JPH0798267B2 - ろう付け方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アモルスファスろう箔を用いる金属材のろう
付け方法に関する。

〔従来の技術〕

ろう付け製品の一つとして、チューブプレートと波形フ
ィンとをろう付けで交互に積層したプレートフィン型熱
交換器がある。この型式の熱交換器は、最近は高温流体
用途にも用いられており、その場合の材質はステンレス
鋼が多い。ステンレス鋼製のプレートフィン型熱交換器
には、ろう材としてアモルファス箔が用いられる。アモ
ルファスろう材は、他のろう材のように金属表面に薄膜
として一体被覆することができず、通常はコイルに巻か
れた幅１〜２インチのテープ箔として市販されている。
そのため、プレートフィン型熱交換器の仮組みにおいて
は、第６図に示すように、チューブプレート１と波形フ
ィン２との間にろう箔３を隙間なく、しかも互いに重な
らないように並べる必要がある。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところが、アモルファスろう箔は、滑り易く、重なりや
隙間が生じないように並べようとすると、仮組みに長時
間を要する。また、時間をかけて仮組みを行っても、結
果的にろう箔が重なったり若干の隙間が生じている場合
が少なくない。その場合はろう箔の継目部分が接合不良
になり易い。また、円筒部材の周面のような曲面に対し
ては、ろう箔の固定自体が困難である。仮組み前に粘着
剤を用いてろう箔を仮止めする方法は知られている。し
かし、その方法では通常、仮組み後ろう付け前に粘着剤
を洗浄除去する必要があり、作業工数の増大や粘着剤の
除去に伴う部材ずれが生じる。洗浄除去を必要としない
粘着剤も知られているが、ろう付け品質に対する悪影響
を完全に排除することは困難である。また、いずれの場
合も粘着剤を塗布することによる作業工数の増大が問題
になる。

本発明の目的は、これらの問題点を全て解決するろう付
け方法を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明のろう箔固定方法は、接合すべき金属材の間にア
モルファスろう箔を介在させ、そのろう箔を溶融させて
前記金属材を接合する金属材のろう付けにおいて、前記
金属材を組み立る前にその接合面にアモルファスろう箔
を、複数位置にスポット溶接を行うことにより接合面に
沿った使用状態に仮止めし、しかる後に前記金属材を組
み立て接合するものである。

〔作用〕

本発明のろう付け方法においては、滑り易いアモルファ
スろう箔を使用するにもかかわらず、そのろう箔が背
面、曲面を問わず、希望する位置へ確実に固定され、滑
りによる位置移動が生じない。

〔実施例〕

以下に本発明法をプレートフィン型熱交換器の製造に適
用した場合について具体的に説明する。

先ず、第１図に示すように、プレートフィン型熱交換器
に使用されるステンレス鋼製のチューブプレート１の一
方の表面の一側縁部に、チューブプレート１とほぼ同じ
長さに切断したアモルファスからなるテープ状のろう箔
３を載せ、その両端部を各端部複数点のスポット溶接に
てチューブプレート１に接合する。

溶接部４は、例えばスペーサバーの組立位置から若干内
側に入ったチューブプレート端縁から10数mmのところと
し、ろう箔幅方向には２インチ幅あたり２〜４点とする
のがよい。

溶接条件は、電極先端の接触径については0.5〜1.5mm
（平均約1mm）が適当である。溶接電力については、ろ
う箔の厚み等によって適宜決められ、36μｍ厚の場合で
20〜60ws（平均約40ws）が適当である。溶接電力が過大
になると、ろう箔３のみが溶融するとか、溶接部４に盛
り上がりが生じるといったろう付け不良につながる弊害
が生じ、逆に溶接電力不足の場合は充分な接合強度が得
られない。

チューブプレート１の一方の表面に一側部から他側部に
かけてろう箔３が固定されると、第２図に示すように、
チューブプレート１の他方の表面にも同様にろう箔３を
並べて固定する。3aはチューブプレート１の一方の表面
（図では裏面）に先に固定されたろう箔、4aはその溶接
部を表わしている。

チューブプレート１の他方の表面にろう箔３を固定する
場合は、その溶接部４が、チューブプレート１の一方の
表面にろう箔3aを固定する溶接部4aに重ならないように
するのがよい。

チューブプレート１の両面全体にろう箔３が固定される
と、これと波形フィン２とを交互に積層して熱交換器を
仮組みする（第６図参照）。このとき、チューブプレー
ト１に固定されたろう箔３に離脱や移動は生じない。従
って、熱交換器が短時間に仮組みされ、且つ仮組み時に
ろう箔３がずれるおそれもない。

仮組みが終わった熱交換器は、所定の真空下でろう箔３
の融点以上に加熱される。ろう箔３に重なりや隙間が生
じていないので、これらに起因するろう付け不良は生じ
ず、高品質な熱交換器が製造される。

以上は、チューブプレート１の両面にろう箔３を一層に
敷きつめた例であるが、第３図および第４図に示すよう
に、ろう付け強度を局部的に大きくしたり、ろう箔３の
継目に充分な耐漏洩性を与えたりするために、ろう箔３
を複数枚重ねることもできる。その場合も、ろう箔３は
希望の位置へ確実に固定され、仮組み時に離脱や位置ず
れが生じるおそれがない。

また、本発明法は、第５図に示すように、円筒体５の周
面の如き曲面上にもろう箔３を確実に固定し、高い接合
品質を得ることができる。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなように、本発明のろう付け方法
は、アモルファスろう箔の離脱や位置ずれを確実に防止
し、ろう付け製品の仮組みに要する時間を著しく短縮す
ると共に、ろう箔の離脱や位置ずれに起因するろう付け
不良を防いで、ろう付け製品の品質向上に寄与する。ま
た、複数枚のろう箔を重ねる場合や曲面上にろう箔を敷
く場合にも、ろう箔を確実に固定し、高い接合品質を得
ることができる。更に、粘着剤を塗付する工程も洗浄除
去する工程も必要としないので、粘着剤を用いてろう箔
を仮止めする場合に比べて、作業能率を著しく改善する
ことができる。更にまた、洗浄除去に伴う部材ずれや、
粘着剤の残存によるろう付け品質の低下も生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本発明法をプレートフィン型熱交換器
の製造に適用した場合のろう箔固定手順を示す模式図、
第５図はろう箔固定法を示す模式図、第６図はプレート
フィン型熱交換器のろう付けを説明するための模式図で
ある。 1:チューブプレート、2:波形フィン、3:ろう箔、4:溶接
部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】接合すべき金属材の間にアモルファスろう
   箔を介在させ、そのろう箔を溶融させて前記金属材を接
   合する金属材のろう付けにおいて、前記金属材を組み立
   る前にその接合面にアモルファスろう箔を、複数位置に
   スポット溶接を行うことにより接合面に沿った使用状態
   に仮止めし、しかる後に前記金属材を組み立て接合する
   ことを特徴とするろう付け方法。