JPH0786118B2 - 新規糖タンパク複合体およびその製造方法 - Google Patents
新規糖タンパク複合体およびその製造方法Info
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- JPH0786118B2 JPH0786118B2 JP3090002A JP9000291A JPH0786118B2 JP H0786118 B2 JPH0786118 B2 JP H0786118B2 JP 3090002 A JP3090002 A JP 3090002A JP 9000291 A JP9000291 A JP 9000291A JP H0786118 B2 JPH0786118 B2 JP H0786118B2
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Description
緑藻が藻体外に産生する糖タンパク複合体に関し、特に
は抗腫瘍作用を有する糖タンパク複合体に係る。
いは多糖として、キノコや細菌由来のものが知られてい
る。これらはいずれも、生体の腫瘍に対する防御機能を
高めることにより抗腫瘍作用を示すことが見出されてい
る。
ロレラと記載することがある)などの緑藻については、
分子量が12万であり、数種類の糖で構成されている抗腫
瘍糖タンパク質の抽出・分離が報告されている(特開昭
61-69728号公報)。この物質は、アミラーゼを用いた加
水分解処理によって抗腫瘍作用が増強され、直接的殺細
胞作用を示す。しかしながら、この物質は細胞内物質で
あるため多様な成分を含み、その上藻体外に分泌されな
いので分画精製および大量採取が困難であった。
は、粘質多糖(特公昭61-96992号公報)やMoore,B.G.、
Tischer,R.G.の多糖類(Science 、145 :586-587 、19
64)などが知られているが、これらの物質に抗腫瘍作用
は認められていない。
クロレラが多糖類を藻体外に産生することは知られてい
るが、これらの物質には抗腫瘍作用は認められていな
い。また、クロレラが藻体外に産生する糖タンパク複合
体も知られていない。
体外に産生し、かつ抗腫瘍作用を有する新規糖タンパク
複合体、およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
に鑑み、鋭意研究の結果、クロレラが培養液中に産生す
る、抗腫瘍作用を有する新規の糖タンパク複合体を見出
した。
レラ属の単細胞緑藻が藻体外に産生する糖タンパク複合
体であって、構成糖として50%以上のガラクトースを含
有する多糖類とタンパク質とを含み、該多糖類の含有率
が50ないし70%、該タンパク質の含有率が30ないし50
%、および平均分子量が20万であることを特徴とする。
製造方法について説明する。
(Autotrophic )、従属栄養性(Heterotrophic )もし
くは混合栄養性(Mixotrophic )のいずれの方法を用い
てもよいが、効率を考慮すると従属栄養条件下もしくは
混合栄養条件下で培養することが好ましい。培養の際に
は、クロレラ以外の微生物が混入しないように、各機器
類、培養液等の滅菌および取扱いには十分注意する必要
がある。
た種株の小規模培養を坂口フラスコを用いて行なう。続
いて、一般的なクロレラの液体培養用培地を用いて、徐
々にスケールアップしながら数日ないし数週間培養す
る。得られたクロレラ培養液は遠心分離機にかけて、目
的とする糖タンパク複合体を含有する上清(CVSと略
す)とクロレラ藻体とに分離する。
はゲルろ過クロマトグラフィーにより高分子成分(CV
SーUと略す)を分離し、次いで疎水クロマトグラフィ
ー、陰イオンクロマトグラフィー、キレートクロマトグ
ラフィー等を用いて精製して目的とする糖タンパク複合
体を得る。
有しており、抗腫瘍剤の主成分として使用することがで
きる。なお、培養液の上清であるCVSおよび粗精製物
であるCVSーUもそのまま抗腫瘍剤として使用するこ
とが可能である。
複合体の調製 寒天斜面培地(グルコース培地)で保存していた種株
(クロレラ工業社内番号CK-22 )1白金耳を坂口フラス
コに接種し、4日間振とう培養した。その後、培養液を
10リットルのジャーファメンターに移し、3日間培養し
た。この培養液をさらに1トンタンクに移し、4日間培
養した後培養液を収穫した。ここで使用した培地の組成
および培養条件は以下の通りである。
し、目的とする糖タンパク複合体を含有する上清(CV
S)とクロレラ藻体とに分離した。このCVSをPTH
K膜(Millipore Laboratory製、200 倍)を用いて限
外ろ過した後、凍結乾燥して高分子成分(CVSーU)
を得た。CVSーUの収量は、培養液1リットル当り2
ないし3gであった。 実施例2 糖タンパク複合体の精製 実施例1で得たCVSーU 10gを、次に示す方法で活
性画分を確認しながら順次分画した。
ス CL-4B (疎水クロマトグラフィー)にかけ、1/10M
リン酸緩衝液(pH 6.81)を用いて溶出して親水性の強
い最初の画分(P1と略す)を分取した。次いで、この
画分を陰イオン交換クロマトグラフィーにかけて2番目
の画分(P1Q2と略す)を分取した。このP1Q2
を、さらにキレートクロマトグラフィーにかけて分画
し、2番目に溶出した抗腫瘍活性の高い画分(Q2C2
と略す)2.2 gを得た。
学的性状を調べるために以下の測定を行なった。
ついて、それぞれの含有率を求めた。この際、全糖につ
いてはフェノール・硫酸法によりガラクトース換算で、
タンパク質についてはLowry 法によりウシ血清アルブミ
ン換算で、脂質についてはクロロホルム・メタノール抽
出による重量法およびガスクロマトグラフィーによる脂
肪酸の検出によって、リン酸基についてはBartlett法に
よって、および硫酸基についてはDodgson-Price の比濁
法によって求めた。結果を以下に示す。
糖およびタンパク質の含有率はそれぞれ50〜70%、およ
び30〜50%の範囲内にあった。
時間加水分解した後、トリフルオロ酢酸誘導体としてガ
スクロマトグラフィーにより測定した。結果を以下に示
す。なお、含有率は(w/w)%で示した。
6N塩酸を用いて 110℃で24時間加水分解した後、フェ
ニルチオヒダントイン誘導体として高速液体クロマトグ
ラフィーにより測定した。結果を以下に示す。なお、含
有率は(w/w)で示した。
として、Sephacryl S-300 HR(10×460 mm)を用いたゲ
ルろ過クロマトグラフィーにかけた。その結果を図2に
示す。図2において、破線は糖を、実線はタンパク質
(280 nmにおけるUV吸収)をそれぞれ表わす。また、
種々のタンパク質(分子量マーカー)と溶出時間との関
係を図2の場合と同様にして測定し、結果を図3に示し
た。図2および図3より、Q2C2の平均分子量は20万
であることが明らかになった。
当り約 3×106 個細胞づつ皮下移植した。移植の 2日、
4日および 6日後に、一回にマウス一匹当り 5mg/PB
S(リン酸緩衝生理食塩水) 0.2mlのCVSーUを、静
脈内、皮下、腹腔内、もしくは腫瘍内注射により投与し
た。
を測定してその体積を算出し、対照群との比較により抗
腫瘍作用を判定した。なお、各試料(CVS−U)の滅
菌は沸騰水中で30分間行なった。また、対照群として
は、PBSのみを投与したマウスを用いた。その結果を
表1に示す。
ず、静脈内注射でも顕著な腫瘍抑制効果を示した。さら
に、腹腔内および皮下注射によっても明らかな抗腫瘍効
果が認められた。
強い効果の得られる腫瘍内注射の系について、さらに詳
細な検討を行なった。
マウス一匹当り約 3×106 個細胞づつ皮下移植した。次
いで、移植の2日、 4日および 6日後に、一回に一匹当
り 1もしくは 5mg/PBS 0.2mlのCVS−Uもしくは
Q2C2、またはPBS(対照)を腫瘍内に投与した。
を測定してその体積を算出し、対照群との比較により抗
腫瘍効果を判定した。なお、各試料の滅菌は沸騰水中で
30分間行なった。その結果を表2に示す。
比較して明らかに強い抗腫瘍効果を示し、腫瘍の増殖を
約90%抑制した。すなわち、抗腫瘍活性はQ2C2に局
在し、Q2C2は抗腫瘍糖タンパク複合体であると考え
ることができる。 実施例4 生体内での腫瘍に対する防御機能の増強 CVS−Uによる抗腫瘍効果が生体防御を介しているか
どうかを調べるために以下の実験を行なった。
する系において、他の条件は実施例1と同様にして実験
を行なった。BALB/Cマウスは、正常のnu/+ マウ
ス(胸腺を有するマウス)およびnu/nuマウス(胸腺が
欠損しているためにTリンパ球が無く、正常な免疫反応
が行なわれないマウス)を用いた。結果を表3に示す。
なお、表中の数値は、腫瘍移植の14日後のものである。
は約70%の腫瘍増殖抑制率を示したが、Tリンパ球がな
く生体防御機能が低下しているnu/nuマウスでは効果が
認められなかった。これより、CVS−Uの抗腫瘍効果
には、生体防御反応、特にTリンパ球が関与しているこ
とが判明した。
タンパク複合体は、クロレラ属の単細胞緑藻により藻体
外に産生されるものであって、従来公知の、クロレラが
産生する多糖類もしくは糖タンパク質とは著しく異なる
化学的組成、すなわちガラクトースに富む多糖類とタン
パク質とを含むものである。この糖タンパク複合体は、
藻体外、すなわち培養液中に産生されるので、分離精製
が容易であり、かつ生産性も非常に高く、安価に製造す
ることができる。加えて、クロレラの培養液は、従来廃
棄していたものであるので、産業廃棄物の有効利用にも
なる。
防御機能を高めることによる、抗腫瘍作用を有してい
る。
クトルを示す特性図。
トグラフィーのパターンを示す特性図。
子量のタンパク質と溶出時間との関係を示す相関図。
Claims (4)
- 【請求項1】 クロレラ属の単細胞緑藻が藻体外に産生
する糖タンパク複合体であって、構成糖として50%以上
のガラクトースを含有する多糖類とタンパク質とを含
み、該多糖類の含有率が50ないし70%、該タンパク質の
含有率が30ないし50%、および平均分子量が20万である
糖タンパク複合体。 - 【請求項2】 請求項1記載の糖タンパク複合体を含有
する抗腫瘍剤。 - 【請求項3】 クロレラ属の単細胞緑藻を培養し、その
培養液を遠心して上清を分離し、この上清を精製して平
均分子量20万の画分を得ることを特徴とする請求項1記
載の糖タンパク複合体の製造方法。 - 【請求項4】 前記精製を、まず限外ろ過、透析もしく
はゲルろ過クロマトグラフィーにより行ない、次いで疎
水クロマトグラフィー、陰イオンクロマトグラフィーも
しくはキレートクロマトグラフィーにより行なうことを
特徴とする請求項3記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3090002A JPH0786118B2 (ja) | 1991-03-28 | 1991-03-28 | 新規糖タンパク複合体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3090002A JPH0786118B2 (ja) | 1991-03-28 | 1991-03-28 | 新規糖タンパク複合体およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04300898A JPH04300898A (ja) | 1992-10-23 |
JPH0786118B2 true JPH0786118B2 (ja) | 1995-09-20 |
Family
ID=13986400
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3090002A Expired - Lifetime JPH0786118B2 (ja) | 1991-03-28 | 1991-03-28 | 新規糖タンパク複合体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0786118B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105535927A (zh) * | 2016-01-29 | 2016-05-04 | 山东中海制药有限公司 | 一种用于治疗流感、上呼吸道感染、病毒性肺炎的药物 |
CN105535954A (zh) * | 2016-01-29 | 2016-05-04 | 程龙 | 一种用于防治流感、禽流感、上呼吸道感染的疫苗 |
CN105597081A (zh) * | 2016-01-29 | 2016-05-25 | 程龙 | 一种用于降低高血压的药物 |
CN105617354A (zh) * | 2016-01-29 | 2016-06-01 | 程龙 | 一种用于治疗风湿类风湿的药物 |
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-
1991
- 1991-03-28 JP JP3090002A patent/JPH0786118B2/ja not_active Expired - Lifetime
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