JPH07823B2 - 焼結分散強化型耐熱鋼成形部材 - Google Patents
焼結分散強化型耐熱鋼成形部材Info
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- JPH07823B2 JPH07823B2 JP63114060A JP11406088A JPH07823B2 JP H07823 B2 JPH07823 B2 JP H07823B2 JP 63114060 A JP63114060 A JP 63114060A JP 11406088 A JP11406088 A JP 11406088A JP H07823 B2 JPH07823 B2 JP H07823B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、優れた高温強度を有し、かつ異方性も小さい
分散強化型フェライト系耐熱鋼に関する。さらに詳細に
は、高速増殖炉(FBR)用の炉心材料および機器構造物
またはボイラーチューブ等として有効な焼結分散強化型
フェライト系耐熱鋼に関する。
分散強化型フェライト系耐熱鋼に関する。さらに詳細に
は、高速増殖炉(FBR)用の炉心材料および機器構造物
またはボイラーチューブ等として有効な焼結分散強化型
フェライト系耐熱鋼に関する。
(従来の技術) フェライト系鋼はオーステナイト系鋼に比べて、熱伝導
率が高く、熱膨張係数が小さく、しかも安価であること
から高温装置材料として注目されている。またフェライ
ト系鋼は耐スエリング性(中性子照射による体積膨張に
対する抵抗性)にも優れ、原子力用特に高速増殖炉の炉
心材料としても注目されている。
率が高く、熱膨張係数が小さく、しかも安価であること
から高温装置材料として注目されている。またフェライ
ト系鋼は耐スエリング性(中性子照射による体積膨張に
対する抵抗性)にも優れ、原子力用特に高速増殖炉の炉
心材料としても注目されている。
しかし、フェライト系鋼は高温強度の点で、オーステナ
イト系鋼に劣る。たとえば、ボイラ、原子力用材料とし
て米国で開発された、既存フェライト系鋼の中では強度
の高い鋼の一つであるASTM・A213-T91(Mod.9 Cr-1Mo
鋼)でも、650℃×104hクリープ破断強度は7.5kgf/mm2
であり、12Cr系鋼として広く使われているDIN X20CrMoW
V 121の650℃×104hクリープ破断強度も高々6kgf/mm2程
度である。そしてこれらの材料は、600℃以下の比較的
低温での使用を目的としている。
イト系鋼に劣る。たとえば、ボイラ、原子力用材料とし
て米国で開発された、既存フェライト系鋼の中では強度
の高い鋼の一つであるASTM・A213-T91(Mod.9 Cr-1Mo
鋼)でも、650℃×104hクリープ破断強度は7.5kgf/mm2
であり、12Cr系鋼として広く使われているDIN X20CrMoW
V 121の650℃×104hクリープ破断強度も高々6kgf/mm2程
度である。そしてこれらの材料は、600℃以下の比較的
低温での使用を目的としている。
一方、Y2O3を分散させたフェライト系鋼としては、INCO
社のMA956、MA957が知られているが、強度特性の異方性
も大きい。
社のMA956、MA957が知られているが、強度特性の異方性
も大きい。
特に管体のように長手方向に大きく延伸させる成形加工
を加えるときなどは半径方向の高温強度の低下が著し
く、例えば高速増殖炉の炉心材料、すなわち被覆管とし
て用いるときには高い内圧に耐えることができなくな
る。
を加えるときなどは半径方向の高温強度の低下が著し
く、例えば高速増殖炉の炉心材料、すなわち被覆管とし
て用いるときには高い内圧に耐えることができなくな
る。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、650〜750℃での使用を可能とする、高温強度
に優れかつ異方性も小さい、特に前述のように高速増殖
炉の炉心材料用としての使用にも適する焼結用分散強化
型耐熱鋼材を提供することである。
に優れかつ異方性も小さい、特に前述のように高速増殖
炉の炉心材料用としての使用にも適する焼結用分散強化
型耐熱鋼材を提供することである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、フェライト系鋼の高温強度の向上のた
め、従来行われてきた析出強化および固溶強化に加え、
機械的合金化法のような粉末冶金的方法を用いて微細な
Y2O3粉末あるいはZrO2、Al2O3、MgO粉末を均一分散させ
たところ、マルテンサイト相を形成する鋼を基地材に選
ぶことにより圧粉成形・焼結、熱処理に際して、あるい
はその後の成形加工により生じた異方性の減少が可能と
なることを知り、本発明を完成した。
め、従来行われてきた析出強化および固溶強化に加え、
機械的合金化法のような粉末冶金的方法を用いて微細な
Y2O3粉末あるいはZrO2、Al2O3、MgO粉末を均一分散させ
たところ、マルテンサイト相を形成する鋼を基地材に選
ぶことにより圧粉成形・焼結、熱処理に際して、あるい
はその後の成形加工により生じた異方性の減少が可能と
なることを知り、本発明を完成した。
ここで、本発明の要旨は、重量%で、 少なくとも、C:0.04〜0.2%、Cr:8%以上、13%未満を
含有するフェライト母相にY2O3、Al2O3、ZrO2、MgOの1
種または2種以上の酸化物粉末を0.05〜1.5重量%の範
囲で分散させて成る焼結分散強化型耐熱鋼成形部材であ
って、成形加工によって付与された異方性を解消した焼
ならし・焼戻しマルテンサイト組織から成ることを特徴
とする異方性のみられない高速増殖炉用焼結分散強化型
耐熱鋼成形部材である。
含有するフェライト母相にY2O3、Al2O3、ZrO2、MgOの1
種または2種以上の酸化物粉末を0.05〜1.5重量%の範
囲で分散させて成る焼結分散強化型耐熱鋼成形部材であ
って、成形加工によって付与された異方性を解消した焼
ならし・焼戻しマルテンサイト組織から成ることを特徴
とする異方性のみられない高速増殖炉用焼結分散強化型
耐熱鋼成形部材である。
本発明の好適態様によれば、前記成形加工の加工方向に
垂直方向の650℃×104hのクリープ破断強度が8kgf/mm2
以上であってもよい。
垂直方向の650℃×104hのクリープ破断強度が8kgf/mm2
以上であってもよい。
また、本発明にかかる焼結分散強化型耐熱鋼成形部材は
中性子環境下の高速増殖炉の被覆管として用いることが
できる。
中性子環境下の高速増殖炉の被覆管として用いることが
できる。
上記母相としては、重量%でNi:0.1〜1%、N:0.01〜0.
08%、B:0.001〜0.01%、Ti:0.3〜2%の1種以上、さ
らには、Zr、La、CeおよびCaから成る群から選んだ1種
以上の元素を合計で0.05〜0.3%、またさらに、Mo:0.1
〜2.5%および/またはW:0.1〜4%、そしてV:0.1〜0.4
%および/またはNb:0.01〜0.2%を必要に応じさらに加
えてもよい。
08%、B:0.001〜0.01%、Ti:0.3〜2%の1種以上、さ
らには、Zr、La、CeおよびCaから成る群から選んだ1種
以上の元素を合計で0.05〜0.3%、またさらに、Mo:0.1
〜2.5%および/またはW:0.1〜4%、そしてV:0.1〜0.4
%および/またはNb:0.01〜0.2%を必要に応じさらに加
えてもよい。
なお、本発明にかかる成形部材は、圧粉成形・焼結後、
得られた焼結鋼に適宜成形加工を施し、最終形状として
から、所定の熱処理、例えば1000℃以上の焼ならし・70
0℃以上の焼戻しを行い、焼戻しマルテンサイト組織と
することで成形時の異方性の解消を図り、製造される。
得られた焼結鋼に適宜成形加工を施し、最終形状として
から、所定の熱処理、例えば1000℃以上の焼ならし・70
0℃以上の焼戻しを行い、焼戻しマルテンサイト組織と
することで成形時の異方性の解消を図り、製造される。
(作用) 本発明においては焼結鋼の成形加工後に所定の熱処理を
施すことにより生成するマルテンサイト相(以下同じ)
を形成することが重要であるため、特にC、Cr量の制御
が重要である。次に合金成分の含有量を上述のように特
定した理由を説明する。なお、本明細書において特にこ
とわりがない限り、「%」は「重量%」である。
施すことにより生成するマルテンサイト相(以下同じ)
を形成することが重要であるため、特にC、Cr量の制御
が重要である。次に合金成分の含有量を上述のように特
定した理由を説明する。なお、本明細書において特にこ
とわりがない限り、「%」は「重量%」である。
C:オーステナイト安定化元素であり、マルテンサイト組
織を安定化する。さらに合金元素Nb、V、Cr等と結合
し、微細炭化物を形成してクリープ破断強度を改善する
が、0.04%未満ではその効果が不十分で、δ−フェライ
ト量の増加により著しく強度と靭性を損なう。一方、0.
2%を超えると、炭化物が増加し鋼が硬化して、その加
工性、溶接性を損なう。したがって、Cの適性含有量を
0.04〜0.2%とする。
織を安定化する。さらに合金元素Nb、V、Cr等と結合
し、微細炭化物を形成してクリープ破断強度を改善する
が、0.04%未満ではその効果が不十分で、δ−フェライ
ト量の増加により著しく強度と靭性を損なう。一方、0.
2%を超えると、炭化物が増加し鋼が硬化して、その加
工性、溶接性を損なう。したがって、Cの適性含有量を
0.04〜0.2%とする。
Si:基地材粉末製造時の脱酸剤として添加するが、その
含有量が0.3%を超える場合は高温加熱中に脆化が著し
い。したがって、0.3%以下の含有量とするが、好まし
くはSi 0.1%以下にすることにより靭性改善効果が大き
い。
含有量が0.3%を超える場合は高温加熱中に脆化が著し
い。したがって、0.3%以下の含有量とするが、好まし
くはSi 0.1%以下にすることにより靭性改善効果が大き
い。
Mn:基地材粉末製造時の脱酸剤として添加するほか熱間
加工性を改善し、組織を安定化するために添加するが、
1.5%を超えて添加すると硬化相を形成し、靭性、加工
性を損なう。したがって、Mnの適性含有量を1.5%以下
とする。
加工性を改善し、組織を安定化するために添加するが、
1.5%を超えて添加すると硬化相を形成し、靭性、加工
性を損なう。したがって、Mnの適性含有量を1.5%以下
とする。
Cr:耐食性、脱炭抵抗性を向上させるために不可欠な元
素で、8%未満では効果がない。また13%以上の場合、
δ−フェライト量が増加し、強度と靭性を損なうばかり
でなく、成形後の熱処理による異方性改善効果が減少す
る。したがって、Crの適性含有量を8%以上、13%未満
とする。
素で、8%未満では効果がない。また13%以上の場合、
δ−フェライト量が増加し、強度と靭性を損なうばかり
でなく、成形後の熱処理による異方性改善効果が減少す
る。したがって、Crの適性含有量を8%以上、13%未満
とする。
Al:基地材粉末製造時の脱酸剤として添加するが、含有
量が0.03%を越える場合、クリープ強度を損なう。した
がって、Alの適性含有量を0.03%以下とする。
量が0.03%を越える場合、クリープ強度を損なう。した
がって、Alの適性含有量を0.03%以下とする。
Ni、N等下記の各成分は本発明にあって母相への所望添
加成分であり、添加する場合、少なくとも1種を添加す
る。
加成分であり、添加する場合、少なくとも1種を添加す
る。
Ni:オーステナイト安定化元素としてマルテンサイト組
織を安定にする成分である。本発明ではδ−フェライト
量を調整し、強度、靭性、加工性を付与するために必要
により0.1%以上含有させるが、含有量が1%を越える
場合、クリープ強度を損ない、さらに変態点が低くなり
すぎて熱処理性および加工性を損なう。したがって、Ni
の適性含有量を0.1〜1%とする。
織を安定にする成分である。本発明ではδ−フェライト
量を調整し、強度、靭性、加工性を付与するために必要
により0.1%以上含有させるが、含有量が1%を越える
場合、クリープ強度を損ない、さらに変態点が低くなり
すぎて熱処理性および加工性を損なう。したがって、Ni
の適性含有量を0.1〜1%とする。
N:V、Nbと結合し、窒化物を形成してクリープ強度向上
に寄与するが、その含有量が0.01%未満では効果がな
く、0.08%を超える場合は加工性、靭性、および溶接性
を低下させる。したがって、Nの適性含有量を0.01〜0.
08%とする。
に寄与するが、その含有量が0.01%未満では効果がな
く、0.08%を超える場合は加工性、靭性、および溶接性
を低下させる。したがって、Nの適性含有量を0.01〜0.
08%とする。
B:微量添加により、炭化物を分散、安定化させ、クリー
プ強度向上に寄与するが、その含有量が0.001%未満で
は効果がなく、一方、0.01%を超える場合は加工性およ
び溶接性を低下させる。したがって、Bの適性含有量を
0.001〜0.01%とする。
プ強度向上に寄与するが、その含有量が0.001%未満で
は効果がなく、一方、0.01%を超える場合は加工性およ
び溶接性を低下させる。したがって、Bの適性含有量を
0.001〜0.01%とする。
Ti:Y2O3粉末等酸化物分散粒子と反応してより安定な分
散粒子を形成しクリープ強度向上に寄与する。0.3%未
満では十分な効果が得られず、2%を超える場合は、か
えって強度を損なう。したがって、Tiの適性含有量を0.
3〜2%とする。
散粒子を形成しクリープ強度向上に寄与する。0.3%未
満では十分な効果が得られず、2%を超える場合は、か
えって強度を損なう。したがって、Tiの適性含有量を0.
3〜2%とする。
Zr、La、Ce、Ca:これらの元素の単独または複合微量添
加は、介在物の形態制御と靭性に有害な不純物中のP、
Sの清浄化作用がある。これらの元素の総計含有量が0.
05%未満では上記効果が得られず、また0.3%を超える
と靭性および加工性に有害となる。したがって、0.05〜
0.3%を適性含有量とする。
加は、介在物の形態制御と靭性に有害な不純物中のP、
Sの清浄化作用がある。これらの元素の総計含有量が0.
05%未満では上記効果が得られず、また0.3%を超える
と靭性および加工性に有害となる。したがって、0.05〜
0.3%を適性含有量とする。
Mo、W:ともに固溶強化元素であり、所望により添加し、
炭化物、金属間化合物の構成元素としてクリープ強度の
向上に寄与する。どちらも0.1%未満では上記効果が得
られず、一方、Moが2.5%を超える場合、またWが4%
を超える場合は、δ−フェライト量が増加して靭性を損
なうばかりか、さらに高温中で多量の金属間化合物が析
出して脆化する。したがって、Moの適性含有量を0.1〜
2.5%、Wの適性含有量は0.1〜4%とする。
炭化物、金属間化合物の構成元素としてクリープ強度の
向上に寄与する。どちらも0.1%未満では上記効果が得
られず、一方、Moが2.5%を超える場合、またWが4%
を超える場合は、δ−フェライト量が増加して靭性を損
なうばかりか、さらに高温中で多量の金属間化合物が析
出して脆化する。したがって、Moの適性含有量を0.1〜
2.5%、Wの適性含有量は0.1〜4%とする。
V:これも所望添加成分であって、C、Nと結合してV
(C、N)の微細析出物を形成し、クリープ強度に寄与
する。0.1%未満では十分な効果が得られず、0.4%を超
える場合は、かえって強度を損なう。したがって、Vの
適性含有量を0.1〜0.4%とする。
(C、N)の微細析出物を形成し、クリープ強度に寄与
する。0.1%未満では十分な効果が得られず、0.4%を超
える場合は、かえって強度を損なう。したがって、Vの
適性含有量を0.1〜0.4%とする。
Nb:これも所望添加成分であって、V同様にC、Nと結
合してNb(C、N)の微細析出物を形成し、クリープ強
度に寄与し、酸化物の分散性も抑制する。また、組織を
微細化し靭性を改善するのにも有効である。0.01%未満
では効果が得られず、一方0.2%を超える場合には、熱
処理中、未固溶析出物が多量に残存し、クリープ強度を
損なう。したがって、Nbの適生含有量を0.01〜0.2%と
する。
合してNb(C、N)の微細析出物を形成し、クリープ強
度に寄与し、酸化物の分散性も抑制する。また、組織を
微細化し靭性を改善するのにも有効である。0.01%未満
では効果が得られず、一方0.2%を超える場合には、熱
処理中、未固溶析出物が多量に残存し、クリープ強度を
損なう。したがって、Nbの適生含有量を0.01〜0.2%と
する。
Y2O3粉末あるいはZrO2、Al2O3、MgO粉末:基地材に均一
分散させることによりクリープ強度を強化する。平均粉
末粒径が3000Åより大きいと強度向上の効果が小さい。
下限は特に制限されないが好ましくは、50Åである。ま
た、これらの酸化物粉末の総計含有量が0.05%未満では
上記効果が得られず、また1.5%を超えると延性、靭性
および加工性に有害となる。したがって、0.05〜1.5%
を適性含有量とする。
分散させることによりクリープ強度を強化する。平均粉
末粒径が3000Åより大きいと強度向上の効果が小さい。
下限は特に制限されないが好ましくは、50Åである。ま
た、これらの酸化物粉末の総計含有量が0.05%未満では
上記効果が得られず、また1.5%を超えると延性、靭性
および加工性に有害となる。したがって、0.05〜1.5%
を適性含有量とする。
かかる組成の合金はいわゆる粉末冶金法によって作られ
る。
る。
つまり、母相を構成する各粉末としては予め例えば溶解
法で得た合金を粉末化して用いこれに分散用酸化物微粉
末を配合し、均一に混合して機械的合金化を行い、次い
で適宜手段(例:熱間押出し、HIP、CIP等)により圧粉
成形・焼結を行い、得られた焼結鋼に最終製品形状にま
で成形加工を行ってから焼ならし・焼戻しなどの熱処理
を行い、成形加工時に導入された異方性を解消した焼戻
しマルテンサイト組織とする。
法で得た合金を粉末化して用いこれに分散用酸化物微粉
末を配合し、均一に混合して機械的合金化を行い、次い
で適宜手段(例:熱間押出し、HIP、CIP等)により圧粉
成形・焼結を行い、得られた焼結鋼に最終製品形状にま
で成形加工を行ってから焼ならし・焼戻しなどの熱処理
を行い、成形加工時に導入された異方性を解消した焼戻
しマルテンサイト組織とする。
ここに、本発明にかかる鋼材としては特定の構造のもの
に制限されず、管材、棒材はもちろん、板材も包含され
るが、本発明の効果である加工による異方性がみられな
い特性を十分に発揮できる用途としてはいわゆるシーム
レスパイプのような管材(例:核燃料用の被覆管)が好
ましい。
に制限されず、管材、棒材はもちろん、板材も包含され
るが、本発明の効果である加工による異方性がみられな
い特性を十分に発揮できる用途としてはいわゆるシーム
レスパイプのような管材(例:核燃料用の被覆管)が好
ましい。
(実施例) 本発明の効果を具体的に確認するため、第1表に示す各
種の成分をもつ鋼を供試材として試験を行った。
種の成分をもつ鋼を供試材として試験を行った。
第1表中、鋼A〜Fは既存のボイラ、化学工業、原子力
用フェライト鋼で、鋼AはSTBA26鋼、鋼Bは火力発電用
STBA27鋼、鋼CはASTM・A213-T91鋼、鋼Dはボイラ用9C
r-2Mo−V−Nb鋼、鋼EはDIN・X20CrMoV121鋼、鋼FはD
IN・X20CrMoWV121鋼(通称HT9)である。また鋼GはINC
O社製MA956であり、A〜Fは溶解法、Gは下記に示す粉
末冶金法にて製作したものである。
用フェライト鋼で、鋼AはSTBA26鋼、鋼Bは火力発電用
STBA27鋼、鋼CはASTM・A213-T91鋼、鋼Dはボイラ用9C
r-2Mo−V−Nb鋼、鋼EはDIN・X20CrMoV121鋼、鋼FはD
IN・X20CrMoWV121鋼(通称HT9)である。また鋼GはINC
O社製MA956であり、A〜Fは溶解法、Gは下記に示す粉
末冶金法にて製作したものである。
鋼H〜Uは本発明の対象鋼であり、第4表に示す平均粉
末粒径が200μm以下の元素粉あるいはガスアトマイズ
合金粉と酸化物粉末を目的組成に調合し、高エネルギー
ボールミル(アトライター)中に装入し、Ar雰囲気中で
攪拌して機械的合金化(MA)を行った。アトライターの
回転数は200〜250rpm、攪拌時間は24〜48hで行った。得
られたMA粉末をステンレス鋼製の筒状容器に真空封入
し、1000〜1100℃にて8〜15:1の押出比で熱間押出し、
20〜30φ×1000mm長さの寸法を有する押出し棒を製作し
た。
末粒径が200μm以下の元素粉あるいはガスアトマイズ
合金粉と酸化物粉末を目的組成に調合し、高エネルギー
ボールミル(アトライター)中に装入し、Ar雰囲気中で
攪拌して機械的合金化(MA)を行った。アトライターの
回転数は200〜250rpm、攪拌時間は24〜48hで行った。得
られたMA粉末をステンレス鋼製の筒状容器に真空封入
し、1000〜1100℃にて8〜15:1の押出比で熱間押出し、
20〜30φ×1000mm長さの寸法を有する押出し棒を製作し
た。
比較用の鋼V〜Zは、上記と同様の方法で同様の寸法に
機械的合金化を行った鋼である。
機械的合金化を行った鋼である。
上記鋼A〜F、H〜Xの全ての鋼は4mm厚の板に鍛造・
圧延した後、950〜1050℃焼きならし+750〜830℃焼き
もどし熱処理を施し供試材とした。鋼GおよびY、Zは
4mm厚の板に鍛造・圧延した後、1000℃の熱処理を施し
供試材とした。
圧延した後、950〜1050℃焼きならし+750〜830℃焼き
もどし熱処理を施し供試材とした。鋼GおよびY、Zは
4mm厚の板に鍛造・圧延した後、1000℃の熱処理を施し
供試材とした。
これらの供試材から2mm圧×6mm幅×30mm(標点距離)の
板状引張試験片を圧延方向(L方向)およびそれに垂直
な方向(T方向)で採取し、常温引張試験、650℃引張
試験および650℃クリープ破断試験を行った。
板状引張試験片を圧延方向(L方向)およびそれに垂直
な方向(T方向)で採取し、常温引張試験、650℃引張
試験および650℃クリープ破断試験を行った。
その結果を第2表および第3表に示す。第2表から明ら
かなように、650℃×104hクリープ破断強度において、
本発明鋼は全て8.0kgf/mm2を超え、既存の鋼A〜Fをは
るかに凌ぎ、650℃×104hクリープ破断強度の異方性
が、既存鋼Gに対し非常に小さいことが明らかである。
かなように、650℃×104hクリープ破断強度において、
本発明鋼は全て8.0kgf/mm2を超え、既存の鋼A〜Fをは
るかに凌ぎ、650℃×104hクリープ破断強度の異方性
が、既存鋼Gに対し非常に小さいことが明らかである。
第1図および第2図に、それぞれ代表的な鋼のクリープ
破断試験における圧延方向(L方向)およびそれに垂直
な方向(T方向)の結果を示す。図に明瞭に示されるよ
うに、本発明鋼は、異方性が少なく、優れた強度を有
し、かつ長時間側まで極めて安定である。また本発明鋼
の異方性は、G鋼に比し非常に小さい。
破断試験における圧延方向(L方向)およびそれに垂直
な方向(T方向)の結果を示す。図に明瞭に示されるよ
うに、本発明鋼は、異方性が少なく、優れた強度を有
し、かつ長時間側まで極めて安定である。また本発明鋼
の異方性は、G鋼に比し非常に小さい。
(発明の効果) 以上に説明した如く、本発明によれば、優れた高温強度
および異方性の小さいフェライト系鋼を実現することが
できることから、高速増殖炉の炉心用構造部材等高温で
長時間使用される高強度部材として好適である。
および異方性の小さいフェライト系鋼を実現することが
できることから、高速増殖炉の炉心用構造部材等高温で
長時間使用される高強度部材として好適である。
第1図は、本発明鋼と既存鋼の650℃でのクリープ破断
試験結果(L方法)をまとめて示すグラフ;および 第2図は、本発明鋼と既存鋼の650℃でのクリープ破断
試験結果(T方向)をまとめて示すグラフである。
試験結果(L方法)をまとめて示すグラフ;および 第2図は、本発明鋼と既存鋼の650℃でのクリープ破断
試験結果(T方向)をまとめて示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 平野 奨 兵庫県尼崎市西長洲本通1丁目3番地 住 友金属工業株式会社総合技術研究所内 (72)発明者 伊勢田 敦朗 兵庫県尼崎市西長洲本通1丁目3番地 住 友金属工業株式会社総合技術研究所内 (72)発明者 寺西 洋志 兵庫県尼崎市西長洲本通1丁目3番地 住 友金属工業株式会社総合技術研究所内 (72)発明者 柴原 格 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 動力 炉・核燃料開発事業団大洗工学センター内 (72)発明者 野村 茂雄 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 動力 炉・核燃料開発事業団大洗工学センター内 (72)発明者 中嶋 元治 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 動力 炉・核燃料開発事業団大洗工学センター内 (72)発明者 榎戸 裕二 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 動力 炉・核燃料開発事業団大洗工学センター内 (72)発明者 藤原 優行 兵庫県神戸市灘区高徳町1―4―11 (72)発明者 西田 俊夫 兵庫県神戸市灘区篠原伯母野山町2―3― 1 (56)参考文献 特開 昭53−28517(JP,A) 特開 昭63−186853(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】重量%で、 少なくとも、C:0.04〜0.2%、Cr:8%以上、13%未満を
含有するフェライト母相にY2O3、Al2O3、ZrO2、MgOの1
種または2種以上の酸化物粉末を0.05〜1.5重量%の範
囲で分散させて成る焼結分散強化型耐熱鋼成形部材であ
って、成形加工によって付与された異方性を解消した焼
ならし・焼戻しマルテンサイト組織から成ることを特徴
とする異方性のみられない高速増殖炉用焼結分散強化型
耐熱鋼成形部材。 - 【請求項2】前記成形加工の加工の加工方向に垂直方向
の650℃×104hのクリープ破断強度が8kgf/mm2以上であ
る請求項1記載の焼結分散強化型耐熱鋼成形部材。 - 【請求項3】中性子環境下の高速増殖炉の被覆管である
請求項1または2記載の焼結分散強化型耐熱成形部材。
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GB8908952A GB2219004B (en) | 1988-04-25 | 1989-04-20 | Dispersion strengthened ferritic steel for high temperature structural use |
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JP63114060A JPH07823B2 (ja) | 1988-05-11 | 1988-05-11 | 焼結分散強化型耐熱鋼成形部材 |
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JPH01287252A JPH01287252A (ja) | 1989-11-17 |
JPH07823B2 true JPH07823B2 (ja) | 1995-01-11 |
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ID=14628027
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KR20150104348A (ko) * | 2014-03-05 | 2015-09-15 | 한국원자력연구원 | 크리프 저항성이 향상된 페라이트/마르텐사이트계 산화물분산강화 강 및 이의 제조방법 |
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KR102324087B1 (ko) | 2019-12-18 | 2021-11-10 | 한전원자력연료 주식회사 | 페라이트계 합금 및 이를 이용한 핵연료 피복관의 제조방법 |
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-
1988
- 1988-05-11 JP JP63114060A patent/JPH07823B2/ja not_active Expired - Lifetime
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