囲は、総Cr量10〜100mg/m2である。ク
ロメート皮膜の形成方法としては、電解型,塗布型,反
応型が考えられ、何れも適用可能であるが、反対面側の
めっき表面へのクロメート付着の防止という観点から
は、ロールコーターによる塗布型クロメートが最も適す
る。塗布型,反応型クロメート処理としては、Cr6+,
Cr3+を主成分として、他にSiO2やTiO2などの無
機コロイド類,りん酸やモリブデン酸などの酸類やその
塩類,ふっ化物,水溶性ないしはエマルジョン型の有機
樹脂を含有するものが適用できる。また、電解型クロメ
ート処理としては、Cr6+,Cr3+を主成分として、他
に硫酸やハロゲンイオンを含有するものや、さらにSi
O2やTiO2などの無機コロイド類,CoやZnなどの
金属イオンを含有するものが適用できる。 通常は鋼板
を陰極として電解するが、陽極電解や交流電解を付加す
ることもできる。これらの方法で形成されるクロメート
皮膜は、水可溶分が5%以下の難溶性クロメート皮膜で
あることが好ましい。これは自動車製造時に行なわれる
化成処理や電着塗装の際に、これら処理液中へのクロメ
ート皮膜からのクロム溶出を避けるためである。クロメ
ート皮膜から溶出するクロムは皮膜中のCr6+に起因す
るので、難溶性クロメート皮膜を得るにはCr3+主体の
クロメート皮膜が形成されやすい電解型や反応型が有利
である。しかし、塗布型においてもりん酸やコロイド類
によってCr6+を固定するなど処理浴の工夫により難溶
性クロメート皮膜を得ることができる。
【0014】次に有機皮膜は内面側の耐食性を向上させ
る上で、重要な役割を担う。有機皮膜の厚みは0.3〜
2μとする。0.3μ未満では充分な耐食性が得られ
ず、2μを超えると加工性,溶接性が低下する。より好
ましい範囲は0.5〜1.7μである。有機皮膜の構成
としては、エポキシ樹脂を30重量%以上とシリカを5
〜50重量%を含有するものが好適である。エポキシ樹
脂は、耐水性,耐アルカリ性が優れ、下地との密着性も
良好であり、数有る有機樹脂の中でも本発明用途に最も
適している。有機皮膜中のエポキシ樹脂が30重量%未
満では皮膜が脆く加工性が不十分である。エポキシ樹脂
としては、数平均分子量300〜100,000のビス
フェノール型エポキシ樹脂が最適である。数平均分子量
が300未満,もしくは100,000超では充分な架
橋反応がなされず、したがって充分な耐食性が発揮され
ない。シリカは耐アルカリ性が極めて優れ、エポキシ樹
脂中に分散して含まれることにより、有機皮膜の耐食性
能を一段と高める。有機皮膜中のシリカが5重量%未満
では耐食性への効果が小さく、50重量%超では加工性
が低下する。より好ましい範囲は15〜30重量%であ
る。使用されるシリカとしては、平均一次粒径が1〜1
00mμのドライシリカが好適である。ドライシリカは
耐アルカリ性の他に耐水性にも優れ、またエポキシ塗料
との相溶性も良好である。1mμ未満,もしくは100
mμ超では充分な耐食性が得られない。有機皮膜の構成
成分として、上記のエポキシ樹脂とシリカ以外に、低温
焼付けを可能とするためのポリイソシアネート化合物や
ブロックポリイソシアネート化合物などの硬化剤,加工
性を向上させるためのポリエチレンワックスなどの潤滑
剤を含有してもよい。これら成分が有機溶剤に溶解ない
しは分散されて塗料組成物が得られる。有機溶剤として
はケトン系有機溶剤が好適であり、これを塗料中に40
重量%以上含有せしめ、かつ塗料中の固形分を10〜5
0重量%に調整することにより、容易に均一な薄膜を形
成させることができる。ケトン系有機溶剤としては、メ
チルイソブチルケトン,アセトン,シクロヘキサノン,
イソホロンなどが好適なものとして例示される。有機皮
膜の形成方法については特に限定されないが、均一塗布
の点からはロールコート法が最適であり、熱風炉や誘導
加熱炉で最終到達温度100〜200℃の条件で焼付け
処理を行なえばよい。
る上で、重要な役割を担う。有機皮膜の厚みは0.3〜
2μとする。0.3μ未満では充分な耐食性が得られ
ず、2μを超えると加工性,溶接性が低下する。より好
ましい範囲は0.5〜1.7μである。有機皮膜の構成
としては、エポキシ樹脂を30重量%以上とシリカを5
〜50重量%を含有するものが好適である。エポキシ樹
脂は、耐水性,耐アルカリ性が優れ、下地との密着性も
良好であり、数有る有機樹脂の中でも本発明用途に最も
適している。有機皮膜中のエポキシ樹脂が30重量%未
満では皮膜が脆く加工性が不十分である。エポキシ樹脂
としては、数平均分子量300〜100,000のビス
フェノール型エポキシ樹脂が最適である。数平均分子量
が300未満,もしくは100,000超では充分な架
橋反応がなされず、したがって充分な耐食性が発揮され
ない。シリカは耐アルカリ性が極めて優れ、エポキシ樹
脂中に分散して含まれることにより、有機皮膜の耐食性
能を一段と高める。有機皮膜中のシリカが5重量%未満
では耐食性への効果が小さく、50重量%超では加工性
が低下する。より好ましい範囲は15〜30重量%であ
る。使用されるシリカとしては、平均一次粒径が1〜1
00mμのドライシリカが好適である。ドライシリカは
耐アルカリ性の他に耐水性にも優れ、またエポキシ塗料
との相溶性も良好である。1mμ未満,もしくは100
mμ超では充分な耐食性が得られない。有機皮膜の構成
成分として、上記のエポキシ樹脂とシリカ以外に、低温
焼付けを可能とするためのポリイソシアネート化合物や
ブロックポリイソシアネート化合物などの硬化剤,加工
性を向上させるためのポリエチレンワックスなどの潤滑
剤を含有してもよい。これら成分が有機溶剤に溶解ない
しは分散されて塗料組成物が得られる。有機溶剤として
はケトン系有機溶剤が好適であり、これを塗料中に40
重量%以上含有せしめ、かつ塗料中の固形分を10〜5
0重量%に調整することにより、容易に均一な薄膜を形
成させることができる。ケトン系有機溶剤としては、メ
チルイソブチルケトン,アセトン,シクロヘキサノン,
イソホロンなどが好適なものとして例示される。有機皮
膜の形成方法については特に限定されないが、均一塗布
の点からはロールコート法が最適であり、熱風炉や誘導
加熱炉で最終到達温度100〜200℃の条件で焼付け
処理を行なえばよい。
【0015】次に、自動車の外面を構成する片面側につ
いて述べる。この片面側はZn系複合めっき層で構成さ
れ、この詳細については内面側と同様であるが、Zn系
複合めっきを自動車外面側に適用すると、従来のZn系
合金めっきにはない次のような特徴が発揮される。従来
のZn系合金めっきは犠牲防食作用がZnめっきに比較
して小さいため、めっきが欠如している鋼板の切断部を
起点とした端面腐食が起こりやすい。しかるに、該Zn
系複合めっきはZnめっきに匹敵する犠牲防食作用を有
し、かつ腐食生成物が難溶性の保護皮膜となるので、端
面からの腐食が抑制される。本発明のように、両面めっ
きとすることによりこの効果が顕著に現われ、Znめっ
き以上に良好な端面耐食性を発揮する。同様の理由によ
り、チッピングなどにより地鉄に達する疵が入っても、
塗膜ふくれが生じ難く、良好な耐外面錆性を有する。し
かしながら、耐外面錆性をより有利にするためには、耐
チッピング性の向上を目的に鋼板とZn系複合めっき層
の間にNiめっき層を設けることが好ましい。Niめっ
き層は鋼板とZn系複合めっき層との密着力を強固なも
のとし、自動車の外面に適用した場合に問題となる耐チ
ッピング性の向上をもたらし、 チッピング疵を起点と
した外面錆を抑制する。Zn系複合めっき層のめっき密
着性は、Zn−NiやZn−FeなどのZn系合金めっ
きと同様にZnめっきよりも低い。自動車外面において
は、かかるZn系複合めっき層の上にカチオン電着塗
装,中塗り塗装,上塗り塗装からなる3コート塗装が合
計100μ以上の厚みで塗装されるため、塗膜焼付け時
に生じる収縮応力がさらに加わる。また、冬期の寒冷地
帯では気温が氷点以下に低下し、この影響で塗膜の収縮
が進行するため、めっき層に作用する応力がさらに大き
くなり、めっき密着性は一段と低くなる。このような条
件下で、道路走行中の自動車に路面から跳ね上げられた
小石や散布岩塩が衝突すると、その衝撃力でめっき層が
剥離してしまうという重大な欠点を内在する。 Niめ
っき層はこの欠点を克服するためのものであり、鋼板面
にまず0.01g/m2以上のNiめっき層を施し、し
かる後にZn系複合めっき層を施すと、優れた耐チッピ
ング性が得られる。0.01g/m2未満では、耐チッ
ピング性の向上は不十分である。0.05g/m2以上
であれば、Niめっき層で鋼板面を均一に被覆できるた
め、耐チッピング性の向上効果が大きく、より好まし
い。上限は耐チッピング性の観点からは特に制約されな
いが、5g/m2を超えると耐食性低下の懸念を生じる
ので好ましくない。耐外面錆性を考慮すると、 1〜2
g/m2がより好ましい。 Niめっき層中にはSを0.
01〜10重量%含有させてもよく、かくすることによ
ってNiめっき層の均一被覆性が向上し、より少ないN
iめっき量で上層のZn系複合めっき層の耐チッピング
性を向上せしめることができる。この場合、0.01重
量%未満では効果的ではなく、10重量%を超えると耐
食性への悪影響が懸念されるので好ましくない。Niめ
っき層の形成方法は特に限定されないが、鋼板表面を微
量の付着量で均一に被覆する目的からは、硫酸酸性液を
用いて電流密度10〜100A/dm2で行なうことが
最良である。また、Sを含有させるためには硫酸酸性液
を用いてNiめっきを施した後、水洗を行なわずにZn
系複合めっきを行なえばよく、Sの含有率はNiめっき
時の電流密度で制御できる。外面側Zn系複合めっき層
の上層には、ZnめっきもしくはZn系合金めっき層を
1g/m2以上形成させてもよい。Zn系複合めっき層
はCrを多量に含有するため、りん酸塩処理を行なって
もりん酸塩皮膜は粗大化する、もしくはほとんど形成さ
れない。このような状態でもCrの作用で塗装後耐食性
は従来のZn系合金めっきより優れるが、正常なりん酸
塩皮膜が形成されるZnもしくはZn系合金めっきを上
層に設けることにより、さらに塗装後耐食性を向上させ
ることができる。上層めっきの付着量が1g/m2未満
ではりん酸塩処理性が不十分である。上限は特に制約さ
れないが、3g/m2を超えると外面側の塗装後耐食性
がこの上層めっきに支配されるようになるため好ましく
ない。Zn系合金めっきとしてはりん酸塩処理性が良好
なZn−Ni,Zn−Feが最適である。上層めっきの
形成方法は公知の方法が用いられてよいが、内面側の有
機皮膜焼付け後に最終処理として行なうことが肝要であ
る。
いて述べる。この片面側はZn系複合めっき層で構成さ
れ、この詳細については内面側と同様であるが、Zn系
複合めっきを自動車外面側に適用すると、従来のZn系
合金めっきにはない次のような特徴が発揮される。従来
のZn系合金めっきは犠牲防食作用がZnめっきに比較
して小さいため、めっきが欠如している鋼板の切断部を
起点とした端面腐食が起こりやすい。しかるに、該Zn
系複合めっきはZnめっきに匹敵する犠牲防食作用を有
し、かつ腐食生成物が難溶性の保護皮膜となるので、端
面からの腐食が抑制される。本発明のように、両面めっ
きとすることによりこの効果が顕著に現われ、Znめっ
き以上に良好な端面耐食性を発揮する。同様の理由によ
り、チッピングなどにより地鉄に達する疵が入っても、
塗膜ふくれが生じ難く、良好な耐外面錆性を有する。し
かしながら、耐外面錆性をより有利にするためには、耐
チッピング性の向上を目的に鋼板とZn系複合めっき層
の間にNiめっき層を設けることが好ましい。Niめっ
き層は鋼板とZn系複合めっき層との密着力を強固なも
のとし、自動車の外面に適用した場合に問題となる耐チ
ッピング性の向上をもたらし、 チッピング疵を起点と
した外面錆を抑制する。Zn系複合めっき層のめっき密
着性は、Zn−NiやZn−FeなどのZn系合金めっ
きと同様にZnめっきよりも低い。自動車外面において
は、かかるZn系複合めっき層の上にカチオン電着塗
装,中塗り塗装,上塗り塗装からなる3コート塗装が合
計100μ以上の厚みで塗装されるため、塗膜焼付け時
に生じる収縮応力がさらに加わる。また、冬期の寒冷地
帯では気温が氷点以下に低下し、この影響で塗膜の収縮
が進行するため、めっき層に作用する応力がさらに大き
くなり、めっき密着性は一段と低くなる。このような条
件下で、道路走行中の自動車に路面から跳ね上げられた
小石や散布岩塩が衝突すると、その衝撃力でめっき層が
剥離してしまうという重大な欠点を内在する。 Niめ
っき層はこの欠点を克服するためのものであり、鋼板面
にまず0.01g/m2以上のNiめっき層を施し、し
かる後にZn系複合めっき層を施すと、優れた耐チッピ
ング性が得られる。0.01g/m2未満では、耐チッ
ピング性の向上は不十分である。0.05g/m2以上
であれば、Niめっき層で鋼板面を均一に被覆できるた
め、耐チッピング性の向上効果が大きく、より好まし
い。上限は耐チッピング性の観点からは特に制約されな
いが、5g/m2を超えると耐食性低下の懸念を生じる
ので好ましくない。耐外面錆性を考慮すると、 1〜2
g/m2がより好ましい。 Niめっき層中にはSを0.
01〜10重量%含有させてもよく、かくすることによ
ってNiめっき層の均一被覆性が向上し、より少ないN
iめっき量で上層のZn系複合めっき層の耐チッピング
性を向上せしめることができる。この場合、0.01重
量%未満では効果的ではなく、10重量%を超えると耐
食性への悪影響が懸念されるので好ましくない。Niめ
っき層の形成方法は特に限定されないが、鋼板表面を微
量の付着量で均一に被覆する目的からは、硫酸酸性液を
用いて電流密度10〜100A/dm2で行なうことが
最良である。また、Sを含有させるためには硫酸酸性液
を用いてNiめっきを施した後、水洗を行なわずにZn
系複合めっきを行なえばよく、Sの含有率はNiめっき
時の電流密度で制御できる。外面側Zn系複合めっき層
の上層には、ZnめっきもしくはZn系合金めっき層を
1g/m2以上形成させてもよい。Zn系複合めっき層
はCrを多量に含有するため、りん酸塩処理を行なって
もりん酸塩皮膜は粗大化する、もしくはほとんど形成さ
れない。このような状態でもCrの作用で塗装後耐食性
は従来のZn系合金めっきより優れるが、正常なりん酸
塩皮膜が形成されるZnもしくはZn系合金めっきを上
層に設けることにより、さらに塗装後耐食性を向上させ
ることができる。上層めっきの付着量が1g/m2未満
ではりん酸塩処理性が不十分である。上限は特に制約さ
れないが、3g/m2を超えると外面側の塗装後耐食性
がこの上層めっきに支配されるようになるため好ましく
ない。Zn系合金めっきとしてはりん酸塩処理性が良好
なZn−Ni,Zn−Feが最適である。上層めっきの
形成方法は公知の方法が用いられてよいが、内面側の有
機皮膜焼付け後に最終処理として行なうことが肝要であ
る。
【0016】外面側の耐チッピング性を向上させるため
のNiめっき層は、自動車の内面側を構成する他面にも
適用されてよい。すなわち、自動車用鋼板に対する加工
性や強度などの要求品質の高度化により、鋼中への添加
成分や製造条件の制御により超深絞り鋼板や高強度鋼板
が開発されている。これらはZn系複合めっき層のめっ
き密着性に無関係ではなく、概してめっき密着性を阻害
する。したがって、これらの鋼板を下地とする場合に
は、Zn系複合めっき層のめっき密着性の改善が必要で
ある。この改善策として、外面側と同じく、Niめっき
層を鋼板とZn系複合めっき層の間に形成させることが
有効である。この場合、Niめっき層の付着量として
は、0.01g/m2以上が適当であり、0.01g/
m2未満では効果がない。上限はめっき密着性の観点か
らは特に制約されないが、5g/m2を超えると耐食性
低下の懸念があるので好ましくない。耐食性をも考慮す
ると、より好ましい範囲は1〜2g/m2である。ま
た、外面側と同様Niめっき層中にSを0.01〜10
重量%含有させるとさらに効果的である。なお、内面側
と外面側のZn系複合めつき層の組成と付着量は必ずし
も同一である必要はなく、目的に応じてめっき組成や付
着量を内外面で変えてもよいが、製造上は同一とした方
が有利である。上記のような構成とすることにより、車
体内外面に同時に適用できる表面処理鋼板が得られる。
以下実施例にて本発明をさらに詳細に説明する。
のNiめっき層は、自動車の内面側を構成する他面にも
適用されてよい。すなわち、自動車用鋼板に対する加工
性や強度などの要求品質の高度化により、鋼中への添加
成分や製造条件の制御により超深絞り鋼板や高強度鋼板
が開発されている。これらはZn系複合めっき層のめっ
き密着性に無関係ではなく、概してめっき密着性を阻害
する。したがって、これらの鋼板を下地とする場合に
は、Zn系複合めっき層のめっき密着性の改善が必要で
ある。この改善策として、外面側と同じく、Niめっき
層を鋼板とZn系複合めっき層の間に形成させることが
有効である。この場合、Niめっき層の付着量として
は、0.01g/m2以上が適当であり、0.01g/
m2未満では効果がない。上限はめっき密着性の観点か
らは特に制約されないが、5g/m2を超えると耐食性
低下の懸念があるので好ましくない。耐食性をも考慮す
ると、より好ましい範囲は1〜2g/m2である。ま
た、外面側と同様Niめっき層中にSを0.01〜10
重量%含有させるとさらに効果的である。なお、内面側
と外面側のZn系複合めつき層の組成と付着量は必ずし
も同一である必要はなく、目的に応じてめっき組成や付
着量を内外面で変えてもよいが、製造上は同一とした方
が有利である。上記のような構成とすることにより、車
体内外面に同時に適用できる表面処理鋼板が得られる。
以下実施例にて本発明をさらに詳細に説明する。
【0017】
【実施例】冷延鋼板を、アルカリ脱脂し、5%硫酸水溶
液で酸洗した後、片面もしくは両面にNiめっき,両面
にZn系複合めっきを施し、 次いで片面のみにクロメ
ート,及び有機皮膜を施し、さらに有機皮膜を施さない
外面側の一部については、上層めっきを施し、表1に示
す両面の表面処理鋼板を得た。これらについて、以下の
性能評価を行ない、その結果を表2にまとめた。表1に
おける注釈は以下の通りである。 1)Zn系複合めっき層の有機高分子 ・PA:平均分子量1万のポリアミン ・PAS:平均分子量3500のポリアミンスルホン ・PAS−L:平均分子量1500のポリアミンスルホ
ン ・PAS−M:平均分子量10万のポリアミンスルホン 2)内面側クロメート皮膜 ・塗布型:Cr6+,Cr3+を主成分として、他にコロイ
ドSiO2とりん酸を含む処理液を用いて、ロールコー
ト方式で塗布し、板温80℃で焼き付けた。水可溶分は
Cr6+,Cr3+及びりん酸の比率で制御した。・ 電解型:Cr6+,Cr3+を主成分として、他に硫酸を
含む処理液を用いて、電流密度10A/dm2で陰極電
解し、水洗乾燥した。 ・水可溶分:50℃の蒸留水に30分浸漬し、前後のク
ロム量の差と初期クロム量との比率を算出した。 3)内面側有機皮膜 ・種類A:樹脂は数平均分子量2900のビスフェノー
ル型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径8mμのドラ
イシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソシア
ネートのアセト酢酸エチルブロック体,及び潤滑剤とし
てポリエチレンワックスを含有するもの。 ・種類B:樹脂は数平均分子量900のビスフェノール
型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径40mμのドラ
イシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソシア
ネート,及び潤滑剤としてポリエチレンワックスを含有
するもの。 ・種類C:樹脂は数平均分子量15000のビスフェノ
ール型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径20mμの
ドライシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソ
シアネートを含有するもの。
液で酸洗した後、片面もしくは両面にNiめっき,両面
にZn系複合めっきを施し、 次いで片面のみにクロメ
ート,及び有機皮膜を施し、さらに有機皮膜を施さない
外面側の一部については、上層めっきを施し、表1に示
す両面の表面処理鋼板を得た。これらについて、以下の
性能評価を行ない、その結果を表2にまとめた。表1に
おける注釈は以下の通りである。 1)Zn系複合めっき層の有機高分子 ・PA:平均分子量1万のポリアミン ・PAS:平均分子量3500のポリアミンスルホン ・PAS−L:平均分子量1500のポリアミンスルホ
ン ・PAS−M:平均分子量10万のポリアミンスルホン 2)内面側クロメート皮膜 ・塗布型:Cr6+,Cr3+を主成分として、他にコロイ
ドSiO2とりん酸を含む処理液を用いて、ロールコー
ト方式で塗布し、板温80℃で焼き付けた。水可溶分は
Cr6+,Cr3+及びりん酸の比率で制御した。・ 電解型:Cr6+,Cr3+を主成分として、他に硫酸を
含む処理液を用いて、電流密度10A/dm2で陰極電
解し、水洗乾燥した。 ・水可溶分:50℃の蒸留水に30分浸漬し、前後のク
ロム量の差と初期クロム量との比率を算出した。 3)内面側有機皮膜 ・種類A:樹脂は数平均分子量2900のビスフェノー
ル型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径8mμのドラ
イシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソシア
ネートのアセト酢酸エチルブロック体,及び潤滑剤とし
てポリエチレンワックスを含有するもの。 ・種類B:樹脂は数平均分子量900のビスフェノール
型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径40mμのドラ
イシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソシア
ネート,及び潤滑剤としてポリエチレンワックスを含有
するもの。 ・種類C:樹脂は数平均分子量15000のビスフェノ
ール型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径20mμの
ドライシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソ
シアネートを含有するもの。
【0018】表2における評価方法は以下の通りであ
る。 (1)内面側ヘム部耐食性 試料2枚を用いて有機皮膜を塗布した面を内面側として
ヘムモデルを作成し、浸漬型りん酸塩処理,及びカチオ
ン電着塗装を行なって、下記のサイクル腐食試験に供し
た。 6000サイクル後にヘムモデルを解体し、ヘム部の板
厚減少量を調査し、評価した。 4:0.1mm以下 3:0.2mm以下 2:0.3mm以下 1:0.3mm超 (2)内面側加工性 エリクセン9mm押出し後テーピング試験を行ない、評
価した。 4:剥離無し 3:極軽度の剥離 2:軽度の剥離 1:剥離大 (3)内面側クロム溶出性 浸漬型りん酸塩処理工程で溶出した総Cr量で評価し
た。 4:5mg/m2以下 3:10mg/m2以下 2:20mg/m2以下 1:20mg/m2超 (4)外面側耐外面錆性 浸漬型りん酸塩処理,カチオン電着塗装,及び中塗り,
上塗りを行なって、合計膜厚100μとし、試験片温度
−30℃でJIS7号砕石250gを150km/hr
の速度で衝突させて、チッピング疵を入れ、下記のサイ
クル腐食試験に供した。100サイクル後、チッピング
部のふくれ巾で評価した。 4:3mm以下 3:5mm以下 2:8mm以下 1:8mm超 (5)外面側端面耐食性 浸漬型りん酸塩処理と膜厚30μのカチオン電着塗装を
行ない、試験片の端面をシールせずに、上記の下記のサ
イクル腐食試験に供した。100サイクル後、端面から
の腐食巾で評価した。 4:3mm以下 3:5mm以下 2:8mm以下 1:8mm超 (6)溶接性 先端径6mmφのCF型電極を用いて、加圧力200k
g,電流10kA,通電時間10サイクルで連続スポッ
ト溶接を行ない、連続打点数で評価した。 4:4000点以上 3:2000点以上 2:1000点以上 1:1000点未満
る。 (1)内面側ヘム部耐食性 試料2枚を用いて有機皮膜を塗布した面を内面側として
ヘムモデルを作成し、浸漬型りん酸塩処理,及びカチオ
ン電着塗装を行なって、下記のサイクル腐食試験に供し
た。 6000サイクル後にヘムモデルを解体し、ヘム部の板
厚減少量を調査し、評価した。 4:0.1mm以下 3:0.2mm以下 2:0.3mm以下 1:0.3mm超 (2)内面側加工性 エリクセン9mm押出し後テーピング試験を行ない、評
価した。 4:剥離無し 3:極軽度の剥離 2:軽度の剥離 1:剥離大 (3)内面側クロム溶出性 浸漬型りん酸塩処理工程で溶出した総Cr量で評価し
た。 4:5mg/m2以下 3:10mg/m2以下 2:20mg/m2以下 1:20mg/m2超 (4)外面側耐外面錆性 浸漬型りん酸塩処理,カチオン電着塗装,及び中塗り,
上塗りを行なって、合計膜厚100μとし、試験片温度
−30℃でJIS7号砕石250gを150km/hr
の速度で衝突させて、チッピング疵を入れ、下記のサイ
クル腐食試験に供した。100サイクル後、チッピング
部のふくれ巾で評価した。 4:3mm以下 3:5mm以下 2:8mm以下 1:8mm超 (5)外面側端面耐食性 浸漬型りん酸塩処理と膜厚30μのカチオン電着塗装を
行ない、試験片の端面をシールせずに、上記の下記のサ
イクル腐食試験に供した。100サイクル後、端面から
の腐食巾で評価した。 4:3mm以下 3:5mm以下 2:8mm以下 1:8mm超 (6)溶接性 先端径6mmφのCF型電極を用いて、加圧力200k
g,電流10kA,通電時間10サイクルで連続スポッ
ト溶接を行ない、連続打点数で評価した。 4:4000点以上 3:2000点以上 2:1000点以上 1:1000点未満
【0019】表1,表2の比較例について説明すると、
比較例1はZn系複合めっき層中のCr含有率が少なす
ぎるため、内外面とも耐食性が不良である。比較例2は
Zn系複合めっき層中のCr含有率と鉄族金属含有率の
合計が多すぎるため、加工性が不良であり、内外面の耐
食性も不十分である。比較例3はZn系複合めっき層中
に鉄族金属が含有されていないため、溶接性が不十分で
ある。比較例4はZn系複合めっき層中に有機高分子が
含有されていないため、加工性が不十分である。比較例
5はZn系複合めっき層の付着量が少なすぎるため、内
外面とも耐食性が不良である。比較例6はクロメート皮
膜量が少なすぎるため、有機皮膜の密着性が不足し、結
果的に内面側の耐食性と加工性が不十分であり、比較例
7はクロメート皮膜量が多すぎるため、内面側加工性と
溶接性が不良である。比較例8はクロメート皮膜の水可
溶分が多すぎるため、クロム溶出性が不良である。比較
例9は有機皮膜厚が少なすぎるため、内面側の耐食性と
加工性が不良であり、比較例10は有機皮膜厚が多すぎ
るため、内面側加工性と溶接性が不良である。比較例1
1は有機皮膜中の樹脂分が少なくシリカが多すぎるため
内面側加工性が不良であり、比較例12は有機皮膜中の
シリカが少ないため内面側耐食性が不十分である。また
比較例2〜6は外面側のNiめっき層の付着量が少ない
ため、比較例7〜11は外面側のNiめっき層がないた
め、何れも外面側の耐チッピング性が不良である。比較
例13と14はそれぞれ鋼板が超深絞り鋼板と高強度鋼
板であり、内面側にNiめっき層がないため、めっき密
着性が不足し、結果的に内面側加工性が不良である。比
較例15は付着量の多い両面のZnめっきであり、内面
側耐食性と溶接性が不良である。比較例16は両面のZ
n−Ni合金めっきをベースとしたものであり、内外面
とも耐食性が不良である。
比較例1はZn系複合めっき層中のCr含有率が少なす
ぎるため、内外面とも耐食性が不良である。比較例2は
Zn系複合めっき層中のCr含有率と鉄族金属含有率の
合計が多すぎるため、加工性が不良であり、内外面の耐
食性も不十分である。比較例3はZn系複合めっき層中
に鉄族金属が含有されていないため、溶接性が不十分で
ある。比較例4はZn系複合めっき層中に有機高分子が
含有されていないため、加工性が不十分である。比較例
5はZn系複合めっき層の付着量が少なすぎるため、内
外面とも耐食性が不良である。比較例6はクロメート皮
膜量が少なすぎるため、有機皮膜の密着性が不足し、結
果的に内面側の耐食性と加工性が不十分であり、比較例
7はクロメート皮膜量が多すぎるため、内面側加工性と
溶接性が不良である。比較例8はクロメート皮膜の水可
溶分が多すぎるため、クロム溶出性が不良である。比較
例9は有機皮膜厚が少なすぎるため、内面側の耐食性と
加工性が不良であり、比較例10は有機皮膜厚が多すぎ
るため、内面側加工性と溶接性が不良である。比較例1
1は有機皮膜中の樹脂分が少なくシリカが多すぎるため
内面側加工性が不良であり、比較例12は有機皮膜中の
シリカが少ないため内面側耐食性が不十分である。また
比較例2〜6は外面側のNiめっき層の付着量が少ない
ため、比較例7〜11は外面側のNiめっき層がないた
め、何れも外面側の耐チッピング性が不良である。比較
例13と14はそれぞれ鋼板が超深絞り鋼板と高強度鋼
板であり、内面側にNiめっき層がないため、めっき密
着性が不足し、結果的に内面側加工性が不良である。比
較例15は付着量の多い両面のZnめっきであり、内面
側耐食性と溶接性が不良である。比較例16は両面のZ
n−Ni合金めっきをベースとしたものであり、内外面
とも耐食性が不良である。
【0020】これらに比較すると、本発明例は内面側,
外面側の性能において何れも良好な結果を示した。本発
明例のうち、9と10,11と12,19と20,22
と23はそれぞれNiめっき層有無を比較したものであ
るが、Niめっき層を有するものは耐チッピング性が良
好であるため、チッピング後の耐外面錆性はより良好な
結果が得られている。また本発明例14と15,16と
17は付着量の少ないNiめっき層におけるSの効果を
比較したものであるが、Sを含有するものはNiめっき
層の付着量が少なくても耐チッピング性が良好であるた
め、チッピング後の耐外面錆性はより良好な結果が得ら
れている。本発明例24〜27と28〜31はそれぞれ
超深絞り鋼板と高強度鋼板を素地鋼板とするものである
が、内面側にNiめっき層を有するため、めっき密着性
が良好であり、結果的に内面側加工性が優れる。本発明
例32〜34はそれぞれZn系複合めっき層中の鉄族金
属をNi,Fe,Coとしたものであるが、Niを含有
するものは、内面側耐食性と外面側端面耐食性が特に優
れる。また、外面側に上層めっきを有する本発明例は、
りん酸塩処理性が良好であるため、上層めっきを有さぬ
ものに比べて外面側端面耐食性がさらに良好である。
外面側の性能において何れも良好な結果を示した。本発
明例のうち、9と10,11と12,19と20,22
と23はそれぞれNiめっき層有無を比較したものであ
るが、Niめっき層を有するものは耐チッピング性が良
好であるため、チッピング後の耐外面錆性はより良好な
結果が得られている。また本発明例14と15,16と
17は付着量の少ないNiめっき層におけるSの効果を
比較したものであるが、Sを含有するものはNiめっき
層の付着量が少なくても耐チッピング性が良好であるた
め、チッピング後の耐外面錆性はより良好な結果が得ら
れている。本発明例24〜27と28〜31はそれぞれ
超深絞り鋼板と高強度鋼板を素地鋼板とするものである
が、内面側にNiめっき層を有するため、めっき密着性
が良好であり、結果的に内面側加工性が優れる。本発明
例32〜34はそれぞれZn系複合めっき層中の鉄族金
属をNi,Fe,Coとしたものであるが、Niを含有
するものは、内面側耐食性と外面側端面耐食性が特に優
れる。また、外面側に上層めっきを有する本発明例は、
りん酸塩処理性が良好であるため、上層めっきを有さぬ
ものに比べて外面側端面耐食性がさらに良好である。
【0021】
【表1−1】
【0022】
【表1−2】
【0023】
【表1−3】
【0024】
【表1−4】
【0025】
【表2−1】
【0026】
【表2−2】
【0027】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明は、Cr,鉄族
金属,有機高分子を含有するZn系複合めっきをベース
とし、片側にクロメート皮膜,有機皮膜を有する両面タ
イプの高耐食性表面処理鋼板であり、耐食性が極めて優
れ、加工性,溶接性にも優れた性能を発揮する。特に、
自動車ボディーの内外面の要求特性を同時に満足しうる
ものであることから、自動車材料として好適である。
金属,有機高分子を含有するZn系複合めっきをベース
とし、片側にクロメート皮膜,有機皮膜を有する両面タ
イプの高耐食性表面処理鋼板であり、耐食性が極めて優
れ、加工性,溶接性にも優れた性能を発揮する。特に、
自動車ボディーの内外面の要求特性を同時に満足しうる
ものであることから、自動車材料として好適である。
【0028】
【図1】本発明の高耐食性表面処理鋼板の構成を示す。
1 鋼板 2 付着量10g/m2以上のZn系複合めっき層 3 総Cr付着量1〜150mg/m2のクロメート皮
膜 4 膜厚0.3〜2μの有機皮膜 5 付着量10g/m2以上のZn系複合めっき層, 6,6′ 付着量0.01g/m2以上のNiめっき層 7 付着量1g/m2以上のZnめっきもしくはZn系
合金めっき層である。
膜 4 膜厚0.3〜2μの有機皮膜 5 付着量10g/m2以上のZn系複合めっき層, 6,6′ 付着量0.01g/m2以上のNiめっき層 7 付着量1g/m2以上のZnめっきもしくはZn系
合金めっき層である。
Claims (7)
- 【請求項1】 鋼板の片面に鋼板側から順に、Crを5
重量%以上,鉄族金属をCrとの合計で30重量%以
下,有機高分子を0.001〜5重量%を含有する付着
量10g/m2以上のZn系複合めっき層,総Cr付着
量1〜150mg/m2のクロメート皮膜,膜厚0.3
〜2μの有機皮膜が形成され、他面にはCrを5重量%
以上,鉄族金属をCrとの合計で30重量%以下,有機
高分子を0.001〜5重量%を含有する付着量10g
/m2以上のZn系複合めっき層が形成されたことを特
徴とする高耐食性表面処理鋼板。 - 【請求項2】 有機皮膜を有さない片面側のZn系複合
めっき層と鋼板の間に、付着量0.01g/m2以上の
Niめっき層を形成させた請求項1記載の高耐食性表面
処理鋼板。 - 【請求項3】 鋼板の両面に、Zn系複合めっき層と鋼
板の間に付着量0.01g/m2以上のNiめっき層を
形成させた請求項1記載の高耐食性表面処理鋼板。 - 【請求項4】 有機皮膜を有さない片面側のZn系複合
めっき層の上層に、付着量1g/m2以上のZnもしく
はZn系合金めっき層が形成された請求項1記載の高耐
食性表面処理鋼板。 - 【請求項5】 Zn系複合めっき層中の有機高分子がカ
チオンポリマーである請求項1記載の高耐食性表面処理
鋼板。 - 【請求項6】 クロメート皮膜が水可溶分5%以下の難
溶性クロメート皮膜である請求項1記載の高耐食性表面
処理鋼板。 - 【請求項7】 有機皮膜がエポキシ樹脂を30重量%以
上とシリカを5〜50重量%を含有する有機皮膜である
請求項1記載の高耐食性表面処理鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2768991A JPH0798998B2 (ja) | 1991-01-30 | 1991-01-30 | 高耐食性表面処理鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2768991A JPH0798998B2 (ja) | 1991-01-30 | 1991-01-30 | 高耐食性表面処理鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04289192A JPH04289192A (ja) | 1992-10-14 |
JPH0798998B2 true JPH0798998B2 (ja) | 1995-10-25 |
Family
ID=12227942
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2768991A Expired - Lifetime JPH0798998B2 (ja) | 1991-01-30 | 1991-01-30 | 高耐食性表面処理鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0798998B2 (ja) |
-
1991
- 1991-01-30 JP JP2768991A patent/JPH0798998B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04289192A (ja) | 1992-10-14 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 19980818 |