JPH0779641A - 接木ロボット - Google Patents

接木ロボット

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JPH0779641A
JPH0779641A JP5231600A JP23160093A JPH0779641A JP H0779641 A JPH0779641 A JP H0779641A JP 5231600 A JP5231600 A JP 5231600A JP 23160093 A JP23160093 A JP 23160093A JP H0779641 A JPH0779641 A JP H0779641A
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Haruki Otsuki
晴樹 大月
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Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 台木と穂木とを接合する前に行う穂木の切断
を容易に行えるような穂木供給装置を備えた接木ロボッ
トを提供すること。 【構成】 穂木搬送装置で把持された穂木苗の胚軸を切
断装置により切断する時に、穂木の子葉または本葉が切
断刃に当たる位置にあると胚軸の切断に失敗することが
ある。それを防ぐためには、穂木胚軸の切断時に切断刃
の軌跡の外側に子葉または本葉があるようにすれば良
い。そのため、予め、穂木苗の供給板14aへのセット
時に穂木苗の胚軸の方向を鉛直方向に対して傾けてセッ
トしておき、この傾いた状態の穂木苗をそのままに姿勢
を保って穂木搬送装置に把持させて、切断位置に搬送す
る。こうして、たとえば、スイカ、ナス、トマトまたは
キュウリ等の接木の場合に、子葉または本葉を傷つけ
ず、しかも胚軸の切断の障害になることを防ぐことがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は台木苗と穂木苗を自動的
に供給・接木する接木苗製造用ロボットに関し、特にそ
の穂木苗の供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の接木苗製造用のロボットは例えば
実開平3−27933号公報、実開平4−49935号
公報等に開示されているような装置が知られている。前
記公報記載の接木ロボットは、円盤台の外周部に放射状
に複数個設けられた苗支持孔に予め配置された台木苗お
よび同一構造の円盤台に配置された穂木苗をそれぞれ3
60度回転させながら、該円盤台に隣接して、やはり3
60度の回転をする台木処理円盤部および穂木処理円盤
部にそれぞれ突出して設けられる固定ハンドに一つずつ
各苗を受け渡し、各苗処理円盤部がそれぞれ所定角度回
転した位置で、切断装置で台木苗および穂木苗をそれぞ
れ切断し、これらの苗をさらに所定角度回転させて台木
と穂木が接合できる位置に回転搬送させ、台木と穂木を
クリップで接合する装置である。
【0003】本発明者らは先に、前記従来の接木ロボッ
トを改良して、使いがっての良い接木ロボットについて
発明して一連の特許出願をした(特願平4−16151
2号、特願平5−6753号等)。前記本発明者らの開
発した前記接木ロボットは、台木苗または穂木苗を各々
の供給装置に人手により供給し、この供給装置上の苗を
各々の搬送装置で切断位置に搬送する。切断位置では各
々の切断装置で台木は子葉一枚を残して、胚軸と根部を
切り捨て、穂木は胚軸の中間部から下を切り捨て、それ
らを接合部で接合するものである。
【0004】上記接木ロボットにおいて、一般に台木と
穂木の接合時には台木子葉と穂木子葉は直交するように
して接木する。キュウリやメロン等のウリ科植物でも同
様に台木子葉と穂木子葉は直交させて接木する。しか
し、同じウリ科のスイカの場合には、その穂木は断面が
楕円形状の胚軸を持ち、しかも楕円形の胚軸の短径側に
子葉が展開しているため、長径側に切断カッタを入れた
場合は切断面積が小さく、台木との合せが不確実とな
る。そこで、本発明は前記本発明者らの開発した前記接
木ロボットを改良して、スイカ台木の子葉とスイカ穂木
の子葉を同一方向に向くように台木苗と穂木苗のセット
方向誘導部材を台木と穂木の各々の供給装置に設けた接
木ロボットを開発した(特願平5−176471号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、スイカの穂木
子葉の向きを台木子葉と同じ方向に供給する場合、子葉
が大きくなると、穂木胚軸を切断する時にカッタ刃によ
って子葉を傷つける場合がある。また、ナス、トマトの
場合は、一般的な接木苗と同様に、接合時に穂木子葉の
向きと台木子葉の向きは直交するように、各々の供給装
置に台木苗と穂木苗を供給するが、ナス、トマトの穂木
も本葉が2〜4枚成育した時に接ぎ木するので本葉が切
断時にカッタの邪魔になる場合がある。キュウリの場合
も同様に、本葉が大きくなった穂木を切断する場合もあ
るので、やはり本葉がカッタの邪魔になる場合がある。
そこで、本発明は前記本発明者らの開発した前記接木ロ
ボットを改良して、接合前に行う穂木の切断を容易に行
えるような穂木苗供給装置を備えた接木ロボットを提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は次の
構成によって達成される。すなわち、台木苗供給装置に
配置される台木苗および穂木苗供給装置に配置される穂
木苗を各々の苗の搬送装置で、各々の切断位置まで搬送
し、それぞれ切断した台木苗と穂木苗をさらに各々の搬
送装置で接合位置まで搬送して接合する接木ロボットに
おいて、穂木苗の切断時における穂木搬送装置の穂木苗
の把持が穂木苗の子葉または本葉が切断装置の切断刃の
切断軌跡外部にあるように、予め穂木苗が鉛直方向から
傾いてセットされるような構造を有する穂木苗供給装置
を備えた接木ロボットである。
【0007】
【作用】穂木搬送装置で把持された穂木苗の胚軸を切断
装置により切断する時に、穂木の子葉または本葉が切断
刃に当たる位置にあると胚軸の切断に失敗することがあ
る。それを防ぐためには、穂木胚軸の切断時に切断刃の
軌跡の外側に子葉または本葉があるようにすれば良い。
そのため、予め、穂木苗の供給装置へのセット時に穂木
苗の胚軸の方向を鉛直方向に対して傾けてセットしてお
き、この傾いた状態の穂木苗をそのままに姿勢を保って
穂木搬送装置に把持させて、切断位置に搬送する。こう
して、たとえば、スイカ、ナス、トマトまたはキュウリ
等の接木の場合に、子葉または本葉が胚軸の切断時に傷
つくことなく、また切断の障害になることを防ぐことが
できる。
【0008】
【実施例】本発明の実施例を以下、図面と共に説明す
る。本実施例の接木ロボットの上面図を図1(天板を外
した図)に、その部分(接木部)拡大図を図2に、前面
図を図3に、側面図を図4にそれぞれ示す。接木ロボッ
トはクリップフィーダ部1と接木部2からなり、接木部
2は台木部3と穂木部5および接合部6からなってい
る。クリップフィーダ部1のクリップボウル7外周から
クリップガイドレール9を設け、その先端部に接木部2
を隣接させる。また、台木と穂木の各々を把持、搬送す
るためのそれぞれのロボットマニュピュレータ10、1
1および苗供給板13、14を接木部2の天板15(図
3)に懸架している。一枚の天板15に全てのムーブメ
ントを組み付けたため、寸法精度がよくなる。また、天
板15は接木ロボットのカバーと強度部材の役割を果た
しており、台木と穂木の切断カスの飛散を防ぐ。図1の
接木部2部分の拡大図を図2に示すが、台木部3は台木
苗供給装置17と台木搬送装置18および台木切断装置
19からなり、また、穂木部5も同様に穂木苗供給装置
21、穂木搬送装置22、穂木切断装置23からなって
いる。
【0009】台木苗供給装置17に人手により供給され
る台木苗は図1の矢印(イ)の方向に回転する台木搬送
装置18により台木切断装置19の位置(切断位置)ま
で搬送され、ここで、切断装置19が回転して(図4参
照)その切断刃により台木苗の子葉を一枚残して、その
他の子葉部分は切り落とされる。台木切断装置19は先
端に切断刃を取り付けた回転式カッターであり、図1、
図4の矢印(ハ)方向に回転する。切断されて子葉一枚
残した台木は矢印(ロ)方向に搬送され、接木部2で接
合部6の接合装置25(図2、図3参照)で穂木と接合
される。また、同様に人手により穂木苗供給装置21に
供給された穂木苗は穂木搬送装置22により矢印(ニ)
方向(図1参照)に搬送され、切断位置で矢印(ヘ)方
向(図1、図4参照)に回転する穂木切断装置23によ
りその胚軸部分より上の組織を残して、一部胚軸部と根
部が切り落とされる。そして、子葉部分を持つ穂木は矢
印(ホ)方向に搬送され、台木と接木部2において、ク
リップフィーダ部1から供給されるクリップで接合さ
れ、接木操作が完了し、接木部2の下方に落下・回収さ
れる。
【0010】次いで、台木苗供給装置17と搬送装置1
8の説明をする。 まず、台木苗供給装置17について
図2、図3により説明する。台木苗供給板13は台木苗
胚軸径よりも大きな受け溝13aと対向する方向に開い
ている両子葉の裏面に接触する角度を持って台木を受け
取る構造からなる保持部13bからなっている。子葉裏
面に接触する角度を持って保持部13bが設けられてい
るので、台木苗を供給する時に子葉の向きを正確にセッ
トしなくても略同一方向に苗を供給板13上に載せる事
ができる。なお、図3に略図を示すように、供給板13
の受け溝13aの下部には台木苗を把持する一対のハン
ド13cおよび該ハンド13cのアクチュエータ(図示
せず)用のスイッチ13e、台木が受け溝13aに挿入
されると該スイッチ13e作動用のアクチュエータ13
fが設けられている。
【0011】台木苗供給板13にセットされた台木苗は
台木搬送装置18で把持されて、切断位置と接合位置に
順次搬送される。台木搬送装置18の詳細図を図5に示
す。図5(a)は上面図であり、図5(b)は側面図
(図5(a)は図5(b)のA−A線視図)である。台
木搬送装置18の台木搬送用回転アクチュエータ29は
天板15に支持され、該アクチュエータ29の下部には
台木搬送アーム支持体30が該アクチュエータ回転軸3
1を中心に回転自在に支持されている。台木搬送アーム
支持体30には、該支持体30に支持された台木搬送ア
ーム押出シリンダ33、該シリンダ33に固定された台
木搬送アーム34と該搬送アーム34先端の台木把持部
35(一対の台木胚軸ハンド37と一対の台木根固定ハ
ンド38と円筒ローラ41)が設けられている。前記両
ハンド37、38は台木搬送アーム34のボックス(図
示せず)内に設けられたエアシリンダにより台木を把持
するように開閉制御される。台木胚軸ハンド37は台木
の胚軸を傷つけないために該ハンド37内側はゴム製と
なっている。また、台木根固定ハンド38は台木根鉢4
3(図5(b)参照)の円筒状の側面を把持するような
湾曲板で出来ている。また、台木搬送アーム支持体30
には、穂木との接合時に前記円筒ローラ41を鉛直方向
に回転させ、台木子葉を持ち上げるための支持アーム4
5と台木子葉持ち上げ用回転アクチュエータ49が設け
られている。
【0012】台木苗供給板13上の台木苗のセット位置
まで押し出された台木搬送アーム34先端の台木胚軸ハ
ンド37のエアシリンダが作動して台木苗を把持する。
ハンド37の作動と同時に台木搬送アーム用回転アクチ
ュエータ29も作動して、前記ハンド37で把持した台
木苗を切断位置まで搬送する。また、穂木との接合時に
は図6に示すように、この円筒ローラ41を鉛直方向に
回転させ、台木に残す子葉を持ち上げ、クリップが台木
胚軸を把持できるようにする。台木胚軸ハンド37の根
元近傍を遮へいする遮へい板37aを胚軸ハンド37上
方に設け、接合位置で台木苗が穂木との接合に失敗し、
該ハンド37が台木苗を離しても接合に失敗した台木苗
が胚軸ハンド37の根元に食い込むことがなくなり、接
合に失敗した台木苗をスムーズに台木搬送装置部分から
排出する。また、図6に示すように、台木に残す子葉は
穂木との接合時には円筒ローラ41により持ち上げられ
るが、接合後も台木に残す子葉の持ち上げ状態を維持し
ておけば、接合に失敗した台木苗があっても、台木胚軸
ハンド37の根元に食い込むことはなくなる。なぜな
ら、接合タイミングの後には台木搬送アーム34を後退
させて、次の台木苗を把持搬送するための戻り搬送に移
り、台木苗の子葉が胚軸ハンド37の外方向に押された
状態で台木把持部35が移動するので接合に失敗した台
木苗が胚軸ハンド37から排出され易くなり持ち回りの
可能性が低くなるからである。
【0013】次に、穂木部について詳細に説明する。ま
ず、穂木苗供給装置21について説明する。穂木苗供給
装置21の正面図を図7に、図7のA−A’線から見た
図を図8(a)に、アクチュエータ支持板の下面図を図
8(b)に示す。本実施例の穂木苗供給装置21は穂木
苗の胚軸を鉛直方向より傾いた状態で受け取る構造にな
っている。このため、穂木苗を受け取る受け溝(図示せ
ず)を備えた穂木苗供給板14(穂木苗供給基板14a
と断面ヘ字状板材14bと固定ハンド14cからな
る。)は水平方向に対して所定の傾斜角をもって穂木苗
供給装置の支柱16に支持固定されている。この支柱1
6への穂木苗供給基板14aの支持は支柱16に摺動可
能な板50にボルト58等により締め付けられて固定さ
れるアクチュエータ支持板51を介して行われる。図示
のようにアクチュエータ支持板51のボルト穴52は長
穴であるので、長穴の範囲内でボルト等による締め付け
位置を変えることができ、ボルト58の回転により穂木
苗供給基板14aの水平方向の位置をある程度調整する
ことができる。穂木苗供給基板14aはアクチュエータ
53の上面に固定されている。この穂木苗供給基板14
aの一端部は、アクチュエータ53の下面側にあるアク
チュエータ支持板51の先端の穂木胚軸受け溝55(穂
木苗供給基板14aの図示していない穂木受け溝に対応
している)を有する平面に対して垂直方向に曲がった面
14a’を備え、また他方の端部は受け溝を有する平面
に対して鈍角を成す平面を有する部材14bである。面
14a’は後述のアクチュエータ53やセンサ63に、
ほこりが入ることまたは外乱光を防ぐ。
【0014】そして、部材14bの表面の一端には断面
逆へ字状の板材14cの一端部が固着される。この板材
14cは後述のように胚軸の固定ハンドとしての機能を
持つ。また、断面へ字状の板材14bの表面の他端部は
穂木苗供給装置21の水平方向移動調整装置59のナッ
ト60に固定されている。また、水平方向移動調整装置
59と共に垂直方向位置調整装置61の一端が支柱16
に摺動可能な板50に固定されているので、穂木苗供給
装置21の垂直方向と水平方向の位置の調整ができる。
なお、把持ハンド81の押出量は接合位置で台木との間
隔を調整した時点で決まるので、それに合わせて穂木苗
供給基板14aの水平方向を調整する。穂木の搬送装置
22の把持ハンド81の押出量を調整した後に、穂木苗
供給基板14aの水平方向の微調整をする。穂木苗供給
装置21の調整装置を用いて、微調整ができれば、正確
な穂木搬送装置22による穂木胚軸把持位置の調整が可
能となる。
【0015】また、穂木苗供給基板14aの下部にはア
クチュエータ53で作動する穂木苗の胚軸の把持用の可
動ハンド62とこの可動ハンド62に対向する位置に固
定ハンド14cを設けている。この固定ハンド14cの
代わりにアクチュエータ53で作動する可動ハンド(図
示せず)を設ける構成とすると一対の可動ハンドで穂木
の胚軸を挟むことかできる。前述のように穂木苗供給基
板14aとアクチュエータ支持板51の先端部には共に
胚軸受け用の受け溝(アクチュエータ支持板51の受け
溝55のみ図示)を設けている。そして、図示のように
人手により穂木胚軸を前記受け溝55等に供給した後、
アクチュエータ53を作動させて、可動ハンド62と固
定ハンド14cにより、胚軸を把持する。
【0016】このように穂木苗は鉛直方向に対して斜め
向きに供給基板14aに配置されるので、穂木搬送装置
22によっても斜め向きのまま、把持されてスイカは図
9(a)、トマトは図9(b)、キュウリは図9(c)
に示すように穂木切断装置23により胚軸が切断され
る。このとき、図10(a)に示すように、穂木搬送装
置22に斜め向きに把持されている穂木苗の胚軸は切断
時に穂木切断装置23のローラ122が胚軸を押して穂
木苗を鉛直方向に向けてから切断する。こうして例え
ば、スイカの穂木子葉の向きを台木子葉と同じ方向に供
給する場合、子葉が大きくても、苗を傾けて子葉を切断
刃117から遠ざけるようにして穂木胚軸の切断時に切
断刃117によって子葉が傷つくのを防ぐことができ
る。
【0017】また、ナス、トマトの穂木も本葉が2〜4
枚の時に接木するので本葉が切断刄117の邪魔になる
場合があるが、スイカの場合と同様に本方式で、それを
回避できる。キュウリの本葉が大きくなった穂木を供給
する場合も本葉が切断刃117の邪魔になる場合がある
が、本実施例のように、穂木を傾けて供給基板14aに
セットすることで、本葉の切損を防ぐことができる。さ
らに、穂木苗供給装置21は接木ロボット本体の正面か
ら見て右側(図3参照)にあるが、穂木苗供給者はこの
本体の正面から見て右側の接木ロボット本体側面に位置
して穂木苗を穂木苗供給基板14aにセットする作業を
するため、右利の人が穂木苗を供給する場合、穂木苗を
垂直に懸架しようとすると若干手首をねじらないといけ
ないため、供給しづらかったが、供給基板14aを図7
のように傾けることで手首の自然な角度と一致し、苗供
給がし易くなった。
【0018】また、図7の左側のハンドを固定ハンド1
4cとしたので、台木苗の胚軸の切断初めの上下位置
(図10(b)の台木苗のB点)に対して、穂木苗の切
断終りの上下位置(図10(a)の穂木苗のA点)が対
応するように接木ロボットが設計されているので、穂木
苗供給板14の固定ハンド14cが固定されていること
で、穂木切断終り位置(図10(a)の穂木苗のA点)
が確定し、常に台木切断面との相対位置が安定する。す
なわち、設計上、穂木のA点と台木のB点の高さが一致
するようになっているので、C面が常に一定の位置にな
るように穂木搬送装置22の把持ハンド81に苗を供給
してやることが必要であるが、穂木苗供給板14のC面
に該当する位置が、固定ハンド14cの面になってい
る。
【0019】また、穂木苗供給板14の固定ハンド14
cを水平に配置し、斜めに配置された可動ハンド62の
胚軸把持用の側面と平行となるように固定ハンド14c
の把持面に傾斜を付けた。これは、穂木苗供給基板14
aを傾斜させて配置させる場合、前記固定ハンド14c
を水平に配置しないで、可動ハンド62と同様に斜め向
きに配置すると、図11に示すように、水平方向に伸び
た穂木搬送装置22の把持ハンド81と穂木苗供給板の
可動ハンド62との間の長さLが長くなり、そのため穂
木の胚軸が長くなりがちとなる。しかし、本実施例のよ
うに、固定ハンド14cを水平に配置し、斜めに配置さ
れた可動ハンド62の胚軸把持用の側面と平行となるよ
うに固定ハンド14cの把持面に傾斜を付けることによ
り、例えば、ウリ科穂木など、風で接合面がはがれやす
い場合は、接合苗の育苗において穂木胚軸の従長を防ぐ
必要があるので、穂木苗を供給する時はなるべく胚軸長
を短くすることができ、育苗条件が少しでも有利にな
る。
【0020】また、穂木苗供給基板14aのアクチュエ
ータ53を作動させるための胚軸検出センサ63を非接
触式光電センサとし該供給基板14aの上面より下側に
設けた。これは、穂木の胚軸が細いものが多いため、接
触式リミットスイッチなどを胚軸検出センサ63として
使うとスイッチのバネ力で胚軸を押し返してしまうの
で、それを防ぐために、非接触式の胚軸検出センサ63
を用いて、柔らかい苗でも供給可能となるようにしたも
のである。また、穂木苗供給基板14aの下側に胚軸検
出センサ63を配置することでハウス内作業時などの外
光の影響を光電センサに与えずに済むことと、土、ほこ
りなどが胚軸検出センサ63面に付着して作業不良にな
るのを防ぐことができる。このような非接触式光電セン
サは台木苗の供給板13にアクチュエータで作動する胚
軸把持ハンドを設ける場合にも、該アクチュエータ作動
用の胚軸検出センサを台木苗供給板13の上面より下側
に設けてもよい。
【0021】穂木苗供給板14に支持された穂木苗は穂
木搬送装置22で把持されて、切断位置と接合位置に順
次搬送される。穂木搬送装置22の詳細図を図12に示
す。図12(a)は上面図であり、図12(b)は側面
図である。図12(a)は図12(b)のA−A線視図
である。穂木搬送装置22は穂木搬送用回転アクチュエ
ータ73と該アクチュエータ73の下部の穂木搬送アー
ム支持体75が該アクチュエータ回転軸76を中心に回
転自在に支持されている。穂木搬送アーム支持体75に
は、該支持体75に支持された穂木搬送アーム押出シリ
ンダ77、該シリンダ77により伸縮される穂木搬送ア
ーム79と該搬送アーム79先端には穂木把持部80を
構成する穂木子葉支えプレート81と穂木胚軸ハンド8
3が設けられている。
【0022】前記ハンド83は穂木搬送アーム79先端
に設けられたアクチュエータ89により穂木を把持する
ように開閉制御される。穂木子葉支えプレート81には
穂木子葉の裏面を載せる板状部分81aがある(スイカ
の場合は不要であるが、キュウリ、メロン等の場合に使
用する)。また、胚軸ハンド83の胚軸を把持する部分
に胚軸がズレないように切欠き83aを設けた(図12
(c)参照)。これは本実施例でスイカ穂木の子葉展開
方向を台木子葉展開方向と同じ方向に接合するために、
穂木苗供給板で受け取る胚軸の長径側の両側面を胚軸ハ
ンド83が把持することになり、回転搬送中に胚軸が短
径方向に回転ズレを起こし易いので、胚軸ハンド83の
胚軸が当る部分に胚軸径に添った切欠き83aを設ける
ことで、前記回転ズレを防ぐことができる。穂木搬送ア
ーム79は搬送アーム押出シリンダ77で押し出される
が、その押し出し量は押出量調整シム91により調整さ
れる。また、穂木搬送アーム押出シリンダ77下部には
裏当てガイド92が固定されていて、穂木搬送アーム7
9が後退した位置に来ると、その裏当てガイド92先端
のガイド片92aが穂木の胚軸切断時に胚軸の裏当てを
する。このガイド片92aによる胚軸の裏当て支持によ
りカッタによる切断が確実に行える。
【0023】なお、穂木切断装置23の回転方向は図
1、図4の矢印(ヘ)に示す通りであり、台木切断装置
19とは逆方向に回転させる。その理由は台木切断時に
は子葉一枚を胚軸に残した状態で切断するのには胚軸側
から子葉側に切断したほうが有利であるのに対して、穂
木の胚軸の切断は裏当てガイド92先端のガイド片92
aの押えを効かすためと、胚軸が切断されてできるその
先端の鋭角部の形が崩れないようにするためである。ま
た、穂木搬送アーム79は穂木を供給位置から切断位置
に搬送中には押し出し位置にあり、切断時には該アーム
79は後退位置(図12(b)参照)に移動する。さら
に、穂木と台木の接合時には裏当てガイド92は邪魔に
なるが、そのときは搬送アーム79を押し出し、胚軸ハ
ンド83等を突出させることで、裏当てガイド92と台
木胚軸ハンド37(図5参照)等との干渉を防ぐことが
できる。
【0024】穂木と台木の接合時に胚軸ハンド83等の
穂木把持部80が伸縮性がなくて、固定されていると、
台木と穂木の干渉を防ぐため両者の間に隙間を設けなけ
ればならないが、クリップ接合を行うためには、この隙
間があると別個に各々の苗を引き寄せる機構が必要であ
る。しかし、本実施例の場合は穂木把持部80が伸縮移
動が可能なため、苗寄せ機構は不要となる。前述のよう
に穂木苗の搬送アーム79のシム91により、穂木把持
部80の押し出し量を調整する。これは、クリップによ
る接合時に台木と穂木の切断面がクリップの先端の開口
部の中に入っていなければならないが、組立誤差や品種
の違いによる胚軸径の違いなどによって搬送アーム79
の押し出し量を微調整する必要があるためである。本実
施例では穂木搬送装置22にシム91を設けたが、台木
搬送装置18に設けても良い。
【0025】次に切断装置19、23を図12により説
明する。なお、切断装置19、23は台木部3、穂木部
5にそれぞれ設けられているが、両方に共通する機構か
らなるものである。図13には台木部3側の切断装置1
9を示す。図13(a)はその上面図(接木ロボット上
面から見た方向)であり、図13(b)は図13(a)
の矢印A方向(接木ロボットの穂木部側の側壁側から見
た方向)から見た側面図である。カッタ駆動用モータ1
11は鉛直方向に向いた支柱112に支持されていて、
そのモータ111の回転軸113にカッタアーム115
が取り付けられている。このカッタアーム115の先端
に該アーム115と直交する方向に設けられた切断刃支
持片116に切断刃117が取り付けられている。カッ
タアーム115への切断刃支持片116の取り付け位置
はカッタアーム115に設けられた調整ネジ119等の
調整具で行う。また、カッタ駆動用モータ111の取り
付け高さの調整は支柱112に設けられた調整ネジ12
0等の調整具で行う。また、カッタアーム115には胚
軸の切断の邪魔にならないように、切断刃117が胚軸
に当たる前に切断刃117の回転軌跡内にある苗の子葉
(切り落とす子葉)を持ち上げるための子葉持ち上げガ
イド122が設けられている。
【0026】また、クリップフィーダ部1とクリップ接
合装置25については本出願人の先の出願(特願平5−
6753号)に記載したとおりの構成を採用している。
また、本実施例の接木ロボットの作動シーケンスは図1
4に開示したとおりであり、本発明の接木ロボットの台
木部3および穂木部5の各装置の作動タイムチャートに
ついては、図15および図16に開示したとおりであ
る。また、クリップフィーダ部1の各装置の作動タイム
チャートは本出願人の先の出願(特願平4−16151
2号等)に記載したとおりである。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、穂木の子葉または本葉
が胚軸切断時に傷つくことがなくなる。また、穂木苗供
給装置に右利の人が苗を供給する場合に供給装置が傾い
ていると手首の自然な角度と一致し、苗供給がしやすく
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の接木ロボットの上面図。
【図2】 本発明の一実施例の接木ロボットの接木部の
上面図。
【図3】 本発明の一実施例の接木ロボットの接木部の
前面図。
【図4】 本発明の一実施例の接木ロボットの接木部の
側面図。
【図5】 本発明の一実施例の接木ロボットの台木搬送
装置を示す図。
【図6】 本発明の一実施例の接木ロボットの台木と穂
木の接合時の台木搬送装置を示す図。
【図7】 本発明の一実施例の接木ロボットの穂木苗供
給装置を示す図。
【図8】 本発明の一実施例の接木ロボットの穂木苗供
給装置を示す図。
【図9】 本発明の一実施例の接木ロボットの穂木の切
断時を示す図。
【図10】 本発明の一実施例の接木ロボットの穂木の
切断時の穂木と台木の切断位置を示す図。
【図11】 本発明の一実施例の接木ロボットの穂木苗
供給装置の供給板と穂木搬送装置の把持ハンドの間隔を
示す図。
【図12】 本発明の一実施例の接木ロボットの穂木搬
送装置を示す図。
【図13】 本発明の一実施例の接木ロボットの切断装
置を示す図。
【図14】 本発明の一実施例の接木ロボットの作動シ
ーケンスを示す図。
【図15】 本発明の一実施例の接木ロボットの台木部
の駆動のタイムチャートを示す図。
【図16】 本発明の一実施例の接木ロボットの穂木部
の駆動のタイムチャートを示す図。
【符号の説明】
1…クリップフィーダ部、2…接木部、3…台木部、5
…穂木部、6…接合部、13…台木苗供給板、14…穂
木苗供給板、14a…穂木苗供給基板、14b…断面へ
字状板材、14c…固定ハンド、16…支柱、17…台
木苗供給装置、18…台木搬送装置、19…台木切断装
置、21…穂木苗供給装置、22…穂木搬送装置、23
…穂木切断装置、51…アクチュエータ支持板、53…
アクチュエータ、55…穂木胚軸受け溝、59…水平方
向移動調整装置、61…垂直方向位置調整装置、62…
胚軸把持用可動ハンド、63…胚軸検出センサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 台木苗供給装置に配置される台木苗およ
    び穂木苗供給装置に配置される穂木苗を各々の苗の搬送
    装置で、各々の切断位置まで搬送し、それぞれ切断した
    台木苗と穂木苗をさらに各々の搬送装置で接合位置まで
    搬送して接合する接木ロボットにおいて、 穂木苗の切断時における穂木搬送装置の穂木苗の把持が
    穂木苗の子葉または本葉が切断装置の切断刃の切断軌跡
    外部にあるように、予め穂木苗が鉛直方向から傾いてセ
    ットされるような構造を有する穂木苗供給装置を備えた
    ことを特徴とする接木ロボット。
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