JPH0782659A - 鉄化合物を含有する繊維系素材、および繊維系素材の処理方法 - Google Patents

鉄化合物を含有する繊維系素材、および繊維系素材の処理方法

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JPH0782659A
JPH0782659A JP22321493A JP22321493A JPH0782659A JP H0782659 A JPH0782659 A JP H0782659A JP 22321493 A JP22321493 A JP 22321493A JP 22321493 A JP22321493 A JP 22321493A JP H0782659 A JPH0782659 A JP H0782659A
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JP
Japan
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fiber
iron compound
aqueous solution
iron
raw material
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JP22321493A
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English (en)
Inventor
Kozo Kosakata
弘三 小坂田
Hidemasa Mori
英正 毛利
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Taiho Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Taiho Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、繊維系素材を、アルカリ水溶液、
および金属イオン含有水溶液に順次に浸漬し、鉄化合物
を繊維系素材の内部に生成させることを特徴とする繊維
系素材処理方法であり、この繊維系素材処理方法によっ
て得られる鉄化合物を含有する繊維系素材である。 【効果】繊維系素材の内部まで確実に、しかも安価に鉄
化合物を含有させることができる。本発明によって得ら
れる鉄化合物が充填された繊維系素材は、磁性特性を有
する材料として、鉄化合物の生成により着色された着色
繊維系素材として、広範囲な分野で利用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄化合物を含有する繊
維系素材および繊維系素材の処理方法に関し、さらに詳
しくは、微細空隙もしくは凹凸面に鉄化合物を含有して
なり、帯電防止性部材、電磁波遮蔽部材、帯電防止性衣
料品、床部材、精密機器、および車両内装品などに好適
に使用することのできる繊維系素材、ならびに繊維系素
材に鉄化合物を含有させる処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来から
素材中に他の物質を含有させることにより前記素材の物
性を改善したり、他の新しい機能を付与することによっ
て、従来にはない用途も含む幅広い用途に用いるといっ
た試みは、技術史上広く行なわれてきた。
【0003】例えば、合金、樹脂組成物等のような混合
による諸物性の向上、熱可塑性樹脂中に無機塩を配合す
ることによる樹脂の難燃化、FRM(繊維強化合金)、
FRP(繊維強化プラスティック)等のような強化材の
配合による強化等の様々の工夫が行われてきた。
【0004】しかし、素材中に他の物質を含有させるこ
とは場合によっては容易でない。
【0005】例えば素材の基本的構造を保持したまま他
の物質を含有させることが要求される場合には、物質の
浸透性および吸着性等が問題となる。
【0006】かかる問題を有する場合の例としては、木
材等の素材の微細空隙に不溶性物質を含有させる場合を
挙げることができる。この場合、微細な空隙であるため
内部まで不溶性物質が浸透せず、その結果内部の微細空
隙には不溶性物質を含有させることができない。このよ
うな問題を解決する方法として特開平3−112602
号公報および特開平3−112604号公報には、床材
あるいは内装材などの木材を、カチオン含有処理液とア
ニオン含有処理液との一方に含浸させた後に他方に含浸
させることにより、内部に不溶性不燃性無機物を含有さ
せた改質木材の製造方法が記載されている。
【0007】これらの公報によると、カチオン含有処理
液として塩化マグネシウムなどの各種の金属塩が例示さ
れている。また、不溶性不燃性無機物として、ホウ酸
塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、硫酸塩、硫酸水
素塩、ケイ酸塩、硝酸塩、水酸塩等の各種塩が例示され
ている。そして、これらの公報によると、不溶性不燃性
無機物中に、B47 、BO4 、PO4 を含むときには
炭化促進による難燃化効果、CO3 を含むときには不燃
性ガスを発生することによる難燃化効果、ハロゲンを含
むときには不燃性ガスを発生することによる難燃化効果
が、それぞれ期待できると予測している。ところで、近
時、各種の電子機器から発する電磁波を遮蔽し、あるい
は外部から到来する電磁波を遮蔽する必要性が高まって
いる。その必要性を満たすために、電子機器における電
磁波遮蔽材料として金属粉を合成樹脂に配合してなる複
合材料を用いて電子機器筐体が構成され、あるいはその
ような複合材料を用いた電磁波遮蔽板が作成されたりし
ている。小型の電子機器用の筐体を前記複合材料で構成
するときには、成形金型を使用すると、前記筐体を大量
生産するのに便利である。
【0008】しかしながら、大きな室内を電波から遮蔽
するときには、部屋の内部形状が各種各様であることか
ら、成形金型で形成された規格品としての前記複合材料
製の内装板で部屋の壁面全体を覆うことは非常に煩雑な
作業になる。
【0009】このような金属粉等を配合する場合に、例
えば、従来よりある素材にその構造を保持したままで、
前記金属粉を含有させることができれば、金属粉を含有
させた素材を、その素材の構造もしくは形態をそのまま
生かして種々の用途に用いることができる。
【0010】つまり、従来よりある素材をそのまま電磁
遮蔽機能等の機能性を有する素材として、その素材を用
いる分野において、ほぼ従来通りの方法および従来の装
置によって機能性を有する製品等に加工することができ
るのである。
【0011】素材の構造を保持したまま、磁性粉体を含
有させる方法としては、磁性粉体を水や有機溶媒の溶媒
に分散させて、磁性流体を製造し、微細空隙を有する素
材に含浸させて乾燥することも可能であるが、磁性流体
の製造は、副生成物である塩類の分離、すなわち粉体の
精製および乾燥等の操作が煩雑であって多大なコストが
かかる。また、溶媒中に分散した微細空隙内部まで充分
に磁性流体を浸透させ、均一に充填することは不可能で
あった。
【0012】本発明はこのような事情に基ずきなされた
ものである。
【0013】すなわち、この発明は、繊維系素材の基本
的構造を保持したままその微細空隙あるいはその凹凸面
に鉄化合物を含有させることによって、その鉄化合物の
種類によって素材に磁性を帯びさせ、その鉄化合物の種
類により独特の発色を素材に付与してなる繊維系素材、
および繊維系素材に鉄化合物を含有させる処理方法を提
供することを目的とする。
【0014】
【前記課題を解決するための手段】前記課題を解決する
ための請求項1に記載の発明は、繊維系素材に鉄化合物
を含有してなることを特徴とする鉄化合物含有繊維系素
材であり、請求項2に記載の発明は、鉄化合物が(Me
O)m ・(Fe23n [ただし、Meは二価金属の
一種または二種以上を示し、mは0または正数であり、
nは正数である。]およびFeOOHの少なくとも一種
である前記請求項1に記載の鉄化合物含有繊維系素材で
あり、請求項3に記載の発明は、アルカリ水溶液と鉄イ
オン含有水溶液とに順次に繊維系素材を浸漬して繊維系
素材中に鉄化合物を形成させることを特徴とする繊維系
素材の処理方法であり、請求項4に記載の発明は、前記
アルカリ水溶液と鉄イオン含有水溶液とに浸漬する以前
に、形成される鉄化合物の脱離防止性化合物を前記繊維
系素材に含浸する前記請求項3に記載の繊維系素材の処
理方法である。
【0015】以下、この発明について詳細に説明する。
【0016】本発明における繊維系素材としては、鉄化
合物を含有することのできるポア、細孔、間隙、および
凹凸などを有する素材であって、繊維、繊維束、繊維の
編織物および不織布、抄紙物、合成樹脂のシートおよび
フィルム、スポンジ状部材、ならびにこれら各種素材の
組み合わせ、およびこれら各種素材と他の素材とを組み
合わせてなる複合素材などを挙げることができる。
【0017】−繊維− 前記繊維としては有機繊維および無機繊維を挙げること
ができる。
【0018】有機繊維としては、合成繊維、半合成繊維
および天然繊維を挙げることができる。
【0019】合成繊維としては、66−ナイロン、およ
び6−ナイロン等のポリアミド、ビニロン、ビニリデン
繊維、ポリ塩化ビニル繊維、アクリル繊維、ポリエステ
ル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ
ウレタン繊維、ポリフルオロカーボン繊維、青化ビニリ
デン繊維、ポリ尿素系繊維、ポリアジン繊維、ポリカー
ボネート繊維、エマルジョン紡糸繊維、ポリエステルエ
ーテル繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリフェニ
レントリアゾール繊維、ポリオキサジアゾール繊維、ポ
リイミド繊維などを挙げることができる。
【0020】半合成繊維としては、ビスコースレーヨ
ン、キュプラ、アセテート等を挙げることができる。
【0021】天然繊維としては、羊毛、アルパカ、カシ
ミヤ、およびモヘア等の獣毛繊維、絹、並びに綿繊維、
および麻繊維等の植物繊維等を挙げることができる。
【0022】無機繊維としては、ガラス繊維、ロックウ
ール、金属繊維、酸化マグネシウム繊維、繊維状マグネ
シウムオキシサルフェート、水酸化マグネシウム繊維、
チタン酸カリウム繊維、酸カルシウム繊維、炭素繊維、
セラミックファイバー、石膏繊維などを挙げることがで
きる。
【0023】上記各種のいずれの繊維を用いるかは、本
願発明の鉄化合物含有繊維系素材においてどのような形
態で鉄化合物を含有させるかに応じて適宜に選択され
る。
【0024】たとえば、繊維の内部もしくはその表面で
鉄化合物を含有させる場合には、そのような繊維として
は、内部または表面に微細空隙を有していれば良く、中
空繊維や多孔質繊維が好ましい。また、繊維系素材が後
述する繊維の集合体(たとえば編織物、不織物、抄紙物
等)であるときには、繊維間の空隙ないし繊維表面で鉄
化合物を保持することができれば良いのであるから、そ
のような繊維の集合体を形成する繊維については、中空
繊維および多孔質繊維である必要は特にない。もっと
も、中空繊維および多孔質繊維で繊維の集合体を形成し
ても本発明の目的を阻害されない。
【0025】−繊維束− 前記繊維束としては、前記繊維のフィラメントが束状に
なった集合体であれば良く、たとえば、紡績糸、ストラ
ンド、トウなどを挙げることができる。
【0026】紡績糸としては撚りがかかっていても、あ
るいはかかっていなくても良い。この紡績糸は捲縮加工
がされていても良い。この紡績糸は混紡糸であっても良
い。この繊維束の全体形状は、鉄化合物を含有する繊維
系素材の用途に応じて適宜に選択される。繊維束の全体
形状の具体例として、たとえば、マット状、円筒束状な
どがある。
【0027】繊維束を繊維系素材として使用する場合
に、繊維束を構成する繊維が多孔質ないし中空糸である
にせよないにせよ繊維束を構成する繊維の表面および繊
維間で鉄化合物が保持され、繊維束を構成する繊維が多
孔質ないし中空糸であるときには、その繊維の細孔ない
し中空部にも鉄化合物が保持される。
【0028】−編織物、不織布− 前記編織物は、前記繊維の編物、織物であり、従来から
知られている編み方、織り方によって得られる編物およ
び織物を特に制限なく使用することができる。
【0029】織物としてはメリヤス、レースなどがあ
る。織物としては、平織、斜文織、朱子織等がある。ま
た、織物および編物を形成する糸はフィラメント糸であ
っても紡績糸であっても良い。
【0030】前記不織布としては、天然あるいは化学繊
維ステープルを接着剤、溶融繊維、機械的方法により接
合したものを、特に制限なく使用することができる。こ
の不織布は、乾式法、湿式法および直接法により製造す
ることができる。
【0031】編織物および不織布を繊維系素材として使
用する場合に、編織物および不織布を構成する繊維が多
孔質ないし中空糸であるにせよないにせよ、鉄化合物
は、繊維の表面、糸の表面、編織物および不織布におけ
る間隙ないし空隙に保持され、編織物および不織布を構
成する繊維が多孔質ないし中空糸であるときには、その
繊維の細孔ないし中空部にも鉄化合物が保持される。
【0032】編織物および不織布の大きさ、形状など
は、この編織物および不織布を用いた鉄化合物含有繊維
系素材をどのような用途に使用するかによって適宜に決
定される。
【0033】−抄紙物− 前記抄紙物としては、前記繊維または繊維束を溶液に分
散し、漉いて得られるものである。または一般的な紙類
も含まれる。
【0034】−合成樹脂のシートおよびフィルム− 前記シートおよび前記フィルムの素材としては、熱可塑
性樹脂、および熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0035】前記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1、ポリス
チレン、ABS樹脂、SAN樹脂(「プラスチック材料
読本」、工業調査会発行、1983年3月15日10版
発行参照)、ACS樹脂(上掲書参照)、メタクリル酸
メチル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共
重合樹脂、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合樹脂、塩化
ビニルアクリル酸エステル共重合樹脂、塩化ビニルメタ
クリル酸共重合樹脂、塩化ビニルアクリルニトリル共重
合体、エチレン塩化ビニル共重合体、プロピレン塩化ビ
ニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、
ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビ
ニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルエーテル、アセチルセルロース、ニトロセルロー
ス、アセチルブチルセルロース、メチルセルロース、エ
チルセルロース、アイオノマーなどの一般汎用樹脂、お
よび、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボ
ネート、熱可塑性ポリエステル、ポリフェニレンオキサ
イド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアリーレン
スルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエー
テルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、
フッ素樹脂などのエンジニアリングプラスチックを挙げ
ることができる。
【0036】熱硬化性樹脂としては、尿素樹脂、メラミ
ン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂
等を挙げることができる。
【0037】本発明におけるシートおよびフィルムの素
材として、前記熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の外
に、シリコーン樹脂を使用することもできる。
【0038】本発明におけるシートないしフィルムは前
記各種の樹脂の内の一種単独で形成することもできる
し、二種以上の樹脂を用いて形成することもできる。
【0039】前記各種の素材の中から適宜の素材を選ん
でシートもしくはフィルムを形成する方法としては、そ
れぞれの素材に適した従来の方法を適宜に選択して行な
うことができる。
【0040】本発明におけるシートもしくはフィルムは
前記樹脂単独で形成されることもあるが、通常は前記各
種の樹脂から選択される一種または二種以上の樹脂と他
の添加剤との樹脂組成物を用いて形成される。
【0041】他の添加剤としては、たとえば、可塑剤、
安定剤、充填剤、補強剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
難燃剤、滑剤、着色剤、高分子系改質剤、防黴剤等を挙
げることができる。
【0042】シートもしくはフィルムの形成方法として
は、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイ成形
法、押出ラミネート法、溶剤流延法等を採用することが
できる。
【0043】シートないしフィルムは単層であっても多
層であっても良い。
【0044】シートないしフィルムの形状としては、テ
ープなどの長尺状であっても、短冊状であっても、JI
S規格の各種Aサイズ、Bサイズなどであっても良い。
【0045】この発明においては前記シートないしフィ
ルムは、鉄化合物を含有させるために、その表面に凹凸
を形成するのが好ましい。凹凸面を有するシートないし
フィルムを得るには、シートないしフィルムの表面に、
研磨紙およびバレール等による研磨処理、無機酸などの
薬液でエッチングする薬液処理、プラズマ処理、コロナ
放電処理、紫外線照射処理、ガス炎処理、サンドブラス
ト処理、エンボス加工等を施すのが良い。もっとも、こ
のような凹凸形成処理をしなくても、得られたシートな
いしフィルム自体がその表面に微小な凹凸ないし微細孔
を有するのであれば、本発明における繊維系素材として
十分に使用することができる。
【0046】−スポンジ状部材− 前記スポンジ状部材としては、それ自体多数の気泡、貫
通孔を有するところの、嵩密度の大きな素材を挙げるこ
とができ、たとえば合成樹脂の発泡成形体、および合成
樹脂と水溶解性物質とを有する樹脂組成物を塊状に成形
してから前記水溶解性物質を溶解除去してなる塊状体な
どの合成樹脂製スポンジ状部材、並びに海綿およびヘチ
マ等より得られる天然スポンジ状部材等を挙げることが
できる。
【0047】前記合成樹脂としては、前記合成樹脂のシ
ートないしフィルムの説明中に記載した各種の樹脂を好
適例として挙げることができる。
【0048】合成樹脂の発泡成形体を得るための発泡方
法としては、ユリア樹脂発泡体のように重合反応中に細
かい気泡を吹込むことにより物理的に発泡させ、硬化さ
せる方法、発泡スチレンのように低沸点溶剤を含ませて
重合させ、この成形材料を加熱成形する方法、重合反応
中に気体を発生して発泡体を形成するなどの、二液性発
泡成形体ウレタンフォームに代表される方法等がある。
【0049】スポンジ状部材の形状としては、このスポ
ンジ状部材を繊維系素材として用いたところの、鉄化合
物を含有する繊維系素材の用途に応じて適宜に決定され
る。
【0050】−複合素材− 本発明における繊維系素材は、複合素材であっても良
い。複合素材としては前述した繊維、繊維束、編織物、
不織物、抄紙物、シート、フィルム、スポンジ状部材等
の二種以上を組み合わせた部材、前述した繊維、繊維
束、編織物、不織物、抄紙物、シート、フィルム、スポ
ンジ状部材等の一種または二種以上をマトリックス中に
含有させてなる部材等を挙げることができる。
【0051】このような複合素材の具体例としては、各
種繊維または繊維束を合成樹脂中に配合してなる繊維強
化プラスティック(FRP)や、金属中に配合してなる
(FRM)、さらにセラミック中に含有してなる繊維強
化セラミック(FRC)等を挙げることができる。ま
た、前記繊維束、編織物、不織物、抄紙物、シート、フ
ィルム、スポンジ状部材等と合成樹脂シートないし合成
樹脂フィルムとの積層構造体を挙げることができる。
【0052】この複合素材を繊維系素材とする場合、鉄
化合物は、この複合素材の表面に形成されている凹凸
部、ならびに複合素材を構成するマトリックスに存在す
る細孔、中空部、気泡、間隙等に含有されても良く、ま
た複合素材を構成しているところの、繊維、繊維束、編
織物、不織物、抄紙物、シート、フィルム、スポンジ状
部材等における細孔、中空部、気泡、間隙等に含有され
ても良い。
【0053】−鉄化合物− 前記鉄化合物としては、酸化鉄、フェライト、ベンガ
ラ、ヘマタイト、マグネタイト、ゲーサイト、鉄アルミ
ナ複合体などを挙げることができる。前記鉄化合物の具
体例として、FeOOH、α−Fe23 、β−Fe2
3 、FeO、Fe23 、Fe34 、MnFe2
4 、CoFe24 、NiFe24 、CuFe2
4 、ZnFe24 、MgFe24 、SrO・6Fe
23 、BaO・Fe23 、PbO・6Fe23
BaO・2FeO・8Fe23 、BaO・2FeO・
Fe23 、BaO・ZnO・FeO・Fe23 、S
rO・2ZnO・8Fe23 、SrO・2CoO・8
Fe23 などを挙げることができる。
【0054】繊維系素材中に前記各種の鉄化合物を含有
することにより、繊維系素材に種々の新たな特性が付与
される。
【0055】たとえば、鉄化合物の種類によって磁性の
繊維系素材が得られる。たとえばマグネタイト、フェラ
イトなどを含有することにより磁性の繊維系素材が得ら
れる。磁性を有する繊維系素材においては、繊維系素材
中に含有される鉄化合物としてはフェライトが好まし
い。このフェライトは、(MeO)m ・(Fe23
n (ただし、式中、MeはFe、Mn、Zn、Cu、C
o、Mg、Ca、Ni等の二価金属の一種または二種以
上を示し、mは0または正数であり、nは正数であ
る。)で示すことができる。
【0056】鉄化合物の種類によっては、鉄化合物で繊
維系素材を着色することができる。したがって、繊維系
素材中に鉄化合物を形成する処理方法は、見方を変える
と繊維系素材の着色方法であると言える。
【0057】鉄化合物がα−Fe23 (ベンガラ)を
含有するとその繊維系素材は赤色に着色され、Fe3
4 (鉄黒)を含有するとその繊維系素材は黒色に着色さ
れ、γ−FeOOH(黄鉄)を含有するとその繊維系素
材は黄色に着色され、Znフェライト(タン)を含有す
るとその繊維系素材は黄褐色に着色され、Mgフェライ
ト(タン)やゲーサイトを含有するとその繊維系素材は
赤色に着色される。これらの着色は、繊維系素材の種類
により発色する色が多少異なり、またその繊維系素材自
体の色によっても変化するので、どのような着色をする
のか、また繊維系素材自体がどのようであるかによっ
て、含有させる鉄化合物が適宜に選択される。
【0058】鉄化合物を含有する繊維系素材におけるそ
の鉄化合物の含有量は、鉄化合物を含有する繊維系素材
にどのような特性を発現させるかによりその好適な含有
量が適宜に決定される。もっとも、どのような特性を発
現させるにせよ鉄化合物の含有量は、通常の場合、少な
くとも0.1重量%である。
【0059】−繊維系素材中に鉄化合物を含有させる方
法− 繊維系素材中に鉄化合物を含有させるには、総論的に言
うと、以下の方法を採用するのが良い。
【0060】すなわち、アルカリ水溶液と鉄イオン含有
水溶液とに順次に繊維系素材を浸漬して繊維系素材中で
鉄化合物形成反応を起こさせることにより鉄化合物を含
有する繊維系素材を製造することができる。
【0061】前記アルカリ水溶液としては、アンモニ
ア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機系アル
カリ成分、またはアニリン、ニトロアニリン、モノエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールア
ミン、メチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミ
ン、グアニジン等の有機系アルカリ成分を含有する水溶
液等を挙げることができる。アルカリ水溶液中には、こ
れらの無機系アルカリ成分の一種またはその二種以上が
含有されていても良いし、有機系アルカリ成分の一種ま
たはその二種以上が含有されていても良いし、また、無
機系アルカリ成分の一種または二種以上と有機系アルカ
リ成分の一種または二種以上とが含有されていても良
い。
【0062】なお、アルカリ成分を含有する水溶液を使
用する代わりに、アンモニアのようにガス状のアルカリ
成分を、繊維系素材へ浸透させることもできる。
【0063】前記アルカリ水溶液のなかでも、水酸化ナ
トリウムおよび/またはアンモニアを含有する水溶液が
好ましい。もっとも、繊維系素材中でどのような鉄化合
物を形成するかにより、換言すると鉄イオン含有水溶液
を形成するための鉄塩の種類に応じて、アルカリ水溶液
の種類が適宜に決定される。
【0064】前記アルカリ水溶液を調製するために使用
されるアルカリ成分の濃度としては、通常0.01〜2
0モル/リットルであり、好ましくは0.05〜5モル
/リットルである。アルカリ水溶液中のアルカリ成分の
濃度が前記範囲内にあると、後述する鉄イオン含有水溶
液とによって繊維系素材中での鉄化合物の形成を有効に
進行させることができ、種々の特性を繊維系素材に付与
することができる。
【0065】鉄イオン含有水溶液は、繊維系素材中で前
記アルカリ水溶液と混合されることにより繊維系素材中
に鉄化合物を形成することができ、かつ、水中で鉄イオ
ンとなる鉄塩を含有する。
【0066】その鉄塩としては、硫酸第一鉄、硫酸第二
鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄
などを挙げることができる。
【0067】この鉄イオン含有水溶液中には、前記アル
カリ水溶液と反応して生じる鉄化合物の種類に応じて他
の金属塩を含有させ、組み合わせることができる。たと
えば、アルカリ水溶液たとえば水酸化ナトリウム水溶液
と接触させてマグネタイトを得るには、鉄イオン含有水
溶液として硫酸第一鉄と硫酸第二鉄とを溶解する水溶
液、アルカリ水溶液たとえばアンモニア水と接触させて
ゲーサイトを得るには塩化第一鉄と塩化第二鉄とを溶解
する水溶液、アルカリ水溶液たとえば水酸化ナトリウム
水溶液と接触させてマンガン亜鉛系フェライトを得るに
は硫酸マンガンと硫酸亜鉛と硫酸第二鉄とを溶解する水
溶液、アルカリ水溶液たとえばアンモニア水と接触させ
てマグネシウム亜鉛系フェライトを得るには塩化マグネ
シウムと塩化亜鉛と塩化第二鉄とを溶解する水溶液、ア
ルカリ水溶液たとえば水酸化ナトリウム水溶液と接触さ
せて鉄アルミナ複合体を得るには硫酸第一鉄と硫酸アル
ミニウムとを溶解する水溶液、アンモニア水溶液と接触
させてコバルト亜鉛フェライトを得るには塩化コバルト
と塩化亜鉛と塩化第二鉄とを溶解する水溶液等を挙げる
ことができる。
【0068】鉄イオン含有水溶液中に溶解する鉄塩の濃
度としては、通常0.01〜10モル/リットル、好ま
しくは0.01〜5モル/リットル、特に好ましくは
0.1〜5モル/リットルである。鉄塩の濃度が前記範
囲にあると繊維系素材中での鉄化合物の形成を支障なく
行うことができる。
【0069】また鉄塩以外の、必要に応じて加えられる
金属の濃度としては、通常0.01〜5モル/リット
ル、好ましくは0.05〜2モル/リットルである。金
属の濃度が前記範囲にあると繊維系素材中での鉄化合物
の形成を支障なく行うことができる。
【0070】この発明に係る繊維系素材の処理方法にお
いては、微細空隙、細孔、間隙、空孔および凹凸を有す
る限り任意の繊維系素材を、前記アルカリ水溶液および
鉄イオン含有水溶液のいずれか一方に浸漬し、次いで他
方に浸漬する。いずれの水溶液を先にして繊維系素材を
浸漬するかは任意である。
【0071】アルカリ水溶液に繊維系素材を浸漬すると
きの、そのアルカリ水溶液の温度は、特に制限的ではな
い。多くの場合、そのアルカリ水溶液は、溶媒である水
が沸騰しない範囲で加温され、常温から〜100℃まで
の任意の温度が適宜に選択される。
【0072】アルカリ水溶液に繊維系素材を浸漬してお
く時間は、アルカリ水溶液が繊維系素材における微細空
隙、細孔、間隙、空孔および凹凸に浸透するのに十分な
時間であれば良く、したがって繊維系素材の種類、形
態、大きさなどにより浸漬しておく時間が異なり、一義
的に決定することはできない。もっとも、概括的に言え
ば、アルカリ水溶液に繊維系素材を浸漬しておく時間
は、通常1時間以上であれば良い。
【0073】場合によっては、高圧容器内に充填したア
ルカリ水溶液に繊維系素材を浸漬し、次いでその高圧容
器内に更にアルカリ水溶液を圧入し、繊維系素材全体を
アルカリ水溶液で加圧処理するようにしても良い。繊維
系素材全体をアルカリ水溶液で加圧処理すると、繊維系
素材中へのアルカリ水溶液の浸透が極めて迅速になり、
しかも繊維系素材中に十分な量でアルカリ水溶液が浸透
することになる。
【0074】鉄イオン含有水溶液に繊維系素材を浸漬す
るときの、その鉄イオン含有水溶液の温度は、特に制限
的ではない。多くの場合、その鉄イオン含有水溶液は、
前記アルカリ水溶液と同様に溶媒である水が沸騰しない
範囲で加温され、常温から〜100℃までの任意の温度
が適宜に選択される。
【0075】鉄イオン含有水溶液に繊維系素材を浸漬し
ておく時間は、鉄イオン含有水溶液が繊維系素材におけ
る微細空隙、細孔、間隙、空孔および凹凸に浸透するの
に十分な時間であれば良く、したがって繊維系素材の形
態、大きさなどにより浸漬しておく時間が異なり、一義
的に決定することはできない。もっとも、概括的に言え
ば、鉄イオン含有水溶液に繊維系素材を浸漬しておく時
間は、通常1時間以上であれば良い。
【0076】場合によっては、高圧容器内に充填した鉄
イオン含有水溶液に繊維系素材を浸漬し、次いでその高
圧容器内に更に鉄イオン含有水溶液を圧入し、繊維系素
材全体を鉄イオン含有水溶液で加圧処理するようにして
も良い。繊維系素材全体を鉄イオン含有水溶液で加圧処
理すると、繊維系素材中への鉄イオン含有水溶液の浸透
が極めて迅速になり、しかも繊維系素材中に鉄イオン含
有水溶液が浸透することになる。
【0077】アルカリ水溶液に浸漬した後の繊維系素材
を鉄イオン含有水溶液に浸漬した後、あるいは鉄イオン
含有水溶液に浸漬した後の繊維系素材をアルカリ水溶液
に浸漬した後に、直ちに乾燥を行っても良いが、場合に
よっては一定時間の間、その繊維系素材を養生しても良
い。養生期間としては、その繊維系素材の表面が自然乾
燥する程度の時間が見込まれる。
【0078】浸漬処理後の繊維系素材の乾燥条件として
は、通常20〜120℃の加熱温度雰囲気下で、数分〜
50時間程度をかけて乾燥するのが良い。加熱温度が高
温になると短時間に、低温であると長時間をかけること
が望ましい。
【0079】浸漬処理をされる繊維系素材が小片、細
片、繊維状、粒状等であるときには、そのような繊維系
素材をアルカリ水溶液および鉄イオン含有水溶液のいず
れか一方に浸漬し、要すれば撹拌し、所定の温度の下で
所定時間の浸漬処理をする。浸漬処理の後に、小片の繊
維系素材を濾別し、濾別した繊維系素材を他方の水溶液
に浸漬し、要すれば撹拌し、所定の温度の下で所定時間
の浸漬処理をする。浸漬処理の後に、小片の繊維系素材
を濾別し、要すれば養生してから、乾燥処理をする。
【0080】繊維系素材をアルカリ水溶液および鉄イオ
ン含有水溶液のいずれか一方に浸漬処理した後に、好ま
しくは前記両水溶液に浸漬処理した後に、形成される鉄
化合物の脱離防止性化合物を繊維系素材に含浸させるの
が望ましい。このような脱離防止性化合物としては炭素
数12以上の飽和または不飽和の高級脂肪酸、ナフテン
酸等の環状高級脂肪酸およびこれらの塩、さらに乾性も
しくは不乾性油で変性した合成樹脂等を挙げることがで
きる。
【0081】これらの脱離防止性化合物を繊維系素材に
含浸すると、繊維系素材の内部もしくは表面で形成され
た鉄化合物が繊維系素材に強固に保持されるので、好ま
しい。
【0082】脱離防止性化合物を繊維系素材に含浸させ
るには、脱離防止性化合物を水もしくは溶剤に溶解した
溶液に繊維系素材を浸漬するのが良い。
【0083】特に、脱離防止性化合物を含有する溶液と
しては、オレイン酸ソーダ水溶液、エルカ酸ソーダ水溶
液、アマニ油変性アルキッド樹脂溶液が好ましい。
【0084】これらの溶液における脱離防止性化合物の
濃度としては、通常、0.01〜50%であり、好まし
くは0.1〜35%、特に好ましくは1〜20%であ
る。
【0085】これらの脱離防止性化合物は、素材の種類
および含有させる鉄化合物の種類によって適宜選択する
ことができる。
【0086】−鉄化合物を含有する繊維系素材− 本発明に係る、鉄化合物を含有する繊維系素材は、前述
した各種の繊維系素材と前記鉄化合物とを含有する。
【0087】鉄化合物は、たとえば繊維系素材の様々の
部位に保持されている。たとえば、前記繊維系素材が繊
維であるときには、少なくともその表面に鉄化合物が形
成付着し、その繊維系素材が中空糸もしくは多孔質繊維
であるときには、繊維の表面の他に中空内もしくは多孔
内に鉄化合物が含まれている。繊維系素材が繊維束であ
るときには、前述したような繊維の表面、繊維の中空
内、繊維の多孔内、繊維が多層構造を有するときにはそ
の層間間隙のみならず、繊維間空隙に保持されることも
ある。繊維系素材が編織物もしくは不織布であるときに
は、繊維の表面、繊維の中空内、繊維の多孔内のみなら
ず、繊維間空隙に保持されることもある。繊維系素材が
抄紙物であれば、繊維間空隙にあるいは抄紙物の表面凹
凸部に保持されることもある。繊維系素材が合成樹脂の
シートないしフィルムである場合には、そのシートない
しフィルムに形成されている微小な凹凸ないし微小細
孔、そのシートないしフィルムに前述した各種の処理に
より形成された凹凸ないし細孔に、鉄化合物が含有され
る。繊維系素材がスポンジ状部材であるときには、その
多孔、細孔、空孔、気泡などの中に、鉄化合物が含有さ
れる。繊維系素材が複合部材であるときには、複合部材
を構成する繊維、繊維束、編織物ないし不織布、抄紙
物、シートないしフィルムに鉄化合物が含有され、ある
いはその複合部材を構成するマトリックスが有する微小
細孔、空孔、表面凹凸等に鉄化合物が含有される。
【0088】上記各種の形態を有する鉄化合物を含有す
る繊維系素材は、素材の種類と鉄化合物の種類とに応じ
て、電磁遮蔽効果、静電気帯電防止効果、静電気除去効
果、触媒効果、密度増加効果等の様々の特性を発現す
る。したがって、この発明の鉄化合物を含有する繊維系
素材は各種の用途を有する。
【0089】以下、本発明に係る鉄化合物を含有する繊
維系素材の好適に使用できる例を挙げるが、素材の形態
と用途との組合せは以下の記載に限定されず、素材が他
の形態を有していても同様な効果を奏する場合も多々あ
る。
【0090】−用途− 鉄化合物を含有する繊維系素材の有用な用途として先ず
帯電防止性部材および電磁波遮蔽部材等を挙げることが
でき、これらは以下に示すような具体的使用に供され
る。
【0091】たとえば、鉄化合物を含有する繊維系素材
は、鉄化合物を含有する繊維系素材が繊維および繊維束
である場合には、そのままあるいは編織物、抄紙物とし
て用いることができる。そのままの形態を有するものと
しては、着色または静電気帯電防止あるいは静電気除去
加工された素材として、天然または人工毛皮の毛、カツ
ラ等のの人工毛髪、静電気に弱い精密機器用の埃除去用
等のハケないしハタキ等、各種洗浄用のブラシ等に好適
に用いることができる。
【0092】鉄化合物を含有する編織物、不織布の製法
は、前記繊維系素材の処理方法を施した前記繊維束を編
んで、あるいは織ることによって、または編織物、不織
布に同処理方法を施しても得ることができる。
【0093】このような鉄化合物を含有する編織物、不
織布は、通常の編織物、不織布と同様に裁断、縫製され
ることによって各種カーテン、テーブルクロス、壁紙、
カーペット、床マット等の室内装飾用品、建築内装品ま
たは自動車内装品に使用され、和服、洋服、セーター
類、ワイシャツ類、下着、コート、寝巻き類、その他の
被服等の衣料品に使用され、スリッパ、靴下などの履物
に使用され、布団、枕、毛布、シーツおよびこれらのカ
バー等の寝具等に使用され、電磁波遮蔽効果、静電気帯
電防止性効果、または鉄化合物の発色により染着効果を
有するもの等として好適に利用される。
【0094】特に室内装飾品、建築内装品、自動車内装
品、衣料品、履物、寝具等は、電磁波遮蔽効果または静
電気帯電防止効果を有するので、精密分析計その他の精
密機器、静電気を嫌う電子部品を有する部屋、自動車内
に設けるのが良く、また精密分析計その他の精密機器、
静電気を嫌う電子部品を取り扱う作業者が着衣ないし装
備するのが良い。
【0095】前記衣料品もしくは履物には、一般的な
服、白衣、作業用手袋、作業用足袋等も含まれ、前者一
般的な服、履物等の場合には鉄化合物の発色により着色
された編織物、不織布を生地に用いることによって、着
色された洋服、履物等として、また低湿度環境下でも静
電気を帯電しにくい静電気防止性衣料品として、白衣、
作業用手袋、作業用足袋等の場合には静電気を嫌うIC
等の電子部品や精密機器を扱う場合において、特に静電
気帯電防止用あるいは静電気除去用の静電気防止性衣料
品として好適に用いられる。
【0096】鉄化合物を含有する繊維系素材が合成樹脂
シート、合成樹脂シート、スポンジ状部材、前記複合部
材である場合には、以下の用途に好適に使用される。
【0097】すなわち、一般住宅、集合住宅、公共住
宅、研究棟ないし研究室その他居住空間等に用いられる
内装材として、壁部分ではタイル、レンガ、ALCパネ
ルに、天井部分では天井板に、床部分ではフローリング
材料、床マットなどの床部材として好適に使用される。
鉄化合物を含有する繊維系素材が磁性を有するときに
は、電波遮蔽材として使用され、たとえば電子機器の電
波遮蔽板、あるいは筐体として使用されることができ
る。
【0098】また本発明の各種の鉄化合物を含有する繊
維系素材は、電磁波による計器の誤作動防止、静電気の
帯電ショック防止、その他着色された素材として、自転
車、自動二輪車、自動車、トラック、バス等の車両内装
品、例えばインストルメントパネル、コンソールボック
ス、メーターフード、ハンドル、シート、ヘッドレス
ト、シートのクッションに好適に利用することができ
る。
【0099】複合材料は、合成樹脂の成形加工技術を用
いて様々の加工法たとえば射出成形法、押出成形法など
を利用して様々の形状、たとえば電子機器の筐体などに
加工することができる。
【0100】また、本発明の鉄化合物を含有する繊維系
素材の用途として、鉄化合物の触媒作用を利用した種々
の用途が開発される。たとえば、鉄化合物を含有する炭
化繊維系素材を使用した水浄化装置や排煙浄化装置が挙
げられる。
【0101】さらに、鉄化合物を含有するによる着色
は、一般的に各種素材に重厚感を与えるので各種素材を
用いた加工品を高級化、高付加価値化することができ
る。
【0102】
【実施例】
(実施例1)木綿布地(2cm×2cm)を試料とし
て、10%オレイン酸ソーダ水溶液に、5分間浸漬し
た。取り出し乾燥させた後、0.5M水酸化ナトリウム
水溶液に5分間浸漬した。次いで、予め調製しておいた
0.5M硫酸第一鉄水溶液と0.5モル硫酸第二鉄水溶
液の1:1の等量混合水溶液に10分間浸漬した。取り
出して1分間流水中で洗浄した後、60℃で10分間乾
燥した。なお、いづれの浸漬も常温下で行なった。
【0103】処理後の試料は、黒茶褐色に着色してい
た。また、導電性を調べるために中央部より1cm×1
cmの小片を切り出し、電気抵抗を測定したところ10
2 〜104 Ωであった。
【0104】(実施例2)アクリル繊維(糸)を試料と
した。アマニ油アルキッド樹脂の5%キシレン溶液中に
30秒間浸漬した。取り出し乾燥させた後、1M水酸化
ナトリウム水溶液に3分間浸漬した。次いで、硫酸マン
ガン、硫酸亜鉛、硫酸第二鉄のそれぞれ濃度1M水溶液
を2:1:2で混合して得た水溶液に5分間浸漬した。
取り出して1分間流水中で洗浄した後、常温で5時間乾
燥した。浸漬は、いづれも常温下で行なった。
【0105】処理後の試料は、黒褐色に着色していた。
また、実施例1と同様にして、電気抵抗を測定したとこ
ろ102 〜104 Ωであった。
【0106】(実施例3)連続気泡ポリウレタンを試料
とした。試料を10%エルカ酸ソーダに5分間浸漬し
た。取り出し絞った後、乾燥させた。次いで、1M水酸
化ナトリウム水溶液に3分間浸漬し、次いで、硫酸第一
鉄、硫酸アルミニウム(いづれも1M含有)の混合液水
溶液に10分間浸漬した。浸漬後流水中で5分間絞り洗
い繰り返した後、遠心分離機(2,000回転)を用い
て5分間脱水乾燥した。
【0107】処理後の試料の導電性を調べるために中央
部より1cm×1cmの小片を切り出し、電気抵抗を測
定したところ104 〜106 Ωであった。
【0108】処理した試料をクッション材とし、低湿度
(15℃、湿度15%以下)の環境下で静電気の帯電を
調べた。処理した試料の静電気発生量は、1〜2KVで
あった。この静電気発生量は、前記低湿度の環境下で1
0回の摩擦を行い、静電気測定機を用いて10mm離れ
た地点で測定したときの最大値をもって評価した。
【0109】(比較例1)実施例3で用試料とした未処
理の連続気泡ポリウレタンについて、実施例3と同様に
静電気発生量を測定したところ、約20KVであった。
【0110】(実施例4)直径5μmの孔を有する厚さ
10μmのポリカーボネートフィルムを10%オレイン
酸ソーダ水溶液に浸漬した。乾燥後、孔のない部分に付
着したオレイン酸ソーダを払拭した。以下、実施例1と
同様に処理した。
【0111】処理後、フィルム表面に析出したマグネタ
イトを拭き取ると、孔の内部にもマグネタイトが析出、
充填されていることを確認した。
【0112】
【発明の効果】本発明の方法によると、繊維系素材をア
ルカリ水溶液、および鉄塩の原料となる金属イオン含有
水溶液に順次に浸漬することによって、繊維系素材に鉄
化合物を容易に含有させることができる。
【0113】形成された鉄化合物が内部に存在する繊維
系素材は、その鉄化合物の種類により様々の特性を発現
し、その特性に応じて様々な分野において好適に利用さ
れる。
【0114】鉄化合物を含有させることにより繊維系素
材に、磁性または導電性を付与することができる。その
ため、電磁波遮蔽効果、静電気帯電防止効果、静電気除
去効果を有するようになる。また、含有させる鉄化合物
によって、鉄化合物の呈色により着色することができ
る。さらに、鉄化合物を含有させることにより繊維系素
材の密度を増加させることができる。
【0115】本発明の繊維系素材の処理方法により、磁
性を繊維系素材に付与することができ、テレビやレーダ
ーの電波障害を防ぐための電磁波吸収材料や電子機器で
外部磁界の影響を避けるための磁気遮蔽材料などの磁性
複合材料として使用されることができる。
【0116】また、静電気帯電効果、静電気除去効果を
有する素材を、IC等の電子部品取り扱い時の静電破壊
防止用、精密機器の静電気による誤作動、故障の防止
用、静電気による静電スパークや作業者の電撃ショック
の防止用、複写機、ファックス等の紙送り不良防止用に
用いることができる。その他静電気が問題となる場合に
使用することにより、これら問題を解決することができ
る。
【0117】鉄化合物を含有することにより着色された
素材は、床、柱、壁、カーテン、カーペット等の内装材
や机、椅子、箪笥、ベット等の家具建具類の素材や装飾
用素材、その他衣料品、寝具用品、台所用品等、従来着
色された素材が用いられている分野において特に制限な
く利用できる。
【0118】鉄の燃焼触媒効果を利用して、燃焼促進効
果、発煙防止効果、有害ガス抑制効果を有する携帯用燃
料等の燃焼繊維系素材として使用されることもできる。
【0119】さらに、上述した鉄化合物を含有する繊維
系素材は、その鉄化合物の種類によって磁性を有するの
であるから、鉄化合物を含有する繊維系素材をテープに
形成すると、あるいはこれらと他のテープ等との積層構
造にすると、磁気テープとして用いることもできる。
【0120】以上総括すると、この発明の鉄化合物を含
有する繊維系素材は、含有される鉄化合物の種類および
その含有量に応じて、磁気特性、導電特性、電磁波遮蔽
特性、耐食性、抗菌性、殺菌性、耐摩耗性、表面硬度、
機械的特性(機械的強度、破断強度、靭性等々)、燃焼
性、触媒特性、寸法安定性、耐熱性、吸湿性、耐光性、
断熱性、吸音特性等が新たに付与され、あるいは向上な
いし改善される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維系素材に鉄化合物を含有してなるこ
    とを特徴とする鉄化合物含有繊維系素材。
  2. 【請求項2】 鉄化合物が(MeO)m ・(Fe2
    3n [ただし、Meは二価金属の一種または二種以上
    を示し、mは0または正数であり、nは正数である。]
    およびFeOOHの少なくとも一種である前記請求項1
    に記載の鉄化合物含有繊維系素材。
  3. 【請求項3】 アルカリ水溶液と鉄イオン含有水溶液と
    に順次に繊維系素材を浸漬して繊維系素材中に鉄化合物
    を形成させることを特徴とする繊維系素材の処理方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ水溶液と鉄イオン含有水溶
    液とに浸漬する以前に、形成される鉄化合物の脱離防止
    性化合物を前記繊維系素材に含浸する前記請求項3に記
    載の繊維系素材の処理方法。
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