JPH0784626B2 - 溶融金属への超音波振動の付加方法 - Google Patents

溶融金属への超音波振動の付加方法

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JPH0784626B2
JPH0784626B2 JP1067486A JP6748689A JPH0784626B2 JP H0784626 B2 JPH0784626 B2 JP H0784626B2 JP 1067486 A JP1067486 A JP 1067486A JP 6748689 A JP6748689 A JP 6748689A JP H0784626 B2 JPH0784626 B2 JP H0784626B2
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嘉昭 大沢
亨 生井
彰 佐藤
吾郎 荒金
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科学技術庁金属材料技術研究所長
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、溶融金属への超音波振動の付加方法に関す
るものである。さらに詳しくは、高温状態にある金属溶
融からの高品質金属の製造に際して、振動ホーンの溶融
や侵食がなく、溶融金属の汚染を避けることのできる新
しい溶融金属への超音波振動の付記方法に関するもので
ある。
(従来の技術とその課題) 金属加工では、その過程において、溶融金属に超音波振
動を加えると、脱ガスの促進、介在物の凝集及び除去、
溶融金属中への溶融金属や固体の分散、結晶の微細化、
偏析の防止などの数多くの効果が得られることが期待さ
れている。
しかしながら、溶融金属に超音波振動を付加する場合、
溶融金属を振動させるホーンに様々な問題が生ずるのが
実際である。
すなわち、振動ホーンには、 (a)高温における機械的強度及びエロージョン抵抗が
大きいこと、 (b)熱衝撃に対して強いこと、 及び、 (c)溶融金属と反応しないこと、 が要求されるが、これらの特性を満たすホーン材料を見
出すことは現実的に困難である。このため、従来におい
ては、溶融金属と余り反応することのない金属から形成
されたホーンを使用し、ホーンの消耗やこれによる溶融
金属への汚染が最小限となるようにしている。
しかしながら、その場合にも、溶融金属への超音波振動
の付加は、低融点の金属及び短時間の振動付加に限られ
ている。
このように、従来では、最も広く使用される高融点金属
には、超音波振動を付加することができないのが実情で
あった。
この発明は、以上の通りの事情で鑑みてなされたもので
あり、従来の溶融金属への超音波振動付加における欠点
を解消し、高温状態にある金属溶融からの高品質金属の
製造に際して、振動ホーンの溶融や侵食がなく、溶融金
属の汚染を避けることのできる新しい溶融金属への超音
波振動の付加方法を提供することを目的としている。
(課題を解決するための手段) この発明は、上記の課題を解決するものとして、溶融金
属と振動ホーンに反応せず、かつ溶融金属よりも融点の
低い溶融塩、溶融ガラス又は溶融スラグに振動ホーンを
浸漬し、超音波振動をその溶融塩、溶融ガラス又は溶融
スラグを介して溶融金属に付加することを特徴とする溶
融金属への超音波振動の付加方法を提供する。
約800℃以上の高温域で溶融状態を維持する溶融金属に
直接振動ホーンを入れると、ホーンの溶融、侵食が生
じ、ホーンの消耗及びそれに伴う溶融金属の汚染が避け
られない。
そこでこの発明においては、溶融金属よりも融点が低
い、溶融状態にある溶融塩、溶融ガラス又は溶融スラグ
を用い、これに振動ホーンを浸漬し、溶融塩、溶融ガラ
ス又は溶融スラグを介して溶融金属に超音波振動を付加
する。溶融塩、溶融ガラス又は溶融スラグには、溶融金
属及び振動ホーンの両方の反応することのないものを使
用する。このため、高温状態にある金属溶融に超音波振
動を確実かつ安定に付加することができ、高品質金属の
製造が可能となる。
この場合、溶融金属より密度の低い溶融塩、溶融ガラス
又は溶融スラグを用いると、これらは溶融金属の上側に
位置し、上層を形成する。一方、溶融金属よりも密度の
高い溶融塩、溶融ガラス又は溶融スラグを用いると、溶
融金属の下側に位置して下層を形成する。このため、前
者の場合には、超音波振動を溶融金属の上方より、ま
た、後者の場合には下方から加えることができる。
また、溶融塩、溶融ガラス又は溶融スラグを介在させる
と、振動ホーンからの超音波エネルギーの吸収が懸念さ
れるが、それらの厚さを適宜調節することによって、超
音波エネルギーの吸収を最小限に抑制することができ
る。その場合、金属製の振動ホーンが溶解しない厚さを
加味して考慮することが好ましい。
さらに、溶融塩、溶融ガラス又は溶融スラグと溶融金属
との粘性等の特性の相違により、それらの界面において
超音波が反射し、振動付加効果に差が生ずることも考え
られる。この場合には、溶融金属と特性の差が小さくな
る溶融塩、溶融ガラス又は溶融スラグを選択し、用いる
ことが望ましい。
添付した図面の第1図及び第2図は、それぞれ、溶融金
属への超音波振動の付加に好適に使用される装置の概要
を例示した断面図である。
第1図の例は、溶融金属よりも密度の低い溶融塩、溶融
ガラス又は溶融スラグを用いた場合を示している。
この例においては、容器(2)内において、溶融塩、溶
融ガラス又は溶融スラグ(3)は、溶融金属(4)の上
に位置し、上層を形成し、溶融塩、溶融ガラス又は溶融
スラグ(3)に浸漬した振動ホーン(1)からの超音波
振動は、この溶融塩、溶融ガラス又は溶融スラグ(3)
を介して上方より溶融金属(4)に伝達され、付加され
る。この場合、溶融塩、溶融ガラス又は溶融スラグ
(3)による超音波エネルギーの吸収を抑制するために
は、振動ホーン(1)の位置は、溶融金属(4)の直上
とするのが好ましい。
第2図は、溶融塩、溶融ガラス又は溶融スラグの密度が
溶融金属よりも大きい場合を示している。
この第2図の例においては、容器(2)内において、溶
融塩、溶融ガラス又は溶融スラグ(3)は、溶融金属
(4)の下に位置し、下層を形成し、溶融塩、溶融ガラ
ス又は溶融スラグ(3)を浸漬した振動ホーン(1)か
らの超音波振動は、この溶融塩、溶融ガラス又は溶融ス
ラグ(3)を介して下方より溶融金属(4)に伝達さ
れ、付加される。
もちろん、この発明においては、装置の具体的構成につ
いては何等限定的でなく、種々の態様が可能であること
は言うまでもない。
以下実施例を示し、この発明の溶融金属への超音波振動
の付記方法についてさらに詳しく説明する。
実施例1 第1図に示した装置において、19kHz、1.2kWの超音波発
振器を用い、振動ホーンには直径40mmの鋼製で、無負荷
時の振幅が25μmのものを用いた。溶融塩には、〔KCI
−LiCI:42mol%KCI、融点340℃、密度1.53g/cm3(800
℃)〕295gを用いた。
溶融金属としてアルミニウム合金〔Al−4.5%Cu合金:
融点645℃、密度2.5g/cm3(800℃)〕390gを鉄製るつぼ
中で800℃で溶解した。このるつぼを水冷銅板上に設置
し、上層の溶融塩に振動ホーンを浸漬して、溶融塩を介
して下層の溶融アルミニウム合金に超音波振動を付加し
た。
なお、溶融による超音波エネルギーの吸収を抑制するた
めに、振動ホーンの位置を溶融アルミニウム合金の直上
10mmとした。
第3図の(a)及び(b)は、それぞれ、超音波振動の
付加の作用効果を示す図面代用の金属組織写真である。
第3図(a)は、溶融塩を介して超音波振動をアルミニ
ウム合金の融点以下まで付加した場合の断面組織を示し
ており、微細な等軸晶が確認される。第3図(b)は、
その比較として、単に上下2液相状態の上部液相に無振
動のホーンを浸漬して凝固させた場合の断面組織を示し
ている。非常に粗大な等軸晶が確認される。
これらの第3図の(a)及び(b)の対比から明らかに
されるように、超音波振動を付加することにより、金属
の結晶組織が非常に微細化されるのが分かる。
実施例2 実施例1のアルミニウム合金の代わりに、純亜鉛〔融点
419.5℃、密度6.5g/cm3(600℃)〕1kgを用いた。
溶融塩には、実施例1と同じ〔KCI−LiCl:42mol%KCI、
融点340℃、密度1.60g/cm3(600℃)〕とし、鉄製るつ
ぼ中で600℃で溶解した。このるつぼを水冷銅板上に設
置し、上層の溶融塩に振動ホーンを浸漬して、溶融塩を
介して下層の溶融亜鉛に超音波振動を付加した。
なお、溶融塩による超音波エネルギーの吸収を抑制する
ために、振動ホーンの位置を溶融アルミニウム合金の直
上10mmとした。
第4図の(a)及び(b)は、それぞれ、超音波振動の
付加の作用効果を示す図面代用の金属組織写真である。
第4図(a)は、溶融塩を介して超音波振動を純亜鉛の
融点以下まで付加した場合の断面組織を示しており、微
細な柱状晶が確認される。その大きさは、1/4〜1/5に微
細化されている。第4図(b)は、第3図(b)と同様
にした場合の断面組織を示している。粗大な柱状晶が確
認される。
これらの第4図の(a)及び(b)の対比から明らかに
されるように、超音波振動を付加することにより、金属
の結晶組織が非常に微細化されるのが分かる。
(発明の効果) 以上詳しく説明した通り、この発明の溶融金属への超音
波振動方法により、従来のように振動ホーンの侵食、消
耗はなくなり、溶融金属が汚染されることはない。
高融点金属の結晶微細化、溶融金属の脱ガス、粒子分散
材料の作製等の高品位の金属製品を確実にしかも安定に
製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、それぞれ、溶融金属への超音波振
動の付加に好適に使用される装置の概要を例示した断面
図である。 第3図の(a)及び(b)は、それぞれ、超音波振動の
付加の作用効果を示す図面代用の金属組織写真である。 第4図の(a)及び(b)は、それぞれ、超音波振動の
付加の作用効果を示す図面代用の金属組織写真である。 1……振動ホーン 2……容器 3……溶融塩、溶融ガラス又は溶融スラグ 4……溶融金属
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−48519(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融金属と振動ホーンに反応せず、かつ溶
    融金属よりも融点の低い溶融塩、溶融ガラス又は溶融ス
    ラグに振動ホーンを浸漬し、超音波振動をその溶融塩、
    溶融ガラス又は溶融スラグを介して溶融金属に付加する
    ことを特徴とする溶融金属への超音波振動の付加方法。
JP1067486A 1989-03-22 1989-03-22 溶融金属への超音波振動の付加方法 Expired - Lifetime JPH0784626B2 (ja)

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