JPH0779749A - チョコレート飲料の製造法 - Google Patents

チョコレート飲料の製造法

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JPH0779749A
JPH0779749A JP5256543A JP25654393A JPH0779749A JP H0779749 A JPH0779749 A JP H0779749A JP 5256543 A JP5256543 A JP 5256543A JP 25654393 A JP25654393 A JP 25654393A JP H0779749 A JPH0779749 A JP H0779749A
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啓佑 小宮
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富美子 荒木
Tomoko Notomi
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ココア粉を溶解分散するための湯水の代わり
に、カカオマス又はカカオニブを水で抽出した抽出液を
用いたチョコレート飲料に関するものであり、水で抽出
するとき酵素特にグルコアミラーゼ、ペクチナーゼ、プ
ロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、細胞壁分解酵素か
ら目的に応じ1種又は2種以上選択した酵素で処理する
のが望ましい。 【効果】 缶などの容器に入り、そのまま飲用できるチ
ョコレート飲料の製造法に関するものであり、詳しく
は、カカオマス又はカカオニブの抽出液にココア粉を溶
解分散させることにより、チョコレートの風味を有し、
しかもコクがあるがサラッとした口当たりの飲み易いチ
ョコレート飲料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、缶などの容器に入
り、そのまま飲用できるチョコレート飲料の製造法に関
するものであり、詳しくは、カカオマス又はカカオニブ
の抽出液にココア粉を溶解分散させることにより、チョ
コレートの風味を有し、しかもコクがあるがサラッとし
た口当たりの飲み易いチョコレート飲料とするところの
チョコレート飲料の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ココアは、カカオ豆の胚乳部であるカカ
オニブを磨砕したカカオマスを圧搾して脂肪分であるコ
コアバターを分離した後に残ったココアケーキを粉砕し
た粉末で、これを湯水に溶解、分散して飲用に供されて
いる。しかし、ココア粉は飲用のたびに粉末を湯水に溶
解分散させなければならず、ダマを生じないように溶解
分散するには、大変面倒であった。この難点を解決する
ために、ココア粉を湯水に溶解分散させ、所望によりミ
ルク、甘味料などを加えて缶などの容器に充填した大量
生産のココア飲料が作られている。このココア飲料は、
そのまま飲用に供することができ、面倒な操作を行わな
くてもココアを飲むことができる。
【0003】一方、ココア飲料原料を水で抽出して不溶
性成分を除去する透明なココア飲料の製造法(特公昭5
2−12269)が提案されている。この方法は、ココ
ア粉を水で抽出する際、酵素処理して可溶性成分を増や
すと同時に濾過及びクリームセパレーターで不溶性成分
を除去する清澄処理を行っている。従って、このココア
飲料は、透き通るような透明感を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ココア粉を溶解分散し
たココア飲料は、ココア粉からの繊維や蛋白質、脂肪、
澱粉などの不溶性成分が細かい粒子となって分散してい
る。しかも、これらの不溶性成分が保存中に沈殿しない
ように、安定剤として糊料やガム質が加えられている。
その結果、ココア飲料は、コクのある風味豊かな飲物で
あるが、飲んだときドロッとして重い感じがして、のど
に抵抗を感じて飲み難くいものとなった。その上、原料
として用いたココア粉が脱脂されているため、ココアバ
ターからくるマイルドでチョコレートを連想する豊潤な
好ましい風味に欠けたものとなった。しかも、飲んだと
きの重い感じを改良する目的で使用するココア粉の量を
減らすと、ココア飲料の特徴であるコクのある風味が失
われた。なお、チョコレートを湯水に溶解分散したチョ
コレート飲料は、脂肪成分であるココアバターが多いた
め、長く保存しておくと脂肪分が表面に集まり、そこで
固化するため、飲用する直前に溶解分散しなければなら
ず、家庭や客の注文により調製する喫茶店でなければ供
することができず、あらかじめ調製しておいて供する缶
などの容器に充填した飲料として用いることは不可能で
ある。
【0005】一方、透明なココア飲料は、飲んだときサ
ッパリして軽い飲み心地ではあるが、ココア粉を用いた
ココア飲料とは別の風味となり、ココアらしさに乏しい
ものとなった。しかも、この方法でも脱脂したココア粉
を用いているため、マイルドで豊潤な風味が感じられな
かった。なお、特公昭50−33137号に、カカオと
水の混合系に酵素を作用させた後不溶成分を除去するカ
カオの抽出物について記載されているが、この抽出物も
透明なココア飲料と同様に、ココアらしさやチョコレー
ト様のコクのある風味に乏しいものとなった。
【0006】この発明は、このような従来のココア飲料
の欠点を除き、飲んだときサラッとした軽快な口当りで
はあるが、豊潤なチョコレート様のコクのある風味をし
たチョコレート飲料を供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】従来ココア粉を水に溶解
分散してココア飲料としているが、この発明は水に代わ
ってカカオマス又はカカオニブに水を加えて抽出した抽
出液を用いてココア粉を溶解分散して、チョコレートの
風味をしたチョコレート飲料としている。
【0008】ここに用いるカカオマスとはカカオニブを
磨砕ロールで擦り潰したものであり、カカオニブとはカ
カオ豆の外皮や胚芽を除去した胚乳部分を指す。この発
明で使用するカカヤマス又はカカオニブは、生のもので
も焙煎したものでもよい。また、好みにより外皮や胚乳
が混入しているものを用いてもよい。しかし、通常焙煎
して外皮や胚芽を除去したものを用いるようにする。ま
た、アルカリ処理したカカオマスやカカオニブを用いて
もよい。
【0009】カカオマスに湯又は水を加え向流や撹拌さ
せる、又はカカオニブを細かく砕いてから湯又は水を加
え混ぜるなどしてカカオマス又はカカオニブと水を混合
して抽出する。このとき必要により加熱して抽出し、抽
出が終わったら遠心分離、濾過などによりカカオニブな
どの固形物を取り除く。カカオマスやカカオニブから分
離したココアバターなどの油脂成分は、固形分を取り除
いた後冷却して、油脂成分を固化させた後遠心分離、濾
過などの公知の方法で取り除いてもよい。カカオマス又
はカカオニブに加える抽出のための水の量は、好みの濃
度の抽出液となるように任意に定めればよいが、通常カ
カオニブ又はカカオマス10〜1重量部に対し水10〜
19重量部位とし、全量で20重量部とするのが良い。
なお、抽出するとき、水に乳化剤、リン酸重合物などの
カカオニブ内部への浸透性をよくしたり、水とカカオマ
スの混合しやすくしたりするための添加物やエチルアル
コール、プロピレングリコールなどの水溶性の有機溶媒
を加えると抽出効率がよくなる。
【0010】なお、抽出に先立ち、又は抽出と同時にカ
カオマス又はカカオニブに酵素を加えて処理すると、抽
出液の乾燥固形分の量が多くなり、濃厚な抽出液を得る
ことができる。酵素処理は、カカオマス又はカカオニブ
に湯水を加え、要すれば80℃以上に加熱して付着して
いる雑菌を滅菌すると同時に、澱粉の糊化を行った後グ
ルコアミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、リパー
ゼ、セルラーゼ、細胞壁分解酵素などの酵素から目的に
応じ1種又は2種以上選択した酵素を加えることにより
行うことができる。すなわち、カカオマス又はカカオニ
ブを処理する酵素は、表1にもみられるように、酵素の
種類により抽出液に特徴ある風味を与えることができる
ので、所望によりに目的の風味となる酵素で処理するよ
うにする。なお、複数の酵素を用いる場合、それぞれの
酵素を同時に作用させてもよいが、別々に作用させても
よい。ここに用いる酵素として、例えば天野製薬(株)
のアミラーゼA、プロテアーゼA「アマノ」、パパイ
ン、リパーゼA「アマノ」、セルラーゼA「アマノ」の
ような食品に使用可能な市販の酵素が利用できる。ま
た、酵素を作用するときの温度は、使用する酵素に応じ
最も適した条件で処理するようにするが、雑菌の繁殖な
どを防ぐために45℃以上で処理するのが望ましい。な
お、酵素処理時間は、3〜4時間でよい。なお、抽出液
は、必要に応じ加熱などの処理をして酵素を不活性化す
る。
【0011】次いで、このようにして得たカカオマス又
はカカオニブの抽出液にココア粉を溶解分散させる。カ
カオマス又はカカオニブ抽出液にココア粉を溶解分散す
るには、従来のココア飲料を製造するときと同様に処理
して行い、使用するココア粉の量も好みにより定めれば
よいが、通常従来の二分の一以下の量で十分である。す
なわち、従来のココア飲料は、飲料100g当たり0.
5〜10g前後のココア粉を用いていたが、カカオマス
又はカカオニブの抽出液を用いることにより、ココア粉
の使用量を飲料100g当たり0.5〜5g、好ましく
は0.5〜4gとすることができる。なお、ココア飲料
には、好みにより砂糖などの甘味料、脱脂粉乳などの乳
製品、バニラなどの着香料、食塩などの調味料を、また
必要によりpH調整剤、安定剤、酸化防止剤、乳化剤な
ど従来のココア飲料に添加している添加成分を用いるよ
うにする。
【0012】このようにして得たチョコレート飲料は、
ココアバター成分を多く含んだカカオマス又はカカオニ
ブからの抽出液を用いているため、チョコレート様のコ
クのある芳醇な風味をした大変好ましい味覚の飲料とな
った。しかも、使用するココア粉の量が従来のココア飲
料に比べて少なくできるため、飲んだときにのどにドロ
ッと感じる重いのどこし感がなく、サラッとした軽快な
のみ心地の飲み易い飲料となった。
【0013】
【実施例】
実施例1 細かく砕いたカカオニブ200部(重量部、以下同じ)を
2000部の水に加え撹拌しながら80℃にて1時間保
持した後、70℃に冷してからグルコアミラーゼ(Baci
llas subtillis系)を0.6部加え、3時間反応させ
た。反応終了後100℃に30分間加熱して酵素を失活
させ、篩に通してカカオニブを除き、次いで10℃まで
冷してカカオニブから分離抽出した脂肪成分を固化させ
た後遠心分離器にて固形分を除去してカカオニブの抽出
液を得た。このカカオニブの抽出液1000部に、ココ
ア粉40部、及び砂糖80部、全脂粉乳10部、食塩
1.5部、乳化剤(シュガーエステル)2部を加え、常
法に従って、加温しながら混合溶解後、缶に充填し、密
封してからレトルト殺菌処理を行って、チョコレート飲
料を得た。このチョコレート飲料は、従来のココア飲料
に比べ、チョコレートの豊潤な風味を持っているのに飲
んだときサラッとした軽い飲み心地がした。
【0014】実施例2 細かく砕いたカカオマス200部を1000部の水に加
え強く撹拌しながら80℃にて1時間保持した後、60
℃に冷してからセルラーゼA「アマノ」を0.6部加
え、3時間反応させた。反応終了後100℃に30分間
加熱して酵素を失活させ、10℃に冷してカカオマスを
固化させてから遠心分離にて固形分を除去してカカオマ
スの抽出液を得た。このカカオマスの抽出液1000部
に、ココア粉20部、及び砂糖80部、全脂粉乳10
部、食塩1.5部、乳化剤(シュガーエステル)2部を
加え、常法に従って、加温しながら混合溶解後、缶に充
填し、密封してからレトルト殺菌処理を行って、チョコ
レート飲料を得た。このチョコレート飲料は、従来のコ
コア飲料に比べ、チョコレートの豊潤な風味を持ってい
るのに飲んだときサラッとした軽い飲み心地がした。
【0015】実施例3 実施例1と同様に、細かく砕いたカカオニブ200部に
水2000部を加え撹拌しながら80℃にて1時間保持
した後、50〜70℃に冷してから表1に記載の酵素を
加え、3時間反応させた後100℃に30分間加熱して
から篩に通してカカオニブを除き、次いで10℃に冷却
してカカオニブからの脂肪成分を固化してから遠心分離
器にて固形分を除去してカカオニブの抽出液を得た。各
抽出液の抽出率(固形分含量)はいずれも10%以上で
あった。なお、比較例は酵素を加えずに同様に処理した
カカオニブの抽出液であり、このものの抽出率は6.2
%であった。
【0016】
【表1】
【0017】なお、各抽出液の1000部にココア粉3
0部、砂糖85部、全脂粉乳10部、食塩1.5部、乳
化剤(シュガーエステル)2部を加え、実施例1と同様
に処理してそれぞれの抽出液を用いたチョコレート飲料
を得た。これらのチョコレート飲料は、従来のココア飲
料に比べ、チョコレートの豊潤な風味を持っているのに
飲んだときサラッとした軽い飲み心地がする、軽い飲み
口のチョコレート飲料となった。なお、アミラーゼ処理
した抽出液を用いたチョコレート飲料は濃厚なチョコレ
ートの風味がした。また、セルラーゼ処理した抽出液を
用いたチョコレート飲料は、ビター感が強く、リパーゼ
及びプロテアーゼで処理した抽出液を用いたチョコレー
ト飲料は、いずれも軽い飲み口が強く感じ、抽出液を得
るとき用いる酵素の種類により特徴あるチョコレート飲
料となった。なお、酵素処理せずに抽出した比較例の抽
出液を用いたチョコレート飲料は、ココアの風味が弱
く、チョコレートの風味もほとんど感じられなかった。
【0018】また、各抽出液から香気成分の相対量をガ
スクロマト法で測定した結果、表2に示すように、酵素
処理を行わずに抽出した未処理の抽出液に比べ、多く、
好ましい香気が強くなった。
【0019】
【表2】
【0020】測定は、各抽出液200gを500mlの
上流エーテルで液−液抽出し、エーテル抽出液を濃縮
し、これを昇華管によるトッピングを行い、再濃縮して
からガスクロマト分析を行った。ガスクロマトの条件
は、DB−WAXカラムを用い、60から毎分2℃の速
度で225℃まで昇温して測定し、内部標準として加え
たヘキサナールのピーク面積との比から香気成分の量を
求めた。なお、未処理は、加熱して失活させた酵素を用
い、同様に処理して求めたものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ココア飲料を製造する際にココア粉を溶
    解分散する湯水に代わり、カカオマス又はカカオニブに
    水を加えて抽出した抽出液を用いることを特徴とするチ
    ョコレート飲料の製造法。
  2. 【請求項2】 カカオマス又はカカオニブに水を加えて
    抽出するとき、酵素で処理する請求項1に記載のチョコ
    レート飲料の製造法。
  3. 【請求項3】 酵素での処理が、グルコアミラーゼ、ペ
    クチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、細
    胞壁分解酵素から目的に応じ1種又は2種以上選択した
    酵素で処理することである請求項2に記載のチョコレー
    ト飲料の製造法。
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