JPH0798781B2 - 新規プロプラノロール誘導体 - Google Patents

新規プロプラノロール誘導体

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JPH0798781B2
JPH0798781B2 JP62220269A JP22026987A JPH0798781B2 JP H0798781 B2 JPH0798781 B2 JP H0798781B2 JP 62220269 A JP62220269 A JP 62220269A JP 22026987 A JP22026987 A JP 22026987A JP H0798781 B2 JPH0798781 B2 JP H0798781B2
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propranolol
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信一 島田
昇 川口
忠義 小山
明徳 若生
圭二 林
保義 竹下
雅道 中越
悟生 川西
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、β−遮断剤としてのプロプラノロールの生物
学的利用能、いわゆるバイオアベイラビリテイを向上す
るための新規なプロプラノロール誘導体に関する。
技術的背景 β−遮断剤として利用されるプロプラノロールは、経口
投与した場合、他の医薬と同様に肝臓での初回通過効果
を受けるため、その生体内でのバイオアベイラビリテイ
が低減されることが知られている。
例えば、プロプラノロールを経口投与した場合のバイオ
アベイラビリテイは33%にすぎないことが報告されてお
り、したがつて、その血中濃度のコントロールが困難で
あるという問題がある。
なお、医薬に薬効の持続作用を付与させるための徐放製
剤が開発されているが、上記初回通過効果が避けられな
いため高いバイオアベイラビリテイは得られない。
また、医薬にプロドラツグ化の手法の一つである科学的
部分修飾を利用する方法も試られたが、この方法は胃腸
からの吸収を改善することを意図したものであつて、
〔Clayton J.P.et al「ジヤーナルオブメデイカルケミ
ストリイ(J.Medical Chem.,)18(2)、172、(197
5)〕、肝臓での初回通過効果を回避するためのプロド
ラツグ化ではない。すなわち、プロプラノロールは勿論
のこと、一般的に医薬の肝臓での初回通過効果を回避す
るためのプロドラツグ化については未だ報告はみられな
い。
発明が解決しようとする課題 本発明は、経口投与した場合に、消化管から吸収されて
肝臓での初回通過効果を受けることなく、血液中に達し
てプロプラノロールに変換されるようにして、プロプラ
ノロールのバイオアベイラビリテイを改善するためのプ
ロプラノロール誘導体を提供することを課題とする。
以下本発明を詳しく説明する。
発明の構成 本発明の特徴は、下記一般式(I)で示されるプロプラ
ノロール誘導体及びその塩酸塩にある。
(ただし、式中Rは を表わす) 課題を解決するための手段 本発明に係るプロプラノロール誘導体は、プロプラノロ
ールに無水グルタル酸又は無水マレイン酸をエステル結
合させるか、或は上記無水グルタル酸をエステル結合さ
せたものを更にハロゲン化メチル又はハロゲン化エチル
と反応させることにより調製し得る。
また、プロプラノロール誘導体の塩酸塩は、塩酸プロプ
ラノロールを出発物質として用い、上記と同様に反応さ
せることにより得られる。
上記エステル結合は、反応物質を直接的に反応させても
行われるが、通常は溶媒、例えばトルエンの存在下に加
熱還流により反応させることが好ましい。反応は約5時
間攪拌下に行い、次いで放冷後、溶媒を留去して得られ
た油状物をカラムクロマトグラフイで精製して目的物を
得る。
上記反応により、上掲した各脂肪族ジカルボン酸の環状
無水物は前記一般式(I)に示されるように、プロプラ
ノロールにおける置換可能な水素原子を有する遊離基で
ある水酸基をエステル結合される。
次に、本発明に係るプロプラノロール誘導体(塩酸塩)
の赤外線吸収スペクトル、その遊離体のマススペクトル
並びにNMRスペクトル及びTLC(薄層クロマトグラフイ
ー)によるRf値を示すと下記のとおりである。
また、各誘導体化合物(塩酸塩)の生体内における吸
収、分布の状態を想定してpH2、4及び7.4の各緩衝液に
おいて元のプロプラノロールへの変換試験を下記により
行つた結果を示す。
試験方法: pH2、4及び7.4のBritton−Robinson緩衝液をそれぞれ
調製し、その各々800μlに、2mg/mlの濃度に調整した
各化合物の水溶液200μlを加え、37℃にインキユベー
トした。
得られた各反応液中から経時的に0、1、3、5、7及
び24時間後に100μlをそれぞれ取り出し展開溶媒で希
釈し、各条件下に高速液体クロマトグラフイ(HPLC)で
分析を行つた。
ペンタンジオイツクアシツドモノ〔{2−(1−メ
チルエチル)アミノ}−1−{(1−ナフタレンオキ
シ)メチル}エチル〕エステル及びその塩酸塩 イ)赤外線吸収スペクトル:第1図に示すとおり、 ロ)マススペクトル:第2図に示すとおり、1 H−NMRスペクトル:第3図に示すとおり、13 C−NMRスペクトル:第4図に示すとおり、 ハ)TLCによるRf値:0.41 展開溶媒……CHCl3:CH3OH=4:1 UVランプで発色 ニ)上記変換試験におけるHPLCの条件: カラム……ODS4.6φ×250mm YMC−Pack A 303 流速………1ml/min. 検出器……UV検出器 Range0.02 展開溶媒…CH3CN:CH3OH:10mM KH2PO4=2:3:5 検出波長……291nm 保持時間……11.0min. 結果は第11図に示すとおりである。
4−メトキシカルボニルブタノイツクアシツドモノ
〔{2−(1−メチルエチル)アミノ}−1−{(1−
ナフタレンオキシ)メチル}エチル〕エステル及びその
塩酸塩 イ)赤外線吸収スペクトル:第5図に示すとおり、 ロ)マススペクトル:第6図に示すとおり、 ハ)TLCによるRf値:0.75 展開溶媒……CHCl3:MeOH=5:1 UVランプで発色 ニ)上記変換試験におけるHPLCの条件: カラム……ODS4.6φ×250mm YMC−Pack A 303 流速………1ml/min. 検出器……UV検出器 Range0.02 展開溶媒…CH3CN:CH3OH:10mM KH2PO4=2:3:5 検出波長……291nm 保持時間……24.8min. 結果は第12図に示すとおりである。
4−エトキシカルボニルブタノイツクアシツドモノ
〔{2−(1−メチルエチル)アミノ}−1−{(1−
ナフタレンオキシ)メチル}エチル〕エステル及びその
塩酸塩 イ)赤外線吸収スペクトル:第7図に示すとおり、 ロ)マススペクトル:第8図に示すとおり、 ハ)TLCによるRf値:0.86 展開溶媒……CHCl3:CH3OH=4:1 UVランプで発色 ニ)上記変換試験におけるHPLCの条件: カラム……ODS4.6φ×250mm YMC−Pack A 303 流速………1ml/min. 検出器……UV検出器 Range0.02 展開溶媒…CH3CN:CH3OH:10mM KH2PO4=2:3:5 検出波長……291nm 保持時間……36.8min. 結果は第13図に示すとおりである。
(z)ブテンジオイツクアシツドモノ〔{2−(1
−メチルエチル)アミノ}−1−{(1−ナフタレンオ
キシ)メチル}エチル〕エステル及びその塩酸塩 イ)赤外線吸収スペクトル:第9図に示すとおり、 ロ)マススペクトル:第10図に示すとおり、 ハ)TLCによるRf値:0.16 展開溶媒……CHCl3:CH3OH=4:1 UVランプで発色 ニ)上記変換試験におけるHPLCの条件: カラム……ODS4.6φ×250mm YMC−Pack A 303 流速………1ml/min. 検出器…UV検出器 Range0.02 展開溶媒……CH3CN:10mM KH2PO4=1:2 検出波長……291nm 保持時間……6.2min. 結果は第14図に示すとおりである。
次に、上記の乃至の各化合物(塩酸塩)について、
血液中を想定したpH7.4の緩衝液における各化合物が元
のプロプラノロールに変換する速度として、上記緩衝液
中の各化合物が半減する時間(T1/2)及び該緩衝液中に
元のプロプラノロールが50%生成する時間(T′1/2)
を調べた結果を示すと表1のとおりである。
次に、本発明に係るプロプラノロール誘導体を実験動物
としてのイヌに経口投与した場合におけるバイオアベイ
ラビリテイの改善効果を調べた結果を下記に示す。
試験方法: 体重約10kgの雌性ビーグル犬を実験動物として、これに
被験医薬としての化合物を200mgを経口投与し、0.5、
1、2、4および6時間後にそれぞれ採血し、その血漿
中の化合物濃度を液体クロマトグラフイにより測定し
た。
なお、本例では、被験化合物として前記の化合物(後
記の実施例1で得られた化合物)を用い、また、対照と
して該化合物の元の医薬化合物である塩酸プロプラノロ
ールを同様に投与した。
上記試験結果を第15図並びに第16図に示す。第15図は、
塩酸プロプラノロールを200mg投与した場合の血漿中の
プロプラノロール濃度の経時的推移を示しており、第16
図は、前記の化合物を200mg投与した場合の血漿中の
プロプラノロール濃度と該化合物(遊離体)の濃度の経
時的推移を示している。
第15図及び第16図にみられるとおり、上記の化合物の
投与による血漿中のプロプラノロール濃度は、塩酸プロ
プラノロールの投与に比べ最高血中濃度(Cmax)が高く
なり、しかも最大血中濃度時間(Tmax)も早くなること
がわかる。殊に、投与直後の血中プロプラノロール濃度
は、の化合物の場合に顕著に高くなつたことから、吸
収が向上し、肝臓での初回通過効果が改善されることが
わかる。
また、プロプラノロールの血中濃度曲線下面積(AUC)
は、下記表2に示すとおり、塩酸プロプラノロール投与
に比べて上記の化合物の投与により顕著に向上してい
ることから、初回通過効果の回避によるバイオアベイラ
ビリテイの改善効果が認められる。
以下、実施例を示して本発明のプロプラノロール誘導体
の調製法を具体的に説明する。
実施例1 塩酸プロプラノロール1.5gと無水グルタル酸0.7gとトル
エン30mlの存在下に、5時間攪拌下に加熱還流を行つ
た。次いで、反応物を冷却後、トルエンを留去して得ら
れる油状物をカラムクロマトグラフイで精製した。生成
物としてペンタンジオイツクアシツドモノ〔{2−(1
−メチルエチル)アミノ}−1−{(1−ナフタレンオ
キシ)メチル}エチル〕エステル塩酸塩を2.0g(収率9
6.2%)得た。
この化合物のIRスペクトル並びにその遊離体のマススペ
クトルは添付の第1図並びに第2図に示すとおりであ
る。また、1H−NMRスペクトル並びに13C−NMRスペクト
ルは第3図並びに第4図に示すとおりである。
実施例2 塩酸プロプラノロール20gと無水グルタル酸9.3gをトル
エンの存在下に、5時間加熱還流を行つた。得られた反
応物を冷却後、トルエンを留去し、残留油状物を水に溶
かし、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10.0に調整
し、エーテルで洗浄した。生成した水層をpH5.0〜5.5に
調整してジクロルメタンで抽出した後、油層分から溶媒
を留去した。得られた油状物をジメチルホルムアミドに
溶かし、これに無水炭酸カリウム6.5gとヨウ化メチル8.
0gを加え、40〜50℃で4時間攪拌下に反応させた。得ら
れた反応液を濃縮し、水を加えてエーテル抽出した後、
濃縮して油状物を得た。この油状物に再びエーテルを加
えて塩化水素ガスでバブリングした後、これをカラムク
ロマトグラフイで精製した。
生成物として4−メトキシカルボニルブタノイツクアシ
ツドモノ〔{2−(1−メチルエチル)アミノ}−1−
{(1−ナフタレンオキシ)メチル}エチル〕エステル
塩酸塩を1.5g(収率5.2%)を得た。
この化合物のIRスペクトル並びにその遊離体のマススペ
クトルは添付の第5図並びに第6図に示すとおりであつ
た。
実施例3 塩酸プロプラノロール2.8gと無水グルタン酸1.3g及びヨ
ウ化エチル1.9gを用いて、実施例2に記載の手順に準じ
て操作を行つて、生成物として4−エトキシカルボニル
ブタノイツクアシツドモノ〔{2−(1−メチルエチ
ル)アミノ}−1−{(1−ナフタレンオキシ)メチ
ル}エチル〕エステル塩酸塩0.35g(収率8.4%)を得
た。
この化合物のIRスペクトル並びにその遊離体のマススペ
クトルは添付の第7図並びに第8図に示すとおりであつ
た。
実施例4 塩酸プロプラノロール1.5gと無水マレイン酸0.6gをトル
エンの存在下に、5時間攪拌しながら加熱還流を行つ
た。得られた反応物を放冷後、トルエンを留去し、残留
した油状物をカラムクロマトグラフイで分画して液体ク
ロマトグラフイで精製した。
生成物として(z)ブテンジオイツクアシツドモノ
〔{2−(1−メチルエチル)アミノ}−1−{(1−
ナフタレンオキシ)メチル}エチル〕エステル塩酸塩0.
35g(収率17.5%)を得た。
この化合物のIRスペクトル並びにその遊離体のマススペ
クトルは添付の第9図並びに第10図に示すとおりであ
る。
【図面の簡単な説明】
添付の第1図と第2図は実施例1の化合物の赤外線吸収
スペクトルとマススペクトルを示し、第3図と第4図は
同化合物のNMRスペクトルをそれぞれ示し、第5図と第
6図は実施例2の化合物の赤外線吸収スペクトルとマス
スペクトルを、第7図と第8図は実施例3の赤外線吸収
スペクトルとマススペクトルを、第9図と第10図は実施
例4の赤外線吸収スペクトルとマススペクトルをそれぞ
れ示す。 第11図乃至第14図は、実施例1乃至4の化合物の各pH緩
衝液における変換状態を示すHPLC分析の結果をそれぞれ
示したものである。 また、第15図と第16図は、塩酸プロプラノロール及びプ
ロプラノロール誘導体の塩酸塩を経口投与した場合の血
中のプロプラノロール濃度の経時的推移をそれぞれ示し
たものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 圭二 栃木県下都賀郡石橋町石橋578―15 西浦 ハイツ1―1 (72)発明者 竹下 保義 栃木県宇都宮市御幸町101―1 (72)発明者 中越 雅道 栃木県宇都宮市雀の宮4丁目752―8 雀 の宮レジデンス (72)発明者 川西 悟生 千葉県市川市中国分1―15―8 (56)参考文献 Journal of Pharmac eutical Sciences, 1978,67(10),1360−1363

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (ただし、式中Rは を表わす)で示されるプロプラノロール誘導体及びその
    塩酸塩。
JP62220269A 1987-09-04 1987-09-04 新規プロプラノロール誘導体 Expired - Lifetime JPH0798781B2 (ja)

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JPS6463555A JPS6463555A (en) 1989-03-09
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JournalofPharmaceuticalSciences,1978,67(10),1360−1363

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