JPH079893A - 車両のスリップ制御装置 - Google Patents

車両のスリップ制御装置

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JPH079893A
JPH079893A JP5152338A JP15233893A JPH079893A JP H079893 A JPH079893 A JP H079893A JP 5152338 A JP5152338 A JP 5152338A JP 15233893 A JP15233893 A JP 15233893A JP H079893 A JPH079893 A JP H079893A
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JP
Japan
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control
slip
amount
torque
vehicle
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Application number
JP5152338A
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English (en)
Inventor
Tomoyuki Hirao
知之 平尾
Haruki Okazaki
晴樹 岡崎
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 システムフェイル時のトラクション制御徐々
停止過程において運転者の要求に対応したドライバビリ
ティーを実現する。 【構成】 エンジンの発生トルクを調整するトルク調整
手段と、駆動輪の路面に対するスリップ値を検出するス
リップ検出手段と、該スリップ検出手段で検出されるス
リップ値が所定の目標値となるように上記トルク調整手
段を制御するトラクション制御手段とを備え、上記トラ
クション制御手段のフェイル状態を判定するフェイル状
態判定手段と、フェイル状態が判定されたときに上記ト
ラクション制御手段によるトルク調整手段の制御を徐々
に停止させるとともに所定方向へのトルク調整量のフィ
ードバック補正を行うトラクション制御停止手段とを設
け、徐々にトラクション制御を停止することにより違和
感のない通常運転状態への復帰を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、車両のスリップ制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近では、滑り易い路面での車両の発進
時や加速時、またコーナリング時などに駆動輪の路面に
対するスリップ率が過大(空転状態)になるのを防止し
て、発進性、加速性や車両安定性を満足させるようにし
た所謂スリップ制御装置(トラクション制御装置)が種々
提案されるようになっている。
【0003】上記スリップ制御は、要するに駆動輪への
付与トルク(トラクション)を低減することにより行なわ
れ、このためエンジンの発生トルク(出力)を低下させる
エンジン制御(スロットル開度可変、燃料供給量調整、
点火時期調整など)が行なわれる。そして、このような
エンジントルクの制御の場合、駆動輪の路面に対する実
際のスリップ値が所定の目標値となるようにフィードバ
ック制御されるのが一般的である(例えば特開昭57−
22948号公報参照)。
【0004】ところが、上記のようなエンジン制御装置
も故障等何等かの事情によりフェイル状態(異常状態)を
呈する可能性があり、該フェイル状態において制御を続
けることは好ましくない。従って、一般に該場合には当
該フェイル状態を検出して上記エンジントルクの低減制
御(スリップ制御)を停止することになるが、上記フェイ
ル状態の検出に応じて直ちに同制御を停止すると、エン
ジントルクが急変して運転者に不安感を抱かせる。
【0005】そこで、従来より例えば特開平1−202
562号公報に示されるように、上記エンジン制御手段
の作動中において当該エンジン制御手段のフェイル状態
が判定されたときは、エンジン制御手段によるトルク制
御を徐々に停止させるようにしたものが提案されてい
る。該制御システムによれば、トルクの急変を防止する
ことができ、運転者の不安感は低減される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
のようにフェイル検出時単にトラクション制御を徐々に
停止させてエンジン出力を戻すようにした場合、その間
においては車種タイプ(スポーツカー、セダンなど)や運
転者個々の要求に応じた出力特性を実現することができ
ない問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1〜3各項
記載の発明は、それぞれ上記従来の問題を解決すること
を目的としてなされたもので、各々次のように構成され
ている。
【0008】(1) 請求項1記載の発明の構成 該発明の車両のスリップ制御装置は、エンジンの発生ト
ルクを調整するトルク調整手段と、駆動輪の路面に対す
るスリップ値を検出するスリップ検出手段と、該スリッ
プ検出手段で検出されるスリップ値が所定の目標値とな
るように上記トルク調整手段を制御するトラクション制
御手段とを備えてなる車両において、上記トラクション
制御手段のフェイル状態を判定するフェイル状態判定手
段と、該フェイル状態判定手段によって上記トラクショ
ン制御手段のフェイル状態が判定されたときに上記トラ
クション制御手段によるトルク調整手段の制御を徐々に
停止させるとともに所定方向へのトルク調整量のフィー
ドバック補正を行うトラクション制御停止手段とを設け
て構成されている。
【0009】(2) 請求項2記載の発明の構成 該発明の車両のスリップ制御装置は、上記請求項1記載
の発明の構成におけるトルク調整量のフィードバック補
正がトルク増大方向になされるように構成されている。
【0010】(3) 請求項3記載の発明の構成 該発明の車両のスリップ制御装置は、上記請求項1記載
の発明の構成におけるトルク調整量のフィードバック補
正がトルク減少方向になされるように構成されている。
【0011】
【作用】本願の請求項1〜3各項記載の発明は、各々上
記構成に対応して次のような作用を奏する。
【0012】(1) 請求項1記載の発明の作用 請求項1記載の発明の車両のスリップ制御装置の構成で
は、上記トラクション制御手段のフェイル状態をフェイ
ル状態判定手段によって判定し、トラクション制御手段
がフェイル状態にあることが判定されたときにはトラク
ション制御停止手段によって上記トラクション制御手段
によるトルク調整手段のトルク低減制御を徐々に停止さ
せるとともに所定方向へのトルク調整量のフィードバッ
ク補正を行うようにてしいる。
【0013】従って、トラクション制御手段がフェイル
しても従来のように単に徐々にトラクション制御を停止
方向に制御して行くだけでなく、当該停止制御途中の過
程においても、その制御量自体の望定方向へのフィード
バック補正がなされ、可能な限り運転者の要求に応じた
走り感の維持が実現される。
【0014】(2) 請求項2記載の発明の作用 該発明の車両のスリップ制御装置の構成では、上記請求
項1記載の発明の構成におけるトラクション制御停止時
のトルク調整量のフィードバック補正が特にトルク増大
方向になされるように構成されている。
【0015】従って、例えばスポーツ仕様車のように、
一般に運転者が高出力特性を要求する傾向があるような
場合に適したものとなる。
【0016】(3) 請求項3記載の発明の作用 該発明の車両のスリップ制御装置は、上記請求項1記載
の発明の構成におけるトラクション制御停止時のトルク
調整量のフィードバック補正が特にトルク減少方向にな
されるように構成されている。
【0017】従って、例えばセダンタイプの車両のよう
に高出力よりはスムーズな走り感を要求される場合に適
したものとなる。
【0018】
【発明の効果】以上の結果、本願発明の車両のスリップ
制御装置によると、徐々にトラクション制御を停止する
ことにより異和感のない通常運転状態への復帰を可能に
し得るとともに当該トラクション制御停止過程において
も可及的に運転者の要求に沿ったドライバビリティーを
実現することができ、従来技術上の問題を改善すること
ができる。
【0019】
【実施例】以下本願発明の一実施例について図面を参照
して詳細に説明する。
【0020】先ず図1は同実施例における車両のスリッ
プ制御装置の全体的な構成を示し、この車両は、左右の
前輪2FL,2FRが従動輪とされ、左右の後輪2RL,
2RRが駆動輪(FR)とされていて、駆動輪2RL,2
RRの駆動力を制御してスリップ量をコントロールする
ために、ブレーキ制御とエンジン制御と変速制御用のA
Tコントローラ60を介したロックアップ制御とを行う
スリップ制御手段70を備えている。
【0021】上記車両は、その車体前部にエンジン1が
搭載されており、該エンジン1の発生トルクが、流体式
自動変速機3、プロペラシャフト4およびデファレンシ
ャルギア5を経た後、左駆動軸6Lを介して左後輪2R
Lに、右駆動軸6Rを介して右後輪2RRにそれぞれ伝
達されるようになっている。
【0022】上記自動変速機3は、流体コンバータ11
と多段変速歯車機構12とから構成されている。この多
段変速歯車機構12は、既知のように油圧作動式とされ
て、実施例では、前進4段、後進1段用とされている。
すなわち、その油圧回路に組込まれた複数のソレノイド
13aの励磁と消磁との組合わせを変更することにより
変速が行われる。また、流体コンバータ11は、油圧作
動式のロックアップクラッチ11Aを有し、その油圧回
路に組込まれたソレノイド13bの励磁と消磁とを切換
えることにより、締結と締結解除とが行われる。
【0023】上記ソレノイド13a,13bは、自動変速
機3の変速制御用のATコントローラ60によって制御
される。該ATコントローラ60は、変速特性とロック
アップ特性とを予め記憶しており、これに基いて変速制
御とロックアップ制御とを行なう。このため、ATコン
トローラ60には、メインスロットルバルブ43の開度
を検出するメインスロットル開度センサ61及びサブス
ロットルバルブ45の開度を検出するサブスロットル開
度センサ62からの各スロットル開度信号と、車速を検
出する車速センサ63からの車速信号(実施例ではプロ
ペラシャフト4の回転数信号)とが入力される。
【0024】(制動力調節機構)各車輪2FL,2FR,2
RL,2RRには、上記ブレーキ制御のためのブレーキ
21FL〜21RRが設けられている。該ブレーキ21
FL〜21RRのキャリパ(ホイールシリンダ)22FL
〜22RRには、それぞれ配管23FL〜23RRを介
してブレーキ液圧(ブレーキ作動液圧)が供給されてい
る。また各駆動輪2RL,2RRのキャリパ22RL,2
2RRには、それぞれ該キャリパ部に作用するブレーキ
液圧を検出するためのブレーキ液圧検出センサ64,6
5が設けられている。
【0025】これら各キャリパへのブレーキ液圧供給の
ための構成は、次のようになっている。先ず、ブレーキ
ペダル25の踏込力が、液圧真空倍力式の倍力装置26
によって倍力されて、タンデム型のマスタシリンダ27
に伝達される。該マスタシリンダ27の第1の吐出口2
7aには左前輪用のブレーキ配管23FLが接続され、
また同マスタシリンダ27の第2の吐出口27bには右
前輪用のブレーキ配管23FRが接続されている。
【0026】上記倍力装置26には、配管28を介して
オイルポンプ29からの作動液圧が供給され、余剰液圧
はリターン用配管30を介してリザーバタンク31へ戻
される。上記配管28の途中から分岐した分岐管28a
は、後述する合流部aに連なっており、この分岐管28a
には電磁式の開閉弁32が介設されている。また、倍力
装置26で発生される倍力用液圧は、配管33を介して
上記合流部aへと供給されるようになっており、この配
管33にも電磁式の開閉弁34が介設されている。そし
て、上記配管33には、開閉弁34と並列に、合流部a
へ向けての流れのみを許容する一方向弁35が設けられ
ている。
【0027】上記合流部aには、左右後輪用のブレーキ
配管23RL,23RRが接続されている。この配管2
3RL,23RRには、電磁式の開閉弁36Aまたは3
7Aが介設されていると共に、該開閉弁36A,37A
の下流に接続されたリリーフ通路38Lまたは38Rに
対して、電磁式の開閉弁36Bあるいは37Bが接続さ
れている。
【0028】上記各電磁開閉弁32,34,36A,37
A,36B,37Bは、上記スリップ制御手段70によっ
て制御される。すなわち、スリップ制御(この場合、ブ
レーキトラクション制御)を行なわないときには、図示
のように開閉弁32が閉じ、開閉弁34が開かれ、かつ
開閉弁36B,37Bが閉じ、開閉弁36A,37Aが開
かれる。これにより、ブレーキペダル25が踏込まれる
と、前輪用ブレーキ21FL,21FRに対してはマス
タシリンダ27を介してブレーキ液圧が供給される。ま
た、後輪用ブレーキ21RL,21RRに対しては、液
圧倍力装置26からのブレーキペダル25の踏込み力に
応じた倍力用液圧が、ブレーキ液圧として配管33を介
して供給される。
【0029】また、後述するように、駆動輪としての後
輪2RL,2RRの路面に対するスリップ量が大きくな
ってスリップ制御(ブレーキトラクション制御)を行なう
ときには、開閉弁34が閉じられ、開閉弁32が開かれ
る。そして、上記開閉弁(36A,36B)、(37A,3
7B)のスリップ量に応じたデューティ制御によって、
適切なブレーキ液圧の保持と増圧(昇圧)と減圧(降圧)と
が行われる。より具体的には、開閉弁32が開いている
ことを前提として、各開閉弁36A,36B,37A,3
7Bが閉じているときにブレーキ液圧の保持となり、開
閉弁36A(37A)が開き、開閉弁36B(37B)が閉
じているときに増圧となり、開閉弁36A(37A)が閉
じ、開閉弁36B(37B)が開いているときに減圧とな
る。これら開閉弁36A・36B、37A・37Bがブ
レーキトラクション制御時の増減圧開閉弁として機能す
る。そして、分岐管28aを経たブレーキ液圧は、一方
向弁35の作用によって、ブレーキペダル25に対する
反力としては作用しないようになっている。
【0030】すなわち、上記ようなスリップ制御(ブレ
ーキトラクション制御)を行っているときにブレーキペ
ダル25が踏み込まれると、この踏み込みに応じた倍力
装置26からのブレーキ液圧は、一方向弁35を介して
後輪用ブレーキ21Rl,21RRに供給される。
【0031】(エンジン出力調節機構)上記スリップ制御
手段70は、駆動輪2RL,2RRの駆動トルクを低減
するために、上述のような駆動輪2RL,2RRに対す
るブレーキトラクション制御(ブレーキTC制御)を行う
と共に、さらに同駆動輪2RL,2RRに伝達される駆
動力、つまりエンジン1の出力(発生トルク)の低減制
御、すなわちエンジントラクション制御(エンジンTC
制御)をも行う。このため、エンジン1の吸気通路41
には、アクセルペダル42に連結された上述のメインス
ロットルバルブ43と、さらにステッピングモータ等ス
ロットル開度調節用電動アクチュエータ44に連結され
た上述のサブスロットルバルブ45とが配設され、該サ
ブスロットルバルブ45を上記スリップ制御手段70に
より上記電動アクチュエータ44を介して開閉制御する
ことによりエンジントルクを低減するようになってい
る。
【0032】(スリップ制御手段)次に上記スリップ制御
手段70には、上述したスロットル開度センサ61,6
2および車速センサ63からの信号が入力される他、各
車輪2FL〜2RRの車輪速度を検出する車輪速センサ
66FL〜66RRからの各車輪速検出信号、アクセル
踏込量を検出するアクセル踏込量センサ67からの踏込
量信号(アクセル開度信号)、ギヤポジションを検出する
ギヤポジションセンサ68からのギヤポジション信号、
ハンドル舵角を検出する舵角センサ69からの舵角信
号、マニュアル走査されるスイッチ71からのモード信
号、並びに制御規制手段78からの規制信号が入力され
る。
【0033】また、上記スリップ制御手段70は、上記
各センサからの信号を受け入れる入力インターフェイス
と、CPUとROMとRAMとからなるマイクロコンピ
ュータと、出力インターフェイスと、電磁開閉弁32,
36A37A,36B,37B及び電動アクチュエータ4
4を駆動する駆動回路とを備えており、ROMには上述
した各スリップ制御に必要な制御プログラム、各種のマ
ップ等が設けられ、またRAMには当該制御を実行する
のに必要な各種のプログラムメモリが設けられている。
【0034】(スリップ制御手段70の具体的構成)スリ
ップ制御手段70は、図2に示すように、スリップ検出
手段72、目標スリップ量(閾値)を設定する目標値設定
手段73、路面摩擦係数算出手段74、スリップ判定手
段75、基本制御量演算手段76、駆動輪2RL,2R
Rのブレーキ液圧を推定するブレーキ液圧推定手段7
7、ブレーキ液圧をスロットル開度の量に換算するブレ
ーキ液圧補正量演算手段78、基本制御量補正手段7
9、サブスロットルバルブ45のブレーキ液圧推定手段
77、電動アクチュエータ44を駆動するバルブ駆動手
段78、及び電磁開閉弁32,36A37A,36B,3
7Bを駆動する弁駆動手段82を備えている。
【0035】(スリップ検出手段72について)駆動輪の
スリップ量は、各車輪速センサ66FR,66FL,66
RR,66RLからの検出信号に基いて検出される。す
なわち、スリップ検出手段72は、駆動輪2RL,2R
Rの速度から従動輪2FL,2FRの速度を差し引くこ
とによりスリップ量Sを算出するものである。なお、こ
のスリップ量Sの算出にあたっては、エンジントラクシ
ョン制御の場合、駆動輪の速度は左右駆動輪のうちの大
きい方が選択され、従動輪の速度は左右従動輪の平均値
が用いられる。ブレーキトラクション制御の場合、従動
輪の速度はエンジン制御用と同じであるが、駆動輪の速
度は左右駆動輪に付与する制動力を互いに独立して制御
するための左右駆動輪の速度が用いられる。
【0036】(目標スリップ量設定手段73について)図
3はエンジントルク制御用の目標スリップ量SET及び
ブレーキ力制御用の目標スリップ量SBTを決定する回
路をブロック図的に示したものであり、決定パラメータ
としては、車速と、アクセル踏込量と、ハンドル舵角、
モードスイッチ71の操作状態と、路面摩擦係数μとが
ある。なお、ここで上記SBT>SETである。
【0037】すなわち、同図において、SETの基本値
STAOと、SBTの基本値STBOとが、路面摩擦係
数μをパラメータとして、マップ81に記憶されてい
る。この場合、路面摩擦係数μが大きくなるに従って上
記基本値STAO及びSTBOは大きくなる(STBO
>STAO)。そして、この基本値STBO,STAO
に、それぞれ補正ゲイン係数KDを掛け合わせることに
より、各制御の目標スリップ量SETおよびSBTが得
られる。
【0038】上記補正ゲイン係数KDは、各ゲイン係数
VGとACPGとSTRGとMODEGとを掛け合わせ
ることにより得られる。上記ゲイン係数VGは、車速を
パラメータとするもので、マップ82として記憶されて
いる。また、ゲイン係数ACPGは、アクセル開度をパ
ラメータとするもので、マップ83として記憶されてい
る。ゲイン係数STRGは、ハンドル舵角をパラメータ
とするもので、マップ84として記憶されている。ゲイ
ン係数MODEGは、運転者にマニュアル選択されるも
ので、テーブル85に記憶されている。このテーブル8
5では、スポーツモードとノーマルモードとセーフティ
モードとの三種類が設けられている。
【0039】後述する下限制御値SMは、図4に示すよ
うに、車速と路面摩擦係数μとをパラメータとして、マ
ップ91として記憶されている。なお、図4において、
μ=1が摩擦係数最小であり、μ=5が摩擦係数最大で
ある。
【0040】(路面摩擦係数算出手段74について)タイ
ヤと路面との摩擦係数である路面摩擦係数μは、車体速
Vrと車体加速度VGとに基いて算出される。
【0041】すなわち、車体加速度VGの演算には、タ
イマA(100msecカウント)と、タイマB(500msec
カウント)とを用いる。すなわち、車体加速度VGは、
スリップ制御開始から500msec経過まで(車体加速度
が十分に大きくない)は、100msec毎に100msec間
の車体速Vr(本例の場合は前輪2FL,2FRの両車輪
速のうち速い方の車輪速、単位;km/h)の変化に基いて
次の(1)式により求め、500msec経過後(車体加速度
が十分に発達)は100msec毎に500msec間の車体速
Vrの変化に基いて次の(2)式により求める。
【0042】 VG=GK1×{Vr(k)−Vr(k−100)} ・・・・(1) VG=GK2×{Vr(k)−Vr(k−500)} ・・・・(2) 上記GK1及びGK2は係数である。また、Vr(k)は現
時点、Vr(k−100)は100msec前、Vr(k−500)
は500msec前の各車体速である。
【0043】そして、上述の如くして算出された車体加
速度VGと車体速Vrとから次のマップ1(表1)により
3次元補間によって路面摩擦係数μを求める。
【0044】
【表1】
【0045】(スリップ判定手段75について)スリップ
判定手段75によるスリップ判定は、スリップ検出手段
72によるスリップ量Sと目標スリップ量SET及びS
BTとに基いて行われる。すなわち、スリップ判定手段
75は、スリップ量SがSETよりも大のとき、エンジ
ントルク制御要と判定して制御フラグF1=1とし、ス
リップ量DがSET以下の状態が設定時間t以上継続し
たときにF1=0とする。また、上記スリップ量SがS
BTよりも大のときブレーキ力制御要と判定して、同様
に制御フラグF1=1,F1=0とする。
【0046】(基本制御量演算手段76について)基本制
御量演算手段76によるサブスロットルバルブ45の開
閉制御量(エンジントルク制御量)及びブレーキ力制御量
の演算は、上記スリップ量Sと目標スリップ量SET,
SBTとに基いて行われる。すなわち、上記スロットル
開度制御量は、次の(3)式で求まるスリップ量の偏差E
Nと、この偏差ENの時間変化率DENとをパラメータ
として、次のマップ2(表2)により、まず基本スロット
ル制御量Tが求められる。
【0047】EN=S−SET ・・・・・(3)
【0048】
【表2】
【0049】この場合、上記マップに記載の記号ZOは
スロットル開度の保持を表わし、Nは閉動、Pは開動を
表わす。また、N及びPの添字S,M,Bは制御量の大き
さを表わすもので、「S」は小(開動量小、閉動量小)、
「N」は中(開動量中、閉動量中)、「B」は大(開動量大、
閉動量大)の意味であり、同じ添字であれば、開動も閉
動も制御量の大きさ自体は同じである。
【0050】次に、上記基本スロットル制御量Tにおけ
るスロットル制御量補正係数TGを次のマップ3(表3)
により求め、最終的なスロットル開閉制御量であるスロ
ットル開度の基本制御量Tn(=T×TG)を算出する。
【0051】
【表3】
【0052】このマップ3においては、スロットル開度
とエンジン回転数NERをスロットル制御量補正係数T
Gのパラメータとして用いている。この補正係数TG
は、スロットル開度が小さいほど、またエンジン回転数
が低いほど、エンジン回転に敏感に反応するため、より
小さな値に設定されている。なお、このスロットル制御
量補正係数TGは、スロットル開度のみをパラメータと
して用いてもよい。
【0053】ブレーキ制御量の演算制御についても、基
本的には上記開閉制御量の場合と同様であり、具体的な
マップは省略する。
【0054】(ブレーキ液圧推定手段77について)ブレ
ーキ液圧推定手段77は、各駆動輪2RL,2RRのブ
レーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサ64,65か
らの信号に基ずき、駆動輪のブレーキ液圧を推定して算
出する。
【0055】また、ブレーキ液圧センサ64,65を用
いず、他の手段、例えば、弁36A,36B,37A,3
7Bによるブレーキ液圧の増圧と減圧との時間を検出
し、その偏差からブレーキ液圧を推定して算出するよう
にしてもよい。
【0056】(ブレーキ液圧補正量演算手段78につい
て)ブレーキ液圧補正量演算手段78は、式(4)によ
り、上記ブレーキ液圧推定手段77により推定して算出
された左右の駆動輪のブレーキ液圧の内、低い側のブレ
ーキ液圧をこれに相当するエンジン出力に換算して、ブ
レーキ液圧補正量TBを算出する。
【0057】 TB=K×min(PL,PR) ・・・・・(4) ここで、Kは、スロットル制御量換算係数、min(PL,
PR)は、左右の駆動輪のブレーキ液圧の内の低い側の
値を示す。
【0058】(基本制御量補正手段79について)基本制
御量補正手段79は、上記の基本制御量演算手段76に
より算出された基本スロットル制御量Tから、上記ブレ
ーキ液圧補正量演算手段78により算出されたブレーキ
液圧補正量TBを低減することにより基本スロットル制
御量を補正して最終的なスロットル開度の制御量Tnを
算出する。具体的には、この最終的なスロットル開度の
制御量Tnは、次式(5)により算出される。
【0059】 Tn=(T−TB)TG ・・・・・・(5) (バルブ速度設定手段80について)バルブ速度設定手段
80は、上記基本制御量補正手段79により求められた
スロットル開度の制御量Tnに基いて、サブスロットル
バルブ45のバルブ開閉速度(単位;%/秒)を次のマッ
プ4(表4)により設定するものである。なお、スロット
ルバルブ45の全開時が開度100%である。
【0060】
【表4】
【0061】この場合、バルブ速度は、制御量の領域に
おいては閉動速度の方が開動速度よりも高くなるよう
に、つまり、NBの方がPBよりもバルブ速度が大きく
設定され、制御量小の領域では制御量が同じであれば、
閉動速度と開動速度とは等しくなるように設定される。
【0062】(駆動手段81,82について)バルブ駆動
手段81は、上記基本制御量補正手段79により求めら
れた開閉制御量が得られるように、上記バルブ速度設定
手段80により設定された速度で上記サブスロットルバ
ルブ45を駆動すべく、電動アクチュエータ44に駆動
信号を出力する。
【0063】また、電磁開閉弁駆動手段82は、上記基
本制御量補正手段79により求められたブレーキ制御量
が得られるように、電磁開閉弁32,36A37A,36
B,37Bに駆動信号を出力する。
【0064】次に図5を参照して、サブスロットルバル
ブ45の制御内容を説明する。なお、図5において、S
1〜S13は各ステップを示す。
【0065】先ずステップS1において、データが入力
され、次にステップS2において、スリップ制御中(F=
1)であるか否かを判定する。スリップ制御中(F=1)
であれば、ステップS3において、スリップ量の偏差E
N及びその変化率DENが演算される。その後、ステッ
プS4において、上記EN及びDENに基いて上記マッ
プ2及びマップ3より上記サブスロットルバルブ45の
スロットル開度の基本制御量Tn(=T×TG)が演算さ
れる。
【0066】次にステップS5において、駆動輪のブレ
ーキ液圧が増圧又は急増圧のフェーズ0であるか否かを
判定する。このフェーズ判定を図6及び図7により説明
する。図6において、L1は駆動輪の車輪速、L2は従動
輪の平均速度、L3は目標スリップ量SBTを示してい
る。図7は、図6の車輪速に対応するブレーキ液圧を示
している。フェーズ0では、スリップ量が増大して、こ
のスリップ量に応じてブレーキ液圧を増大若しくは急増
大させ、フェーズ1では、スリップ量が減少し、このた
めブレーキ液圧を減圧し、さらにフェーズ2では、スリ
ップ量が目標スリップ量SBTより小さくなり、そのた
めブレーキ液圧を保持する。
【0067】ステップS5において、駆動輪のブレーキ
液圧が増圧又は急増圧のフェーズ0であると判定される
と、ステップS6において、以下のステップS7以降のス
テップで説明するスロットル開度の制御量の補正を規制
して、上記ステップS4において演算したスロットル開
度の基本制御量Tn(=T×TG)をスロットル開度の制
御量として設定する。駆動輪のブレーキ液圧が増圧又は
急増圧のフェーズ0の場合には、後述するスロットル開
度の補正(ステップS8及びS10)を行うとスロットルが
閉じ過ぎて加速遅れ等の問題が発生するため、このよう
な補正は行わないようにしている。
【0068】一方、上記ステップS5において、駆動輪
のブレーキ液圧が増圧又は急増圧のフェーズ0ではない
と判定されたNOの場合には、ステップS7に進み、エ
ンジン回転数NERが所定値以下か否かを判定する。こ
の所定値は、エンジン出力が過度に低下して車両の失速
や加速性の悪化等を防止すると共にスリップ制御を損な
わないようなエンジン回転数の下限値である。このエン
ジン回転数の下限値は、次のマップ5(表5)により求め
る。すなわち、この所定値であるエンジン回転数の下限
値は、従動輪車輪速の平均値と上記エンジン制御用基本
値STAOとの和を一のパラメータとし、上記ギヤポジ
ションを他のパラメータとして算出される。
【0069】
【表5】
【0070】ステップS7において、エンジン回転数N
ERが所定値以下でない、即ち所定値より大きい場合に
は、ステップS8に進み、上述した基本制御量補正手段
79により求められたスロットル開度の制御量Tn(=
(T−TB)TG)を設定する。すなわち、このステップ
8においては、左右の駆動輪のブレーキ液圧の内、低
い側のブレーキ液圧をこれに相当するエンジン出力に換
算し、このエンジン出力に対応するスロットル開度の量
だけスロットル開度の基本制御量から低減するようにし
ている。このため、ブレーキが負担する負荷の一部がエ
ンジン側に移行し、そのため、ブレーキの負担を軽減す
ることができ、さらに、この際、左右の駆動輪のブレー
キ液圧の内、低い側のブレーキ液圧を基準としてこれに
相当するエンジン出力に換算しているため、スリップ制
御中に所謂スプリット路面を車両が走行する場合におい
ても、駆動輪において通常走行に支障がない程度に駆動
トルクが確保され、これにより十分な発進性や加速性が
得られる。一方、左右が均一の低μ路では、左右の駆動
輪のブレーキ液圧の差は小さいので、左右の駆動輪のブ
レーキ液圧の低い側の値を使用しても、何ら問題がな
い。
【0071】また、上記ステップS7において、エンジ
ン回転数NERが所定値以下の場合には、さらにステッ
プS9に進み、スロットル開度信号が開き側信号か否か
を判定する。開き側信号であれば、エンジン回転数NE
Rが所定値以下の場合であっても、ステップS10に進
み、ステップS8と同様に、スロットル開度の制御量Tn
=(T−TB)TGを設定する。エンジン回転数NERが
所定値以下で且つ開き側信号でなければ、ステップS11
に進み、スロットル開度は、その時点の状態に保持され
る。
【0072】次にステップS12において、上記ステップ
6,S8,S10及びS11において、設定されたスロットル
開度の制御量に基づき、マップ4よりバルブ速度が演算
され、次にステップS13において、上記スロットル開度
の制御量とバルブ速度とでもってサブスロットルバルブ
45が駆動される。
【0073】(スリップ制御の内容)上記スリップ制御手
段70によるスリップ制御の内容を、エンジントルク制
御(エンジントラクション制御)とブレーキ力制御(ブレ
ーキトラクション制御)とに着目して示したのが図8で
ある。
【0074】t1時点前までは、駆動輪に大きなスリップ
が生じていないので、エンジン側トルク制御は行われて
おらず、従ってサブスロットルバルブ45は全開であっ
て、スロットル開度TB(両スロットル弁43,45の合
成開度であって、開度の小さな方のスロットル弁の開度
に一致する)は、アクセル踏込量に対応してメインスロ
ットル開度TH,Mである。
【0075】t1時点では、駆動輪のスリップ量が、エン
ジン用目標スリップ量SETとなった大きなスリップ発
生時となる。実施例では、この駆動輪のスリップ量がS
ET以上となったときにスリップ制御を開始するように
なっており、このt1時点で、スロットル開度が下限制御
値SMにまで一挙に低下される(フィードフォワード制
御)、そして一旦SMとした後は、駆動輪のスリップ量
がエンジン用目標スリップ量SETとなるように、サブ
スロットルバルブ45の開度がフィードバック制御され
る。このとき、スロットル開度Tnはサブスロットル弁
開度TH,Sとなる。
【0076】t2時点では、駆動輪のスリップ量がブレー
キトラクション制御の目標スリップ量SBT以上となっ
たときであり、このときは、駆動輪のブレーキ21R
L,21RRに対してブレーキ液圧が供給され、エンジ
ントラクション制御とブレーキトラクション制御の両方
によるスリップ制御が開始される。
【0077】t3時点では、駆動輪のスリップ量がブレー
キトラクション制御用目標スリップ量SBT未満となっ
たときであり、これによって、ブレーキ液圧が徐々に低
下され、やがてブレーキ液圧は零となる。ただし、演算
制御は、なおも継続される。
【0078】ここで、上記エンジントラクション制御に
関して説明すると、上記t1時点で、スロットル開度が下
限制御値SMにまで一挙に低下された後も、スリップ量
は急激に増大していっている。このときは、上記偏差E
N及び偏差変化率DENは(+)に大きな値であるから、
例えば開閉制御量としてNBが演算される。その結果、
サブスロットルバルブ45は高い閉動速度でもって閉じ
られていく。よって、スリップ量はピークを越えて速や
かに目標スリップ量SETに近付いていく。
【0079】その後は、開閉制御量としてNM,NS,Z
Oが順に演算され、スロットル開度は閉じ気味で保持さ
れる。そして、スリップ量が目標スリップ量SET近傍
になると、開閉制御量としてPSが演算され、サブスロ
ットルバルブ45は開動されていく。このような小さな
開閉制御量においては、バルブ速度も遅いため、スリッ
プ量の急減や急増は生じ難く、従って、制御のハンチン
グも抑制される。
【0080】しかして、路面の摩擦係数が一時的に高く
なった場合、スリップ量は目標スリップ量SETを下回
るようになり、場合によっては、開閉制御量としてPB
が演算されることがある。しかし、この場合のバルブ速
度は上記NBに比べて遅い。よって、スロットル開度が
急激に過剰な開度になることはなく、従って、その後に
低μ路面に移行した際に、過大なスリップを生ずること
が防止される。
【0081】なお、実施例では、スリップ量がSETに
収束しアクセル踏込量零となった時点、もしくはメイン
スロットル開度がサブスロットル開度よりも小さくなっ
た時点、さらにブレーキペダルが踏み込まれた時点で
も、スリップ制御を終了せしめるようにしている。
【0082】次に、図9のフローチャートを参照して本
実施例の上記スリップ制御手段70によるスリップ制御
(トラクション制御)の内容を詳細に説明する。
【0083】すなわち、先ずステップS1で上記スリッ
プ制御手段70がフェイル状態にあるか否かを示すフェ
イル判定フラグFの値がF=1(フェイル)であるか否か
を判定する。
【0084】その結果、先ずNOと判定された未だフェ
イル判定がなされておらず後述するエンジントルク増大
のためのフィードバック制御の計算値のフィードバック
補正が終了していない時は、続いてステップS2に進ん
で上記スリップ(トラクション)制御手段がフェイル状態
となっているか否かを判定する。
【0085】その結果、YES、すなわち、スリップ
(トラクション)制御手段が何等からの原因で異常状態を
呈しているフェイル判定がなされたときは、さらにステ
ップS3に進んで、現在スリップ(トラクション)制御中
(TC中)であるか否かを判定する。そして、スリップ
(トラクション)制御中であるとしてYESと判定された
時は、ステップS4に進んで上記トラクション制御を徐
々に中止(停止)するとともに、上記計算値をフィードバ
ック補正した上でステップS6に進んでF=1(フエイ
ル)に設定する。他方非フェイル状態であるとしてステ
ップS2でNOと判定されたときは、上記ステップS3,
4の動作をジャンプして、そのままステップS6に進
む。
【0086】また、上記ステップS3でNOと判定され
たスリップ(トラクション)制御中でないときは、ステッ
プS5に移ってスリップ(トラクション)制御の停止処理
を行った後、ステップS6に進んでF=1(フェイル)に
設定する。
【0087】一方、上記ステップS1でYES(すでにF
=1となっている)と判定されたとき、すなわち、前回
のフェイル判定でスリップ(トラクション)制御手段がフ
ェイル状態になっていると一旦判定されているときは、
上記の場合と異なりステップS7に移って当該エンジン
のイグニッションスイッチIG・SWがOFFになった
か否かを判定し、NOの時は上記ステップS6に進んで
F=1に設定する一方、他方YESの時はステップS8
に進んでF=0に設定する。
【0088】以上のように、本実施例の車両のスリップ
制御装置の構成では、上記トラクション制御手段のフェ
イル状態をフェイル状態判定手段によって判定し、トラ
クション制御手段がフェイル状態にあることが判定され
たときにはトラクション制御停止手段によって上記トラ
クション制御手段によるトルク調整手段のトルク低減制
御を徐々に停止させるとともに所定方向へのトルク調整
量(フィードバック補正量の本来の計算値)の補正を行う
ようにしている。
【0089】従って、トラクション制御手段がフェイル
しても従来のように単に徐々にトラクション制御を停止
方向(サブスロットル開方向)に制御して行くだけでな
く、当該停止制御途中の過程においても、その制御量自
体のフィードバック補正が例えば図10(A)〜図10
(C)に示すように本来の計算値(実線)を基にトルク増大
方向(高出力側)又はトルク抑制方向(低出力側)に所定の
特性でなされ、可能な限り運転者の要求に応じた走り感
の維持が実現される。
【0090】すなわち、該場合において、先ず同構成に
おけるトラクション制御停止制御時のトルク調整量のフ
ィードバック補正を例えば図10(A)の破線〜に示
すように本来のフィードバック量の計算値(実線)に対し
てトルク増大方向への制御(サブスロットル開側=高出
力側へのフィードバック補正)のみ実行するようにする
と、例えばスポーツ仕様車のように、特に運転者が高出
力特性を要求する傾向があるような場合に適したものと
なる。該補正制御では、例えば上記フエイル状態発生時
から徐々にサブスロットルを開く基本ラインaに対して
計算値の第1ピークP1付近までは当該計算値に沿って
同スロットルを開き、その後は第1ピークP1の制御量
を維持しながら上記基本ラインaと平行な増大率で開い
て行く。そして、第2ピークP2の付近では計算値がそ
れまでの値より大きければ、さらに当該第2ピークP2
で開いて行く。この結果、高出力要求に応じた特性での
補正がなされる。
【0091】また、これを図10(A)の鎖線(イ)〜(ハ)
に示すように逆にトルク低減側への補正(サブスロット
ル開度の増加量を小さくする補正)のみを実行するよう
にすると、例えばセダンタイプの車両のように高出力よ
りはスムーズな走り感を要求される場合に適したものと
なる。
【0092】該補正制御では、フエイル時点から第1ピ
ーク値P11付近までは上記同様基本ラインaに沿ってサ
ブスロットルを開いて行く。そして、第1ピークP11
達すると、計算値の当該第1ピーク値P11を維持しなが
ら上記基本ラインaと平行な増大率でサブスロットルを
開いて行き、第2ピーク値P12が第1ピーク値P11より
も大きくならない限り上記第1ピーク値P11での制御を
実行して行く。この結果、低出力要求に応じた特性での
補正がなされる。
【0093】次に、同構成におけるトラクション制御停
止時のトルク調整量のフィードバック補正は、上記のよ
うに高出力側又は低出力側のみ補正するのでなく、例え
ば図10(B)に示すように、高出力側に補正する場合は
計算値が基本ラインaより高出力側に移行した時にの
み、その計算値に沿ってサブスロットルを開いて行くよ
うにし、他方、低出力側に補正する場合はそれと反対に
計算値が基本ラインaより低出力側に移行した時にの
み、その計算値に沿ってサブスロットルを開いて行くよ
うにしても良い。このようにすると、計算値に基く本来
の出力要求特性に応じ、それを強調する特性での補正が
なされる。又、計算値の急変があっても、それに対応し
た安定した制御が可能となる。
【0094】さらに、また同構成におけるトラクション
制御停止時のトルク調整量のフィードバック補正は、例
えば図10の(C)に示すように、本来のフィードバック
値(実線)のトルク低減側の値が大きければ出力低減側
に、他方逆にトルク増大側の値が大きければ出力増大側
に付加補正するようにすることもできる。この場合、上
記トラクション制御の徐々止めと本来のフィードバック
量の計算値との偏差を積分して出力値を決定する。該構
成では、例えば図示のように全体的に低出力側へのフィ
ードバック値が多い時は、上記積分値は低出力側への補
正となり、他方、これと逆の場合は高出力側への補正と
なる。従って、このように積分値を用いるようにする
と、計算値の急変があってもスロットルの変化が少な
く、ドライバーの走行要求に合った安定した出力特性で
の故障対策が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明の実施例に係る車両のスリッ
プ制御装置の全体構成図である。
【図2】図2は、同装置の制御系のブロック図である。
【図3】図3は、同装置の目標スリップ量を決定するた
めの回路図である。
【図4】図4は、同装置の下限制御値SM設定のための
マップ図である。
【図5】図5は、同装置のエンジン制御のフローチャー
トである。
【図6】図6は、同装置のフェーズ判定のための車輪速
を示すタイムチャートである。
【図7】図7は、同装置のフェーズ判定のためのブレー
キ液圧を示すタイムチャートである。
【図8】図8は、同装置のスリップ制御のタイムチャー
トである。
【図9】図9は、同装置のスリップ制御停止制御時のフ
ローチャートである。
【図10】図10は、同装置のトルク補正例を示す説明
図である。
【符号の説明】
2RL,2RRは駆動輪、70はスリップ制御手段、7
2はスリップ検出手段、73は目標スリップ量(閾値)設
定手段、74は路面摩擦係数算出手段、75はスリップ
判定手段、76は基本制御量演算手段、77はブレーキ
液圧推定手段、78はブレーキ液圧補正量演算手段、7
9は基本制御量補正手段、80はバルブ速度設定手段、
81はバルブ駆動手段である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02D 41/04 310 G 8011−3G

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの発生トルクを調整するトルク
    調整手段と、駆動輪の路面に対するスリップ値を検出す
    るスリップ検出手段と、該スリップ検出手段で検出され
    るスリップ値が所定の目標値となるように上記トルク調
    整手段を制御するトラクション制御手段とを備えてなる
    車両において、上記トラクション制御手段のフェイル状
    態を判定するフェイル状態判定手段と、該フェイル状態
    判定手段によって上記トラクション制御手段のフェイル
    状態が判定されたときに上記トラクション制御手段によ
    るトルク調整手段の制御を徐々に停止させるとともに所
    定方向へのトルク調整量のフィードバック補正を行うト
    ラクション制御停止手段とを設けたことを特徴とする車
    両のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 トラクション制御停止手段によるトルク
    調整量のフィードバック補正がトルク増大方向になされ
    るようになっていることを特徴とする請求項1記載の車
    両のスリップ制御装置。
  3. 【請求項3】 トラクション制御停止手段によるトルク
    調整量のフィードバック補正がトルク減少方向になされ
    るようになっていることを特徴とする請求項1記載の車
    両のスリップ制御装置。
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