JPH0791954B2 - トンネル覆工用のコンクリート打設装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はトンネル覆工用のコンクリート打設装置に係
り、特にコンクリート打設管を加圧ジャッキと一体的に
移動させることにより、コンクリート打設管理を容易に
するとともに地山からの土砂等の流入を防ぐようにした
トンネル覆工用のコンクリート打設装置に関する。

〔従来の技術〕

近年、都市トンネルの掘削工事に多く適用されているシ
ールドトンネルにおいて、いわゆる直打ちコンクリート
ライニング工法が普及してきている。この直打ちコンク
リートライニング工法は、施工の迅速化や省力化のため
の工法として認知されてきており、高価で組立てが面倒
なセグメントを施工せずに、シールド掘削機の掘進と同
時に掘削機のテール部で内側型枠を組み立てて、直かに
覆工コンクリートを打設することができ、このため覆工
コンクリートの迅速な施工が可能になるとともに、打継
ぎ目が発生せず、止水や構造上の弱点をなくすことがで
きる。また、まだ固まらないコンクリートを加圧ジャッ
キ等によりテールボイドに押圧充填しながらシールド掘
削機を推進させるので、裏込め注入等を必要としないと
いう利点を有する。

また、上記覆工コンクリートには地山からの荷重を負担
しないような無筋コンクリートや繊維補強コンクリート
が使用される場合がある。この場合、コンクリート打設
に先立って鉄筋を組み立てる必要がないので、コンクリ
ートを連続的に打設でき、トンネル掘削の進捗を高める
ことができる。

このため上述のような無筋コンクリートや繊維補強コン
クリートを打設する場合には、コンクリートポンプ等か
ら移送されてくるフレッシュコンクリートを妻型枠に装
着された複数のコンクリート打設管や、内型枠に設けら
れたコンクリート注入口を介して型枠内に打設する種々
の打設装置が用いられている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述のコンクリート打設装置ではコンク
リート打設管の吐出口位置が固定しているため、型枠内
に打設されたコンクリートが分離してしまうという問題
がある。

また、コンクリート打設は複数のコンクリート打設管で
行うので、複数の打設管からのコンクリート打設圧力と
打設量とを多数のバルブ等により同時に制御管理しなけ
ればならないという煩雑さがある。

さらに、コンクリート打設後は掘削機の推進と同時に加
圧ジャッキによりこの打設されたコンクリートを地山側
に押圧するが、その際、上記コンクリート打設管の盛替
え作業が必要となり、コンクリートを連続的に打設でき
ないという問題もある。

そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する
問題点を解消し、加圧板とコンクリート打設管とを相互
の位置関係を保持しながら移動させることによりコンク
リートを分離しないように打設し、さらに打設コンクリ
ートの加圧と掘削機の推進とを円滑に行えるようにした
トンネル覆工用のコンクリート打設装置を提供すること
にある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本発明は掘削機で地盤にト
ンネルを掘削し、このトンネルの切羽近傍で筒状の内側
型枠を順次形成し、この内側型枠の外周の掘削機テール
部で覆工コンクリートを順次打設し、この打設コンクリ
ートを後方に押圧するようにしたトンネル覆工用のコン
クリート打設装置において、上記掘削機テール部は内周
部に所定の間隔で区画された円弧状の複数のコンクリー
ト打設室と、このコンクリート打設室内にトンネル軸線
方向に伸縮可能な加圧板が嵌装され、本体が上記掘削機
の一部に保持された加圧ジャッキと、上記コンクリート
打設室内でその一部が上記加圧板の一部を摺動自在に貫
通するように延設されるとともにトンネル軸線方向にス
ライド可能なコンクリート打設管と、このコンクリート
打設管を上記加圧ジャッキの伸縮と同期をとって移動さ
せるためのスライド装置とを備えたことを特徴とするも
のである。

〔作用〕

本発明によれば、掘削機テール部の内周部に所定の間隔
で区画された円弧状の複数のコンクリート打設室を形成
し、このコンクリート打設室内にトンネル軸線方向に伸
縮可能な加圧板を嵌装し、この加圧板を移動させる加圧
ジャッキを上記掘削機の一部に据付け、さらに上記コン
クリート打設室内に一部が上記加圧板の一部を摺動自在
に貫通し、トンネル軸線方向にスライド可能なコンクリ
ート打設管を延設し、このコンクリート打設管を上記加
圧ジャッキの伸縮と同期をとって移動させるためのスラ
イド装置をコンクリート打設管に取着したので、上記コ
ンクリート打設室内に均質なコンクリートを打設するこ
とができ、加圧時には上記コンクリート打設管の吐出口
を加圧板内に収容させるだけでコンクリート打設管を取
り外す必要がないので、コンクリート打設と加圧を連続
的に行うことができる。

〔実施例〕

以下本発明によるトンネル覆工用にコンクリート打設装
置の一実施例を第１図乃至第５図を参照して説明する。

第１図において、図中符号１はシールド掘削機１を示し
ており、このシールド掘削機１の外殻はスキンプレート
２とカッタ３とから構成されている。このスキンプレー
ト２は円筒形状をなし、その前部に回転して地盤を掘削
する円板状のカッタ３が取付けられている。また、カッ
タ３の前面には図示しないブレードが配設されており、
スキンプレート２の内部のテール部には円筒形状の内側
型枠４の先端が入り込んでいる。この内側型枠４は複数
枚の円弧状の型枠をエレクタ装置等（図示せず）で組み
立てたもので、この内側型枠４の前面には第２図に示し
たような反力板５が固着されている。この反力板５は本
実施例では６つに等分割された円弧状をなしており、各
反力板５のほぼ中心位置には推進ジャッキ６のロッド6a
が取着されている。この推進ジャッキ６は上記カッタ３
による切羽の掘削に伴い、シールド掘削機１本体を前方
に推進させることができ、その推進ストローク量は上記
内側型枠４を建て込める程度を有しており、台座７を介
して掘削機１本体に固着されている。

一方、上記反力板５の外周の掘削機テール部1aにはコン
クリート打設室８が形成されている。このコンクリート
打設室８は上記スキンプレート２を外周壁とし、その内
側に形成された仕切壁９と内周壁9aとにより区画された
断面形が円弧状をなすように構成されており、本実施例
では第２図に示したように４つに等分割されている。ま
た、上記内周壁９の後端には全周にわたりテールパッキ
ン10が装着されている。このテールパッキン10は掘削機
本体１の偏心によりコンクリート打設室８と内側型枠４
との間に生じる隙間を塞ぐように追従できるような硬質
ゴム等の材質により製造されている。そして、このテー
ルパッキン10の先端が上記内側型枠４に確実に当接する
ことにより打設したコンクリートが妻部から漏れるのを
防止することができる。

また、上記各コンクリート打設室８内には加圧板12が嵌
装されており、この加圧板12はそれぞれ２本の加圧ジャ
ッキ13により打設室内をトンネル軸線方向に移動できる
ようになっている。このとき、上記２本の加圧ジャッキ
13は加圧板12に作用するコンクリート側圧の差に対応し
て変位制御でき、コンクリート打設室８内で加圧板12が
競ることなく円滑にスライドできるようになっている。

さらに、上記各コンクリート打設室８内にはコンクリー
ト打設管14が延設されている。このコンクリート打設管
14はフレッシュコンクリートを型枠内に打設するための
略Ｕ字形をなす鋼管からなり、トンネル後方の図示しな
いコンクリートポンプ等のコンクリート供給源から延設
されたコンクリート搬送管15の先端に摺動自在に嵌挿さ
れている。また、このコンクリート打設管14の吐出側は
上記コンクリート打設室８内で上記加圧板12の一部を摺
動可能に貫通するように延設されており、その先端の側
面にはコンクリート吐出口14aが設けられている。さら
に上記加圧ジャッキ13を伸長させるかあるいはコンクリ
ート打設管14に連結されたコンクリート打設管14のスラ
イド装置16を縮退させることにより第１図の下側のコン
クリート打設室８に示したようにコンクリート吐出口14
aを上記加圧板12内に収容させることができ、コンクリ
ート吐出口を閉塞させることができる。この状態で加圧
ジャッキ13のロッドを伸長して、すでに打設されたまだ
固まらないコンクリートを後方に押圧し、地山との間に
生じたテールボイドを充填することができる。

次に上記加圧ジャッキ13とコンクリート打設管14との相
互の位置関係を推進ジャッキとの関係において説明す
る。

第３図はコンクリート打設時の掘削機のテール部1aの各
ジャッキの位置関係を示しており、コンクリート打設管
14の吐出口14aからフレッシュコンクリートを吐出さ
せ、コンクリート打設室８内に充填している状態を示し
ている。上記コンクリート打設管14の吐出口は加圧板12
より僅かに突出しており、この位置関係を保持しながら
上記コンクリートの充填状態に合わせてコンクリート打
設管14と加圧ジャッキ13とを縮退させることでコンクリ
ートが広範囲に広がるのを防止でき、コンクリートの材
料分離を生じないようにすることができる。

なお、このとき推進ジャッキ６のロッド6aは縮退状態に
あり、先端の反力板５は建て込まれた内側型枠４に接し
ておりこの内側型枠に反力をとれる状態になっている。

なお、コンクリート打設を開始するとき、連続打設を行
っている場合は加圧板12が既に打設されまだ硬化してい
ないコンクリートに接しているので、このコンクリート
中にコンクリート打設管14の吐出口14aを貫入させて打
継ぎ目を作らないようにしてコンクリート打設を行え
る。また、作業の中断等により打継ぎを設け、コンクリ
ート打設を再開する場合には加圧板12を僅かに後退させ
てコンクリート打設可能な部分を設けてこの部分にコン
クリートを打設するようにする。

第４図は掘削機推進時の掘削機テール部1aの各ジャッキ
の位置関係を示しており、掘削機本体１がほぼ推進スト
ローク分だけ切羽側に前進した状態を示している。この
とき、上記コンクリート打設管14の吐出口は加圧板12の
内部に収容されており、上記加圧板12はこの位置関係を
保持しながら上記推進ジャッキ６のロッドの伸長と同期
をとりながら打設コンクリートを後方に押圧するように
なっている。これにより前進した掘削機テール部1aの後
端に形成されるテールボイドにこのコンクリートを押し
出すようにして充填させることができ、覆工コンクリー
トと地山とを密着させることができる。

この後、推進ジャッキ６のロッド6aを縮退して新たな内
側型枠４を建込み、次の打設サイクルに移ることができ
る。

なお、コンクリートの供給源としては一般にコンクリー
トポンプが利用されているが、このコンクリートポンプ
に代えて第５図に示したような圧力容器17を利用するこ
とも可能である。第５図はいわゆるプレーサを示してお
り、タンク18内に貯留されたフレッシュコンクリート19
の表面にはこのコンクリート全体を覆うようにして中蓋
20が載置されている。この中蓋20の上部に圧縮空気を送
気することにより上記コンクリートを一定圧力で押圧す
ることができる。これにより複数のコンクリート搬送管
から連続的にコンクリートを供給することが可能とな
る。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなように、本発明によれば、掘削
機内のテール外周縁に設けられたコンクリート打設室内
で、加圧ジャッキの加圧板とコンクリート打設管とを同
期をとって移動させるようにするとともに、上記コンク
リート打設管の吐出口を加圧板内に収容できるようにし
たので、コンクリート打設作業が容易になるとともに均
質なコンクリートを打設することができ、また掘削機の
推進とコンクリート加圧を連続的かつ迅速に行うことが
できるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるコンクリート打設装置の一実施例
を示した縦断面図、第２図は同横断面図、第３図及び第
４図は本発明によるコンクリート打設装置に使用される
ジャッキの位置関係を横断面図、第５図は本発明による
コンクリート打設装置に使用されるコンクリート供給装
置の一例を示した横断面図である。 １…シールド掘削機、４…内側型枠、５…反力板、６…
推進ジャッキ、８…コンクリート打設室、10…テールパ
ッキン、12…加圧板、13…加圧ジャッキ、14…コンクリ
ート打設管、16…スライド装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】掘削機で地盤にトンネルを掘削し、このト
   ンネルの切羽近傍で筒状の内側型枠を順次形成し、この
   内側型枠の外周の掘削機テール部で覆工コンクリートを
   順次打設し、この打設コンクリートを後方に押圧するよ
   うにしたトンネル覆工用のコンクリート打設装置におい
   て、上記掘削機テール部は内周部に所定の間隔で区画さ
   れた円弧状の複数のコンクリート打設室と、このコンク
   リート打設室内にトンネル軸線方向に伸縮可能な加圧板
   が嵌装され、本体が上記掘削機の一部に保持された加圧
   ジャッキと、上記コンクリート打設室内でその一部が上
   記加圧板の一部を摺動自在に貫通するように延設される
   とともにトンネル軸線方向にスライド可能なコンクリー
   ト打設管と、このコンクリート打設管を上記加圧ジャッ
   キの伸縮と同期をとって移動させるためのスライド装置
   とを備えたことを特徴とするトンネル覆工用のコンクリ
   ート打設装置。