JP2004052467A - トンネル施工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ECL工法の内型枠10に、鋼製セグメント部3aと内型枠部3bからなる複合鋼製セグメント3を接合する。それに他の複合鋼製セグメント3を接合する。そして、シールドスキンプレート12にテールシール14を設け、複合鋼製セグメント3の内部のグラウトホール8から、地山保持材4を充填して、地山50を保持しながら掘進する。複合鋼製セグメント3の終端側では袋付き複合鋼製セグメントを用いて、地山保持材4をシールする。そこに内型枠10を接合してコンクリートを打設し、ECL工法に切り替える。地山保持材4は、裏込め材7に置換し、鋼製セグメント部3aの内周側に2次覆工を施す。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル施工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、場所打ち覆工コンクリート工法によるシールドトンネル施工法として、内型枠と地山の間に高圧コンクリートを打設することにより、覆工体を形成しながら、トンネル掘進を進める、いわゆるECL工法が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のトンネル施工法には、以下のような問題があった。
ECL工法では、シールド機のテールプレートと覆工体が密着するので、テールクリアランスが存在しない。そのため、曲線施工時には、テール部の抵抗が大きくなっていた。また、このような曲線施工では、覆工体に偏荷重を与えなくてはならなかった。さらに、曲線施工の曲線半径が小さくなりすぎると、余掘りが大きくなりすぎ、その結果、テール部で加圧したコンクリートが切羽に回り込んでトンネル掘進の障害になっていた。
これらの理由から、曲線施工の最小曲線半径は、シールド機の外径の20〜30倍程度以上とする必要があった。
したがって、それ以下の最小曲線半径を有する急曲線施工にはECL工法を採用できないという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、いわゆるECL工法を採用しつつ、しかも急曲線施工が可能なトンネル施工法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、シールド機の後方で坑内面に沿わせて内型枠を組み立て、コンクリートを打設することにより坑内面にコンクリート覆工壁を形成しつつ掘進していくトンネル施工法であって、前記コンクリート覆工壁の一部を鋼製セグメントに切り替えて施工することを特徴とするトンネル施工法を用いる。
この発明によれば、シールド機の後方で坑内面に沿わせて内型枠を組み立て、コンクリートを打設することにより坑内面にコンクリート覆工壁を形成しつつ掘進していくトンネル施工法(以下、ECL工法と称する)により、直線または緩い曲線施工ではコンクリート覆工壁を形成し、急曲線施工では、鋼製セグメントに切り替えて覆工体を施工することができる。
【0006】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のトンネル施工法において、前記鋼製セグメントが、前記内型枠外径より大きい内径を有する鋼製セグメント部と、該鋼製セグメント部の内周に取り外し可能に設けた内型枠部とを備える複合鋼製セグメントであって、該複合鋼製セグメントを、先端の内型枠に接合する第1の覆工体切替工程と、既設の複合鋼製セグメントの先端に他の複合鋼製セグメントを接合して、複合鋼製セグメントの先端を前進させつつ、該複合鋼製セグメントに反力をとって前記シールド機を掘進するセグメント設置工程と、前記複合鋼製セグメントの先端において、トンネル周方向にシールド機のスキンプレートとの間をシールするシール材を有する複合鋼製セグメントを接合し、その後、トンネル延設方向に前記内型枠を接合するセグメント終端工程と、前記内型枠と坑内面の間にコンクリートを打設して、前記複合鋼製セグメントの端部に接合するコンクリート覆工壁を形成する第2の覆工体切替工程と、前記鋼製セグメント部と地山との間に硬化性を有する裏込め材を充填する裏込め材充填工程と、前記内型枠部を前記鋼製セグメント部から取り外す内型枠部撤去工程とを備えることを特徴とするトンネル施工法を用いる。
この発明によれば、ECL工法から鋼製セグメントの施工に切り替える際、第1の覆工体切替工程において、複合鋼製セグメントを用いるので、ECL工法の内型枠の先端に円滑に接続できる。
また、セグメント設置工程では、複合鋼製セグメントによって土圧を保持し、掘進反力を取るので、曲線施工など、掘進力に偏荷重が生じる場合でも安定した掘進を行うことができる。
【0007】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のトンネル施工法において、前記セグメント設置工程に伴い、前記複合鋼製セグメントの外周から地山側へ非硬化流動体からなる地山保持材を充填する地山保持材充填工程と、前記裏込め材充填工程に替えて、前記地山保持材充填工程でセグメントと地山との間に充填された地山保持材を、硬化性を有する裏込め材に置換する地山保持材置換工程とすることを特徴とするトンネル施工法を用いる。
この発明によれば、地山保持材充填工程をセグメント設置工程に併用することにより、地山が不安定であっても、地山を保持することができるから、安定したトンネル施工を行うことができる。
また、地山保持材が非硬化流動体からなるので、余掘り部が大きくなり形状変化も激しくなる曲線施工であっても安定して地山の保持が行える。そして、地山保持材置換工程により、その状態を保ったまま恒久的な裏込め処理が可能となる。
【0008】
請求項4に記載の発明では、請求項2または3に記載のトンネル施工法において、トンネルの曲線施工の前に、前記第1の覆工体切替工程を行い、トンネルの曲線施工の後に、前記第2の覆工体切替工程を行うことを特徴とするトンネル施工法を用いる。
この発明によれば、曲線施工を含むトンネル施工でも、ECL工法を用いることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
まず、本実施形態の概要を説明する。図1〜3は、本発明に係るトンネル施工法の実施の形態を説明するための平面視概略図である。
本実施形態では、図1に示したように、直線的にトンネルを掘進するときには、いわゆるECL工法によって、シールド機1の後方にコンクリート覆工壁2を形成していく。
【0010】
ECL工法は、シールド機1の後方に、坑内面50aに沿わせて円環状の内型枠を配設し、坑内面50aと内型枠と(不図示)の間に、コンクリートを打設する。そして、地山50からの土圧・水圧に対応した圧力をコンクリート覆工壁2にかけて、地山50の変形を抑える。そしてシールド機1を掘進し、さらに内型枠を配設して、次のコンクリート覆工壁2を打設する。これを繰り返して、坑内面と内型枠との間に、内型枠の外周面を型枠面とするコンクリート覆工壁2を延設していく。
【0011】
本実施形態で用いる複合鋼製セグメント3(鋼製セグメント、図2参照)は、詳しくは後述するが、シールドスキンプレート12の内径より小さな外径を備えている。したがって、坑内面50aとの間には、隙間ができる。また、複合鋼製セグメント3の延設方向の接合面は互いに傾斜している。そのため、順次接合していくと、所定の曲線を描く覆工体が得られる。
【0012】
曲線施工では、図2に示したように、まず、コンクリート覆工壁2の先端に、複合鋼製セグメント3を接合する(第1の覆工体切替工程)。そしてシールド機1を掘進して、複合鋼製セグメント3を接合する。その後、複合鋼製セグメント3の接合とシールド機1の掘進を繰り返して、複合鋼製セグメント3による覆工体を形成する(セグメント設置工程)。
その際、シールド機1を旋回させるため、拡径カッタ6を用いて余掘り部Aを設ける。地山によっては、余掘り部Aを空洞のままにしておくと地山の崩壊を招く恐れがあるので、複合鋼製セグメント3の外周から地山側へ非硬化流動体である(詳しくは後述する)地山保持材4を注入する(地山保持材充填工程)。地山保持材4は、拡径カッタ6の先端あるいはシールドスキンプレート12に設けた充填口から充填する。
【0013】
そして、曲線施工の終端部では、複合鋼製セグメント3の終端部上で地山保持材4をシールし、複合鋼製セグメント3の終端部に内型枠を配設して(第2の覆工体切替工程)、その後、ECL工法を再開する。
【0014】
次に、図3に示したように、複合鋼製セグメント3と坑内面50aとの間に封止された地山保持材4を、硬化性を有する裏込め材7と置換し、裏込め材7により複合鋼製セグメント3と地山50とを一体化する(地山保持材置換工程)。また、不図示の内型枠を解体撤去する(内型枠部撤去工程)。さらに必要であれば、複合鋼製セグメント3の内周側に2次覆工コンクリートを打設する。
【0015】
次に、本実施形態の詳細を曲線部の始点側と終点側とに分けて、順を追って説明する。
図4、5は、本発明の実施形態に係るトンネル施工法の、曲線部始点側の施工工程を説明するためのトンネル延設方向の断面説明図である。また、図6、7は、本発明の実施形態に係るトンネル施工法の、曲線部終点側の施工工程を説明するためのトンネル延設方向の断面説明図である。なお、いずれも、トンネル延設方向断面の上側のみを示している。
【0016】
まず、第1の覆工体切替工程について説明する。
図4(a)は、ECL工法によるコンクリート覆工壁2の終端部を示している。コンクリート覆工壁2は、外周側は地山50およびシールドスキンプレート12により、内周側は内型枠10により、トンネル延設方向端部側はシールド機1の妻枠13および妻枠シール13aにより、それぞれ囲まれて、硬化が終わるまで高圧で保持されている。
【0017】
内型枠10は、ボルト・ナットなどの締結材11によって延設方向に固定された円筒状の構造部材である。その外周面は、コンクリート覆工壁2の内周面の型枠面をなしている。軸方向の両側には、円環状の接合面を備え、接合面の間には推進ジャッキ推力を受けるために軸方向に縦リブが設けられている。接合面には、他の内型枠10と、締結材11によって接合するための接合部、例えばボルト孔などが適宜位置に設けられている。
【0018】
次に、図4(b)に示したように、コンクリート覆工壁2が硬化してから、妻枠13をシールド機1の内方(図示左側)に引き込む。そして、シールドスキンプレート12に、シールドスキンプレート12の全周を覆うテールシール14、14を取り付ける。テールシール14は、例えば合成ゴムなどの可撓性部材が採用できる。
テールシール14、14のシールド機長手方向の取付位置は、シールドスキンプレート12の先端側からシールド機1の内部側に適宜長さ入り込んだ位置とする。これは、後述する袋付き複合鋼製セグメントの膨張した袋が支障なくシールドスキンプレート12に当接できるスペースを設けるためである。
【0019】
そして、複合鋼製セグメント3をその外周面にテールシール14、14が当接して密着するように固定する(図4(c))。
複合鋼製セグメント3は、外周側に鋼製セグメント部3aを、内周側に内型枠部3bをそれぞれ取り外し可能に結合した円筒状の構造部材である。
【0020】
鋼製セグメント部3aは、外周面が鋼板で覆われ、内周側に土圧・水圧などの外力を保持するため主桁が設けられている。軸方向の両側に円環状の接合面を備え、接合面の間には推進ジャッキ推力を受けるために軸方向に縦リブが設けられている。主桁、縦リブなどの突起部を含めた鋼製セグメント部3aの内径寸法は内型枠10の外径よりも大きい寸法とされている。
【0021】
鋼製セグメント部3aの接合面には、他の鋼製セグメント部3aと、締結材11によって接合するための接合部、例えばボルト孔などが適宜位置に設けられている。
また、外周面の内側には、グラウトホール8が設けられており、そこから後述する地山保持材4の注入・回収と、裏込め材7の注入が可能とされている。グラウトホール8は、注入・回収を行うとき以外は内側から閉鎖されている。
【0022】
内型枠部3bは、鋼製セグメント部3aの接合面と同一面に配置された円環状の接合面と、その間に推進ジャッキ推力を受けるために軸方向に配置された縦リブと、それらを周方向に結合して外力に抗する主桁とを備える。
【0023】
縦リブ、主桁などの突起部を含めた内型枠部3bの内径は、内型枠10の内径と揃えられている。
また、内外周にはスキンプレートを備えていない。これは、複合鋼製セグメント3間の接合作業を複合鋼製セグメント3の内周側から容易に行えるようにするためである。
【0024】
また接合面には、他の内型枠部3bと、締結材11によって接合するための接合部、例えばボルト孔などが適宜位置に設けられている。
また、複合鋼製セグメント3の接合面は、延設方向の施工形状により、適宜の角度で交差するか、または平行になるように設けられている。
【0025】
地山50から受ける土圧・水圧は、鋼製セグメント部3aのみで保持できるよう構成する。そのため、鋼製セグメント部3aと内型枠部3bとを結合するのは、シールド機1の推進時に複合鋼製セグメント3を一体に保つためである。この鋼製セグメント部3aと内型枠部3bとの結合部は、図示していないが、ボルト・ナット結合されている。そのため、内型枠部3bの内周側から容易に解体できるようになっている。
【0026】
本工程では、上記に説明した構成を備える複合鋼製セグメント3を、コンクリート覆工壁2の先端に配置し、締結材11により、既設の内型枠10の先端部と内型枠部3bとの間で接合する。このとき、コンクリート覆工壁2と鋼製セグメント部3aは当接しているだけでよく、接合はしなくてよい。
以上で、第1の覆工体切替工程が終了する。
【0027】
次に、セグメント設置工程を説明する。
図4(d)に示したように、締結材11により、鋼製セグメント部3a同士および内型枠部3b同士を接合することにより、複合鋼製セグメント3に他の複合鋼製セグメント3を接合する。
【0028】
そして、図5(e)、(f)に示したように、新たに設置した複合鋼製セグメント3の内型枠部3bに反力をとって、推進ジャッキ15を推進する。それと同時に、コンクリート覆工壁2に当接している側の複合鋼製セグメント3のグラウトホール8から、地山側に向けて、地山保持材4を注入する(地山保持材充填工程)。
【0029】
地山保持材4は、流動性に富み、地山50に浸透することなく、容易にテールボイド部を充填できて地山50を保持するが、少なくとも回収するまでの間は硬化しない材料で構成される。
このような材料は、上記の条件を満たす非硬化流動材であれば、どのような材料であってもよい。一例を挙げれば、水、ベントナイトおよび適宜の高分子材料を配合し、攪拌することによりゲル状を呈したものなどが採用できる。より具体的には、例えば、水を77〜85重量%、ベントナイトを14〜22重量%、ポリアクリルアミド系高分子凝集材を0.1〜1.4重量%の範囲内で配合したものが採用できる。特に、好ましい配合比としては、水を79.69重量%、ベントナイトを20.05重量%、ポリアクリルアミド系高分子凝集材を0.26重量%、というような例を挙げることができる。
【0030】
このようにして接合した複合鋼製セグメント3の先端に、さらに複合鋼製セグメント3を接合して、上記と同様の工程を繰り返すことにより、複合鋼製セグメント3を延設していく。
この間に、シールド機1は適宜必要な旋回を行うので、その旋回量に対応した曲線を構成できるように複合鋼製セグメント3の形状を選択して接合していく。
【0031】
その際、シールド機1を旋回させるため、余掘り部Aを、一旦大きくし、直線施工に復帰するに従って減少させる(図2参照)。その場合でも、地山保持材4は流動性に富んでいるので、余掘り部の大きさや形状が変化してもそれらに追従して充填される。また、一部が切羽に回り込む場合があっても、流動性を保っているので、掘削の妨げとはならない。
【0032】
また、同様にシールド機1を旋回させるために、シールド掘進力は偏荷重になる。その場合でも、推進ジャッキ15の反力は、接合されて一体化された複合鋼製セグメント3に取っており、地山保持材4の注入圧力とは無関係だから、偏荷重であっても、まったく支障なくシールド掘進と覆工体の延設を進めることができる。
【0033】
そして、図5(g)、(h)に示したように、複合鋼製セグメント3を数セグメント分接合し、推進ジャッキ15の推進に支障がなくなった場合には、内型枠部3bを内側から解体して取り外す(内型枠部撤去工程)。そして、未接合であったコンクリート覆工壁2と最初に設置した鋼製セグメント部3aを、ホールインアンカーボルト9でコンクリート覆工壁2と接合する。
【0034】
次に、セグメント設置工程の後に行うセグメント終端工程について説明する。図6(a)に示したように、終端側の最後の複合鋼製セグメント3を設置してから、同様にして、袋付き複合鋼製セグメント16を接合する。さらに、複合鋼製セグメント17を接合する。そして、シールド機1を掘進させ、シールドスキンプレート12の後端が袋付き複合鋼製セグメント16上に、テールシール14、14が複合鋼製セグメント17上に、それぞれ配置される状態にする。
【0035】
袋付き複合鋼製セグメント16は、複合鋼製セグメント3と同様に、鋼製セグメント部16a、内型枠部16bおよびグラウトホール8を備える。さらに、それに加えて、外周面全周に膨張可能な袋16c(シール材)が取り付けられている。
【0036】
袋16cは、グラウトホール8から、例えばモルタル、コンクリートなどの裏込め材7を注入してそれを膨張させて、シールドスキンプレート12の内側に密着させ、鋼製セグメント部16aの外周部とシールドスキンプレート12の間をシールするためのものである。
なお、袋付き複合鋼製セグメント16の軸方向の厚みは、袋16cを取り付けるのに必要な幅があればよい。袋16cの軸方向の位置は、袋付き複合鋼製セグメント16を設置したときに延設方向の先端に近い位置にあることが好ましい。
【0037】
複合鋼製セグメント17は、テールシール14、14を受けるために一時的に設置するものである。そのため、複合鋼製セグメント3と同様に鋼製セグメント部17a、内型枠部17bを備えるが、グラウトホール8は備えている必要はない。また、軸方向の幅は、テールシール14、14を受けるのに必要な幅とされている。
【0038】
次に、上記のように配置された袋付き複合鋼製セグメント16の袋16cに裏込め材7を注入し、袋16cを膨張させる(図6(a))。地山保持材4は流動性に富んでいるため、袋16cは地山保持材4を押しのけてシールドスキンプレート12の内側に密着され、止水が行われる。
そのため、それまで、地山保持材4や地下水をシールしていたテールシール14、14は不要になる。そこで、複合鋼製セグメント17を取り外して、シールドスキンプレート12から、テールシール14、14を取り外す(図6(b))。
【0039】
続けて、第2の覆工体切替工程を行う。
まず、図6(c)に示したように、袋付き複合鋼製セグメント16の内型枠部16bに、締結材11によって、ECL工法用の内型枠10を接合する。そして、妻枠13を内型枠10上にセットする(図6(d))。その状態で、シールドスキンプレート12、妻枠13、妻枠シール13a、内型枠10および袋付き複合鋼製セグメント16によって囲まれる空間にコンクリートを高圧で打設しながら、妻枠13を延設方向の所定位置に移動させる。
【0040】
このようにして、内型枠10上にコンクリート覆工壁2が形成され、覆工体が複合鋼製セグメント3から、コンクリート覆工壁2に切り替えられる。
そこで、図7(e)に示したように、シールド機1を掘進させ、従来のECL工法の通り、内型枠10の延設とコンクリート覆工壁2の延伸を繰り返していく。なおこの時点では、曲線施工は終了しており、拡径カッタ6は縮径され、余掘り部は最小限の大きさになっている。
【0041】
そして、適宜のタイミングで内型枠部撤去工程を行う。その後、鋼製セグメント部16aとコンクリート覆工壁2を、ホールインアンカーボルト9により接合する(図7(f))。
【0042】
次に、地山保持材置換工程を行う。
鋼製セグメント部3aのいずれかのグラウトホール8を、裏込め材7を注入する注入口とし、同じくいずれかのグラウトホール8を、地山保持材4を回収する回収口とする。そして、その注入口から裏込め材7を注入して、その圧力で地山保持材4を回収口から回収する(図3、図7(g)参照)。
このようにして、鋼製セグメント部3a…の外周部と地山50の間に裏込め材7が注入される。そして、裏込め材7が硬化することにより、鋼製セグメント部3a…と地山50とを一体化することができる。
【0043】
次に、必要に応じて、鋼製セグメント部3a…の内周側から2次覆工コンクリート18を打設し、コンクリート覆工壁2の内周面に合わせてトンネル内の2次覆工を行う(セグメント2次覆工工程)(図7(h))。
以上に述べた工程により、本実施形態によれば、ECL工法のコンクリート覆工壁2から複合鋼製セグメント3に切り替え、また、ECL工法のコンクリート覆工壁2に戻すことができる。そして、セグメント設置工程の間に曲線施工を行うことができる。
【0044】
このように本実施形態のトンネル施工法によれば、曲線施工にセグメント工法を用いるから、余掘りや偏荷重により、ECL工法では困難であった急曲線施工が可能となる。その結果、急曲線施工が避けられない都市部でのシールド工事に対してもECL工法を採用することが可能になった。
その際、テールシール14を脱着する点が従来のECL工法に用いるシールド機と異なるのみなので、従来のECL工法に用いるシールド機にほとんど手を加えることなく利用することができるという利点がある。
【0045】
なお、上記では、曲線施工に複合鋼製セグメント3を用いる例で説明したが、本発明の用途は曲線施工のみに限られるものではない。
例えば、ECL工法のトンネルの一部に開口部を設けるような場合、開口部近傍に複合鋼製セグメント3を用いることにより、きわめて容易に施工できる。また、例えば、トンネルの一部を構造的に補強したい場合に、補強部に複合鋼製セグメント3を用いることもできる。さらに、トンネルの延長施工工法として、既設のコンクリート覆工に複合鋼製セグメント3を接続して、その後にECL工法を続けることもできる。
【0046】
また、上記では、地山崩壊防止のため、地山保持材4を複合鋼製セグメント3から地山側へ一時的に注入し、その後、裏込め材に置換する工程としたが、地山の状態によっては、このような地山保持材充填工程と地山保持材置換工程とに替えて、地山保持材4の一時注入なしに、裏込め材注入だけを行う裏込め材充填工程を採用することもできる。
【0047】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、いわゆるECL工法を採用しつつ、しかも急曲線施工が可能なトンネル施工法を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトンネル施工法の実施の形態を説明するための平面視概略図である。
【図2】同じく本発明に係るトンネル施工法の実施の形態を説明するための平面視概略図である。
【図3】同じく本発明に係るトンネル施工法の実施の形態を説明するための平面視概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係るトンネル施工法の曲線部始点側の施工工程を説明するためのトンネル延設方向の断面説明図である。
【図5】同じく、図4の工程に続く曲線部始点側の施工工程を説明するためのトンネル延設方向の断面説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係るトンネル施工法の曲線部終点側の施工工程を説明するためのトンネル延設方向の断面説明図である。
【図7】同じく、図6の工程に続く曲線部終点側の施工工程を説明するためのトンネル延設方向の断面説明図である。
【符号の説明】
1 シールド機
2 コンクリート覆工壁
3 複合鋼製セグメント(鋼製セグメント)
3a 鋼製セグメント部
3b 内型枠部
4 地山保持材
7 裏込め材
8 グラウトホール
10 内型枠
11 締結材
12 シールドスキンプレート
14 テールシール
16 袋付き複合鋼製セグメント
16c 袋(シール材)
18 2次覆工コンクリート
50 地山
50a 坑内面
Claims (4)
- シールド機の後方で坑内面に沿わせて内型枠を組み立て、コンクリートを打設することにより坑内面にコンクリート覆工壁を形成しつつ掘進していくトンネル施工法であって、
前記コンクリート覆工壁の一部を鋼製セグメントに切り替えて施工することを特徴とするトンネル施工法。 - 請求項1に記載のトンネル施工法において、
前記鋼製セグメントが、前記内型枠外径より大きい内径を有する鋼製セグメント部と、該鋼製セグメント部の内周に取り外し可能に設けた内型枠部とを備える複合鋼製セグメントであって、
該複合鋼製セグメントを、先端の内型枠に接合する第1の覆工体切替工程と、
既設の複合鋼製セグメントの先端に他の複合鋼製セグメントを接合して、複合鋼製セグメントの先端を前進させつつ、該複合鋼製セグメントに反力をとって前記シールド機を掘進するセグメント設置工程と、
前記複合鋼製セグメントの先端において、トンネル周方向にシールド機のスキンプレートとの間をシールするシール材を有する複合鋼製セグメントを接合し、その後、トンネル延設方向に前記内型枠を接合するセグメント終端工程と、
前記内型枠と坑内面の間にコンクリートを打設して、前記複合鋼製セグメントの端部に接合するコンクリート覆工壁を形成する第2の覆工体切替工程と、
前記鋼製セグメント部と地山との間に硬化性を有する裏込め材を充填する裏込め材充填工程と、
前記内型枠部を前記鋼製セグメント部から取り外す内型枠部撤去工程とを備えることを特徴とするトンネル施工法。 - 請求項2に記載のトンネル施工法において、
前記セグメント設置工程に伴い、前記複合鋼製セグメントの外周から地山側へ非硬化流動体からなる地山保持材を充填する地山保持材充填工程と、
前記裏込め材充填工程に替えて、前記地山保持材充填工程でセグメントと地山との間に充填された地山保持材を、硬化性を有する裏込め材に置換する地山保持材置換工程とすることを特徴とするトンネル施工法。 - 請求項2または3に記載のトンネル施工法において、
トンネルの曲線施工の前に、前記第1の覆工体切替工程を行い、
トンネルの曲線施工の後に、前記第2の覆工体切替工程を行うことを特徴とするトンネル施工法。
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