JPH0790629A - 耐食性Al基合金用エッチング剤および該エッチング剤を用いた薄膜状電極または薄膜状配線の形成法 - Google Patents

耐食性Al基合金用エッチング剤および該エッチング剤を用いた薄膜状電極または薄膜状配線の形成法

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JPH0790629A
JPH0790629A JP18525493A JP18525493A JPH0790629A JP H0790629 A JPH0790629 A JP H0790629A JP 18525493 A JP18525493 A JP 18525493A JP 18525493 A JP18525493 A JP 18525493A JP H0790629 A JPH0790629 A JP H0790629A
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corrosion
etching
resistant
thin film
based alloy
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JP18525493A
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English (en)
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Takashi Onishi
隆 大西
Eiji Iwamura
栄治 岩村
Masatake Yamamoto
正剛 山本
Katsuhisa Takagi
勝寿 高木
Kazuo Yoshikawa
一男 吉川
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ふっ化物塩を無機酸(特に好ましくはりん
酸)水溶液に含有させたもの、または強アルカリ水溶液
に過酸化水素を含有させたものからなる耐食性Al基合
金用のエッチング剤、並びに該エッチング液を使用し、
たとえばLCDパネル等の基材上に耐食性Al基合金製
の薄膜電極または配線を形成する方法を提供する。 【効果】 このエッチング剤を使用すると、様々の耐食
性Al基合金を効率よくエッチングすることができ、ま
たこのエッチング剤を用いることにより、それら耐食性
Al基合金よりなる薄膜状電極もしくは薄膜状配線を高
精度で効率よくエッチング形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性Al基合金用の
エッチング剤および該エッチング剤を用いた薄膜状電極
または薄膜状配線の形成法に関し、このエッチング剤
は、たとえばアクティブマトリックス型あるいは単純マ
トリックス型等の液晶ディスプレイ(Liquid Crystal D
isplay: 以下、LCDと略記する)のパネルに、スイッ
チング部のゲート、ソース、ドレイン電極、ゲート信号
用行電極配線、データ信号用列電極配線等の薄膜状電極
もしくは薄膜状配線パターンを、耐食性Al基合金より
なる薄膜からウエットエッチング法によって薄膜状電極
もしくは薄膜状配線を効率よく形成し、高性能のLCD
を製造する方法などとして有効に活用することができ
る。
【0002】以下、本明細書においては、LCDパネル
に耐食性Al基合金よりなる薄膜状の電極もしくは配線
を形成する場合を主体にして説明を進めるが、本発明は
もとよりこれに限定されるものではなく、耐食性Al基
合金からなるたとえば半導体装置における薄膜状電極も
しくは薄膜状配線の形成、あるいは固体撮影装置等の遮
光薄膜や光磁気ディスク等の光学記録媒体の反射膜等に
おける不要部のエッチング除去の如く、耐食性Al基合
金からなる様々の素材もしくは部材のエッチングに広く
活用することができる。
【0003】
【従来の技術】LCDの構造は用途によって多種多様で
あり、薄膜状電極/配線の素材も機種等によって様々の
ものが使用されている。ところで、初期のLCDとして
は、電極/配線膜として耐熱性に優れた高融点金属(T
i,Cr,Moなど)が使用されてきたが、これらの高
融点金属膜は比抵抗が大きく(約50μΩcm)、これ
らの膜を電極/配線材として使用すると、ゲート信号や
データ信号の応答速度が長くなる(ゲートバスラインの
遅延時間が増大する)という問題が生じてくる。
【0004】近年におけるLCDは益々大型化、高精度
化する傾向にあり、大型化による配線長さの増大はゲー
トバスラインの遅延時間を更に増加させ、ディスプレイ
の高精度化を阻害するので、こうした問題に対処するた
め、最近では高融点金属配線膜に代えて比抵抗の小さい
Al系の電極/配線膜が検討されている。
【0005】ところがAlは、比抵抗が小さいという利
点を有している反面、低融点であるため耐熱性が乏し
く、Al単体で電極や配線を形成すると配線の表面また
は側面にヒロックと呼ばれる半球状またはヒゲ状の突起
物が生成し、これらが配線間のショート(短絡)を引き
起こす原因になるので、Al単体では電極/配線材料と
しての適性を欠く。但し、Alに適当な合金元素を添加
し合金化して耐熱性を高めてやれば、ヒロックの問題を
改善し得ることが確認されている。中でも、AlにV,
Nb,Ta等の1種もしくは2種以上を添加したAl基
合金は優れた耐熱性を有しており、LCD電極/配線材
料として有効に活用し得ることが確認されている。
【0006】ところで、Alに添加されるV,Nb,T
a等の量は、適正な比抵抗と耐熱性を確保することの必
要上、それらの含有量を総量で0.1〜5at%程度と
することが好ましいとされているが、これら添加元素の
耐食性(特に酸に対する耐食性)は非常に優れたもので
あるから、通常のAl系電極/配線材に使用されるりん
酸系エッチング液を用いてウエットエッチングを行なう
と、上記添加元素が未溶解のままで残り、基盤上全面に
乳濁状の酸化物(V25,Nb25 ,Ta25 等)
として残存してLCDパネルの透光率を低下させ、高精
度化の大きな障害となる。
【0007】尚、上記ではLCDパネル用として有用な
耐食性Al基合金の一例としてV,Nb,Taを含有す
るものを示したが、含有される合金元素の種類は耐食性
Al基合金の用途によって様々であり、かかる合金元素
としては、上記の他IV族〜VIII族に属する様々の遷移元
素や希土類元素、たとえばTi,Zr,Hf,Cr,M
o,Mn,Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Ir,Y,
La,Nd,Gd,Tb,Dy等が挙げられ、これらの
1種もしくは2種以上を含有する様々の耐食性Al基合
金が例示される。これら合金元素の好ましい含有率も用
途や要求特性によって様々であるが、一般的にはAlに
対して0.1〜10at%の範囲から選ばれる。そし
て、これらの合金元素を含む耐食性Al基合金について
も、これらを通常のエッチング剤でエッチング使用とす
ると、該合金元素が本来有している優れた耐食性に起因
して、前記と同様のエッチング不良の問題が発生してく
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題点に着目してなされたものであって、その目的は、た
とえばLCD電極/配線膜素材を始めとする様々の用途
に耐食性Al基合金を使用する際に、パターン形成等の
ためのウエットエッチングプロセスで不溶性残渣を生じ
させることなく、高精度のエッチング処理を行うことが
できる様なエッチング剤を提供しようとするものであ
る。また本発明の他の目的は、その様なエッチング剤を
用いて、耐食性Al基合金よりなる薄膜状の電極/配線
を効率よく形成することのできる方法を提供しようとす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係るエッチング剤の構成は、ふっ化物
塩を無機酸(特に好ましくはりん酸)水溶液に含有させ
たものであるところに要旨を有するものである。このと
き、無機酸に含有させるふっ化物塩の好ましい量は0.
0001モル濃度(M)以上である。また本発明の目的
は、強アルカリ水溶液に過酸化水素を好ましくは0.0
5M以上含有させたエッチング剤によっても達成され
る。このエッチング剤が適用される耐食性Al基合金の
種類は特に限定されず、たとえばIV〜VIII族の遷移元素
や希土類元素(Yを含む)の1種若しくは2種以上を合
金元素として含む様々の耐食性Al基合金のエッチング
に適用することができる。
【0010】そしてこのエッチング剤は、たとえばLC
Dパネル等の基材上に耐食性Al基合金製の薄膜を形成
する工程と、該薄膜をウエットエッチングによりパター
ニングして薄膜状電極または薄膜状配線を形成する工程
を含む薄膜状電極または薄膜状配線の形成法において、
上記のエッチング液を使用することにより、高精度の薄
膜状電極/配線を容易に形成することができる。
【0011】
【作用】上記の様に本発明では、エッチング剤の構成
を、無機酸(特に好ましくはりん酸)水溶液にふっ化物
塩を好ましくは0.0001M以上含有させ、もしく
は、強アルカリ水溶液に過酸化水素を好ましくは0.0
5M以上含有させた構成とすることにより、種々の合金
元素を含有する耐食性Al基合金に対して非常に優れた
エッチング効果を示すエッチング剤を提供するものであ
る。以下、LCDパネルへの薄膜状電極もしくは薄膜状
配線材料として有効なAl基合金であるAl−(V,N
b,Ti)のウエットエッチングに使用する場合を代表
的に取り上げて説明を進める。
【0012】前述の如く本発明では、耐食性Al基合金
からなる例えばLCD電極/配線膜を、ウエットエッチ
ング法によってパターニングする場合等に有効に用いら
れるエッチング液を提供するものであり、具体的には、
エッチング剤の構成を無機酸を主成分とするふっ化物塩
含有酸性液もしくは強アルカリ水溶液を主成分とする過
酸化水素含有強アルカリ性水溶液からなるものとし、そ
れにより、Al基合金中の耐食性元素であるV,Nb,
Taなどの溶出を促がし、それにより耐食性元素の残存
によるパネル表面の乳濁現象をなくし、高精度のパター
ニングを実現できる様にしたものである。以下、本発明
でエッチング液として使用するふっ化塩含有酸性液およ
び過酸化水素含有強アルカリ水溶液について夫々詳述す
る。
【0013】(ふっ化塩含有酸性水溶液エッチング液)
酸性エッチング液としては、塩酸、硫酸、硝酸、りん酸
等の無機酸をベースとするエッチング液が考えられる
が、これら無機酸の中でも特に好ましいのは、りん酸を
主成分とするエッチング液である。その理由は、塩酸、
硫酸、硝酸を主成分とするものでは、夫々単体として使
用した場合はもとより混酸として使用した場合でもエッ
チングレートが遅く、LCDパネルなどの生産性を考慮
すると実用に不向きであり、しかもエッチングに長時間
を要することから、エッチング中にレジスト剥離が生じ
易くなるからである。従って本発明では、りん酸を主成
分とする酸性液が好ましく、中でも特に好ましいのは、
りん酸をベースとし少量の硝酸を添加した酸性水溶液
あるいは、配線の断面形状をコントロールするため、
りん酸をベースとし、これに酢酸と少量の硝酸を添加し
た酸性水溶液である。
【0014】しかしながらりん酸をベースにした前述の
エッチング液は、Alに対するエッチングレートは速い
ものの、V、Nb、Ta等の耐食性合金元素に対するエ
ッチングレートが遅く、そのためエッチングが進むにつ
れてAl基合金膜中のV,Nb,Taなどの濃化が進
み、最終的に(Alのエッチングが完了した時点で)そ
れらの元素が不溶物として残存し、前述の様な酸化物と
なってLCDパネル面に乳濁状の残渣を生じさせる。
【0015】そこでこうした問題を解消するには、耐食
性合金元素に対するエッチングレートを速くしてやる必
要があり、このための手段として本発明では、ふっ化物
塩を含有させることとしている。ちなみにふっ化物塩
は、V,Nb,Ta等の合金元素に対し錯化剤(錯イオ
ン形成剤)として作用し、V,Nb,Taなどは夫々V
7 2- ,NbF7 2-,TaF7 2- 等の形で溶解し易くな
り、不溶物として残存することがなくなる。そしてこう
したふっ化物塩の添加効果を有効に発揮させるには、エ
ッチング液中におけるふっ化物塩の含有量を0.000
1M(モル濃度)以上にすることが望まれる。
【0016】尚、F- (ふっ素イオン)によるV,N
b,Ta等の錯化現象を利用するという観点からする
と、エッチング液中にHF(ふっ化水素酸)単体水溶液
を含有させることも考えられる。ところがこの様なエッ
チング液では、V,Nb,Ta等の残留物(酸化物)を
除去することのできるエッチング液組成において、LC
Dパネル基板であるガラス基板(バリウム硼珪酸ガラス
等)までも侵食してしまうため、エッチング液としては
適性を欠く。
【0017】(過酸化水素含有強アルカリ性エッチング
液)Alは両性金属であり、酸性、塩基性いずれの水溶
液を使用してもエッチングは可能である。しかしながら
V,Nb,Ta等の耐食性合金元素を添加した耐食性A
l基合金では、それらの合金元素がエッチング中に強固
な酸化膜を形成するため、無機酸を用いた前記酸性エッ
チング液の場合と同様にV,Nb,Ta等に対するエッ
チングレートが遅くなり、LCDパネル面に乳濁状の残
渣を生じさせる。
【0018】また塩基性エッチング液では、電極/配線
膜をパターニングする際にマスクとして使用されている
フォトレジスト(ノボラック系樹脂等)が溶解してしま
う。そのため塩基性エッチング液を使用する場合は、エ
ッチング時の残渣除去と、フォトレジストの溶解防止の
双方を考慮する必要があり、従って塩基性エッチング液
に中性のふっ化物塩を添加しても、上記の目的を果たす
ことはできない。
【0019】ところが、強アルカリ性エッチング液に過
酸化水素を含有させると、エッチング時の残渣除去と、
フォトレジストの溶解防止の両目的を見事に達成できる
ことが分かった。そして、こうした過酸化水素の効果を
再現性よく有効に生かすには、過酸化水素を0.05M
以上、より好ましくは0.09M以上、更に好ましくは
0.4M以上含有させることが望ましい。
【0020】この様に本発明では、エッチング液として
ふっ化物塩含有酸性水溶液もしくは過酸化水素含有強ア
ルカリ性水溶液を使用することによって、耐食性の合金
元素であるV,Nb,Ta等を含む耐食性Al基合金よ
りなるLCD電極/配線薄膜等を用いた場合でも、不溶
物残渣の残存による透明性の低下や基板ガラスの侵食、
マスキング用レジストの剥離といった問題を生じること
なく、高精度のパターニングを効率よく遂行し得ること
になった。
【0021】尚上記では、本発明の代表例としてLCD
パネルに耐食性Al基合金よりなる薄膜状の電極もしく
は配線をウエットエッチングによって形成する場合を主
体にして説明したが、本発明はもとよりこれに限定され
るものではなく、例えば、IV〜IIIV族の遷移元素(例え
ばTi,Zr,Hf,V,Nb,Cr,Mo,Mn,F
e,Co,Ni,Ru,Rh,Ir等)および希土類元
素(例えばY,La,Ce,Pr,Nd,Gd,Dy,
Td,Er,Yb等)よりなる群から選択される1種も
しくは2種以上を0.1〜10at%程度含有する耐食
性Al基合金を素材として、下記の様な用途に用いる耐
食性Al基合金用のエッチング剤、或は該エッチング剤
を用いた耐食性Al基合金製薄膜状電極もしくは薄膜状
配線の形成法として有効に活用することができる。
【0022】(1) 半導体装置における耐食性Al基合金
の為のエッチング剤、および該エッチング剤を用いたA
l基合金製薄膜状電極もしくは薄膜状配線のエッチング
形成。 (2) 液晶表示パネルまたは固体撮像装置等における遮光
性Al基合金膜の不要部のエッチング除去、あるいは、
例えば格子状Al基合金薄膜のエッチング形成。 (3) 光ディスク、光磁気ディスク等の光学式記録媒体の
主要部を構成する基板上に、例えば格子状に形成される
耐食性Al基合金製反射膜のエッチング形成。
【0023】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明の構
成および作用効果をより具体的に説明するが、本発明は
もとより下記実施例によって制限を受けるものではな
く、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加え
て実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本
発明の技術的範囲に含まれる。
【0024】比較例1 合金元素としてV,Nb,Taを夫々5at%含有する
耐食性Al基合金をターゲットとして使用し、D.C.
マグネトロンスパッタ法により、厚さ0.5mmのバリ
ウム硼珪酸ガラス基板(コーニング社製、#7059ガ
ラス)上に厚さ3000ÅのAl基合金薄膜を形成し
た。この薄膜表面に、フォトリソグラフィーによってポ
ジ型フォトレジスト(ノボラック系樹脂)を幅10μm
のストライプ状に形成した後、表面積が5cm2 となる
様に切断してウエットエッチング用試料とした。表1に
示す組成のエッチング液各50mlを用いて、液温約4
0℃でウエットエッチングを行ない、エッチングレート
を測定すると共に、エッチング中のレジスト剥離の有無
を観察した。ここでエッチングレートは、試料のエッチ
ング開始から終了までに要した時間で試料膜厚を除した
値とした。
【0025】
【表1】
【0026】結果は表1に示す通りであり、各エッチン
グ液のうちNo.1,2を用いたものでは、耐食性金属
が不溶物として残り、エッチング面に酸化物として乳濁
状の残渣が認められ、またNo.3,6,7,8はエッ
チングレートが遅いため、LCDパネルの生産性を考慮
すると実用性を欠く。またNo.3,4,5では、エッ
チング中にレジストの剥離が生じるため使用できない。
尚こうした傾向は、Al基合金としてAl−5%V,A
l−5%Nb,Al−5%Taよりなるいずれの耐食性
Al基合金膜をウエットエッチングする場合にも殆んど
変わらなかった。
【0027】実施例1 上記比較例1と同様にしてAl−5at%V,Al−5
at%Nb,Al−5at%Taの耐食性Al基合金薄
膜を形成し、この薄膜を夫々その表面積が5cm2 とな
る様に切断してウエットエッチング用試料とした。次い
で、前記表1に示したNo.1のH3 PO4 −HNO3
−H2 O系エッチング液をベースとし、これにNH4
またはKFを種々の濃度となる様に添加したもの(各5
0ml)をエッチング液としてウエットエッチングを行
ない、ウェットエッチングを終了した試料について残渣
発生の有無を調べた。尚残渣発生の有無は目視判定によ
り行なう他、波長400nmの可視光透過率をブランク
のバリウム硼珪酸ガラスの透過率(これを100%とす
る)と比較することにより評価した。図1に、H3 PO
4 −HNO3 −H2 O系エッチング液中のNH4 F濃度
とウエットエッチング終了後の試料の透過率及びエッチ
ングレートの関係を示す。また図2には、H3 PO4
HNO3 −H2 O系エッチング液中のKF濃度とウエッ
トエッチング終了後の試料の透過率及びエッチングレー
トの関係を示す。
【0028】図1,2からも明らかである様に、3種の
Al基合金薄膜試料はいずれもH3PO4 −HNO3
2 O系エッチング液中のふっ化物塩濃度が0.000
1M以上でほぼ100%の透過率を有しており、残渣の
発生は認められない。一方ふっ化物塩濃度が0.000
1M未満では、濃度が低下するにつれて透過率が低下
し、残渣の発生が顕著に表われてくる。こうした傾向
は、NH4 Fの場合とKFの場合で殆ど変わらない。一
方エッチングレートについては、3種のAl基合金薄膜
試料のいずれもNH4 F濃度が0.01M以上の高濃度
域では濃度の増加につれてエッチングレートの増加が見
られるが、NH4 F濃度が0.01M未満の低濃度域で
はNH4 F濃度にかかわらずエッチングレートは一定で
あり、NH4F無添加のエッチング液と同等のエッチン
グレートが得られる。また、ウエットエッチングを終え
た各試料について、基板のエッチング量(侵食量)を触
針式の段差計によって測定したところ、すべての試料に
おいて基板のエッチングは認められなかった。
【0029】比較例2 前記比較例1と同様にしてAl−5at%TaのAl基
合金薄膜を形成し、この薄膜を表面積が5cm2 となる
様に切断したものを試料とした。この試料について、種
々の濃度のHF水溶液(各50ml)をエッチング液と
して用いてウエットエッチングを行ない、ウエットエッ
チングを終えた試料について、前記比較例1と同様の方
法でエッチングレートを測定すると共に、前記実施例1
と同様の方法で基板のエッチング量(侵食量)を測定し
た。
【0030】図3は、HF水溶液濃度とエッチングレー
トの関係を示したものであり、HF水溶液濃度が低いも
のほどエッチングレートは低くなっている。Al用のエ
ッチング液として従来より汎用されているH3 PO4
HNO3 −H2 O系エッチング液と同程度のエッチング
レート(20Å/sec)を確保するためには、この図
からも明らかである様にHF濃度を0.05M以上にす
る必要がある。一方図4は、各種濃度のHF水溶液を用
いてエッチングした場合の、バリウム硼珪酸ガラス基板
のエッチング量(侵食量)を測定した結果を示したもの
であり、該ガラス基板のエッチングを無視できるレベル
に抑えるには、HF水溶液の濃度を0.01M以下に抑
えなければならない。これら図3,4の結果を見れば明
らかである様に、耐食性Al基合金膜のエッチングレー
ト確保と、ガラス基板のエッチング防止を同時に満たす
ことができるHF水溶液の好適濃度域は存在しないこと
がわかる。
【0031】実施例2 前記比較例1と同様の方法でAl−5at%V,Al−
5at%Nb,Al−5at%Taの各耐食性Al基合
金薄膜を形成し、この薄膜表面に、フォトリソグラフィ
ーによってポジ型フォトレジスト(ノボラック系樹脂)
を幅10μmのストライプ状に形成した後、その表面積
が5cm2 となる様に切断してウエットエッチング用試
料とした。1NのKOH水溶液をベースエッチング液と
し、これにH22 水を種々の濃度となる様に添加した
もの各50mlをエッチング液とした。
【0032】このエッチング液を使用し、室温(25
℃)で上記試料のウエットエッチングを行ない、前記と
同様にしてエッチングレートの測定、レジスト剥離の有
無、残渣発生の有無を評価した。尚H22 水は市販の
試薬原液(H22 を31%含有)を所定量ベースエッ
チング液に添加し、H22 の濃度は、ベースエッチン
グ液に対する該市販の試薬原液の容量百分率で表示し
た。
【0033】その結果、いずれのエッチング液を用いた
場合でも、Al−5at%V,Al−5at%Nb,A
l−5at%Taの全ての合金薄膜試料について残渣の
発生は認められず、またエッチングレートはいずれも約
30Å/secであった。また、レジスト剥離の有無に
ついてはエッチング液中のH22 添加量の違いによっ
て差異が認められた。一例としてAl−5at%Ta合
金薄膜試料をエッチングした場合のエッチング液中のH
22 量とレジスト剥離発生の関係を表2に示す。
【0034】表2からも明らかである様に、H22
が0.05M以上のエッチング液ではレジスト剥離が発
生せず、良好なエッチングを行なえることが分かる。
尚、こうしたレジスト剥離の傾向は、Al−5at%V
やAl−5at%Nb合金薄膜を用いた場合もほぼ同様
であった。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、ふ
っ化物塩を含有する無機酸水溶液もしくは過酸化水素を
含有する強アルカリ性水溶液をエッチング剤として使用
することによって、様々の耐食性Al基合金を効率よく
エッチングすることができ、またこのエッチング剤を用
いることにより、それら耐食性Al基合金よりなる薄膜
状電極もしくは薄膜状配線を高精度で効率よくエッチン
グ形成し得ることになった。殊に、このエッチング剤
を、耐食性Al基合金薄膜よりなるLCD電極/配線の
ウエットエッチングに利用すると、V,Nb,Ta等の
合金元素に由来する不溶物残渣を生じることなく、且つ
ガラス基板に好ましくない侵食を生じさせることなく、
短時間で高精度のエッチングパターンを効率良く形成す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いたエッチング液のNH4 F濃度
とウエットエッチング後の試料の透過率及びエッチング
レートの関係を示すグラフである。
【図2】実施例1で用いたエッチング液のKF濃度とウ
エットエッチング後の試料の透過率及びエッチングレー
トの関係を示すグラフである。
【図3】比較例2で用いたエッチング液のHF濃度とエ
ッチングレートの関係を示すグラフである。
【図4】比較例2で用いたエッチング液のHF濃度と基
板エッチング量の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 勝寿 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 吉川 一男 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ふっ化物塩を無機酸水溶液に含有させた
    ものであることを特徴とする耐食性Al基合金用エッチ
    ング剤。
  2. 【請求項2】 無機酸がりん酸である請求項1記載の耐
    食性Al基合金用エッチング剤。
  3. 【請求項3】 0.0001モル濃度以上のふっ化物塩
    を含有させたものである請求項1または2記載の耐食性
    Al基合金用エッチング剤。
  4. 【請求項4】 強アルカリ水溶液に過酸化水素を含有さ
    せたものであることを特徴とする耐食性Al基合金用エ
    ッチング剤。
  5. 【請求項5】 0.05モル濃度以上の過酸化水素を含
    有させたものである請求項4記載の耐食性Al基合金用
    エッチング剤。
  6. 【請求項6】 耐食性Al基合金が、IV〜VIII族の遷移
    元素および希土類元素(Yを含む)よりなる群から選択
    される少なくとも1種を合金元素として含むものである
    請求項1〜5のいずれかに記載の耐食性Al基合金用エ
    ッチング剤。
  7. 【請求項7】 耐食性Al基合金が、V,Nb,Taよ
    りなる群から選択される少なくとも1種を合金元素とし
    て含むものである請求項6記載の耐食性Al基合金用エ
    ッチング剤。
  8. 【請求項8】 基材上に耐食性Al基合金製の薄膜を形
    成する工程と、該薄膜をウエットエッチングによりパタ
    ーニングして薄膜状電極または薄膜状配線を形成する工
    程を含む薄膜状電極または薄膜状配線の形成法におい
    て、ウエットエッチングを行なうためのエッチング液と
    して、請求項1〜7のいずれかに記載のエッチング剤を
    使用することを特徴とする、耐食性Al基合金よりなる
    薄膜状電極または配線の形成法。
  9. 【請求項9】 基材が、液晶ディスプレイのパネルであ
    る請求項8記載の薄膜状電極または薄膜状配線の形成
    法。
JP18525493A 1993-07-20 1993-07-27 耐食性Al基合金用エッチング剤および該エッチング剤を用いた薄膜状電極または薄膜状配線の形成法 Withdrawn JPH0790629A (ja)

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