JPH0794400B2 - ステロイド中間体の製造法 - Google Patents

ステロイド中間体の製造法

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JPH0794400B2
JPH0794400B2 JP5200012A JP20001293A JPH0794400B2 JP H0794400 B2 JPH0794400 B2 JP H0794400B2 JP 5200012 A JP5200012 A JP 5200012A JP 20001293 A JP20001293 A JP 20001293A JP H0794400 B2 JPH0794400 B2 JP H0794400B2
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二郎 辻
孝志 高橋
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Nippon Zeon Co Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はステロイド中間体の製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】生理活性物質であるステロイド類は種々
の薬理作用を示し、医薬品などの原料として有用なもの
である。ステロイド骨格の合成法としてはこれまで種々
の方法が開発されているが、最近、新しい方法としてo
−キノジメタンの分子内ディールス・アルダー反応を利
用する合成法が注目されている(テトラヘドロン Vo
1.37、第3〜16頁、1981年など)。この方法
では、ステロイド骨格のD環に相当するシクロぺンタノ
ン部分の2位にメチル基、3位にビニル基を有する原料
を予め合成したのち、ベンゾシクロブテン部分を導入
し、その後、分子内ディールス・アルダー反応を行うこ
とによって、目的のステロイ骨格が合成される。しか
し、この方法の場合には、2位の部分にベンゾシクロブ
テンを選択的に導入することが難しく、またシクロペン
タノン部分の立体制御に関しても問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
前記欠点を解決すべく鋭意研究の結果、シクロペンタノ
ンの2位に予めベンゾシクロブテン部分を導入した後記
式()で示されるベンゾシクロブテン誘導体を原料と
して用い、それにビニル基及びアルキル基を導入するこ
とにより、ステロイド骨格合成における鍵中間体である
後記式()で示されるステロイド中間体を高い立体選
択性をもって効率よく合成できることを見出し、この知
見に基づいて本願発明を完成するに到った。
【0004】
【課題を解決する為の手段】かくして本発明によれば式
)で示されるベンゾシクロブテン誘導体とビニル化
剤とを反応させてシクロぺンテン環の3位にビニル基を
導入し、次いで、アルキル化剤を反応させてシクロペン
テン環の2位にアルキル基を導入することを特徴とす
る、式()で示されるステロイド中間体の製造法が提
供される。
【化3】 (Rは水素原子または保護基を表す。)
【化4】 (Rは水素原子または保護基を、Rは低級アルキル
基を表す。)
【0005】本発明の原料であるベンゾシクロブテン誘
導体は式()で示される構造をしており、例えば、以
下の方法により容易に合成できる。まず、式()で示
される2−オキソシクロペンタンカルボン酸エステルの
エノール塩と式()で示されるベンゾシクロブテン化
合物とを反応させて式()で表される2−オキソシク
ロペンタンカルボン酸誘導体を合成する。
【0006】
【化5】
【0007】
【化6】
【0008】
【化7】
【0009】式()のAはアリル型残基であり、例え
ば、アリル基、クロチル基、メタリル基、ゲラニル基、
シンナミル基、p−クロロシンナミル基などが例示され
る。式()のRは水素原子または、ベンゾシクロブ
テン部分を導入する反応及び次工程の脱炭酸及び脱水素
反応に耐え得るような保護基である。保護基としては、
例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキ
ル基;ベンジル基などのアリール基;メトキシメチル
基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;ト
リメチルシリル基、トリエチルシリル基、ターシャリー
ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基な
どが例示され、なかでも、アルキル基が好ましい。式
)のXは塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
p−トルエンスルホキシ基、フェニルスルホキシ基など
のスルホキシ基などが例示される。
【0010】式()で示されるベンゾシクロブテン化
合物の使用量は、式()で示される2−オキソシクロ
ペンタンカルボン酸エステル1モル当り、通常、0.5
〜3モル、好ましくは0.7〜1.5モルである。反応
温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜150
℃の範囲である。反応は、通常、ケトン類、芳香族炭化
水素類、脂環式炭化水素類などの不活性溶剤の存在下に
実施される。また、必要に応じて四級アンモニウム塩や
四級ホスホニウム塩などを存在させることにより収率を
向上させることができる。
【0011】次いで、式()で表される2−オキソシ
クロペンタンカルボン酸誘導体を白金族化合物と配位子
とから本質的になる触媒と接触させ、脱炭酸及び脱水素
を起こさせることにより、式()で示されるベンゾシ
クロブテン誘導体を得ることができる。白金族金属化合
物としては、パラジウム、ルテニウム、白金、ロジウム
などの塩または錯体であり、例えば、トリス(ジベンジ
リデンアセトン)二パラジウム(0)、酢酸パラジウ
ム、プロピオン酸パラジウム、安息香酸パラジウム、パ
ラジウムアセチルアセトナート、塩化パラジウム、ジヒ
ドロテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウ
ム、パラジウムアセチルアセトナート、酢酸第一白金白
金アセチルアセトナートなどが例示される。これらのな
かでも、パラジウム化合物が賞用される。
【0012】配位子は、周期律表第V族元素を配位原子
として有する電子供与性化合物が用いられる。具体的に
は、ピリジン、キノリン、トリメチルアミン、α,α’
−ジピリジルなどの含窒素化合物;トリエチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフ
ィン、トリエチルホスファィト、トリフェニルホスファ
イト、α,β−エチレンジ(ジフェニル)ホスフィンな
どの含リン化合物;トリエチルヒ素、トリフェニルヒ素
などの含ヒ素化合物;トリプロピルアンチモン、トリフ
ェニルアンチモンなどの含アンチモン化合物などが挙げ
られる。これらのなかでも、含リン化合物が賞用され
る。
【0013】配位子の使用量は、白金族金属化合物1モ
ル当り、通常、0.1モル以上、好ましくは1モル以上
である。白金族金属化合物の使用量は、式()で表さ
れる2−オキソシクロペンタンカルボン酸誘導体100
モル当り、通常、0.01〜10モル、好ましくは0.
1〜5モルである。
【0014】反応は、通常、2−オキソシクロペンタン
カルボン酸誘導体と触媒とを50〜150℃で、5分〜
3時間程度接触せしめることによって進行する。反応に
際し、アセトニトリルなどのニトリル類;ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;メタ
ノール、ターシャリーブタノール、エチレングリコール
などのアルコール類などの希釈剤を存在させてもよい。
【0015】本発明ではまず、式()で示されるベン
ゾシクロブテン誘導体とビニル化剤とを反応させてシク
ロペンテン環の3位にビニル基を導入する。ビニル化剤
としてはビニルリチウムとヨウ化銅またはシアン化銅な
どのような銅化合物から合成されたビニル銅リチウム化
合物が好ましい。ビニル化剤の使用量は、通常、式
)で示されるベンゾシクロブテン誘導体1モル当た
り、1〜50モル、好ましくは1〜20モル、特に好ま
しくは2〜10モルである。反応温度は、通常、−78
〜0℃、好ましくは−40〜−10℃の範囲である。反
応時間は、通常10〜120分程度である。
【0016】反応に際し、通常、エチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサンなどのなどの希釈剤を存在
させる。希釈剤の使用量は式()で示されるベンゾシ
クロブテン誘導体に対し、通常、1〜100重量倍であ
る。上記反応によりシクロペンテン環の3位にビニル基
が導入した、式()の化合物が得られる。
【0017】
【化8】
【0018】次いで、式()の化合物とアルキル化剤
とを反応させてシクロペンテン環の2位にアルキル基を
導入する。アルキル化剤としては、RY(Rは低級
アルキル基、Yはハロゲン原子を示す。)で表されるハ
ロゲン化アルキルが用いられ、例えば、ヨウ化メチル、
ヨウ化エチル、ヨウ化プロピルなどが挙げられる。アル
キル化剤の使用量は、通常、式()の化合物1モル当
たり、1〜100モル、好ましくは3〜70モル、特に
好ましくは10〜50モルである。反応温度は、通常、
−78〜0℃、好ましくは−40〜−10℃の範囲であ
る。反応時間は、通常5〜30分程度である。
【0019】反応に際し、通常、エチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサンなどのなどの希釈剤を存在
させる。希釈剤の使用量は式()の化合物に対し、通
常、1〜100重量倍である。また、ヘキサメチルリン
酸トリアミド、ジメチルホルムアミドなどを存在させる
と収率向上の面で好ましい場合がある。上記反応によ
り、シクロペンテン環の2位にアルキル基が導入され、
2位と3位の立体構造がトランス関係にあるものが高選
択的に得られる。反応終了後は、例えば、反応液をカラ
ムクロマトグラフィーにより分離精製することにより、
式()で示されるステロイド中間体を単離することが
できる。
【0020】かかる、ステロイド中間体は既知物質であ
り、このものはエストロンのようなステロイド合成の中
間体として有用である。例えば、式()で表されるス
テロイド中間体を100〜200℃で加熱することによ
り式()で表される化合物を得、次いで、常法に従っ
て分子内ディールス・アルダー反応に供して、式(
のステロイド骨格を合成し、3位の水酸基を脱保護する
ことにより式(10)のエストロンを得ることができ
る。
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】かくして、本発明によればステロイド骨格
合成における鍵中間体を高い立体選択性をもって効率よ
く合成できる。
【0026】参考例1 2−オキソシクロペンタンカルボン酸アリル1.3グラ
ム、式(11)で示される4−メトキシ−1,2−ベン
ゾシクロブテン誘導体2.0グラム及び炭酸カリウム1
5グラムをアセトン100ミリリットルに加え、加熱還
流下に20時間反応した。反応後、アセトンを留去し、
カラムクロマトグラフィーにより油状の生成物を分離し
た。この生成物をH−NMR及びIRで分析したとこ
ろ、式(12)で示される2−オキソシクロペンタンカ
ルボン酸アリルの1位にベンゾシクロブテンが導入され
た化合物(以下、化合物Aと記す。)であることが確認
された。収率は80%であった。以下にH−NMR及
びIRの分析結果を示す。
【0027】H−NMR(CCl)δ;1.4−
2.9(m,10H),3.0−3.4(m,3H),
3.67(s,3H),6.40−7.00(m,3
H),4.47(d,2H,J=5Hz),4.92−
6.20(m,3H)
【0028】IR(オイル)cm−1;1720(エス
テル),1745(ケトン),1581,1600,1
470
【0029】
【化13】
【0030】
【化14】
【0031】酢酸パラジウム0.98グラム、トリフエ
ニルホスフィン1.71グラムをアセトニトリル120
0グラムに溶かし、80℃に加熱した。これに20グラ
ムの化合物Aを1時間かけて滴下した後、そのまま80
℃で2時間攪拌した。反応液からアセトニトリルを留去
後、カラムクロマトグラフィーにより油状の生成物を分
離した。この生成物をH−NMR及びIRで分析した
ところ、式(13)で示されるシクロペンテン環を有す
るベンゾシクロブテン誘導体(以下、化合物Bと記
す。)であることが確認された。収率は85%であっ
た。以下に物性値を示す。
【0032】H−NMR(CCl)δ;1.45−
2.82(m,8H),3.13−3.50(m,3
H),3.80(s,3H),6.60−7.10
(m,3H),7.30(m,1H)
【0033】IR(オイル)cm−1;1695,16
30,1600,1582
【0034】 元素分析;計算値 C:79.34%,H:7.44%,O:13.22% 実測値 C:79.32%,H:7.45%,O:13.23%
【0035】
【化15】
【0036】実施例1 シアン化第一銅0.88ミリモルをエーテル1ミリリッ
トルに溶解し、これにビニルリチウム1.7ミリモルを
含む1Nエーテル溶液を滴下した。−10℃に昇温した
のち10分間攪拌し、再び、−70℃に冷却して、0.
21ミリモルの化合物Bをエーテル2ミリリットルに溶
解して加え、−40℃で10分間攪拌した。次いで、2
0℃に昇温し、ヘキサメチルリン酸トリアミド1ミリリ
ットルを加え、再び−40℃に冷却し、ヨウ化メチル8
ミリモルを加え、−20℃で10分間攪拌した。反応
後、塩化アンモニウム水溶液で処理し、エーテルで有機
層を抽出後、濃縮しカラムクロマトグラフィーにより、
既知物質で式(14)で示される油状のステロイド中間
体を得た。収率は80%であり、シクロペンタノン部分
のトランス体とシス体との割合は6:1であった。
【0037】
【化16】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で示されるベンゾシクロブテン
    誘導体とビニル化剤とを反応させてシクロペンテン環の
    3位にビニル基を導入し、次いで、アルキル化剤を反応
    させてシクロペンテン環の2位にアルキル基を導入する
    ことを特徴とする、式(2)で示されるステロイド中間
    体の製造法。 【化1】 (Rは水素原子または保護基を表す。 【化2】 (Rは水素原子または保護基を、Rは低級アルキル
    基を表す。)
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