JPH0787988A - 海洋性微細藻類の培養方法 - Google Patents

海洋性微細藻類の培養方法

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JPH0787988A
JPH0787988A JP5234827A JP23482793A JPH0787988A JP H0787988 A JPH0787988 A JP H0787988A JP 5234827 A JP5234827 A JP 5234827A JP 23482793 A JP23482793 A JP 23482793A JP H0787988 A JPH0787988 A JP H0787988A
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docosahexaenoic acid
culture
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marine microalgae
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JP5234827A
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Kenichi Uehara
原 健 一 上
Tokio Iizuka
塚 時 男 飯
Daizo Takeuchi
内 大 造 武
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ポリオール類を存在させた培地で海洋性微細藻
類を安定して培養し、ドコサヘキサエン酸を製造する方
法の提供。 【構成】海洋性微細藻類に属し、かつ、ドコサヘキサエ
ン酸を産生する能力を有する藻類を培養して増殖させた
藻体よりドコサヘキサエン酸を製造するに際し、培地中
にトリスヒドロキシメチルアミノメタン無添加のポリオ
ール類を有する培地を用いる海洋性微細藻類の培養方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ドコサヘキサエン酸を
産生する能力のある海洋性微細藻類を良好に増殖させド
コサヘキサエン酸の生産性を高める培養方法に関するも
のである。ドコサヘキサエン酸は、近年、コレステロー
ル低下作用、抗血液凝固作用、学習機能向上作用など多
彩な生理作用が報告されている高度不飽和脂肪酸であ
る。
【0002】
【従来の技術】多彩な生理作用が報告されている高度不
飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸について、魚油以
外に起源を求め微生物などに選択的に産生させる検討が
行われてきた。中でも、海洋性微細藻類に属するクリプ
テコディニウム・コーニーを増殖させることによりドコ
サヘキサエン酸を産生させることが検討されている。
【0003】クリプテコディニウム・コーニーなど海洋
性微細藻類の培地は採取する場所により生理的性質が異
なったり、滅菌によって沈殿を形成する海水を基本とし
て、この海水に欠乏しやすい栄養物質を添加した天然培
地よりも、高圧滅菌によっても沈殿を形成せず実験の再
現性も保証される合成培地が好ましい。
【0004】クリプテコディニウム・コーニーの培養に
ついて合成培地を用いたものを幾つか挙げて示すと、R
・ジェームス・ヘンダーソンらによるAXM培地(Ph
ytochemistry,27(6),1679−1
683(1988)参照)や、R・C・タットュルらに
よるMLH培地(Phycologia,14(1),
1−8(1975)参照)が報告されているが、ドコサ
ヘキサエン酸の生産性への効果については触れられてい
ない。
【0005】また、マーテック社による検討では、ドコ
サヘキサエン酸の収量の増大を目的として天然海水また
は人工海水を基本とし、グルコースと酵母エキスを加え
た培地による培養が報告されている(WO91/119
18)が、合成培地の個々の成分が藻体増殖やドコサヘ
キサエン酸蓄積に与える効果については触れられていな
い。
【0006】一方、本発明者らは、特願平04−344
279号で特定の糖類、有機窒素源類、無機塩類および
重金属元素を含有する成分を必須成分とする培地を用い
て、藻類の安定した増殖とドコサヘキサエン酸の高い生
産性を示した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記培
地中にはトリス(トリスヒドロキシメチルアミノメタ
ン)などの緩衝剤を添加することが例示されているが、
高価であり、その成分は工業的規模での大量培養を行な
う場合に大きな問題となる。
【0008】さらに、海洋性微細藻類に属し、かつ、ド
コサヘキサエン酸を産生する能力を有する藻類を、高価
な薬品であるトリスを添加しなくても添加時と同等に増
殖させ、脂質中のドコサヘキサエン酸の含量をさらに高
めるための簡便でかつ有効な培地組成の開発が望まれて
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、これらの問
題点を解決するために鋭意検討した結果、ドコサヘキサ
エン酸を産生する能力を有する海洋性微細藻類を、ポリ
オール類としてグリセロール、マンニトール、ソルビト
ール、サッカロースなどを存在させた培地で培養するこ
とにより、トリスを添加しなくても添加時と同等に藻体
が安定して増殖し、藻体の脂質中のドコサヘキサエン酸
(DHA)の含量が顕著に上昇することを見いだし、本
発明をなすに至った。
【0010】すなわち、本発明は海洋性微細藻類に属
し、かつ、ドコサヘキサエン酸を産生する能力を有する
藻類を安定に増殖させ、その藻体よりドコサヘキサエン
酸を製造するに際し、ポリオール類としてグリセロー
ル、マンニトール、ソルビトール、サッカロースなどを
有する培地で培養する海洋性微細藻類の培養方法を提供
する。そして、海洋性微細藻類が、クリプティコディニ
ウム・コーニー(Crypthecodinium c
ohnii)ATCC30021であるのが好ましい。
また、ポリオール類が、10〜100mMの濃度である
のが好ましい。
【0011】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明において利用される微生物は、海洋
性微細藻類に属し、かつ、ドコサヘキサエン酸を産生す
るものであればいずれでもよく、例えばクリプテコディ
ニウム・コーニー(Crypthecodinium
cohnii)などがある。これらの微生物として、A
TCC(American Type Culture
Collection)などの各種保存機関から入手
できる公知のものも利用することが可能である。具体例
としては、クリプテコディニウム・コーニーATCC3
0021、30543、30556、30571、30
672、30575、50051、50053、500
55、50056、50058、50060等が挙げら
れる。このほか微生物に、例えば、紫外線照射や各種変
異剤による処理等の公知の変異処理を施した変異株の使
用も本発明に包含されるものである。本発明において海
洋性微細藻類の液体振盪培養および液体深部培養による
増殖およびドコサヘキサエン酸の産生に関しては、ポリ
オール類を必須成分として含有することが肝要である。
【0013】本発明において用いられるポリオール類
(多価アルコール類)は、具体的には、グリセロール、
エリスリトール、マンニトール、ソルビトールなどの糖
アルコール類、サッカロース、ラフィノース、テンデロ
ースなどの非還元性糖類が挙げられ、目的に応じて使い
分けることが可能であり、さらにこれらを組み合わせる
ことも可能である。濃度が変化せず、また、栄養分とし
て資化された場合に化学変換により生じ、不純な原因と
なる二次代謝産物が産生されない点から、海洋性微細藻
類が資化できない上述のポリオール類を用いることが好
ましい。本発明において培地に添加するポリオール類
(多価アルコール類)の濃度は、10〜100mM、好
ましくは15〜50mMである。培地中のポリオール類
の濃度が10mM未満では、トリス添加時に比較して、
高い藻体収率が得られず、よってドコサヘキサエン酸を
得ることが不可能である。また、100mMを超える
と、増殖が著しく遅くなったり、藻体の産生する脂質量
が大きく減少したりして、ドコサヘキサエン酸が減少し
好ましくなく、また、培地粘度の上昇により酸素供給に
悪い影響を与え好ましくない。
【0014】本発明において用いられる培地成分のうち
炭素源としては、例えば、ガラクトース、グルコースな
どの炭水化物、魚油、大豆油などの油脂類、乳酸、酢酸
などの有機酸類、エタノールなどのアルコール類などが
挙げられ、さらにこれらを組み合わせることも可能であ
る。
【0015】窒素源としては例えば、酵母エキス、牛肉
エキス、ペプトン、廃糖蜜、コーンスティープリカー、
α−アミノ酸など有機態窒素や、硝酸カリウム、塩化ア
ンモニウム等の無機態窒素が挙げられ、さらにこれらを
組み合わせることも可能である。
【0016】無機塩類としては、市販の人工海水の濃縮
物を用いることも可能であるが、例えば、塩化ナトリウ
ム、硫酸マグネシウムなどを組み合わせて用いることも
可能である。
【0017】重金属元素を含む成分としては、例えば、
鉄、マンガン、コバルト、亜鉛などの単体、イオン、塩
化物、硫酸塩、硝酸塩など種々の塩が挙げられる。以上
のほか、重金属元素を含む成分の安定化のために例え
ば、ホウ酸やエチレンジアミン四酢酸を用いることも可
能である。
【0018】培地のpHは通常5〜9、好ましくは6〜
8である。
【0019】培養方法としては、静置培養法を用いるこ
とも可能であるが、海洋性微細藻類の藻体生産性と脂質
中のドコサヘキサエン酸の含量を考えると、振盪培養法
または深部通気攪拌培養法による培養が好ましい。振盪
培養および深部通気攪拌培養の方法は、特願平04−0
77189号明細書に記載の通りの方法を用いればよ
い。培養温度としては通常15〜34℃で藻体生産を行
なうことが可能である。
【0020】培養終了後、培養液から藻体を回収する方
法は、一般的な方法、例えば、10℃、8000rp
m、10分間の遠心分離法や濾紙およびガラスフィルタ
ーによる濾過法等により行なうことが可能である。この
ように回収した藻体をそのままか、あるいは凍結乾燥
法、熱風乾燥法などにより乾燥藻体としたのち、ドコサ
ヘキサエン酸を高度に含有する粗脂質を抽出することが
可能である。
【0021】藻体からドコサヘキサエン酸を高度に含有
する粗脂質を抽出する方法としては、Folch法やB
ligh−Dyer法に代表されるクロロホルム/メタ
ノール系等の有機溶媒による一般的な抽出方法を用いる
ことが可能である。
【0022】粗脂質からドコサヘキサエン酸を精製する
方法は、常法に従って行なうことが可能である。例え
ば、粗脂質をNaOHなどでケン化したのち、そのまま
か、あるいは酸またはアルカリ触媒によりアルコールエ
ステルとすることで、カラムクロマトグラフィーまたは
分別、蒸留、超臨界抽出などの方法によって容易に純品
として得ることが可能である。これは藻体中にドコサヘ
キサエン酸と物性の非常に似通った高度不飽和脂肪酸が
同時に含まれていないことによるもので、従来の魚油な
どからの精製に比較して非常に簡便で効率良くドコサヘ
キサエン酸を得ることが可能である。
【0023】以上のように本発明によれば、海洋性微細
藻類を培養する際にポリオール類として、グリセロー
ル、マンニトール、ソルビトール、サッカロースなどを
存在させた培地で培養することにより、トリスを添加し
なくても添加時と同等に藻体の安定した増殖がはかれる
ため、他の高度不飽和脂肪酸を含まず、脂質中のドコサ
ヘキサエン酸の含量を顕著に上昇させたまま、海洋性微
細藻類の生産性を向上できることが特筆すべき点である
が、本発明の趣旨に従い通常行なわれる改変は本発明に
含まれる。
【0024】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、これらの実施例が本発明の範囲を限定するも
のでないことは言うまでもない。下記の実施例中、海洋
性微細藻類の藻体生産性は培養後の藻体の乾燥藻体重量
で示し、また、ドコサヘキサエン酸の含有量は乾燥藻体
からクロロホルム/メタノール(2:1)で抽出される
粗脂質を三フッ化ホウ素メタノール錯体で脂肪酸メチル
エステルとし、ヘプタデカン酸を内部標準として産生し
たドコサヘキサエン酸をガスクロマトグラフィーにより
定量することにより測定した。
【0025】(実施例1〜4)表1に示すポリオール類
を含む培地それぞれ100mlを、300ml容三角フ
ラスコに入れて減菌をした。冷却後、この培地に、グル
コース10g/l、酵母エキス2g/lを人工海水アク
アマリン(八洲薬品株式会社製)に溶解しpH7.4に
調整した培地で予め7日間180rpm、28℃で振盪
培養したクリプテコディニウム・コーニーATCC30
021の培養液5mlを各々接種し、本培養として、2
8℃で、5日間回転振盪培養(180rpm)を行なっ
た。培養藻体から得た乾燥菌体の重量とドコサヘキサエ
ン酸の含量は、表1に示す結果を得た。また、ポリオー
ル類の代わりにトリスを含む培地を用いた以外は、実施
例1〜4と同様に培養を行ない、参考例1として結果を
表1に示した。
【0026】(比較例1)表1に示すポリオール類とト
リスのいずれをも含まない組成の培地を用いた点以外
は、実施例1〜4と同様に培養を行ない、表1に示す結
果を得た。
【0027】
【表1】
【0028】実施例1〜4では、トリスを添加しなくて
も、参考例1と同等の藻体収量、脂質収量およびDHA
収量が得られた。
【0029】
【発明の効果】本発明の培養方法によれば、ドコサヘキ
サエン酸を産生する能力を有する海洋性微細藻類を培養
する際に、ポリオール類を存在させた培地で培養するこ
とにより、トリスを添加していなくても添加時と同等に
藻体は安定して増殖し、他の高度不飽和脂肪酸を含ま
ず、脂質中のドコサヘキサエン酸の含量を顕著に上昇さ
せることができる。また、本発明の培養方法によれば、
トリスを用いないので、培養コストを低くすることがで
きる。従来は、ドコサヘキサエン酸の製造は、魚油から
の抽出により得ていたが、原料の供給が不安定で品質が
一定せず、独特の臭気をもち、また、高度な分離精製技
術によりドコサヘキサエン酸を得ていた。本発明の培養
方法により、ドコサヘキサエン酸を高濃度に安定して生
産でき、かつ、非常に簡便な分離精製技術により純度の
高いものを供給できる点で工業的に有効な効果を奏する
ものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】海洋性微細藻類に属し、かつ、ドコサヘキ
    サエン酸を産生する能力を有する藻類を培養して増殖さ
    せた藻体よりドコサヘキサエン酸を製造するに際し、ト
    リスヒドロキシメチルアミノメタン無添加のポリオール
    類を有する培地を用いることを特徴とする海洋性微細藻
    類の培養方法。
  2. 【請求項2】前記ポリオール類が、グリセロール、マン
    ニトール、ソルビトールおよびサッカロースからなる群
    より選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載
    の海洋性微細藻類の培養方法。
  3. 【請求項3】前記ポリオール類が、10〜100mMの
    濃度である請求項1に記載の海洋性微細藻類の培養方
    法。
  4. 【請求項4】前記藻類が、クリプテコディニウム・コー
    ニー(Crypthecodinium cohni
    i)ATCC30021である請求項1〜3のいずれか
    に記載の海洋性微細藻類の培養方法。
JP5234827A 1993-09-21 1993-09-21 海洋性微細藻類の培養方法 Withdrawn JPH0787988A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2377455A (en) * 2001-02-09 2003-01-15 Univ Hull Method of culturing crypthecodinium cohnii
US6977166B1 (en) 1999-07-14 2005-12-20 The University Of Hull Method of producing an oil including docosahexaenoic acid

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6977166B1 (en) 1999-07-14 2005-12-20 The University Of Hull Method of producing an oil including docosahexaenoic acid
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