JP2010209675A - 覆工切替式トンネル掘削機 - Google Patents

Abstract

【課題】直打ちコンクリートによる覆工とセグメントによる覆工とを必要に応じて容易にかつ短期間で切り替えることができる覆工切替式トンネル掘削機を提供する。
【解決手段】直打ちコンクリートによる覆工の際に用いる妻型枠４６を作業位置と退避位置とに進退可能に設け、直打ちコンクリートＣによる覆工とセグメントＳによる覆工とを随時切り替えてトンネルを掘削することが可能な泥土圧式シールド掘削機において、シールドジャッキ３５には、直打ちコンクリートによる覆工の際に用いられる内型枠押し当て用の第１スプレッダ３６と、セグメントによる覆工の際に用いられるセグメント押し当て用の第２スプレッダ５４とが選択的に着脱可能になっていると共に、掘削機本体１１の後部内周面には、セグメントによる覆工の際に用いられるテールシール部材５５が着脱可能になっている。
【選択図】図１

Description

本発明は、トンネル施工中に、近接構造物の存否や土，水圧の変化等掘削条件（環境）に応じて、直打ちコンクリートによる覆工とセグメントによる覆工とを随時切り替えてトンネルを掘削することが可能な覆工切替式トンネル掘削機に関する。

この種のトンネル掘削機として、例えば特許文献１に開示されたものがある。

これは、トンネルの直線部分は直打ち（現場打ち）コンクリートによる覆工を行い、（急）曲線部分はセグメントによる覆工を行うものである。詳説すると、先ず、セグメントによる覆工が可能なシールド掘進機のテールプレートの内側に取外し自在となるインナープレートを取り付け、このインナープレートを外型枠としてインナープレートの内周に沿って所要数の内型枠を組み立て、インナープレートと内型枠との間に鉄筋を配筋した後コンクリートを打設し、直打ちコンクリートによる直線部分の覆工を行なう。次いで、直線部分から急曲線部分との分岐点に達した時、シールド掘進機のテールプレートよりインナープレートを切り離し、インナープレートに１乃至２リングの分岐セグメントを取り付け固定し、分岐セグメントを反力受けとしてシールド掘進機を前進させて分岐セグメントをインナープレートと共にテールプレートの外側に押し出し、続いてテールプレートの内側に通常セグメントを組み立ててセグメントによる急曲線部分の覆工を行なうのである。

特公平７−８６３１７号公報

しかしながら、特許文献１で開示されたようなトンネル掘削機にあっては、リング状で大型の妻型枠の取付け、取外しとシールド掘進機の本体部分に相当する大型のインナープレートの組立て、分解（切り離し）が覆工方法を切り替える度に行われるので、切替作業が大掛かりになり、短期間で切り替えることができないという問題点があった。

また、妻型枠を推進ジャッキの反力受けとしてシールド掘進機を前進させる構成になっているため、妻型枠の形状及び構造が複雑で大型化するのでコストアップを招来するという問題点もあった。

そこで、本発明は、直打ちコンクリートによる覆工とセグメントによる覆工とを必要に応じて容易にかつ短期間で切り替えることができる覆工切替式トンネル掘削機を提供することを目的とする。

斯かる目的を達成するための本発明に係る覆工切替式トンネル掘削機は、
既設の内型枠又はセグメントに掘進反力をとって掘削機本体を前進させるための推進ジャッキを掘削機本体の周方向に複数本備えると共に、直打ちコンクリートによる覆工の際に用いる妻型枠を作業位置と退避位置とに進退可能に設け、直打ちコンクリートによる覆工とセグメントによる覆工とを随時切り替えてトンネルを掘削することが可能な覆工切替式トンネル掘削機において、
前記推進ジャッキには、前記直打ちコンクリートによる覆工の際に用いられる内型枠押し当て用の第１スプレッダと、前記セグメントによる覆工の際に用いられるセグメント押し当て用の第２スプレッダとが選択的に着脱可能になっていると共に、
前記掘削機本体の後部内周面には、前記セグメントによる覆工の際に用いられるテールシール部材が着脱可能になっていることを特徴とする。

また、
前記妻型枠は、前記退避位置においては、当該妻型枠に接続される妻型枠ジャッキ、コンクリート打設用配管及び塞止弁装置が解体・撤去されることを特徴とする。

また、
前記掘削機本体の後部内周面に浅凹部が環状に形成され、この浅凹部に、周方向にそれぞれ複数分割されて、前記直打ちコンクリートによる覆工の際に用いられる面一プレートと、前記セグメントによる覆工の際に用いられるテールシール部材の支持プレートとが選択的に着脱可能になっていることを特徴とする。

また、
前記支持プレートの継目部分には、別途テールシール部材が後付けされることを特徴とする。

また、
前記セグメントによる覆工から前記直打ちコンクリートによる覆工への切り替えの際に、前記テールシール部材の取着部後方の掘削機本体の後部内周面とセグメントとの隙間をシールし得る密封装置を所要のセグメントに予め組み込んでなることを特徴とする。

また、
前記密封装置は、セグメントの外周面に形成した環状溝内に埋設されたエアーバックタイプのパッキンであることを特徴とする。

本発明に係る覆工切替式トンネル掘削機によれば、妻型枠を作業位置か退避位置の何れかに位置決めし、推進ジャッキに内型枠押し当て用の第１スプレッダかセグメント押し当て用の第２スプレッダの何れかを装着し、かつ掘削機本体の後部内周面にテールシール部材を装着又は離脱することで、直打ちコンクリートによる覆工とセグメントによる覆工とを必要に応じて容易にかつ短期間で切り替えることができる。また、妻型枠は従前どおりの構造で済むので、コストアップは招来しない。

本発明の実施例１を示す泥土圧式シールド掘削機の要部拡大断面図である。 直打ちコンクリートによる覆工からセグメントによる覆工への切替工程を示す説明図である。 テールパッキンの施工説明図である。 泥土圧式シールド掘削機の概略構成図である。 本発明の実施例２を示すセグメントによる覆工から直打ちコンクリートによる覆工への切替前の工程図である。 セグメントによる覆工から直打ちコンクリートによる覆工への切替後の工程図である。 直打ちコンクリートによる覆工からセグメントによる覆工への切替後の工程図である。

以下、本発明に係る覆工切替式トンネル掘削機を実施例により図面を用いて詳細に説明する。

図１は本発明の実施例１を示す泥土圧式シールド掘削機の要部拡大断面図、図２は直打ちコンクリートによる覆工からセグメントによる覆工への切替工程を示す説明図、図３はテールパッキンの施工説明図、図４は泥土圧式シールド掘削機の概略構成図である。

本実施例で説明する覆工切替式トンネル掘削機は、掘削土砂をチャンバに充満させ、チャンバ内を所定の圧力に維持しながら排土することで、切羽の安定化を図りながらトンネルを構築する泥土圧式シールド掘削機である。

この泥土圧式シールド掘削機において、図４に示すように、掘削機本体１１は、ほぼ同径の円筒形状をなす前胴１２と後胴１３とが連結軸１４によって左右に屈曲自在に連結され、両者の間に架設された複数本の中折ジャッキ１５によって屈曲可能となっている。この前胴１２の前部には回転リング１６が回転自在に支持され、この回転リング１６には連結ビーム１７を介してカッタヘッド１８が連結されている。

このカッタヘッド１８は、中心部から複数本のカッタスポーク１９が放射状をなして配設され、各先端部が外周リング２０によって連結されて構成されている。そして、カッタヘッド１８の中心部にはフィッシュテールカッタ２１が装着される一方、各カッタスポーク１９の両側部には複数のカッタビット２２がその長手方向に沿って装着され、所定のカッタスポーク１９の先端部には余掘りを行うコピーカッタ２３ａとレスキュービット２３ｂが出没自在に設けられている。

また、回転リング１６の後部にはリングギア２４が固定される一方、掘削機本体１１の前胴１２には複数のカッタ旋回モータ（駆動手段）２５が装着されており、この各カッタ旋回モータ２５の駆動ギア２６がこのリングギア２４にそれぞれ噛み合っている。従って、カッタ旋回モータ２５を駆動して駆動ギア２６を回転駆動すると、リングギア２４、回転リング１６、連結ビーム１７を介してカッタヘッド１８を回転することができる。

また、前胴１２の前部には、カッタヘッド１８の後方に位置してバルクヘッド２７が設けられ、カッタヘッド１８とこのバルクヘッド２７との間に掘削土砂を充満させるチャンバ２８が形成されている。バルクヘッド２７の前面側には複数本の固定式攪拌棒２９が突設される一方、カッタヘッド１８の後面側には複数本の旋回式攪拌棒３０が突設されている。固定式攪拌棒２９の一部にチャンバ２８内の掘削土砂に対して加泥材を注入する図示しない加泥材注入口が設けられると共に、薬液（固結材）を注入する図示しない薬液注入管が設けられている。そして、掘削機本体１１内には、掘削土砂を外部に搬出するためのスクリューコンベヤ３３が配設されており、前部が下方に傾斜してバルクヘッド２７を貫通してチャンバ２８内に開口している。

掘削機本体１１の後胴１３には、その内周面に沿ってリングガータ３４が固定されており、このリングガータ３４には複数本のシールドジャッキ（推進ジャッキ）３５が後胴１３の周方向に沿って装着されており、このシールドジャッキ３５を後方に伸長して内型枠押し当て用の第１スプレッダ３６を既設の内型枠Ｍに押し付けることで、その反力により掘削機本体１１が前進することができる。

この内型枠Ｍは、複数個のものがトンネルの内壁面（地山Ｇの周壁）に所定の間隔を空けて周方向にリング状に組み付けられるものであり、この組付後に、地山Ｇの周壁とリング状に組み立てられた内型枠Ｍの外周面との空間（コンクリート打設空間Ｅ）に後述するコンクリート打設装置により直打ちでコンクリートが打設されることで、直打ちコンクリートによる覆工のトンネルが構築される。また、内型枠Ｍはトンネルの長手方向へ複数段に亙って組み付けられる。

また、リングガータ３４には旋回リング３８がトンネル内壁面の周方向に沿って旋回自在に支持され、図示しない駆動モータにより駆動旋回可能となっており、この旋回リング３８に内型枠Ｍ又は後述するセグメントＳを組み立てるエレクタ３９が設けられている。さらに、リングガータ３４には左右一対の支柱４０が固定され、この支柱４０からは後方に向かってほぼ水平な架台４１が延設されており、この架台４１には内型枠Ｍ又は後述するセグメントＳの組立てを補助する前後一対の形状保持装置４２が前後方向に移動自在に装着されている。

また、架台４１の後端には図示しない複数台の搬送台車が連結され、これら搬送台車には後段の内型枠Ｍを脱型する内型枠脱型装置と、この内型枠脱型装置で脱型された内型枠Ｍをトンネル前方へ搬送するホイストと、コンクリート打設装置のパワーユニット等が搭載されている。

更に、後胴（スキンプレート）１３と内型枠Ｍとの間には同内型枠Ｍと地山Ｇの周壁との間にコンクリート打設空間Ｅを形成するリング状の妻型枠４６が配設されると共に、その前方に位置して複数本の妻型枠ジャッキ４７が周方向に沿って並設され、ヘッド基端部がリングガータ３４を貫通して後胴１３内周部に連結される一方、ロッド先端部が前記妻型枠４６に連結されている。そして、妻型枠４６の外周面には図示しないゴム製のシール部材が周方向に沿って装着される一方、妻型枠４６の内周面には金属製のブラシシール４９が周方向に沿って装着されている。

従って、この妻型枠ジャッキ４７を伸縮することで、リング状の妻型枠４６を前後に移動することができ、このとき、図示しないシール部材が後胴１３の内周面に押圧すると共に、ブラシシール４９がリング状に組み立てられた既設内型枠Ｍの外周面に押圧することで、掘削機本体１１の内部への浸水を防止することができる。

そして、この妻型枠４６には掘進方向後方に向かってコンクリート打設管５０が周方向に所定間隔離間して複数本挿通され、これらのコンクリート打設管５０は、後述する塞止弁装置６０の切り替えによりコンクリート打設配管（ホース：コンクリート打設ライン）５１と連通可能になっている。これらのコンクリート打設配管５１は前述した搬送台車上のパワーユニットを介してコンクリート供給源に連通される。

従って、塞止弁装置６０によりコンクリート打設管５０とコンクリート打設配管５１とが連通した状態下で、コンクリート供給源から送給された生コンクリートがコンクリート打設配管５１、コンクリート打設管５０を通って前述したコンクリート打設空間Ｅに打設される。この際、コンクリート打設空間Ｅには、各コンクリート打設管５０より周方向に順番に打設されるようになっている。

また、前記内型枠Ｍ、妻型枠４６、コンクリート打設管５０、コンクリート打設配管５１及び塞止弁装置６０等でコンクリート打設装置が構成される。

そして、本実施例では、図１に示すように、前記シールドジャッキ３５において、内型枠押し当て用の第１スプレッダ３６がセグメント押し当て用の第２スプレッダ５４と交換可能になっている。このセグメント押し当て用の第２スプレッダ５４はその基体部５４ａの長さが内型枠押し当て用の第１スプレッダ３６の基体部３６ａの長さより所定の長さ（図示例では５倍程度）だけ長く形成されると共に、その当接部５４ｂのトンネル内壁面側のオフセット量（シールドジャッキ３５の中心に対するもので、内型枠Ｍに対応している）が内型枠押し当て用の第１スプレッダ３６における当接部３６ｂのオフセット量より増大され、後述するセグメントＳに対応し得るようになっている。

また、後胴１３の後部内周面に環状に形成された浅凹部５２には周方向に複数分割された面一プレート５３が取外し可能に埋設され、直打ちコンクリートＣによる覆工の際には、後胴１３の内周面を面一に保持し得るようになっている。そして、この面一プレート５３が前記セグメントＳによる覆工の際に用いられるテールパッキン５５（テールシール部材）と交換可能になっている。

前記テールパッキン５５は、図３にも示すように、支持プレート５５ａとこの支持プレート５５ａに掘削機本体１１の長手方向へ複数段（図示例では二段）に亙って植設されたブラシ状のパッキン材５５ｂとからなると共に、面一プレート５３と同様に、周方向に複数分割されて前記浅凹部５２にボルト５７等で装着されるようになっている。また、支持プレート５５ａの継目部分には、前記支持プレート５５ａを有さないテールパッキン（テールシール部材）５５Ａが別途後付けされるようになっている。

このように構成されるため、図１に示す直打ちコンクリートＣによる覆工のトンネル施工下において、掘削条件（環境）の変化により、セグメントＳによる覆工が必要になった場合は、図２に示すように、妻型枠ジャッキ４７、コンクリート打設管５０、コンクリート打設配管５１及び塞止弁装置６０を解体・撤去し、妻型枠４６を図１に示した作動位置から図２に示すリングガータ３４の後面に近接した退避位置まで後退させる（図２の（ａ）参照）。

次に、複数本のシールドジャッキ３５において、内型枠押し当て用の第１スプレッダ３６を取り外し、代わりにセグメント押し当て用の第２スプレッダ５４を装着すると共に、後胴１３の浅凹部５２に埋設された面一プレート５３を取り外し、代わりにテールパッキン５５を装着し、かつ支持プレート５５ａを有さないテールパッキン５５Ａを後付けする（図２の（ｂ）参照）。

次に、エレクタ３９により後胴１３の内周面に沿ってスペーサとしての補助セグメントＳａ，Ｓｂを直打ちコンクリートＣと既設内型枠Ｍにそれぞれ連続させて組み立てた後、正規のセグメントＳを組み立てる（図２の（ｃ）参照）。

次に、シールドジャッキ３５を伸長することで、セグメント押し当て用の第２スプレッダ５４が既設のセグメントＳに押し当てられ、その後このセグメントＳに掘進反力をとって掘削機本体１１が前進し、掘進する（図２の（ｄ）参照）。

以下、同様にして、セグメントＳの組立てと掘進とを交互に行うことにより、セグメントＳによる覆工のトンネル施工が実施される。

尚、再び、掘削条件（環境）の変化により、直打ちコンクリートＣによる覆工が必要になった場合は、上述した工程の逆を行えば良いことが自明であるので、説明は省略する。

このようにして本実施例によれば、妻型枠４６を作業位置か退避位置の何れかに位置決めし、シールドジャッキ３５に内型枠押し当て用の第１スプレッダ３６かセグメント押し当て用の第２スプレッダ５４の何れかを装着し、かつ掘削機本体１１（後胴１３）の後部内周面に形成された浅凹部５２に面一プレート５３かテールパッキン５５の何れかを装着することで、直打ちコンクリートＣによる覆工とセグメントＳによる覆工とを必要に応じて容易にかつ短期間で切り替えることができる。

つまり、従来のように、リング状で大型の妻型枠４６の取付け・取外し（解体・撤去）と掘削機本体１１の後胴１３に相当するような大型のインナープレートの組立て、分解（切り離し）を行わないで済むのである。

また、妻型枠４６は従前どおりの構造で済むので、コストアップは招来しない。また、テールパッキン５５の支持プレート５５ａの継目部分には、別途支持プレート５５ａを有しないテールパッキン５５Ａが後付けされるので、シール性が向上される。

図５は本発明の実施例２を示すセグメントによる覆工から直打ちコンクリートによる覆工への切替前の工程図、図６はセグメントによる覆工から直打ちコンクリートによる覆工への切替後の工程図、図７は直打ちコンクリートによる覆工からセグメントによる覆工への切替後の工程図である。

本実施例は、実施例１における泥土圧式シールド掘削機を用いて、セグメントＳによる覆工から直打ちコンクリートＣによる覆工への切り替えの際に、テールパッキン５５（及び５５Ａ）が取り付けられる浅凹部５２後方の掘削機本体１１の後胴１３内周面とセグメントＳとの隙間をシールし得る密封装置７０を所要のセグメントＳに予め組み込んでなることを特徴とする。

図示例では、セグメントＳによる覆工から直打ちコンクリートＣによる覆工への切替え前において、最後に組み立てられる最前方の特殊セグメントＳｃに密封装置７０が予め組み込まれている。即ち、特殊セグメントＳｃの外周面には環状溝７１が形成され、この環状溝７１内に、自動車用エアーバックと同様に、点火装置やガス発生剤等からなるインフレータを備えたエアーバックタイプのパッキンで構成された密封装置７０が埋設されているのである。

尚、厳密には、特殊セグメントＳｃは、正規のセグメントＳと同様に、複数のセグメントピースがリング状に組み立てられてなるものであるので、前記環状溝７１は複数のセグメントピースに形成された円弧状溝が連続して形成されると共に密封装置７０はセグメントピース毎分割して形成・配設される。また、特殊セグメントＳｃは最後に組み立てられる最前方のものに限られることはない。

また、密封装置７０としては、エアーバックタイプのパッキンに限らず、風船状のシール部材でも良いし、特殊セグメントＳｃの外周面に形成した複数の注入孔からシール剤を噴出させるものでも良い。その他の構成は、実施例１と同様なので、図５乃至図７において同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。

このように構成されるため、図５に示すセグメントＳによる覆工のトンネル施工下において、掘削条件（環境）の変化により、直打ちコンクリートＣによる覆工が必要になった場合は、先ず、最後に組み立てる最前方のセグメントとして、密封装置７０が予め組み込まれた特殊セグメントＳｃが組み立てられる（図５の（ａ）参照）。

次に、シールドジャッキ３５を伸長することで、セグメント押し当て用の第２スプレッダ５４が既設の特殊セグメントＳｃに押し当てられ、その後この特殊セグメントＳｃに掘進反力をとって掘削機本体１１が前進し、掘進する。次いで、シールドジャッキ３５を収縮して形成された第２スプレッダ５４と特殊セグメントＳｃとの間隙に一時的に仮設スペーサＳｄを組み立てた後、シールドジャッキ３５を伸長することで、仮設スペーサＳｄに掘進反力をとって掘削機本体１１が前進し、掘進する（図５の（ｂ）参照）。

そして、テールパッキン５５（及び５５Ａ）が特殊セグメントＳｃ上から仮設スペーサＳｄ上に移載した後、特殊セグメントＳｃに組み立てられた密封装置７０を作動させて、テールパッキン５５（及び５５Ａ）が取り付けられた浅凹部５２後方の掘削機本体１１の後胴１３内周面と特殊セグメントＳｃとの隙間をシールする。

次に、仮設スペーサＳｄを取り外した後、浅凹部５２からテールパッキン５５（及び５５Ａ）を取り外し、代わりに面一プレート５３を装着して、セグメントＳによる覆工のトンネル施工を終了する（図５の（ｃ）参照）。尚、本実施例では、実施例１と異なり、セグメントＳによる覆工の際は、リングガータ３４の後面に近接した退避位置まで後退した妻型枠４６からコンクリート打設管５０及び塞止弁装置６０を解体・撤去しないで連結したままであるが、実施例１と同様に解体・撤去しても良い。図示しない妻型枠ジャッキ４７（図４参照）は解体・撤去される。

次に、複数本のシールドジャッキ３５において、セグメント押し当て用の第２スプレッダ５４を取り外し、内型枠押し当て用の第１スプレッダ３６を代わりに装着すると共に、第１スプレッダ３６と特殊セグメントＳｃとの間隙に２リング分の内型枠Ｍを特殊セグメントＳｃに連続させて組み立てた後、妻型枠４６をコンクリート打設管５０及び塞止弁装置６０と共に作業位置まで前進させる（図６の（ａ）参照）。

次に、塞止弁装置６０にコンクリート打設配管５１を連結した後、シールドジャッキ３５を収縮して第１スプレッダ３６と既設の内型枠Ｍとの間隙に新しい内型枠Ｍを組み立てる（図６の（ｂ）参照）。この後、シールドジャッキ３５を伸長することで、内型枠押し当て用の第１スプレッダ３６が既設の内型枠Ｍに掘進反力をとって掘削機本体１１が前進し、掘進すると同時に、コンクリート供給源から送給された生コンクリートがコンクリート打設配管５１、コンクリート打設管５０を通って妻型枠４６より掘削機本体１１の後胴１３内周面と内型枠Ｍとの空間（図４のコンクリート打設空間Ｅ参照）に打設され直打ちコンクリートＣによる覆工が開始される。

以後、内型枠Ｍの盛り替えと生コンクリートの打設が繰り返されて直打ちコンクリートＣによる覆工のトンネル施工が続行され（図６の（ｃ）参照）、再度セグメントＳによる覆工のトンネル施工を実施する場合は、コンクリート打設配管５１や妻型枠ジャッキ４７を解体・撤去して妻型枠４６を作動位置からリングガータ３４の後面に近接した退避位置までコンクリート打設管５０及び塞止弁装置６０と共に後退させて直打ちコンクリートＣによる覆工のトンネル施工を終了すると共に必要に応じて内型枠Ｍを数リング分解体する（図６の（ｄ）参照）。

次に、浅凹部５２から面一プレート５３を取り外し、代わりにテールパッキン５５（及び５５Ａ）を装着すると共に、複数本のシールドジャッキ３５において、内型枠押し当て用の第１スプレッダ３６を取り外し、代わりにセグメント押し当て用の第２スプレッダ５４を装着する（図７の（ａ）参照）。

次に、エレクタ３９（図４参照）により後胴１３の内周面に沿ってスペーサとしての補助セグメントＳａを直打ちコンクリートＣと既設内型枠Ｍにそれぞれ連続させて組み立てた後、正規のセグメントＳを組み立てて、以後、実施例１と同様にしてセグメントＳにより覆工のトンネル施工を開始する（図７の（ｂ）〜図７の（ｄ）参照）。

このようにして本実施例によれば、実施例１と同様に、妻型枠４６を作業位置か退避位置の何れかに位置決めし、シールドジャッキ３５に内型枠押し当て用の第１スプレッダ３６かセグメント押し当て用の第２スプレッダ５４の何れかを装着し、かつ掘削機本体１１（後胴１３）の後部内周面に形成された浅凹部５２に面一プレート５３かテールパッキン５５の何れかを装着することで、直打ちコンクリートＣによる覆工とセグメントＳによる覆工とを必要に応じて容易にかつ短期間で切り替えることができると共に、妻型枠４６は従前どおりの構造で済むので、コストアップは招来しない。

加えて、本実施例では、セグメントＳによる覆工から直打ちコンクリートＣによる覆工への切替え前において、最後に組み立てられる最前方の特殊セグメントＳｃに密封装置７０が予め組み込まれて、テールパッキン５５（及び５５Ａ）が取り付けられる浅凹部５２後方の掘削機本体１１の後胴１３内周面とセグメントＳとの隙間をシールし得るようになっているので、当該時に浅凹部５２からテールパッキン５５（及び５５Ａ）が取り外されても、密封装置７０によって地下水等が掘削機本体１１内へ漏洩するのが確実に防止することができる。

尚、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、後胴１３の内周面に浅凹部５２を形成しないで直にテールパッキン５５を着脱可能に構成する等各種変更が可能であることはいうまでもない。

本発明に係る覆工切替式トンネル掘削機は、泥土圧式シールド掘削機に限らず、泥水式シールド掘削機、機械式シールド掘削機やトンネルボーリングマシーン（ＴＢＭ）等にも適用することができる。

１１ 掘削機本体
１２ 前胴
１３ 後胴
１５ 中折れジャッキ
１８ カッタヘッド
３４ リングガータ
３５ シールドジャッキ
３６ 内型枠押し当て用の第１スプレッダ
４６ 妻型枠
４７ 妻型枠ジャッキ
５０ コンクリート打設管
５１ コンクリート打設配管
５３ 面一プレート
５２ 浅凹部
５４ セグメント押し当て用の第２スプレッダ
５５ テールパッキン
５５ａ 支持プレート
５５ｂ パッキン材
５７ ボルト
６０ 塞止弁装置
７０ 密封装置（エアーバックタイプのパッキン）
７１ 環状溝
Ｃ コンクリート
Ｇ 地山
Ｍ 内型枠
Ｓ セグメント
Ｓａ 補助セグメント
Ｓｂ 補助セグメント
Ｓｃ 特殊セグメント
Ｓｄ 仮設スペーサ

Claims (6)

1. 既設の内型枠又はセグメントに掘進反力をとって掘削機本体を前進させるための推進ジャッキを掘削機本体の周方向に複数本備えると共に、直打ちコンクリートによる覆工の際に用いる妻型枠を作業位置と退避位置とに進退可能に設け、直打ちコンクリートによる覆工とセグメントによる覆工とを随時切り替えてトンネルを掘削することが可能な覆工切替式トンネル掘削機において、
   前記推進ジャッキには、前記直打ちコンクリートによる覆工の際に用いられる内型枠押し当て用の第１スプレッダと、前記セグメントによる覆工の際に用いられるセグメント押し当て用の第２スプレッダとが選択的に着脱可能になっていると共に、
   前記掘削機本体の後部内周面には、前記セグメントによる覆工の際に用いられるテールシール部材が着脱可能になっていることを特徴とする覆工切替式トンネル掘削機。
2. 前記妻型枠は、前記退避位置においては、当該妻型枠に接続される妻型枠ジャッキ、コンクリート打設用配管及び塞止弁装置が解体されることを特徴とする請求項１に記載の覆工切替式トンネル掘削機。
3. 前記掘削機本体の後部内周面に浅凹部が環状に形成され、この浅凹部に、周方向にそれぞれ複数分割されて、前記直打ちコンクリートによる覆工の際に用いられる面一プレートと、前記セグメントによる覆工の際に用いられるテールシール部材の支持プレートとが選択的に着脱可能になっていることを特徴とする請求項１又は２に記載の覆工切替式トンネル掘削機。
4. 前記支持プレートの継目部分には、別途テールシール部材が後付けされることを特徴とする請求項３に記載の覆工切替式トンネル掘削機。
5. 前記セグメントによる覆工から前記直打ちコンクリートによる覆工への切り替えの際に、前記テールシール部材の取着部後方の掘削機本体の後部内周面とセグメントとの隙間をシールし得る密封装置を所要のセグメントに予め組み込んでなることを特徴とする請求項１，２，３又は４に記載の覆工切替式トンネル掘削機。
6. 前記密封装置は、セグメントの外周面に形成した環状溝内に埋設されたエアーバックタイプのパッキンであることを特徴とする請求項５に記載の覆工切替式トンネル掘削機。

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