JPH0793848B2 - 乗用型田植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、苗植付装置を第１アクチュエータにより昇降
操作自在に、且つ、第２アクチュエータによりローリン
グ操作自在に、機体に取り付けた乗用型田植機に関す
る。

〔従来の技術〕

前述のような乗用型田植機においては例えば特開平1-12
0210号公報に開示されているように、苗植付装置下部の
左右中央に接地フロート（前記公報に記載の部材（1
3））を上下動自在に取り付けて、田面に接地追従する
この接地フロートに対する苗植付装置の高さが設定値に
保たれるように、第１アクチュエータによる苗植付装置
の昇降操作を行っているものがある。

そして、中央の接地フロートの左右両側に、一対の接地
フロート（前記公報に記載の部材（6a），（6b））を各
々独立に上下動自在に取り付けて、左右の接地フロート
の高さの差が無くなるように、第２アクチュエータによ
る苗植付装置のローリング操作を行っている。以上の操
作により、苗植付装置が田面から設定高さに、且つ、田
面に対して平行に保たれるのでる。

〔発明が解決しようとする課題〕

前述のような接地フロートは昇降及びローリング操作用
の高さセンサーとしての機能以外に、機体側の車輪の跡
消しや田面を整地する機構、並びに苗植付装置の細かな
振動う抑えるダンパーの機能を備えているので、左右の
幅を広くして接地面積を十分にとるようにしている。

しかしながら、近年では１条の植付けを２組の植付爪で
行って植付走行速度の高速化を図った乗用型田植機が実
用化されており、このような高速型の乗用型田植機に前
述のような接地フロートを備えると、高速であるが為に
接地フロートが田面の泥を押す現象が顕著なものとな
る。特に、左右の接地フロートにより左右横側に押し出
された泥が、既に植付けられている苗を押し倒してしま
うような現象が生じてしまう。

ここで本発明は、整地機能及びダンパー機能と言う接地
フロートの利点を残しながら、泥押し現象を少なくする
ことを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の特徴は以上のような乗用型田植機において、次
のように構成することにある。つまり、 苗植付装置下部の左右中央に接地フロートを取り付
け、この接地フロートの左右に機体側の車輪の跡消し用
の整地部材を配置すると共に、前記整地部材の後方の苗
植付装置部位に田面から苗植付装置までの高さを検出す
る高さセンサーを左右一対設けて、この高さセンサーの
検出値に基づいて苗植付装置が田面から設定高さを維持
するように、苗植付装置昇降用の第１アクチュエータを
操作する昇降制御手段、及び、苗植付装置が田面に対し
て平行となるように、苗植付装置ローリング操作用の第
２アクチュエータを操作するローリング制御手段を備え
てあることにあり、又、 前記の構成に加えて、前記接地フロートを苗植付
装置下部の左右中央に上下動自在、且つ、ローリング自
在に取り付けてあることにあり、その作用及び効果は次
の通りである。

〔作用〕

前述のような整地部材は、一般に、鋼線を設定間隔を置
いて左右に並べた構造や、薄い平板を左右方向に配置し
た構造をしているので、整地機能を有しながらもその泥
押しは少ない。しかし、接地フロートに比べて苗植付装
置の細かな振動を抑えるダンパーの機能は小さい。

そして、整地部材の後方に配置される高さセンサーは、
一般に幅狭のソリ状や超音波による無接触型式である為
に、高さ検出以外には特に機能はなく、泥押しもない。

従って、前述のような整地部材及び高さセンサーによっ
て前項のように構成すると、整地部材により機体側の
車輪の跡消し及び苗が植付けられて行く田面の整地が行
われる。そして、高さセンサーにより田面から苗植付装
置までの高さを検出する場合、高さ検出の基準となる田
面が整地部材により凹凸少なく整地されている為に、高
さ検出が正確に行われるのであり、この高さ検出に基づ
く苗植付装置の昇降及びローリング操作も精度よく行わ
れる。

そして、以上のような場合、苗植付装置下部の左右中央
に接地フロートが備えられているので、この接地フロー
トの部分が整地されると共に、この接地フロートのダン
パー機能によって、苗植付装置の細かな振動が抑えられ
る。

そして、接地フロートの場合には泥押し現象を伴うが、
接地フロートが苗植付装置の左右中央に位置しているの
で、この接地フロートにより泥が横に押し出されても既
に植付けされている苗までは遠く、押し出された泥がこ
の苗を押し倒すこともない。さらに、接地フロートの左
右に備えられている接地部材及び高さセンサーにおいて
は、前述のように泥押し現象は元来少ないので、既に植
付けられている苗が整地部材及び高さセンサーの影響を
受けることは少ない。

そして、前項のように構成すると、苗植付装置が田面
に対して昇降及びローリング操作されても、接地フロー
トが苗植付装置の動作に関係なく田面に接地追従して行
くので、接地フロートによる整地機能及びダンパー機能
が十分に発揮されるのである。

〔発明の効果〕

以上のように、接地フロートによる利点（整地機能及び
ダンパー機能）を残しながら、苗植付装置の左右に押し
出される泥による苗倒れ現象を少なくすることができ
て、高速型の乗用型田植機においても苗植付装置の精度
よい昇降及びローリング操作を行えるようになった。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図に示すように、植付ミッションケース（１）の後
部に植付ケース（10）が回転駆動可能に取り付けられ、
この植付ケース（10）の両端に一対の植付爪（２）が取
り付けられている。そして、植付ミッションケース
（１）の上部に苗のせ台（３）が備えられて、この苗の
せ台（３）の下端から一対の植付爪（２）が交互に苗を
取り出し田面（Ｇ）に植付けて行くようにして、苗植付
装置（４）が構成されている。

そして、乗用型田植機の機体後部から延出された第１四
輪リンク機構（５）の前後軸芯（P₁）周りに、ローリン
グ自在に苗植付装置（４）が連結されると共に、苗のせ
台（３）の背面のガイド部材（６）と第１四輪リンク機
構（５）の後部上端とに亘って、苗植付装置（４）をロ
ーリング操作するローリングシリンダ（８）（第２アク
チュエータに相当）が架設されている。さらに、第１四
輪リンク機構（５）を昇降駆動する昇降シリンダ（７）
（第１アクチュエータに相当）が取り付けられている。

第１図及び第２図に示すように、植付ミッションケース
（１）の左右中央下部から後方に支持アーム（11）が延
出されると共に、この支持アーム（11）の後端の横軸芯
（P₃）周りに上下動自在、且つ、前後軸芯（P₄）周りに
ローリング自在に接地フロート（12）を取り付けてい
る。

これに対し、機体後部下方に第２四輪リンク機構（16）
が昇降自在に連結されており、この第２四輪リンク機構
（16）の後端には、整地板（17）（整地部材に相当）及
び棒状のレーキ（18）（整地部材に相当）が、左右の後
輪（19）（車輪に相当）の後方に位置するように取り付
けられている。そして、この第２四輪リンク機構（16）
を下方側に付勢するスプリング（20）が備えられてい
る。

そして、植付ミッションケース（１）の左右において
は、第１図及び第２図に示すように、横軸芯（P₂）周り
に上下揺動自在なソリ状の高さセンサー（9L），（9R）
が、整地板（17）及びレーキ（18）の後方に位置するよ
うに左右一対の備えられている。そして、この高さセン
サー（9L），（9R）は田面（Ｇ）に接地追従して行くよ
うに下方揺動側に付勢されると共に、高さセンサー（9
L），（9R）の角度を検出するポテンショメータ（図示
せず）が備えられている。

以上の構造により、高さセンサー（9L），（9R）の角度
検出に基づいて、左右の高さセンサー（9L），（9R）の
上下角度の差が無くなるようにローリングシリンダ
（８）が伸縮操作されて、苗植付装置（４）が田面
（Ｇ）と平行な姿勢に維持される。そして、左右の高さ
センサー（9L），（9R）の上下角度の平均値が設定値と
なるように昇降シリンダ（７）が伸縮操作されて、苗植
付装置（４）が田面（Ｇ）から設定高さに維持されるの
である。

高さセンサー（9L），（9R）においては前述のような接
地式ではなく、超音波センサー等の無接触式の高さセン
サーを用いてもよい。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする為
に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構造
に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る乗用型田植機の実施例を示し、第１
図は乗用型田植機の後半部の側面図、第２図は接地フロ
ート及び整地部材等の配置を示す平面図である。 （４）……苗植付装置、（７）……第１アクチュエー
タ、（８）……第２アクチュエータ、（9R），（9L）…
…高さセンサー、（12）……接地フロート、（17），
（18）……整地部材、（19）……車輪、（Ｇ）……田
面。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】苗植付装置（４）を第１アクチュエータ
   （７）により昇降操作自在に、且つ、第２アクチュエー
   タ（８）によりローリング操作自在に、機体に取り付け
   た乗用型田植機であって、前記苗植付装置（４）下部の
   左右中央に接地フロート（12）を取り付け、この接地フ
   ロート（12）の左右に機体側の車輪（19）の跡消し用の
   整地部材（17），（18）を配置すると共に、前記整地部
   材（17），（18）の後方の苗植付装置（４）部位に田面
   （Ｇ）から苗植付装置（４）までの高さを検出する高さ
   センサー（9R），（9L）を左右一対設けて、この高さセ
   ンサー（9R），（9L）の検出値に基づいて苗植付装置
   （４）が田面（Ｇ）から設定高さを維持するように前記
   第１アクチュエータ（７）を操作する昇降制御手段、及
   び、苗植付装置（４）が田面（Ｇ）に対して平行となる
   ように前記第２アクチュエータ（８）を操作するローリ
   ング制御手段を備えてある乗用型田植機。
2. 【請求項２】前記接地フロート（12）を苗植付装置
   （４）下部の左右中央に上下動自在、且つ、ローリング
   自在に取り付けてある請求項１記載の乗用型田植機。