JP2014138614A - 第viii因子とその誘導体の製造及び精製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明により、前記抑制剤は培養中の標的タンパク質の切断を保護することができ、標的分子の均質性を増加させることができる。ここで、前記抑制剤は硫酸デキストランであり得る。本発明はまた、親和性クロマトグラフィーにより標的分子及び選択された抑制剤全てを含有する培養培地から標的分子を精製する方法を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明の別の様態において、単クローン抗体依存精製方法を使用して硫酸デキストラン含有培地から第VIII因子分子を効率的に精製する方法を提供する。
(http://www.sigmaaldrich.com/sigmaaldrich/product_information_sheet/d6001pis.pdf)
I2GdBNをコードするDNA断片を持つ前述した#39クローンを無血清培地(Cambrex社から購入したProCHO5培地)で培養した。解凍後、2度の継代培養時、4×105細胞を6−ウェルプレートの各ウェルに分株した。
発現された第VIII因子を含有する培養培地を7.5%SDS−PAGEゲルに適用し、PVDF膜にブロッティングした。ブロッティングされた膜を本発明の発明者らにより生成された#26−1と称するA2ドメイン−特異抗体で精査した。セイヨウワサビペルオキシダーゼと結合された2次マウスIgGを使用して前記ブロット上の第VIII因子−抗体複合体を視覚化した。
I2GdBNの断片化に対する多様な硫酸化多糖類の保護効果の比較
高分子量の硫酸デキストラン(約500kDa)、ヘパリン、2種類の低分子量ヘパリン(〜3kDa及び4〜6kDa)、及びデルマタン硫酸をシグマ社から購入し、水に再懸濁してフィルター殺菌した。細胞を先で言及したように分株して24時間後に、培地を新しいものと換え、5種類の硫酸化多糖類を各ウェルに各々25mg/L、50mg/L、100mg/L、又は200mg/Lの最終濃度で添加した。48時間培養した後、培養上澄液を除去し、ウエスタンブロット分析を通して分析した。図1に示したように、その他の特許で記述したTFPIを有効に保護する3種のヘパリンの保護効果はほとんどなかった。しかし、硫酸デキストランは濃度−依存的方式で効率的に第VIII因子の切断を保護した。添加剤がない培養培地中の第VIII因子(41%;図1−(D)でレーン1)及びヘパリン又はデルマタン硫酸がある培養培地中の第VIII因子(52%〜67%;図1−(D)でレーン3〜6)に比べて硫酸デキストランを含む培地内には92%を超える第VIII因子(図1−(D)でレーン2)が完全に残っていた。これは全ての硫酸化多糖類が全ての標的タンパク質を保護することができず、いくつかの硫酸化多糖類の保護効果は標的タンパク質に非常に特異的であることを示している。
I2GdBNの切断に対する硫酸デキストランの分子量の効果
より少ない分子量の硫酸デキストランを適用して前記切断を保護することができれば、より少ない分子量の硫酸デキストランをそのサイズの差に根拠して第VIII因子からより容易に分離することができる。従って、より少ない分子量の硫酸デキストランが細胞培養中に発現されたI2GdBNの切断を保護することができるかを調べるために、同一含量の硫黄を有し、同一の供給源から起源する8kDa、10kDa及び500kDaの硫酸デキストランを100mg/L、200mg/L、400mg/L、及び1000mg/Lの多様な濃度で前記培地に加えた。硫酸デキストランを添加して72時間後、培養培地を収穫し、ウエスタンブロット分析により分析した。図2に示されるように、低分子量の硫酸デキストランの量を増加させて(図2でレーン1〜レーン8)、細胞培養培地に添加したが、I2GdBN切断に対する効率的な保護効果が全く観察されなかった。500kDaの硫酸デキストラン(レーン9〜レーン12)のみが単一鎖I2GdBNの断片化を保護することが分かった。
硫酸化デキストランのみが切断を保護することができる。
硫酸デキストランの別途の官能基が切断抑制効果を有するかを調べるために、等モル量のデキストラン(500kDa)、硫酸ナトリウム及び硫酸デキストラン(500kDa)を培養培地に加えた。細胞を前記のように分株した。分株24時間後、250mg/L乃至1000mg/L範囲の様々な濃度の硫酸デキストラン(500kDa)及びデキストラン(500kDa)又は71g/L乃至384g/L範囲の様々な濃度の硫酸ナトリウムを前記培地に加えた。添加48時間後、培地を各々のウェルから回収し、ウエスタンブロット分析により分析した。図3に示したように、500kDaの硫酸デキストラン(レーン5〜レーン7)のみがI2GdBNの切断に対して保護効果を示した。デキストラン単独(レーン2〜レーン4)や硫酸ナトリウム(レーン8〜レーン10)は全てCHO培養途中に放出されたプロテアーゼのプロテアーゼ活性を抑制できないことが分かった。
デキストランや硫酸ナトリウムのみを含む培養培地のフラグメンテーションパターンは添加剤がない培養培地(対照群、レーン1)の場合と類似していた。
懸濁培養に対する硫酸デキストランの適用
硫酸デキストラン(500kDa)をかん流培養システムに適用した。1本のバイアルの細胞を解凍し、T75フラスコで細胞数を増大させ、T125フラスコで更に増大させた。T125フラスコ中の細胞を250mL、1L及び3Lスピナーフラスコに連続的に移し、100rpmの回転速度で5%のCO2/空気混合物下に37℃で磁気攪拌器プレート上で懸濁培養状態で培養させた。3Lスピナーフラスコの中で幾何級数的に成長する細胞を回収し、5Lの可動範囲を有する7.5L生物反応器に接種した。硫酸デキストラン(500kDa)を前記生物反応器中の無血清培地に200mg/Lの濃度で加えた。
培養かん流の間、細胞生存率が92.7%以上で維持され、培養過程の間、ウエスタンブロットでの各バンドの密度測定分析より判断したとき、第VIII因子の断片は5%未満で検出された。6日、12日及び18日目に回収した培養培地の例示的なウエスタンブロットを図4に示す。
免疫親和性クロマトグラフィーによる培養培地からI2GdBNの精製
硫酸デキストランの強い陰電荷特長により、硫酸デキストランが補充された培養培地で分泌された第VIII因子を精製するのにイオン交換クロマトグラフィーを適用することができない。したがって、実施例4で精製された培養培地を接線流限外ろ過により濃縮させ、平行緩衝剤(20mMのTris−HCl[pH7.0]、400mM NaCl、5mLCaCl2、3mM EDTA)であらかじめ平衡化させた免疫親和性カラムに加えた。
免疫親和性カラムを第VIII因子重鎖のA2部位を認識する単クローン抗第VIII因子をCNBr−活性化されたセファロースに結合させることで製造した。第VIII因子−結合された免疫親和性カラムを2.5層体積の平衡緩衝剤及び2.5層体積の洗浄緩衝剤(20mMのTris−HCl[pH7.0]、400mM NaCl、5mLCaCl2、3mM EDTA、10%エチレングリコール)で洗浄した。40〜60%範囲の濃度でエチレングリコールを含有する溶出緩衝剤を使用して段階的勾配溶出で溶出を行った。12個の溶出分画中9個(図5でE1〜E9に相当する溶出分画1〜9番)をサンプリングし、7.5%のSDS−PAGEに適用し、クマシーブリリアントブルーR250染料で染色した。図5で例示したように、前記培養培地の単一段階の精製のみでも95%を超過する非常に純粋な単一鎖第VIII因子を提供した。
〔1〕 培養培地中にFVIII又はFVIII誘導体をコードするcDNAを含有する発現DNAベクターで形質転換された哺乳類宿主細胞から組み換え第VIII因子を生産し、前記第VIII因子を固相支持体に結合された第VIII因子特異的親和性分子を使用して精製する方法であって、(a)前記哺乳類宿主細胞を硫酸デキストランが補充された培養培地で培養し、
(b)限外ろ過を通して前記第VIII因子を含有する培養培地を濃縮し、
(c)前記第VIII因子を免疫学的方法により前記濃縮された培養培地から精製すること
を含む方法。
〔2〕 前記硫酸デキストランの平均分子量が20乃至5,000kDaである、〔1〕記載の方法。
〔3〕 前記培養培地中の前記硫酸化多糖類の量が10mg/L乃至2g/Lである、〔1〕記載の方法。
〔4〕 前記培養培地が動物性タンパク質を含まない培地である、〔1〕記載の方法。
〔5〕 前記哺乳類宿主細胞がCHO、BHK及びCOS細胞である、〔1〕記載の方法。
〔6〕 前記免疫学的方法が免疫沈降又は免疫親和性クロマトグラフィーである、〔1〕記載の方法。
〔7〕 前記クロマトグラフィーが、
(a)抗第VIII因子特異抗体が結合されたアガロース及びセファロースを含む固相支持体で充填されたカラム、及び
(b)前記抗体が結合された固相支持体に結合された第VIII因子分子のための緩衝剤、塩、塩化カルシウム、界面活性剤及びエチレングリコールを含有する溶出緩衝剤
を含む、〔6〕記載の方法。
Claims (9)
- 培養培地中に第VIII因子又は第VIII因子誘導体をコードするcDNAを含有する発現DNAベクターで形質転換された哺乳類宿主細胞から組み換え第VIII因子を生産し、前記第VIII因子を固相支持体に結合された第VIII因子特異的親和性分子を使用して精製する方法であって、
(a)前記哺乳類宿主細胞を、プロテアーゼ阻害活性を有する硫酸化多糖類が補充された培養培地で培養し、前記硫酸化多糖類は、約20,000〜約5,000,000Daの分子量を有する硫酸デキストランであり、前記培養培地中の前記硫酸デキストランの量が25mg/L乃至200mg/Lである工程、
(b)限外ろ過を通して前記第VIII因子を含有する培養培地を濃縮し、
(c)前記第VIII因子を免疫学的方法により前記濃縮された培養培地から精製すること
を含む方法。 - 前記培養培地が動物性タンパク質を含まない培地である、請求項1記載の方法。
- 前記哺乳類宿主細胞がCHO、BHK及びCOS細胞である、請求項1記載の方法。
- 前記免疫学的方法が免疫沈降又は免疫親和性クロマトグラフィーである、請求項1記載の方法。
- 前記クロマトグラフィーが、
(a)抗第VIII因子特異抗体が結合されたアガロース及びセファロースを含む固相支持体で充填されたカラム、及び
(b)前記抗体が結合された固相支持体に結合された第VIII因子分子のための緩衝剤、塩、塩化カルシウム、界面活性剤及びエチレングリコールを含有する溶出緩衝剤
を含む、請求項4記載の方法。 - 前記生産された第VIII因子分子の均質性を増加させる方法である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
- CHO細胞培養培地が起源であるプロテアーゼの第VIII因子−切断活性を低減又は遮断し、かつ、生成した第VIII因子分子の均質性を増加させるための硫酸デキストランの使用であって、該使用が請求項1〜5のいずれか1項記載の方法を含むことを特徴とする使用。
- 培養培地中に第VIII因子又は第VIII因子誘導体をコードするcDNAを含有する発現DNAベクターで形質転換された哺乳類宿主細胞から生産された組み換え第VIII因子の均質性を改良する方法であって、
(a)前記哺乳類宿主細胞をプロテアーゼ阻害活性を有する硫酸化多糖類が補充された培養培地で培養し、前記硫酸化多糖類は、約20,000〜約5,000,000Daの分子量を有する硫酸デキストランであり、前記培養培地中の前記硫酸デキストランの量が25mg/L乃至200mg/Lである工程、
を含むことを特徴とする方法。 - 培養培地中に第VIII因子又は第VIII因子誘導体をコードするcDNAを含有する発現DNAベクターで形質転換された哺乳類宿主細胞から生産された組み換え第VIII因子のプロテアーゼによる切断活性を減少又は阻害する方法であって、
(a)前記哺乳類宿主細胞をプロテアーゼ阻害活性を有する硫酸化多糖類が補充された培養培地で培養し、前記硫酸化多糖類は、約20,000〜約5,000,000Daの分子量を有する硫酸デキストランであり、前記培養培地中の前記硫酸デキストランの量が25mg/L乃至200mg/Lである工程、
を含むことを特徴とする方法。
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