JPH0797727A - 紡機における清掃装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 糸切れ時のフリースを確実に除去するととも
に、機台周辺に浮遊する風綿を効果的に回収する。 【構成】 精紡機機台１にはダストコレクタ４とニュー
マチッククリヤラ１１とが併設れている。ダストコレク
タ４は精紡機機台１内のドラフト装置３の下方に配置さ
れ、機台長手方向に延びるとともに吸気口６及び排気口
７を有する一対のダクト５を備えている。ダクト５内に
はラインシャフト８が回転可能に配設され、ラインシャ
フト８には吸引気流Ｆ１と吹出気流Ｆ２を発生させるク
ロスフローファン（回転羽根車）９が取り付けられてい
る。ニューマチッククリヤラ１１はダストコレクタ４の
下方に配置され、ダクト５の下方に機台長手方向に延び
るニューマダクト１２を備えている。ニューマダクト１
２はフロントローラ３ａ前方に配置されたフルート１４
と吸気管１５を介して接続されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は紡機の機台周辺に浮遊す
る風綿を除去するとともに風綿の機台への堆積を防止す
る紡機における清掃装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、精紡機においては糸切れ時にド
ラフト装置から送出されるフリースが糸切れ錘以外の錘
に悪影響を及ぼして糸切れを誘発する虞れがある。その
ため、糸切れ時には連続供給されるフリースが他の錘に
悪影響を及ぼさないように除去されるようになってい
る。糸切れ時のフリースを除去する装置としてニューマ
チッククリヤラとダストコレクタとが知られ、通常はこ
れらのうちいずれか一方が機台に配備されている。

【０００３】ニューマチッククリヤラは、機台長手方向
に延びるニューマダクトを備え、ドラフト装置の前方に
配置されたフルート（実開昭５１−２４３３１号公報
等）が吸気管を介してニューマダクトと接続されてい
る。機台運転時にはニューマダクト内が負圧発生装置に
より負圧となり、フロントローラの前方にフルートの吸
引口に流入する気流が発生する。そして、糸切れ時にフ
リースがフルートの吸引口から吸引除去されるようにな
っている。通常、フルートの吸気孔は高い負圧を得るた
めにフリースが通過可能な程度に小さな開口面積に形成
されている。

【０００４】又、ダストコレクタとして例えば特開昭６
３−２８２３２２号公報に開示されたものがある。この
ダストコレクタは、機台中央に左右両側に吸気用開口部
を有するダクトを機台長手方向全長にわたって配備し、
ダクト中央部にはモータの駆動軸に連結されたラインシ
ャフトが機台長手方向に延びるように配設されている。
ラインシャフトには吸気用開口部を介してダクト内へ吸
引気流を発生させる回転羽根車が取り付けられている。
又、機台両端にて複数のプーリに巻掛けられた無端状の
吸着ネットが左右両側の吸気用開口部を覆う状態で周回
可能に配設されている。機台運転時にはローラパート及
びスピンドルパート周辺から吸気用開口部に向かう吸引
気流が発生し、この吸引気流により空気中に飛散した風
綿等や糸切れ時のフリースが吸着ネット上に吸着される
ようになっている。

【０００５】しかし、このダストコレクタによると発生
する吸引気流が弱く実際には糸切れ時のフリースを確実
に吸引することができないので、通常は例えば実開平３
−３８３７０号公報に開示されたように、ダクトに吸気
用開口部からフロントローラ前方に延びるガイド板を設
けている。そして、ガイド板によりフロントローラ前方
にフリースを吸引するに充分強い吸引気流を確保して、
フリースを確実に吸引できるようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、ニューマチ
ッククリヤラの場合、前記のようにフルートの吸気孔が
小さな開口面積に形成されている。そのため、正常紡出
時には糸に撚り込まれない繊維は吸引されにくく、空気
中に飛散している。又、糸切れ時のフリース先端の繊維
はばらけて広がった状態にあるため、充分に吸引されず
空気中に飛散することがある。

【０００７】又、ダストコレクタの場合、糸切れ時のフ
リースを吸引除去するニューマ機能を優先させるため、
その配設場所や吸引気流の発生域がドラフト装置近くに
制約されていた。そのため、風綿除去に効果的な場所に
吸引気流や吹出気流を発生させて機台周辺に浮遊または
付着する風綿を効率良く除去することができないのが現
状であった。又、フリースを吸引するに充分強い吸引気
流を確保するため、大型の回転羽根車を使用したり回転
羽根車を高速回転する必要があり大型の駆動モータが必
要であった。さらに、ガイド板を設けたダストコレクタ
の場合には、必ずしも大型のモータを必要としないが、
発生する吸引気流がかなりの割合でフロントローラの前
方部に集中してしまうので、風綿を回収するというダス
トコレクタ本来の機能が損なわれていた。

【０００８】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は糸切れ時のフリースを確実に吸
引することができるとともに、機台周辺に浮遊する風綿
を効果的に回収することができる紡機における清掃装置
を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め本発明では、糸切れ時のフリースを吸引除去するフル
ートをフロントローラ前方に備えたニューマチッククリ
ヤラと、紡機機台の長手方向に沿って配設されるととも
に吸気用開口部及び排気用開口部を有するダクト内に、
前記吸気用開口部を介して前記ダクト内に流入する吸引
気流と前記排気用開口部を介して前記ダクト内から流出
する吹出気流とを発生させる回転羽根車を回転可能に設
け、前記吸気用開口部を移動可能な吸着ネットで覆う状
態としたダストコレクタとを備えた。

【００１０】

【作用】本発明によれば、糸切れ時のフリースの吸引除
去は、フロントローラの前方に配置されたフルートから
フリースが吸引されることによりニューマチッククリヤ
ラにより行われる。そのため、ダストコレクタが糸切れ
時のフリースを除去するニューマ機能を兼ねる必要がな
くなるので、ダストコレクタの配設場所を適宜に選択す
ることが可能となる。又、ダストコレクタの吸気用開口
部や排気用開口部の位置や向きも適宜に設定可能とな
る。ダストコレクタを風綿除去に効果的な位置に配設
し、吸気用開口部や排気用開口部を風綿除去に有効な位
置や向きに設定することにより、風綿等が吸引気流とと
もに吸気用開口部に運ばれて吸着ネット上に効率良く回
収される。

【００１１】

【実施例】以下、本発明を精紡機に具体化した一実施例
を図１に従って説明する。図１に示すように、精紡機機
台１を構成するスプリングピース（図示せず）は精紡機
機台１のギヤエンドとアウトエンドの間に所定間隔で配
置され、ローラビーム２を介して連結されている。ロー
ラビーム２上にはドラフト装置３が配設されている。ド
ラフト装置３の下方には、機台長手方向（図１の紙面と
直交する方向）に沿ってダストコレクタ４が配設されて
いる。ダストコレクタ４は一対のダクト５を備え、両ダ
クト５は図示しないボルトによりローラビーム２に固定
された状態で配設されている。ダクト５には機台外方側
の側部に吸気用開口部としての吸気口６がほぼ長手方向
全長にわたって形成され、上部には排気口７が同様にほ
ぼ長手方向全長にわたって形成されている。

【００１２】両ダクト５内の中央には機台長手方向に延
びるラインシャフト８が回転可能に配設され、機台端部
に配設された駆動モータによりベルト伝動機構（いずれ
も図示せず）を介して互いに逆向きに回転駆動されるよ
うになっている。ラインシャフト８は複数に分割される
とともにカップリングを介して連結され、軸受を介して
支持されている。ラインシャフト８には回転羽根車とし
てのクロスフローファン９が軸方向に多数取付けられて
いる。クロスフローファン９はラインシャフト８の回転
に伴い同図矢印方向に回転し、クロスフローファン９の
回転に基づき吸気口６を介してダクト５内に流入する吸
引気流Ｆ１と、ダクト５内から排気口７を介して流出す
る吹出気流Ｆ２とが発生するようになっている。尚、ダ
クト５はクロスフローファン９の回転に伴う吹出気流Ｆ
２を排気口７へ円滑に案内する形状に形成されている。

【００１３】両ダクト５の吸気口６は１つの無端状の吸
着ネット１０により共通に覆われている。吸着ネット１
０は機台両端にて複数のプーリに巻掛けられ、そのうち
の駆動プーリがベルト伝動機構を介して吸着ネット用モ
ータ（いずれも図示せず）により周回駆動されるように
なっている。吸着ネット１０の周回端部には吸着ネット
１０上に吸着された風綿等を取り除いて回収する回収装
置（図示せず）がそれぞれ配設されている。このダスト
コレクタ４は特開昭６３−２８２３２２号公報に開示さ
れたダストコレクタと基本的には同じ駆動原理により駆
動される。

【００１４】ニューマチッククリヤラ１１はダストコレ
クタ４の下方に配設され、ローラビーム２の載置部２ａ
に機台長手方向に延びるニューマダクト１２がブラケッ
ト１３を介してボルト固定されている。ニューマダクト
１２は一端が図示しない吸気ボックスに接続されてい
る。ニューマダクト１２はドラフト装置３の前方に配置
されたフルート１４に吸気管１５を介して接続されてい
る。ニューマチッククリヤラ１１は吸気ボックスと接続
された負圧発生装置（図示せず）により駆動され、その
駆動時にはニューマダクト１２内が負圧状態となりフル
ート１４の吸気孔（図示せず）周辺に吸気孔へ流入する
気流が発生するようになっている。

【００１５】次に、前記のように構成された装置の作用
を説明する。精紡機機台１が運転されると、駆動モータ
及び吸着ネット用モータが同時に駆動されてダストコレ
クタ４の運転が開始される。又、負圧発生装置が駆動さ
れてニューマチッククリヤラ１１の運転が開始される。

【００１６】負圧発生装置の駆動に基づきニューマダク
ト１２内が負圧となり、フルート１４の吸気孔周辺に当
該吸気孔へ流入する気流が発生する。そして、フロント
ローラ３ａから紡出される糸切れ時のフリースがフルー
ト１４の吸気孔から吸引除去される。

【００１７】又、駆動モータの駆動に基づきダクト５内
ではラインシャフト８が回転駆動され、クロスフローフ
ァン９が図１の矢印方向にラインシャフト８とともに一
体回転される。又、吸着ネット用モータの駆動に基づき
吸着ネット１０が吸気口６を覆う状態で周回移動され
る。クロスフローファン９の回転に基づき機台上部両側
にはドラフト装置３のローラパートＲ周辺から吸気口６
へ向かう吸引気流Ｆ１が発生する。ローラパートＲにて
発生する風綿やローラパートＲ周辺に浮遊する風綿等は
吸引気流Ｆ１により吸気口６へと導かれ、吸気口６を覆
う吸着ネット１０上に吸着される。そして、吸着ネット
１０上に吸着された風綿等は吸着ネット１０の周回端部
にて回収装置により回収される。

【００１８】又、クロスフローファン９の回転に基づき
排気口７から機台上部を通って上方に吹き抜ける吹出気
流Ｆ２が発生する。この吹出気流Ｆ２の作用により機台
上部に風綿等が堆積することが防止されるとともに、粗
糸ボビンＢに風綿等が付着することが防止される。その
ため、粗糸ボビンＢから供給される粗糸に風綿が連れ込
まれることが大幅に低減するので紡出糸の品質が向上さ
れる。吹出気流Ｆ２とともに機台上方へ吹き出された風
綿等は循環気流Ｆ３から吸引気流Ｆ１とともに吸着ネッ
ト１０上に回収される。

【００１９】糸切れが発生した場合には、当該錘のフロ
ントローラ３ａから連続供給されるフリースはフルート
１４の吸気孔から連続的に吸引される。糸切れ時のフリ
ースの先端は繊維がばらけて広がった状態にあるため、
充分に吸引されず空気中に飛散する。この飛散した繊維
屑は吸引気流Ｆ１とともに吸着ネット１０上に回収され
る。そのため、糸切れ時にフリースがフルート１４の吸
気孔に吸い込まれる際に発生する繊維屑は、ほぼ確実に
回収されて風綿として空気中に飛散されることがない。

【００２０】以上詳述したように本実施例によれば、ニ
ューマチッククリヤラ１１とダストコレクタ４とを１台
の精紡機に併設し、ニューマ機能が不要となったダスト
コレクタ４を機台１内のドラフト装置３の下方にフルー
ト１４周辺に吸引気流Ｆ１が発生するように配置した。
そのため、糸切れ時のフリースがフルート１４の吸気孔
に吸い込まれる際に発生する繊維屑をほぼ確実に回収す
ることができる。又、ニューマ機能が不要なことから、
吸引気流Ｆ１の発生域を風綿が発生し易いローラパート
Ｒ周辺の広い領域に設定することができるので、風綿等
を効果的に吸引除去することができる。さらに、ニュー
マ機能が不要なことから、吸引気流Ｆ１は浮遊する風綿
等を回収可能な程度の風力があればよいので、必要に応
じて駆動モータやクロスフローファン１０を小型化して
ダストコレクタ４の小型化を図ることがきる。又、排気
口７から吹き上げる吹出気流Ｆ２により風綿が粗糸ボビ
ンＢやその周辺部材に付着することが防止されるので、
粗糸とともに風綿が連れ込まれることに起因する糸の品
質低下や糸切れが大幅に低減される。

【００２１】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば次のよ
うに変更することができる。 （１）ダストコレクタ４の配設位置は上記実施例に限定
されず風綿等の除去に効果的な位置に適宜変更すること
ができる。例えば、前記実施例においてダストコレクタ
４とニューマチッククリヤラ１１の配設位置を上下逆に
し、ダストコレクタ４によりスピンドルパート周辺の風
綿を除去する構成としてもよい。

【００２２】（２）吸気口６や排気口７を適宜な位置や
向きに変更することができる。例えば、上記実施例にお
いて排気口７をダクト５の下面側に設け、排気口７から
の吹出気流によりニューマダクト１２の上面に風綿が堆
積することを防止する構成としてもよい。

【００２３】（３）上記実施例では２つの吸気口６を共
通に覆うように吸着ネット１０を配設したが、各吸気口
６毎に吸着ネット１０を周回可能に配設してもよい。 （４）ダクト５やニューマダクト１２等に圧縮空気用配
管を設け、圧縮空気用配管に形成した噴射孔から吸引気
流Ｆ１や吹出気流Ｆ２の及ばない場所に圧縮空気を噴射
する構成としてもよい。

【００２４】（５）本発明を精紡機以外の例えばリング
撚糸機等の紡機に適用してもよい。

【００２５】

【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、糸
切れ時のフリースを吸引することができるとともに、ニ
ューマ機能に制約されることなくダストコレクタの配設
位置を適宜に選択して効果的に風綿の回収を行うことが
できるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を具体化した一実施例における清掃装置
を配備した紡機の断面図である。

【符号の説明】

１…紡機機台としての精紡機機台、３ａ…フロントロー
ラ、５…ダクト、６…吸気用開口部としての吸気口、７
…排気用開口部としての排気口、８…回転羽根車を構成
するラインシャフト、９…回転羽根車を構成するクロス
フローファン、１０…吸着ネット、１１…ニューマチッ
ククリヤラ、１４…フルート、Ｆ１…吸引気流、Ｆ２…
吹出気流。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 糸切れ時のフリースを吸引除去するフル
   ートをフロントローラ前方に備えたニューマチッククリ
   ヤラと、 紡機機台の長手方向に沿って配設されるとともに吸気用
   開口部及び排気用開口部を有するダクト内に、前記吸気
   用開口部を介して前記ダクト内に流入する吸引気流と前
   記排気用開口部を介して前記ダクト内から流出する吹出
   気流とを発生させる回転羽根車を回転可能に設け、前記
   吸気用開口部を移動可能な吸着ネットで覆う状態とした
   ダストコレクタとを備えた紡機における清掃装置。