JPH0795889B2 - 掘取機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は掘取機に係り、たとえば、長芋等の長ものの根
菜類を掘取るものに関する。

（従来の技術） 従来、この種の根菜類を掘取る掘取機としては、たとえ
ば、機枠にトレンチャを上下方向に回動自在に設けると
ともに、このトレンチャの下端部の掘取部の後方部に根
菜類持上げ用のコンベヤを突設した構造のものがある。
そして、根菜類の掘取作業時にはトレンチャを地中深く
進入させた状態で進行するとともに、そのトレンチャに
よって根菜類を掘上げ、この根菜類をコンベヤによって
後上方に持上げるようになっているものである。

また、特開昭54−15830号公報に記載されているよう
に、両側板の前端部間に収穫物を掘取るクワを設け、こ
のクワの両側部に位置して前記両側板の前端縁部に沿っ
て土を切断するチェーン刃をそれぞれ上下方向に回行自
在に設け、前記クワの後端部に位置して前記両側板間に
コンベヤを設けた構造が知られている。

（発明が解決しようとする課題） 前記トレンチャを有する掘取機の構造では、掘取り作業
開始時にはトレンチャを地上から地中に向かって下降回
動してその下端部の掘取部から地中に進入させて掘取姿
勢に設定するものであるが、この際、掘取部の後方部に
はコンベヤが一体に突設されているため、コンベヤの後
端部が土に突当り、掘取部を、当初の根菜類から掘取る
畦際からの本来のスタート位置から地中に進入させ、か
つ、掘取り姿勢に設定することができず、したがって、
コンベアの下降回動の距離を考慮して本来のスタート位
置より前方部から掘取部を進入させ、かつ、掘取姿勢に
設定しなければならず、人手による広範囲の枕掘りを必
要とするとともに、この枕掘りに多くの労力を要すると
いう問題がある。

また、前記公報に記載の構造では、クワ及びチェーン刃
を有する掘取機構並びにコンベヤは定位置に配設されて
いるもので、これらの構造は掘取機本体に対して上下方
向に回動自在ではないため、前記トレンチャを有する掘
取機の構造と同様に掘取部を、当初の根菜類から掘取る
畦際からの本来のスタート位置から地上に進入させて掘
取り作業を行なうことができず、人手による広範囲の枕
掘りを必要とするとともに、この枕掘りに多くの労力を
要するという問題がある。

そこで、本発明はこのような課題に鑑みてなされたもの
で、地中に対する掘上体の進入時には持上体が進入抵抗
となることがなく、掘上体を畦際からの本来的スタート
位置から地中に容易に進入させて掘取り姿勢に設定する
ことができ、枕掘りによる労力を解消ないしは極めて少
なくすることができる作業性にすぐれた掘取機を提供す
ることを目的とするものである。

（課題を解決するための手段） 本発明の掘取機は、前部にトラクタに連結する連結部を
有するとともに後部に左右方向の回動中心軸を有する掘
取機本体と、この掘取機本体の前記回動中心軸を中心と
して上下方向に回動自在に設けられ下端部に根菜類を掘
上げる後上りに傾斜した掘上体及びこの掘上体の両側上
下方向に根菜類の両脇の土を切断する多数のカッターを
有する回行自在の無端回行体を備えた掘取機構と、この
掘取機構の前記掘上体の後部に固着され掘上体の上下方
向の回動軌跡内において掘上体の後方部に突設されかつ
掘上体にて掘上げられた根菜類を持上げる持上体と、前
記掘取機本体に設けられ前記回動中心軸を中心として前
記掘取機構を畦際の地上から地中に進入させて根菜類の
掘取り姿勢に設定するシリンダー装置とを具備したもの
である。

（作用） 本発明の掘取機では、掘取作業開始にあたって、持上体
を備えた掘取機構を圃場の畦際の地上に移動した状態に
おいて、シリンダー装置を作動してピストンロッドが伸
長されると、掘取機構は回動中心軸を中心として下降回
動されるとともに、この掘取機構の多数のカッターを有
する左右の無端回行体がそれぞれ駆動されると、この左
右の無端回行体の各カッターが下方から上方に向かって
順次回行される。

そして、掘取機構の掘上体が円弧運動を描きながら畦際
の地上から地中に進入されると同時に、左右の各カッタ
ーが掘上体の左右部の土を切断しながら地上から地中に
進入され、この掘上体及び各カッターを有する掘取機構
が所定の掘取り姿勢に設定される。

この際、持上体は掘上体の回動軌跡内に設けられている
ことにより、掘上体によって掘削される掘削溝内を掘上
体とともに下降回動され、したがって、持上体が掘上体
の下降回動の抵抗となるようなことなく掘上体が円滑に
下降回動される。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

１は掘取機本体で、この掘取機本体１は、左右方向の主
フレーム２を有し、この主フレーム２の両側部に支持フ
レーム３が相対してそれぞれ後方に向かって一体に突設
され、この左右の支持フレーム３の後部間にはミッショ
ンケース４が固着支持されている。また、前記主フレー
ム２の両端部に連結部としてのロワピン1aがそれぞれ突
設され、この主フレーム２の中間上部に一対のマスト５
が一体に立設され、このマスト５の上端部の前後部には
連結部としての複数の連結孔６が相対して穿設され、こ
の連結孔６の下部と前記ミッションケース４との間には
この相互を支持する支持アーム７が連結されている。

また、前記ミッションケース４内にはミッション８が設
けられ、このミッション８に連動連結された入力軸９が
ミッションケース４に図示しない軸受体を介して前方に
向かって回転自在に突設されている。また、前記ミッシ
ョンケース４の左右部に軸受体11がそれぞれ一体に固着
され、この左右の軸受体11の軸受12に前記ミッション８
に連動連結された左右方向の回動中心軸としての出力軸
10が回転自在に軸架されている。また、前記左右の軸受
体11の外周部には摺動凹部13が環状に形成されている。

また、14は掘取機構で、この掘取機構14は、前記左右の
軸受体11の摺動凹部13に上下方向に回動自在に取着され
た板状の吊持体15を有し、この左右の吊持体15に左右方
向の中空円筒状の支持フレーム16が固着されている。ま
た、前記支持フレーム16の両端部に固着支持された連結
板17には上下方向に延在した支持板18の上端部が調節機
構19にて上下方向に位置調節自在に連結され、この左右
の支持板18の前縁部及び後端部の上下方向にはチェーン
ガイド20がそれぞれ突設されている。

また、前記左右の支持板18の下端内側部には連結フレー
ム21の左右の垂直状部22がそれぞれ一体に固着され、こ
の左右の垂直状部22の下端部から後方に向かって突設さ
れた連結フレーム21の水平状部23間には後上りに傾斜し
た取付板24が一体に形成され、この取付板24上には掘上
体としての先金25が後上りに傾斜した状態で一体に固着
されている。そして、前記先金25の先端部26は垂直状部
22の下方部に突出されているとともに、その後端部27は
水平状部23より後方に向かって突出されている。

また、前記連結フレーム21の左右の垂直状部22の下端外
側部には、前記左右の支持板18の下端部の延長線上にお
いて、かつ、前記先金25の両側上部において回転するス
プロケット28が支軸29にてそれぞれ回転自在に軸架され
ている。また、前記ミッション８の出力軸10の両端部に
は前記左右のスプロケット28と同一平面において相対し
て回転するスプロケット30が固着されている。

また、前記左右上下のスプロケット28,30間には途中を
前記チェーンガイド20の案内される無端回行体としての
無端チェーン31がそれぞれ回行自在に懸架され、この左
右の無端チェーン31の外側部には所定の間隔をおいて前
記先金25の先端部26の両側部分を回行移動する多数のカ
ッター32が突設されている。

さらに、前記取付板24の下部にブラケット33が一体に固
着され、このブラケット33の後端部には板状の連結枠34
が一体に形成され、この連結枠34の左右部は補強部材35
にて固着支持されている。そして、前記のように構成さ
れた掘取機構14は前記出力軸10を回動中心として上下方
向に回動自在に吊持されている。

また、36は持上体としての搬送コンベヤで、この搬送コ
ンベヤ36は、前後方向に延在形成された矩形状のコンベ
ヤフレーム37を有し、このコンベヤフレーム37の左右片
部38の前後方向には所定の間隔をおいて多数のローラー
39が回転自在に並設軸架され、この前端部のローラー39
と後端部のローラー39との間には途中の各ローラー39を
介して無端ベルト40が回行自在に懸架されている。

そして、前記コンベヤフレーム37の前端部に固着された
水平状の連結枠41が前記ブラケット33の連結枠34に対し
て複数のボルト・ナットなどの連結具によって一体に連
結されている。そうして、前記搬送コンベヤ36は先金25
の後方部にブラケット33を介して後上りに傾斜した状態
に一体に突設されている。

しかして、前記ブラケット33の連結枠34及び補強部材35
は、前記先金25の先端部26と後端部27との間の上下方向
の回動軌跡A,B内に収まる位置に設けられているととも
に、このブラケット33に固着されて後方に向かって突設
された前記搬送コンベヤ36は、前記先金25の先端部26と
後端部27との間の上下方向の回動軌跡A,B内に収まり、
かつ、この回動軌跡A,B内において先金25とともに上下
方向に回動されるようになっている。

さらに、42がシリンダー装置で、このシリンダー装置42
は、シリンダー本体43の基端部が支軸44にて左右の連結
支枠45間に回動自在に連結され、この左右の連結支枠45
は前記掘取機構14の左右の吊持体15の後側部に突設され
た連結部46の内側部に一体に固着されている。また、前
記シリンダー本体43に設けた伸縮自在のピストンロッド
47の先端部が前記マスト５の後部の連結孔６に挿通した
連結ピン48に回動自在に連結されている。そして、前記
シリンダー装置42にて前記掘取機構14が左右の軸受体11
を介して前記出力軸10を回動中心として上下方向に回動
自在に支持され、この掘取機構14を地上から地中に進入
させて根菜類を掘取り姿勢に設定するようになってい
る。

つぎに、前記実施例の作用を説明する。

掘取機本体１の左右のロワピン1a及びマスト５の前部の
連結孔６のそれぞれにトラクタ49の左右のロワリンク50
及びトップリンク51をそれぞれ連結するとともに、掘取
機本体１のミッション８の入力軸９とトラクタ49の動力
取出軸52との間に動力伝達軸52を連結する。

つぎに、トラクタ49により掘取機を移動し、搬送コンベ
ヤ36を備えた掘取機構14を圃場の畦際の地上に移動した
状態において、シリンダー装置42を作動してピストンロ
ッド47を伸長すると、掘取機構14はその左右の吊持体15
によりミッション８の出力軸10を回動中心とて下降回動
される。また、トラクタ49の動力取出軸52を回転駆動し
て動力伝達軸53、入力軸９及びミッション８の出力軸10
が回転されると、この出力軸10にて上下左右のスプロケ
ット28,30を介して左右の無端チェーン31がそれぞれ第
１図時計方向に連動回行されるとともに、この各カッタ
ー32が下方から上方に向かって回行される。

そして、掘取機構14の先金25は、その先端部26から地中
に突きささって順次前方に進入されるとともに、左右の
各カッター32は先金25の両脇の土を先金25の進入ととも
に、順次掘削切断しながら地中に進入される。

したがって、掘取機構14の先金25及び左右の各カッター
32は回行しつつこれらが前方に向かって円弧運動を描き
ながら畦際の地上から地中に進入され、掘取機構14が地
中に対して根菜類に応じた所定の掘取り深さｈに進入さ
れるとともに、シリンダー装置42の作動を停止すること
により、掘取機構14が所定の掘取り姿勢に設定される。

この際、搬送コンベヤ36は、先金25の前端部26と後端部
との間の回動軌跡A,B内に設けられていることにより、
先金25及び左右の各カッター32によって掘削される掘削
溝内を先金25とともに下降回動され、したがって、搬送
コンベヤ36の後端部が掘削溝の底部などに突き当って先
金25の下降回動の抵抗となるようなことなく先金25が搬
送コンベヤ36をともなって円滑に下降回動される。

つぎに、トラクタ49によって掘取機を牽引進行すると、
掘取機構14の先金25はその先端部から根菜類の後方下部
の地中に突きささって順次牽引進行されるとともに、左
右の無端チェーン31の各カッター32は上方に向かって回
行しながら先金25の両脇において根菜類の両脇の土を順
次掘削切断しつつ牽引進行される。

そして、先金25によって掘上げられた根菜類は、先金25
の後端部27から搬送コンベヤ36の無端ベルト40上に搬入
されるが、この搬送コンベヤ36は後上りに傾斜して設定
されているので、牽引抵抗によって無端ベルト40が第１
図時計方向に向かって自転回行しつつ進行され、したが
って、この無端ベルト40上に搬入された根菜類は、先金
25の牽引進行とともに、後上方に向かって次第に持上げ
られ、かつ、土と分離されて掘取られる。

このように、トラクタ49によって掘取機を根菜類に沿っ
て牽引進行することにより、圃場の各根菜類は順次掘上
げられ、かつ、持上げられて掘取られる。

つぎに、前記実施例では、先金25の後方部に持上体とし
て搬送コンベヤ36を連設する場合について説明したが、
これに限らず、持上体として、たとえば第５図に示すよ
うに、先金25の後方部にリフトへら54を連設するように
してもよい。

この場合、リフトへら54は、前後方向に延在した支持枠
55の前端部に連結枠56を有するとともに、この支持枠55
の上部に前後の支脚57,58にて後上りに傾斜した板状の
へら59を固着して構成されている。そして、前端部の連
結枠56をブラケット33の連結枠34に一体に固着する。こ
れにより、リフトへら54はブラケット33の後方部に後上
りに傾斜した状態で一体に突出される。そして、この実
施例においても、ブラケット33に固着されて後方部に突
設された前記リフトへら54は、前記先金25の先端部26と
後端部27との間の上下方向の回動軌跡A,B内に収まり、
かつ、この回動軌跡A,B内において先金25とともに上下
方向に回動されるようになっている。

このように構成することにより、前記実施例の場合と同
様に掘取機構14及びリフトへら54は畦際から容易に地中
に進入させ、かつ掘取姿勢に設定させることができる。

（発明の効果） 本発明によれば、掘取機本体に回動中心軸を中心として
掘取機構を畦際の地上から地中に進入させて掘取り姿勢
に設定するシリンダー装置を設け、前記掘取機構の下端
部に後上り傾斜して設けた掘上体の後部にこの掘上体の
上下方向の回動軌跡内において根菜類を持上げる持上体
を固着したので、シリンダー装置にて掘取機構を畦際の
地上から地中に進入させる進入時には持上体は掘上体の
回動軌跡内において掘上体に連動され、この持上体の後
端部は土圧を受けて掘上体の進入抵抗となるようなこと
がなく、このため、掘上体を当初の根菜類から掘取る本
来的スタート位置から地中に容易に進入させることがで
き、かつ、掘取機構及び持上体を容易に掘取り作業姿勢
に設定することができ、したがって、本来的スタート位
置から根菜類の掘取り作業を行なうことができ、掘取部
を進入させる広範囲の枕掘り作業を必要とせず、枕掘り
する労力を解消することができる作業性にすぐれた掘取
機を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を示すもので、第１図は掘取機の側
面図、第２図は同上ａ〜ａ線部の横断平面図、第３図は
第１図ｂ〜ｂ線部の断面図、第４図は掘取機の一部を省
略した平面図、第５図は他の実施例を示す掘取機の側面
図である。 １……掘取機本体、1a,6……連結部、10……回動中心
軸、14……掘取機構、25……掘上体、31……無端回行
体、32……カッター、36,54……持上体、42……シリン
ダー装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】前部にトラクタに連結する連結部を有する
   とともに後部に左右方向の回動中心軸を有する掘取機本
   体と、この掘取機本体の前記回動中心軸を中心として上
   下方向に回動自在に設けられ下端部に根菜類を掘上げる
   後上りに傾斜した掘上体及びこの掘上体の両側上下方向
   に根菜類の両脇の土を切断する多数のカッターを有する
   回行自在の無端回行体を備えた掘取機構と、この掘取機
   構の前記掘上体の後部に固着され掘上体の上下方向の回
   動軌跡内において掘上体の後方部に突設されかつ掘上体
   にて掘上げられた根菜類を持上げる持上体と、前記掘取
   機本体に設けられ前記回動中心軸を中心として前記掘取
   機構を畦際の地上から地中に進入させて根菜類の掘取り
   姿勢に設定するシリンダー装置と、を具備した ことを特徴とする掘取機。