JPH0779774A - 組織因子凝固系インヒビターの調製法 - Google Patents
組織因子凝固系インヒビターの調製法Info
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- JPH0779774A JPH0779774A JP5188746A JP18874693A JPH0779774A JP H0779774 A JPH0779774 A JP H0779774A JP 5188746 A JP5188746 A JP 5188746A JP 18874693 A JP18874693 A JP 18874693A JP H0779774 A JPH0779774 A JP H0779774A
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- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
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- C07K14/8107—Endopeptidase (E.C. 3.4.21-99) inhibitors
- C07K14/811—Serine protease (E.C. 3.4.21) inhibitors
- C07K14/8114—Kunitz type inhibitors
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 組織因子凝固系インヒビター(TFPI)として
知られる抗血液凝固活性を有する物質を遺伝子組換えに
より形質転換動物細胞で調製するにあたり、インタクト
な状態でTFPIを安定かつ大量に調製することが可能な調
製法を提供する。 【構成】 硫酸化ポリサッカライドを添加した培養液を
用いて形質転換動物細胞を培養することにより、インタ
クトなTFPIを安定かつ大量に調製する。
知られる抗血液凝固活性を有する物質を遺伝子組換えに
より形質転換動物細胞で調製するにあたり、インタクト
な状態でTFPIを安定かつ大量に調製することが可能な調
製法を提供する。 【構成】 硫酸化ポリサッカライドを添加した培養液を
用いて形質転換動物細胞を培養することにより、インタ
クトなTFPIを安定かつ大量に調製する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、組織因子インヒビター
(TFI)、外因系凝固インヒビター(EPI)あるいはリポ
タンパク結合性インヒビター(LACI)として知られ、近
年組織因子凝固系インヒビター(TFPI)と名称統一され
た血液凝固インヒビターに関する。さらに詳細には、ヒ
トのTFPIをコードするDNAを動物細胞に導入した形質転
換動物細胞による、インタクトな(完全な)形のTFPIの
調製法に関する。
(TFI)、外因系凝固インヒビター(EPI)あるいはリポ
タンパク結合性インヒビター(LACI)として知られ、近
年組織因子凝固系インヒビター(TFPI)と名称統一され
た血液凝固インヒビターに関する。さらに詳細には、ヒ
トのTFPIをコードするDNAを動物細胞に導入した形質転
換動物細胞による、インタクトな(完全な)形のTFPIの
調製法に関する。
【0002】
【発明の背景及び従来技術】出血は生体にとって最も重
篤な病態のひとつであり、生態内ではこれを制御するた
めの一連の血液凝固反応系が存在している。これらの反
応系は内因系と外因系の2つの経路に分類される。現
在、生理的な凝固反応の開始機序としては内因系凝固反
応よりもむしろ、組織因子(Tissue Factor、以下TF)
に始まる外因系凝固反応の方が重要視されている[Davi
e,E.W.,Biochem.,30 p10363 (1991)]。外因系凝固反応
では通常血液に接触することのないTFが、血管の損傷
や、他のなんらかの原因によって血液にさらされること
により、血漿成分である血液凝固VII因子またはその活
性型VIIa因子とカルシウム依存的に速やかに結合する。
この結果生じたTF/VIIa因子複合体が血液凝固IX因子、
X因子を分解活性化することで最終的に血液を凝固させ
る反応系である。
篤な病態のひとつであり、生態内ではこれを制御するた
めの一連の血液凝固反応系が存在している。これらの反
応系は内因系と外因系の2つの経路に分類される。現
在、生理的な凝固反応の開始機序としては内因系凝固反
応よりもむしろ、組織因子(Tissue Factor、以下TF)
に始まる外因系凝固反応の方が重要視されている[Davi
e,E.W.,Biochem.,30 p10363 (1991)]。外因系凝固反応
では通常血液に接触することのないTFが、血管の損傷
や、他のなんらかの原因によって血液にさらされること
により、血漿成分である血液凝固VII因子またはその活
性型VIIa因子とカルシウム依存的に速やかに結合する。
この結果生じたTF/VIIa因子複合体が血液凝固IX因子、
X因子を分解活性化することで最終的に血液を凝固させ
る反応系である。
【0003】このTFによる血液凝固開始反応の制御に関
する初期の研究で、血清が組織トロンボプラスチン(TF
の旧称)の阻害活性を示すことが示唆されていた[Thom
as L.,Bull.Johns Hopkins Hosp.81 p26 (1947)]。ま
た、この阻害活性はカルシウムイオンの存在に依存して
いた。このような事実をもとに、Hjortは、この阻害物
質がVIIa因子、カルシウム、組織トロンボプラスチンの
複合体を認識していることを示した[Hjort,P.F.,Scan
d.J.Clin.Lab.Invest.9 p1 (1957)]。1980年代に入っ
て、Sandersらはこの阻害活性にはX因子が必要であるこ
とを示し[Sanders,N.L.,Blood,66 p204 (1985)]、血
漿の密度勾配遠心でリポたんぱく画分に存在することも
明らかになってきた。この阻害物質と阻害機構は主にBr
ozeらの研究によって明らかにされた。
する初期の研究で、血清が組織トロンボプラスチン(TF
の旧称)の阻害活性を示すことが示唆されていた[Thom
as L.,Bull.Johns Hopkins Hosp.81 p26 (1947)]。ま
た、この阻害活性はカルシウムイオンの存在に依存して
いた。このような事実をもとに、Hjortは、この阻害物
質がVIIa因子、カルシウム、組織トロンボプラスチンの
複合体を認識していることを示した[Hjort,P.F.,Scan
d.J.Clin.Lab.Invest.9 p1 (1957)]。1980年代に入っ
て、Sandersらはこの阻害活性にはX因子が必要であるこ
とを示し[Sanders,N.L.,Blood,66 p204 (1985)]、血
漿の密度勾配遠心でリポたんぱく画分に存在することも
明らかになってきた。この阻害物質と阻害機構は主にBr
ozeらの研究によって明らかにされた。
【0004】Brozeらはヒト肝臓株化細胞(HepG2)の培
養液からこの阻害物質(以下TFPI)を精製し[Broze J
r,G.J.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84 p1886 (198
7)]、その抗体を作成後、これを用いてヒト胎盤のλgt
11cDNAライブラリーからTFPIをコードするcDNAをスクリ
ーニングした。そして、その塩基配列から全アミノ酸配
列が推定された[Wun,TC.,J.Biol.Chem.,263 p6001 (19
88)]。これによると、TFPIはシグナル配列28個を含
む304個のアミノ酸からなり、Kunitz型のプロテアー
ゼインヒビターと相同なアミノ酸配列3ケ所を有する。
Kunitz型のプロテアーゼインヒビターは、大豆トリプシ
ンインヒビター(SBTI)やアプロチニンに代表されるよ
うに種々のトリプシン様のプロテアーゼを阻害する活性
をもっていることが知られている。TFPIの場合は3つの
Kunitz型領域のうち、Xa因子の阻害には第2のKunitz型
領域の反応部位が必要で、TF/VIIa因子複合体の阻害に
は第1と第2のKunitz型領域の反応部位が必要であるこ
とが示された。TFPIの阻害様式は、まず血液中のXa因子
と直接結合することによりこれを阻害し、さらに細胞膜
のリン脂質上で形成されるTF/VIIa因子複合体に、Xa因
子を介して結合することでその活性を阻害すると考えら
れている。また第3のKunitz型領域の反応部位はこれら
の阻害活性には不必要であることも示されており、この
反応部位の役割はいまだ不明である[Girard,T.J.,Natu
re,338 p518 (1989)]。3つのKunitz型領域の両端は酸
性アミノ酸に富む陰性に荷電したN末端領域と、塩基性
アミノ酸に富む陽性に荷電したC末端領域からなってい
る。
養液からこの阻害物質(以下TFPI)を精製し[Broze J
r,G.J.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84 p1886 (198
7)]、その抗体を作成後、これを用いてヒト胎盤のλgt
11cDNAライブラリーからTFPIをコードするcDNAをスクリ
ーニングした。そして、その塩基配列から全アミノ酸配
列が推定された[Wun,TC.,J.Biol.Chem.,263 p6001 (19
88)]。これによると、TFPIはシグナル配列28個を含
む304個のアミノ酸からなり、Kunitz型のプロテアー
ゼインヒビターと相同なアミノ酸配列3ケ所を有する。
Kunitz型のプロテアーゼインヒビターは、大豆トリプシ
ンインヒビター(SBTI)やアプロチニンに代表されるよ
うに種々のトリプシン様のプロテアーゼを阻害する活性
をもっていることが知られている。TFPIの場合は3つの
Kunitz型領域のうち、Xa因子の阻害には第2のKunitz型
領域の反応部位が必要で、TF/VIIa因子複合体の阻害に
は第1と第2のKunitz型領域の反応部位が必要であるこ
とが示された。TFPIの阻害様式は、まず血液中のXa因子
と直接結合することによりこれを阻害し、さらに細胞膜
のリン脂質上で形成されるTF/VIIa因子複合体に、Xa因
子を介して結合することでその活性を阻害すると考えら
れている。また第3のKunitz型領域の反応部位はこれら
の阻害活性には不必要であることも示されており、この
反応部位の役割はいまだ不明である[Girard,T.J.,Natu
re,338 p518 (1989)]。3つのKunitz型領域の両端は酸
性アミノ酸に富む陰性に荷電したN末端領域と、塩基性
アミノ酸に富む陽性に荷電したC末端領域からなってい
る。
【0005】TFPIは主に内皮細胞で合成され[Bajaj,M.
S.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87 p8869 (1990)]、およ
そ100ng/mL血漿程度の濃度で存在し、そのうちリポたん
ぱくに結合していないTFPIは数%〜十数%である。また
血小板にも微量に存在し、さらに健常人へのヘパリン投
与により血液中のTFPI量が増加することから、血管内皮
細胞上のヘパリン様物質に結合して存在することが指摘
されている[Novotny,W.F.,Blood,78 p394 (1991)]。
S.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87 p8869 (1990)]、およ
そ100ng/mL血漿程度の濃度で存在し、そのうちリポたん
ぱくに結合していないTFPIは数%〜十数%である。また
血小板にも微量に存在し、さらに健常人へのヘパリン投
与により血液中のTFPI量が増加することから、血管内皮
細胞上のヘパリン様物質に結合して存在することが指摘
されている[Novotny,W.F.,Blood,78 p394 (1991)]。
【0006】血液中でのTFPIの存在様式については、前
述のようにTFPIが密度勾配遠心やゲルろ過でもリポたん
ぱく画分に存在すること、血漿より精製したTFPIをSDS-
PAGEで展開すると、非還元状態では多くの高分子量のバ
ンドとして確認でき、それらにはアポリポプロテインA-
IIが存在することから、血液中のTFPIはリポたんぱくと
結合して存在することが明らかとなった。また、この結
合は還元状態で解離することも判明した[Novotny,W.
F.,J.Biol.Chem.,264 p18832 (1989)]。しかしTFPIの
リポたんぱくとの結合様式、およびその意義については
いまだ詳細には不明である。リポたんぱくは種々の条件
でその血漿中の濃度が大きく変動するが、特に動脈硬化
に代表されるような病態において、血栓形成機構との関
連を明らかにするうえでTFPIは非常に重要なファクター
であると考えられている。近年、動脈硬化モデルにおい
てTFPIの抗凝固作用に着目した再閉塞予防剤としての検
討も行われている[Haskel,E.J.,Circulation,84 p821
(1991)]。
述のようにTFPIが密度勾配遠心やゲルろ過でもリポたん
ぱく画分に存在すること、血漿より精製したTFPIをSDS-
PAGEで展開すると、非還元状態では多くの高分子量のバ
ンドとして確認でき、それらにはアポリポプロテインA-
IIが存在することから、血液中のTFPIはリポたんぱくと
結合して存在することが明らかとなった。また、この結
合は還元状態で解離することも判明した[Novotny,W.
F.,J.Biol.Chem.,264 p18832 (1989)]。しかしTFPIの
リポたんぱくとの結合様式、およびその意義については
いまだ詳細には不明である。リポたんぱくは種々の条件
でその血漿中の濃度が大きく変動するが、特に動脈硬化
に代表されるような病態において、血栓形成機構との関
連を明らかにするうえでTFPIは非常に重要なファクター
であると考えられている。近年、動脈硬化モデルにおい
てTFPIの抗凝固作用に着目した再閉塞予防剤としての検
討も行われている[Haskel,E.J.,Circulation,84 p821
(1991)]。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】TFPIは血液中には微量
であるため、本発明者以外にも他の研究者によって遺伝
子組換えの技術により組換えタンパク質として調製がな
されている。たとえばマウスC127細胞[Day,K.C.,Bloo
d,76 p1538 (1990)]、BHK細胞[Pederson,A.H.,J.Bio
l.Chem.,265 p16786 (1990)]、CHO細胞、SKヘパトーマ
細胞[Wun,TC.,Thromb.Haemost.,68 p54 (1992)]を宿
主細胞としてTFPIの発現を報告している。これらのなか
でSKヘパトーマ細胞を宿主とした場合以外ではこれらの
組換えTFPIは、血漿由来のTFPIや上述のような血管内皮
細胞上のTFPIなど、生体に由来するTFPIに比較して、明
らかに比活性が低下していたことが報告されている[We
sselschmidt,R.,Blood,79 p2004 (1992)、 Lindahl,A.
K.,Thromb.Res.,62 p607 (1991)]。この原因は、組換
えTFPIのC末端領域が切断されたためと考えられる。こ
のC末端領域を欠く分子種はヘパリンとの結合力が低下
し、特にXa因子の阻害効率が低下することが示されてお
り、この領域の生理的な重要性が指摘されている。C末
端領域が完全(インタクト)な分子と切断された分子
は、抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーな
どで得られるTFPI画分を、ヘパリンアガロースクロマト
グラフィーや陽イオン交換クロマトグラフィーでNaClの
濃度勾配にて展開溶出することにより2つのピークとし
て分離可能であるが[Wesselschmidt,R.,Blood,79 p200
4 (1992)、Nordfang,O.,Biochem.,30 p10371 (199
1)]、これらの細胞の培養液から取得できるインタクト
な分子の割合は最大でも40%未満、通常10%未満である。
唯一の例外は、本来TFPIを内在的に産生していることが
知られているSKヘパトーマ細胞を宿主とした場合のみで
あり[Wun,TC.,Thromb.Haemost.,68 p54 (1992)]、こ
の外来TFPI遺伝子を導入したTFPI発現細胞の培養上清か
らは、ほぼ100%の割合でインタクトなTFPIが得られる
ことが報告された。この結果は、本来TFPIを発現してい
る細胞以外の細胞を宿主とした場合は、インタクトな組
換えTFPIを高い割合で取得することは非常に困難である
ことを示している。したがって一般に工業的レベルにお
いても十分利用可能なほど安定かつ高発現に産生するこ
とが知られている動物細胞株、たとえばCHO細胞やBHK細
胞を宿主としてインタクトな分子を大量に調製すること
は困難であった。
であるため、本発明者以外にも他の研究者によって遺伝
子組換えの技術により組換えタンパク質として調製がな
されている。たとえばマウスC127細胞[Day,K.C.,Bloo
d,76 p1538 (1990)]、BHK細胞[Pederson,A.H.,J.Bio
l.Chem.,265 p16786 (1990)]、CHO細胞、SKヘパトーマ
細胞[Wun,TC.,Thromb.Haemost.,68 p54 (1992)]を宿
主細胞としてTFPIの発現を報告している。これらのなか
でSKヘパトーマ細胞を宿主とした場合以外ではこれらの
組換えTFPIは、血漿由来のTFPIや上述のような血管内皮
細胞上のTFPIなど、生体に由来するTFPIに比較して、明
らかに比活性が低下していたことが報告されている[We
sselschmidt,R.,Blood,79 p2004 (1992)、 Lindahl,A.
K.,Thromb.Res.,62 p607 (1991)]。この原因は、組換
えTFPIのC末端領域が切断されたためと考えられる。こ
のC末端領域を欠く分子種はヘパリンとの結合力が低下
し、特にXa因子の阻害効率が低下することが示されてお
り、この領域の生理的な重要性が指摘されている。C末
端領域が完全(インタクト)な分子と切断された分子
は、抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーな
どで得られるTFPI画分を、ヘパリンアガロースクロマト
グラフィーや陽イオン交換クロマトグラフィーでNaClの
濃度勾配にて展開溶出することにより2つのピークとし
て分離可能であるが[Wesselschmidt,R.,Blood,79 p200
4 (1992)、Nordfang,O.,Biochem.,30 p10371 (199
1)]、これらの細胞の培養液から取得できるインタクト
な分子の割合は最大でも40%未満、通常10%未満である。
唯一の例外は、本来TFPIを内在的に産生していることが
知られているSKヘパトーマ細胞を宿主とした場合のみで
あり[Wun,TC.,Thromb.Haemost.,68 p54 (1992)]、こ
の外来TFPI遺伝子を導入したTFPI発現細胞の培養上清か
らは、ほぼ100%の割合でインタクトなTFPIが得られる
ことが報告された。この結果は、本来TFPIを発現してい
る細胞以外の細胞を宿主とした場合は、インタクトな組
換えTFPIを高い割合で取得することは非常に困難である
ことを示している。したがって一般に工業的レベルにお
いても十分利用可能なほど安定かつ高発現に産生するこ
とが知られている動物細胞株、たとえばCHO細胞やBHK細
胞を宿主としてインタクトな分子を大量に調製すること
は困難であった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
末形質転換動物細胞の培養の際、培養液中の発現TFPIを
切断プロテアーゼから保護するために硫酸化ポリサッカ
ライドが絶大なる効果を示すことを発見した。前述のご
とくC末端が切断された分子とインタクト分子とはヘパ
リンアガロースクロマトグラフィーにおける挙動が異な
ることから、このC末端領域はヘパリンとの結合に深く
関与していることが推察された。一方で、ヘパリンは他
の硫酸化ポリサッカライドと同様に、血漿中に添加する
ことで抗凝固活性を発揮し、その際TFPIが存在するとそ
の効果が増幅されることが知られている[Wun,TC.,Bloo
d,79 p430 (1992)]。このような状況において、本発明
者らは、TFPIの切断されやすいC末端領域が、ヘパリン
などの硫酸化ポリサッカライドを培地中に添加すること
によって、TFPIのC末端がプロテーゼの作用から保護さ
れることを見いだし、本発明を完成するに至った。本発
明によれば前記のごとく従来インタクトTFPIの取得が困
難であった動物細胞を宿主とした発現系においても、そ
の培養上清中に産生されるTFPIの少なくとも80%以上が
インタクトTFPIとして取得可能となる。
末形質転換動物細胞の培養の際、培養液中の発現TFPIを
切断プロテアーゼから保護するために硫酸化ポリサッカ
ライドが絶大なる効果を示すことを発見した。前述のご
とくC末端が切断された分子とインタクト分子とはヘパ
リンアガロースクロマトグラフィーにおける挙動が異な
ることから、このC末端領域はヘパリンとの結合に深く
関与していることが推察された。一方で、ヘパリンは他
の硫酸化ポリサッカライドと同様に、血漿中に添加する
ことで抗凝固活性を発揮し、その際TFPIが存在するとそ
の効果が増幅されることが知られている[Wun,TC.,Bloo
d,79 p430 (1992)]。このような状況において、本発明
者らは、TFPIの切断されやすいC末端領域が、ヘパリン
などの硫酸化ポリサッカライドを培地中に添加すること
によって、TFPIのC末端がプロテーゼの作用から保護さ
れることを見いだし、本発明を完成するに至った。本発
明によれば前記のごとく従来インタクトTFPIの取得が困
難であった動物細胞を宿主とした発現系においても、そ
の培養上清中に産生されるTFPIの少なくとも80%以上が
インタクトTFPIとして取得可能となる。
【0009】本発明において用いられる硫酸化ポリサッ
カライドとしては、ヘパリンをはじめ、低分子ヘパリ
ン、ペントサンポリサルフェート、デキストランサルフ
ェート、ヘパランサルフェート、デルマタンサルフェー
トなどが挙げられる。硫酸化ポリサッカライドの添加量
は形質転換細胞の発現量や経済性、細胞への影響の度合
に依存するが、培地中のTFPI濃度1μg/mLあたり、ヘパ
リンで0.01U/mL以上に相当する濃度で添加する(本明細
書中では、ヘパリンの比活性は、日局の規定に基づき14
0U/mgを用いる)。本発明は以上のようにTFPI遺伝子を
動物細胞に導入することによって得られる形質転換細胞
を培養する際、培養液中に硫酸化ポリサッカライドを添
加することを特徴とするが、以下に本発明の好ましい態
様を示すことによって、より詳細に本発明を説明する。
カライドとしては、ヘパリンをはじめ、低分子ヘパリ
ン、ペントサンポリサルフェート、デキストランサルフ
ェート、ヘパランサルフェート、デルマタンサルフェー
トなどが挙げられる。硫酸化ポリサッカライドの添加量
は形質転換細胞の発現量や経済性、細胞への影響の度合
に依存するが、培地中のTFPI濃度1μg/mLあたり、ヘパ
リンで0.01U/mL以上に相当する濃度で添加する(本明細
書中では、ヘパリンの比活性は、日局の規定に基づき14
0U/mgを用いる)。本発明は以上のようにTFPI遺伝子を
動物細胞に導入することによって得られる形質転換細胞
を培養する際、培養液中に硫酸化ポリサッカライドを添
加することを特徴とするが、以下に本発明の好ましい態
様を示すことによって、より詳細に本発明を説明する。
【0010】宿主細胞にTFPI遺伝子を発現させ、効率的
に組換えTFPIを取得するためには構造遺伝子の効率的な
発現が望まれる。そのためには宿主に導入するTFPI構造
遺伝子上流に活性の強いプロモーターを選択することが
必須であるが、このプロモーターとしてSV40初期および
後期プロモーター、アデノウイルスプロモーター、サイ
トメガロウイルスプロモーター、メタロチオネインプロ
モーターなどが用いられる。本発明においてはこのプロ
モーターとしてニワトリβアクチンプロモーターが用い
られる(特開平2-5890号)。さらにこのプロモーターの
活性を上昇させるために各種のエンハンサー配列が用い
られる。エンハンサー配列としては真核細胞にて機能す
る種々の配列が使用しうる。たとえばSV40エンハンサ
ー、サイトメガロウイルスエンハンサー、ポリオーマス
テムセルエンハンサー等の配列が挙げられる。
に組換えTFPIを取得するためには構造遺伝子の効率的な
発現が望まれる。そのためには宿主に導入するTFPI構造
遺伝子上流に活性の強いプロモーターを選択することが
必須であるが、このプロモーターとしてSV40初期および
後期プロモーター、アデノウイルスプロモーター、サイ
トメガロウイルスプロモーター、メタロチオネインプロ
モーターなどが用いられる。本発明においてはこのプロ
モーターとしてニワトリβアクチンプロモーターが用い
られる(特開平2-5890号)。さらにこのプロモーターの
活性を上昇させるために各種のエンハンサー配列が用い
られる。エンハンサー配列としては真核細胞にて機能す
る種々の配列が使用しうる。たとえばSV40エンハンサ
ー、サイトメガロウイルスエンハンサー、ポリオーマス
テムセルエンハンサー等の配列が挙げられる。
【0011】本発明の好ましいTFPI発現ベクターは、前
述の真核細胞内で機能するエンハンサー配列およびニワ
トリβアクチンプロモーターの制御の下、TFPI構造遺伝
子とその下流にポリアデニレーションシグナルが置かれ
た遺伝子配列、さらに大腸菌での複製開始点と薬剤耐性
遺伝子とからなる遺伝子配列を結合したものである。
述の真核細胞内で機能するエンハンサー配列およびニワ
トリβアクチンプロモーターの制御の下、TFPI構造遺伝
子とその下流にポリアデニレーションシグナルが置かれ
た遺伝子配列、さらに大腸菌での複製開始点と薬剤耐性
遺伝子とからなる遺伝子配列を結合したものである。
【0012】このようなTFPI発現ベクターを導入する宿
主細胞としては、TFPIを発現することのできる動物細胞
であればいかなるものでもよいが、好ましくは目的とす
る形質転換体を容易に分離することが可能な動物細胞、
たとえばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が用
いられる。形質転換用遺伝子断片の宿主細胞への導入は
既知の方法、たとえばリン酸カルシウム法、DEAE-DEXTR
AN法、リポフェクチン法、エレクトロポーレーション法
などにより行うことができる。この際に形質転換体の選
択を容易にするために、発現ベクター上のマーカー遺伝
子の欠損した動物細胞を用いる方法が行われる。たとえ
ばジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子欠損CHO細
胞を用い、あらかじめ発現ベクターにDHFR遺伝子を組み
込んだものを宿主細胞に導入することにより、これをヌ
クレオシドを欠く選択培地で選択することにより、DHFR
遺伝子が導入され、DHFR遺伝子が発現しているCHO細胞
を得ることができるが、同時にTFPI遺伝子も導入された
可能性が高い細胞を選択、分離することが可能である。
さらに、このようにして得られた形質転換体では、後に
述べるTFPI遺伝子の増幅効果を生じせしめることが可能
となり、その結果としてTFPIを大量に生産する形質転換
体を得ることができる。
主細胞としては、TFPIを発現することのできる動物細胞
であればいかなるものでもよいが、好ましくは目的とす
る形質転換体を容易に分離することが可能な動物細胞、
たとえばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が用
いられる。形質転換用遺伝子断片の宿主細胞への導入は
既知の方法、たとえばリン酸カルシウム法、DEAE-DEXTR
AN法、リポフェクチン法、エレクトロポーレーション法
などにより行うことができる。この際に形質転換体の選
択を容易にするために、発現ベクター上のマーカー遺伝
子の欠損した動物細胞を用いる方法が行われる。たとえ
ばジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子欠損CHO細
胞を用い、あらかじめ発現ベクターにDHFR遺伝子を組み
込んだものを宿主細胞に導入することにより、これをヌ
クレオシドを欠く選択培地で選択することにより、DHFR
遺伝子が導入され、DHFR遺伝子が発現しているCHO細胞
を得ることができるが、同時にTFPI遺伝子も導入された
可能性が高い細胞を選択、分離することが可能である。
さらに、このようにして得られた形質転換体では、後に
述べるTFPI遺伝子の増幅効果を生じせしめることが可能
となり、その結果としてTFPIを大量に生産する形質転換
体を得ることができる。
【0013】上記、DHFR等の増幅可能な遺伝子を使用し
た場合には、遺伝子増幅を行う適当な条件下、たとえば
DHFR遺伝子を使用した場合にはメトトレキサート存在下
で培養することにより、DHFR遺伝子とともに形質転換体
に組み込まれたTFPI遺伝子も同時に増幅することができ
る。その結果、細胞あたりのTFPI産生量が高くなり、大
量のTFPIを培養液中に分泌させることが可能となる。さ
らにこれら形質転換体は、限界希釈法などのクローニン
グ操作によって、より安定に組換えTFPIを培養液中に分
泌する細胞を選択することができる。なおこのような方
法は、単にCHO細胞に限らず他の動物細胞にも応用可能
であることは当業者には公知の事実である。
た場合には、遺伝子増幅を行う適当な条件下、たとえば
DHFR遺伝子を使用した場合にはメトトレキサート存在下
で培養することにより、DHFR遺伝子とともに形質転換体
に組み込まれたTFPI遺伝子も同時に増幅することができ
る。その結果、細胞あたりのTFPI産生量が高くなり、大
量のTFPIを培養液中に分泌させることが可能となる。さ
らにこれら形質転換体は、限界希釈法などのクローニン
グ操作によって、より安定に組換えTFPIを培養液中に分
泌する細胞を選択することができる。なおこのような方
法は、単にCHO細胞に限らず他の動物細胞にも応用可能
であることは当業者には公知の事実である。
【0014】本発明の主眼は、上記のようにして得られ
る組換えTFPI高発現株を培養しTFPIを生産する際、培養
液中に分泌蓄積されるTFPIを切断プロテアーゼによる切
断から保護することにあり、その手段として硫酸化ポリ
サッカライドを含む培地にて培養することより簡便かつ
確実に達成することができる。添加する硫酸化ポリサッ
カライドの量は細胞の生育に影響を及ぼさない濃度で、
かつ目的産物の発現量と経済性を考慮すべきであるが、
通常医学的に抗凝固薬として用いられるヘパリンが好適
であり、発現TFPIが1μg/mL培地あたりヘパリンの終濃
度が0.01U/mL(0.07μg/mL)以上、好ましくは0.1〜20U
/mLの濃度でヘパリンを添加する。また、これに相当す
る量の他の硫酸化ポリサッカライドを用いることも可能
である。その場合の硫酸化ポリサッカライドの添加量と
しては、上記の事項及び効果の面を考慮して決められる
が、たとえば低分子ヘパリン、デキストランサルフェー
ト、ペントサンサルフェートではTFPI濃度1μg/mLあた
り終濃度0.3μg/mL以上、またデルマタンサルフェー
ト、ヘパランサルフェートでは終濃度14μg/mL以上を添
加することが必要となる。
る組換えTFPI高発現株を培養しTFPIを生産する際、培養
液中に分泌蓄積されるTFPIを切断プロテアーゼによる切
断から保護することにあり、その手段として硫酸化ポリ
サッカライドを含む培地にて培養することより簡便かつ
確実に達成することができる。添加する硫酸化ポリサッ
カライドの量は細胞の生育に影響を及ぼさない濃度で、
かつ目的産物の発現量と経済性を考慮すべきであるが、
通常医学的に抗凝固薬として用いられるヘパリンが好適
であり、発現TFPIが1μg/mL培地あたりヘパリンの終濃
度が0.01U/mL(0.07μg/mL)以上、好ましくは0.1〜20U
/mLの濃度でヘパリンを添加する。また、これに相当す
る量の他の硫酸化ポリサッカライドを用いることも可能
である。その場合の硫酸化ポリサッカライドの添加量と
しては、上記の事項及び効果の面を考慮して決められる
が、たとえば低分子ヘパリン、デキストランサルフェー
ト、ペントサンサルフェートではTFPI濃度1μg/mLあた
り終濃度0.3μg/mL以上、またデルマタンサルフェー
ト、ヘパランサルフェートでは終濃度14μg/mL以上を添
加することが必要となる。
【0015】本発明によれば組換えTFPI高発現株を上記
方法にしたがって培養することにより、培養液中の活性
を有するTFPIのほとんどがインタクトなTFPIとして回収
することが可能となる。培養液中に生成蓄積したTFPIタ
ンパクは、細胞を除去した後培養液をそのまま濃縮し
て、それ自体公知の分離方法を適当に組み合わせて目的
タンパクを分離精製することができる。これら公知の分
離、精製法としては、塩析や溶媒沈殿法などの溶解度の
差を利用する方法、透析、限外ろ過法、ゲルろ過法およ
びSDS-ポリアクリルアミド電気泳動法等の主として分子
量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィー
等の荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマト
グラフィー等の特異的親和性を利用する方法、逆相高速
液体クロマトグラフィー等の疎水性の差を利用する方
法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法
などが挙げられる。
方法にしたがって培養することにより、培養液中の活性
を有するTFPIのほとんどがインタクトなTFPIとして回収
することが可能となる。培養液中に生成蓄積したTFPIタ
ンパクは、細胞を除去した後培養液をそのまま濃縮し
て、それ自体公知の分離方法を適当に組み合わせて目的
タンパクを分離精製することができる。これら公知の分
離、精製法としては、塩析や溶媒沈殿法などの溶解度の
差を利用する方法、透析、限外ろ過法、ゲルろ過法およ
びSDS-ポリアクリルアミド電気泳動法等の主として分子
量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィー
等の荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマト
グラフィー等の特異的親和性を利用する方法、逆相高速
液体クロマトグラフィー等の疎水性の差を利用する方
法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法
などが挙げられる。
【0016】本発明における1つの好ましい態様は、得
られた培養液を限外ろ過膜で濃縮後、抗体アフィニティ
ークロマトグラフィーにて精製する。この溶出画分中の
TFPIは前記のごとくヘパリンアフィニティークロマトグ
ラフィー、もしくは陽イオン交換クロマトグラフィーに
よって容易にインタクトTFPIを切断TFPIから分離するこ
とができる。ここで得られるTFPIタンパク含有溶液は、
必要によりこれを凍結乾燥により粉末とすることができ
る。凍結乾燥に際しては、たとえばソルビトール、マン
ニトール、デキストロース等の糖、および糖アルコール
類、アミノ酸、グリセロール、ヒト血清アルブミン等の
安定剤を加えることができる。
られた培養液を限外ろ過膜で濃縮後、抗体アフィニティ
ークロマトグラフィーにて精製する。この溶出画分中の
TFPIは前記のごとくヘパリンアフィニティークロマトグ
ラフィー、もしくは陽イオン交換クロマトグラフィーに
よって容易にインタクトTFPIを切断TFPIから分離するこ
とができる。ここで得られるTFPIタンパク含有溶液は、
必要によりこれを凍結乾燥により粉末とすることができ
る。凍結乾燥に際しては、たとえばソルビトール、マン
ニトール、デキストロース等の糖、および糖アルコール
類、アミノ酸、グリセロール、ヒト血清アルブミン等の
安定剤を加えることができる。
【0017】本発明によって、動物細胞を宿主とした遺
伝子組換えにより得られるTFPIの大部分がインタクトと
して、安定的にかつ大量に調製することが新規に可能と
なる。この発現産物を利用することにより、血液凝固系
に異常をきたした疾患、たとえばDIC(汎発性血管内凝
固)などに対する血栓予防治療剤としてTFPIを用いる場
合、インタクトの組換え製剤として、はじめて有用な程
度まで生産可能となる。以下に述べる実施例について
も、本発明がこれらの実施例やその細部に何ら制約され
るものではないことは当業者には明白であろう。
伝子組換えにより得られるTFPIの大部分がインタクトと
して、安定的にかつ大量に調製することが新規に可能と
なる。この発現産物を利用することにより、血液凝固系
に異常をきたした疾患、たとえばDIC(汎発性血管内凝
固)などに対する血栓予防治療剤としてTFPIを用いる場
合、インタクトの組換え製剤として、はじめて有用な程
度まで生産可能となる。以下に述べる実施例について
も、本発明がこれらの実施例やその細部に何ら制約され
るものではないことは当業者には明白であろう。
【0018】
《材料および評価法》 (1) 試薬類 制限酵素、修飾酵素などは宝酒造から、ジデオキシシー
クエンスキットは東洋紡から、牛胎児血清、透析牛胎児
血清、MEMアルファはギブコ−BRL、ASF培地104は味の
素、Sodium n-butyrate、メトトレキサート、p-APMSF、
ベンズアミジンは和光純薬工業から購入した。ヘパリン
はヘパリンナトリウム注(清水製薬)を用い、低分子ヘ
パリン(M.W. 5000)はCalbiochem、ペントサンポリサ
ルフェート、デルマタンサルフェート(コンドロイチン
サルフェートB)、ヘパランサルフェートは生化学工業
から、ペントサンポリサルフェート、デキストランサル
フェートはナカライテスク株式会社から購入した。特に
断らないかぎり、試薬は特級を用い、培養器具はベクト
ンディッキンソンから購入したものを用いた。またヒト
血清アルブミン(HSA)は化血研製のものを使用した。
クエンスキットは東洋紡から、牛胎児血清、透析牛胎児
血清、MEMアルファはギブコ−BRL、ASF培地104は味の
素、Sodium n-butyrate、メトトレキサート、p-APMSF、
ベンズアミジンは和光純薬工業から購入した。ヘパリン
はヘパリンナトリウム注(清水製薬)を用い、低分子ヘ
パリン(M.W. 5000)はCalbiochem、ペントサンポリサ
ルフェート、デルマタンサルフェート(コンドロイチン
サルフェートB)、ヘパランサルフェートは生化学工業
から、ペントサンポリサルフェート、デキストランサル
フェートはナカライテスク株式会社から購入した。特に
断らないかぎり、試薬は特級を用い、培養器具はベクト
ンディッキンソンから購入したものを用いた。またヒト
血清アルブミン(HSA)は化血研製のものを使用した。
【0019】(2) TFPI活性測定 活性単位は、TF/VIIa因子複合体によるXa因子生成の阻
害活性を合成基質を用いて測定し、加熱正常ヒト血漿中
の阻害活性を1U/mLとした[Sandset,P.M.,Thromb.Res.,
47 p389 (1987)]。
害活性を合成基質を用いて測定し、加熱正常ヒト血漿中
の阻害活性を1U/mLとした[Sandset,P.M.,Thromb.Res.,
47 p389 (1987)]。
【0020】(3) 抗体の作成 (A) TFPI265-276-PAb(抗ヒトTFPI265-276抗体):C末
端領域(Lys265-Met276)の合成ペプチドを作成し、公
知の方法によりウサギに免疫して抗血清を得た。この抗
血清からプロテインAカラム(バイオラド;アフィゲル
プロテインA)を用いたクロマトグラフィーによりIgG画
分を得、さらに合成ペプチドを結合したセファローズ4B
(ファルマシア;CNBr-activated Sepharose 4Bに仕様
書に従い合成ペプチドを結合させた)によるアフィニテ
ィークロマトグラフィーで特異的ポリクローナル抗体の
みを精製した。
端領域(Lys265-Met276)の合成ペプチドを作成し、公
知の方法によりウサギに免疫して抗血清を得た。この抗
血清からプロテインAカラム(バイオラド;アフィゲル
プロテインA)を用いたクロマトグラフィーによりIgG画
分を得、さらに合成ペプチドを結合したセファローズ4B
(ファルマシア;CNBr-activated Sepharose 4Bに仕様
書に従い合成ペプチドを結合させた)によるアフィニテ
ィークロマトグラフィーで特異的ポリクローナル抗体の
みを精製した。
【0021】(B) TFPI-MAb(抗ヒト組換えTFPIモノクロ
ーナル抗体):CHO細胞発現組換えTFPIをNordfangらの
方法[Nordfang,O.,Biochem.,30 p10371 (1991)]によ
り調製したものを抗原とし、マウスに免疫し、公知の方
法により作成した。
ーナル抗体):CHO細胞発現組換えTFPIをNordfangらの
方法[Nordfang,O.,Biochem.,30 p10371 (1991)]によ
り調製したものを抗原とし、マウスに免疫し、公知の方
法により作成した。
【0022】(3) インタクトELISA 1次抗体としてTFPI-MAb、2次抗体としてTFPI265-276-
PAbを用いたサンドイッチELISAを構築した。このELISA
ではインタクトTFPIのみを測定することができる。
PAbを用いたサンドイッチELISAを構築した。このELISA
ではインタクトTFPIのみを測定することができる。
【0023】(4) インタクト率 上記活性測定系の値は切断型TFPIとインタクトTFPIの両
者を反映しており、一方インタクトELISAはインタクトT
FPIのみを測定している。したがって、簡便に両者の比
(C末端抗原/活性)をインタクト率としてインタクトTF
PIの割合の指標とした。
者を反映しており、一方インタクトELISAはインタクトT
FPIのみを測定している。したがって、簡便に両者の比
(C末端抗原/活性)をインタクト率としてインタクトTF
PIの割合の指標とした。
【0024】《実施例》(1)組換えTFPIの発現検討 (1)-1 TFPI-cDNAの取得 ヒト胎盤cDNAライブラリλgt11(クローンテック−東洋
紡)を滅菌水で10倍希釈し、100℃、2分間処理したもの
を鋳型とし、Wunらの報告[Wun,TC. J.Biol.Chem., 26
3, p6001 (1988)]したシークエンスから考慮される5'
末端および3'末端の合成オリゴヌクレオチドをプライマ
ーとして、Polymerase Chain Reaction(PCR)法30サイ
クル[94℃1min.、50℃1min.、72℃4min.を30サイク
ル]の反応によりTFPIのcDNAを増幅した。用いたプライ
マーの塩基配列は以下の通りで、得られたPCR産物をサ
ブクローニング後、ジデオキシ法にて塩基配列を確認し
た。 5'-CTC GAG ATG ATT TAC ACA ATG AAG AAA GTA-3' 5'-GGA TCC TTA GTA GAA TTA ATG TTA CAT TGC-3'
紡)を滅菌水で10倍希釈し、100℃、2分間処理したもの
を鋳型とし、Wunらの報告[Wun,TC. J.Biol.Chem., 26
3, p6001 (1988)]したシークエンスから考慮される5'
末端および3'末端の合成オリゴヌクレオチドをプライマ
ーとして、Polymerase Chain Reaction(PCR)法30サイ
クル[94℃1min.、50℃1min.、72℃4min.を30サイク
ル]の反応によりTFPIのcDNAを増幅した。用いたプライ
マーの塩基配列は以下の通りで、得られたPCR産物をサ
ブクローニング後、ジデオキシ法にて塩基配列を確認し
た。 5'-CTC GAG ATG ATT TAC ACA ATG AAG AAA GTA-3' 5'-GGA TCC TTA GTA GAA TTA ATG TTA CAT TGC-3'
【0025】(1)-2 動物細胞発現プラスミドの構
築と発現細胞の取得 (1)-1で得られたcDNA断片をニワトリβアクチンプ
ロモーターを有するシャトルベクターpCAG.dhfr[特願
平3-243262号、図9]へ連結環状化し、TFPI発現プラス
ミドpCAG.TFPI.dhfrを構築した。チャイニーズハムスタ
ー卵巣細胞(CHO細胞)のジヒドロ葉酸レダクターゼ(d
hfr)欠損株であるDG44[Urlaub,G.,Somatic cell and
Molecular Genetics,12p555 (1986)]を6ウェルプレー
トに2×105細胞/ウェルで播種し、10%牛胎児血清(以
下FBS)を含むMEMアルファ培地3mL/ウェル中で、37℃
一晩培養した。この細胞を発現プラスミドpCAG.TFPI.dh
frで、リポフェクチン法を用いて形質転換した。リポフ
ェクチン法と試薬は、BRL社のキットに準じた。16時間
培養の後3mL/ウェルの、10%透析FBSを含む、ヌクレオ
シドを含まないMEMアルファ(以下選択培地)へ培地交
換し、その後3〜4日毎に新しい選択培地に交換しなが
ら培養を続けると、pCAG.TFPI.dhfrが導入され、dhfr
(+)となった細胞のみが生存するようになった。形質転
換より約1カ月後新しい選択培地と交換し、1日あたり
の活性発現量を算出したところ、およそ1.5〜2U/日/106
細胞で組換えTFPIを発現する細胞を得た。なお活性発現
量は6ウェルプレートに1×106細胞/ウェルで播種し、翌
日終濃度1mMのbutyrateを含む選択培地に培地交換し、2
4時間後の細胞数および活性を測定することにより算出
した。
築と発現細胞の取得 (1)-1で得られたcDNA断片をニワトリβアクチンプ
ロモーターを有するシャトルベクターpCAG.dhfr[特願
平3-243262号、図9]へ連結環状化し、TFPI発現プラス
ミドpCAG.TFPI.dhfrを構築した。チャイニーズハムスタ
ー卵巣細胞(CHO細胞)のジヒドロ葉酸レダクターゼ(d
hfr)欠損株であるDG44[Urlaub,G.,Somatic cell and
Molecular Genetics,12p555 (1986)]を6ウェルプレー
トに2×105細胞/ウェルで播種し、10%牛胎児血清(以
下FBS)を含むMEMアルファ培地3mL/ウェル中で、37℃
一晩培養した。この細胞を発現プラスミドpCAG.TFPI.dh
frで、リポフェクチン法を用いて形質転換した。リポフ
ェクチン法と試薬は、BRL社のキットに準じた。16時間
培養の後3mL/ウェルの、10%透析FBSを含む、ヌクレオ
シドを含まないMEMアルファ(以下選択培地)へ培地交
換し、その後3〜4日毎に新しい選択培地に交換しなが
ら培養を続けると、pCAG.TFPI.dhfrが導入され、dhfr
(+)となった細胞のみが生存するようになった。形質転
換より約1カ月後新しい選択培地と交換し、1日あたり
の活性発現量を算出したところ、およそ1.5〜2U/日/106
細胞で組換えTFPIを発現する細胞を得た。なお活性発現
量は6ウェルプレートに1×106細胞/ウェルで播種し、翌
日終濃度1mMのbutyrateを含む選択培地に培地交換し、2
4時間後の細胞数および活性を測定することにより算出
した。
【0026】上記の様に得られた細胞に対し、TFPI遺伝
子を増幅させる目的で、終濃度5nMのメトトレキサート
(以下MTX)を添加した選択培地で培養した。3〜4日
毎に新しい培地で更新しながら約3週間培養を続けた。
その後さらに終濃度10nMのMTXを含む選択培地にて培養
し、以下同様の手順で80nMの濃度まで、MTX濃度を段階
的に上昇させることで遺伝子増幅を実施した。80nMのMT
Xに対し耐性を獲得した細胞を核酸による選択圧のかか
らない条件下でも安定に組換えTFPIを発現する細胞を得
るため、以下のように限界希釈法でクローニングした。
対数増殖期にある細胞を、MEMアルファ/10%FBS培地(M
TX非添加)で希釈し、0.5〜1.0細胞/ウェルとなるよう
96ウェルプレート(ヌンク)に播種後、同じ培地で培養
した。およそ1週間後単一クローンに由来する細胞集落
が出現し、これらを24ウェルプレートに拡張した。対数
増殖期で培地を交換し、24時間後各クローンの培養上
清中のTFPI活性を測定した。この結果より、上位10クロ
ーンを選別し、さらに6ウェルプレートに拡張後、細胞
あたりの活性発現量を測定した。このようなスクリーニ
ングの結果、11〜14U/106細胞/日で組換えTFPIを発現す
る細胞(CHO-TFPI No.7)を得た。
子を増幅させる目的で、終濃度5nMのメトトレキサート
(以下MTX)を添加した選択培地で培養した。3〜4日
毎に新しい培地で更新しながら約3週間培養を続けた。
その後さらに終濃度10nMのMTXを含む選択培地にて培養
し、以下同様の手順で80nMの濃度まで、MTX濃度を段階
的に上昇させることで遺伝子増幅を実施した。80nMのMT
Xに対し耐性を獲得した細胞を核酸による選択圧のかか
らない条件下でも安定に組換えTFPIを発現する細胞を得
るため、以下のように限界希釈法でクローニングした。
対数増殖期にある細胞を、MEMアルファ/10%FBS培地(M
TX非添加)で希釈し、0.5〜1.0細胞/ウェルとなるよう
96ウェルプレート(ヌンク)に播種後、同じ培地で培養
した。およそ1週間後単一クローンに由来する細胞集落
が出現し、これらを24ウェルプレートに拡張した。対数
増殖期で培地を交換し、24時間後各クローンの培養上
清中のTFPI活性を測定した。この結果より、上位10クロ
ーンを選別し、さらに6ウェルプレートに拡張後、細胞
あたりの活性発現量を測定した。このようなスクリーニ
ングの結果、11〜14U/106細胞/日で組換えTFPIを発現す
る細胞(CHO-TFPI No.7)を得た。
【0027】(2)組換えTFPI発現細胞におけるヘパリ
ンの効果 実施例1で得られたCHO-TFPI No.7を6ウェルプレート
に2×106/ウエルで播種し、37℃で培養した。翌日種々
の濃度のヘパリンを添加した3mLの無血清培地(ASF培
地104-0.5%HSA)に培地交換し、さらに培養を続けた。
24時間後に培地中のインタクトTFPI量を測定したとこ
ろ、図1に示すとおりヘパリン非添加系ではインタクト
率が10%程度であるのに対し、ヘパリンを添加したもの
では0.1U/mL以上で保護効果が確認された。またこの場
合0.5U/mLではおよそ90%がインタクトTFPIであった。
ンの効果 実施例1で得られたCHO-TFPI No.7を6ウェルプレート
に2×106/ウエルで播種し、37℃で培養した。翌日種々
の濃度のヘパリンを添加した3mLの無血清培地(ASF培
地104-0.5%HSA)に培地交換し、さらに培養を続けた。
24時間後に培地中のインタクトTFPI量を測定したとこ
ろ、図1に示すとおりヘパリン非添加系ではインタクト
率が10%程度であるのに対し、ヘパリンを添加したもの
では0.1U/mL以上で保護効果が確認された。またこの場
合0.5U/mLではおよそ90%がインタクトTFPIであった。
【0028】(3)組換えTFPI発現細胞の培養上清から
の精製と評価 実施例2の(2)で得られたクローン、CHO-TFPI No.7
を段階的に拡張し、最終的にCell Factory(6000cm2;ヌ
ンク)に播種し、1リットルの0.5U/mLヘパリン、0.5%H
SAを含むASF培地104にて5%CO2存在下に、37℃で培養し
た。1〜2日おきに培地を更新し、連続的に運転して最
終的に組換えTFPIを含む培地10リットルを得た。これを
出発材料として、以下の方法により組換えTFPIを精製し
た。回収した培養上清に終濃度10mMのHEPES(pH7.2)、0.
5mMのp-APMSF、10mMのベンズアミジンを添加し、0.45μ
mのメンブランフィルター(ミリポア)でろ過後、ホロ
ーファイバーメンブラン(H1P30-20;アミコン)でおよ
そ10分の1量まで濃縮した。この濃縮培地をTBS(50mMTr
is-HCl(pH7.5),0.1M NaCl)で平衡化したMAb-セファロ
ーズ(CNBr-activated Sepharose 4B(Pharmacia)に仕様
書に従いカップリングさせた)にアプライした。TBSで
充分に洗浄した後、0.2MGlycine(pH2.3)にて溶出したと
ころ、ほぼ単一のピークが得られた。溶出画分は速やか
に1MTrisで中和した。
の精製と評価 実施例2の(2)で得られたクローン、CHO-TFPI No.7
を段階的に拡張し、最終的にCell Factory(6000cm2;ヌ
ンク)に播種し、1リットルの0.5U/mLヘパリン、0.5%H
SAを含むASF培地104にて5%CO2存在下に、37℃で培養し
た。1〜2日おきに培地を更新し、連続的に運転して最
終的に組換えTFPIを含む培地10リットルを得た。これを
出発材料として、以下の方法により組換えTFPIを精製し
た。回収した培養上清に終濃度10mMのHEPES(pH7.2)、0.
5mMのp-APMSF、10mMのベンズアミジンを添加し、0.45μ
mのメンブランフィルター(ミリポア)でろ過後、ホロ
ーファイバーメンブラン(H1P30-20;アミコン)でおよ
そ10分の1量まで濃縮した。この濃縮培地をTBS(50mMTr
is-HCl(pH7.5),0.1M NaCl)で平衡化したMAb-セファロ
ーズ(CNBr-activated Sepharose 4B(Pharmacia)に仕様
書に従いカップリングさせた)にアプライした。TBSで
充分に洗浄した後、0.2MGlycine(pH2.3)にて溶出したと
ころ、ほぼ単一のピークが得られた。溶出画分は速やか
に1MTrisで中和した。
【0029】TFPI活性を含む画分をプールし、平衡化バ
ッファー(20mMクエン酸ナトリウム(pH7.0),0.3M NaC
l)で3倍に希釈後、同じバッファーで平衡化したヘパ
リンセファローズ(Pharmacia)にアプライした。同バ
ッファーでゲルボリュームの10倍量洗浄した後、1M NaC
lの塩濃度までの直線勾配で展開溶出したところ、2つ
のTFPI活性ピークが出現した。第1のピークはおよそ0.
5MのNaClで溶出され、280nmの吸光度でおよそ20%であ
った。第2のピークはおよそ0.8MのNaClで溶出され、ほ
とんどの吸光度がこのピークに集約された。(図2参
照)流速は15mL/cm2/hr.とし、75mLの勾配で展開、2.5m
Lずつ分取した。
ッファー(20mMクエン酸ナトリウム(pH7.0),0.3M NaC
l)で3倍に希釈後、同じバッファーで平衡化したヘパ
リンセファローズ(Pharmacia)にアプライした。同バ
ッファーでゲルボリュームの10倍量洗浄した後、1M NaC
lの塩濃度までの直線勾配で展開溶出したところ、2つ
のTFPI活性ピークが出現した。第1のピークはおよそ0.
5MのNaClで溶出され、280nmの吸光度でおよそ20%であ
った。第2のピークはおよそ0.8MのNaClで溶出され、ほ
とんどの吸光度がこのピークに集約された。(図2参
照)流速は15mL/cm2/hr.とし、75mLの勾配で展開、2.5m
Lずつ分取した。
【0030】それぞれのピーク画分をプールし、SDS-PA
GE後クマシー染色したところ、第1のピーク画分ではお
よそ42kd、第2ピーク画分ではおよそ45kdであった。こ
れらをWesternBlottingしたところ、両者ともTFPI-MAb
には反応したが、第1のピーク画分はTFPI265-276-PAb
には反応しなかった。
GE後クマシー染色したところ、第1のピーク画分ではお
よそ42kd、第2ピーク画分ではおよそ45kdであった。こ
れらをWesternBlottingしたところ、両者ともTFPI-MAb
には反応したが、第1のピーク画分はTFPI265-276-PAb
には反応しなかった。
【0031】さらにそれぞれの画分のTFPIのC末端を以
下のように同定した。それぞれの画分から得られるおよ
そ130μgのTFPIを、500μLの0.5M Tris-HCl(pH8.4)、6M
グアニジン塩酸塩、10mM EDTA、350μg DTTに溶かし、5
0℃、2時間保温することにより還元した後、2μLの4-vi
nylpyridine(アルドリッチケミカル)を添加、室温に
て1.5時間処理することにより還元ピリジルエチル化し
た。これを10リットルの重炭酸アンモニウム溶液に対し
透析し、凍結乾燥した。得られたピリジルエチル化TFPI
の40μgを最終100μLの50mM Tris-HCl(pH9.0)、4M Urea
で溶かし、1μgのリジルエンドペプチダーゼ(和光純薬
工業)を加え37℃、2.5時間消化した。これを以下の条
件でHPLCにより展開した。μBendasphere C18カラム
(ウォーターズ;2.1×150mm)を流速0.2mL/min.で0.05
%TFAから0.05%TFA+40%アセトニトリルまで8mL勾配で展
開後、0.05%TFA+80%アセトニトリルまで2mL勾配で展開
溶出した。得られたペプチド画分をエドマン分解法によ
り分析し、アミノ酸配列を決定した。その結果、第2の
ピーク画分からはC末端領域に相当する、I266-K274が確
認できた。一方第1のピーク画分からは、これに相当す
るペプチド画分は得られず、K249までが確認された。以
上の結果から第1のピーク画分はK249以降のアミノ酸が
切断された分子で、第2のピーク画分がインタクトTFPI
であることが確認された。
下のように同定した。それぞれの画分から得られるおよ
そ130μgのTFPIを、500μLの0.5M Tris-HCl(pH8.4)、6M
グアニジン塩酸塩、10mM EDTA、350μg DTTに溶かし、5
0℃、2時間保温することにより還元した後、2μLの4-vi
nylpyridine(アルドリッチケミカル)を添加、室温に
て1.5時間処理することにより還元ピリジルエチル化し
た。これを10リットルの重炭酸アンモニウム溶液に対し
透析し、凍結乾燥した。得られたピリジルエチル化TFPI
の40μgを最終100μLの50mM Tris-HCl(pH9.0)、4M Urea
で溶かし、1μgのリジルエンドペプチダーゼ(和光純薬
工業)を加え37℃、2.5時間消化した。これを以下の条
件でHPLCにより展開した。μBendasphere C18カラム
(ウォーターズ;2.1×150mm)を流速0.2mL/min.で0.05
%TFAから0.05%TFA+40%アセトニトリルまで8mL勾配で展
開後、0.05%TFA+80%アセトニトリルまで2mL勾配で展開
溶出した。得られたペプチド画分をエドマン分解法によ
り分析し、アミノ酸配列を決定した。その結果、第2の
ピーク画分からはC末端領域に相当する、I266-K274が確
認できた。一方第1のピーク画分からは、これに相当す
るペプチド画分は得られず、K249までが確認された。以
上の結果から第1のピーク画分はK249以降のアミノ酸が
切断された分子で、第2のピーク画分がインタクトTFPI
であることが確認された。
【0032】(4)ローラーボトルを用いた中スケール
生産 培養期間中、インタクトTFPIを切断するプロテアーゼ量
が常に一定であるとは限らない。技術的にはヘパリンの
添加量を調整することで対応は可能であるが、培養初期
と終期ではインタクトTFPIの切断の度合が異なることは
予想されることである。そこで、本発明における効果を
さらに明らかにするために、ローラーボトル(コーニン
グ;28280BT 1700)を用いた長期培養を実施した。CHO-
TFPI No.7を段階的に拡張し、最終的にASF培地104-5%F
BSにて1本あたり1×108細胞でローラーボトルに播種
した。播種後4日目に無血清培地(ASF104-0.5%HSA-0.5
U/mL ヘパリン-1mM butyrate)に培地交換し、この日を
培養第1日目として24日間培養した。培養4日目以降2
日毎に培地交換を繰り返し、回収した培養上清は実施例
3に述べた精製法に準じて精製した。
生産 培養期間中、インタクトTFPIを切断するプロテアーゼ量
が常に一定であるとは限らない。技術的にはヘパリンの
添加量を調整することで対応は可能であるが、培養初期
と終期ではインタクトTFPIの切断の度合が異なることは
予想されることである。そこで、本発明における効果を
さらに明らかにするために、ローラーボトル(コーニン
グ;28280BT 1700)を用いた長期培養を実施した。CHO-
TFPI No.7を段階的に拡張し、最終的にASF培地104-5%F
BSにて1本あたり1×108細胞でローラーボトルに播種
した。播種後4日目に無血清培地(ASF104-0.5%HSA-0.5
U/mL ヘパリン-1mM butyrate)に培地交換し、この日を
培養第1日目として24日間培養した。培養4日目以降2
日毎に培地交換を繰り返し、回収した培養上清は実施例
3に述べた精製法に準じて精製した。
【0033】その結果を活性発現量とインタクト率の推
移(図3)、および精製後のヘパリンアフィニティーク
ロマトグラフィー[図4:培養初期(6日目)、図5:
培養終期(22日目)]の展開パターンで示す。図3〜図
5に示すとおり、培養終期にわたるまで高い割合でイン
タクトTFPIが保護されており、最終的に精製されたTFPI
もヘパリンセファローズの展開パターンから少なくとも
80%以上がインタクトTFPIとして回収された。したがっ
て、ヘパリンによるインタクトTFPIの保護効果は比較的
長期にわたる培養においても安定に再現されることが確
認できた。
移(図3)、および精製後のヘパリンアフィニティーク
ロマトグラフィー[図4:培養初期(6日目)、図5:
培養終期(22日目)]の展開パターンで示す。図3〜図
5に示すとおり、培養終期にわたるまで高い割合でイン
タクトTFPIが保護されており、最終的に精製されたTFPI
もヘパリンセファローズの展開パターンから少なくとも
80%以上がインタクトTFPIとして回収された。したがっ
て、ヘパリンによるインタクトTFPIの保護効果は比較的
長期にわたる培養においても安定に再現されることが確
認できた。
【0034】以上のことから、ヘパリンを添加した培地
で培養することにより、培養中のインタクトTFPIの切断
を抑えることができ、インタクトTFPIを高い割合で回収
することが可能であることが実証された。さらに、本発
明の効果が、他の培養細胞を宿主とした場合にも有効で
あること、およびヘパリン以外の他の類縁物質(硫酸化
ポリサッカライド)にも同様の効果があることを確認す
るために、次の実験を実施した。
で培養することにより、培養中のインタクトTFPIの切断
を抑えることができ、インタクトTFPIを高い割合で回収
することが可能であることが実証された。さらに、本発
明の効果が、他の培養細胞を宿主とした場合にも有効で
あること、およびヘパリン以外の他の類縁物質(硫酸化
ポリサッカライド)にも同様の効果があることを確認す
るために、次の実験を実施した。
【0035】(5)各種の培養細胞の培養上清を用いた
インタクトTFPIの切断実験 前記のごとく、組換えTFPI発現細胞の培養上清からはほ
とんど切断されたTFPIしか調製できないため、培養上清
中で宿主に由来するプロテアーゼによって発現TFPIが切
断を受けていることが考えられた。そこで各種の宿主細
胞の培養上清にインタクトTFPIを添加し、硫酸化ポリサ
ッカライド存在下に37℃一晩保温後、これら硫酸化ポリ
サッカライドによるインタクトTFPIの保護効果を調べ
た。
インタクトTFPIの切断実験 前記のごとく、組換えTFPI発現細胞の培養上清からはほ
とんど切断されたTFPIしか調製できないため、培養上清
中で宿主に由来するプロテアーゼによって発現TFPIが切
断を受けていることが考えられた。そこで各種の宿主細
胞の培養上清にインタクトTFPIを添加し、硫酸化ポリサ
ッカライド存在下に37℃一晩保温後、これら硫酸化ポリ
サッカライドによるインタクトTFPIの保護効果を調べ
た。
【0036】(5)-1 宿主由来プロテアーゼによる
インタクトTFPI切断実験 宿主細胞に由来するプロテアーゼを含む培地は以下のよ
うに調製した。宿主として一般的に用いられる培養細胞
の中から、CHO細胞、BHK細胞を定法どおり10%FBSを含
むMEM-アルファ培地で播種培養した。ほぼコンフルエン
トな状態まで培養し、PBSで細胞を洗浄後無血清培地(A
SF104)に培地交換した。この後さらに2〜3日間培養
し、細胞の状態がやや悪化したところで、培養液を回収
した。回収した培養液から浮遊細胞を遠心分離した後、
以下の実験に用いた。まずそれぞれの培養上清にインタ
クトTFPI(終濃度2.3μg/mL)、HSA(終濃度0.5%)を
加え、ヘパリンを終濃度0〜5U/mLとなるよう添加後、
37℃恒温槽中で一晩保温した。これらのサンプルをイン
タクトELISAにより、保温前を100%としたときの保温後
のインタクトの割合で評価した。その結果、図6に示す
とおり終濃度0.5U/ml以上の濃度でいずれの宿主由来プ
ロテアーゼに対してもヘパリンによるインタクトTFPIの
保護効果が確認された。そこで、切断プロテアーゼ活性
が強かったBHK細胞の培養上清を用いて次の実験を行っ
た。
インタクトTFPI切断実験 宿主細胞に由来するプロテアーゼを含む培地は以下のよ
うに調製した。宿主として一般的に用いられる培養細胞
の中から、CHO細胞、BHK細胞を定法どおり10%FBSを含
むMEM-アルファ培地で播種培養した。ほぼコンフルエン
トな状態まで培養し、PBSで細胞を洗浄後無血清培地(A
SF104)に培地交換した。この後さらに2〜3日間培養
し、細胞の状態がやや悪化したところで、培養液を回収
した。回収した培養液から浮遊細胞を遠心分離した後、
以下の実験に用いた。まずそれぞれの培養上清にインタ
クトTFPI(終濃度2.3μg/mL)、HSA(終濃度0.5%)を
加え、ヘパリンを終濃度0〜5U/mLとなるよう添加後、
37℃恒温槽中で一晩保温した。これらのサンプルをイン
タクトELISAにより、保温前を100%としたときの保温後
のインタクトの割合で評価した。その結果、図6に示す
とおり終濃度0.5U/ml以上の濃度でいずれの宿主由来プ
ロテアーゼに対してもヘパリンによるインタクトTFPIの
保護効果が確認された。そこで、切断プロテアーゼ活性
が強かったBHK細胞の培養上清を用いて次の実験を行っ
た。
【0037】(5)-2 種々の硫酸化ポリサッカライ
ドによるインタクトTFPIの保護効果 硫酸化ポリサッカライドとしては、ヘパリン、低分子量
ヘパリン、ペントサンポリサルフェート、デルマタンサ
ルフェート、デキストランサルフェート、ヘパランサル
フェートを用いた。BHK細胞の培養上清に、インタクトT
FPIを終濃度6.9μg/mL、各種硫酸化ポリサッカライドを
終濃度0〜100μg/mLとなるよう添加し、37℃にて一晩保
温した。なお、ヘパリンは比活性を140U/mgとして計算
した。実施例(5)-1同様保温前後の切断状態をイン
タクトELISAで評価した結果、図7に示すとおりいずれ
の硫酸化ポリサッカライドでも、程度の差はあるがイン
タクトTFPIの保護効果があることが判明した。保護効果
は、ヘパリン、デキストランサルフェート、低分子ヘパ
リンで最も高く、次にペントサンポリサルフェートも高
い保護効果があった。さらにデルマタンサルフェート、
ヘパランサルフェートでは高濃度添加時においては効果
が確認された。
ドによるインタクトTFPIの保護効果 硫酸化ポリサッカライドとしては、ヘパリン、低分子量
ヘパリン、ペントサンポリサルフェート、デルマタンサ
ルフェート、デキストランサルフェート、ヘパランサル
フェートを用いた。BHK細胞の培養上清に、インタクトT
FPIを終濃度6.9μg/mL、各種硫酸化ポリサッカライドを
終濃度0〜100μg/mLとなるよう添加し、37℃にて一晩保
温した。なお、ヘパリンは比活性を140U/mgとして計算
した。実施例(5)-1同様保温前後の切断状態をイン
タクトELISAで評価した結果、図7に示すとおりいずれ
の硫酸化ポリサッカライドでも、程度の差はあるがイン
タクトTFPIの保護効果があることが判明した。保護効果
は、ヘパリン、デキストランサルフェート、低分子ヘパ
リンで最も高く、次にペントサンポリサルフェートも高
い保護効果があった。さらにデルマタンサルフェート、
ヘパランサルフェートでは高濃度添加時においては効果
が確認された。
【0038】この結果、ヘパリンの効果が他の培養細胞
を宿主とした場合においても有効であること、および他
の硫酸化ポリサッカライドにもヘパリン同様の効果があ
ることが実証された。
を宿主とした場合においても有効であること、および他
の硫酸化ポリサッカライドにもヘパリン同様の効果があ
ることが実証された。
【0039】以上の結果から、組換えTFPIを動物細胞に
発現させインタクトTFPIを取得しようとする場合、従来
インタクトTFPIの取得が困難であったような培養細胞を
宿主として用いた場合においても、本発明に従い適切な
量の硫酸化ポリサッカライドを添加することにより、初
めてインタクトTFPIが現実的な量で取得可能となる。こ
れは、他の研究者らの報告[Wun,TC.,Thromb.Haemost.,
68 p54(1992)、Nordfang,O.,Biochem.,30 p10371(199
1)]と比較すればその差はより明確に理解されるであろ
う。
発現させインタクトTFPIを取得しようとする場合、従来
インタクトTFPIの取得が困難であったような培養細胞を
宿主として用いた場合においても、本発明に従い適切な
量の硫酸化ポリサッカライドを添加することにより、初
めてインタクトTFPIが現実的な量で取得可能となる。こ
れは、他の研究者らの報告[Wun,TC.,Thromb.Haemost.,
68 p54(1992)、Nordfang,O.,Biochem.,30 p10371(199
1)]と比較すればその差はより明確に理解されるであろ
う。
【0040】
【発明の効果】本発明により、組織因子凝固系インイビ
ター(TFPI)として知られる抗血液凝固活性を有する物
質を動物細胞を宿主とした遺伝子組換えにより調製する
際、従来インタクト分子が取得困難であった細胞を宿主
とした場合においても、培養液中の発現TFPIの大部分が
インタクトなタンパクとして安定的に、かつ大量に調製
することが新規に可能となる。この発現産物を利用する
ことにより、血液凝固系に異常をきたした疾患、たとえ
ばDIC(汎発性血管内凝固)などに対する血栓予防治療
剤をはじめ種々の疾患にたいしてTFPIを用いる場合、イ
ンタクトの組換え製剤として、はじめて有用な程度まで
生産可能となる。
ター(TFPI)として知られる抗血液凝固活性を有する物
質を動物細胞を宿主とした遺伝子組換えにより調製する
際、従来インタクト分子が取得困難であった細胞を宿主
とした場合においても、培養液中の発現TFPIの大部分が
インタクトなタンパクとして安定的に、かつ大量に調製
することが新規に可能となる。この発現産物を利用する
ことにより、血液凝固系に異常をきたした疾患、たとえ
ばDIC(汎発性血管内凝固)などに対する血栓予防治療
剤をはじめ種々の疾患にたいしてTFPIを用いる場合、イ
ンタクトの組換え製剤として、はじめて有用な程度まで
生産可能となる。
【図1】実施例2で実施した、組換えTFPI発現CHO細胞
培養時におけるヘパリンの添加効果をインタクト率とし
て示す。培地はASF培地104-0.5%HSAを基礎培地とし、
種々の濃度でヘパリンを添加した培地を用いた。
培養時におけるヘパリンの添加効果をインタクト率とし
て示す。培地はASF培地104-0.5%HSAを基礎培地とし、
種々の濃度でヘパリンを添加した培地を用いた。
【図2】実施例3で示した、組換えTFPI発現CHO細胞をC
ell factoryで培養することによって得られた培養上清
を原料とした際の、ヘパリンセファローズクロマトグラ
フィーの溶出パターンを示す。
ell factoryで培養することによって得られた培養上清
を原料とした際の、ヘパリンセファローズクロマトグラ
フィーの溶出パターンを示す。
【図3】実施例4で実施したローラーボトル培養におけ
る、活性発現量とインタクト率の推移を示す。培養4日
目以降、2日ごとに培地交換しその際の発現量とインタ
クト率を図示した。
る、活性発現量とインタクト率の推移を示す。培養4日
目以降、2日ごとに培地交換しその際の発現量とインタ
クト率を図示した。
【図4】実施例4で実施したローラーボトル培養におけ
る培養初期(培養6日目)の培養上清を原料とした、ヘ
パリンアフィニティークロマトグラフィーの溶出パター
ンを示す。
る培養初期(培養6日目)の培養上清を原料とした、ヘ
パリンアフィニティークロマトグラフィーの溶出パター
ンを示す。
【図5】実施例4で実施したローラーボトル培養におけ
る培養終期(培養22日目)の培養上清を原料とした、ヘ
パリンアフィニティークロマトグラフィーの溶出パター
ンを示す。
る培養終期(培養22日目)の培養上清を原料とした、ヘ
パリンアフィニティークロマトグラフィーの溶出パター
ンを示す。
【図6】実施例5-1で実施した各種培養細胞の培養上
清によるインタクトTFPIの切断におけるヘパリンの効果
を示す。
清によるインタクトTFPIの切断におけるヘパリンの効果
を示す。
【図7】実施例5-2で実施した種々の硫酸化ポリサッ
カライドによるインタクトTFPIの保護効果の比較結果を
示す。
カライドによるインタクトTFPIの保護効果の比較結果を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/00 C12R 1:91)
Claims (4)
- 【請求項1】 組織因子凝固系インヒビター(TFP
I)の遺伝子組換えによる調製法であって、形質転換動
物細胞によりTFPIを発現させる際に、硫酸化ポリサ
ッカライドを添加した培養液を用いて形質転換動物細胞
を培養することを特徴とするTFPIの調製法。 - 【請求項2】 硫酸化ポリサッカライドが、ヘパリン、
低分子ヘパリン、ペントサンポリサルフェート、デキス
トランサルフェート、ヘパランサルフェート、デルマタ
ンサルフェートの中から選択される1もしくは2以上の
物質である請求項1の調製法。 - 【請求項3】 硫酸化ポリサッカライドが、ヘパリンで
ある請求項2の調製法。 - 【請求項4】 形質転換動物細胞が、チャイニーズハム
スター卵巣(CHO)細胞またはハムスター腎臓(BH
K)細胞である請求項1の調製法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18874693A JP3428687B2 (ja) | 1993-06-30 | 1993-06-30 | 組織因子凝固系インヒビターの調製法 |
US08/266,542 US6300100B1 (en) | 1993-06-30 | 1994-06-28 | Process for preparing tissue factor pathway inhibitor |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18874693A JP3428687B2 (ja) | 1993-06-30 | 1993-06-30 | 組織因子凝固系インヒビターの調製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0779774A true JPH0779774A (ja) | 1995-03-28 |
JP3428687B2 JP3428687B2 (ja) | 2003-07-22 |
Family
ID=16229053
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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---|---|
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6060449A (en) * | 1996-03-25 | 2000-05-09 | Juridical Foundation The Chemo-Sero-Therapeutic Research Institute | Neovascularization inhibitor containing tissue factor pathway inhibitor |
US6191113B1 (en) | 1995-10-24 | 2001-02-20 | Juridical Foundation The Chemo-Sero-Therapeutic Research Institute | Peptide for inhibiting growth of smooth muscle cells |
JP2014138614A (ja) * | 2014-04-09 | 2014-07-31 | Sk Chemicals Co Ltd | 第viii因子とその誘導体の製造及び精製方法 |
JP2015504925A (ja) * | 2012-01-30 | 2015-02-16 | バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッドBaxter International Incorp0Rated | 非抗凝固性の硫酸化またはスルホン酸化合成ポリマー |
JP2016220701A (ja) * | 2016-09-30 | 2016-12-28 | エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド | 第viii因子とその誘導体の製造及び精製方法 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
PT1602667E (pt) * | 1995-06-07 | 2007-07-13 | Searle Llc | Formulação aquosa que compreende tfpi e agentes de solubilização |
US7132398B2 (en) * | 2003-05-06 | 2006-11-07 | Dendreon Corporation | Method of treatment of hemorrhagic disease using a factor VIIa/tissue factor inhibitor |
CN101646779B (zh) | 2007-02-23 | 2014-12-03 | Sk化学株式会社 | 制备和纯化因子viii及其衍生物的方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2657884B1 (fr) * | 1990-02-05 | 1994-09-02 | Tm Innovation | Procede pour la preparation du facteur viii humain et d'analogues du facteur viii. |
-
1993
- 1993-06-30 JP JP18874693A patent/JP3428687B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
1994
- 1994-06-28 US US08/266,542 patent/US6300100B1/en not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6191113B1 (en) | 1995-10-24 | 2001-02-20 | Juridical Foundation The Chemo-Sero-Therapeutic Research Institute | Peptide for inhibiting growth of smooth muscle cells |
US6060449A (en) * | 1996-03-25 | 2000-05-09 | Juridical Foundation The Chemo-Sero-Therapeutic Research Institute | Neovascularization inhibitor containing tissue factor pathway inhibitor |
JP2015504925A (ja) * | 2012-01-30 | 2015-02-16 | バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッドBaxter International Incorp0Rated | 非抗凝固性の硫酸化またはスルホン酸化合成ポリマー |
JP2014138614A (ja) * | 2014-04-09 | 2014-07-31 | Sk Chemicals Co Ltd | 第viii因子とその誘導体の製造及び精製方法 |
JP2016220701A (ja) * | 2016-09-30 | 2016-12-28 | エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド | 第viii因子とその誘導体の製造及び精製方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US6300100B1 (en) | 2001-10-09 |
JP3428687B2 (ja) | 2003-07-22 |
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