JPH0796957B2 - 空気調和機の風向調節装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は空気調和機の風向調節装置に関し、さらに詳
しく言えば、主副２枚の風向切替板を有する風向調節装
置に関するものである。

〔従来の技術〕

ヒートポンプ式空気調和機の室内ユニットにおいては、
例えば急速冷房時に必要な領域を速やかに冷房するた
め、また、暖房時においても暖気の上方から下方への循
環をより有効に行なわせるようにするため、その空気吹
出し方向を通常の横吹出しから90度下に向けた下吹出し
方向に変更できるようにされている。

すなわち、第５図に示されているように、室内ユニット
の筐体１内には、熱交換器２とその裏面側の下部に配置
されたクロスフローファン３とを含み、そのファン３に
より空気を下方に送り出す空気流路が形成されている
が、この場合、その空気流路の出口にあたる筐体１の下
部には、正面と底面に連なる空気吹出し口４が形成され
ている。そして、この空気吹出し口４内には、その開口
底面と開口正面との間において選択的に回動される風向
切替板５が設けられており、この風向切替板５により、
空気吹出し方向が所謂横吹出し（水平方向）と下吹出し
（垂直下方向）とに変更されるようになっていて、第５
図には風向切替板５が開口正面側にセットされ、空気吹
出し方向を下吹出しとした状態が図解されている。

この下吹出し状態は、主として暖房運転時になされるの
であるが、このように空気吹出し口４の開口正面側を風
向切替板５にて塞いだ場合、ファン３から送り出されて
くる空気の一部は同風向切替板５の背面側に当接してう
ず流となるため、これが抵抗となって20〜30％の程度の
風量損失が発生する。これに伴って、暖房能力も低下す
ることになる。

そこで、本出願人は、先に出願の例えば実願昭60-93584
号において、風向切替板を主副２枚のダブルフラップ構
成とした風向調節装置を提案した。すなわち、この風向
調節装置によれば、第６図に示されているように、主風
向切替板13と、副風向切替板14とを備えている。詳しく
図示されていないが、主風向切替板13は空気吹出し口の
側板に軸支されていて、その背面には副風向切替板14に
作用する板バネ26が設けられている。副風向切替板14は
主風向切替板13の上縁に設けられている水平支軸15bに
嵌合する軸受穴16aを有し、その背面側には上記板バネ2
6と協動するカム27が設けられている。

第６図の状態において、主風向切替板13を時計方向に回
転させると、それに伴って副風向切替板14も一体的に回
転する。これに対して、同図の状態から主風向切替板13
を反時計方向（矢印Ａ方向）に押すと、副風向切替板14
はボス22がガイド溝壁25aに当接して同方向には動き得
ないため、板バネ26が第１のカム面27aを乗り越えて第
２のカム面27bに作用し、そのバネ力にて副風向切替板1
4は図示想像線のように開くことになる。

〔発明が解決しようとする課題〕

このように、副風向切替板14を開くことにより、風量損
失を小さくし得るとともに、特に暖房運転時において
は、そこから比較的温度の低い温風が吹出されるため、
温風を広い領域にわたって拡散することができる。

しかしながら、この先行例においては、副風向切替板14
を開くにあたって、主風向切替板13を反時計方向に押し
込むという、いわば余計な操作を必要とする。また、副
風向切替板14の動きを板バネ26とカム27およびガイド溝
25とボス22などの摺接によって制御しているため、これ
を駆動するモータには大きなトルクのものが必要であ
り、さらに言えば、構造的にも複雑なきらいがあった。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するため、この発明は、熱交換器および
送風ファンを含む空気流路を有する室内機筐体と、上記
空気流路の出口に対応して上記室内機筐体の正面下部か
ら底面にかけて開口された空気吹出し口と、該空気吹出
し口内にその空気吹出し方向を横吹出し方向と下吹出し
方向とに切り替えるように回動可能に設けられた風向調
節板と、該風向調節板を駆動するモータとを備えている
空気調和機において、上記風向調節板は、上記空気吹出
し口の側板に軸支された主風向切替板と、該主風向切替
板の上部に配置され、かつ、同主風向切替板に対して回
動可能に軸支された副風向切替板とを含み、上記主風向
切替板の軸受部には上記モータに連結された駆動歯車が
挿通されているとともに、同軸受部には上記副風向切替
板が閉じられた状態で上記駆動歯車側に設けられている
突起と係合するストッパー手段が設けられており、上記
副風向切替板には上記駆動歯車と噛み合う従動歯車が設
けられていて、上記突起が上記ストッパー手段に係合し
ない上記駆動歯車の所定回転角度範囲内においては、上
記主風向切替板が下吹出し方向に設定された状態で上記
副風向切替板のみが上記モータにて開閉され、上記突起
が上記ストッパー手段に係合した状態から上記駆動歯車
が上記副風向切替板をさらに閉じる方向に回転する際に
は、上記主風向切替板と上記副風向切替板とが一体とな
って横吹出し方向に開かれるようにしたことを特徴とし
ている。

〔作用〕

上記構成によれば、駆動歯車をその突起がストッパー手
段に係合しない範囲内で回転させることにより、主風向
切替板が下吹出し方向に設定された状態で副風向切替板
のみが開閉され、風量損失が小さく抑えられるととも
に、特に暖房運転時においては、副風向切替板から比較
的温度の低い温風が吹出されるため、温風をより広い領
域にわたって拡散することができる。

これに対して、突起がストッパー手段に係合した状態か
ら駆動歯車を副風向切替板がさらに閉じる方向に回転さ
せると、上記主風向切替板と上記副風向切替板とが一体
となって横吹出し方向に開かれる。このように、この発
明によると副風向切替板をモータ駆動にて開閉すること
が可能となる。

〔実施例〕 以下、この発明の実施例を第１図ないし第４図を参照し
ながら詳細に説明する。

第１図にはこの風向調節装置を筐体内部側から見た分解
斜視図が示されている。これによると、この風向調節装
置は、上記先行例と同様に室内機筐体の空気吹出し口30
内に配置される主風向切替板31と、副風向切替板32とを
備えている。

主風向切替板31は、空気吹出し口30を形成している筐体
側板33,34に軸支されている。この実施例において、両
側板33,34には軸受穴33a,34aがそれぞれ形成されてお
り、その一方の軸受穴33aには主風向切替板31の一端に
設けられている回転軸35が挿通されるが、主風向切替板
31の他端は駆動歯車36を介して軸受穴34aに軸支され
る。

すなわち、第２図を併せて参照すると、主風向切替板31
の他端側には、円筒状の軸受凹部37が形成されており、
同軸受凹部37内には上記回転軸35と対をなす回転軸38が
設けられている。駆動歯車36は、歯部36aと、軸受穴34a
内に嵌合する円筒部36bとを有している。この駆動歯車3
6の一端には、モータ39の出力軸39aに嵌着されるＤカッ
ト穴36cが設けられており、図示されていないが、その
他端には、上記回転軸38と嵌合する軸受穴が穿設されて
いる。

主風向切替板31の上縁には、副風向切替板32を回転可能
に軸支する複数、この例では４つの水平支軸40a〜40dが
所定高さをもって設けられている。これに対して、副風
向切替板32の背面側には、上記水平支軸40a〜40cに係合
する３つの軸受リブ41a〜41cと、水平支軸40dに嵌合す
る軸受筒41dとが設けられており、この場合、軸受筒41d
には、駆動歯車36と噛み合う従動歯車42が形成されてい
る。

主風向切替板31と副風向切替板32とを組み合わせた状態
における第１図のIII-III線断面図である第３図を参照
すると、上記軸受凹部37は駆動歯車36と従動歯車42とを
噛み合わせるための上面が開放された樋状の駆動歯車収
納部43を備えている。この収納部43内には、駆動歯車36
側に設けられている突起44に対するストッパーとしての
係合段部45a,45bが所定の角度間隔をもって配置されて
いる。また、主風向切替板31と副風向切替板32との間に
は、副風向切替板32を閉じる方向、すなわち第３図反時
計方向に付勢する戻しバネ46が設けられている。ここ
で、再び第２図を参照すると、主風向切替板31の他端に
は、側板34側に形成されている円弧溝47に係合して同主
風向切替板31の回動範囲を規制するボス48が突設されて
いる。

次に、この風向調節装置の動作を説明する。第３図に示
されているように、駆動歯車36の突起44が下側の係合段
部45aに当接している状態においては、副風向切替板32
は同図実線のように閉じられている。この状態から駆動
歯車36が第３図反時計方向（第１図時計方向）に回転す
ると、従動歯車42はそれとは反対に第３図時計方向（第
１図反時計方向）に回転する。これにより、副風向切替
板32は戻しバネ46に抗して開く方向に回転し、突起44が
上側の係合段部45bに当接した時点で、図示想像線のよ
うに最大に開いた状態となる。このように、駆動歯車36
を係合段部45a,45b間において回転させることにより、
副風向切替板32は任意の開角度位置に設定される（第４
図（ｄ）〜（ｅ）参照）。

これに対して、駆動歯車36が係合段部45aに当接してい
る第３図の状態から、同図時計方向（第１図反時計方
向）に回転させると、副風向切替板32が閉じられた状態
のまま今度は主風向切替板31自体が回転軸35,38を中心
として開く。すなわち、駆動歯車36を第３図実線位置か
ら所定の時計方向角度範囲内において、往復的に回転さ
せることにより、上記円弧溝47に規制される範囲内にお
いて主風向切替板31が俯仰することになる（第４図
（ａ）〜（ｃ）参照）。

〔発明の効果〕

以上説明したように、この発明によれば、モータにより
副風向切替板が開閉されるため、同副風向切替板を開閉
するにあたって、従来のように手動での特別な操作をす
る必要がなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図はこの発明の実施例に関するもの
で、第１図はこの発明による風向調節装置の一実施例を
筐体内部側から見た分解斜視図、第２図は主風向切替板
の軸受部を説明するための分解斜視図、第３図は主風向
切替板と副風向切替板とを組み合わせた状態における第
１図のIII-III線断面図、第４図（ａ）〜（ｅ）はこの
風向調節装置の一連の動作を図解した動作説明図、第５
図および第６図はこの発明の先行例を示した断面図であ
る。 図中、30は空気吹出し口、31は主風向切替板、32は副風
向切替板、33,34は筐体側板、33a,33bは軸受穴、35,38
は回転軸、36は駆動歯車、37は軸受凹部、39はモータ、
40a〜40dは水平支軸、41a〜41cは軸受リブ、41dは軸受
筒、42は従動歯車、43は駆動歯車収納部、44は突起、45
a,45bは係合段部（ストッパー）、46は戻しバネ、47は
円弧溝、48はボスである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】熱交換器および送風ファンを含む空気流路
   を有する室内機筐体と、上記空気流路の出口に対応して
   上記室内機筐体の正面下部から底面にかけて開口された
   空気吹出し口と、該空気吹出し口内にその空気吹出し方
   向を横吹出し方向と下吹出し方向とに切り替えるように
   回動可能に設けられた風向調節板と、該風向調節板を駆
   動するモータとを備えている空気調和機において、 上記風向調節板は、上記空気吹出し口の側板に軸支され
   た主風向切替板と、該主風向切替板の上部に配置され、
   かつ、同主風向切替板に対して回動可能に軸支された副
   風向切替板とを含み、上記主風向切替板の軸受部には上
   記モータに連結された駆動歯車が挿通されているととも
   に、同軸受部には上記副風向切替板が閉じられた状態で
   上記駆動歯車側に設けられている突起と係合するストッ
   パー手段が設けられており、上記副風向切替板には上記
   駆動歯車と噛み合う従動歯車が設けられていて、上記突
   起が上記ストッパー手段に係合しない上記駆動歯車の所
   定回転角度範囲内においては、上記主風向切替板が下吹
   出し方向に設定された状態で上記副風向切替板のみが上
   記モータにて開閉され、上記突起が上記ストッパー手段
   に係合した状態から上記駆動歯車が上記副風向切替板を
   さらに閉じる方向に回転する際には、上記主風向切替板
   と上記副風向切替板とが一体となって横吹出し方向に開
   かれるようにしたことを特徴とする空気調和機の風向調
   節装置。