JPH0794540B2 - ポリアリレートの製造方法 - Google Patents

ポリアリレートの製造方法

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JPH0794540B2
JPH0794540B2 JP63075385A JP7538588A JPH0794540B2 JP H0794540 B2 JPH0794540 B2 JP H0794540B2 JP 63075385 A JP63075385 A JP 63075385A JP 7538588 A JP7538588 A JP 7538588A JP H0794540 B2 JPH0794540 B2 JP H0794540B2
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伊三郎 府川
伸典 福岡
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智也 渡辺
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はポリアリレートの新規な製造方法に関するもの
である。さらに詳しくいえば、本発明は、耐熱性などの
特性に優れ、かつ着色の少ないエンジニアリング樹脂の
ポリアリレートを、安価な原料を用いて、好ましくない
腐食性の副生成物を生じることがなく、かつ速い重合反
応速度で効率よく製造する方法に関するものである。
従来の技術 近年、ポリアリレートは耐熱性、耐薬品性、機械的性質
などに優れていることから、エンジニアリング樹脂とし
て、種々の分野における工業部品の材料に用いられてい
る。
このポリアリレートの製造方法としては、これまで、例
えば芳香族ジカルボン酸クロリドと芳香族ジヒドロキシ
化合物とを反応させる界面重縮合法(特公昭40−1959号
公報)、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ジカルボン
酸のジフェニルエステルとを反応させるか、又は芳香族
ジヒドロキシ化合物と芳香族ジカルボン酸とジアリール
カーボネートとを反応させる溶融重合法(米国特許第4,
680,372号明細書、特公昭38−26299号公報)などが知ら
れている。
しかしながら、前者の方法においては、多量の溶媒を使
用しなければならないという欠点があるし、後者の方法
においては、重合の末期にポリマーの溶融粘度が極めて
高くなって重合が完結しにくく、そこで溶融粘度を下げ
るために重合温度を上げようとすると、ポリマーの着色
や物性の低下を免れないという問題が生じる。
このような溶融重合法の欠点を改良する方法として、例
えば芳香族ジヒドロキシ化合物の酢酸エステルと芳香族
ジカルボン酸とを溶融重合して得られるプレポリマー
を、結晶化溶媒を用いて結晶化させたのち、固相重合す
る方法や(特開昭57−2331号公報、米国特許第3,684,76
6号明細書、同第3,780,148号明細書)、芳香族ジヒドロ
キシ化合物と芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステル
とを溶融重合して得られるプレポリマーを結晶化させた
のち、固相重合する方法(特開昭53−35796号公報、同5
3−43797号公報、同53−54295号公報、同53−114895号
公報)などが提案されている。しかしながら、前者の方
法においては、得られるポリマーの性能が劣る上に、装
置の腐食の原因となる酢酸が副生するなどの欠点があ
り、一方後者の方法においては、出発原料の芳香族ジカ
ルボン酸ジフェニルエステルの製造が困難であって、コ
スト高になるのを免れない。
発明が解決しようとする課題 本発明は、このような従来のポリアリレートの製造方法
が有する欠点を克服し、安価な原料を用いて、優れた色
相及び物性を有するポリアリレートを、好ましくない腐
食性の副生成物を生じることがなく、かつ速い重合反応
速度で効率よく製造する方法を提供することを目的とし
てなされたものである。
課題を解決するための手段 本発明者らは前記目的を達成するために鋭意研究を重ね
た結果、原料として、芳香族ジヒドロキシ化合物を主体
とするジオール、ジアリールカーボネート、芳香族ジカ
ルボン酸及び所望に応じヒドロキシ芳香族カルボン酸を
特定の割合で用い、溶融重合させてプレポリマーを形成
させ、次いで該プレポリマーを結晶化させたのち、固相
重合することにより、その目的を達成しうることを見い
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)芳香族ジヒドロキシ化合物
を主体とするジオールと(B)ジアリールカーボネート
と(C)芳香族ジカルボン酸とを、モル数に基づき、式 及び の関係を満たす割合で用い、加熱下に溶融重合させてプ
レポリマーを形成させ、次いで該プレポリマーを結晶化
させたのち、固相重合することを特徴とするポリアリレ
ートの製造方法及び、前記(A)成分と(B)成分と
(C)成分と(D)ヒドロキシ芳香族カルボン酸とを、
モル数に基づき、式 及び …(IV) の関係を満たす割合で用い、加熱下に溶融重合させてプ
レポリマーを形成させ、次いで該プレポリマーを結晶化
させたのち、固相重合することを特徴とするポリアリレ
ートの製造方法を提供するものである。ここでポリアリ
レートとは、ジカルボン酸成分、ジオール成分のいずれ
もが芳香族化合物から構成されているポリエステル、い
わゆる全芳香族ポリエステルを意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明方法においては、原料の(A)成分として芳香族
ジヒドロキシ化合物を主体とするジオールが用いられ
る。該芳香族ジヒドロキシ化合物は、一般式 HO−Ar−OH …(V) で表わされるものであり、ここでArは芳香族ジヒドロキ
シ化合物の2価の芳香族残基を表わすが、このような芳
香族基としては、例えば、フェニレン(各種)、ナフチ
レン(各種)、ビフェニレン(各種)、ピリジレン(各
種)、及び一般式 −Ar1−Z−Ar2− …(VI) で表わされる2価の芳香族基などが挙げられる。ここ
で、Ar1及びAr2は同一であっても、異なっていてもよい
2価の芳香族基であって、例えば、フェニレン(各
種)、ナフチレン(各種)、ビフェニレン(各種)、ピ
リジレン(各種)などの基を表わす。Zは単なる結合、
又は−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−CO2−、−CO
N(R1)−、 などの2価の基を表わす(ここでR1,R2,R3,R4は同一で
あっても異なっていてもよく、水素、低級アルキル基、
低級アルコキシ基、シクロアルキル基を表わし、kは3
〜11の整数を表わし、上式 の水素原子は、低級アルキル基、シクロアルキル基、ア
リール基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子
等によって置換されていてもよい)。
さらには、このような2価の芳香族基(Ar又はAr1,A
r2)において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を
及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、低級ア
ルキル基、低級アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ
基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニト
ロ基などによって置換されたものであってもよい。
このような芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば で表わされるジヒドロキシフェノール類; で表わされるジヒドロキシビフェニル類; (式中のR5及びR6は、それぞれ水素原子、ハロゲン原
子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低
級アルコキシ基、シクロアルキル基又はフェニル基であ
って、これらは同じであってもよいし、たがいに異なっ
ていてもよく、m及びnは1〜4の整数で、mが2以上
の場合にはR5はそれぞれ異なるものであってもよいし、
nが2以上の場合にはR6はそれぞれ異なるものであって
もよい) などのビスフェノール類などが好ましく用いられる。
これらの化合物の中で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンであるビスフェノールA及び置換ビス
フェノールA類が特に好適である。また、これらの芳香
族ジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよいし、2種
以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物を用いる場合には、通常これらの2種
以上の骨格を有する共重合体ポリアリレートが得られ
る。
該(A)成分のジオールは、前記の芳香族ジヒドロキシ
化合物が主体であるが、これにアルキレングリコールを
30重量%以下の量で混合して使用してもよい。このアル
キレングリコールとしてはエチレングリコール、1,4−
ブタンジオール及びテトラメチレングリコールが好適で
あり、これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。
本発明方法において、原料の(B)成分として用いられ
るジアリールカーボネートは、一般式 (式中のAr3は芳香族基である) で表わされ、該Ar3は置換基を有しないものであっても
よいし、また1つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼ
さない他の置換基、例えばハロゲン原子、低級アルキル
基、低級アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビ
ニル基、シアノ基、エステル基、ニトロ基などによって
置換されたものであってもよい。このようなジアリール
カーボネートとしては、例えばジフェニルカーボネー
ト、ジクレジルカーボネート、ジ−β−ナフチルカーボ
ネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビ
ス(シアノフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェ
ニル)カーボネートなどが挙げられるが、これらの中
で、ジフェニルカーボネートが好ましい。これらのジア
リールカーボネートはそれぞれ単独で用いてもよいし、
2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明方法において、(C)成分として用いられる芳香
族ジカルボン酸は、一般式 HOOC−Ar′−COOH …(VIII) で表わされ、該Ar′は2価の芳香族残基であって、前記
一般式(V)におけるArで説明したものを例示できる。
このような芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフ
タル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフ
ェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジ
カルボン酸などを挙げることができるが、これらの中で
テレフタル酸、イソフタル酸及びこれらの混合物が好適
である。前記芳香族ジカルボン酸は1種用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明方法においては、前記(A)、(B)及び(C)
原料成分は、モル数に基づき 及び の関係を満たす割合で使用することが必要である。
(B)成分のモル数に対する(A)成分と(C)成分と
の合計モル数の割合が、前記式(I)の範囲を逸脱する
と所望の重合度のものが得られにくい。好ましい該モル
数の割合は0.8〜1.05の範囲で選ばれる。また、(A)
成分のモル数に対する(C)成分のモル数の割合が0.9
未満では得られるポリアリレートの耐熱性が劣るおそれ
があるし、1.1を超えると高重合度のものが得られにく
い傾向が生じる。
本発明方法においては、原料成分として、前記(A)、
(B)及び(C)成分と共にさらに(D)成分、すなわ
ちヒドロキシ芳香族カルボン酸を用いることができる。
このヒドロキシ芳香族カルボン酸は、一般式 HO−Ar″−COOH …(IX) で表わされ、該Ar″は2価の芳香族残基であって、前記
一般式(V)におけArで説明したものを例示できる。こ
のようなヒドロキシ芳香族カルボン酸の具体例として
は、p−ヒドロキシ安息香酸や2−ヒドロキシナフタレ
ン−6−カルボン酸などを挙げることができる。該ヒド
ロキシ芳香族カルボン酸は1種用いてもよいし、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
このような(D)成分を用いる場合、各成分の使用割合
は、モル数に基づき、式 及び 及び の関係を満たすことが必要である。
(B)成分のモル数に対する(A)成分と(C)成分と
(D)成分との合計モル数の割合が前記式(III)の範
囲を逸脱すると所望の重合度のものが得られにくい。好
ましい該モル数の割合は0.8〜1.05の範囲で選ばれる。
また、(A)成分のモル数に対する(C)成分のモル数
の割合が0.9未満では得られるポリアリレートの耐熱性
が劣るおそれがあるし、1.1を超えると高重合度のもの
が得られにくい傾向が生じる。さらに、(A)成分と
(C)成分と(D)成分との合計モル数に対する(D)
成分のモル数の割合が0.7を超えると得られるポリアリ
レートは加工性が低下する傾向が生じる。
次に、本発明の実施態様について説明すると、本発明方
法は、(A)、(B)及び(C)の3成分又はこれに
(D)成分を加えた4成分を反応させてプレポリマーを
形成させる第1工程、該プレポリマーを結晶化させる第
2工程及び結晶化したプレポリマーを所望の重合度まで
固相重合する第3工程から成っており、まず、第1工程
においては、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の
3成分又はこれに(D)成分を加えた4成分を、それぞ
れ所要量用い、加熱反応させて、プレポリマーを形成さ
せる。各成分の仕込み順序については特に制限はなく、
種々の方法をとることができ、例えば3成分の場合、
(1)3成分を同時に仕込み加熱重合させる方法、
(2)あらかじめ(A)成分と(B)成分とを仕込み加
熱反応させたのち、(C)成分を加えて加熱重合する方
法、(3)あらかじめ(B)成分と(C)成分とを仕込
み加熱反応させたのち、(A)成分を加えて加熱重合す
る方法、(4)(A)成分と(B)成分との混合物に
(C)成分を少量ずつ加えていく方法などを用いること
ができる。また、4成分の場合も同様な仕込み方法をと
ることが可能である。
反応温度は、ポリマーの着色を防ぐために低い方がよい
が、プレポリマーの溶融粘度や反応速度を考慮して、通
常150〜330℃の範囲で選ばれる。また、反応と共に生成
する二酸化炭素とフェノール類を系外に除去しながら重
合することが望ましく、そのためには、不活性ガスを流
通しながら、あるいは減圧下に反応を行うのがよい。
プレポリマーを形成させるに要する反応時間は、反応条
件によって異なるが、通常1〜8時間程度で十分であ
る。さらに、反応は触媒の不在下に行ってもよいし、存
在下に行ってもよいが、触媒を使用すると反応速度は速
くなるものの、ポリマーが着色したり、ポリマーの耐加
水分解性などの物性が低下したりするので、無触媒で行
うことが望ましい。
なお、触媒を用いて反応を行う場合には、触媒として、
ビスフェノールのアリカリ金属塩などのアルカリや各種
のエステル交換触媒を用いることができる。該触媒とし
ては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及
びアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化リチウム、水
素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属
及びアルカリ土類金属の水素化物類;水素化アルミニウ
ムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テ
トラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの
水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四
級アンモニウム塩類;リチウムメトキシド、ナトリウム
エトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属
及びアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフエ
ノキシド、ナトリウムフエノキシド、マグネシウムフエ
ノキシド、Lio−Ar−OLi−,−NaO−Ar−ONa(Arはアリ
ール基)などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のア
リーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息
香酸ナトリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金
属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシ
ドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナ
トリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ
酸トリフェニル、(R1R2R3R4)NB(R1R2R3R4)又は(R1
R2R3R4)PB(R1R2R3R4)で表わされるアンモニウムボレ
ート類又はホスホニウムボレート類(R1、R2、R3、R4
前記のとおり)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、
ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリ
ールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素など
のケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマ
ニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフエノ
キシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジア
ルキルスズオキシド、ジアリールスズオキシド、ジアル
キルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリ
プトキシドなどのアルコキシ基又はアリーロキシ基と結
合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物
類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸鉛、鉛及び有
機鉛のアルコキシド又はアリーロキシドなどの鉛の化合
物類;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、
第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化ア
ンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物
類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなど
のマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキ
シド又はアリーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸
ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアル
コキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルア
セトンなどのジルコニウムの化合物類などの触媒を用い
ることができる。
触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だけで用いても
よいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、
これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化
合物を主体とするジオールに対して、通常、1〜10,000
ppmの範囲で選ばれる。
形成されるプレポリマーとしては、固有粘度が0.1〜0.4
の範囲にあるような分子量を有するものが好ましい。こ
の固有粘度が0.1未満のものでは固相重合時間が長くか
かりすぎるし、0.4を超えるものでは溶融粘度が高く
て、溶融重合が困難となり好ましくない。
原料の(A)成分のジオールとして、芳香族ジヒドロキ
シ化合物のみを使用する場合には、得られるプレポリマ
ーの末端基としては、 (式中のAr及びAr3は前記と同じ意味をもつ) で表わされる4種が存在し、これらの含有割合は、モル
基準で式 及び を満たすことが望ましい。
該式(X)における(Y)+(Y′)/(Z)+
(Z′)が前記範囲を逸脱すると分子量が大きくなりに
くくて好ましくない。また、式(XI)における(Y)+
(Z)/(Y′)+(Z′)が0.5未満では反応速度が
遅いし、1.1を超えると得られるポリアリレートの熱安
定性が低下する傾向が生じ好ましくない。
前記式(X)及び(XI)を満たす末端基を有するプレポ
リマーを製造する条件については、使用する原料の種類
により左右されるが、一般に式(X)を満足させるに
は、(A)成分のジオールと(C)成分の芳香族ジカル
ボン酸とのモル比を、前記式(II)の範囲内で適宜選択
すればよいし、また式(XI)を満足させるには、前記式
(I)又は(III)の範囲内で(B)成分のジアリール
カーボネートの使用量を適宜選択すればよい。
本発明方法における第2工程の結晶化工程は、溶融プレ
ポリマーから結晶化したプレポリマーを調製する工程で
あって、この調製方法としては、例えば(1)溶融プレ
ポリマーを冷却粉砕したのち結晶化させる方法、(2)
溶融プレポリマーをチップ状又はペレット状にして結晶
化させる方法、(3)溶融プレポリマーを直接結晶化溶
媒と接触させながら粉砕するといった結晶化と粉砕とを
同時に行う方法などが用いられる。
また、結晶化の方法としては、例えば(1)アセトンや
トルエンなどの結晶化溶媒(米国特許第3,684,766号明
細書記載の溶媒)や、スチームを用いる方法、(2)結
晶核剤、例えば高結晶性ポリアリレート、ジフェニルカ
ーボネート、o−クロロ安息香酸ナトリウムなどの芳香
族カルボン酸塩、各種フェノレート、芳香族スルホン酸
塩などを使用して、加熱結晶化する方法、(3)100〜2
20℃の温度において1〜20時間程度予備加熱して結晶化
させる方法、あるいはこれらを組み合わせた方法などが
用いられる。
粉砕のしやすさや結晶化のしやすさ(速度)は、ポリマ
ーの一次構造や分子量に大きく依存し、分子量が小さ
く、一次構造的に結晶化しやすいポリマー、例えばテレ
フタル酸80モル%とイソフタル酸20モル%との芳香族ジ
カルボン酸混合物とビスフェノールAとから得られた低
分子量ポリアリレートは、いずれの方法によっても容易
に結晶化する。
一方、テレフタル酸とイソフタル酸との等モル混合物と
ビスフェノールAとから得られた低分子量ポリアリレー
トは結晶化しにくいが、アセトンなどの結晶化溶媒を用
いて結晶化することが可能である。この際、結晶化を速
進するために、結晶化溶媒との接触温度を高温にするこ
とや、一度良溶媒でプレポリマーを若干膨潤させたの
ち、結晶化溶媒と接触させる方法を使用することも有効
である。また、溶媒で結晶化したのち、さらに予備加熱
して結晶化を進めることも有効である。
このようにして得られる結晶化プレポリマーの結晶化度
は、X線回折法で少なくとも5%であることが好まし
い。この結晶化度が5%未満では固相重合の際に粒子が
融着しやすいので好ましくない。また、表面の結晶化度
が高い方が融着しにくいので好ましい。
第3工程の固相重合工程においては、前記第2工程で得
られた結晶化プレポリマーを、好ましくは200〜300℃の
範囲の温度において加熱し重合する。この固相重合にお
いては、縮合生成物である二酸化炭素とフェノール類及
び少量のジアリールカーボネートを系外へ除去するため
に、不活性ガスの流通下、又は減圧下、あるいはそれら
を組み合わせた条件で重合することが望ましい。また、
第2工程の結晶化において、予備加熱方法をとる場合に
は、結晶化が十分に進行した時点で、その温度において
系を減圧にし、連続的に固相重合工程に入るのが有利で
ある。
該結晶化プレポリマーの平均粒径は、10μmないし10m
m、好ましくは10μmないし1mmの範囲にあることが望ま
しい。この粒径は節や各種粒度分布測定装置(例えばコ
ールター社製、ZM型アナライザー)で測定可能である。
また、粉砕は各種のプラスチック用機械的粉砕機で粉砕
可能であるが、多孔性の結晶化プレポリマーは特にもろ
く、簡単な粉砕装置でも十分に粉砕することができる。
該結晶化プレポリマーの形状としては、表面積の大きな
多孔質のものが好ましく、このものは適当な結晶化溶媒
を選ぶことにより製造することができる。
本発明における固相重合においては、結晶化プレポリマ
ーの粒子同士が融着しない範囲内でできるだけ高い温度
で重合することが、重合速度を速める点で望ましい。ま
た、重合の進行に伴いプレポリマーの融点が上昇する場
合には、それに合わせて重合温度を上げる方法も有利で
ある。一般に、溶融開始温度の少なくとも5℃低い温度
で重合が行われる。さらに、得られるポリマーには、末
端基として熱的に不安定な−ArCOOH基や−Ar−OH基を実
質上含まないことが望ましく、これらの末端基が存在す
る場合には、重合を継続してなくすことが望ましい。
このようにして得られたポリアリレートは着色が少な
く、かつ耐熱性、耐熱水性、機械的性質などに優れてい
る。
発明の効果 本発明のポリアリレートの製造方法は、界面重縮合法の
ように多量の溶媒を使用する必要がないこと、従来の溶
融重合法に比べて着色の少ない高分子量のポリマーを容
易に製造しうること、従来の固相重合法に比べて安価な
原料を用いることができ、かつ重合反応性に富み、ポリ
マーの末端基のコントロールにより高分子量ポリマーが
得られやすいこと、などの特徴を有する上、色相、耐熱
性、機械的性質などに優れたポリアリレートを与えるこ
とができ、工業的価値の極めて高い方法といえる。
実施例 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらの例によってなんら限定されるものでは
ない。
なお、ポリマーの還元粘度は、フェノール/テトラクロ
ロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、温度25℃にて0.5
g/100mlの濃度で測定した値である。
実施例1 テレフタル酸58.1g(0.35モル)、イソフタル酸24.9g
(0.15モル)、ビスフェノールA118.6g(0.52モル)及
びジフェニルカーボネート256.8g(1.2モル)を重合器
に仕込み、窒素雰囲気下にかきまぜながら、生成する二
酸化炭素とフェノールとを系外に留去しながら、室温か
ら250℃まで2時間を要して昇温し、さらに2時間を要
して280℃まで昇温しながら徐々に減圧にし、最終的に5
mmHgで1時間減圧にした。得られたプレポリマーの還元
粘度は0.24であった。
このプレポリマーを粉砕したのち、室温でアセトン中に
1昼夜浸せきして、多孔性の結晶化プレポリマーを得
た。このものの結晶化度はX線回折より12%であった。
この結晶化プレポリマーの粉末を、ロータリーエバポレ
ーターに入れ、加熱してアセトンを除去したのち、180
℃で2時間、200℃で2時間、220℃で2時間、240℃で
2時間、270℃で3時間、2〜5mmHgの減圧下、少量の乾
燥窒素を導入しながら固相重合を行った。
得られた重合体はガラス転移温度192℃、還元粘度0.63
であり、射出成形した成形片は着色が少なく強靭であっ
た。
なお、重合体の末端のヒドロキシル基、カルボキシル基
は比色分析、NMR分析により検知されなかった。
実施例2 テレフタル酸0.35モルとイソフタル酸0.15モルの代りに
それぞれテレフタル酸0.25モルとイソフタル酸0.25モル
を使用した以外は、実施例1と同様な方法により、プレ
ポリマーを製造した。得られたプレポリマーの還元粘度
は0.21であった。
このプレポリマーを平均粒径約100μに粉砕したのち、
アセトンと共にオートクレーブに投入し、100℃で2日
間かきまぜた。このようにして得られた結晶化度8%の
多孔性結晶化プレポリマー粉末を乾燥したのち、150℃
で2時間、180℃で2時間、200℃で4時間、240℃で3
時間、270℃で5時間、2〜5mmHgの減圧下、少量の乾燥
窒素を導入しながら固相重合を行った。このポリアリレ
ートの還元粘度は0.70であり、ガラス転移温度は193℃
であった。また射出成形した成形片は無色透明で強靭で
あった。
実施例3〜5 次表に示す原料を用い、実施例1又は実施例2の方法で
重合を行った。結果を合わせて該表に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 智也 岡山県倉敷市潮通3丁目13番1 旭化成工 業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭55−98224(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)芳香族ジヒドロキシ化合物を主体と
    するジオールと(B)ジアリールカーボネートと(C)
    芳香族ジカルボン酸とを、モル数に基づき、式 及び の関係を満たす割合で用い、加熱下に溶融重合させてプ
    レポリマーを形成させ、次いで該プレポリマーを結晶化
    させたのち、固相重合することを特徴とするポリアリレ
    ートの製造方法。
  2. 【請求項2】(A)芳香族ジヒドロキシ化合物を主体と
    するジオールと(B)ジアリールカーボネートと(C)
    芳香族ジカルボン酸と(D)ヒドロキシ芳香族カルボン
    酸とを、モル数に基づき、式 及び の関係を満たす割合で用い、加熱下に溶融重合させてプ
    レポリマーを形成させ、次いで該プレポリマーを結晶化
    させたのち、固相重合することを特徴とするポリアリレ
    ートの製造方法。
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