JPH0797363A - 新規なキレート形成性化合物とその用途 - Google Patents

新規なキレート形成性化合物とその用途

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JPH0797363A
JPH0797363A JP6162675A JP16267594A JPH0797363A JP H0797363 A JPH0797363 A JP H0797363A JP 6162675 A JP6162675 A JP 6162675A JP 16267594 A JP16267594 A JP 16267594A JP H0797363 A JPH0797363 A JP H0797363A
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compound
group
mmol
chelate
forming compound
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JP6162675A
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English (en)
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Osamu Ito
修 伊藤
Kyoko Okano
京子 岡野
Kazuyo Nakamura
和世 中村
Yoshinori Kurami
美規 倉見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NIPPON MEJIFUIJITSUKUSU KK
Nihon Medi Physics Co Ltd
Original Assignee
NIPPON MEJIFUIJITSUKUSU KK
Nihon Medi Physics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記構造を有するキレート形成性化合物又は
その塩。 【化1】 式1において、Rは水素、メチル基又は直鎖プロピルを
除く炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアミノ
アルキル基、炭素数2〜16のアルコキシアルキル基、
炭素数4〜13のアルキル環状アルキル基、炭素数2〜
5のアルケニル基又は炭素数2〜5のアルキニル基であ
る。 【効果】 本発明により、錯体の調製後の安定性も高
く、投与後速やかに脳へ取り込まれ、適当な時間保持さ
れ、生体内投与後における血液レベルが低く、クリアラ
ンスも良好であるヒトを含む哺乳動物の脳をイメージン
グするのに有用なキレート形成性化合物、該化合物と放
射性金属よりなる錯体、および該錯体を含有してなる放
射性診断剤の提供が可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なキレート形成性
化合物又はその塩、および該化合物から誘導される放射
性金属標識錯体、および該錯体を含有してなるヒトおよ
び哺乳動物の脳のイメージングに有用な新規な放射性診
断剤に関する。
【0002】
【従来の技術】放射性金属により標識された錯体は、従
来から画像診断を目的にイメージング剤として使用され
てきている。これらの標識には、体内の組織や器官を透
過する放射線を放出するものでなければならず、ガンマ
線、X−線又はポジトロン放射線を放出する放射性同位
元素が用いられている。
【0003】これらの条件を満たす好ましい放射性同位
元素として、ヨウ素−123およびテクネチウム−99
mなどをあげることができる。特にテクネチウム−99
mは、放出するガンマ線のエネルギーが140KeVと
汎用的に利用しうる放射線イメージング装置におけるシ
ンチグラム撮像に適し、特定臓器の描出、特定疾患の検
出および動態検査を目的とした核医学領域において、そ
の半減期が6時間と適当である上、ジェネレーターの普
及により容易にしかも安価に入手できるという利点を有
していることから、特に好ましい放射性同位元素という
ことができる。
【0004】しかし、インビボイメージング用放射性診
断剤として用いられているテクネチウム−99m標識錯
体の多くは、正または負の電荷を帯びている。このよう
に荷電した錯体は、脳を標的器官とした場合、血液脳関
門を透過し得ないことが知られている。その上、これら
のいくつかの化合物は、放射性金属と錯体を形成せしめ
た場合および生体内に投与した場合に、分解されやすい
という課題を残していた。
【0005】特開昭61−143351号公報には、テ
クネチウム−99mとプロピルアミンオキシムとの錯体
が記載され、脳血流イメージング用放射性画像診断剤と
して有用な要件である充分な脳への取り込み、あるいは
充分な脳での滞留時間を有しているとされている。しか
しながら、当該化合物は、調製後の極性化合物への比較
的早い変換や、ボーラス投与による静脈注射における、
高い血液レベル、血液からの比較的遅いクリアランス等
の問題があった。従って、調製後の錯体の安定性および
血液中での安定性、さらに脳を標的器官とした場合、主
なバックグランドとなる血液レベルについて改善の余地
が残されていた。
【0006】これらの問題を解決すべく、電荷的に中性
であり、高脂溶性で安定な錯体を形成する配位子の研究
が行われてきた。H.F.Kung et al(J.Nucl.Med.,第 25
巻,326 〜332 頁,1984年)は、ジアミンジチオール誘
導体、およびそのテクネチウム−99m錯体が中性であ
ることを確認し、これらの化合物をラットに投与したと
ころ、投与後2分で2%ID以上の脳への集積を認める
が、経時的に脳から洗い出されることを報告している。
【0007】特開昭61−5056号公報および特開昭
62−96460号公報には、血液中と脳内のpHの違
いから、脳内で電荷を持たせ滞留させることを目的にジ
アミンジチオールを基本骨格として、三級アミンを側鎖
に導入した化合物が記載されている。この技術により化
合物を脳内に滞留させる技術に関しては若干の改善がみ
られた。又、特開昭63−295549号公報には側鎖
にエステル基を導入する方法が記載され、化合物が脳内
に長く滞留すると記載されている。これは、脳内のエス
テラーゼにより、エステルが加水分解されて中性錯体か
ら負に帯電した錯体に変換されるためとされている。
【0008】Nathan Bryson et al.は、N2 2 型配位
子であるジアミドジチオールのうち、チオールのどちら
か一方を修飾することで中性のテクネチウム−99錯体
が得られると報告している(Inorg.Chem.,第 27 巻,21
54〜2161頁,1988年)。しかし、いづれも電荷的に中
性、かつ高脂溶性で安定な錯体形成および生体投与後の
血液レベル等のすべての条件を満足するものは得られが
たいという欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の配位子とテクネチウム−99mなどの放射性金属から
なる錯体は、調製後の安定性に欠け、生体内投与後の血
液レベルが高く良好なコントラストが得られにくい等の
状況に鑑み、投与後速やかに脳へ取り込まれ、適当な時
間保持され、錯体の調製後の安定性も高く、生体内投与
後における血流レベルが低く、クリアランスも良好であ
るヒトを含む哺乳動物の脳をイメージングするのに有用
なキレート形成性化合物、該化合物と放射性金属からな
る錯体、および該錯体を含有してなる放射性診断剤を提
供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】即ち、本発明は、
【化2】 で示される構造を有するキレート形成性化合物又はその
塩(式1中において、Rは水素、メチル基又は直鎖プロ
ピルを除く炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8の
アミノアルキル基、炭素数2〜16のアルコキシアルキ
ル基、炭素数4〜13のアルキル環状アルキル基、炭素
数2〜5のアルケニル基又は炭素数2〜5のアルキニル
基である。)であり、該化合物と放射性金属よりなる錯
体および該錯体を含有してなる放射性診断剤である。
【0011】式1中のアルキル基は、メチル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基のよう
な炭素数1〜8の直鎖および分鎖状の飽和炭化水素であ
り、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖および分鎖状の飽
和炭化水素であり、特に好ましくは、炭素数1〜3の直
鎖および分鎖状の飽和炭化水素である。アルケニル基
は、エテニル基、2−プロペニル基のような炭素数2〜
5の直鎖および分鎖状の不飽和炭化水素であり、好まし
くは、炭素数2〜4の直鎖および分鎖状の不飽和炭化水
素である。アルキニル基は、2−プロピニルのような炭
素数2〜5のアセチレン系三重結合を有する直鎖および
分鎖状の不飽和炭化水素である。アルキル環状アルキル
基は、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルプロピ
ル基のような炭素数3〜8の飽和環状炭化水素基が結合
した炭素数1〜5のアルキル基からなる基である。アル
コキシアルキル基は、−X−O−Yで表され、Xおよび
Yが炭素数1〜8の直鎖および分鎖状の飽和炭化水素で
あり、好ましくは、炭素数1〜3の直鎖および分鎖状の
飽和炭化水素である。アミノアルキル基は、−Z−NH
2 で表され、Zが炭素数1〜8の直鎖および分鎖状の飽
和炭化水素であり、好ましくは、炭素数1〜3の直鎖お
よび分鎖状の飽和炭化水素である。
【0012】式1の化合物は塩にすることができるが、
そのような塩としては、塩酸塩、酢酸塩などが含まれ
る。また、該化合物は、放射性金属と反応させ放射性金
属錯体を得ることができる。特に、放射性医薬品とし
て、好ましい放射性同位元素であるテクネチウム−99
m標識錯体は、過テクネチウム酸ナトリウム溶液と式1
で示される化合物を還元剤との共存下、反応させること
により得ることが可能である。このテクネチウム−99
m標識錯体は、
【0013】
【化3】 で示されると考えられる。
【0014】式2中において、Rは水素、メチル基又は
直鎖プロピルを除く炭素数1〜8のアルキル基、炭素数
1〜8のアミノアルキル基、炭素数2〜16のアルコキ
シアルキル基、炭素数4〜13のアルキル環状アルキル
基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数2〜5のア
ルキニル基である。
【0015】本発明のキレート形成性化合物およびその
テクネチウム−99mなどの放射性金属からなる薬学的
に受容しうる錯体は、高い脂溶性を有する電荷的に中性
の錯体であるため、ヒトを含む哺乳動物の脳へ多量に取
り込まれ、放射性物質の迅速な分散を達成しうるもので
ある。又、これらの化合物およびその錯体は、錯体調製
後も24時間までも安定であり、更にボーラス投与によ
る静脈注射などの一般的に用いられる非経口投与におい
て生体内へ投与された後の代謝に対する安定性にも優
れ、単一調製あたり100mCi以上の高放射能レベル
においても分解されず、更に、局所的脳内分布が一定
し、シンチグラム撮像に適当な、投与直後から1時間以
上にわたって脳内に保持され、脳/血液比が高く、その
後、体外に排泄されるという望ましい特性を有してお
り、汎用的に利用しうる放射線イメージング装置を用い
て診断が可能であるなど、従来の問題点を解決する優れ
た特性をも有している。
【0016】以上、述べた特性は、式1の化合物および
その薬学的に受容しうるテクネチウム−99mなどの放
射性金属からなる錯体が、脳をイメージングする放射性
診断剤として有用であることを意味している。以下に式
1および式2の化合物の典型的な合成系路および調製方
法を示す。
【0017】
【図1】
【0018】式1の化合物の合成は、出発物質である図
1中化合物1の2−メルカプトアニリンを臭化アルキル
もしくは臭化アリルと選択的求核置換反応を行わせ、化
合物2を得たのち、2−ブロモエチルアンモニウムブロ
マイドとの求核置換反応後、弱塩基性条件下で抽出し、
式1の化合物の中間化合物である図1中化合物3を得
る。次に得られた化合物3と図1中化合物4で表される
α−ブロモ酪酸をテトラヒドロフラン(以下、THFと
いう。)に溶解し、炭酸カリウム存在下、チオ酢酸カリ
ウムを加え、アセチル化することにより得られた化合物
5を1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド−塩酸(以下、WSCという。)存
在下、縮合反応させることによってチオールを保護した
化合物6を得る。次に、化合物6を等量の水酸化ナトリ
ウムの存在下、脱アセチル化して目的の式1化合物を得
る。
【0019】このようにして得られた式1化合物は、過
テクネチウム酸ナトリウム溶液と塩化第一スズ、又は亜
ニチオン酸ナトリウムのような還元剤との共存下、反応
させ式2で示されると考えられる錯体を得ることができ
る。この時、未反応の過テクネチウム酸および不溶性の
放射性不純物をメンブランフィルター、あるいは液体ク
ロマトグラフィー(HPLC)等により、取り除くこと
が可能である。
【0020】本発明化合物は、マクロゴールあるいは2
−ヒドロキシ−β−シクロデキストリン(HPCD)な
どのような可溶化剤を用いて水溶液にした後、薬学的に
許容される適当なレドックス電位を有する通常の還元剤
(例えば、塩化第一スズ、亜ニチオン酸ナトリウム、水
素化ホウ素ナトリウム)、安定化剤(例えば、アスコル
ビン酸、p−アミノ安息香酸)、賦形剤(例えば、D−
マンニトール)、生成物の放射化学的純度を改良するの
に役立つ促進剤(例えば、クエン酸、酒石酸、マロン
酸)などとともに用時調製用キットの形態でも提供が可
能である。
【0021】なお、本発明の放射性診断剤は、ボーラス
投与による静脈注射などの一般的に用いられる非経口手
段により投与することができ、その投与量は、患者の体
重、年令および適当な放射線イメージング装置等の諸条
件を考慮し、イメージングが可能と考えられる放射能量
が決定される。ヒトを対象とする場合、通常は5〜30
mCiの範囲が好ましい。以下実施例により、更に具体
的に説明する。
【0022】
【実施例】
(実施例1) N−〔2−(S−エチルチオ)フェニル〕−1,2−ジ
アミノエタンの合成。 2−メルカプトアニリン5.0g(40mmol)と1
−ブロモエタン4.4g(4.4mmol)をN,N−
ジメチルホルムアミド(以下、DMFという。)50m
lに溶解し、80°Cで24時間攪拌した。この反応液
に酢酸エチル100mlを加え、この有機溶媒を水10
0mlで洗浄した。有機溶媒は、減圧濃縮した後、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ベンゼン/
酢酸エチル=15/1)に適用し、2−(S−エチルチ
オ)アニリン2.0g(13mmol)を得た。この2
−(S−エチルチオ)アニリン2.0g(13mmo
l)に2−ブロモエチルアンモニウムブロマイド2.6
g(13mmol)を加え、DMF5.0mlに溶解
し、80°Cで24時間攪拌した。反応後、DMFを留
去し、残渣をエーテルと水の混合液に溶解し、その水層
を取り除いた。水層は、液性をアルカリ性にした後、ク
ロロホルムで目的物を抽出した。クロロホルムは、無水
硫酸ナトリウムで乾燥させた後、クロロホルムを留去
し、目的物であるN−〔2−(S−エチルチオ)フェニ
ル〕−1,2−ジアミノエタン0.43g(2.2mm
ol)を得た。
【0023】(実施例2) 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−エチルチオ)フェニ
ル〕ジアミノエタンの合成。 実施例1で合成したN−〔2−(S−エチルチオ)フェ
ニル〕−1,2−ジアミノエタン0.40g(2.0m
mol)をジクロロメタン10mlに溶解し、2−S−
アセチルチオ−2−メチル−プロピオン酸0.27g
(2.0mmol)、1−エチル−3−(3’−ジメチ
ルアミノプロピル)カルボジイミド−塩酸(以下、WS
Cという。)0.38g(2.0mmol)およびトリ
エチルアミン0.40mlを加え、室温で約20時間攪
拌した。反応後、ジクロロメタンを留去し、酸性下で目
的物を酢酸エチルで抽出した。更に、シリカゲルクロマ
トグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1
〜2/1)で精製し、目的物である1−N−〔2−(S
−アセチルチオ)−2−メチル−1−オキソプロピル〕
−2−N’−〔2−(S−エチルチオ)フェニル〕ジア
ミノエタン0.17g(0.50mmol)(アセチル
体)を得た。このアセチル体0.17g(0.50mm
ol)をエタノール2mlに溶解し、アルゴン雰囲気下
で等量の水酸化ナトリウムを加え、室温で約10分間攪
拌した。反応後、エタノールを留去し、液性を酸性とし
た後、クロロホルムで抽出し、最終目的物である1−N
−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプロピ
ル)−2−N’−〔2−(S−エチルチオ)フェニル〕
ジアミノエタン0.94g(0.32mmol)を得
た。
【0024】(実施例3) N−〔2−(S−ペンチルチオ)フェニル〕−1,2−
ジアミノエタンの合成。 2−メルカプトアニリン5.0g(40mmol)と1
−ブロモペンタン6.0g(40mmol)をDMF5
0mlに溶解し、80°Cで48時間攪拌し、これに酢
酸エチル200mlを加え、水100mlで3回洗浄し
た。この有機層を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(溶出液:ベンゼン/酢酸エチル=1
0/1)で単離し、黄色油状物質4.2g(22mmo
l)を得た。この2−(S−ペンチルチオ)アニリン
2.2g(11mmol)とBoc−グリシン2.4g
(14mmol)を塩化メチレン30mlに溶解し、W
SC3.2g(17mmol)を加え、1.5時間氷浴
中で攪拌し、その後、水100mlで3回洗浄した。こ
の有機層を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)
で単離し、黄色油状物質2.7g(7.5mmol)を
得た。この黄色油状物質2.6g(7.4mmol)を
THF40mlに溶解し、水素化リチウムアルミニウム
(以下、LAHという)0.84g(22mmol)を
静かに加え、1時間加熱還流した後、氷冷し酢酸エチル
を発泡しなくなるまで加えた。不溶物を濾去し減圧濃縮
し、酢酸エチルで2回抽出した。この有機層を減圧濃縮
後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘ
キサン/酢酸エチル=5/1)で単離し、無色油状物質
1.8g(5.2mmol)を得た。この無色油状物質
1.7g(5.0mmol)を酢酸エチル15mlに溶
解し、4N塩酸/酢酸エチル3mlと水2mlを加え、
15分攪拌した。2N水酸化ナトリウムで塩基性にした
後、酢酸エチルで2回抽出した。この有機層を減圧濃縮
した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出
液:クロロホルム/エタノール=100/3)で単離
し、黄色油状物質1.1g(4.6mmol)を得た。
【0025】(実施例4) 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−ペンチルチオ)フェ
ニル〕ジアミノエタンの合成。 実施例3で得たN−〔2−(S−ペンチルチオ)フェニ
ル〕−1,2−ジアミノエタン1.1g(4.6mmo
l)、2−S−アセチルメルカプト−2−メチルプロピ
オン酸0.81g(5.0mmol)およびWSC1.
1g(5.7mmol)を氷浴中で塩化メチレン40m
lに溶解し、3時間攪拌した後、水10mlで2回抽出
した。この有機層を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=2/
1)で単離し、無色油状物のアセチル体1.1g(2.
8mmol)を得た。このアセチル体0.1g(0.2
6mmol)をアルゴン気流下、メタノール1.0ml
に溶解し、0.2Nの水酸化ナトリウム2.0mlを加
え、8分間攪拌した。この溶液に0.5N塩酸1.0m
lを加え、酸性とした後、減圧濃縮し、残渣を酢酸エチ
ルで抽出した。この有機層を減圧濃縮後、分取用シリカ
ゲル薄層クロマトグラフィー(薄層板:シリカゲル6
0、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で分取
し、無色油状物の1−N−(2−メルカプト−2−メチ
ル−1−オキソプロピル)−2−N’−〔2−(S−ペ
ンチルチオ)フェニル〕ジアミノエタン0.073g
(0.21mmol)を得た。
【0026】本化合物の270MHzにおけるプロトン
NMRの帰属は、以下の通りであった。0.87ppm
(3H,t,J=7Hz,−CH3 )、1.22−1.
38ppm(4H,m;(−CH2 2 CH3 )、1.
49−1.67ppm(10H,m;CH3 ×2,−S
CH(CH2 2 −、2.13ppm(1H,s,S
H)、2.69ppm(2H,t,J=7Hz;−SC
2 −)、3.40ppm(2H,m;−CH2 −)、
3.52ppm(2H,dd;J=12Hz,5Hz,
−CH2 −)、5.20ppm(1H,br s;Ph
NH−)、6.61−6.68ppm(2H,m;ar
oma)、7.16−7.23ppm(2H,m;ar
oma,−NHCO−)、7.39ppm(1H,d
d;J=8Hz,2Hz;aroma)。
【0027】(実施例5) N−〔2−(S−イソプロピルチオ)フェニル〕−1,
2−ジアミノエタンの合成。 2−メルカプトアニリン5.0g(40mmol)と2
−ブロモプロパン4.9g(40mmol)をDMF5
0mlに溶解し80°Cで21時間攪拌した。反応液に
酢酸エチル100mlを加え、これを水100mlで3
回洗浄した。この有機層は減圧濃縮した後、シリカゲル
カラムクロマトグラフィー(溶出液:ベンゼン/酢酸エ
チル=20/1)で精製し、2−(S−イソプロピルチ
オ)アニリン1.2g(6.9mmol)を得た。この
2−(S−イソプロピルチオ)アニリン1.1g(6.
5mmol)に2−ブロモエチルアンモニウムブロマイ
ド1.4g(6.5mmol)をDMF20mlに溶解
し、80°Cの油浴中で21時間攪拌し、この溶液を酢
酸エチル100mlで3回洗浄した。この有機層を減圧
濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶
出液:クロロホルム/エタノール=100/3)で単離
し、黄色油状物のN−〔2−(S−イソプロピルチオ)
フェニル〕−1,2−ジアミノエタン0.26g(1.
2mmol)を得た。
【0028】(実施例6) 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−イソプロピルチオ)
フェニル〕ジアミノエタンの合成。 実施例5で得たN−〔2−(S−イソプロピルチオ)フ
ェニル〕−1,2−ジアミノエタン0.24g(1.1
mmol)、2−S−アセチルメルカプト−2−メチル
プロピオン酸0.19g(1.1mmol)およびWS
C0.25g(1.3mmol)を氷浴中で塩化メチレ
ン10mlに溶解し、実施例4で示した方法に従い操作
してアセチル体0.19g(0.60mmol)を得
た。このアセチル体0.15g(0.40mmol)を
用い、脱アセチル化し、淡黄色油状物の1−N−(2−
メルカプト−2−メチル−1−オキソプロピル)−2−
N’−〔2−(S−イソプロピルチオ)フェニル〕ジア
ミノエタン0.088g(0.30mmol)を得た。
【0029】本化合物の270MHzにおけるプロトン
NMRの帰属は、以下の通りであった。1.23ppm
(6H,d,J=7Hz,CH3 ×2)、1.59pp
m(6H,s,CH3 ×2)、2.14ppm(1H,
s,SH)、3.15ppm(1H,m,=CH−)、
3.37ppm(2H,m,−CH2 −)、3.51p
pm(2H,dd,J=12Hz,6Hz,−CH
2 −)、5.30ppm(1H,br s,PhNH
−)、6.61−6.68ppm(2H,m,arom
a)、7.18−7.25ppm(2H,m,arom
a,−NHCO−)、7.39ppm(1H,dd,J
=8Hz,2Hz,aroma)。
【0030】(実施例7) N−〔2−(S−2’−プロペニルチオ)フェニル〕−
1,2−ジアミノエタンの合成。 2−メルカプトアニリン2.5g(20mmol)に3
−ヨード−1−プロペン3.4g(20mmol)を加
え、DMF20mlを添加して室温で4時間攪拌した。
反応液にクロロホルムを加え、これを水で洗浄した。得
られた有機層は減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=20/
1)で精製し、2−(S−2’−プロペニルチオ)アニ
リン1.6g(9.6mmol)を得た。この2−(S
−2’−プロペニルチオ)アニリン0.33g(2.0
mmol)をDMF5mlに溶解し、2−ブロモエチル
アンモニウムブロマイド0.20g(1.0mmol)
を加え、実施例5に示した方法により黄色油状物のN−
〔2−(S−2’−プロペニルチオ)フェニル〕−1,
2−ジアミノエタン0.10g(0.50mmol)を
得た。
【0031】(実施例8) 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−2’−プロペニルチ
オ)フェニル〕ジアミノエタンの合成。 実施例7で合成したN−〔2−(S−2’−プロペニル
チオ)フェニル〕−1,2−ジアミノエタン0.78g
(3.8mmol)、2−S−アセチルチオ−2−メチ
ルプロピオン酸0.61g(3.8mmol)およびW
SC0.95g(4.9mmol)をジクロロメタン1
0mlに溶解し、室温で3.5時間攪拌した。反応後、
ジクロロメタンを留去した残渣は、クロロホルムに溶解
し、水で有機層を洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾
燥させた。以後の操作は、実施例4で示した方法に従い
操作し、アセチル体0.51g(1.5mmol)を得
た。このアセチル体0.24g(0.70mmol)を
用いて、脱アセチル化したところ微黄色油状物の1−N
−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプロピ
ル)−2−N’−〔2−(S−2’−プロペニルチオ)
フェニル〕ジアミノエタン0.20g(0.70mmo
l)を得た。
【0032】本化合物の270MHzにおけるプロトン
NMRの帰属は、以下の通りであった。1.60ppm
(6H,s,(CH3 2 −)、2.15ppm(1
H,s,−SH)、3.32ppm(2H,d,J=1
3Hz,−SCH2 −)、3.38ppm(2H,br
s,PhNHCH2 −)、3.52ppm(2H,
q,J=6Hz,−CH2 NHCO−)、4.93pp
m(1H,d,J=6Hz,−CH=CH2 )、4.9
8ppm(1H,dq,J=6Hz,2Hz,−CH=
CH2 )、5.25ppm(1H,br s,PhNH
−)、5.83ppm(1H,m,−CH=CH2 )、
6.64ppm(1H,td,J=8Hz,2Hz,a
roma H)、6.67ppm(1H,d,J=8H
z,aromaH)、7.20ppm(1H,td,J
=8Hz,2Hz,aroma H)、7.20ppm
(1H,br s,−NHCO−)、7.37ppm
(1H,dd,J=8Hz,2Hz,aroma
H)。
【0033】(実施例9) N−〔2−(S−2’−プロピニルチオ)フェニル〕−
1、2−ジアミノエタンの合成。 2−メルカプトアニリン2.6g(20mmol)をD
MF1mlに溶解し、氷溶中において攪拌しながら3−
ブロモ−1−プロピン2.4g(20mmol)を滴下
した。滴下後、粘度を増した反応液をクロロホルムに溶
解させた。クロロホルムは水で洗浄した後、留去し、2
−(S−2’−プロピニルチオ)アニリン3.6g(1
8mmol)を得た。この2−(S−2’−プロピニル
チオ)アニリン3.2g(16mmol)に2−ブロモ
エチルアンモニウムブロマイド2.2g(11mmo
l)を加え、実施例5で示した方法により褐色油状物の
1−〔2−(S−2’−プロピニルチオ)フェニル〕−
1、2−ジアミノエタン1.6g(10mmol)を得
た。
【0034】(実施例10) 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−2’−プロピニルチ
オ)フェニル〕ジアミノエタンの合成。 実施例9で合成したN−〔2−(S−2’−プロピニル
チオ)フェニル〕−1、2−ジアミノエタン0.61g
(3.8mmol)、2−S−アセチルメルカプト−2
−メチルプロピオン酸0.32g(2.0mmol)お
よびWSC0.75g(3.9mmol)をジクロロメ
タン10mlに溶解し、室温で5時間攪拌した。以後、
実施例4の方法に従い、アセチル体0.20g(0.6
8mmol)を得、このアセチル体0.12g(0.4
0mmol)を用い、脱アセチル化したところ、微黄色
油状物の1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−
オキソプロピル)−2−N’−〔2−(S−2’−プロ
ピニルチオ)フェニル〕ジアミノエタン0.065g
(0.24mmol)を得た。
【0035】本化合物の270MHzにおけるプロトン
NMRの帰属は、以下の通りであった。1.59ppm
(6H,s,(CH3 2 −)、2.15ppm(1
H,s,−SH)、2.23ppm(1H,t,J=3
Hz,−SCH2 −)、3.39ppm(2H,t,J
=6Hz,PhNHCH2 −)、3.40ppm(2
H,d,J=3Hz,−SCH2 −)、3.53ppm
(2H,q,J=6Hz,−CH2 NHCO−)、5.
33ppm(1H,br s,NHCO−)、6.67
ppm(1H,td,J=8Hz,2Hz,aroma
H)、6.69ppm(1H,dd,J=8Hz,2
Hz,aroma H)、7.25ppm(1H,t
d,J=8Hz,2Hz,aroma H)、7.50
ppm(1H,dd,J=8Hz,2Hz,aroma
H)。
【0036】(実施例11) N−〔2−(S−2’−メトキシエチルチオ)フェニ
ル〕−1、2−ジアミノエタンの合成。 2−メルカプトアニリン3.9g(30mmol)に1
−クロロ−2−メトキシエタン2.9g(30mmo
l)を加え、攪拌しながらトリエチルアミン3.2g
(32mmol)を添加する。析出した結晶を濾過して
取り出し、エーテルに溶解させた後、水でエーテル層を
洗浄し、次にエーテルを留去して目的の2−(S−2’
−メトキシエチルチオ)アニリン3.5g(18mmo
l)を得た。この2−(S−2’−メトキシエチルチ
オ)アニリン3.5g(18mmol)および2−ブロ
モエチルアンモニウムブロマイド2.5g(12mmo
l)をN,N−ジメチルアセトアミド5mlに溶解し、
実施例5で示した方法により褐色油状物のN−〔2−
(S−2’−メトキシエチルチオ)フェニル〕−1、2
−ジアミノエタン1.6g(7.2mmol)を得た。
【0037】(実施例12) 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−2’−メトキシエチ
ルチオ)フェニル〕ジアミノエタンの合成。 実施例11で合成したN−〔2−(S−2’−メトキシ
エチルチオ)フェニル〕−1、2−ジアミノエタン0.
75g(3.3mmol)、2−S−アセチルメルカプ
ト−2−メチルプロピオン酸0.54g(3.4mmo
l)およびWSC0.85g(4.5mmol)をジク
ロロメタン10mlに溶解し、室温で5時間攪拌した。
以後、実施例4の方法に従い、アセチル体0.42g
(1.2mmol)を得た。このアセチル体0.10g
(0.28mmol)を用いて、脱アセチル化したとこ
ろ、微黄色油状物の1−N−(2−メルカプト−2−メ
チル−1−オキソプロピル)−2−N’−〔2−(S−
2’−メトキシエチルチオ)フェニル〕ジアミノエタン
0.086g(0.27mmol)を得た。
【0038】本化合物の270MHzにおけるプロトン
NMRのピークの帰属は、以下のとおりであった。1.
59ppm(6H,s,C(CH3 2 −)、2.18
ppm(1H,s,−SH)、2.87ppm(2H,
t,J=6Hz,−SCH2 −)、3.34ppm(3
H,s,CH3 O−)、3.37ppm(2H,t,J
=6Hz,PhNHCH2 −)、3.48ppm(2
H,t,J=6Hz,−OCH2 −)、3.52ppm
(2H,q,J=6Hz,−CH2 NHCO−)、5.
39ppm(1H,br s,−NHCO−)、6.6
3ppm(1H,dd,J=7Hz,8Hz,arom
a)、6.66ppm(1H,d,J=8Hz,aro
ma)、7.21ppm(1H,dd,J=7Hz,8
Hz,aroma)、7.28ppm(1H,br
s,−PhNH−)、7.43ppm(1H,d,J=
7Hz,aroma)。
【0039】(実施例13) N−〔2−(S−シクロプロピルメチルチオ)フェニ
ル〕−1,2−ジアミノエタンの合成。 2−メルカプトアニリン4.6g(37mmol)をD
MF20mlに溶解し、ブロモメチルシクロプロパン
4.9g(36mmol)をこれに滴下し、室温で18
時間攪拌した。DMFを留去した後、生成物をエーテル
で抽出し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=25/1)で精製
し、2−(シクロプロピルメチルチオ)アニリン3.0
g(17mmol)を得た。この2−(シクロプロピル
メチルチオ)アニリン2.5g(14mmol)および
2−ブロモエチルアンモニウムブロマイド1.5g
(7.2mmol)を少量のDMFに溶解し、実施例5
に示した方法によりN−〔2−(S−シクロプロピルメ
チルチオ)フェニル〕−1,2−ジアミノエタン0.6
0g(0.30mmol)を得た。
【0040】(実施例14) 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N' −〔2−(S−シクロプロピルメチ
ルチオ)フェニル〕ジアミノエタンの合成。 実施例13で得たN−〔2−(S−シクロプロピルメチ
ルチオ)フェニル〕−1,2−ジアミノエタン0.44
g(2.0mmol)、2−S−アセチルメルカプト−
2−メチルプロピオン酸0.36g(2.0mmo
l)、WSC0.47g(2.4mmol)およびトリ
エチルアミン0.48mlをジクロロメタン10mlに
溶解し、室温で約20時間攪拌した。以後の操作は、実
施例4の方法に従い行い、アセチル体0.30g(0.
82mol)を得、このアセチル体0.15g(0.4
1mmol)を用いて脱アセチル化したところ、無色透
明油状物の1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1
−オキソプロピル)−2−N’−〔2−(S−シクロプ
ロピルメチルチオ)フェニル〕ジアミノエタン0.98
g(0.30mmol)を得た。
【0041】本化合物の270MHzにおけるプロトン
NMRピークの帰属は、以下のとおりであった。0.1
5ppm,0.5ppm,0.95ppm(2H,2
H,1H,m,Cyclopropyl)、1.60p
pm(6H,s,−C(CH3 2 )、2.14ppm
(1H,s,SH)、2.62ppm(2H,d,−S
CH2 −)、3.30〜3.60ppm(4H,m,N
CH2 CH2 N)、5.30ppm(1H,br s,
NH)、6.65ppm,7.20ppm,7.45p
pm(4H+1H,m,m,dd,aroma)。
【0042】(実施例15) 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−イソプロピルチオ)
フェニル〕ジアミノエタンのテクネチウム−99m錯体
の調製。 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−イソプロピルチオ)
フェニル〕ジアミノエタン(以下、リガンド−1とい
う。)を、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液をエタノ
ールで200倍に希釈した溶液に溶解し、0.36mg
/mlの濃度とした。この液1.0mlに対し、40m
Ci/mlの過テクネチウム酸ナトリウム注射液0.2
mlおよび0.19mg/mlの塩化第一スズ0.1m
lを加え混合し、室温にて約20分間静置した。その
後、0.22μmのメンブランフィルターでこの調製液
を濾過し、濾液に適当量の生理食塩液を添加し、約50
%EtOH溶液とした。この調製液の純度は、ヘキサン
/酢酸エチル=1/1を展開溶媒としてシリカゲル60
薄層板を用いるTLCで分析した。標識錯体のRf値
は、約0.9で純度は88%であった。
【0043】(実施例16) 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−2’−メトキシエチ
ルチオ)フェニル〕ジアミノエタンのテクネチウム−9
9m錯体の調製。 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−2’−メトキシエチ
ルチオ)フェニル〕ジアミノエタン(以下、リガンド−
2という。)を、1Nの塩酸をエタノールで200倍に
希釈した溶液に溶解し、0.39mg/mlの濃度とし
た。この液1.0mlに対し、100mCi/mlの過
テクネチウム酸ナトリウム注射液0.2mlおよび0.
19mg/mlの塩化第一スズ0.1mlを加え混合
し、スチームオートクレーブにて120°Cで約20分
間加熱した。室温にて常温にした後、C18Sep−Pa
ck(ウォーターズ社製)を用いて精製し、その後、適
当量の生理食塩液を添加し、約60%EtOH溶液とし
た。この調製液の純度は、ヘキサン/酢酸エチル=1/
1を展開溶媒としてシリカゲル60薄層板を用いるTL
Cで分析した。標識錯体のRf値は、約0.9で純度は
88%であった。
【0044】(実施例17) 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−シクロプロピルメチ
ルチオ)フェニル〕ジアミノエタンのテクネチウム−9
9m錯体の調製 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−シクロプロピルメチ
ルチオ)フェニル〕ジアミノエタン(以下、リガンド−
3という。)を、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をエタ
ノールで200倍に希釈した溶液に溶解し、0.39m
g/mlの濃度とした。この液1.0mlに対し、20
mCi/mlの過テクネチウム酸ナトリウム注射液0.
2mlおよび0.19mg/mlの塩化第一スズ0.1
mlを加え混合し、室温にて約30分間静置した。その
後、適当量の生理食塩液を添加し、約50%EtOH溶
液とした。この調製液の純度は、メタノール/水=9/
1を展開溶媒としてC18ODS薄層板を用いてTLCで
分析した。このとき標識錯体のRf値は、約0.3で純
度は98%であった。
【0045】(実施例18) 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−2' −プロペニルチ
オ)フェニル〕ジアミノエタンのテクネチウム−99m
錯体の調製 1−N−(2−メルカプト−2−メチル−1−オキソプ
ロピル)−2−N’−〔2−(S−2' −プロペニルチ
オ)フェニル〕ジアミノエタン(以下、リガンド−4と
いう。)を、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をエタノー
ルで200倍に希釈した溶液に溶解し、0.46mg/
mlの濃度とした。この液1.0mlに対し、20mC
i/mlの過テクネチウム酸ナトリウム注射液0.2m
lおよび0.19mg/mlの塩化第一スズ0.1ml
を加え混合し、室温にて約30分間静置した。その後、
適当量の生理食塩液を添加し、約50%EtOH溶液と
した。この調製液の純度は、メタノール/水=9/1を
展開溶媒としてC18ODS薄層板を用いてTLCで分析
した。このとき標識錯体のRf値は、約0.3で純度は
80%であった。
【0046】(実施例19) テクネチウム−99m錯体のラットにおける体内動態。 実施例15、16、17および18で調製したリガンド
−1−テクネチウム−99m、リガンド−2−テクネチ
ウム−99m、リガンド−3−テクネチウム−99mお
よびリガンド−4−テクネチウム−99m溶液を予めチ
オペントバルビタールで麻酔を施したSD系雌ラット
(190〜250g体重)の尾静脈より0.1ml投与
した。その後、ラットを屠殺し、標識体の投与後の体内
動態を計測した。結果を表1、表2、表3および表4に
示す。
【0047】標識体は、いずれも投与直後から速やかに
脳に集積し、高い脳移行性が示された。その後、放射能
は緩やかに脳から洗い出されるが、その速度は緩徐であ
った。他の臓器では肝臓の放射能が高いが、経時的に減
少し、代わって小腸の放射能が増加した。この事は、該
標識体が体内には蓄積されず、肝胆道系を介し、糞中に
排泄される事を示すものと判断された。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】テクネチウム−99錯体の安全性。 実施例17で示した調製法に従い、放射能的に減衰した
テクネチウム−99を用いてリガンド−3−テクネチウ
ム−99錯体を調製した。この調製液をSD系雌ラット
の尾静脈から0.5ml/kg体重(推定される臨床用
量の約60倍)を投与したが、死亡例はなく、特に異常
と考えられる症状は認められなかった。
【0053】
【発明の効果】本発明により、錯体の調製後の安定性も
高く、投与後速やかに脳へ取り込まれ、適当な時間保持
され、生体内投与後における血液レベルが低く、クリア
ランスも良好であるヒトを含む哺乳動物の脳をイメージ
ングするのに有用なキレート形成性化合物、該化合物と
放射性金属からなる錯体、および該錯体を含有してなる
放射性診断剤の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】化1で示される化合物の合成経路図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉見 美規 千葉県袖ケ浦市北袖3番地1 日本メジフ ィジックス株式会社中央研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記構造を有するキレ−ト形成性化合物又
    はその塩。 【化1】 式1中において、Rは水素、メチル基又は直鎖プロピル
    基を除く炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のア
    ミノアルキル基、炭素数2〜16のアルコキシアルキル
    基、炭素数4〜13のアルキル環状アルキル基、炭素数
    2〜5のアルケニル基又は炭素数2〜5のアルキニル基
    である。
  2. 【請求項2】Rがエチル基である請求項1記載のキレ−
    ト形成性化合物又はその塩。
  3. 【請求項3】Rがイソプロピル基である請求項1記載の
    キレ−ト形成性化合物又はその塩。
  4. 【請求項4】Rがペンチル基である請求項1記載のキレ
    −ト形成性化合物又はその塩。
  5. 【請求項5】Rが2−プロペニル基である請求項1記載
    のキレ−ト形成性化合物又はその塩。
  6. 【請求項6】Rがメトキシエチル基である請求項1記載
    のキレ−ト形成性化合物又はその塩。
  7. 【請求項7】Rが2−プロピニル基である請求項1記載
    のキレ−ト形成性化合物又はその塩。
  8. 【請求項8】Rがシクロプロピルメチル基である請求項
    1記載のキレ−ト形成性化合物又はその塩。
  9. 【請求項9】Rが2−アミノエチル基である請求項1記
    載のキレ−ト形成性化合物又はその塩。
  10. 【請求項10】請求項1、2、3、4、5、6、7、8
    又は9記載のキレ−ト形成性化合物又はその塩と放射性
    金属からなる錯体。
  11. 【請求項11】請求項10記載の錯体を含有してなる放
    射性診断剤。
  12. 【請求項12】放射性金属がテクネチウム−99mであ
    る請求項11記載の放射性診断剤。
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