JPH078113U - ガス発生装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガス発生器から漏れ出す高温ガスによる周辺
部材への悪影響を回避することのできるガス発生装置を
提供する。 【構成】 撃針作動装置２０のハウジング２１およびこ
のハウジング２１の開口を閉鎖する撃針ガイド部材２５
のフレーム２への取り付け面、ガス発生器３０およびこ
のガス発生器３０を収納する前記プリテンショナ１０の
ハウジング１１の前記フレーム２への取り付け面には肉
盗み部が設けられて、高温ガスＧを案内する案内溝５
０、５１がそれぞれ形成される。これにより、前記フレ
ーム２ｃへの取り付け面から漏れ出そうとする高温ガス
Ｇは、ガス案内溝５０、５１により案内されて所定の方
向に噴出するガス発生装置１００。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば自動車が衝突した時に作動するエアバッグやシートベルトプ リテンショナー等の装置を作動させるガス発生装置に関し、さらに詳しくは、ガ ス発生器の雷管を撃針により刺突させる撃針作動装置を備えたガス発生装置に関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車が衝突した時に乗員を保護するため、従来よりエアバッグやシートベル トプリテンショナーが用いられているが、これらの装置は衝突時に瞬間的に作動 させる必要があることから、火薬等のガス発生薬剤を爆発的に燃焼させて高温ガ スを発生させるガス発生装置が用いられている。 このガス発生装置は、電気的に着火されて作動するものと、機械的に着火され て作動するものとがある。近年においては構造が簡単で安価なことから機械式が 多用されるようになってきている。

【０００３】 この機械作動式のガス発生装置を自動車用シートベルト巻き取り装置のプリテ ンショナーに適用した従来のものについて、以下に図８乃至図１０を用いて説明 する。 ここで、図８はプリテンショナー付き自動車用シートベルト巻き取り装置の正 面図、図９はその機械式ガス発生装置の全体断面図、図１０はこの機械作動式ガ ス発生装置から噴出するガスの方向を示すの作動を説明する自動車用シートベル ト巻き取り装置の側面図である。

【０００４】 まず自動車用シートベルト巻き取り装置について説明すると、図８および図１ ０に示すように、この自動車用シートベルト巻き取り装置１は、互いに対向する 側壁２ａ、２ｂを有する断面コ字型の鋼板製のフレーム２と、側壁２ａ、２ｂに 両端を回転自在に軸支されてベルト４を巻き取る巻き取りリール３と、この巻き 取りリール３を常にベルト巻き取り方向に付勢する巻き取り器６と、このシート ベルト巻き取り装置１を取り付ける自動車に急激な減速が生じた場合に巻き取り リール３の回転をロックしてベルト４の伸び出しを防止するロック装置５とを有 している。 そして、フレーム２の図示下方側に設けられた舌片状の取り付け部材７により 車体に取り付けられるとともに、ポリエステル繊維製のベルト４はベルトガイド ８により案内されて図示上方側に引き出されるようにされている。また、フレー ム２の側壁２ａの上端部には、この側壁２ａと平行に延びる板状のガス発生装置 取り付け部２ｃが一体に設けられている。さらにこの取り付け部２ｃの両側面に は、それぞれ撃針作動装置２０とプリテンショナ装置１０とが、互いに対向する ように取り付けられて、ボルト２６により前記取り付け部２ｃを挟持するように 互いに螺着されている。

【０００５】 撃針作動装置２０は、図９および図１０に示すように、ガス発生装置取り付け 部２ｃの一方の側の側面２ｅに取り付けられるハウジング２１を有し、このハウ ジング２１は有底円筒状とされ、かつその開口側の外周面には軸線に対して垂直 に延びる取り付けフランジ２１ａと２１ｂが垂設されているとともに、その開口 は後述する撃針ガイド部材２５が嵌合されて閉塞されている。 そして、このハウジング２１には円柱状の撃針２４が軸線方向に摺動自在に取 付けられている。この撃針２４の先端は鋭く尖った形状に成形されており、その 先端部分は撃針ガイド部材２５の貫通孔２ｄに挿通されている。これにより、こ の撃針２４は、ハウジング２１の内部で軸線方向に変位自在とされている。

【０００６】 プリテンショナ装置１０は、ガス発生装置取り付け部２ｃの他方の側の側面２ ｆに取り付けられる円柱状のハウジング１１と、このハウジング１１の末端に螺 着されるシリンダ１２とを有し、正面視でＬ字形とされている。 そして、ハウジング１１の内部には、ガス発生装置取り付け部２ｃの側面２ｆ に接するようにガス発生器３０が収納されている。 このガス発生器３０は、図９に示すように、有底円筒状ケース３１内に封入さ れたガス発生薬剤３２と、このガス発生薬剤３２を密封するとともに雷管３３を 軸線上に保持する雷管ホルダー３４と、撃針２４の先端部を案内する撃針案内孔 ３５ａが設けられたキャップ３５とを有している。そして、雷管３３は撃針２４ の尖った先端部により刺突されて発火する刺突雷管とされ、撃針案内孔３５ａに 臨むようにされている。さらに雷管ホルダー３４には貫通孔３４ａが設けられ、 雷管３３が撃針２４により発火された時に、その炎がガス発生薬剤３２内に噴出 して、このガス発生薬剤３２に点火するようにされている。

【０００７】 次に、上述の撃針作動装置２０とガス発生器３０の作動について説明する。 この撃針作動装置２０内に取り付けられた図示しない慣性体に、自動車の衝突 等により所定の大きさ以上の急激な慣性力が作用すると、この慣性体は円環状磁 石２２との磁性反発力に逆らって軸線方向に変位する。これにより撃針２４はガ ス発生器３０側に変位されて、その尖った先端部が雷管３３を刺突し発火させる 。この雷管３３の発火により着火された前記ガス発生薬剤３２は大量の高温ガス Ｇを発生する。 この高温ガスＧはケース３１の底部を突き破り、プリテンショ ナ装置１０のガス室１３内に噴出する。これにより、プリテンショナ装置１０の シリンダ１２内に設けられたピストン１５がガス圧Ｐにより駆動されてシリンダ 内を変位し、このピストン１５に接続されたワイヤーケーブル１６を引張り力Ｆ により引っ張る。これによりこのワイヤーケーブル１６が巻き付けられた巻き取 りリール３はシートベルト４を巻き取る方向に付勢されベルトのたるみを無くす 。したがって、乗員の身体はたるみがなくされたベルト４によりシートに強く拘 束されるから、衝突の衝撃による車体前方への変位量が小さくなり、ステアリン グホイール等への激突による傷害を防止することができる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上述のガス発生器３０は、ハウジング１１内に、取り付け部２ｃの 側面２ｆに臨むように収納されているとともに、そのキャップ３５には撃針２４ が貫通する貫通孔３５ａが設けられている。これにより薬剤３２が発生した高温 高圧のガスＧの一部は逆流して、このガス発生器３０およびハウジング１１と取 り付け部２ｃの側面２ｆとの隙間から漏れ出して外部に噴出してしまう。さらに 取り付け部２ｃには、撃針２４が貫通する貫通孔２ｄが設けられているので、こ の貫通孔２ｄを通過した高温高圧のガスＧは、撃針作動装置２０と取り付け部２ ｃの側面２ｅとの隙間からも漏れ出して外部に噴出してしまう。そして、この噴 出ガスの温度はかなり高いから、上述のプリテンショナ装置１０や撃針作動装置 ２０の周囲に設けられている部品に熱的な影響をおよぼすおそれがあり好ましく ない。

【０００９】 このことは、上述したシートベルト巻き取り装置に限らず、ステアリングホイ ールの内部やその他の箇所に設けられるエアバッグの場合においても、そのガス 発生装置等の取り付け方法が類似している限り同様である。 そこで、本考案は上記の事情に鑑みてなされたもので、ガス発生装置において ガス発生器と撃針作動装置との継ぎ目部分に漏れ出す高温ガスの噴出方向を制御 することにより、周辺部品に熱的影響がおよばないようにすることを目的とする ものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本考案の上記目的は、撃針により刺突されて発火する雷管を有するガス発生器 と、前記雷管に連通する貫通孔を通して前記撃針を該雷管に刺突させる撃針作動 装置とを有するガス発生装置において、前記ガス発生器と前記撃針作動装置との 継ぎ目部分にて、該継ぎ目に沿って前記貫通孔と装置外とを連通するガス案内溝 が設けられ、前記雷管の発火時の発生ガスを前記ガス案内溝により特定方向に案 内するように構成されたことを特徴とするガス発生装置によって達成される。

【００１１】

【作用】

上記のような構成のガス発生装置においては、ガス発生器と撃針作動装置との 継ぎ目部分にて、この継ぎ目に沿って前記貫通孔と装置外とを連通するガス案内 溝が設けられていることにより、雷管が発火したときに、この継ぎ目に沿って漏 れ出ようとする高温ガスは、ガス案内溝に案内されて周囲の部品に熱的な影響を およぼさない特定の方向に噴出する。

【００１２】

【実施例】

本考案のガス発生装置の実施例について、添付した図面を用いて詳細に説明す る。なお、冗長な説明を避けるために従来例と同一の部分には、同一の符号を用 いて説明を適宜簡略化する。

【００１３】 本実施例のガス発生装置１００について、図１乃至図４を用いて説明する。 このガス発生装置１００は、基本的には図８乃至図１０に示した装置と同様で あり、図１に示すように、ガス発生器２０と撃針作動装置３０とがフレーム２を 挟むようにして継ぎ目部分を有して組み立てられている。 そして、本実施例の特徴的な構造はフレーム２の取り付け部２ｃのところに、 該取り付け部２ｃに沿って貫通孔２ｄと装置外とを連通するガス案内溝５０、５ １が設けられた構成である。

【００１４】 すなわち、図２に示すように、撃針作動装置２０のハウジング２１およびこの ハウジング２１の開口を閉鎖する撃針ガイド部材２５の取り付け部２ｃへの取り 付け面には、この撃針作動装置２０の外周部から取り付け部２ｃに設けられた挿 通孔２ｄに至る略扇形状の肉盗み部２１ｃおよび２５ｂが設けられている。これ により、この撃針作動装置２０を取り付け部２ｃの側面２ｅに取り付けることに より、高温ガスＧを案内するガス案内溝５０が形成される。

【００１５】 そして、ガス発生器３０、およびこのガス発生器３０を収納するプリテンショ ナ１０のハウジング１１の取り付け部２ｃへの取り付け面にも全く同様の肉盗み 部が設けられて、高温ガスＧを案内するガス案内溝５１が形成される。 このように、ガス案内溝５０、５１は、撃針２４により雷管３３が発火したと きに撃針２４側に流れた高温ガスＧ（高圧でもある）を該ガス案内溝５０、５１ 内を通して装置外に噴出させる。すなわち、ガス発生器３０及び撃針作動装置２ ０を取り付け部２ｃに固定したとき、取り付け部２ｃの両側面２ｆ，２ｅに完全 に隙間なく取り付けることは出来ないために、前記ガス案内溝５０、５１以外の ところにも貫通孔２ｄに繋がった隙間が形成されしまうが、この高温ガスＧは流 れ易いガス案内溝５０、５１内を流れて噴出することになる。 したがって、ガス案内溝５０、５１の設ける位置を例えば図４に示すように比 較的スペースを有しかつ合成樹脂製の部品が無い方向に適宜設定することで、高 温ガスＧが周囲の部品に熱的影響をおよぼすことがないようにできる。

【００１６】 次に、前記ガス案内溝５０、５１を他の方法で成形する他の実施例について図 ５及び図６を参照して説明する。 図５及び図６に示す実施例において撃針作動装置２０は、スペーサ４０を介し てフレーム２に取り付けられる構造である。そして、このスペーサ４０には、そ の外周から撃針挿通孔にいたる肉盗み部４０ｃが設けられている。また、ガス発 生器３０を収納するプリテンショナ１０のハウジング１１側のガス発生器（図示 しない）と、フレーム２との間に介装されているスペーサ４１にも全く同様の肉 盗み部４１ｃが設けられており、両スペーサ４０、４１はその各肉盗み部４１ｃ が対面するように取り付けられている。 これにより、これらのスペーサ４０、４１をフレーム２に取り付けることによ りガス案内溝５０、５１が容易に形成される。また、このスペーサ４０、４１は フレーム２と撃針作動装置２０およびガス発生器との間のシール手段としての機 能を有しており、ガス案内溝５０、５１以外のところを効果的に密封することが きるものである。

【００１７】 次に、図７を参照して他のガス発生装置について説明する。 図７に示すように、本実施例のガス発生装置は、その周囲にガス遮蔽板６０が 設けられている点のみが従来例のガス発生装置と異なっている。 すなわち、ガス遮蔽板６０は高熱かつ高圧に対して強い例えば鋼板をプレス加 工により断面Ｌ字型に成形したもので、ベルト４とほぼ平行に延びる縦壁６１と 、このガス発生装置と前記巻き取りリール３との間に介装される横壁６２とを有 し、この横壁６２の末端に垂設された取り付けフランジ６３を、取り付けボルト ６４によりフレーム２の側壁２ａ、２ｂに螺着されている。 これにより、ガス発生装置のフレーム２への取り付け面から漏れだした高温の ガスはこの遮蔽板６０により遮蔽されて、引き出された前記シートベルト４と、 巻き取りリール３に巻き取られたシートベルト４に向けて高温ガスが直接噴出さ れないから、これらの部材への熱的な悪影響がおよぶことを防止することができ る。すなわち、ガス発生器と撃針作動装置との継ぎ目部分の外側に、この継ぎ目 部分に沿って漏れ出したガスの特定の方向への噴出を遮蔽する遮蔽部材が設けら れた構造によれば、この継ぎ目に沿って漏れ出したガスはこの遮蔽板により遮ら れて周囲の部品に直接当たることがない。 なお、遮蔽板６０の形状は図７に示す如く断面Ｌ字形状に限定するものではな く、必要に応じて適宜変更することができるものである。 また、前記各実施例においては本考案のガス発生装置を自動車用シートベルト 巻き取り装置に適用した場合について説明したが、本考案は冒頭にものべたよう にエアバッグ等のガス発生装置にも適用できるものである。

【００１８】

【考案の効果】

以上述べたように本考案のガス発生装置は、このガス発生装置が取り付けられ る基体への取り付け面に沿って漏れ出すガスを所定の方向へ案内して噴出させる ガス案内溝を設けたり、あるいは漏れだしたガスを遮蔽する遮蔽板を設けること により、雷管が発生する高温ガスを周囲の部品に直接接触することがないように でき、このガス発生装置の周囲に設けられている部品に対して熱による変形等の 悪影響を回避することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のガス発生装置の要部断面図である。

【図２】図１に示した撃針作動装置を示す斜視図であ
る。

【図３】本考案を自動車用シートベルト巻き取り装置に
適用した場合の要部正面図である。

【図４】本考案のガス発生装置によるガス案内溝から噴
出するガスの噴出方向を説明する自動車用シートベルト
巻き取り装置の側面図である。

【図５】本考案の他の実施例における要部斜視図であ
る。

【図６】図５に示した実施例におけるガス発生装置のガ
ス案内溝からのガスの噴出を説明する自動車用シートベ
ルト巻き取り装置の要部を示す正面図である。

【図７】本考案によるガス遮蔽板の取り付け状態を説明
する自動車用シートベルト巻き取り装置の側面図であ
る。

【図８】従来のプリテンショナー付き自動車用シートベ
ルト巻き取り装置の正面図である。

【図９】図８に示す自動車用シートベルト巻き取り装置
のガス発生装置の作動を示す側面図である。

【図１０】図９に示すガス発生装置から噴出するガスの
方向を示す自動車用シートベルト巻き取り装置の部分断
面図である。

【符号の説明】

１ 自動車用シートベルト巻き取り装置 ２ フレーム ３ 巻き取りリール ４ シートベルト ５ ロック装置 ６ 巻き取り器 １０ プリテンショナー装置 １１ ハウジング ２０ 撃針作動装置 ２４ 撃針 ３０ ガス発生器 ３１ ケース ３２ ガス発生薬剤 ３３ 雷管 ３５ キャップ ４０、４１ スペーサ ５０、５１ ガス案内溝 ６０ 遮蔽板 １００ ガス発生装置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 撃針により刺突されて発火する雷管を有
   するガス発生器と、前記雷管に連通する貫通孔を通して
   前記撃針を該雷管に刺突させる撃針作動装置とを有する
   ガス発生装置において、 前記ガス発生器と前記撃針作動装置との継ぎ目部分に
   て、該継ぎ目に沿って前記貫通孔と装置外とを連通する
   ガス案内溝が設けられ、前記雷管の発火時の発生ガスを
   前記ガス案内溝により特定方向に案内するように構成さ
   れたことを特徴とするガス発生装置。