JPH0792636B2 - 透明型ホログラム付き透明形成体 - Google Patents

透明型ホログラム付き透明形成体

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JPH0792636B2
JPH0792636B2 JP61002749A JP274986A JPH0792636B2 JP H0792636 B2 JPH0792636 B2 JP H0792636B2 JP 61002749 A JP61002749 A JP 61002749A JP 274986 A JP274986 A JP 274986A JP H0792636 B2 JPH0792636 B2 JP H0792636B2
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forming
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敏 武内
喜春 油井
哲 池田
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はホログラム形成体の改良に係わり、更に詳しく
は、形成体透明部の透明性を妨げない透明なホログラム
層を有し、形成体透明部の透明効果とホログラム層のホ
ログラム効果とを併有させるようにした透明型ホログラ
ム形成体に係わる。
〔従来の技術〕
ホログラフィーとは、物体からの光の波面を記録する新
しい技術であって、この技術によって作られたホログラ
ムによれば、立体像を再生することができ、しかも多重
記録も可能となる。
このようなホログラムは、製造に高度な技術を要すると
ころから偽造防止の手段としてクレジットカードの一部
に設けたり、外観の目新しさを狙って雑誌、単行本等の
本の表紙、パンフレット、カレンダー、レコードジャケ
ット、紙製、プラスチック製のパッケージ、衣類等に設
けることが試みられている。
多くの場合、ホログラムとしては、無色透明な合成樹脂
フィルムにエンボス法により微小凹凸形状を設け、光反
射性金属層を光反射層として設けた反射型ホログラムで
あり、ホログラム自体透明性に欠けると共に、ホログラ
ム全体の色彩は光反射性金属層によって決まってしま
い、通常は光反射性金属層としてアルミニウムを用いる
ことから銀灰色に限られてしまうため、使用する場所に
よっては周囲のデザインにそぐわないものとなることが
多かった。
特に透明部に設けられる場合には、設けられたホログラ
ムにより透明効果が失なわれるため、多くの場合、直接
透明部にホログラムを設けることを避けざるをえなかっ
た。それ故、透明部を有する形成体に設けられる場合に
は、ホログラムの形成位置に制約ができ、デザインの自
由度を欠けると共に、形成位置によっては、ホログラム
の形成が困難になる問題があった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記の点を鑑みてなされたもので、透明でかつ
反射でも透過でも充分なホログラム効果を発現できる透
明型ホログラムを有する透明形成体を提供するものであ
る。
(問題点を解決するための手段) 本発明の透明型ホログラム付き透明形成体は、少なくと
も部分的に透明部を有する形成体と該透明部に設けられ
た透明型ホログラムとからなる透明型ホログラム付き透
明形成体において、前記透明型ホログラムが表面にレリ
ーフ形成面を有するホログラム形成層と前記レリーフ形
成面に設けられた厚さ10〜10000オングストロームの薄
膜層とからなり、前記透明型ホログラムが透明な接着剤
層若しくは粘着剤層を介して前記形成体に設けられてお
り、前記ホログラム形成層の屈折率と、前記薄膜層の屈
折率と、前記接着剤層若しくは前記粘着剤層の屈折率と
がそれぞれ異なることを特徴とする。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。第1図
は本発明のホログラム形成体の一実施例を示すもので、
1は形成体で、該形成体1の任意の位置に透明部2が設
けられ、該透明部2の上部位置には透明型ホログラム3
が設けられている。
本発明において透明型ホログラムとは、透明部を隠蔽さ
せない性質即ち透明性を有し、しかもこのようにそれ自
体は透明でありながらホログラムとしての機能を備えて
いるホログラムをいう。上記“透明”とは透明部を隠蔽
させないことを意味するから、半透明のものも本発明に
包含される。
透明型ホログラム3はホログラム形成層のみから構成さ
れていても或いはホログラム形成層にホログラム効果を
増大させる薄膜層を設けて構成されていてもよい。薄膜
層を設ける場合の本発明の一構成例は第2図に示されて
いる。同図は透明型ホログラムがレリーフホログラムで
ある場合の構成例を示すもので、ホログラム形成層4の
レリーフ形成面5に薄膜層6が設けられている。7は接
着層である。
薄膜層はホログラム効果を発現できしかも下層の透明部
を隠蔽させない材質であればいかなるものも使用でき、
例えば、ホログラム形成層とは屈折率の異なる透明材料
が挙げられ、屈折率はホログラム形成層よりも大きくて
も小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好まし
く、より好ましくは0.5以上である。本発明者らの実験
によれば1.0以上大きいことが最適である。このように
屈折率の異なる透明薄膜層を設けることにより、ホログ
ラム効果を発現させると共に、下層の透明部を隠遮させ
ない作用が行われる。
薄膜層の材質として例えば次の(1)〜(5)の材質の
ものが使用できる。
(1)ホログラム形質層よりも屈折率の大きい透明連続
薄膜 これには、可視領域で透明なものと、赤外又は紫外領域
で透明なものとがあり、前者は第1表に、後者は第2表
にそれぞれ示す。表中、nは屈折率を示す(以下、
(2)〜(4)においても同様)。
(2)ホログラム形成層よりも屈折率の大きい透明強誘
電体 第3表に示す。
(3)ホログラム形成層よりも屈折率の小さい透明連続
薄膜 第4表に示す。
(4)ホログラム形成層と屈折率の異なる樹脂 ホログラム形成層に対して屈折率が大きいものでも小さ
いものでもよい。これらの例を第5表に示す。
上記の他、一般的な合成樹脂が使用可能であるが、特に
ホログラム形成層との屈折率差の大きい樹脂が好まし
い。
(5)上記(1)〜(4)の材質を適宜組合わせてなる
積層体 上記(1)〜(4)の材質の組合わせは任意であり、ま
た層構成における各層の上下位置関係も任意に選択され
る。
上記した(1)〜(5)の薄膜層の厚みは薄膜を形成す
る材料の透明領域であればよく、一般的には10〜10000
Åが好ましく、より好ましくは100〜5000Åである。
上記薄膜層6をホログラム形成層4に形成する方法とし
て、薄膜層6が上記(1)〜(3)の材質である場合
は、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリ
ング法、イオンプレーティング法、電気メッキ法等の一
般的薄膜形成手段を用いることができ、また薄膜層6が
上記(4)の材質である場合は、一般的なコーティング
方法等を用いることができる。薄膜層6が上記(5)の
材質(積層体)である場合は上記した各手段、方法等を
適宜組合わせて用いられる。
透明型ホログラムがレリーフホログラムである場合にお
いて、ホログラム形成層4に薄膜層6が設けられる場合
には、透明部2はレリーフ形成面側に位置していても或
いはレリーフ形成面とは反対の面側あるいは両側に位置
していてもよく、本発明はいずれの構成も妥当する。薄
膜層6はレリーフ形成面を埋めるように設けてもよく
(即ち、片方の面が平面となる)、或いはレリーフ形成
面に追従するように設けてもよい(即ち、片方の面が凹
凸面となる)。
ホログラム形成層4は一般に樹脂から構成されるが、こ
のホログラム形成樹脂層は単一層構造でも多層構造(例
えば基材フィルム上にホログラム形成樹脂を設けたも
の、或いはホログラム形成樹脂自体が積層構造となって
いるもの)でもよい。
ホログラム形成層はレリーフホログラムが量産性及びコ
ストの面から好ましい。具体的には、フレネルホログラ
ム、フラウンホーファーホログラム、レンズレスフーリ
エ変換ホログラム、イメージホログラム等のレーザー再
生ホログラム、レインボーホログラムの白色光再生ホロ
グラム、更にそれらの原理を利用したカラーホログラ
ム、コンピュータホログラム、ホログラムディスプレ
イ、マルチプレックスホログラム、ホログラムフィック
ステレオグラム、ホログラフィク回折格子等を用いるこ
とができる。
干渉稿を記録するためのホログラム形成用感光材料とし
ては、銀塩、重クロム酸ゼラチン、サーモプラスチック
ス、ジアゾ系感光材料、フォトレジスト、強誘電体、フ
ォトクロミックス材料、サーモクロミックス材料、カル
コケンガラス等が使用できる。
本発明において、ホログラム形成層の材質として、ポリ
塩化ビニル、アクリル(例、MMA)、ポリスチレン、ポ
リカーボネート等の熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステ
ル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリ
レート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メ
タ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレー
ト、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メ
タ)アクリレート、トリアジン系アクリレート等の熱硬
化性樹脂を硬化させたもの、或いは、上記熱可塑性樹脂
と熱硬化性樹脂の混合物が使用可能である。
更に本発明のホログラム形成層の材質として、ラジカル
重合性不飽和基を有する熱成形性物質が使用可能であ
り、これには次の2種類のものがある。
(1)ガラス転移点が0〜250℃のポリマー中にラジカ
ル重合性不飽和基を有するもの。さらに具体的には、ポ
リマーとしては以下の化合物〜を重合もしくは共重
合させたものに対し後述する方法(イ)〜(ニ)により
ラジカル重合性不飽和基を導入したものを用いることが
できる。
水酸基を有する単量体:N−メチロールアクリルアミ
ド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアク
リレート、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、
2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブ
チルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ
プロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノ
キシプロピルアクリレートなど。
カルボキシル基を有する単量体:アクリル酸、メタク
リル酸、アクリロイルオキシエチルモノサクシネートな
ど。
エポキシ基を有する単量体:グリシジルメタクリレー
トなど。
アジリジニル基を有する単量体:2−アジリジニルエチ
ルメタクリレート、2−アジリジニルプロピオン酸アリ
ルなど。
アミノ基を有する単量体:アスリルアミド、メタクリ
ルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタク
リレートなど。
スルフォン基を有する単量体:2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルフォン酸など。
イソシアネート基を有する単量体:2,4−トルエンジイ
ソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートの1
モル対1モル付加物などのジイソシアネートと活性水素
を有するラジカル重合単量体の付加物など。
さらに、上記の共重合体のガラス転移点を調節した
り、硬化膜の物性を調節したりするために、上記の化合
物と、この化合物と共重合可能な以下のような単量体と
共重合させることもできる。このような共重合可能な単
量体としては、例えば、メチルメタクリレート、メチル
アクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレ
ート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレー
ト、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソ
ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−
ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソ
アミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、シク
ロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキ
シルメタクリレートなどが挙げられる。
次に上述のようにして得られた重合体を以下に述べる方
法(イ)〜(ニ)により反応させ、ラジカル重合性不飽
和基を導入することによって、ホログラム形成樹脂を得
ることができる。
(イ)水酸基を有する単量体の重合体または共重合体の
場合にはアクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル
基を有する単量体などを縮合反応させる。
(ロ)カルボキシル基、スルフォン基を有する単量体の
重合体または共重合体の場合には前述の水酸基を有する
単量体を縮合反応させる。
(ハ)エポキシ基、イソシアネート基あるいはアジリジ
ニル基を有する単量体の重合体または共重合体の場合に
は前述の水酸基を有する単量体もしくはカルボキシル基
を有する単量体を付加反応させる。
(ニ)水酸基あるいはカルボキシル基を有する単量体の
重合体または共重合体の場合にはエポキシ基を有する単
量体あるいはアジリジニル基を有する単量体あるいはジ
イソシアネート化合物と水酸基含有アクリル酸エステル
単量体の1対1モルの付加物を付加反応させる。
上記の反応を行うには、微量のハイドロキノンなどの重
合禁止剤を加え乾燥空気を送りながら行うことが好まし
い。
(2)融点が0〜250℃でありラジカル重合性不飽和基
を有する化合物。具体的にはステアリルアクリレート、
ステアリルメタクリレート、トリアクリルイソシアヌレ
ート、シクロヘキサンジオールジアクリレート、シクロ
ヘキサンジオールジメタクリレート、スピログリコール
ジアクリレート、スピログリコールジメタクリレートな
どが挙げられる。
また、本発明においては、前記(1)、(2)を混合し
て用いることもでき、さらに、それらに対してラジカル
重合性不飽和単量体を加えることもできる。このラジカ
ル重合性不飽和単量体は、電離放射線照射の際、架橋密
度を向上させ耐熱性を向上させるものであって、前述の
単量体の他にエチレングリコールジアクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタク
リレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサン
ジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパント
リアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリ
レート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリ
メチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテト
ラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリ
スリトールヘキサメタクリレート、エチレングリコール
ジグリシジンエーテルジアクリレート、エチレングリコ
ールジグリシジルエーテルジメタクリレート、ポリエチ
レングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルジメタク
リレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテル
ジアクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエ
ーテルジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジ
グリシジルエーテルジアクリレート、ポリプロピレング
リコールジグリシジルエーテルジメタクリレート、ソル
ビトールテトラグリシジルエーテルテトラアクリレー
ト、ソルビトールテトラグリシジルエーテルテトラメタ
クリレートなどを用いることができ、前記した共重合体
混合物の固型分100重量部に対して、0.1〜100重量部で
用いることが好ましい。また、上記のものは電子線によ
り充分に硬化可能であるが、紫外線照射で硬化させる場
合には、増感剤としてベンゾキノン、ベンゾイン、ベン
ゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ハ
ロゲン化アセトフェノン類、ビアチル類などの紫外線照
射によりラジカルを発生するものも用いることができ
る。
ホログラム形成層は従来既知の方法によって得ることが
できる。例えば透明型ホログラムがレリーフホログラム
である場合、干渉稿が凹凸の形で記録されたホログラム
原版をプレス型として用い、このホログラム原版上にホ
ログラム形成用樹脂シートを置き、加熱ロールなどの手
段によって両者を加熱圧接し、ホログラム形成用樹脂シ
ート表面にホログラム原版の凹凸模様を複製する方法に
よってホログラム形成層を得ることができる。
透明部2は、透明であれば着色されていてもよく、更に
は光透過性であればよい。また透明部2は形成体を構成
する一部であってもよいしまたは形成体が積層体であれ
ば、その一層でもよいし、全てが透明である形成体全体
であってもよい。
このような透明部2を形成する材質としては、透明であ
る材質として、ガラス、ガラス繊維;オレフィン樹脂、
ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリエステル、ポリメタクリ
レート、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリ
アミド、ポリウレタン、ポリイミド、セルロース系樹
脂、合成ゴム系樹脂、天然ゴム系樹脂、フェノール樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッ
ド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びそれらの適当な
組合わせによる混合樹脂や共重合体樹脂等のプラスチッ
クの透明なもの;合成ゴム、天然ゴム等のゴムの透明な
ものが用いられる。
更に、本発明で使用できる光透過性材質として、和紙、
合成紙、一般用紙等の紙;金属(アルミ、銅、スズ、
鉄、金、銀、鉛等)の薄膜形成されたガラス、プラスチ
ック等が挙げられる。
本発明において透明型ホログラムが形成されるべき透明
形成体とは、透明部を有するあらゆる物品、商品、製品
に及び、具体例としては、メガネのレンズ、時計のカバ
ーガラス、電卓の表示部、カード、カードケース、カセ
ットケース、化粧品ケース、文房具、ガラス器、ガラス
製装飾品、ガラス板、液体容器、プラスチック器、プラ
スチック製装飾品、プラスチック板、理科学実験器具、
ライター、装飾品、たばこの包装フィルム、一般的包装
フィルム、パッケージ、本のカバーケース、POP用品、
ネームプレート、建材、自動車のメーターパネル、OA機
具表示部及び本体、キーボード、ギフト製品、電気製品
の表示部及び本体等が挙げられる。
上記のような形成体の透明部に、透明型ホログラム3
は、透明部の外側に設けられても内側に設けられてもよ
く、更には、透明部の内部に設けられてもよい。また、
透明型ホログラムは平滑面に設ける場合に限定されず、
文字等を凸状にエンボス形成した表示部上に設ける場合
のように、凹凸面に設けてもよく、更にホログラム自
体、エンボスされていてもよい。
透明型ホログラム3を透明部2上に設けるには、ホログ
ラム転写箔を形成しておき、これを転写方式に設けても
或いはホログラムラベルを形成しておき、これを粘着方
式にて設けてもよい。ホログラム転写箔の一構成例は第
3図に示される。同図にしめされるホログラム転写箔8
はベースフィルム9上に、保護層10、ホログラム形成層
4、薄膜層6、接着剤層7の順に積層して構成される。
ベースフィルム9の材質としては、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリ
スチレン、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート等
の重合体フィルム、合成紙、鉄等の金属フィルム、それ
らの積層体等が用いられる。保護層10はベースフィルム
9とホログラム形成層4との間に剥離性を与え、しかも
転写後の表面の印刷適性及びホログラム形成層4の保護
等を与えるための役割を果たし、その材質としてはアク
リル系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ア
ミド系樹脂、エポキシ系樹脂等が例示され、またその膜
厚は0.1〜10μm望ましくは0.5〜5μmであることが好
ましい。接着剤層7の材質としては、アクリル系樹脂、
ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、
アミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノ
マー樹脂等の従来接着剤として既知のものが広く使用で
き、またその膜厚は0.1〜50μm、望ましくは1〜10μ
mであることが好ましい。ホログラム形成層4と保護層
10との間の接着性を高め且つホログラム形成層4の耐久
性を高めるために、硬化型アクリル系樹脂、セルロース
系樹脂、ビニル系樹脂等からなるオーバープリント層を
ホログラム形成層4と保護層10との間に設けてもよく、
また薄膜層6と接着剤層7との間の接着性を高めるた
め、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹
脂、ウレタン系樹脂等からなるアンカー層を薄膜層6と
接着層7との間に設けてもよい。
上記の如く構成されるホログラム転写箔8を接着剤層7
が透明部2の表面に接するように該透明部2に重ね合わ
せ、加熱、加圧してベースフィルム9を剥がすことによ
り透明型ホログラム3が透明部2に転写される。
ホログラムラベルの一構成例は第4図に示される。同図
に示されるホログラムラベル11は基材シート12上に、ホ
ログラム形成層4、薄膜層6、粘着剤層13、剥離紙14、
の順に積層して構成される。基材シート12はホログラム
形成層4を保護すると共に全体の機械的強度を上げる働
きをしており、その材質としては、ポリ塩化ビニル、ポ
リエステル、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド
系樹脂、ウレタン系樹脂等が用いられ、またその膜厚は
10〜500μmであることが好ましい。
粘着剤層13の材質としてはアクリル系、ゴム系等の一般
的な粘着剤が広く用いられる。この粘着剤は弾性体に粘
着付与剤を添加してなり、弾性体として、ポリイソプレ
ンゴム、ポリイソブチルゴム、SBR、ブタジエン・アク
ロニトリルゴム等のゴム系、アクリル酸エステル系、ポ
リビニルエーテル系等が挙げられ、粘着付与剤として、
ポリテルペン樹脂、ガムロジン、ロジンエステル及びロ
ジン誘導体、油溶性フェノール樹脂、クマロンインデン
樹脂、石油系炭化水素等が挙げられる。粘着付与剤の他
に、軟化剤、充填剤、老化防止剤等を加えてもよい。粘
着剤層13の膜厚は0.1〜50μmであることが好ましい。
剥離紙14としては、シリコン系樹脂、ワックス、パラフ
ィン類等を紙又はフィルム等の基材に塗工したものが用
いられる。
薄膜層6と粘着剤層13との間の接着性を高めるため、ホ
ログラム転写箔におけると同様のアンカー層を薄膜層6
と粘着剤層13との間に設けてもよい。上記の如く構成さ
れるホログラムラベル11は適当な大きさに切断形成さ
れ、剥離紙14を剥がして透明部2上に粘着剤層13を介し
て貼付することにより透明型ホログラム3を透明部2上
に設けることができる。
次ぎに、具体的実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
する。
実施例1 ポリエステルよりなる厚さ25μmのベースフィルムの片
面に、順次保護層、ホログラム形成層、透明連続薄膜
層、接着剤層を形成しホログラム転写箔を得た。各層の
組成は以下の通りである。尚、ホログラム形成層は、樹
脂層を形成した後レリーフホログラムとして構成した。
保護層組成 酢酸セルロース樹脂 5重量部 メタノール 25 〃 メチルエチルケトン 45 〃 トルエン 25 〃 メチロール化メラミン樹脂 0.5 〃 パラトルエンスルフォン酸 0.05 〃 ホログラム形成層組成 アクリル樹脂 40重量部 メラミン樹脂 10 〃 アノン 50 〃 メチルエチルケトン 50重量部 透明連続薄膜層組成 ZnS 接着剤層組成 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 20重量部 アクリル樹脂 10 〃 酢酸エチル 20 〃 トルエン 50 〃 上記の如く得られたホログラム転写箔をその接着剤層が
メガネのレンズ表面と接するようにして重ね合わせた
後、該転写箔のベースフィルム側に熱盤を当て、170℃,
10kg/cm2の条件で加熱加圧し、その後ベースフィルムを
剥がして透明型ホログラムをメガネレンズに転写した。
得られたホログラム入りメガネレンズはホログラムを通
して物体を見ることができると共に、角度を変えて見る
ことによりホログラムの立体再生像が認識された。
実施例2 以下組成物を6時間還流させ、共重合を行った。
メチルメタクリレート 284重量部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 130 〃 酢酸エチル 1100 〃 α,α′−アゾビスイソブチロニトリル 2 〃 次いで、得られた反応物に0.1重量部のパラメトキシフ
ェノールを加え反応を停止させた後、100重量部の2−
ヒドロキシエチルアクリレートと2,4−トルエンジイソ
シアネートの1モル対1モル付加物を加えさらにジブチ
ルチンジラウリレートを5重量部加えて、乾燥空気を送
りながら80℃で5時間反応させた。
反応液を室温まで冷却した後15重量部の紫外線増感剤
(イルガキュア184チバガイギー社製)を加え均一に溶
解させて、紫外線硬化樹脂組成物を得た。
次ぎに、基材シートとして厚み200μmのポリエチルテ
レフタレートフィルムに前記の紫外線硬化樹脂組成物を
2μm塗布してホログラム形成用フィルムを作成した。
このホログラム形成用フィルムは常温でべとつかず巻き
取り状態で保管できた。
次ぎに得られたフィルムの樹脂面と、ホログラムが凹凸
の形状で記録されている金型の凹凸面とを重ね合わせ15
0℃、20kg/cm2の圧力でニップロールを用いて加熱加圧
し、金型と前記フィルムとを密着させた。
次ぎにこれらを密着した状態でフィルム側より80W/cmの
出力を有する紫外線ランプの10cm下を10m/minの速度で
通して紫外線を照射し塗工した樹脂を硬化した。この
後、前記フィルムを種型より剥離しレリーフホログラム
を得た。
次に透明連続薄膜層としてTiO2を電子線加熱方式により
加熱蒸発させ200Åの薄膜をレリーフ形成面に真空蒸着
した。
次に、紙ベース上にシリコン樹脂を塗工した剥離紙の剥
離面にアクリル酸エステル系の粘着剤をコーティングし
て20μの膜を形成しながら、前記ホログラム形成フィル
ムの透明連続薄膜面と粘着剤面を接してドライラミネー
トし、ホログラムシールを得た。
このホログラムシールを打ち抜いて適当な形としホログ
ラムラベルを得、このラベルの剥離紙を剥がして、デジ
タル時計の文字盤部表示カバーに貼付した。得られたホ
ログラム入り時計を観察したところ、ホログラムの上か
ら文字等を見ることができると共に、角度を変えて見る
ことによりホログラムの立体再生像が確認された。
実施例3 ガラス製化粧ビンの表面平坦部に2液硬化タイプのエポ
キシ樹脂をシルク印刷により、所定の形状に厚さ10μm
で形成し、100℃にて15分間熱風乾燥した。その後、実
施例1と同様にして得られたホログラム転写箔の接着剤
層とエポキシ樹脂とが接するようにして重ね合わせ、該
転写箔のベースフィルム側に加熱ロールを当て、200
℃、10kg/cm2、転写速度1m/minの条件で加熱加圧し、そ
の後ベースフィルムを剥がして透明型ホログラムを化粧
ビンに転写した。得られたホログラム入り化粧ビンはホ
ログラムを通して内容物を見ることができると共に、角
度を変えて見るとによりホログラムの立体再生像が認識
された。
〔発明の効果〕
本発明における透明型ホログラムは特定の再生角度範囲
内でのみ再生され、他の通常の角度ではホログラムが認
識されず、単なる透明体として見えるにすぎないから、
下部に位置する透明部の透明性を妨げない利点があり且
つ再生角度範囲内で再生されるホログラムは充分なホロ
グラム効果を発揮できる。またホログラムの再生可能な
角度範囲近傍においては観察位置を多少変えるだけでホ
ログラムと透明部内側の両方を見ることができ、デザイ
ンの2面性が発揮される。このように本発明によればホ
ログラム効果と透明効果を併有できる利点がある。
本発明によればホログラムにより透明部の透明性が妨げ
られることがないから、透明部を有する形成体へのホロ
グラムの形成位置に制約をうけることがなく、デザイン
の自由度が広がる効果があり、またこのように透明部上
にホログラムを位置させても外観上何の支障もないか
ら、本発明を高価格形成体例えば、時計、メガネ、高級
装飾品に適用した場合、商品価値を低下させずに偽造防
止を有効適格に図ることができる。
しかも、ホログラム形成層の屈折率と、薄膜層の屈折率
と、接着剤層若しくは粘着剤層の屈折率とがそれぞれ異
なり、また、薄膜層の厚みが10〜10000オングストロー
ムであることによる薄膜による多重反射効果により、ホ
ログラムの再生可能な角度範囲内から観察した場合、反
射型ホログラムとして充分なホログラム効果を有すると
ともに、透過型ホログラムとしても充分なホログラム効
果を有するものである。
上述したように、本発明においてホログラムは再生可能
な角度範囲外では単なる透明体としてしか見えないか
ら、従来の反射性金属薄膜を有する反射型ホログラムを
支持体に設けた場合の如き高い輝度の銀白色による違和
感というものがなく、外観上も優れたものとなる効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す断面図、第2図はホログ
ラムを転写により設けた実施例を示す断面図、第3図は
ホログラム転写箔の断面図、第4図はホログラムラベル
の断面図である。 1……形成体 2……透明部 3……透明型ホログラム 8……ホログラム転写箔 11……ホログラムラベル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田原 茂彦 東京都新宿区市谷鷹匠町6 (56)参考文献 特開 昭60−217303(JP,A) 特開 昭53−4576(JP,A) 米国特許4315665(US,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも部分的に透明部を有する形成体
    と該透明部に設けられた透明型ホログラムとからなる透
    明型ホログラム付き透明形成体において、前記透明型ホ
    ログラムが表面にレリーフ形成面を有するホログラム形
    成層と前記レリーフ形成面に設けられた厚さ10〜10000
    オングストロームの薄膜層とからなり、前記透明型ホロ
    グラムが透明な接着剤層若しくは粘着剤層を介して前記
    形成体に設けられており、前記ホログラム形成層の屈折
    率と、前記薄膜層の屈折率と、前記接着剤層若しくは前
    記粘着剤層の屈折率とがそれぞれ異なることを特徴とす
    る透明型ホログラム付き透明形成体。
JP61002749A 1986-01-09 1986-01-09 透明型ホログラム付き透明形成体 Expired - Lifetime JPH0792636B2 (ja)

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