JPH0798386B2 - 複合型制振材料製造用の粘弾性多層体 - Google Patents

複合型制振材料製造用の粘弾性多層体

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JPH0798386B2
JPH0798386B2 JP11348487A JP11348487A JPH0798386B2 JP H0798386 B2 JPH0798386 B2 JP H0798386B2 JP 11348487 A JP11348487 A JP 11348487A JP 11348487 A JP11348487 A JP 11348487A JP H0798386 B2 JPH0798386 B2 JP H0798386B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、複合型制振材料製造用の粘弾性多層体に係
り、より詳細には、機械や構造物の構成部材又はその一
部を構成してその機械や構造物の振動を減少させ、騒音
を低減させることができる振動吸収性能の高い複合型制
振材料を製造する際に使用される粘弾性多層体に関す
る。
[従来の技術] 近年、交通機関の発達や住居の工場への接近に伴なって
騒音や振動の問題が公害として社会問題化するようにな
り、また、職場においてもその作業環境の改善を目的と
して騒音や振動を規制する傾向にある。このような動向
に対応して、騒音源や振動源である金属材料に対して制
振性能を付与することやその制振性能の向上を図ること
が要請されている。
そこで、従来よりかかる制振性能を発揮する材料の一つ
として、2つの金属層の中間に粘弾性樹脂からなる粘弾
性中間層を挟み込んだ3層構造を有する複合型制振材料
が提案されており、例えば、自動車のオイルパン、エン
ジンカバー、ダッシュボードパネル及びフロアー、ホッ
パーのシュート部、搬送設備のストッパー、家電機器、
その他金属加工機械の振動低減部材や振動防止が望まれ
る精密機械の構造部材等において検討され採用されてい
る。
この場合、2つの金属層を構成する金属材料としては、
互いに相対面し、中間に粘弾性樹脂を挟み込んで制振材
料を構成し得るものであればよく、例えば、2枚の金属
板、2本の同心金属管、2本の型鋼、互いに重ね合わせ
ることができる2枚の成形体、金属成形体と当板、その
他の二層構造を有するものを挙げることができる。そし
て、ここに言う金属層を形成する金属としては、特に限
定されるものではないが、通常、鉄、アルミニウム、
銅、鉛、あるいは、これらを一成分とする合金類、さら
には亜鉛、錫、クロム等でメッキされた金属材料、及び
エポキシ樹脂、メラミン樹脂等で表面処理されたもので
あってもよい。
ところでこのような複合型制振材料の制振性能は、一般
にその粘弾性中間層の性能に依存しており、この制振性
能を損失係数(外部からの振動エネルギーが内部摩擦に
より熱エネルギーに変換する尺度を示し、振動による力
学的ヒステリシス損失に関する量)で表わすと、通常あ
る温度でピーク特性を示し、このピーク特性温度の近傍
で最も優れた制振性能が発揮されることが知られてい
る。
そして、このような複合型制振材料の粘弾性中間層を構
成する粘弾性樹脂としてはポリアミド(特開昭56−159,
160号公報)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(特開昭5
7−34,949号公報)、ポリビニルブラチールあるいはポ
リビニルブチラールとポリ酢酸ビニルとの配合物に可塑
剤、粘着付与物質を配合したもの(特公昭55−27,975号
公報)、イソシアネートプレポリマーとビニルモノマー
の共重合体(特公昭52−26,554号公報)、オレフィン系
樹脂多層体(特開昭60−82,349号公報)等が開示されて
おり、また本発明者等により非晶性熱可塑性ポリエステ
ルと低結晶性熱可塑性ポリエステルからなる樹脂組成物
(特開昭63−186,757号公報)、中心層粘弾性樹脂に架
橋剤を添加した多層体(特開昭62−152,751号公報)が
提案されている。
ところで、複合型制振材料に要求される特性としては、
第一に、制振性能が高いことがあげられ、これは一般に
損失係数の大小によって表現される。第二に、複合型制
振材料が構造部材としても使用され、また、プレス加工
等の二次加工も受けるため、粘弾性樹脂で構成される粘
弾性中間層と金属層との間の接着強度が高いことも要求
される。さらに、第三に、プレス加工を受けた複合型制
振材料は200℃程度まで加熱される焼付塗装工程を経る
こともあり、上記温度付近で粘弾性中間層が流出しない
ことも要求される。
一方、粘弾性樹脂と金属材料とを複合化し、複合型制振
材料を製造する方法としては、粘弾性樹脂を溶剤に溶解
させた塗料状のものを金属材料に塗布して貼り合わせる
方法、T−ダイ押出機等で金属材料上に粘弾性樹脂の中
間層を形成する方法、オフラインで製造したフィルム状
の粘弾性樹脂を中間層として金属材料の間に挟み込みホ
ットメルト接着する方法等が挙げられる。これらの方法
は、それぞれその得失があるが、複合化の作業性、作業
環境、製品品質の安定性等を考慮すると、フィルム状の
粘弾性樹脂を使用することが好ましい。
ところで、粘弾性樹脂のフィルム化については、例えば
100℃付近の高温領域において制振性能が要求される自
動車のエンジン付近等で使用される複合型制振材料(高
温用制振材料)のための粘弾性樹脂の場合、この粘弾性
樹脂のガラス転移温度は通常室温以上となり、フィルム
化は比較的容易であるが、常温領域で制振性能を発揮す
ることが要求される複合型制振材料(常温用制振材料)
のための粘弾性樹脂の場合、粘弾性樹脂のガラス転移温
度は通常室温以下となり、そのフィルム化が極めて困難
である。
例えば、特開昭63−186,757号公報に提案された非結晶
性熱可塑性ポリエステルと低結晶性熱可塑性ポリエステ
ルからなる樹脂組成物は、常温領域における制振性能及
び金属層との接着強度を充分に満足するものであるが、
常温で粘着性を有する組成物であるため、単独でのフィ
ルム化は困難であり、離型紙等の支持体が必要となり、
フィルム化工程が複雑となると共に複合型制振材料を製
造する際の作業性が劣化する。
また、特開昭62−152,751号の粘弾性多層体は、外側層
に常温で粘着性を有さない熱可塑性樹脂を用いる方法で
あり、単独フィルム化が可能である。しかし、制振性能
を付与する中心層粘弾性樹脂組成物と外側層熱可塑性樹
脂とが他系統の樹脂である場合、両層間の界面接着性が
不足し、これを補うために両層を架橋させる架橋剤を添
加する必要があり、フィルム製造工程が非常に複雑とな
る。
このように、上述した従来の粘弾性樹脂においては、製
造される複合型制振材料あるいは粘弾性樹脂それ自体に
おいてフィルム化の点で問題があり、充分満足し得るも
のではなかった。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は、かかる観点に鑑みて創案されたもので、予め
フィルムやシート等として成形可能であり、複合型制振
材料の粘弾性中間層として使用されて優れた制振性能を
付与すると共に、金属材料に対して良好な接着性を有
し、しかも、塗料焼付温度付近でも流出し難い粘弾性中
間層を形成することができる複合型制振材料を製造する
のに適した粘弾性多層体を提供するものである。
[問題点を解決するための手段] すなわち、本発明は、−30〜60℃のガラス転移温度を有
すると共にこのガラス転移温度において0.5以上の損失
正接(tan δ)を有する粘弾性樹脂で形成された中心層
と、この中心層の両面に設けられ、常温において粘着性
がなく、フィルム成形能を有する熱可塑性樹脂で形成さ
れた外側層とからなる少くとも3層構造を有する多層状
の薄膜に形成されている複合型制振材料製造用の粘弾性
多層体において、中心層粘弾性樹脂がポリエステル系樹
脂又はポリエステル系樹脂とポリエステル系以外の樹脂
の混合物であり、外側層樹脂が熱可塑性ポリエステル系
樹脂からなる複合型制振材料製造用の粘弾性多層体であ
る。
先ず、本発明において、複合型制振材料とは最初に述べ
たような2つの金属層の中間にこれらの金属層を互いに
接合する粘弾性中間層が挟み込まれた、いわゆる3層構
造を有するものであり、さらに、粘弾性中間層を形成す
る粘弾性多層体は、少なくとも3層構造を有するフィル
ム又はシート等の多層状の薄膜に形成されるものであ
る。
この粘弾性多層体の中心層を構成するものは、常温で制
振性能を発揮するものであり、−30〜60℃にガラス転移
温度を有する粘弾性樹脂組成物である。ガラス転移温度
が−30℃より低いと、複合型制振材料製造用の粘弾性組
成物に通常要求されるガラス転移温度の−30〜60℃にそ
のガラス転移温度を移行させるために、高融点固形樹
脂、充填剤等を多量に添加する必要が生じ、また、60℃
より高くなると、逆にガラス転移温度を低温側に移行さ
せるために多量の可塑剤を添加する必要が生じ、これら
各種添加剤を多量に使用した場合には接着性が低下した
り、高温時に流動し易くなる場合もある。また、このガ
ラス転移温度における損失正接(tan δ)については、
制振性能の観点から0.5以上、好ましくは0.7以上のもの
である必要がある。この損失正接(tan δ)が0.5より
小さいと満足し得る制振性能が発揮されない。
このような条件を満足する粘弾性樹脂の少くとも一成分
は、モノマー単位を適宜選定し、所望のガラス転移温
度、結晶化度及びガラス転移温度における損失正接(ta
n δ)の値が得られるという観点からポリエステル系樹
脂であり、このようなポリエステル系樹脂としては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト等の高結晶性飽和ポリエステルを高温でエチレングリ
コールに溶解し、トリエチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール等の飽和多価アル
コールを加え、エステル交換反応によって合成すること
が可能であり、また、飽和多価カルボン酸と飽和多価ア
ルコールを共重合することによっても合成することがで
きる。後者の合成法で使用する飽和多価カルボン酸とし
ては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、コ
ハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カンジオン酸、無水トリメリット酸等を挙げることがで
き、また、飽和多価アルコールとしては、エチレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、プロピレングリコール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、
トリメチロールプロパン等を挙げることができる。これ
ら単量体の組合せは数多くあり、希望する融点、ガラス
転移温度、非晶性や結晶性の程度等により適宜選定して
使用される。
また使用されるポリエステル系樹脂は1種類である必要
はなく2種以上のポリエステル系樹脂を混合した組成物
であってもよい。
また選定したポリエステル系樹脂の制振性能改良あるい
は弾性率の向上を計るためにポリエステル系樹脂以外の
樹脂をこのポリエステルと混合して使用してもよい。こ
のようなポリエステル系以外の樹脂としてはロール混
練、ニーダー混練、押出機混練等の通常方法で上記ポリ
エステル系樹脂と混練可能なものであれば特に制限され
るものではない。これらの樹脂としては例えば、ポリス
チレン、AS樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、耐衝撃性ポリスチ
レン等のスチレン系樹脂、ポリメチルアクリレート、ポ
リメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、
アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・ア
クリル酸エステル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリ
酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラ
ール等の酢酸ビニル系樹脂、エチレン・α−オレフィン
共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・
アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル
共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属架橋
物等のエチレン系樹脂、プロピレン・エチレン共重合
体、プロピレン・ブテン共重合体等のプロピレン系樹
脂、共重合ナイロンのような非晶質ポリアミド等の各種
熱可塑性樹脂を例示することができる。また、スチレン
・ブタジエンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、クロロ
プレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴ
ム、エチレン・アクリルゴム、EPDM等のエストラマー
や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
外側層として使用される樹脂は綱板との接着性及び中心
層の接着性の観点からポリエステル系樹脂であり、しか
もフィルム成形能の観点から熱可塑性である必要があ
る。
この外側層に使用するポリエステル系樹脂としては、中
心層粘弾性樹脂組成物として使用したポリエステル系樹
脂と同様に合成されたものでよく、希望するガラス転移
温度、非晶性や結晶性の程度等に応じ、製造される多層
体のフィルム強度、フィルム成形性等の観点から適宜選
定される。
また、得られた制振材料のプレス加工性に影響を及ぼす
剪断接着強度を向上さすために中心層粘弾性組成物及び
外側層熱可塑性ポリエステル系樹脂を鎖長延長剤あるい
は架橋剤により鎖長延長あるいは架橋することも可能で
ある。このような鎖長延長剤あるいは架橋剤としては、
ポリエステル系樹脂の場合、ポリエステル末端の水酸基
あるいはカルボキシル基と反応する官能基を分子内に2
個以上有する化合物であればよく、イソシアネート化合
物、アジリジル化合物、エポキシ化合物、酸無水物、金
属アルコラート等が例示され、さらに必要に応じて官能
基間の反応を促進するために各種触媒を使用することも
できる。
また、ポリエステル系以外の樹脂に関しては、樹脂の官
能基により適宜選定し得るものであるが、例えば、硫
黄、有機硫黄化合物、アルキルフェノール・ホルムアル
デヒト樹脂、熱反応性フェノール樹脂等の樹脂加硫剤、
ポリアミン、ポリオール、有機過酸化物、アミノ樹脂、
イソシアナート類、ポリアミドアミン、酸無水物等を挙
げることができ、必要に応じて適当な架橋促進剤、活性
剤、架橋遅延剤等と併用することもできる。また、中心
層を構成する粘弾性樹脂として2種以上の高分子物質の
混合物を使用した場合、全成分が架橋されていることは
必ずしも必要でなく、少くとも一成分が架橋されていれ
ばよい。
また、中心層粘弾性樹脂組成物のガラス転移温度を所望
の値に移行するために可塑剤を添加して使用することも
可能である。この目的で使用される可塑剤としては、例
えば、ポリエステル系可塑剤やポリエーテルエステル系
可塑剤、リン酸エステル類、エポキシ系可塑剤、フタル
酸ジエステル、セバシン酸ジエステル等のエステル系可
塑剤、トリメリット酸系可塑剤、塩素化パラフィン等を
挙げることができ、使用する粘弾性樹脂により適宜選定
して使用される。
反対に、ガラス転移温度の低い粘弾性樹脂に対しては、
そのガラス転移温度より高い融点を有する固形樹脂等の
物質を添加してピーク特性温度を高温側に移行させるこ
とも可能である。このような固形樹脂としては、例え
ば、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹
脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、ク
マロン・インデン樹脂、フェノール変性クマロン樹脂、
石油樹脂等を挙げることができ、使用する粘弾性樹脂と
の相溶性等を考慮して適宜選定して使用する。
さらに、上記粘弾性樹脂中には、必要に応じて炭酸カル
シウム、タルク、クレー、酸化チタン、ベンガラ、マイ
カ、ガラスフレーク、カーボンブラック、黒鉛、シリ
カ、アルミナ等の各種の充填剤を添加することができる
ほか、使用する粘弾性樹脂に応じて酸化防止剤、加工助
剤等の各種添加剤も使用することができる。
また、上記組成物に充填剤として導電性固体物質を配合
することにより導電性を付与し、得られる制振材料をス
ポット溶接可能な材料とすることもできる。このような
目的で使用される導電性物質としては、ステンレス、亜
鉛、スズ、銅、黄銅、ニッケル等の金属を粉末状、フレ
ーク状、ファイバー状、ワイヤー状等に加工した金属物
質や、銅メッキ処理したガラスフレークやファイバーあ
るいはニッケルメッキ処理したガラスフレーク等の金属
メッキ処理を施したものや、カーボンブラック、グラフ
ァイト、カーボンファイバー等の導電性炭素質物質等を
挙げることができる。これらの導電性物質は単独で使用
できるほか、2種以上を組合せて使用することもでき
る。そして、これらの導電性物質としては、金属複合材
料を製造した際に金属材料との間で良好な導電性を発現
させるために、さらに、より安定したスポット溶接を可
能とするために、金属物質が外層金属材料より軟質であ
ることが好ましい。この金属物質が粉末状である場合に
その最大粒径を、また、フレーク状である場合にはその
最大の厚さを、さらに、ファイバー状やワイヤー状であ
る場合にはその最大直径をそれぞれの代表長さ(L)と
したとき、より良好な導電性を発現させるために、この
代表長さ(L)と金属材料の間に接合された後の樹脂中
間層の全厚さ(T)との比(L/T)を0.5以上、好ましく
は0.8以上、より好ましくは1.0以上にするのがよい。
上記中心層を構成する少くとも一成分がポリエステル系
樹脂である粘弾性樹脂と外側層を構成する熱可塑性ポリ
エステル系樹脂とから本発明の粘弾性多層体を製造する
方法としては、フィルム状に成形された外側層の間に、
ドライラミネーション法、ホットメルトラミネーション
法、押出ラミネーション法等により粘弾性樹脂の中心層
を挟み込んで多層フィルムを製造する方法、共押出法や
多層インフレーション法により粘弾性樹脂の中心層とそ
の外側に位置する熱可塑性樹脂の外側層とを同時に成形
して多層化する方法等、公知の多層化技術を利用するこ
とができる。
本発明の粘弾性多層体において、その中心層と外側層の
厚さは、要求される制振性能等から適宜決定されるもの
であるが、中心層の厚さについては制振性能の観点から
10μm以上、好ましくは20μm以上であり、また、外側
層の厚さについては、多層体の強度や鋼板に対する接着
性能等の観点から5μm以上、好ましくは10μm以上で
ある。また、粘弾性多層体全体の厚さについては、接着
性の観点から30μm以上、好ましくは40μm以上であ
り、複合型制振材料のプレス加工性等の観点から300μ
m以下、好ましくは200μm以下である。
本発明の粘弾性多層体を使用して複合型制振材料を製造
する方法については、特に制限されるものではなく、切
板を使用するバッチ法、コイルを使用する連続法等、任
意の方法を採用することができる。また、金属材料とこ
の粘弾性多層体とを接着する方法についても、特に制限
はなく、例えば、2枚の金属材料の間にこの粘弾性多層
体を挟み込み、外側層の溶融温度により適宜設定された
温度で加熱圧着することにより可能である。
[作用] 本発明の粘弾性多層体は、その外側層が常温において粘
弾性がなく、フィルム成形能を有する熱可塑性ポリエス
テル系樹脂からなり、中心層の少くとも一成分がポリエ
ステル系樹脂からなる制振性を付与する粘弾性樹脂で形
成された多層構造体であり、両層にポリエステル系樹脂
を使用しており、両層界面の親和性が非常に高く多層体
と鋼板との接着強度が充分に確保できるものである。ま
た、常温でフィルム強度に乏しい粘弾性樹脂組成物であ
っても、あるいは常温で粘着性を有する粘弾性樹脂組成
物でも外側層を設け多層体とすることによりフィルム強
度を確保でき単体でフィルム化困難なものでもそのフィ
ルム化を可能にするものである。
[実施例] 以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の粘弾性多
層体を説明する。
まず、以下の実施例及び比較例で用いたポリエステル系
樹脂のポリエステルA〜Dは、以下のようにして製造さ
れた。
温度計、撹拌機及び部分還流式冷却管を備えた反応容器
中に、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)、セ
バシン酸(SA)及びアジピン酸(AA)から選ばれた多価
カルボン酸と、エチレングリコール(EG)、ネオペンチ
ルグリコール(NPG)、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物(BP−EO)及びヘキサンジオール(HD)
から選ばれた多価アルコールとを下記の組成(モル比)
となるように仕込み、これに触媒として少量の酢酸亜鉛
又は三酸化アンチモンを添加し、反応温度140〜220℃で
約3時間反応させ、次いで反応系を220〜250℃に昇温さ
せながら約80分かけてこの反応系内の圧力を1〜5mmHg
まで減圧し、更に、約270℃及び0.1〜0.3mmHgの条件で
約90分間重縮合反応させた。
得られたポリエステルA〜Dの組成(モル比)及びガラ
ス転移温度(Tg)は次の通りである。
ポリエステルA(Tg=28℃): 組成:TPA(35)/IPA(45)/SA(20)/EG(45) /NPG(55) ポリエステルB(Tg=15℃): 組成:TPA(38)/IPA(20)/AA(42)/EG(22) /NPG(50)/BP−EO(28) ポリエステルC(Tg=7℃): 組成:TPA(30)/IPA(30)/AA(40)/EG(65) /NPG(35) ポリエステルD(Tg=25℃): 組成:TPA(50)/IPA(50)/EG(40)/HD(60) 次に、このようにして製造したポリエステルA〜Dを用
い、以下の実施例及び比較例で試験に供した多層体を次
のようにして作製した。まず、中心層粘弾性組成物であ
るポリエステル系樹脂あるいはポリエステル系樹脂を含
む組成物は、120〜150℃のダイス温度でTダイ押出し
し、離型紙上に厚さ70μmのフィルムとして作製した。
一方、外側層はガラス転移温度が25℃であり常温で粘着
性のないポリエステル系樹脂(ポリエステルD)を溶剤
に溶解し離型紙上に塗布し乾燥することにより厚さ10μ
mのフィルムとして作製した。また比較例として使用し
た無水マレイン酸変性ポリプロピレンはT−ダイ押出し
てフィルムとした。
上記、別々に成形した中心層フィルムと外側層フィルム
とをプレスを使用し100〜150℃の温度で熱融着すること
によりフィルム状多層体を作製した。
このフィルム状多層体を2枚の0.8mm厚の冷延鋼板間に
挟み込み、180℃で1分間加熱圧着し、厚さ70μmの中
間粘弾性樹脂層を有する制振材料を得た。
なお、2種以上のポリエステル系樹脂あるいは他系の樹
脂を混合して使用する場合には、必要に応じて各種添加
剤を添加し、加圧型ニーダーにて180℃で混練し組成物
を得た。
また、T剥離接着強度は、JIS K 6854試験法に基いて50
mm/minの引張り速度で評価し、剪断接着強度はJIS K 68
50試験法に基いて5mm/minの引張り速度で評価し、ま
た、制振性能は機械インピーダンス法で振動吸収能を表
す損失係数(η)を測定し、ηの最大値(ηmax)及び
このηmaxを示すときの温度(Tp)を測定して評価し
た。
実施例1〜3及び比較例 中心層として第1表に示す粘弾性樹脂単品及び混合物を
用い、第2表に示す粘弾性多層体を得た。
これらの粘弾性多層体を鋼板に挟み込んで試験した結果
を第3表に示す。
中心層粘弾性組成物が少くとも1種類以上のポリエステ
ル系樹脂を含み、外側層がポリエステル系である実施例
1〜5では損失係数最大値が0.8以上を示すとともに、
T剥離、剪断接着強度が充分に高いものである。一方こ
れに対し、中心層粘弾性組成物にポリエステル系樹脂を
含まない比較例1及び外側層樹脂としてポリエステル系
樹脂以外の樹脂を用いた比較例2においてはいずれも高
い損失係数を示すものの、中心層と外側層の層間接着が
弱く、十分な接着強度を示さなかった。
[発明の効果] 本発明の粘弾性多層体は、2つの金属材料の間に挟み込
まれて優れた接着性と制振性能を発揮する粘弾性中間層
を形成するほか、フィルム化が可能であり、複合型制振
材料を製造するための粘弾性多層体として極めて有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 光郎 愛知県東海市東海町5―3 新日本製鐵株 式會社名古屋製鐵所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】−30〜60℃のガラス転移温度を有すると共
    にこのガラス転移温度において0.5以上の損失正接(tan
    δ)を有する粘弾性樹脂で形成された中心層と、この
    中心層の両面に設けられ、常温において粘着性がなく、
    フィルム成形能を有する熱可塑性樹脂で形成された外側
    層とからなる少くとも3層構造を有する多層状の薄膜に
    形成されている複合型制振材料製造用の粘弾性多層体に
    おいて、中心層粘弾性樹脂がポリエステル系樹脂又はポ
    リエステル系樹脂とポリエステル系以外の樹脂の混合物
    であり、外側層樹脂が熱可塑性ポリエステル系樹脂から
    なることを特徴とする複合型制振材料製造用の粘弾性多
    層体。
  2. 【請求項2】中心層を構成するポリエステル系樹脂が2
    種以上のポリエステル系樹脂からなる特許請求の範囲第
    1項記載の複合型制振材料製造用の粘弾性多層体。
  3. 【請求項3】中心層を構成するポリエステル系樹脂又は
    ポリエステル系樹脂とポリエステル系以外の樹脂からな
    る混合物が架橋剤で架橋されている特許請求の範囲第1
    項又は第2項記載の複合型制振材料製造用の粘弾性多層
    体。
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