JPH0798299B2 - 搬送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ワークなどを搬送、位
置決めを行う搬送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ワークなどの搬送、位置決めを行う装置
としてワークの加工を自動的に行うトランスファーマシ
ンが知られており、位置決めを行うマニピュレータ、搬
送を行うコンベアなど複数の搬送装置により構成されて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の装置では搬送及び位置決めを行う装置をそれぞれ備
えるため、これら装置の導入には配置上の制約を受ける
だけでなく高価になってしまうという問題点が発生し
た。

【０００４】そこで本発明は、ワークなどの搬送及び位
置決めを同時に行うことが可能な搬送装置を提供するこ
とを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、レール上を移
動自由に支持されるパレットを備えた搬送装置におい
て、レールに沿ってラックを設ける一方、前記ラックと
係合する駆動ピニオンをパレットに軸支し、パレットに
前記レールの側面に係合するとともに挟持する一対のロ
ーラを設け、少なくともこれらローラの前方または後方
に位置してレールを両側面から挟持する一対のガイドロ
ーラを配設し、これら各ガイドローラを前記ローラの軸
に取り付けた旋回アームに支持し、かつガイドローラを
レールの側面に圧接するように付勢する弾性部材を前記
旋回アームとパレットとの間に介装する。

【０００６】また、レールを挟持するローラの軸は、少
なくとも一方が偏心軸として形成され、この偏心軸は基
端側をパレットで回動可能に支持されるとともに締結手
段を介して前記パレットへ選択的に締結される一方、ロ
ーラを軸支する他端側が前記基端側に対して所定量だけ
偏心する。

【０００７】

【作用】したがって、パレットはレールを挟持する一対
のローラに支持されてレール上を案内されて移動し、ロ
ーラの軸で回動自由に支持された旋回アームに軸支され
たガイドローラが弾性部材に付勢されてレールの側面を
挟持するため、パレットはレールに対して所定の角度を
保持して移動することができ、レールに設けたラックと
係合する駆動ピニオンを所望の駆動手段で回転させて搬
送、位置決めを行う。

【０００８】また、締結手段を緩めた状態で偏心軸を回
動させることで、偏心軸に支持されたローラは偏心量と
回動位置に応じてレールへ接離する方向へ変位し、レー
ルを挟持する一対のローラの軸間距離が変更される。レ
ールを挟持するローラの圧力を容易に調整することがで
き、再び締結手段を締結することでローラをパレットに
固定してローラの挟持圧力を保持することができる。

【０００９】

【実施例】図１〜４に本発明の実施例を説明する。

【００１０】図１〜４において、１は平板状部材により
形成されたレールで、両側側面の上下に所定の角度を備
えた傾斜部１１を設ける一方、上面にはラック２の底部
と係合する凸部１２を突設している。レール１の上面に
は歯面２１を外周に向けて設けたラック２が凸部１２と
係合すると共に、図示しないボルトによってレール１の
上面に締結されてレール１と平行な長円形の無端軌道を
形成する。

【００１１】３は平板状部材により形成されたワークな
どを載置するパレットで、レール１の各側面に係合する
と共に挟持するローラ４、４でレール１上を移動自由に
支持される。

【００１２】図３に示すように、レール１と直交する方
向で所定の間隔を備えてパレット３を貫通して下方に突
出した軸３１と偏心軸３２が締結され、これら軸３１及
び偏心軸３２の下端にはベアリング４０を介してローラ
４がそれぞれ回動自由に取り付けられてパレット３をレ
ール１の上面から所定の高さに保持すると共にレール１
に沿って移動自由に支持する。ここで、偏心軸３２は内
周に貫通孔３２Ａを備えた円筒部材で形成され、外周は
パレット３に形成された貫通孔３Ａに嵌合して回動可能
に支持される基端側としての上部と、パレット３の底面
と当接すべく外径を上部に比して拡大した段部３Ｂを備
えるとともに、旋回アーム５ｂ、６ｂを軸支する中央部
と、ベアリング４０の内周と嵌合する外周３２Ｄを備え
る他端側としての下部とから構成され、この下部に形成
された外周３２Ｄは貫通孔３Ａに嵌合する偏心軸３２の
上部に対して、すなわち、パレット３に形成した貫通孔
３Ａに対して所定量ｅだけ偏心し、偏心軸３２を回動さ
せると、偏心量ｅに応じて外周３２Ｄで支持したローラ
４をレール１と接離する図中水平方向へ変位可能とな
る。この偏心軸３２は段部３Ｂをパレット３の底面３に
当接させるとともに、貫通孔３２Ａに挿通したボルト３
２Ｂが図中上方から挿通されて偏心軸３２の下端から所
定量だけ突出し、この下端に締結したナット３２Ｃによ
って偏心軸３２がパレット３に締結される。一方、この
偏心軸３２と対峙する位置でパレット３に締結された軸
３１は同軸的にベアリング４０及びローラ４を支持し、
これら対峙するローラ４、４の軸間距離は偏心軸３２の
回動に応じて変更可能となる。

【００１３】ローラ４の側面にはＶ字状に形成された溝
４１が設けられ、この溝４１がレール１の側面に設けた
傾斜部１１と係合してパレット３の荷重を支持する。軸
３１及び偏心軸３２のローラ４、４はレール１の側面を
挟持する。偏心軸３２に支持されたローラ４は、ナット
３２Ｃを緩めてから偏心軸３２を回転させることによ
り、偏心軸３２に支持されたローラ４と軸３１に支持さ
れたローラ４との軸間距離は偏心量ｅに応じて変更さ
れ、偏心軸３２を所定の位置へ回動させることで、ロー
ラ４、４は所定の圧力でレール１へ圧接し、この状態で
ナット３２Ｃを締結すればローラ４、４はがたのない状
態でレール１を挟持することができる。

【００１４】軸３１及び偏心軸３２のパレット３とロー
ラ４との間には一端を回動自由に支持された旋回アーム
５ａ、５ｂ及び旋回アーム６ａ、６ｂが同軸上の上下に
取り付けられ、旋回アーム５ａ、５ｂ及び旋回アーム６
ａ、６ｂの自由端は軸３１又は偏心軸３２を中心として
対向する位置にそれぞれ配設される。旋回アーム５ａ、
５ｂ及び旋回アーム６ａ、６ｂの自由端には軸５１及び
軸６１がそれぞれ下方に向けて立設され、これら軸５
１、６１の下端にはローラ４と平行な位置でガイドロー
ラ７ａ〜７ｄが回動自由にそれぞれ取り付けられる。ガ
イドローラ７ａ〜７ｄの側面にはローラ４と同様のＶ字
状の溝４１が設けられてレール１の傾斜部１１と係合す
る。

【００１５】さらに旋回アーム５ａ、５ｂの自由端の端
面からはピン５３がそれぞれ上方に向けて突設され、こ
れに対応してパレット３の端面中央部から水平方向にピ
ン３３が突設され、ピン５３とピン３３との間には弾性
部材としてのスプリング９が介装されて所定の初期過重
で旋回アーム５ａ、５ｂの自由端をレール１の側面に向
けて付勢し、すなわち、ガイドローラ７ａ、７ｂはスプ
リング９によって溝４１をレール１の傾斜部１１に押圧
する。

【００１６】旋回アーム６ａ、６ｂも旋回アーム５ａ、
５ｂと同様にして自由端の端面より突設したピン６３と
パレット３から突設したピン３３との間にスプリング９
を介装し、所定の初期過重で旋回アーム６ａ、６ｂの自
由端をレール１の側面に向けて付勢することで軸６１に
取り付けたガイドローラ７ｃ、７ｄをレール１の側面に
押圧する。

【００１７】軸３１に設けた旋回アーム５ａと偏心軸３
２に設けた旋回アーム５ｂはレール１を挟んで互いに対
向する位置で平行に配設され、軸５１を介して旋回アー
ム５ａ、５ｂに取り付けられたガイドローラ７ａ、７ｂ
はスプリング９、９に付勢されてレール１の側面を挟持
し、同様にして旋回アーム６ａ、６ｂもレール１を挟ん
で互いに対向する位置で平行に配設され、軸６１を介し
て旋回アーム６ａ、６ｂに取り付けられたガイドローラ
７ｃ、７ｄでレール１の側面を挟持する。パレット３は
レール１に係合してこれを挟持するローラ４、４で荷重
を支持するとともにレール１に案内され、さらに旋回ア
ーム５ａ、５ｂ及び旋回アーム６ａ、６ｂのガイドロー
ラ７ａ〜７ｄによっても案内される。

【００１８】レール１に締結したラック２の歯面２１に
はパレット３を貫通して回転自由に支持された軸８０の
下端に取り付けられた駆動ピニオン８が噛み合わされ、
軸８０に結合した図示しないステップモータなどの駆動
手段により駆動ピニオン８が駆動されてパレット３はレ
ール１上を移動する。

【００１９】以上のように構成され、次に作用について
説明する。

【００２０】ローラ４によって荷重を支持されたパレッ
ト３は、進行方向に向かってローラ４の前後に互いに対
向して配設されたガイドローラ７ａ〜７ｄがスプリング
９による均等な初期荷重で付勢されるため、レール１の
直線部ではパレット３の幅方向の中心線がレール１と平
行となり、駆動ピニオン８の軸８０をステップモータな
どで所定のピッチを駆動することでパレット３に載置し
たワークなどを目標位置まで搬送する。

【００２１】一方、図２に示すようにパレット３ａが駆
動ピニオン８を駆動してレール１の曲線部に達すると、
レール１の曲線部の内周に位置するガイドローラ７ｅは
軸３１を中心とする円弧に沿ってレール１の内側に沿っ
て変位してスプリング９を引っ張る一方、外周に位置す
るガイドローラ７ｆはスプリング９に付勢されてレール
１の外周を挟持する。

【００２２】このレール１の曲線部において、旋回アー
ム５ａ、５ｂ及び旋回アーム６ａ、６ｂに設けたガイド
ローラ７ｅ、７ｆがレール１を押圧する力は内周側で増
大し、外周側で減少するが、ローラ４、４が偏心軸３２
に押圧されると共に軸３１と偏心軸３２との間隔は不変
であるため、ローラ４、４を結ぶ線はレール１の内周と
外周を結ぶ最短距離である半径と常時一致し、パレット
３の幅方向の中心線はレール１の中心の曲率の接線と常
時一致する。すなわち、パレット３の中心線は常時レー
ル１の半径と直交するため、ガイドローラ７ｅ、７ｆを
レール１に付勢する力が変化してもパレット３の中心線
とレール１の半径との角度は変化することがなく、パレ
ット３に載置したワークなどを正確に位置決めすること
が可能となり、また、ナット３２Ｃを緩めて偏心軸３２
を回動させることでローラ４、４の軸間距離を変更し、
レール１を挟持するローラ４、４の圧力を容易に調整す
ることが可能となり、再びナット３２Ｃを締結すること
で偏心軸３２をパレット３に固定して調整したレール１
の挟持圧力を保持することができ、ローラ４、４は常時
がたのない状態でレール１を挟持可能となって、パレッ
ト３の正確な位置決めを行うことができる。

【００２３】図５は他の実施例を示し、レール１を交互
に屈曲する曲線部を含んで構成したものであり、駆動ピ
ニオン８が係合するラック２はこれら曲線部において、
歯面２１を外周に面して備えた外歯曲線ラック２０と、
歯面２１を内周に面して備えた内歯曲線ラック２２とで
構成したものであり、その他の構成は上記実施例と同様
である。

【００２４】歯面２１を同一側面に備えた外歯曲線ラッ
ク２０と内歯曲線ラック２２とで屈曲路を構成したた
め、駆動ピニオン８は外歯曲線ラック２０と内歯曲線ラ
ック２２と順次係合してパレット３を駆動することがで
きる。

【００２５】なお、上記実施例においてパレット３の荷
重をローラ４及びガイドローラ７で支持したが、パレッ
ト３で重量物を搬送する場合には図示はしないがパレッ
ト３の下面に軸支されてレール１の表面に当接する支持
ローラなどを設けて荷重を分散支持することができる。

【００２６】また、上記実施例においてレール１の上面
にパレット３を配設したが、図示はしないが把持装置な
どを取り付けたパレット３をレール１の下面に垂下して
も良い。

【００２７】

【発明の効果】 以上のように本発明によれば、一対の
ローラでレールを挟持するとともに、同軸的に連結した
旋回アームに設けたローラでレールを挟持するため、パ
レットはレールに対して常時平行を保持することがで
き、また、レールの曲線部においてもパレットの中心線
をレールの曲率に応じた接線と平行に保持することが可
能となり、レールに設けたラック上をパレットに軸支し
た駆動ピニオンを駆動することによりパレットを移動す
るとともに、所定の位置に停止させることが可能とな
り、単一の搬送装置で搬送、位置決めを行うことが可能
となり、また、偏心軸によって一対のローラの軸間距離
を変更することでローラの挟持圧力を調整することが可
能となって、一対のローラは常時がたのない状態でレー
ルを挟持可能となってパレットの正確な位置決めを行う
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す正面図である。

【図２】同じく平面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図４】図２のＢ−Ｂ断面図である。

【図５】他の実施例を示す平面図である。

【符号の説明】

１ レール ２ ラック ３ パレット ４ ローラ ５ａ、５ｂ 旋回アーム ６ａ、６ｂ 旋回アーム ７ａ、７ｂ、７ｃ、７ｄ ガイドローラ ８ 駆動ピニオン ９ スプリング ３１ 軸 ３２ 偏心軸

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レール上を移動自由に支持されるパレッ
   トを備えた搬送装置において、レールに沿ってラックを
   設ける一方、前記ラックと係合する駆動ピニオンをパレ
   ットに軸支し、パレットに前記レールの側面に係合する
   とともに挟持する一対のローラを設け、少なくともこれ
   らローラの前方または後方に位置してレールを両側面か
   ら挟持する一対のガイドローラを配設し、これら各ガイ
   ドローラを前記ローラの軸に取り付けた旋回アームに支
   持し、かつガイドローラをレールの側面に圧接するよう
   に付勢する弾性部材を前記旋回アームとパレットとの間
   に介装したことを特徴とする搬送装置。
2. 【請求項２】 レールを挟持する前記一対のローラの軸
   は、少なくとも一方が偏心軸として形成され、この偏心
   軸は基端側をパレットで回転可能に支持されるとともに
   締結手段を介して前記パレットへ選択的に締結される一
   方、ローラを軸支する他端側が前記基端に対して所定量
   だけ偏心したことを特徴とする請求項１に記載の搬送装
   置。