JPH0780936A - ラミネート金属板の製造法 - Google Patents

ラミネート金属板の製造法

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JPH0780936A
JPH0780936A JP5226174A JP22617493A JPH0780936A JP H0780936 A JPH0780936 A JP H0780936A JP 5226174 A JP5226174 A JP 5226174A JP 22617493 A JP22617493 A JP 22617493A JP H0780936 A JPH0780936 A JP H0780936A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 樹脂被膜と金属板との接着性にすぐれたラミ
ネート金属板を効率よく製造しうる方法を提供するこ
と。 【構成】 一対のロールで圧接され、金属板の一方表面
と前記一対のロールのうち一方のロールとの界面に溶融
した熱可塑性樹脂をTダイから流下させる際に、前記金
属板の中央部の予熱温度が前記金属板の端部の予熱温度
よりも高温となるように予熱したのち、溶融した熱可塑
性樹脂を流下させ、該熱可塑性樹脂を前記金属板の一方
表面に被覆して仮接着させ、形成された熱可塑性樹脂被
膜の端部を除去し、ついでえられた熱可塑性樹脂被覆金
属板の少なくとも端部を再加熱することを特徴とするラ
ミネート金属板の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラミネート金属板の製
造法に関する。さらに詳しくは、たとえば建築材料、自
動車用内装材、家庭電気機器用材料、家具調度品用材
料、缶用材料などとして好適に使用しうるラミネート金
属板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ラミネート金属板の製造法として
は、たとえば加熱ロールで金属基板を50〜170 ℃に予熱
したのち、冷却ロールに送入させる際に、冷却ロールと
加熱ロールによって予熱された金属基板とのあいだに溶
融樹脂を押出し、ついで押出された溶融樹脂を冷却ロー
ルで冷却するとともに金属基板に圧着させる方法が提案
されている(特開昭57−203545号公報)。
【0003】しかしながら、かかる方法によれば、金属
基板の表面全体に樹脂が被覆され、該樹脂は非導電性の
ものであるため、電気溶接を行なうことができないとい
う欠点がある。
【0004】そこで、樹脂が被覆されたラミネート金属
板に溶接を行なうことができるようにした方法として、
押出ラミネーション法により、金属基板の両端部に樹脂
が被覆されないようにして該金属基板に樹脂を直接連続
的に被覆する方法が提案されている。しかしながら、か
かる方法には、押出ラミネーション法が採用されている
ため、Tダイのスリット開口部から流下する溶融状態の
熱可塑性樹脂膜には、開口部から流下するにしたがって
幅狭まり(ネックイン)が生じ、該熱可塑性樹脂膜の中
央部では膜厚がほぼ均一であるが、両端部では膜厚が大
きくなり、えられるラミネート金属板の幅方向における
樹脂被膜の膜厚が不均一となるという問題がある。
【0005】かかる問題を解決する方法としては、あら
かじめTダイのスリット開口部から流下して形成された
熱可塑性樹脂膜の両端の厚肉部分を除去したフィルムを
成形しておき、該フィルムを金属基板に溶接しろを形成
するように貼付する方法が提案されているが、かかる方
法は、樹脂膜の両端の厚肉部分を除去してフィルムを成
形するという煩雑な工程を要するため、生産性や経済性
におとるという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来技術
に鑑みてなされたものであり、樹脂被膜と金属板との接
着性にすぐれたラミネート金属板を効率よく製造しうる
方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、一
対のロールで圧接され、金属板の一方表面と前記一対の
ロールのうち一方のロールとの界面に溶融した熱可塑性
樹脂をTダイから流下させる際に、前記金属板の中央部
の予熱温度が前記金属板の端部の予熱温度よりも高温と
なるように予熱したのち、溶融した熱可塑性樹脂を流下
させ、該熱可塑性樹脂を前記金属板の一方表面に被覆し
て仮接着させ、形成された熱可塑性樹脂被膜の端部を除
去し、ついでえられた熱可塑性樹脂被覆金属板の少なく
とも端部を再加熱することを特徴とするラミネート金属
板の製造法に関する。
【0008】
【作用および実施例】本発明の製造法によれば、一対の
ロールで圧接され、金属板の一方表面と前記一対のロー
ルのうち一方のロールとの界面に溶融した熱可塑性樹脂
をTダイから流下させる際に、前記金属板の中央部の予
熱温度が前記金属板の端部の予熱温度よりも高温となる
ように予熱したのち、溶融した熱可塑性樹脂を流下さ
せ、該熱可塑性樹脂を前記金属板の一方表面に被覆して
仮接着させ、形成された熱可塑性樹脂被膜の端部を除去
し、ついでえられた熱可塑性樹脂被覆金属板の少なくと
も端部を再加熱することにより、ラミネート金属板がえ
られる。
【0009】本発明に用いられる金属板としては、たと
えば屋根、壁、間仕切りなどの建材、自動車用内装材用
材料、家庭電気機器用材料、家具調度品材料、缶用材料
などに用いられている金属材、たとえば鋼板、亜鉛めっ
き鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、錫めっき鋼板、錫合金め
っき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム合金
めっき鋼板、ステンレス鋼板などがあげられるが、本発
明はかかる例示のみに限定されるものではない。
【0010】なお、本発明においては、金属板上には化
成処理層が設けられていてもよい。かかる化成処理層
は、金属板の耐食性、金属板と熱可塑性樹脂被膜との密
着性などを向上させるために、たとえばリン酸亜鉛、リ
ン酸鉄、リン酸クロメートなどを用いて処理することに
よって形成され、かかる化成処理層の厚さは、通常0.1
〜5μm程度であればよい。
【0011】本発明で被覆に用いられる熱可塑性樹脂と
しては、たとえばポリエチレンテレフタレートなどのポ
リエステル;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−
ペンテンなどのホモポリマーまたはコポリマーからなる
ポリオレフィンや変性ポリオレフィン;(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル
アミドなどのホモポリマーまたはコポリマーからなるア
クリル樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロ
ン−6,10、ナイロン−11などのポリアミド;ポリ塩化
ビニル;三フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン樹
脂、六フッ化エチレン−プロピレン樹脂、フッ化ビニル
樹脂、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂;ポリカ
ーボネート;ポリスチレン系樹脂;ABS樹脂;塩素化
ポリエーテル;ウレタン樹脂などがあげられるが、本発
明はかかる例示のみに限定されるものではない。なお、
これらの熱可塑性樹脂には、必要により、たとえば老化
防止剤、改質剤、顔料をはじめ、アミノ樹脂やエポキシ
樹脂などを適宜配合することができる。
【0012】なお、前記熱可塑性樹脂による被覆は、単
層被覆および多層被覆のいずれであってもよく、たとえ
ば多層被覆は、たとえば多層Tダイなどによって行なわ
れる。
【0013】つぎに、本発明のラミネート金属板の製造
法を図面にもとづいて説明する。
【0014】図1は、本発明のラミネート金属板の製造
法の一実施態様を示す概略説明図である。
【0015】まず、本発明においては、金属板1を、そ
の中央部の予熱温度がその端部の予熱温度よりも高温と
なるように予熱する。
【0016】このように、金属板1の中央部の予熱温度
をその端部の予熱温度よりも高温となるように予熱する
方法としては、たとえば図1に示されるように、まず金
属板1全体を予熱装置2を用いて予熱したのち、金属板
1の端部のみを冷却する方法などがあげられる。
【0017】前記予熱装置2の代表例としては、たとえ
ば誘導加熱装置、ガス加熱装置、赤外線加熱装置などが
あげられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるも
のではない。
【0018】また、端部のみを冷却する際に用いられる
冷却装置3の代表例としては、たとえば水冷装置、空冷
装置などがあげられるが、本発明はかかる例示のみに限
定されるものではない。
【0019】図1に示されたラミネート金属板の製造装
置においては、予熱装置2および冷却装置3を用いるこ
とにより、ニップロール4と巻付ロール5とからなる一
対のロール間に送入される金属板1の予熱温度が、金属
板1の中央部の予熱温度が金属板1の端部の予熱温度よ
りも高温となるように調整される。
【0020】前記金属板1の中央部の予熱温度は、前記
熱可塑性樹脂の種類によって異なるので一概には決定す
ることができないが、あまりにも低いばあいには、熱可
塑性樹脂と金属板1との接着強度が充分でなくなり、ま
たあまりにも高いばあいには、熱可塑性樹脂が分解する
のみならず、省エネルギーの観点からも好ましくない。
【0021】したがって、前記金属板1の中央部の予熱
温度の一例として、前記熱可塑性樹脂がポリエチレンテ
レフタレートであるばあい、該予熱温度は140 ℃〜溶融
押出時の樹脂温度であることが好ましく、前記熱可塑性
樹脂がポリプロピレンであるばあい、該予熱温度は100
℃〜溶融押出時の樹脂温度であることが好ましく、また
前記熱可塑性樹脂がポリエチレンであるばあい、該予熱
温度は90℃〜溶融押出時の樹脂温度であることが好まし
い。
【0022】また、前記金属板1の端部の予熱温度は、
前記金属板1の中央部の予熱温度と同様に、前記熱可塑
性樹脂の種類によって異なるので一概には決定すること
ができないが、あまりにも低いばあいには、前記熱可塑
性樹脂と金属板1との密着性がわるくなり、またあまり
にも高いばあいには、前記熱可塑性樹脂が金属板1に強
固に接着し、形成された熱可塑性樹脂被膜の端部を除去
することが困難となる。
【0023】したがって、前記金属板1の端部の予熱温
度の一例として、前記熱可塑性樹脂がポリエチレンテレ
フタレートであるばあい、該予熱温度は70〜120 ℃であ
ることが好ましく、前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン
であるばあい、該予熱温度は50〜90℃であることが好ま
しく、また前記熱可塑性樹脂がポリエチレンであるばあ
い、該予熱温度は40〜80℃であることが好ましい。
【0024】なお、中央部の予熱温度よりも低温である
端部の予熱温度となるように加熱された金属板1の端部
の幅は、基本的には、えられるラミネート金属板の端部
に形成される溶接しろの幅となるように調整することが
好ましい。
【0025】まず、あらかじめ加熱によって溶融された
熱可塑性樹脂を、Tダイ6を介して、ニップロール4お
よび巻付ロール5で圧接させ、予熱された金属板1の一
方表面と巻付ロール5との界面に流下させる。
【0026】ニップロール4と巻付ロール5で金属板1
を圧接する際の圧力は、とくに限定がないが、たとえば
0.2 〜10kg/cm程度であればよい。
【0027】予熱された金属板1の一方表面と巻付ロー
ル5との界面に流下させた熱可塑性樹脂は、ニップロー
ル4と巻付ロール5のあいだで金属板1に密着する。こ
の際、流下させる熱可塑性樹脂の押出量や金属板1のラ
インスピードを調整することにより、形成される熱可塑
性樹脂被膜の厚さを調節することができる。かかる熱可
塑性樹脂被膜の厚さは、えられるラミネート金属板の用
途などによって異なるので一概には決定することができ
ないが、通常10〜200 μm程度、なかんづく20〜100 μ
m程度であることが好ましい。
【0028】なお、本発明においては、熱可塑性樹脂被
膜に凹凸形状を付与させるために、前記巻付ロール5と
してエンボスロールを用いることができる。
【0029】本発明においては、金属板1上に均一な厚
さを有する熱可塑性樹脂被膜7を形成させるために、不
均一な厚さを有する熱可塑性樹脂被膜7の端部を除去す
る。除去される熱可塑性樹脂被膜7の端部の幅は、えら
れるラミネート金属板の端部に形成される溶接しろの幅
によって異なる。その一例として、たとえば図1におい
て、A−A方向に眺めたときの熱可塑性樹脂被膜7が設
けられた金属板1の断面の状態を図2にもとづいて説明
する。
【0030】図2において、pは、金属板1上に形成さ
れた熱可塑性樹脂被膜7の全幅であり、不均一な厚さを
有する熱可塑性樹脂被膜7の端部q、rを除去すること
により、溶接しろs、tを形成させることができる。溶
接しろs、tの幅は、えられるラミネート金属板の用途
などによって異なるので一概には決定することができな
いが、通常、数mm〜十数mm程度である。
【0031】不均一な厚さを有する熱可塑性樹脂被膜7
の端部は、前記したように、中央部の予熱温度よりも低
い温度に予熱された端部を有する金属板1と密着してい
るが、完全に接着しておらず、仮接着しているので、金
属板1から容易に剥離させ、除去することができる。
【0032】不均一な厚さを有する熱可塑性樹脂被膜7
の端部は、図1に示されるように、刃物8で切り込みを
入れて除去させてもよく、ウォータージェットを吹き付
て除去させてもよく、またレーザーを照射することによ
って除去させてもよい。
【0033】前記熱可塑性樹脂被膜7の端部を刃物8で
切り込みを入れて除去するばあい、設備コストが小さく
てすむが、金属板1に疵をつけるおそれがあるので、注
意を要する。
【0034】前記熱可塑性樹脂被膜7の端部をウォータ
ージェットを吹き付て切断し除去させるばあい、設備コ
ストが大きくなり、また水の飛散に注意が必要である。
【0035】前記熱可塑性樹脂被膜7の端部をレーザー
を照射することによって除去する方法には、レーザーで
端部の熱可塑性樹脂被膜7を溶融分解させる方法と、集
光ビームで集光されたビームを端部の熱可塑性樹脂被膜
7に照射し、該樹脂被膜に切り込みを入れる方法とがあ
り、前者の方法は、設備コストが大きくなり、また後者
の方法は、前者の方法ほど設備コストが大きくならない
が、刃物を用いる方法と比べて設備コストが大きくな
る。
【0036】なお、熱可塑性樹脂被膜7の端部を切断
し、不要になった樹脂被膜片は、たとえば剥ぎ取って吸
引除去してもよく、巻き取って除去してもよく、あるい
はたとえば空気などの気体を噴射させて吹き飛ばしても
よい。
【0037】樹脂被膜7の端部を除去する際には、たと
えば図1に示されるように、その端部除去の作業性を向
上させるために、押えロール9を用いてもよい。
【0038】つぎに、熱可塑性樹脂被膜7の端部を除去
したのち、えられた熱可塑性樹脂被覆金属板の少なくと
も端部の再加熱を行なう。
【0039】このように熱可塑性樹脂被覆金属板の少な
くとも端部の再加熱を行なうのは、金属板1と熱可塑性
樹脂被膜7とを一体化させる際の金属板1の予熱温度が
中央部で高く、端部で低いため、かかる端部付近では熱
可塑性樹脂被膜7が金属板1に接着していないからであ
る。したがって、本発明においては、熱可塑性樹脂被膜
7が金属板1に充分に接着していない熱可塑性樹脂被覆
金属板の端部を再加熱させるが、該熱可塑性樹脂被覆金
属板全体を再加熱させてもよい。
【0040】前記再加熱の際の再加熱温度は、前記熱可
塑性樹脂の種類によって異なるので一概には決定するこ
とができないが、あまりにも低いばあいには、前記熱可
塑性樹脂被膜7と金属板1との接着強度が充分でなくな
り、またあまりにも高いばあいには、前記熱可塑性樹脂
が分解するようになるのみならず、省エネルギーの観点
からも好ましくない。
【0041】したがって、前記再加熱温度の一例とし
て、前記熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートで
あるばあい、該再加熱温度は140 ℃〜溶融押出時の樹脂
温度であることが好ましく、前記熱可塑性樹脂がポリプ
ロピレンであるばあい、該再加熱温度は100 ℃〜溶融押
出時の樹脂温度であることが好ましく、また前記熱可塑
性樹脂がポリエチレンであるばあい、該再加熱温度は90
℃〜溶融押出時の樹脂温度であることが好ましい。
【0042】再加熱の際には、図1に示されるように、
加熱装置10を用いることができる。かかる加熱装置10の
代表例としては、たとえば誘導加熱装置、ガス加熱装
置、赤外線加熱装置などがあげられるが、本発明はかか
る例示のみに限定されるものではない。
【0043】再加熱を行なった後は、ラミネート金属板
をそのまま放冷してもよく、また図1に示されるよう
に、冷却装置11を用いて冷却させてもよい。かかる冷却
装置11の代表例としては、たとえば水冷装置、空冷装
置、ロール冷却装置などがあげられるが、本発明はかか
る例示のみに限定されるものではない。
【0044】かくしてラミネート金属板がえられるが、
えられたラミネート金属板は必要により巻取ってもよ
い。
【0045】図3は、本発明のラミネート金属板の製造
法の他の実施態様を示す概略説明図である。
【0046】図3において、ニップロール4および巻付
ロール5からなる一対のロール上には、図1に示された
実施態様と同様に、Tダイ6が設けられている。
【0047】あらかじめ加熱によって溶融された熱可塑
性樹脂を、Tダイ6を介して、ニップロール4および巻
付ロール5で圧接させ、予熱された金属板1の一方表面
とニップロール4との界面に流下させる。
【0048】そのほかの条件は、図1に示された実施態
様のばあいと同様であればよい。
【0049】なお、図3に示された実施態様において
は、金属板1の下面に熱可塑性樹脂被膜7が仮接着され
るため、金属板1の下面側から不均一な厚さを有する熱
可塑性樹脂被膜7の端部を除去する。
【0050】かかる樹脂被膜7の端部の除去手段とし
て、図3に示された態様においては、丸刃のカッター12
が用いられているが、かかる丸刃のカッター12のかわり
にレーザービーム13などを用いることもできる。
【0051】つぎに本発明のラミネート金属板の製造法
を実施例にもとづいてさらに詳細に説明するが、本発明
はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0052】実施例1 図1に示されたラミネート金属板の製造装置を用いた。
【0053】一対のロールとして、外径が300mm のニッ
プロール4および外径が300mm の巻付ロール5を用い
た。
【0054】金属板1として、厚さ0.2mm 、幅800mm の
電解クロム酸処理鋼板を用いた。
【0055】まず、電解クロム酸処理鋼板の中央部およ
び端部(端面より内側に向かって10mmの位置まで)をそ
れぞれ表1に示される予熱温度に予熱したのち、電解ク
ロム酸処理鋼板と巻付ロール5との界面に、押出機を用
いてTダイより溶融したポリプロピレン(260 ℃)を溶
融押出し、流下させ、ポリプロピレン被膜の厚さが70μ
mとなるように調整し、ラインスピード20m/分で搬送
させた。なお、ポリプロピレン被膜を鋼板の端部より片
側30mmずつオーバーコートさせた。
【0056】つぎに、えられたポリプロピレン被膜が仮
接着された鋼板の端部より内側に向かって5mmの位置で
CO2 レーザーを用いてポリプロピレン被膜を切断し、
その下流にて端部のポリプロピレン被膜をひきはがし、
吸引して除去した。
【0057】そののち、端部のポリプロピレン被膜が除
去された鋼板を加熱装置10として誘導加熱装置を用いて
表1に示す再加熱温度にて鋼板の端部を加熱し、ついで
冷却装置11として水冷装置を用いて30℃以下に冷却して
ラミネート金属板をえた。
【0058】えられたラミネート金属板の物性として、
(イ)予熱後の仮接着性、(ロ)再加熱後の密着性を調
べ、以下の評価基準にもとづいて評価した。その結果を
表1に示す。
【0059】(イ)予熱後の仮接着性の評価基準 A:樹脂被膜の中央部が接着しており、その端部は少し
力を入れることにより剥がすことができる。 B:樹脂被膜の中央部は、ある程度は密着しているが、
強く力を入れると剥がれることがある。または樹脂被膜
の端部を剥がすことができるが、樹脂被膜が切れて一部
残存することがある。 C:鋼板に対する樹脂被膜の密着性がわるく、ライン通
板中に樹脂被膜が浮き上がる。
【0060】(ロ)再加熱後の密着性の評価基準 A:充分に密着しており、剥がれない。 B:ある程度は密着しているが、強く力を入れると剥が
れる。 C:密着性が充分でなく、容易に剥がれる。
【0061】
【表1】
【0062】実施例2 図3に示されたラミネート金属板の製造装置を用いた。
【0063】一対のロールとして、外径が300mm のニッ
プロール4および外径が300mm の巻付ロール5を用い
た。
【0064】金属板1として、厚さ0.2mm 、幅800mm の
電解クロム酸処理鋼板を用いた。
【0065】まず、電解クロム酸処理鋼板の中央部およ
び端部(端面より内側に向かって10mmの位置まで)をそ
れぞれ表2に示される予熱温度に予熱したのち、電解ク
ロム酸処理鋼板とニップロール4との界面に、押出機を
用いてTダイより溶融したポリエチレンテレフタレート
(280 ℃)を溶融押出し、流下させ、ポリエチレンテレ
フタレート被膜の厚さが70μmとなるように調整し、ラ
インスピード20m/分で搬送させた。なお、ポリプロピ
レン被膜を鋼板の端部より片側30mmずつオーバーコート
させた。
【0066】つぎに、えられたポリエチレンテレフタレ
ート被膜が仮接着された鋼板の端部より内側に向かって
5mmの位置でCO2 レーザーを用いてポリエチレンテレ
フタレート被膜を切断し、その下流にて端部のポリエチ
レンテレフタレート被膜をひきはがし、吸引して除去し
た。
【0067】そののち、端部のポリエチレンテレフタレ
ート被膜が除去された鋼板を加熱装置10として誘導加熱
装置を用いて表1に示す再加熱温度にて鋼板の端部を加
熱し、ついで冷却装置11として水冷装置を用いて30℃以
下に冷却してラミネート金属板をえた。
【0068】えられたラミネート金属板の物性として、
(イ)予熱後の仮接着性、(ロ)再加熱後の密着性を調
べ、実施例1と同様にして評価した。その結果を表2に
示す。
【0069】
【表2】
【0070】実施例3 実施例1において、電解クロム酸処理鋼板の予熱温度お
よび再加熱温度を表3に示すように変更し、また溶融し
たポリプロピレン(260 ℃)のかわりに溶融したポリエ
チレン(240 ℃)を用いたほかは、実施例1と同様にし
てラミネート金属板をえた。
【0071】えられたラミネート金属板の物性として、
(イ)予熱後の仮接着性、(ロ)再加熱後の密着性を調
べ、実施例1と同様にして評価した。その結果を表3に
示す。
【0072】
【表3】
【0073】表1〜3に示された結果から、実施例1〜
3の方法によれば、樹脂被膜と鋼板との接着性にすぐれ
た溶接しろを有するラミネート金属板を効率よく製造し
うることがわかる。
【0074】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、樹脂被膜と金
属板との接着性にすぐれた溶接しろを有するラミネート
金属板を効率よく製造しうるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラミネート金属板の製造法の一実施態
様を示す概略説明図である。
【図2】図1におけるA−A面での熱可塑性樹脂被膜が
設けられた金属板の断面図である。
【図3】本発明のラミネート金属板の製造法の一実施態
様を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 金属板 6 Tダイ 7 熱可塑性樹脂被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:22

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のロールで圧接され、金属板の一方
    表面と前記一対のロールのうち一方のロールとの界面に
    溶融した熱可塑性樹脂をTダイから流下させる際に、前
    記金属板の中央部の予熱温度が前記金属板の端部の予熱
    温度よりも高温となるように予熱したのち、溶融した熱
    可塑性樹脂を流下させ、該熱可塑性樹脂を前記金属板の
    一方表面に被覆して仮接着させ、形成された熱可塑性樹
    脂被膜の端部を除去し、ついでえられた熱可塑性樹脂被
    覆金属板の少なくとも端部を再加熱することを特徴とす
    るラミネート金属板の製造法。
  2. 【請求項2】 形成された熱可塑性樹脂被膜の端部をウ
    ォータージェットを吹付けて除去する請求項1記載のラ
    ミネート金属板の製造法。
  3. 【請求項3】 形成された熱可塑性樹脂被膜の端部をレ
    ーザーを照射して除去する請求項1記載のラミネート金
    属板の製造法。
  4. 【請求項4】 形成された熱可塑性樹脂被膜の端部を刃
    物で切り込みを入れたのち、除去する請求項1記載のラ
    ミネート金属板の製造法。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレ
    ートであり、金属板の端部の予熱温度が70〜120 ℃で、
    金属板の中央部の予熱温度が140 ℃〜溶融押出時の樹脂
    温度で、熱可塑性樹脂被覆金属板の少なくとも端部の再
    加熱温度が140 ℃〜溶融押出時の樹脂温度である請求項
    1、2、3または4記載のラミネート金属板の製造法。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂がポリプロピレンであり、
    金属板の端部の予熱温度が50〜90℃で、金属板の中央部
    の予熱温度が100 ℃〜溶融押出時の樹脂温度で、熱可塑
    性樹脂被覆金属板の少なくとも端部の再加熱温度が100
    ℃〜溶融押出時の樹脂温度である請求項1、2、3また
    は4記載のラミネート金属板の製造法。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂がポリエチレンであり、金
    属板の端部の予熱温度が40〜80℃で、金属板の中央部の
    予熱温度が90℃〜溶融押出時の樹脂温度で、熱可塑性樹
    脂被覆金属板の少なくとも端部の再加熱温度が90℃〜溶
    融押出時の樹脂温度である請求項1、2、3または4記
    載のラミネート金属板の製造法。
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