JPH0786317B2 - シールド掘進機による曲線部分の覆工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は現場打ちコンクリートによる覆工とセグメン
トによる覆工を連続して行うことができるシールド掘進
機による曲線部分の覆工法に関するものである。

〔従来の技術〕

シールド工法に於いて、シールド掘進機後方のシールド
内周を場所打ちコンクリートによって覆工する場合、妻
型枠全体をシールド掘進機の推進反力を利用して加圧す
ることにより、打設直後のコンクリートを地山に押し出
したり、コンクリートを加圧脱水して妻型枠を早期に脱
型する方法が一般に併用されている。

〔発明が解決しようとする課題〕 しかし、係る従来工法には、幾つかの解決すべき課題が
ある。

その一つは、直線部分の覆工には何ら問題はないが、急
曲線部分の覆工には打設直後のコンクリートにシールド
掘進機の推進反力によって大きな偏心荷重がかかる為、
覆工体にクラックが発生することがあり、将来的に止水
性につて問題がある。

また、テールプレート内でコンクリートを打設・加圧
し、、テールボイドに裏込め注入を用いて掘進する場合
に於いては、急曲線部分の施工に必要なクリアランスを
確保することが難しいという問題もある。

このような問題は、直線部分を現場打ちコンクリートに
よって覆工し、急曲線部分をセグメントによって覆工す
れば解決することができるが、現場打ちコンクリートに
よる覆工とセグメントによる覆工を連続的に行うことが
できるシールド掘進機は、未だ、開発されていない。

この発明はこのような前記従来の課題を解消する為に提
案されたもので、現場打ちコンクリートによる覆工とセ
グメントによる覆工を連続的に行うことを可能にしたシ
ールド掘進機による曲線部分の覆工法を提供することを
目的とするものである。

〔課題を解決する為の手段〕

前記課題を解消する為、この発明に係るシールド掘進機
による曲線部分の覆工法は、セグメントによる覆工が可
能なシールド掘進機のテールプレートの内側に取外し自
在となるインナープレートを取り付け、このインナープ
レートと外型枠としてインナープレートの内周に沿って
所要数の内型枠を組立て、インナープレートと内型枠と
の間に鉄筋を配筋した後コンクリートを打設し現場打ち
コンクリートによる直線部分の覆工を行ない。

次いで直線部分から急曲線部分との分岐点に達した時、
シールド掘進機のテールプレートによりインナープレー
トを切り離し、インナープレートに１乃至２リングの分
岐セグメントを取付け固定し、分岐セグメントを反力受
けとしてシールド掘進機を前進させて分岐セグメントを
前進させ分岐セグメントをインナープレートと共にテー
ルプレートの外側に押し出し急曲線部分の覆工を行ない
続いてセグメントによる直線部分の覆工を行なうことよ
りなる。

〔実施例〕

以下、この発明に係るシールド掘進機による曲線部分の
覆工法を図示する一実施例に基づいて説明する。

第１図はセグメントによる覆工が可能なシールド掘進機
のテール部を示したもので、図中、番号１はテールプレ
ート、２はインナープレート、３はテールシール、そし
て、番号４は推進ジャッキである。

インナープレート２はシールド掘進機の後方のシールド
内周を現場打ちコンクリートによって覆工する際の外型
枠となるもので、鋼板等からテールプレート１より一回
り小さい剛体円筒形状に形成され、且つ、テールプレー
ト１の内側にテールプレート１と切り離してできるよう
にボルト止め等によって取り付けられている。

また、テールシール３は充填直後の裏込め材や周辺地盤
からの湧水がシールド掘進機側に漏れないようにする為
の止水材であって、テールプレート１の後端部にテール
プレート１の円周方向に連続して取り付けられている。

推進ジャッキ４はシールド掘進機の推進力を得るもの
で、シールド掘進機のテール部に組み立てられた妻型枠
やセグメントを推進反力受けにしてシールド掘進機を推
進させることができる。

続いて、この発明に係るシールド掘進機によるシールド
内周の覆工法を順をおって説明する。

〔直線部分の覆工〕

係る場合には、テールプレート１の内側にインナープレ
ート２を取り付ける。

また、インナープレート２の内側に前進に必要な数量だ
けの内型枠５をテールプレート２の内周に沿って組み立
てる。

また、インナープレート２の内型枠５の先端部に、妻型
枠７を取り付ける。

続いて、インナープレート２と内型枠５との間に必要な
鉄筋を配筋した後、コンクリート６を打設する。

続いて、シールド掘進機の推進反力を利用して打設直後
のコンクリート６の加圧・脱水を行い妻型枠７を推進ジ
ャッキ４の反力受けとしてシールド掘進機を前進させ
て、１リング分の掘進を行う。

以下、同様にして、内型枠５及び妻型枠の組み立て、コ
ンクリートの打設、掘進及び型枠の撤去を交互に行うこ
とにより直線部分の覆工を行う。

〔急曲線部分の覆工〕

直線部分と急曲線部分との分岐点に達したら、テールプ
レート１よりインナープレート２を切り離す。

また、インナープレート２の内側に１リング乃至２リン
グの分岐セグメント８を組み立てる。

分岐セグメント８はインナープレート２にボルト止め等
によって一体的に固定する。

続いて、当該分岐セグメント８を反力受けとしてシール
ド掘進機を前進させて、分岐セグメント８をインナープ
レート２と共にテールプレート１の外側に押し出す。

また、これと並行して１リング乃至２リング分の掘進を
行う。

続いて、インナープレート２が取り外されたテールプレ
ート１の内側に通常のセグメント９を組み立てる。

続いて、この通常のセグメント９を反力受けとしてシー
ルド掘進機を前進させ、掘進する。

以下、同様にして、セグメントの組み立てと掘進とを交
互に行うことにより急曲線部分の覆工を行ない続いて直
線部分の覆工を行なう。

再び、急曲線部分と直線部分との分岐点に達したら、今
度は、テールプレート１の内側に新たなインナープレー
ト２を取り付ける。

そして、先に述べた現場打ちコンクリートによって直線
部分の覆工を行う。

なお、直線部分と急曲線部分に設置される分岐セグメン
ト８はインナープレート２の内側で組み立てられる為、
外径が通常のセグメント９のそれより一回り小さく形成
されている。

また、第１図に於いて、番号10はカッター、11はスクリ
ュウコンベヤ、そして、番号12は型枠組み立てエレクタ
ーである。

〔発明の効果〕

この発明は以上の構成からなるので、以下の効果を有す
る。

一台のシールド掘進機によって、直線部分は現場打ちコ
ンクリートによって、急曲線部分はセグメントによって
覆工することができる。

しかも、直線部分と急曲線部分を連続的に覆工すること
ができる。

したがって、覆工体にクラックが発生するといった問題
は起こらない。

また、急曲線部分の覆工も確実に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図はこの発明の一実施例を示したもの
で、第１図は直線部分の覆工方法を示すシールド掘進機
の縦断面図、第２図乃至第５図は急曲線部分の覆工方法
を示すシールド掘進機テール部の一部縦断面図である。 １……テールプレート、２……インナープレート、３…
…テールシール、４……推進ジャッキ、５……内型枠、
６……コンクリート、７……妻型枠、８……分岐セグメ
ント、９……通常のセグメント、10……カッター、11…
…スクリュウコンベヤ、12……型枠組み立てエレクタ
ー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】セグメントによる覆工が可能なシールド掘
   進機のテールプレートの内側に取外し自在となるインナ
   ープレートを取り付け、このインナープレートと外型枠
   としてインナープレートの内周に沿って所要数の内型枠
   を組立て、インナープレートと内型枠との間に鉄筋を配
   筋した後コンクリートを打設し現場打ちコンクリートに
   よる直線部分の覆工を行ない、 次いで直線部分から急曲線部分との分岐点に達した時、
   シールド掘進機のテールプレートよりインナープレート
   を切り離し、インナープレートに１乃至２リングの分岐
   セグメントを取付け固定し、分岐セグメントを反力受け
   としてシールド掘進機を前進させて分岐セグメントを前
   進させ分岐セグメントをインナープレートと共にテール
   プレートの外側に押し出し急曲線部分の覆工を行ない続
   いてセグメントによる直線部分の覆工を行なうことを特
   徴とするシールド掘進機による曲線部分の覆工法。