JPH0797658A - 高耐食性鋼材 - Google Patents
高耐食性鋼材Info
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Abstract
すS量を制御し、Cu,B,Tiを少量添加することに
よって、鋼材自体の耐食性に優れた鋼材を提供する。 【構成】C:0.001〜0.005重量%、Si:
0.1重量%以下、Mn:0.05〜0.3重量%、
P:0.02重量%以下、S:0.001〜0.01重
量%、N:0.004重量%以下、Sol.Al 0.
1重量%以下、Ni:0.05〜0.3重量%、Ti:
0.005〜0.1重量%、Cu:0.05〜0.3重
量%、B:0.0002〜0.002重量%、残部Fe
及び不可避不純物からなり、重量比で(S/Cu)≦
0.1を満す高耐食性鋼材。
Description
熱延鋼材を素材とした鋼管、熱延形・棒鋼、冷延鋼材、
みがき鋼材、前記各種鋼材を素材とした各種表面処理鋼
材に係り、特に、板厚の薄い鋼材に好適な耐食性に優れ
た鋼材に関する。
装、めっき等の表面被覆層を設けることにより、鋼材と
腐食生成物質との接触を断ち防食性を向上させるという
手法が用いられている。しかし、鋼材を使用形態に応じ
て加工する際、被覆されていない切断面や、加工時の応
力による被覆層の剥離が発生し鋼材が露出して腐食が生
じる。また、製造コストも上昇する。さらに鋼材に被覆
層があるので、リサイクル性にも問題があり、近年の環
境への関心の高まりについても配慮する必要がある。こ
のような視点から、それ自体の耐食性に優れた鋼材が求
められるようになっている。
材自体の耐食性を高めた耐候性鋼が知られている。これ
は、腐食の進行に伴い表面に緻密な錆層が形成し、これ
が一種の表面被覆としての役割を果たしている。しか
し、耐候性鋼をそのまま板厚の薄い例えば冷延鋼材に適
用すると、緻密な錆層が形成される前に腐食により穴開
きが発生する虞がある。このことから、板厚の薄い冷延
鋼材において、耐食性の改善が求められている。このよ
うな冷延鋼材として、Cr,Cuを添加し、(S/C
u)を0.5以下に規定した技術があるが(特開平2−
156042号参照)、これはCrを添加しているた
め、孔食の問題が指摘されている。また別の技術として
はCu,Pを添加して耐食性を得る技術も知られている
が(特開平4−235250号参照)、P添加による加
工性の劣化は避けられない。また、Cu,P複合添加に
よって耐食性を高めた鋼を用い、更に深絞り性を向上さ
せるために、2回冷間圧延を行う技術も開示されている
が(特開平4−285125号参照)、冷圧回数の増加
による、製造コストの上昇は免れない。
加工性、コスト等の観点からすべての条件を満たした鋼
材は存在しない。
を基本に、耐食性に強く影響を及ぼすS量を制御し、C
u,B,Tiを少量添加することによって、耐食性に優
れた鋼材を提供することを目的とする。
初期錆発生の起点となる鋼材表面の析出物などに影響を
受け、初期錆発生後の腐食の進行は、粒界など鋼材での
ミクロな不均一部の性状により異なるとされている。こ
れらの耐食性に影響をおよぼす因子は、鋼材の成分と密
接に関係している。本発明者らは、耐食性を支配する鋼
材成分に関して種々検討し、前述した従来技術における
課題を解決することについて検討を重ねた。
鋼中のS量と、耐食性に有効な働きをするCuの重量比で
ある(S/Cu)値を0.1以下の範囲の成分組成と
し、さらに粒界の耐食性に関与するB,Tiを適量添加
することにより、極めて優れた耐食性を付与することに
成功した。
ので、C:0.001〜0.005重量%、Si:0.
1重量%以下、Mn:0.05〜0.3重量%、P:
0.02重量%以下、S:0.001〜0.01重量
%、N:0.004重量%以下、Sol.Al:0.1
重量%以下、Ni:0.05〜0.3重量%、Ti:
0.005〜0.1重量%、Cu:0.05〜0.3重
量%、B:0.0002〜0.002重量%、残部Fe
及び不可避不純物からなり、重量比で(S/Cu)≦
0.1を満す高耐食性鋼材である。
以下に述べる。
は、少ないほうがよい。しかし、0.001 重量% 未満に低
下させると、製造コストが上昇するので0.001 〜0.005
重量%とした。望ましくは0.003 重量% 以下である。
後耐食性に悪影響をもたらす。したがって少なければ少
ないほど望ましいが、製造コストなどを考えて、0.1 重
量%以下とした。
れば少ないほど、望ましい。しかし、製造コストを考え
て、0.05〜0.3 重量% とした。
で、多量に添加すると加工時に割れが生じやすくなる。
したがって、少ないほうが望ましくその上限を0.02重量
% とした。
割を果たす。SはMnと結合しMnS を生成する。これは初
期錆発生の核となり、耐食性に悪影響を及ぼすので低減
させることが望ましいが、0.001 重量% を下回ると製造
コストの上昇を伴うだけでなく酸洗時のスケール剥離性
が低下するので、その下限を0.001 重量% とした。一
方、0.01重量% を超えて含有させると鋼材の耐食性が著
しく劣化するので、0.01重量% 以下とした。
少ないほうが望ましいが、本発明の効果を損なわない範
囲としてその上限を0.004 重量% とした。望ましくは0.
003重量% 以下である。
ある。しかし、0.1重量%以上添加しても、脱酸能力
の向上効果が小さくなるので、0.1重量%以下に限定
した。
の進行を抑制する。極低炭素鋼(IF鋼)は粒界が特に清
浄なため、Bを添加することにより、Bを粒界に偏析さ
せることができ、耐食性の向上には効果的である。ま
た、粒界を強化する作用も合わせて有する。0.0002重量
% 未満ではそれらの効果が小さい。また、Bは熱間加工
時の熱変形抵抗を上昇させるため、過剰な添加は熱延時
に形状不良及び、所定板厚が得られない等の問題が発生
しやすくなる。したがって、0.0002〜0.002 重量% に限
定した。
加工時にCuによる表面疵発生率が上昇するが、Niは
この表面疵を低減させることに有効である。0.3 重量%
を越えると、鋼材の成形性の劣化だけでなく、コストの
上昇を招くので、その上限を0.3 重量% とした。また、
上記の効果を確保するために、下限値を0.05重量% とし
た。
N,S等を減少させ、耐食性の向上に大きな役割を果た
す。また鋼中固溶Cを減少させ、深絞り性を向上させる
作用がある。0.005 重量% 未満ではそれらの効果が小さ
い。また0.1 重量% を越えるとコストの上昇を招くため
に、0.005 〜0.1 重量% に限定した。
素である。しかし、0.3 重量% を超えると耐食性の向上
効果は小さくなる上に、製造コストの上昇、表面性状、
加工性が劣化する。また、0.05重量% 未満の添加では、
良好な耐食性を示さないために、添加量を0.05〜0.3 重
量% に限定した。
る少量の不可避不純物が存在しても本発明鋼はその効果
を損なわれない。
は母合金の形で添加して、所定の添加量のスラブを得、
このスラブを圧延することにより得られる熱延鋼材、熱
延鋼管、熱延鋼材を素材とした鋼管、熱延形・棒鋼、冷
延鋼材、みがき鋼材、前記各種鋼材を素材とした各種表
面処理鋼材などで、特に、板厚の薄い鋼材に好適な耐食
性に優れた鋼材である。
るために、電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき等のめっ
き、化成処理等の各種表面処理を行なったものも含まれ
る。
れた耐食性、塗装後耐食性を有しており、自動車、建築
資材、電気機器等、耐食性を要求されるあらゆる分野で
の使用が可能である。
て述べる。
量% 以下、Mn:0.05〜0.3 重量%、P:0.02重量% 以
下、N:0.004 重量% 以下、Ni:0.05〜0.3 重量% 、
を満たし、残部が Fe 及び不可避不純物からなる成分組
成を基本とし、更に、S:0.001 〜0.02 重量% 、T
i:0.005 〜0.1 重量% 、Nb:0.025 重量%以下、
B:0.0002〜0.002 重量% 、Cu:0.3 重量% 以下の各
元素の量を種々変化させ、組み合わせて添加したスラブ
を用意し、常法により熱間圧延、酸洗、冷間圧延を施
し、再結晶焼鈍を行い、最後に調質圧延を行なった。そ
の冷延鋼材より供試材を準備し、耐食性を調査した。
方法は、各試験材を150mm ×70mmに切断し、片面を絶縁
テープで被覆して、30℃、0.5 %のNaCl水溶液を鋼材に
6時間噴霧後、温度50℃、相対湿度80%以上の条件下に
18時間置いておくという工程を1サイクルとし、これを
50サイクル繰り返した後の平均腐食深さで評価した。こ
こで言う平均腐食深さとは、鋼材の露出部を10mm×10mm
の区画に分割し、その各区画内での最大浸食深さを測定
し平均したものである。
(S/Cu)値との関係を図1に示す。図1によりS/Cu
値の低下に伴い各鋼材の耐食性が良好になることがわか
る。また、Ti添加鋼、Ti、Nb添加鋼、B添加鋼及び
Ti、B添加鋼の平均腐食深さを比較すると、特にT
i、Bを複合添加した鋼で、かつ(S/Cu)値が0.1
以下の時に、著しく耐食性が向上していることがわか
る。これはTi、B複合添加鋼の場合はTiがTiCを
形成するので固溶炭素がなく、Bが粒界に偏析する。そ
してこのBが粒界からの腐食を抑制する効果を有してい
るためと考えられる。一方、Ti、B複合添加鋼以外の
鋼において、耐食性が劣化するのは次のような理由だと
考えられる。まず、B単独添加鋼は、Bが窒化物形成元
素であるため、鋼中で固溶炭素が残存する。この固溶炭
素はフェライト粒内に存在するだけでなく粒界にも偏析
する。この影響でBが粒界に存在しにくくなる。このた
め、B単独添加鋼の耐食性が劣化すると考えられる。ま
た、Nb添加鋼でNbはNbCを生成するため、固溶炭
素は存在しないが、Nbが粒界に、偏析することはな
く、耐食性向上にはさほど影響を及ぼさないと推測され
る。したがって、TiとBを複合添加した本発明鋼は、
鋼中に固溶炭素がなく、さらにBが粒界に存在すること
により、耐食性向上効果が顕著になり、Ti添加鋼、T
i,Nb複合添加鋼、B添加鋼など他の元素を組み合わ
せた鋼よりも格段に優れた耐食性を有することは明らか
である。
る。
スラブとしたものを加熱、熱間圧延して、4.0mmの熱
延鋼材とした。さらに、酸洗、冷間圧延、連続焼鈍、調
質圧延を行ない、0.8mm厚の冷延鋼材を製造し、冷延
鋼材のままで、前述と同じ方法で腐食試験を行なった。
また別の耐食性の試験として、塗装後耐食性を調査し
た。その評価は3コート材に、原板に達するクロスカッ
トを入れ、その部位の最大ふくれ幅で評価した、これは
まず各試験材を150mm ×70mmに切断し、化成処理したの
ちED塗装20μmを施し、さらに30μmの中塗り、30μ
mの上塗りを行なった3コート材を用いた。
行った。これは、上記方法で製造した熱延鋼板を、150m
m ×70mmに切断し、化成処理したのちED塗装20μmを
順に施し、最後に原板に達するクロスカットを入れ、前
記腐食試験を行い、その部位の最大ふくれ幅で評価し
た。
帯から圧延方向に1000m取り、熱延鋼帯でのその部分に
おける表面不良発生数で評価した。
果を示す。鋼A〜Jは比較鋼であり、鋼K〜Wは本発明
鋼である。本発明鋼は、平均腐食深さが0.3mm 未満、塗
装後腐食試験での最大ふくれ幅が4mm以下で、さらに表
面性状も良好であり、比較鋼と比較して優れていること
は明らかである。
S量を制御し、Cu,B,Tiを少量添加することによ
り低コストで優れた耐食性を有する、非常に有用な耐食
性鋼材を提供することができる。
示す図。
する少量の不可避不純物が存在しても本発明鋼はその効
果を損なわれない。
Claims (1)
- 【請求項1】 C:0.001〜0.005重量%、S
i:0.1重量%以下、Mn:0.05〜0.3重量
%、P:0.02重量%以下、S:0.001〜0.0
1重量%、N:0.004重量%以下、Sol.Al:
0.1重量%以下、Ni:0.05〜0.3重量%、T
i:0.005〜0.1重量%、Cu:0.05〜0.
3重量%、B:0.0002〜0.002重量%、残部
Fe及び不可避不純物からなり、重量比で(S/Cu)
≦0.1を満す高耐食性鋼材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24551893A JP3298258B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 高耐食性鋼材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24551893A JP3298258B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 高耐食性鋼材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0797658A true JPH0797658A (ja) | 1995-04-11 |
JP3298258B2 JP3298258B2 (ja) | 2002-07-02 |
Family
ID=17134881
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24551893A Expired - Fee Related JP3298258B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 高耐食性鋼材 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP3298258B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101367529B1 (ko) * | 2011-01-24 | 2014-02-25 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 선박 상부 구조물용 내식 강재 |
-
1993
- 1993-09-30 JP JP24551893A patent/JP3298258B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR101367529B1 (ko) * | 2011-01-24 | 2014-02-25 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 선박 상부 구조물용 내식 강재 |
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