JPH0791448B2 - 切削加工用素材および切削成形品 - Google Patents

切削加工用素材および切削成形品

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JPH0791448B2
JPH0791448B2 JP63188161A JP18816188A JPH0791448B2 JP H0791448 B2 JPH0791448 B2 JP H0791448B2 JP 63188161 A JP63188161 A JP 63188161A JP 18816188 A JP18816188 A JP 18816188A JP H0791448 B2 JPH0791448 B2 JP H0791448B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、熱硬化型ノルボルネン系ポリマーから成る切
削加工用素材および切削成形品に関し、さらに詳しく
は、切削性および安全性に優れ、しかも軽量で寸法安定
性の良好な熱硬化型ノルボルネン系ポリマーから成る切
削加工用素材および切削成形品に関する。
従来の技術 従来、ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリア
セタール樹脂、超高分子量ポリエチレン、ポリブチレン
テレフタレートあるいはポリカーボネート樹脂などのエ
ンジニヤリングプラスチックから加工用の素材(丸棒、
板、チューブ、シートなど)を作り、これを金属と同様
に切削加工などの機械加工を行なって各種機械部品とす
ることは公知の技術である。
プラスチック素子の切削加工は、射出成形に較べて、製
造量の少ない部品を経済的に得ることができること、高
い寸法精度の部品が得られること、射出成形が困難な形
態の部品を容易に製造できることなど多くの利点を持っ
ている。しかも、これらプラスチック素材の加工は、金
属加工用の標準工具の使用が可能である。
しかしながら、従来のエンジニヤリングプラスチック
は、耐熱性や機械的強度等に優れているが、耐熱性が高
いといっても熱可塑性樹脂であるため、機械切削加工時
に生じる摩擦熱によってその融点近くまで温度が高ま
り、切削用素材が溶融して平滑な面が出にくいため、切
削面を冷却しなければならないという欠点を有してい
た。また、切削用素材を射出成形で成形しているため、
大型部品の作成が困難で、かつ、金型も高価とならざる
をえないという成形上の制約がある。従来法の中で、い
わゆるキャスト法ナイロンは、モノマーを直接鋳型に流
し込んで重合、成形するため、従来の射出成形や押出成
形に較べ大型品を作成できるという利点を有するが、耐
吸水性に劣るために切削加工用素材にとって極めて重要
な性能である寸法安定性が不充分であるという欠点を持
っている。
発明が解決しようとする課題 そこで本発明者らは、切削性、寸法安定性、耐熱性が良
好で、しかも軽量、安価な切削用素材を開発するために
鋭意研究した結果、多量の酸化防止剤の存在下に多環ノ
ルボルネン系モノマーを塊状開環重合して得られる重合
体を用いることが有用なことを見出し、この知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。
課題を解決するための手段 すなわち、本発明の要旨は、三環体以上のノルボルネン
系モノマーを酸化防止剤の存在下に塊状開環重合して得
られる発火点が120℃以上であり、かつ、ガラス転移温
度が80℃以上である熱硬化型切削加工用素材および該素
材を切削加工して成る切削成形品にある。
以下、本発明の構成要素について詳述する。
(ノルボルネン系モノマー) 本発明において加工用素材の原料として使用するモノマ
ーは、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーであ
る。三環体以上であることによって、熱変形温度の高い
重合体が得られ切削加工用として要求される耐熱性を満
たすことができる。
また、本発明においては、生成する重合体を熱硬化型と
することが必要であり、そのためには全モノマー中の少
なくとも10重量%、好ましくは30重量%以上の架橋性モ
ノマーを使用することが好ましい。熱硬化型とすること
により切削時の摩擦熱による溶融を防止することがで
き、切削性が顕著に改良される。
三環体以上のノルボルネン系モノマーとしては、ジシク
ロペンタジエンやジヒドロジシクロペンタジエンなどの
ごとき三環体、テトラシクロドデセンなどのごとき四環
体、トリシクロペンタジエンなどのごとき五環体、テト
ラシクロペンタジエンなどのごとき七環体、これらのア
ルキル置換体(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブ
チル置換体など)、アルキリデン置換体(例えば、エチ
リデン置換体など)、アリール置換体(例えば、フェニ
ル、トリル置換体など)、などが挙げられる。
一方、架橋性モノマーは、反応性の二重結合を2個以上
有する多環ノルボルネン系モノマーであり、その具体例
としてジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエ
ン、テトラシクロペンタジエンなどが例示される。した
がって、ノルボルネン系モノマーと架橋性モノマーが同
一物である場合には格別他の架橋性モノマーを用いる必
要はない。
これらのノルボルネン系モノマーは、単独で使用しても
よいし、また、2種以上を混合して用いることもでき
る。
三環体以上のノルボルネン系モノマーは、ジシクロペン
タジエン類を熱処理することによっても得ることができ
る。熱処理の条件としては、ジシクロペンタジエン類を
不活性ガス雰囲気下、120〜250℃温度で、0.5〜20時間
加熱する方式が挙げられる。この熱処理により、ペンタ
シクロペンタデカジエンと未反応ジシクロペンタジエン
を含むモノマー混合物が得られる。熱処理の際に二環体
ノルボルネン、スチレン類、不飽和カルボン酸エステ
ル、不飽和ニトリルなどのごときジエノフィルを適宜共
存させてもよい。
なお、上記三環体以上のノルボルネン系モノマーの1種
以上と共に開環重合し得る2−ノルボルネン、5−メチ
ル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボル
ネン、5−フェニル−2−ノルボルネンなどの二環体の
ノルボルネン系モノマー、あるいはシクロブテン、シク
ロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シ
クロドデセンなどの単環シクロオレフィンなどを、本発
明の目的を損なわない範囲で併用することができる。
(メタセシス触媒系) 本発明で用いる触媒は、ノルボルネン系モノマーの塊状
重合用触媒として公知のメタセシス触媒系であればいず
れでもよく(例えば、特開昭58−127728号、同58−1290
13号、同59−51911号、同60−79035号、同60−186511
号、同61−126115号など)、特に制限はない。
メタセシス触媒としては、タングステン、モリブデン、
タンタルなどのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、、
酸化物、有機アンモニウム塩などが挙げられるが、適当
な例としては、六塩化タングステン、オキシ四塩化タン
グステン、酸化タングステン、トリドデシルアンモニウ
ムタングステート、メチルトリカプリルアンモニウムタ
ングステート、トリ(トリデシル)アンモニウムタング
ステート、トリオクチルアンモニウムタングステートな
どのタングステン化合物:五塩化モリブデン、オキシ三
塩化モリブデン、トリドデシルアンモニウムモリブデー
ト、メチルトリカプリルアンモニウムモリブデート、ト
リ(トリデシル)アンモニウムモリブデート、トリオク
チルアンモニウムモリブデートなどのモリブデン化合
物:五塩化タンタルなどのごときタンタル化合物などが
ある。なかでも反応に使用するノルボルネン系モノマー
に可溶性の触媒を用いることが好ましく、その見地から
有機アンモニウム塩が賞用される。触媒がハロゲン化物
の場合には、アルコール系化合物やフェノール系化合物
で事前に処理することにより、触媒を可溶化することが
できる。また、必要によりベンゾニトリルやテトラヒド
ロフランなどのごときルイス塩基やアセチルアセトン、
アセト酢酸アルキルエステルなどのごときキレート化剤
を併用することができ、それにより早期重合を予防する
ことができる。
活性剤(共触媒)としては、アルキルアルミニウムハラ
イド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド、アリ
ールオキシアルキルアルミニウムハライド、有機スズ化
合物などが挙げられるが、適当な例としては、エチルア
ルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムモノクロ
リド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルア
ルミニウムイオダイド、エチルアルミニウムジイオダイ
ド、プロピルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミ
ニウムジアイオダイド、イソブチルアルミニウムジクロ
リド、エチルアルミニウムジブロミド、メチルアルミニ
ウムセスキクロリド、メチルアルミニウムセスキブロミ
ド、テトラブチルスズ、アルキルアルミニウムハライド
とアルコールとの予備反応生成物などがある。
これらの活性剤のなかでアルコキシアルキルアルミニウ
ムハライドやアリールオキシアルキルアルミニウムハラ
イドは、触媒成分を混合した場合でも室温では適度なポ
ットライフを有するので、操作上有利である(例えば、
特開昭59−51911号)。アルキルアルミニウムハライド
の場合は、触媒を混合すると即座に重合を開始するとい
う問題があるが、その場合には活性剤とエーテル類、エ
ステル類、ケトン類、ニトリル類、アルコール類などの
調節剤を併用することにより重合の開始を遅らせること
ができる(例えば、特開昭58−129013号、同61−120814
号)。もし、これらの調節剤を使用しない場合には、短
いポットライフのものでも使用できるように装置上、操
作上の配慮をする必要がある。しかし、ポットライフが
短い触媒系の場合は、反応が急速に進むため反応熱を効
率的に除去することが難しいので、25℃でのポットライ
フが5分以上、好ましくは10分以上、さらに好ましくは
30分以上のものを用いるのがよい。
また、触媒、活性剤に加えてクロロホルム、四塩化炭
素、ヘキサクロロシクロペンタジエンなどのごときハロ
ゲン化炭化水素を併用してもよい(例えば特開昭60−79
035号)。さらに、四塩化錫、四塩化ケイ素、塩化マグ
ネシウム、塩化ゲルマニウムなどのハロゲン化物を併用
してもよい。
メタセシス触媒は、ノルボルネン系モノマーの1モル対
し、通常、約0.01〜50ミリモル、好ましくは0.1〜10ミ
リモルの範囲で用いられる。活性剤(共触媒)は、触媒
成分に対して、通常、0.1〜200(モル比)、好ましくは
2〜10(モル比)の範囲で用いられる。
メタセシス触媒および活性剤は、いずれもモノマーに溶
解して用いる方が好ましいが、生成物の性質を本質的に
損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁または溶解さ
せて用いてもよい。
(酸化防止剤) 本発明で使用する酸化防止剤としては、フェノール系、
リン系、アミン系など各種のプラスチック・ゴム用酸化
防止剤がある。これらの酸化防止剤は、単独で用いても
よいが、併用することもできる。配合割合は、ノルボル
ネン系ポリマーの発火点が120℃以上、好ましくは130℃
以上となるような範囲であり、通常ノルボルネン系ポリ
マーに対し0.5重量%以上、好ましくは1〜3重量%で
ある。酸化防止剤の配合割合が極端に少ないと成形品の
発火点を高めることができない。配合割合の上限は特に
ないが、酸化防止剤が極端に多過ぎると不経済であると
共に重合を阻害することがあるので好ましくない。特
に、アミン系の酸化防止剤は、2重量%以上使用すると
重合反応を阻害することが判明しているので、0.5〜2
重量%の範囲で使用することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4−ジオ
キシジフェニル、ヒドロキノン・モノベンジルエーテ
ル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−
ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−アミルヒドロキ
ノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4−ヒ
ドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4,
4′−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−o−クレゾ
ール)、ブチル化ヒドロキシアニソール、フェノール縮
合物、ブチレン化フェノール、ジアルキル・フェノール
・スルフィド、高分子量多価フェノール、ビスフェノー
ルなどが挙げられる。
リン系の酸化防止剤としては、例えば、トリ(フェニ
ル)フォスファイト、トリ(ノニルフェニル)フォスフ
ァイトなどのアリールあるいはアルキルアリールフォス
ファイト類が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−α−
ナフチルアミン、4,4′−ジオクチルジフェニルアミ
ン、N,N′−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミ
ン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N
−フェニル−N′−シクロヘキシル−p−フェニレンジ
アミン、N,N′−ジ−o−トリル−エチレンジアミン、
アルキル化ジフェニルアミンなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、上記したもの以外にも各種の市
販品を使用することができる。また、酸化防止剤はモノ
マーと共重合可能なものでもよく、その具体例として5
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−2−ノルボルネンなどのごときノルボルネニルフェノ
ール系化合物などが例示される(特開昭57−83522号公
報参照)。
酸化防止剤をノルボルネン系ポリマーに含有させるの
は、通常、次に述べる反応射出成形法による重合条件下
で、予めノルボルネン系モノマーを含む反応原液に添加
しておく方法による。
(重合条件) 本発明においては、ノルボルネン系モノマーを酸化防止
剤の存在下に塊状で開環重合することにより切削加工用
素材が得られる。実質的に塊状重合であればよいが、素
材の性能上からは触媒の調整においても不活性溶剤を用
いないことが望ましい。
好ましい加工用素材の製造法では、ノルボルネン系モノ
マーを二液に分けて別の容器に入れ、一方にはメタセシ
ス触媒を、他方には活性剤を添加し、二種類の安定な反
応溶液を調製する。この二種類の反応溶液を混合し、次
いで所定形状の型枠中に注入し、そこで塊状による開環
重合を行なう。酸化防止剤は、二液の内少なくとも一方
に所定量添加しておく。
硬化物(切削用素材)にいわゆる巣(空孔)が発生しな
いようにするために、型枠温度は内容物の最大硬化発熱
温度が160℃を越えないように冷却制御することが好ま
しい。注入圧力は格別制限はないが通常10Kg/cm2以下で
充分であり、好ましくは常圧下で実施される。
また、重合時間は発熱温度との関係で適宜選択すればよ
いが、重合時間があまりに短いと最大硬化発熱温度を16
0℃以下に制御することが困難になる。
なお、最大硬化発熱温度は、160℃を越えてもよいが、
その場合には、徐冷するなどして巣が発生しないように
硬化物の冷却条件に留意することが必要である。
重合反応に用いる成分類は窒素ガスなどの不活性ガス雰
囲気下で貯蔵し、かつ操作することが好ましい。成形金
型は不活性ガスでシールしてもよいが、しなくてもかま
わない。
(任意成分) 充填剤、顔料、着色剤、エラストマー、ジシクロペンタ
ジエン系熱重合樹脂、難燃剤、摺動付与剤など種々の添
加剤を配合することにより、本発明の切削加工用素材の
特性を改質することができる。
添加剤は予め反応溶液のいずれか一方または双方に混合
して用いる。
充填剤にはガラス、カーボンブラック、タルク、炭酸カ
ルシウム、雲母などの無機質充填剤がある。
エラストマーとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポ
リイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SB
R)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンター
ポリマー(EPDM)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EV
A)およびこれらの水素化物などがある。これらエラス
トマーの配合量は、目的に応じて適宜選択すればよい
が、0.5〜3重量%程度添加すると切削性が一段と良好
になる。
(加工用素材の性状) このようにして得られる切削加工用素材は、丸棒、角
棒、管状、シート状などのごとき各種の形状とすること
ができ、その他、所定形状の三次元形状物であることが
できる。そして、実質的に空孔を有しない高品質のもの
であり、径または厚みが少くとも20mm以上、好ましくは
50mm以上の部分を有するものである。反応射出成形法を
採用しているため、容易に大型化することができ、その
大きさも丸棒を例にとれば、直径約300mm程度のもの、
さらにはそれ以上のものまで製造することができる。
なお、ここで空孔とは、切断面を目視で観察したとき
に、判別可能なものであり、約0.1mm以上の径を有する
ものである。実質的に空孔を有しないとは、加工用素材
を100mm間隔で切断したときに、いずれの断面にも空孔
がないことを意味する。かかる空孔は、0.5〜10メガヘ
ルツの超音波を素材に流し、反射波の乱れを検出するこ
とによっても見い出すことができる。市販の超音波探傷
機をかかる目的に利用することができる。
かかる切削加工用素材のガラス転移温度は、切削加工時
の熱変形を防止する見地から80℃以上、好ましくは100
℃以上、特に好ましくは130℃以上であることが必要で
ある。
また、高圧示差熱分析法により測定した発火点(高圧示
差熱天秤を装置とし高圧酸素下で、サンプルは凍結粉砕
し、100メッシュの金網を通過した10mgを用い、示差熱
曲線の急激な立ち上がりを示す点を発火点と定義す
る。)が120℃以上、好ましくは130℃以上である。発火
点が低いと切削時に炭化現象による着色が生じたり、切
削した部分がもろくなり易く、また切削屑を直接日光下
や高温下に放置している際に自然発火の原因となる。
本発明の切削加工用素材は、未反応のノルボルネン系モ
ノマーや揮発性溶剤を実質的に含まないものであること
が望ましい。これらの揮発性成分は、切削加工時に揮発
して作業環境を悪化させるほか切削後の成形品の臭気の
原因となる。その意味で熱天秤法において(約10mgのポ
リマーでφ3〜4mmの板状サンプルを使用。)、窒素雰
囲気下で20℃/分の昇温速度のもとに400℃での加熱減
量が5重量以下、特に3重量%以下のものが好ましい。
本発明の切削加工用素材は、吸水性が小さいため寸法安
定性が良好であり、しかも比重が約1.1以下で、プラス
チックの中でも極めて軽量である。
(切削加工) 本発明においては、かかる切削加工用素材を金属素材と
同様の手法で切削加工することにより所定形状の成形品
が得られる。切削加工の具体的手段は格別制限されるも
のではなく、例えば、施盤仕上げ、ネジ切り、フライス
切削、穿孔、リーマ通しなどが例示される。
切削加工用素材を切削加工する際に、摩擦により素材が
発熱するが、過度に発熱すると変形や着色の原因となる
ので200℃以下に制御することが望ましい。
そして、この切削加工用素材は、切削加工により各種の
成形品に加工されるが、その具体例として軸受、歯車、
ラック、カム、シャフト、レバー、ベアリング、プーリ
ー、駆動ギャー、ローラー、フランジ、車輪、摩耗部
品、ライナー、バケット、ワッシャー、摺動板、絶縁体
などの各種部品等を挙げることができ、これらの切削成
形品は、鉄工・金属機械、土木建設機械、繊維工業機
械、運搬・搬送機械、食品加工機械、その他一般機械な
ど広範な分野において使用される。
実施例 以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定さ
れるものではない。なお、部や%などは、断わりのない
限り重量基準である。
実施例1 フェノール系酸化防止剤(商標名イルガノックス259、
チバガイギー社製)を2%含有するジシクロペンタジエ
ン(以下、DCPという)を2つの容器に入れ、一方にはD
CPに対しジエチルアルミニウムクロリド(DEAC)を33ミ
リモル濃度、n−プロパノールを42.9ミリモル濃度、四
塩化ケイ素を20ミルモル濃度になるように添加した。他
方には、DCPに対しトリ(トリデシル)アンモニウムモ
リブデートを4ミリモル濃度になるように添加した。
25℃に保った両反応液をギヤーポンプとパワーミキサー
を用いて1:1の比率で混合し(ポットライフは、25℃
で、約10分であった。)、第1表に示す形状を有する上
部が開放されているスチール製型枠内へ、第1表に示す
型枠を熱除去条件下で、型枠の上部からほぼ常圧で注入
した。これらの一連の操作は窒素雰囲気下で行なった。
このようにして得られた丸棒状のブロック材を高さ方向
100mm間隔で切断し、その断面を目視で観察した。その
結果を第1表に示す。
また、各ブロック材のガラス転移温度(Tg)は、145〜1
50℃、熱天秤法での加熱減量分は、2〜3%の範囲にあ
り、いずれのブロック材も十分に反応が進行しているこ
とが分った。
さらに、酸素圧10Kg/cm2の高圧下で示差熱分析での発火
点を測定した結果、いずれのブロック材も120℃をこえ
る値を示した。
切削性については、いずれのブロック材も切削可能であ
り、かつ、切削時における摩擦熱による発火や樹脂の溶
融などが見られず、製品の仕上り状態は良好であった。
第1表から明らかなように、反応物の最大硬化発熱温度
を160℃以下に制御しながら塊状重合させた本発明例
(実験番号1〜3)では、ブロック材の切断面に空孔が
見られないのに対して、最大硬化発熱温度が高く、160
℃を越え、しかも反応物の冷却速度を制御していない比
較例(実験番号4〜6)の場合には多数の空孔ができる
ことが分る。従来、ノルボルネン系モノマーを用いたRI
M法においては、金型を加熱してから反応原液を注入し
ていたが、肉厚成形品を対象とした場合であって、冷却
速度を制御していない場合には、満足な素材は得られな
い(実験番号6)。
実施例2 反応原液のポットライフの長さと丸棒状ブロック材の大
きさ(直径)との関連で空孔の発生の有無を検討するた
めに、n−プロパノールの添加量を49.3ミリモル濃度に
すること以外は実施例1と全く同様にして各種直径の丸
棒状ブロック材を得た。反応原液のポットライフは、25
℃で1時間以上であった。型枠の形状および型枠の熱除
去条件は第2表に示すとおりであった。
また、各ブロック材のTgは145〜150℃、熱天秤法での加
熱減量分は2〜3%、示差熱分析での発火点は120℃以
上であった。
第2表に示す結果から、ポットライフを長くすると、発
熱開始時間が長くなるため生産性がやや悪くなるけれど
も、より大きな径のブロック材が空孔を生じることなく
得られることがわかる。
実施例3 DCPにフェノール系の酸化防止剤であるイルガノックス2
59を2%溶解させ、これを2つの容器に入れ、一方には
DCPに対しDEACを33ミリモル濃度、n−プロパノールを4
2.9ミリモル濃度、四塩化ケイ素を20ミリモル濃度にな
るように添加した。他方には、DCPに対しトリ(トリデ
シル)アンモニウムモリブデートを4ミリモル濃度にな
るように添加した。
両反応液を1:1の比率で混合し、内径100mmφ、高さ800m
mを有する、水温18℃に保ったジャケット付スチール型
枠内に注入した。注入後、約20分後に硬化が始まり、そ
の後15分後に型枠をはずし、100mmφ×800mmの丸棒状の
加工用素材(丸棒ブロック材)を得た。これらの一連の
操作は窒素雰囲気下で行なった。
このようにして得た加工用素材の一部をサンプリング
し、ガラス転移点(Tg)、発火点、吸水率(JIS K691
1)、加熱減量を測定したところ、Tgは150℃で、発火点
は140℃、吸水率は0.05%(24時間)、加熱減量は2.3%
であった。
ここで発火点の測定方法は次のとおりである。加工用素
材の一部をサンプリングし、凍結粉砕し、100メッシュ
以下の微粉状としたものをアルミ皿上に10mg取り、高圧
示差熱分析装置により発火点を測定した。測定条件は、
酸素圧10Kg/cm2、昇温速度20℃/分である。
次いで、丸棒ブロック材を施盤を用いて切削加工し、樹
脂ロールを製作した。
施盤(ワシノ機械(株)のLEO−100(A)型)は、回転
数750回/分、送り速度0.025mm/RPM、切り込み0.020mm
の切削条件でバイト(G2 32−4型)切削を行なった。
樹脂ロールの形状は、外形90mm、長さ800mmであった。
切削加工に関し、発火性、切削性および成形品の仕上が
り状態を評価したところ、切削時に発火はなく、しかも
摩擦熱による溶融をなくスムーズに切削することがで
き、また、切削時に臭気の発生もなかった。そして、成
形品の仕上げ面は良好で光沢のあるものであった。ま
た、成形品は、吸水率が小さく寸法安定性の良好なもの
であった。
ところで、市販の切削用素材であるポリカーボネート
(PC)や超高分子量ポリエチレン(PE)を同様に切削す
ると、素材そのもの及び切削屑が溶融し、平滑な光沢の
ある仕上げにはならなかった。
比較例1 酸化防止剤イルガノックス259を用いないこと以外は、
実施例3と全く同様にして丸棒状ブロック材を得、同様
に切削加工して樹脂ロールを作成した。評価の結果を第
3表に示す。
実施例4〜5 第3表に示すモノマー組成を用い、実施例3と同様にし
て丸棒状ブロック材を得た。実施例3〜5で得られたブ
ロック材の物性、切削性および製品の仕上がり状態を第
3表に示す。比較のために、市販のポリカーボネート
(PC)および超高分子量ポリエチレン(PE)についての
切削性の評価を行ない、その結果を第3表に示した。
第3表から明らかなように、本発明の切削成形品は、Tg
が高く耐熱性に優れていると共に吸水率が低く、かつ、
比重も小さく軽量であることが分る。さらに、発火点が
高く、切削性や仕上がり状態も良好である。
実施例6〜11 第4表に示すように、酸化防止剤の種類と配合割合を変
える以外は実施例3と同様にして丸棒状ブロック材を
得、さらに実施例3と同様にして樹脂ロールを作成し
た。得られたブロック材の発火点は第4表に示すとおり
であり、切削屑の自然発火はいずれも認められなかっ
た。また切削性、製品の仕上がり状態についても実施例
3とほぼ同等の結果が得られた。
なお、第4表中、使用した酸化防止剤は以下のとおりで
ある。
(注)−1:チバガイギー社製フェノール系酸化防止剤 (注)−2:川口化学(株)社製フェノール系酸化防止剤 (注)−3:エチルコーポレーション社製フェノール系酸
化防止剤 (注)−4:チバガイギー社製フェノール系酸化防止剤 (注)−5:川口化学(株)社製リン系酸化防止剤トリ
(ノニルフェニル)フォスファイト (注)−6:精工化学(株)社製アミン系酸化防止剤ジ−
アルキル−ジフェニルアミン 実施例12 モノマーとして、DCP70%とシクロペンタジエン三量体
(非対称型約80%と対称型約20%の混合物)30%のモノ
マー混合物を用い、モノマー中にSIS(日本ゼオン社
製、クインクック3420)を1%添加した以外は、実施例
3と同様にして丸棒状のブロック材を得た。このブロッ
ク材のTgは、187℃であった。
このようにして得た切削加工用素材を用いて、ステンレ
スSUS 304からなる素材と、切削性についての比較を行
なった。
切削条件および切削性の評価について第5表に示す。
第5表から明らかなように、本発明の切削加工用素材
は、ステンレスとほぼ同精度で切削ができ、切削性に優
れている。
発明の効果 本発明により吸水性が小さくて寸法安定性が良好な熱硬
化型切削加工用素材を得ることができ、この素材を切削
加工することにより、切削成形品を、切削時の着色や変
形がなく、かつ、切削時およびその切削屑の発火のおそ
れなしに製造することができる。また、本発明の切削加
工用素材は、切削性に優れていると共に軽量で、耐熱性
に優れている。さらに、本発明においては、RIM法を用
いているため大型の成形品を製造することができる。こ
のように本発明の切削加工用素材および切削成形品は、
従来品に比較して優れた効果を奏し得たものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石丸 喜晴 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 日 本ゼオン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−83522(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】三環体以上のノルボルネン系モノマーを酸
    化防止剤の存在下に塊状開環重合して得られる発火点が
    120℃以上であり、かつ、ガラス転移温度が80℃以上で
    ある実質的に空孔を有しない熱硬化型切削加工用素材。
  2. 【請求項2】請求項1記載の熱硬化型切削加工用素材を
    切削加工して成る切削成形品。
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