WO2018155628A1 - カカオ酵素処理物の製造方法 - Google Patents

カカオ酵素処理物の製造方法 Download PDF

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Abstract

カカオ風味を増強させるカカオ酵素処理物の製造法を提供することを目的とする。 ペクチンメチルエステラーゼ活性またはペクチン液化力活性を有するペクチナーゼをカカオ原料に作用させることで、カカオ風味を増強したカカオ酵素処理物を得ることができる。

Description

カカオ酵素処理物の製造方法
 本発明は、カカオ酵素処理物の製造方法に関する。
 カカオ豆はチョコレートやココア等の原料として使用されている。カカオ豆の風味は産地での発酵や乾燥及びその後の原料加工工程によって形成される。これらの過程で形成される風味等の品質はカカオ豆の品種、産地、製造工程によって異なる。
 一般的に低品質に分類されるカカオ豆を使用して製造したチョコレートやココアは、本来の望ましい風味であるカカオ風味が弱く、不快な雑味が強く、低品質な製品となってしまう。
 中南米で栽培されるクリオロ種は独特で良好な香りを有していて珍重されているが、病害虫に非常に弱く、栽培量も少ないため希少価値が高く高価である。
 このように、産地によりカカオ豆の風味の傾向は異なり、風味の質も悪いものがあることから、酵素を使用して改善する検討がされてきている。
 例えば、カカオ原料にプロテアーゼを作用させて旨味の強い酵素処理物を製造する方法が提案されている(特許文献1)。また、酵素処理後に乳酸菌と酵母で発酵させることで独特の発酵風味を有するカカオ発酵処理物を製造する方法が提案されている(特許文献2)。
 また、カカオ原料にポリフェノールオキシダーゼを作用させることでポリフェノール含量の多いカカオ原料及びカカオマスの収斂味を低減させる方法が提案されている(特許文献3)。
 また、グルコアミラーゼ等の酵素を作用させ、カカオの抽出液の乾燥固形分の量を増やして、その抽出液にココア粉を溶解させることでチョコレート飲料の風味を強くする方法が提案されている(特許文献4)。
特開2007-43931号公報 特開2010-51250号公報 特開平4-126037号公報 特開平7-79749号公報
 しかし、プロテアーゼ処理する特許文献1の技術は旨味の増強を目的としている。また特許文献2の技術では発酵風味の増強を目的としている。これらのプロテアーゼ処理する技術ではアミノ酸等の増加によって苦味等の他の風味が強くなるという問題があった。また、ポリフェノールオキシダーゼ処理する特許文献3の技術ではカカオ原料のカカオ風味が低減するという問題があった。また、特許文献4の技術はチョコレート飲料用の技術である上、使用するカカオ原料を増やさなければならないという問題があった。
 このように、従来技術ではカカオの風味について十分に満足できるものが得られておらず、更に改善する余地がある。
 本発明の目的はカカオ風味を増強したカカオ酵素処理物の製造法を提供することである。
 本発明者らは上記課題を解決するため種々検討を行った。その結果、驚くべきことに通常物性改良に用いられるペクチンメチルエステラーゼ活性またはペクチン液化力活性を有するペクチナーゼをカカオ原料に作用させることで、カカオ風味を増強したカカオ酵素処理物ができることを見出し、本発明を完成させた。
 すなわち本発明は、
(1)カカオ原料にペクチナーゼを作用させることを特徴とするカカオ酵素処理物の製造方法、
(2)ペクチナーゼがペクチンメチルエステラーゼ活性を有するものである、(1)記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(3)ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチンメチルエステラーゼ活性が0.00001unit以上で作用させることを特徴とする、(2)記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(4)ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチンメチルエステラーゼ活性が0.0001unit以上で作用させることを特徴とする、(2)記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(5)ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼをpH3~6で作用させる、(2)~(4)何れか1つに記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(6)カカオ原料にペクチナーゼを作用させることによりカカオ酵素処理物を製造し、該カカオ酵素処理物を配合原料として用いることを特徴とするチョコレート類の製造方法、
(7)ペクチナーゼがペクチンメチルエステラーゼ活性を有するものである、(6)記載のチョコレート類の製造方法、
(8)ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチンメチルエステラーゼ活性が0.00001unit以上で作用させる、(7)記載のチョコレート類の製造方法、
(9)ペクチナーゼがペクチン液化力活性を有するものである、(1)記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(10)ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチン液化力活性が0.0001unit以上で作用させることを特徴とする、(9)記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(11)ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチン液化力活性が0.001unit以上で作用させることを特徴とする、(9)記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(12)ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼをpH3~6で作用させる、(9)~(11)何れか1つに記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(13)ペクチナーゼがペクチン液化力活性を有するものである、(6)記載のチョコレート類の製造方法、
(14)ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチン液化力活性が0.0001unit以上で作用させる、(13)記載のチョコレート類の製造方法、
である。
また、換言すれば本発明は、
(15)カカオ原料にペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを作用させることを特徴とするカカオ酵素処理物の製造方法、
(16)ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチンメチルエステラーゼ活性が0.00001unit以上で作用させることを特徴とする、(15)記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(17)ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチンメチルエステラーゼ活性が0.0001unit以上で作用させることを特徴とする、(15)記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(18)ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼをpH3~6で作用させる、(15)~(17)何れか1つに記載のカカオ酵素処理物の製造方法。
(19)カカオ原料にペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを作用させることによりカカオ酵素処理物を製造し、該カカオ酵素処理物を配合原料として用いることを特徴とするチョコレート類の製造方法、
(20)カカオ原料にペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを作用させることを特徴とするカカオ酵素処理物の製造方法、
(21)ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチン液化力活性が0.0001unit以上で作用させることを特徴とする、(20)記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(22)ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチン液化力活性が0.001unit以上で作用させることを特徴とする、(20)記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(23)ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼをpH3~6で作用させる、(20)~(22)何れか1つに記載のカカオ酵素処理物の製造方法、
(24)カカオ原料にペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを作用させることによりカカオ酵素処理物を製造し、該カカオ酵素処理物を配合原料として用いることを特徴とするチョコレート類の製造方法、
である。
 本発明によれば、従来のカカオ原料に比べ、カカオ風味を増強したカカオ酵素処理物が得られる。
(カカオ原料)
 本発明において「カカオ原料」とは通常のチョコレート類に使用するカカオ豆、カカオニブ、カカオマス、ココアパウダー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物として使用することができる。
 また、本発明において、「カカオ原料」は焙焼、又は非焙焼の、カカオ豆、ニブ(天然、未加工、乾燥、焙焼、未発酵、及び/又はアルカリ化)、殻、胚芽、子葉又はその組合せを含む。本発明において、「カカオマス」とは、カカオ豆又はその一部を粉砕して得られるカカオ粉末とカカオ脂との混合物を含む。
(カカオ酵素処理物)
 本発明のカカオ酵素処理物はカカオ原料に、ペクチナーゼを作用させたものである。酵素反応させることにより得られたカカオ酵素処理物はカカオ風味が向上する。さらに、本発明のカカオ酵素処理物を用いてチョコレート類を製造した場合、得られたチョコレート類はカカオ風味が増強され、良好なものとなる。
(ペクチナーゼ)
 ペクチナーゼは高等植物の細胞壁等に含まれているペクチン質を分解する酵素群の総称である。本発明で使用し得るペクチナーゼとしては、ペクチンメチルエステラーゼ活性またはペクチン液化力活性を有するものであれば、特に制限はされない。
 このような酵素としては、例えば、ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するものとして、スミチームPME(新日本化学社製)、RAPIDASE FP SUPER(DSM社製)等が挙げられる。
 また、ペクチン液化力活性を有するものとして、例えば、スミチームAP2(新日本化学社製)、スクラーゼS(三菱化学フーズ社製)、可溶性ペクチナーゼT(エイチビィアイ社製)等が挙げられる。
 本発明においてペクチナーゼは1種または2種以上を併用して使用することができる。
(カカオ酵素処理物の製造)
 本発明のカカオ酵素処理物は、カカオ原料にペクチンメチルエステラーゼ活性またはペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを作用させるのであればいかなる方法でも製造することができる。
 ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを用いた製造例を挙げると次の通りである。
 カカオ豆を概ね60~100℃、20~30分間焙焼した後粉砕し、カカオシェルとカカオニブに分別し、カカオニブに対して、ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを、粉体または必要に応じて水溶液にして添加し、概ね40~50℃、2~8時間撹拌させながら酵素反応を行い、概ね70~90℃、3~4時間加熱して酵素を失活させると共にカカオニブを乾燥させ、カカオ酵素処理物を得る。
 また本発明においては、ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼの添加量はペクチンメチルエステラーゼ活性がカカオ原料1kg当たり0.00001unit以上であることが好ましい。より好ましくは0.0001unit以上である。
 なお、本発明でいうペクチンメチルエステラーゼ活性の1unitとはpH4.5において1分間にペクチンのメチルエステルを分解して1μmolのカルボキシル基を生成する酵素量を表している。
 また酵素反応を好ましくはpH3~6、より好ましくはpH3.5~5.5で行う。
 また、ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを用いた製造例を挙げると次の通りである。
 カカオ豆を概ね60~100℃、20~30分間焙焼した後粉砕し、カカオシェルとカカオニブに分別し、カカオニブに対して、ペクチナーゼを、粉体または必要に応じて水溶液にして添加し、概ね40~50℃、2~8時間撹拌させながら酵素反応を行い、概ね70~90℃、3~4時間加熱して酵素を失活させると共にカカオニブを乾燥させ、カカオ酵素処理物を得る。
 また本発明においては、ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼの添加量はペクチン液化力活性がカカオ原料1kg当たり0.0001unit以上であることが好ましい。より好ましくは0.001unit以上である。
 なお、本発明でいうペクチン液化力活性の1unitとは反応混合液1ml当たりの粘度を60秒間に半減させる酵素量を表している。反応液は基質液10ml(ペクチン0.145g)、0.5M酢酸バッファー(pH4.0)1ml、酵素を溶解したサンプル液1mlを混合し、粘度はキャノンフェンスケ型粘度計で測定する。
 また酵素反応を好ましくはpH3~6、より好ましくはpH3.5~5.5で行う。
 上記のようにして得られた酵素処理物はチョコレート類の製造等に利用できる。本発明におけるチョコレート類とは、規約(「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」)ないし法規上の制約を受けるものではなく、ココアバター以外の動植物油脂を使用した各種チョコレート類および油脂加工食品、チョコレート製品を包含する。
 前記酵素処理物を、概ね130~140℃、35~45分間焙焼し磨砕してカカオマスを調製する。カカオマス、砂糖、植物油脂等を配合して常法によりチョコレート類を得ることができる。
 本発明の製造方法で得られたカカオ酵素処理物を用いて製造されたチョコレート類はカカオ風味が増強された良好な風味のものになる。
 以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%は重量基準を意味する。
 まず、ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを用いた実施例について説明する。
(実施例1)
 カカオ豆を100℃、30分間焙焼した後粉砕し、カカオシェルとカカオニブに分別した。次に、カカオニブ600gに対して、スミチームPME(新日本化学社製)600mgを含有した水溶液450gを加えて、pH3.5~5.5で50℃で8時間撹拌反応を行い、80℃で3時間加熱して酵素を失活、乾燥させ、カカオ酵素処理物を得た。次に、カカオ酵素処理物を135℃、35分間焙焼し、磨砕してカカオマスを得た。
 また、カカオマス50%、砂糖38.8%、植物油脂11%、レシチン0.2%を配合して常法に従いチョコレートを得た。
(実施例2)
 実施例1において、酵素量を6ngにする以外は実施例1と同様に処理してカカオ酵素処理物を得た。カカオ酵素処理物を原料とし、実施例1と同様にしてカカオマスとチョコレートを得た。
(実施例3)
実施例1において、酵素量を60ngにする以外は実施例1と同様に処理してカカオ酵素処理物を得た。カカオ酵素処理物を原料とし、実施例1と同様にしてカカオマスとチョコレートを得た。
(実施例4)
実施例1において、酵素量を30gにする以外は実施例1と同様に処理してカカオ酵素処理物を得た。カカオ酵素処理物を原料とし、実施例1と同様にしてカカオマスとチョコレートを得た。
(比較例1)
 実施例1において、酵素を使用しない以外は実施例1と同様に処理してカカオ酵素未処理物を得た。カカオ酵素未処理物を原料とし、実施例1と同様にしてカカオマスとチョコレートを得た。
(比較例2)
 実施例1において、酵素量を0.6ngにする以外は実施例1と同様に処理してカカオ酵素処理物を得た。カカオ酵素処理物を原料とし、実施例1と同様にしてカカオマスとチョコレートを得た。
(風味評価)
 実施例及び比較例で得られたカカオマス及びチョコレートについて風味評価を行った。
 カカオ原料を酵素処理しない従来のカカオ原料から得られるカカオマス(比較例1)のカカオ風味の評価を3点とし、下記の基準で1~5点の5段階で評価した。風味評価は熟練したパネル4名で行い、合意により風味評価点を決定した。カカオ風味の風味評価点が4点以上の場合、合格と判断した。

(カカオ風味)
5点:比較例1よりカカオ風味が非常に強い。
4点:比較例1よりカカオ風味が強い。
3点:比較例1とカカオ風味が同等である。
2点:比較例1よりカカオ風味が弱い。
1点:比較例1よりカカオ風味が非常に弱い。
(表1)カカオマスの評価結果
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000001
 実施例1~4のカカオマスは、比較例1のカカオマスよりもカカオ風味が増強され、風味が良好だった。比較例2のカカオマスは比較例1と同程度の風味で、ペクチナーゼの酵素活性が少なすぎるとカカオ風味が増強されない結果となった。
(チョコレートの評価結果)
 また、カカオマスから作製したチョコレートの風味評価においても、カカオマスと同様の結果が得られ、実施例1~4のチョコレートの風味は合格であった。一方、比較例1と比較例2のチョコレートの風味は不合格であった。
 次に、ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを用いた実施例について説明する。
(実施例5)
 カカオ豆を100℃、30分間焙焼した後粉砕し、カカオシェルとカカオニブに分別した。次に、カカオニブ600gに対して、スミチームAP2(新日本化学社製)500mgを含有した水溶液450gを加えて、pH3.5~5.5で50℃で8時間撹拌反応を行い、80℃で3時間加熱して酵素を失活、乾燥させ、カカオ酵素処理物を得た。次に、カカオ酵素処理物を135℃、35分間焙焼し、磨砕してカカオマスを得た。
 また、カカオマス50%、砂糖38.8%、植物油脂11%、レシチン0.2%を配合して常法に従いチョコレートを得た。
(実施例6)
 実施例5において、スミチームPX(新日本化学社製)を使用する以外は実施例5と同様に処理してカカオ酵素処理物を得た。カカオ酵素処理物を原料とし、実施例5と同様にしてカカオマスとチョコレートを得た。
(比較例3)
 実施例5において、酵素を使用しない以外は実施例5と同様に処理してカカオ酵素未処理物を得た。カカオ酵素未処理物を原料とし、実施例5と同様にしてカカオマスとチョコレートを得た。
(風味評価)
 実施例及び比較例で得られたカカオマス及びチョコレートについて風味評価を行った。
 カカオ原料を酵素処理しない従来のカカオ原料から得られるカカオマス(比較例3)のカカオ風味の評価を3点とし、下記の基準で1~5点の5段階で評価した。風味評価は熟練したパネル4名で行い、合意により風味評価点を決定した。カカオ風味の風味評価点が4点以上の場合、合格と判断した。

(カカオ風味)
5点:比較例3よりカカオ風味が非常に強い。
4点:比較例3よりカカオ風味が強い。
3点:比較例3とカカオ風味が同等である。
2点:比較例3よりカカオ風味が弱い。
1点:比較例3よりカカオ風味が非常に弱い。
(表2)カカオマスの評価結果
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000002
 実施例5、6のカカオマスは、比較例3のカカオマスよりもカカオ風味が増強され、風味が良好だった。
(チョコレートの評価結果)
 また、カカオマスから作製したチョコレートの風味評価においても、カカオマスと同様の結果が得られ、実施例5、6のチョコレートの風味は合格であった。一方、比較例3のチョコレートの風味は不合格であった。
(実施例7)
 実施例5において、酵素量を5ngにする以外は実施例5と同様に処理してカカオ酵素処理物を得た。カカオ酵素処理物を原料とし、実施例5と同様にしてカカオマスとチョコレートを得た。
(実施例8)
実施例5において、酵素量を50ngにする以外は実施例5と同様に処理してカカオ酵素処理物を得た。カカオ酵素処理物を原料とし、実施例5と同様にしてカカオマスとチョコレートを得た。
(実施例9)
実施例5において、酵素量を25gにする以外は実施例5と同様に処理してカカオ酵素処理物を得た。カカオ酵素処理物を原料とし、実施例5と同様にしてカカオマスとチョコレートを得た。
(比較例4)
 実施例5において、酵素量を0.5ngにする以外は実施例5と同様に処理してカカオ酵素処理物を得た。カカオ酵素処理物を原料とし、実施例5と同様にしてカカオマスとチョコレートを得た。
(表3)カカオマスの評価結果
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000003
 実施例7~9のカカオマスは、比較例3のカカオマスよりもカカオ風味が増強され、風味が良好だった。比較例4のカカオマスは比較例3と同程度の風味で、ペクチナーゼのペクチン液化力酵素活性が少なすぎるとカカオ風味が増強されない結果となった。
(チョコレートの評価結果)
 また、カカオマスから作製したチョコレートの風味評価においても、カカオマスと同様の結果が得られ、実施例7~9のチョコレートの風味は合格であった。一方、比較例4のチョコレートの風味は不合格であった。

Claims (14)

  1. カカオ原料にペクチナーゼを作用させることを特徴とするカカオ酵素処理物の製造方法。
  2. ペクチナーゼがペクチンメチルエステラーゼ活性を有するものである、請求項1記載のカカオ酵素処理物の製造方法。
  3. ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチンメチルエステラーゼ活性が0.00001unit以上で作用させることを特徴とする、請求項2記載のカカオ酵素処理物の製造方法。
  4. ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチンメチルエステラーゼ活性が0.0001unit以上で作用させることを特徴とする、請求項2記載のカカオ酵素処理物の製造方法。
  5. ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼをpH3~6で作用させる、請求項2~4何れか1項記載のカカオ酵素処理物の製造方法。
  6. カカオ原料にペクチナーゼを作用させることによりカカオ酵素処理物を製造し、該カカオ酵素処理物を配合原料として用いることを特徴とするチョコレート類の製造方法。
  7. ペクチナーゼがペクチンメチルエステラーゼ活性を有するものである、請求項6記載のチョコレート類の製造方法。
  8. ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチンメチルエステラーゼ活性が0.00001unit以上で作用させる、請求項7記載のチョコレート類の製造方法。
  9. ペクチナーゼがペクチン液化力活性を有するものである、請求項1記載のカカオ酵素処理物の製造方法。
  10. ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチン液化力活性が0.0001unit以上で作用させることを特徴とする、請求項9記載のカカオ酵素処理物の製造方法。
  11. ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチン液化力活性が0.001unit以上で作用させることを特徴とする、請求項9記載のカカオ酵素処理物の製造方法。
  12. ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼをpH3~6で作用させる、請求項9~11何れか1項記載のカカオ酵素処理物の製造方法。
  13. ペクチナーゼがペクチン液化力活性を有するものである、請求項6記載のチョコレート類の製造方法。
  14. ペクチン液化力活性を有するペクチナーゼを、カカオ原料1kgに対して、ペクチン液化力活性が0.0001unit以上で作用させる、請求項13記載のチョコレート類の製造方法。
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