JPH07907B2 - 水栓バルブ部材及びその製造方法 - Google Patents

水栓バルブ部材及びその製造方法

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JPH07907B2
JPH07907B2 JP3273436A JP27343691A JPH07907B2 JP H07907 B2 JPH07907 B2 JP H07907B2 JP 3273436 A JP3273436 A JP 3273436A JP 27343691 A JP27343691 A JP 27343691A JP H07907 B2 JPH07907 B2 JP H07907B2
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film
valve
faucet
water
sliding surface
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JP3273436A
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原 徳 仁 藤
倉 末代史 大
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Daido Steel Co Ltd
TYK Corp
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Daido Steel Co Ltd
TYK Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、良好な摺動性の維持
を長期間にわたりなしうる水栓バルブ部材と、その製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水栓バルブに於いて、近年その耐摩耗性
に優れることや熱による歪の少ないこと、化学的耐蝕性
に優れることなどから、ファインセラミックス,わけて
も安価に製造できるアルミナを主体にしたバルブが急速
に普及してきている。このようなバルブには、湯または
水を単独に給,止水のできるものや、1つのバルブで
湯,水を混合して使用するものなどがある。そしてこれ
らのバルブの摺動面は、水洩れを起こさぬ様に、通常、
鏡面状態に仕上げられ、且つ、操作性の改善のためにシ
リコンを主成分としたグリースが塗布されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、水栓バルブが
セラミックス化されたことにより大きな問題もまた発生
してきた。前記した如く、セラミックスバルブの摺動面
にはシリコンを主成分としたグリースが塗布されてい
る。
【0004】このグリースの役割は、そもそもセラミッ
クスのみで構成をされグリースの塗布されていないバル
ブに於いては、リンキング現象またはジャンピング現象
と呼ばれるいわゆるバルブが固着する現象がおこり、操
作時にキシミ音をたてたり、または操作トルクが著しく
上昇するなどの現象がおこり、ひどい場合には固着して
摺動不能になるといった現象を生ずるもので、これら現
象防止のためになされている。
【0005】しかし、摺動面にグリースを塗布しても、
水又は湯の吐水時にグリースが同時に流出してしまい、
先に述べた諸問題が頻発し、水栓バルブのメーカーにと
ってはそれがクレームとなり対応を迫られている。こう
した、欠点の解決に関し、例えばグリースを長期に亘り
維持できるようにグリース溜りを設けたり、バルブの形
状を工夫するなどの改善がなされているが、通常これら
のバルブは、水洩れ防止のために200Kg・cm以上
の締付トルクで圧着されており、グリース流出後、その
間隙にグリースを供給することはむつかしく、未だ有効
な対策のないのが実情である。
【0006】こうした、従来バルブのもつ欠点に対し、
ダイヤモンド状炭素膜(以後i−Cと略記する)を、バ
ルブの摺動面の表面に設けることにより、従来使用して
いたグリースを不要な状態で解決することに成功した。
【0007】しかし、水栓バルブとしての使用時、主と
して水洩れ防止のために固定側ディスク、可動側ディス
クを強く圧して使用したり、また水道水中に混入してい
る砂などの異物が膜を損傷する恐れがあり、セラミック
スバルブとi−C膜との密着強度の向上が求められると
ころとなっている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は優れた潤滑性,
優れた耐摩耗性を有するi−Cをセラミックスバルブ表
面により強固に密着させるようにした水栓バルブ部材の
発明とその製造方法の発明に関するものである。
【0009】即ち、この発明の水栓バルブ部材は、湯ま
たは水あるいは両者の水栓を構成するセラミックス製の
バルブの摺動面において、摺動面を構成する2面のうち
のいずれか一方または両方の面に、ダイヤモンド状炭素
膜(別名i−Carbon)の薄膜を、金属またはその
炭化物,窒化物,炭窒化物から選ばれる少なくとも1種
類以上の薄膜を介在して設けてなることを特徴とするも
のである。またこの発明の水栓バルブ部材の製造方法
は、水栓を構成するセラミックスバルブ表面に、先ず金
属またはその炭化物あるいは窒化物若しくはその炭窒化
物から選ばれる少なくとも1種類以上の薄膜を気相蒸着
などの手段により少なくとも一層以上形成してこれを傾
斜膜とし、その後この傾斜膜の上にダイヤモンド状炭素
膜(別名i−Carbon)の薄膜を形成することを特
徴とするものである。
【0010】一般に、セラミックスバルブ表面に、目的
とする薄膜を気相蒸着させるにあたり、蒸着温度が高
く、セラミックスバルブと薄膜との熱膨張差、薄膜がそ
れ故にうける内部歪が主要な原因となって密着が阻害さ
れる。本発明は、これらの薄膜とセラミックスバルブの
間に歪の吸収材としての傾斜膜を設けることで、上記の
欠点を解決するものである。
【0011】傾斜膜を形成する方法として、気相による
蒸着法,メッキ法,メタライジング法などがあるが、好
ましくは、薄い膜が形成でき、しかも低温での蒸着が可
能なスパッタ法が好ましい。また、傾斜膜として金属の
薄膜を用いる場合は耐蝕性の大きいTiなどが好まし
い。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例により、詳しく説明す
る。図1,及び図2に示した水栓のセラミックバルブ
1,2をアルミナ含有量92%,残部がSiO2,Mg
O,TiO2で構成をされた材料で作製した。(以後、
図1の(A)の形状のセラミックバルブ1を「固定
側」、図1の(B)の形状のセラミックバルブ2を「可
動側」と呼ぶ)作製後、摺動面をダイヤモンド砥粒を用
いて、ラップ盤にて研磨仕上げを行い、鏡面に研磨し
た。
【0013】このアルミナ製バルブの摺動面に、ダイヤ
モンド状炭素膜を生成させるが生成法としては、CVD
(Chemical Vapor Deposition)法とPVD(Physical V
aporDeposition)法に大別されるが、今回は、PVD法
の1種であるマグネトロンスパッタ法により、実施し
た。
【0014】上記、処理品としてのアルミナ製バルブを
真空チャンバーにセットした後、5×10-5mbarまで、
真空排気した。次にキャンバー内にアルゴンガスを導入
し、圧力を1×10-2mbarにほぼ一定に保ち、接地された
真空チャンバーに対し、処理品に13.56MHZの高
周波を出力2000Wでかけて生成されたアルゴンプラ
ズマ中のアルゴンイオンによるボンバードを10分間実
施し、クリーニングを実施した。
【0015】次に、マグネトロンカソードを直流電源に
接続し、直流放電をさせ、カソード表面に取り付けたチ
タンターゲットをスパッタさせた。放電ガスとしては、
アルゴンガスを5×10-3mbarの圧力になるよう導入
し、反応性ガスとして窒素とアセチレンを使用した。処
理品をイオンでボンハードしながら、膜を堆積するため
にこの間には、250〜350W高周波を、処理品にか
けておいた。反応性ガスの窒素とアセチレンは、膜構成
が処理品基材側から、金属チタン〜TiN〜TiCN〜
TiCの、いわゆる傾斜膜となるように流量を調整変化
させた。
【0016】最後に窒素流量をゼロとし、アセチレンの
流量を増大させ、圧力7.5×10-3mbarの状態にする
とチタンターゲットの表面は、グラファイトやダイヤモ
ンド状炭素膜で完全に覆われた状態となり、この状態を
維持することによって、処理品上にダイヤモンド状炭素
膜を堆積させた。膜厚みは全厚み1.5μmであり、傾
斜膜が0.5μmダイヤモンド状炭素膜が1.0μmで
あり、堆積時間は35分であった。
【0017】なお図1の(A)の固定側セラミックバル
ブ1及び図1の(B)の可動側セラミックバルブ2にお
いて、1a,2aは摺動面、3は水流入口、4は湯流入
口、5は吐水口、6は湯水混合水の通路である。
【0018】上記の方法で作製したバルブの摺動面に、
引っ張りせん断強度80Kgf/cm2のエポキシ系接
着剤を塗布し、下記表1に示す組み合わせにて引っ張り
試験を行った。(なお表1に於いてi−Cは、摺動面表
面にi−C膜を設けたもの、Al23とは、i−C膜を
設けなかったものを指す。)
【0019】
【表1】
【0020】比較例は、セラミックスバルブの摺動面表
面に直接i−C膜を形成したものであり、実施例1,2
は本発明によりi−C膜を形成したものである。比較例
に示すように、直接i−C膜をバルブ表面に形成したも
のは、32Kgf/cm2の強度しか示さず、破断はi−
C膜より起こっている。
【0021】これに対し、本方法で形成したi−C膜の
場合には、破断はエポキシ樹脂部よりなされており、引
っ張りせん断強度は90Kgf/cm2以上と結論づける
ことができる。
【0022】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明によれば、金属
製あるいはセラミックス製バルブに金属又はその炭化物
又はその窒化物又はその炭窒化物より選ばれる少なくと
も1種以上の薄膜を傾斜膜として設け、更にその上にi
−C膜を形成することにより、i−C膜のセラミックス
製バルブに対する密着力の向上を著しく高めるものであ
る。本方法により、バルブの摺動面にi−C膜を密着力
よく形成でき、苛酷な使用条件下に於いても、グリース
が不要で長寿命の水栓バルブを製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】の(A)固定側セラミックバルブの説明斜視図
である。
【図1】の(B)可動側セラミックバルブの説明斜視図
である。
【図2】水栓の分解説明図である。
【図3】本発明方法に係る水栓バルブ部材の拡大した一
部の縦断面図である。
【符号の説明】
1 バルブ 2 バルブ 1a 摺動面 2a 摺動面 3 水流入口 4 湯流入口 5 吐水口 6 湯水混合水通路 7 下ぶた 8 蛇口 9 湯流入用配管 10 水流入用配管 11 ゴムパッキン 12 バルブ装着プラスチックケース 13 化粧ぶた 14 操作レバー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湯または水あるいは両者の水栓を構成す
    るセラミックス製又は金属製のバルブの摺動面に於い
    て、摺動面を構成する2面のうちのいずれか一方または
    両方の面に、ダイヤモンド状炭素膜(別名i−Carb
    on)の薄膜を、金属またはその炭化物,窒化物,炭窒
    化物から選ばれる少なくとも1種類以上の薄膜を介在し
    て設けてなることを特徴とする水栓バルブ部材。
  2. 【請求項2】 水栓を構成するセラミックスバルブ表面
    に、先ず金属またはその炭化物あるいはその窒化物若し
    くはその炭窒化物から選ばれる少なくとも1種類以上の
    薄膜を気相蒸着などの手段により少なくとも一層以上形
    成してこれを傾斜膜とし、その後この傾斜膜の上にダイ
    ヤモンド状炭素膜(別名i−Carbon)の薄膜を形
    成することを特徴とする水栓バルブ部材の製造方法。
JP3273436A 1991-09-24 1991-09-24 水栓バルブ部材及びその製造方法 Expired - Lifetime JPH07907B2 (ja)

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JPH08210521A (ja) * 1995-01-31 1996-08-20 Kyocera Corp 摺動装置及びフォーセットバルブ

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