JPH078325Y2

JPH078325Y2 - 自動車のシートベルト装置

Info

Publication number: JPH078325Y2
Application number: JP3349189U
Authority: JP
Inventors: 文幸大谷; 美延野村
Original assignee: Mazda Motor Corp
Current assignee: Mazda Motor Corp
Priority date: 1989-03-23
Filing date: 1989-03-23
Publication date: 1995-03-01
Anticipated expiration: 2004-03-23
Also published as: JPH02124751U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は自動車のシートベルト装置、特に前部座席乗員
の肩部を経て後方に導かれたショルダベルトをリヤドア
側に案内するようにした自動車シートベルト装置に関す
る。

（従来の技術）例えば、センターピラーの上端がベルトラインまでしか
延設されていない４ドアピラーレスハードップの自動車
における前部座席用のシートベルト装置としては、前部
座席の車内側の側部より車外側に向けて斜め上方に導か
れて前部座席乗員の肩部を通過したショルダベルトを、
該前部座席乗員の車外側の側部におけるドアガラス上方
のルーフレールより車室内側に垂下させたベルトガイド
に挿通した後、該ショルダベルトの端部を車体下部の所
定位置に配設されたリトラクタに巻き取るように構成さ
れたものがあるが、この場合には、上記ショルダベルト
やこれが挿通されるベルトガイドが、車室内側における
ドアガラスの側面に沿って上下方向に配設されることに
なり、このため、後部座席乗員の斜め前方視界が遮られ
ることになって、４ドアピラーレスハードトップ車特有
の開放感を低下させることになっていた。

これに対処しては、例えば、特開昭63-222957号公報に
開示されているように、４ドアピラーレスハードトップ
車の前部座席用シートベルト装置において、前部座席乗
員の肩部を通過したショルダベルトを、フロントシート
を構成するシートバックの車外側の上側部に設けられた
ガイド部材を通過させて後方に導き、更に、該ショルダ
ベルトをリヤドアの上部に設けられたベルトガイドを通
過させた後、該ベルトガイドの下方におけるリヤドア内
に配設されたリトラクタに巻き取るように構成すること
により、後部座席乗員の斜め前方視界が、上記ショルダ
ベルトにより遮られることを防止して、４ドアピラーレ
スハードトップ車特有の開放感を低下させることのない
ようにしたものがある。

（考案が解決しようとする課題）ところで、上記のような構成とされた４ドアピラーレス
ハードトップ車のシートベルト装置においては、第７図
に示すように、リヤドアＡを開いた場合に、該リヤドア
Ａの上部に設けられてショルダベルトＢが挿通されるベ
ルトガイドＣと、前部座席Ｄにおける車外側の上側部に
設けられて上記ショルダベルトＢが挿通されるガイド部
材Ｅとの距離が増加することになる。この場合、その距
離の増加分だけ上記ショルダベルトＢがリヤドアＡ内に
設けられたリトラクタ（図示せず）より引き出されれば
良いのであるが、上記ベルトガイドＣによりショルダベ
ルトＢが屈曲された状態となっており、このため、該シ
ョルダベルトＢとベルトガイドＣとの接触圧が増加し両
者間の摺動抵抗が大きくなって、該ショルダベルトＢが
リヤドアＡの開時に上記距離の増加分だけリトラクタよ
りスムーズに引き出されない場合がある。そして、この
ように、上記ショルダベルトＢがスムーズに引き出され
ないときには、該ショルダベルトＢが、上記リヤドアＡ
の開動作に伴うベルトガイドＣの移動時に後方に引っ張
られることになって、前部座席Ｄに着座した乗員Ｆの胸
部や肩部が圧迫されるといった事態を招く虞があると共
に、リヤドアＡをスムーズに開くことができなかった。

なお、例えば特開昭63-222957号公報によれば、リヤド
アの開時に、該リヤドアの上部に設けられたベルトガイ
ドの開口部に沿ってショルダベルトを車体前方に移動さ
せることにより、上記のようなリヤドアの開時における
不具合に対処するようになっているが、この場合には、
上記開口部をショルダベルトの車体前方へのストローク
分に相当する大きさに設定する必要があり、このため、
車室内側に位置するリヤドアの上部に比較的大きな開口
部が形成されることになって、車室内側のデザイン性を
低下させることになって好ましくない。

そこで本考案は、前部座席乗員の肩部を通過して後方に
導かれたショルダベルトをリヤドア側に案内するように
構成された自動車のシートベルト装置において、上記リ
ヤドアの開時にショルダベルトが後方へ引っ張られるこ
とを確実に防止して、前部座席乗員の胸部や肩部を圧迫
することなくスムーズにリヤドアを開くことのできるよ
うにすることを課題とする。

（課題を解決するための手段）上記の課題を解決するために、本考案は次のように構成
したことを特徴とする。

即ち、前部座席の乗員の肩部を経て後方に導かれたショ
ルダベルトが挿通されるベルトガイドがリヤドアに設け
られていると共に、該ベルトガイドを通過したショルダ
ベルトの端部を巻き取るリトラクタが設けられた自動車
のシートベルト装置において、上記ベルトガイドを車体
上下方向に移動可能に支持すると共に、上記リヤドアの
開時に、上記ベルトガイドからリトラクタに至るショル
ダベルトの経路がリヤドアの閉時より短くなるように該
ベルトガイドを下方に移動させる駆動手段を設けたこと
を特徴とする。

（作用）上記の構成によれば、前部座席乗員の肩部を経て後方に
導かれたショルダベルトが挿通されるベルトガイドが車
体上下方向に移動可能に支持されていると共に、リヤド
アの開時に、駆動手段により上記ベルトガイドが下方に
移動されることにより、該ベルトガイドからリトラクタ
に至るショルダベルトの経路がリヤドアの閉時より短く
なって、この経路が短くなった分だけショルダベルト
が、上記リヤドアの開時におけるベルトガイドの移動に
伴って該ベルトガイドより繰り出されることになる。こ
れにより、上記リヤドアの開時に、ショルダベルトが後
方へ引っ張られることが確実に防止されることになっ
て、前部座席乗員の胸部や肩部を圧迫することなくスム
ーズにリヤドアを開くことができる。

また、上記ベルトガイドの移動方向が車体上下方向とさ
れていることにより、該ベルトガイドの移動方向と衝突
時等においてショルダベルトに荷重が作用した場合にお
ける該ショルダベルトの引っ張り方向とが直交する方向
となって、これにより、上記ショルダベルトに引っ張り
方向の荷重が作用した場合には、該ショルダベルトがベ
ルトガイドに確実に係止されることになって、該ショル
ダベルトの前方へのずれを確実に防止することができ
る。

（実施例）以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

まず、第１図により本実施例の全体構成を説明すると、
本実施例は４ドアピラーレスハードトップ車の前部座席
に装備されるシートベルト装置に関するもので、このシ
ートベルト装置１におけるシートベルト２は、前部座席
３に着座している乗員（図示せず）の腰部を拘束するラ
ップベルト部2aと、肩部を拘束するショルダベルト部2b
とを有する。そして、上記ラップベルト部2aは、一端が
前部座席３の車外側の側部下方にアンカ部材４を用いて
止着されていると共に、該端部から前部座席３の車内側
の側部に導かれて、該シートベルト２に挿通されている
タングプレート５が前部座席３の車内側の側部に設けら
れたバックル６に係合されることにより、乗員の腰部を
拘束するようになっている。また、上記ショルダベルト
部2bは、上記タングプレート５とバックル６との係合部
から斜め上方に延びて、前部座席３を構成するシートバ
ック3aの車外側の上側部に設けられたシート側ベルトガ
イド７に挿通されることにより、乗員の胸部から車外側
の肩部を拘束するようになっている。そして、上記シー
ト側ベルトガイド７を通過して後方に導かれたショルダ
ベルト部2bは、前端部がヒンジ部材（図示せず）を介し
てヒンジピラー部８に回動自在に支持されたリヤドア９
を構成するドアトリム10の前端部上方に形成された開口
部10aを経て該リヤドア９内に導かれると共に、その端
部が、リヤドア９内に設けられたリトラクタ11に巻き取
られるようになっている。

なお、上記リトラクタ11は、従来周知の構成とされ、シ
ョルダベルト部2bの端部が巻き付けられ、且つスプリン
グ等によってショルダベルト部2bを巻き取る方向（前部
座席乗員の肩部を拘束する方向）に常時付勢するように
なっていると共に、該リトラクタ11内には、衝突時等に
おいて該リトラクタ11に所定値以上の加減速度が作用し
たときに、上記ショルダベルト部2bの引き出しを阻止す
ることにより前部座席乗員を保護するためのロック機構
（図示せず）が内装されている。

そして、本実施例においては、第２図に拡大して示すよ
うに、上記リヤドア９を構成するインナパネル12の車室
内側の側面における前端部上方に、ドア側ベルトガイド
13が配設されており、このドア側ベルトガイド13には、
上記ショルダベルト部2bが挿通される円弧形状のガイド
孔13aが形成されており、該ガイド孔13aを通過したショ
ルダベルト部2bの端部が上記リトラクタ11に巻き取られ
るようになっている。そして、上記ドア側ベルトガイド
13の前端部13bが、上記インナパネル12および該インナ
パネル12に複数の取付ボルト14…14により固設されたベ
ース部材15を貫通して回転自在に支持された支持ピン16
の車内側の端部に一体的に取り付けられていることによ
り、該ベルトガイド13が、上記支持ピン16を中心として
車体の上下方向に回動自在に支持されている。

更に、上記ドア側ベルトガイド13の後端部13cと上記ベ
ース部材15の下部に固設された突片17との間には、引っ
張りコイルスプリング18が装着されていることにより、
上記ドア側ベルトガイド13が常時車体下方に付勢される
ようになっていると共に、上記ベース部材15の所定位置
には、上記ドア側ベルトガイド13の車体下方への回動時
に該ベルトガイド13の後端部13cに当接することによ
り、該ベルトガイド13の車体下方への回動範囲を規制す
るストッパー19が固設されている。また、上記支持ピン
16における車外側の端部には、アーム部材20が固設され
ていると共に、該アーム部材20の先端球状部20aが、上
記ヒンジピラー部８の一側面の所定位置に溶接等の適宜
手段により固設されたガイド部材21における傾斜面部21
aに当接状態とされている。

従って、第２図に示すように、上記リヤドア９の閉時に
おいては、上記支持ピン16の一端に固設されたアーム部
材20の先端球状部20aが、ヒンジピラー部８に固設され
たガイド部材21の傾斜面部21aに当接状態とされている
ことにより、同じく上記支持ピン16の他端に固設された
ドア側ベルトガイド13の車体下方への回動が規制される
ことにより、該ベルトガイド13が、図示の状態に保持さ
れるようになっていると共に、第３図に示すように、上
記リヤドア９の開時においては、該リヤドア９の開動作
に伴って、上記アーム部材20の先端球状部20aが、上記
ガイド部材21の傾斜面部21aより離脱することになっ
て、これにより、上記ドア側ベルトガイド13が、引っ張
りコイルスプリング18により付勢されて、該ベルトガイ
ド13が、図示のように、その後端部13cが、上記ストッ
パー19に当接するまで車体下方に向けて回動されるよう
になっている。

なお、再びリヤドア９を閉じる場合には、該リヤドア９
の閉動作に伴って上記アーム部材20の先端球状部20a
が、ガイド部材21における傾斜面部21aに当接すると共
に、該傾斜面部21aに案内されてアーム部材20が支持ピ
ン16を中心として下方に回動されることにより、上記ド
ア側ベルトガイド13の全体が、引っ張りコイルスプリン
グ18に抗して支持ピン16を中心として上方に回動される
ことになって、第２図に示す状態となるように構成され
ている。

次に、本実施例の作用を説明すると、第４図に拡大して
示すように、リヤドア９の閉時においては、上記アーム
部材20における先端球状部20aが、ヒンジピラー部８に
固設されたガイド部材21の傾斜面部21aに当接状態とさ
れていることにより、上記ドア側ベルトガイド13の車体
下方への回動が規制されて該ベルトガイド13が、図示の
状態に保持されていると共に、第５図に示すように、上
記リヤドア９の開時においては、該リヤドア９の開動作
に伴って、上記アーム部材20の先端球状部20aが、上記
ガイド部材21の傾斜面部21aより離脱することになっ
て、これにより、上記ドア側ベルトガイド13が、引っ張
りコイルスプリング18により付勢されて、該ベルトガイ
ド13が、図示のように、その後端部13cが、上記ストッ
パー19に当接するまで車体下方に向けて回動されること
になる。

従って、第６図に示すように、シート側ベルトガイド７
を通過して後方に導かれたショルダベルト部2bが挿通さ
れるドア側ベルトガイド13が、リヤドア９の開時に、鎖
線で示すように、車体下方に移動されることにより、該
ベルトガイド13からリトラクタ11に至るショルダベルト
部2bの経路がリヤドア９の閉時より短くなると共に、上
記シート側ベルトガイド７からドア側ベルトガイド13に
至るショルダベルト部2bの経路もリヤドア９の閉時より
短くなって、この経路が短くなった分だけショルダベル
ト部2bが、上記リヤドア９の開時におけるドア側ベルト
ガイド13の移動に伴って該ベルトガイド13より繰り出さ
れることになる。これにより、上記リヤドア９の開時
に、ショルダベルト部2bが後方へ引っ張られることが確
実に防止されることになって、前部座席乗員の胸部や肩
部を圧迫することなくスムーズにリヤドア９を開くこと
ができる。

また、上記ドア側ベルトガイド13の移動方向が車体上下
方向とされていることにより、該ベルトガイド13の移動
方向と衝突時等においてショルダベルト部2bに荷重が作
用した場合における該ショルダベルト部2bの引っ張り方
向とが直交する方向となって、これにより、上記ショル
ダベルト部2bに引っ張り方向の荷重が作用した場合に
は、該ショルダベルト部2bがドア側ベルトガイド13に確
実に係止されることになって、該ショルダベルト部2bの
前方へのずれを確実に防止することができる。

更に、本実施例においては、上記ドア側ベルトガイド13
の移動方向が車体上下方向とされていることにより、該
ドア側ベルトガイド13が、第３図に示すように、車体下
方に移動した場合においても、該ベルトガイド13と上記
リトラクタ11との相対的な位置関係に大きな狂いを生じ
させることなく、これにより、上記ドア側ベルトガイド
13をリヤドア９の開時に車体前方に向けて移動させる場
合にように、リトラクタ11の挿通部11aでのショルダベ
ルト部2bの捩じれを発生させることがない。

（考案の効果）以上のように本考案によれば、ショルダベルトが挿通さ
れるベルトガイドが車体上下方向に移動可能に支持され
ていると共に、リヤドアの開時に、駆動手段により上記
ベルトガイドが下方に移動されることにより、該ベルト
ガイドからリトラクタに至るショルダベルトの経路がリ
ヤドアの閉時より短くなって、この経路が短くなった分
だけショルダベルトが、上記リヤドアの開時におけるベ
ルトガイドの移動に伴って該ベルトガイドより繰り出さ
れることになる。これにより、上記リヤドアの開時にシ
ョルダベルトが後方へ引っ張られることが確実に防止さ
れることになって、前部座席乗員の胸部や肩部を圧迫す
ることなくスムーズにリヤドアを開くことができる。

また、上記ベルトガイドの移動方向が車体上下方向とさ
れていることにより、該ベルトガイドの移動方向と衝突
時等においてショルダベルトに荷重が作用した場合にお
ける該ショショルダベルトの引っ張り方向とが直交する
方向となって、これにより、上記ショルダベルトに荷重
が作用した場合には、該ショルダベルトがベルトガイド
により確実に係止されることになって、該ショルダベル
トの前方へのずれを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１〜６図は本考案の実施例を示すもので、第１図は本
実施例に係る自動車のシートベルト装置の全体構成を示
す概略斜視図、第２図はドア側ベルトガイドの構成を示
す要部拡大斜視図、第３図はリヤドア開時におけるドア
側ベルトガイドの作動状態を示す要部拡大斜視図、第
４、５図はそれぞれリヤドアの閉時と開時とにおけるド
ア側ベルトガイドの作動状態を示す要部拡大斜視図、第
６図はリヤドアの閉時と開時とにおけるショルダベルト
部の挿通状態を示す概略図である。また、第７図は従来
のシートベルト装置の概略平面図である。１……シートベルト装置、2b……ショルダベルト（ショ
ルダベルト部）、３……前部座席、11……リトラクタ、
13……ベルトガイド（ドア側ベルトガイド）、16、18、
20、21……駆動手段（支持ピン、引っ張りコイルスプリ
ング、アーム部材、ガイド部材）。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】前部座席の乗員の肩部を経て後方に導かれ
たショルダベルトが挿通されるベルトガイドがリヤドア
に設けられていると共に、該ベルトガイドを通過したシ
ョルダベルトの端部を巻き取るリトラクタが設けられた
自動車のシートベルト装置であって、上記ベルトガイド
が車体上下方向に移動可能に支持されていると共に、上
記リヤドアの開時に、上記ベルトガイドからリトラクタ
に至るショルダベルトの経路をリヤドアの閉時より短く
なるように該ベルトガイドを下方に移動させる駆動手段
が設けられていることを特徴とする自動車のシートベル
ト装置。