JPH079212U - 棒状化粧料繰り出し容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 螺旋繰り出し機構により棒状化粧料を昇降動
させる棒状化粧料繰り出し容器に於いて、棒状化粧料の
繰り出し操作感を良好なものにする。 【構成】 棒状化粧料１を収嵌保持し、側壁に螺合突部
３を突設した保持筒２と、この保持筒２を上下摺動自在
に内装し、上端に鍔部５を設けて下端の連結部６との間
に保持部７を構成し、この保持部７の側壁に前記保持筒
２の螺合突部３が貫通するガイド溝８を軸線方向に長く
穿設したガイド筒４と、このガイド筒４の保持部７に回
動自在に保持され、側壁に前記螺合突部３が螺合する螺
旋溝１３を螺設した螺旋筒１２と、このガイド筒４が挿
入止着されたスリーブ１４、及び前記ガイド筒４の下端
が止着された外筒１６とよりなる構成に於いて、相対回
転する部材間に上下に隙間を設け、この隙間に上下方向
に弾発力が発生するよう成形した弾性リング２０を挾持
させて、螺旋筒１２を他方に弾性を有して当接させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、口紅等の棒状化粧料繰り出し容器の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、口紅等の棒状化粧料繰り出し容器は、螺旋繰り出し機構を内装した 容器に収納されていた。この螺旋繰り出し機構は、螺旋溝の螺設された螺旋筒、 棒状化粧料を収嵌保持する保持筒、保持筒の回動を阻止するガイド溝の設けられ たガイド筒、等複数の筒体の組み合わせで構成されていた。そして使用時には、 容器を回転操作する事によって、棒状化粧料を繰り出していた。従って、回転操 作時には、各筒体の擦れ合いが生じ、この擦れ合いの摺動抵抗が回転繰り出し操 作感に大きな影響を与えていた。また、金属、合成樹脂同士の擦れ合い、及び金 属と合成樹脂の擦れ合いによっても繰り出し操作感が大きく変わってしまった。

【０００３】 そこで、実開昭６０−１４９３２２号公報により、一方の筒体と、他方の相対 回転する筒体の間に弾性を有したＯリングを配置した構成が提案されている。ま た、実開平３−１２３４２３号公報により、一方の筒体に外方向に屈曲した弾性 係止突起を立設してなる係止部材を止着し、この弾性係止突起を他方の相対回転 する筒体の側壁に摺接させた構成が提案されている。この種の構成の場合、容器 を回転操作すると、Ｏリング若しくは弾性係止突起が他方に摺接しているため、 この部分に摺動抵抗が生じ、この摺動抵抗によって容器の繰り出し操作感を良好 なものに調節していた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、Ｏリングを使用して摺動抵抗を発生させる構成は、Ｏリングがゴム等 の弾性材により成形されているため、Ｏリング自体に反発力を有していた。従っ て、回転操作中に均一な摺動抵抗を得るのは困難であった。そのため、Ｏリング にシリコン、ワセリン等の潤滑剤を塗布して反発力が発生しないようにする必要 があった。また、容器を組み立てる際のＯリング装着工程は、Ｏリングを定位置 にはめ込む必要があり、また、Ｏリング自体に潤滑剤が塗布されている関係で、 自動化が困難で人手に頼るしかなく、コストアップの要因となっていた。

【０００５】 また、合成樹脂製の弾性係止突起により摺動抵抗を発生させる構成は、弾性係 止突起自体には反発力を有していないため、潤滑剤を塗布して反発力を調節する 必要がなかった。しかし、合成樹脂製の弾性係止突起は、高温にさらされた場合 等には、弾性を喪失してしまった。また、繰り返し使用していくうちに弾性が徐 々に減退してしまった。従って、良好な繰り出し操作感を半永久的に維持するの は困難であった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

棒状化粧料１を収嵌保持し、側壁に螺合突部３を突設した保持筒２と、この保 持筒２を上下摺動自在に内装し、上端に鍔部５を設けて下端の連結部６との間に 保持部７を構成し、この保持部７の側壁に前記保持筒２の螺合突部３が貫通する ガイド溝８を軸線方向に長く穿設したガイド筒４と、このガイド筒４の保持部７ に回動自在に保持され、側壁に前記螺合突部３が螺合する螺旋溝１３を螺設した 螺旋筒１２と、このガイド筒４が挿入止着されたスリーブ１４、及び前記ガイド 筒４の下端が止着された外筒１６とよりなる構成に於いて、相対回転する部材間 に上下に隙間を設け、この隙間に上下方向に弾発力が発生するよう成形した弾性 リング２０を挾持させて、螺旋筒１２を他方に弾性を有して当接させる。

【０００７】

【作用】

スリーブ１４を保持して外筒１６を回転操作すると、スリーブ１４の内壁に止 着されて螺旋筒１２と外筒１６に止着されたガイド筒４とは、相対回転する。棒 状化粧料１を収嵌保持した保持筒２の螺合突部３はガイド筒４のガイド溝８を貫 通して螺旋筒１２の螺旋溝１３に螺合しているため、螺合作用によって保持筒２ が上下摺動する。

【０００８】 この時、相対回転しているガイド筒４と螺旋筒１２若しくはスリーブ１４の間 には、隙間が設けられ、この隙間に上下に弾発力を有した弾性リング２０を挾持 させて、螺旋筒１２を他方に弾性を有して当接させているため、螺旋筒１２の両 端で摺動摩擦抵抗が発生する。この摺動摩擦抵抗がスリーブ１４を保持して外筒 １６を回転操作する際の繰り出し操作感となる。

【０００９】

【実施例１】 口紅等の棒状化粧料１は、保持筒２に収嵌保持されている。この保持筒２は、 側壁に螺合突部３を突設している。この棒状化粧料１及び保持筒２は、ガイド筒 ４に上下摺動自在に内装されている。

【００１０】 このガイド筒４の上端には、鍔部５が周設され、下部には外径が拡大した連結 部６が設けられ、鍔部５と連結部６の間に小径の保持部７が構成されている。こ の保持部７の側壁には、前記保持筒２の螺合突部３が貫通して保持筒２を回動不 能に上下摺動自在に案内するガイド溝８が軸線方向に細長く穿設されている。ま た、ガイド筒４の保持部７には、螺旋筒１２が嵌合し、脱落不能に回動自在に保 持されている。

【００１１】 この螺旋筒１２の内側壁には、前記ガイド溝８を貫通した螺合突部３が螺合す る螺旋溝１３が螺設されている。また、この螺旋筒１２の長さは、前記ガイド筒 ４の連結部６と保持部７とで構成される段部より、鍔部５と保持部７とで構成さ れる段部までの長さより僅かに短く構成されている。つまり螺旋筒１２は、連結 部６と保持部７、若しくは鍔部５と保持部７とで構成される段部との間に僅かに 隙間が生じるようになっている。

【００１２】 この螺旋筒１２と保持部７の上端にある段部との間に発生した隙間には、弾性 リング２０が配置されている。この弾性リング２０は、バネ性のあるステンレス 板等の金属薄板をリング状に抜き加工し、これを波板状にしたものである。従っ て、弾性リング２０は、上下方向に弾発力を有しており、螺旋筒１２を下方に弾 発している。そして、ガイド筒４と螺旋筒１２を相対回転させると、螺旋筒１２ の下端と連結部６の段部の間、及び螺旋筒１２の上端と弾性リング２０、及び弾 性リング２０と鍔部５の段部の間で、弾性リング２０の弾性によって摺動抵抗が 発生するように構成されている。また、この螺旋筒１２は、スリーブ１４内に挿 入止着されている。

【００１３】 このスリーブ１４は、上端に棒状化粧料１の出没口１５が穿設されており、ガ イド筒４の鍔部５及び保持部７を被っている。そして、ガイド筒４とスリーブ１ ４は、相対回転可能になっている。また、ガイド筒４の連結部６は、外筒１６内 に挿入止着されている。この外筒１６の上端には、中筒１７が止着されている。 この中筒１７の上部は、外筒１６の上部より突出し、キャップ１８が抜脱自在に 嵌合する嵌合部１９となっている。なお、外筒１６の上部及び中筒１７は、スリ ーブ１４の下部を被っている。

【００１４】

【実施例２】 口紅等の棒状化粧料１は、保持筒２に収嵌保持されている。この保持筒２は、 側壁に螺合突部３を突設している。この棒状化粧料１及び保持筒２は、ガイド筒 ４に上下摺動自在に内装されている。

【００１５】 このガイド筒４の上端には、鍔部５が周設され、下部には外径が拡大した連結 部６が設けられ、鍔部５と連結部６の間に小径の保持部７が構成されている。こ の保持部７の側壁には、前記保持筒２の螺合突部３が貫通して保持筒２を回動不 能に上下摺動自在に案内するガイド溝８が軸線方向に細長く穿設されている。ま た、ガイド筒４の保持部７には、螺旋筒１２が嵌合し、脱落不能に回動自在に保 持されている。

【００１６】 この螺旋筒１２の内側壁には、前記ガイド溝８を貫通した螺合突部３が螺合す る螺旋溝１３が螺設されている。また、この螺旋筒１２の長さは、前記ガイド筒 ４の連結部６と保持部７とで構成される段部より、鍔部５と保持部７とで構成さ れる段部までの長さより僅かに短く構成されている。つまり、装着された螺旋筒 １２は、ガイド筒４の保持部７の中で僅かに上下にガタを有している。この螺旋 筒１２は、スリーブ１４内に挿入止着されている。

【００１７】 このスリーブ１４は、上端に棒状化粧料１の出没口１５が穿設されており、ガ イド筒４の鍔部５及び保持部７を被っている。そして、ガイド筒４とスリーブ１ ４は、相対回転可能になっている。なお、このスリーブ１４の出没口１５の開口 縁部下面とガイド筒４の上端との間には、隙間が生じるよう構成されている。

【００１８】 このスリーブ１４上端とガイド筒４上端との間に発生した隙間には、弾性リン グ２０が配置されている。この弾性リング２０は、バネ性のあるステンレス板等 の金属薄板をリング状に抜き加工し、これを波板状にしたものである。従って、 弾性リング２０は、上下方向に弾発力を有しており、スリーブ１４の内壁に止着 された螺旋筒１２を上方に弾発し、螺旋筒１２の上端がガイド筒４の鍔部５に当 接している。そして、ガイド筒４と螺旋筒１２を相対回転させると、螺旋筒１２ の上端と鍔部５の間、及びガイド筒４の上端と弾性リング２０、及び弾性リング ２０とスリーブ１４の上端の間で、弾性リング２０の弾性によって摺動抵抗が発 生するように構成されている。

【００１９】 また、ガイド筒４の連結部６は、外筒１６内に挿入止着されている。この外筒 １６の上端には、中筒１７が止着されている。この中筒１７の上部は、外筒１６ の上部より突出し、キャップ１８が抜脱自在に嵌合する嵌合部１９となっている 。なお、外筒１６の上部及び中筒１７は、スリーブ１４の下部を被っている。

【００２０】 なお、本考案の実施例１及び実施例２に利用される弾性リング２０は、両面に ナイロン等の自己潤滑性を有した合成樹脂フィルムを貼着した積層板により成形 すれば、ガイド筒４及び螺旋筒１２端部、若しくはガイド筒４及びスリーブ１４ 上端部に弾性リング２０の合成樹脂フィルムが当接して滑り性がよくなり、繰り 出し作感を更に良好なものにする事ができる。また、実施例１の場合、前記弾性 リング２０は、螺旋筒１２の上端に挾持させるばかりでなく、下端に挾持させる ことも、上端及び下端の両方に挾持させる事も可能である。この場合、螺旋筒１ ２の全長を、螺旋筒１２をガイド筒４の保持部７に装着した際、螺旋筒１２の一 方の端部、若しくは両端に隙間が生じる長さでなければならない。

【００２１】

【考案の効果】

本考案は以上のように、弾性材によって螺旋筒１２を軸線方向に弾発して、螺 旋筒１２の端部で摺動摩擦抵抗を発生させているため、従来例のように弾性材を 径方向に摺接させて摺動摩擦抵抗を得る場合に比較して、位置合わせが不要で容 易に組み立ての自動化が計られるものとなっている。

【００２２】 また、弾性リング２０は、弾発力を軸線方向に付与させているため、充分な剛 性を持たせる事ができる。また、弾性リング２０が弾性の高い金属薄板より構成 されているため、高温にさらされた場合や長時間使用している間に弾性が弱くな ってしまったりすることはなく、半永久的にその弾性を維持できる。加えて、弾 性リング２０を、両面にナイロンフィルム等の自己潤滑性を有した剛性樹脂フィ ルムを貼着した積層板により成形すれば、摺接する部分の滑り性がよくなり、繰 り出し操作感を更に良好なものとする事ができる。

【００２３】 更に、弾性リング２０の弾性が軸線方向、つまり棒状化粧料１の摺動方向に働 いているため、不用意に容器を落下させてしまった際など、棒状化粧料１の抜け 方向に衝撃が加わっても、弾性リング２０が衝撃を吸収し、直接棒状化粧料１に 衝撃が加わって棒状化粧料１を破損してしまう事故も防止している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例１の正面断面図。

【図２】本考案実施例２の正面断面図。

【図３】実施例１及び実施例２の弾性リングの斜視図。

【符合の説明】

１ 棒状化粧料 ２ 保持筒 ３ 螺合突部 ４ ガイド筒 ５ 鍔部 ６ 連結部 ７ 保持部 ８ ガイド溝 １２ 螺旋筒 １３ 螺旋溝 １４ スリーブ １６ 外筒 ２０ 弾性リング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 棒状化粧料１を収嵌保持し、側壁に螺合
   突部３を突設した保持筒２と、該保持筒２を上下摺動自
   在に内装し、上端に鍔部５を設けて下端の連結部６との
   間に保持部７を構成し、該保持部７の側壁に前記保持筒
   ２の螺合突部３が貫通するガイド溝８を軸線方向に長く
   穿設したガイド筒４と、該ガイド筒４の保持部７に回動
   自在に保持され、側壁に前記螺合突部３が螺合する螺旋
   溝１３を螺設した螺旋筒１２と、該ガイド筒４が挿入止
   着されたスリーブ１４、及び前記ガイド筒４の下端が止
   着された外筒１６とよりなる構成に於いて、相対回転す
   る部材間に上下方向に隙間を設け、該隙間にスプリング
   性を有した金属薄板を上下に弾発力が発生する形状に成
   形した弾性リング２０を挾持させ、螺旋筒を反対方向に
   弾発させたことを特徴とする棒状化粧料繰り出し容器。