JPH0778586B2 - 光偏向装置 - Google Patents

光偏向装置

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JPH0778586B2
JPH0778586B2 JP13001288A JP13001288A JPH0778586B2 JP H0778586 B2 JPH0778586 B2 JP H0778586B2 JP 13001288 A JP13001288 A JP 13001288A JP 13001288 A JP13001288 A JP 13001288A JP H0778586 B2 JPH0778586 B2 JP H0778586B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、光導波路に表面弾性波を発生させ、この表面
弾性波の回折作用によって導波光を偏向させるようにし
た光偏向装置、特に詳細には導波光を2つの表面弾性波
によって2回偏向させることにより、表面弾性波のシリ
ンドリカルレンズ効果を打ち消すとともに、広偏向角範
囲が得られるようにした光偏向装置に関するものであ
る。
(従来の技術) 従来より例えば特開昭61-183626号公報に示されるよう
に、表面弾性波が伝播可能な材料から形成された光導波
路に光を入射させ、この光導波路内を進行する導波光と
交わる方向に表面弾性波を発生させて該表面弾性波によ
って導波光をブラッグ回折させ、そして上記表面弾性波
の周波数を連続的に変化させることにより導波光の回折
角(偏向角)を連続的に変化させるようにした光偏向装
置が公知となっている。このような光偏向装置は、例え
ばガルバノメータミラーやポリゴンミラー等の機械式光
偏向器や、EOD(電気光学光偏向器)やAOD(音響光学光
偏向器)等の光偏向素子を用いる光偏向器に比べると、
小型軽量化が可能で、また機械的動作部分を持たないの
で信頼性も高い、といった特長を有している。
(発明が解決しようとする課題) ところで上述のように表面弾性波の周波数を連続的に変
化させると、第4図に示すようにあるビーム幅Dを有す
る導波光40内において、表面弾性波41の波長がビーム幅
方向に亘って一定ではなくなる。つまり第4図(1)の
例では、図中上側の導波光端部において表面弾性波波長
が最小となり、下側に行くにつれて表面弾性波波長が大
きくなっている。第4図(2)の例ではその反対であ
る。この表面弾性波41によって回折する導波光40の回折
角は、表面弾性波41の波数ベクトルが大であるほど大き
くなり、そして表面弾性波41の波数ベクトルの大きさを とすると、 であるから、表面弾性波の波長Λが小さいほど導波光の
回折角が大きくなる。したがって第4図(1)の例では
回折した導波光40が収束し、第4図(2)の例では回折
した導波光40が発散するようになる。
上記のことは、表面弾性波によるシリンドリカルレンズ
効果(特に静的シリンドリカルレンズ効果)と称される
が、さらに別の要因によるレンズ効果も存在する。つま
り光導波路において周波数が連続的に変化する表面弾性
波を発生させる手段としては通常、交叉くし形電極対
(IDT:Inter Digital Transducer)と、IDTに周波数掃
引された交番電圧を印加する電圧制御発振器(VCO:Volt
age Controlled Oscillator)および高周波アンプ等か
ら構成されるが、このVCOの入力電圧対出力周波数特性
は完全に線形とはなり得ないので、表面弾性波の周波数
変化特性が非線形になってしまう。導波光の回折角は、
この非線形性にも起因してその幅方向に亘って変動する
ので、それによりシリンドリカルレンズ効果が生じる。
このレンズ効果は一般に動的シリンドリカルレンズ効果
と称され、前述の静的シリンドリカルレンズ効果と比べ
れば局部的なもので、偏向後の導波波にはこれら両シリ
ンドリカルレンズ効果が重畳した形で表われる。
以上述べたような表面弾性波によるシリンドリカルレン
ズ効果が生じると、偏向させた光ビームが収束あるいは
発散ビームとなってしまうので、従来よりこのようなレ
ンズ効果を補正する方法が種々提案されている。
そのような方法の1つは、回折、偏向後の光ビームを導
波路レンズ等からなる補正レンズに通して光学的に補正
するものであるが、この場合は、光ビームの偏向速度に
合わせて補正レンズが設計されるので、偏向速度を偏向
することができないという問題がある。またこの場合
は、前述した動的シリンドリカルレンズ効果をも補正可
能に補正レンズを設計することは、極めて困難である。
また、上記の動的シリンドリカルレンズ効果を電気的に
補正する方法も考えられている。この方法は、前述した
VCOの入力電圧対出力周波数特性の非線形性を予め調べ
ておき、この非線形性と打ち消し合うような特性をVCO
への入力電圧信号に付与するというものである。しかし
この電気的補正を行なう回路は高価であるのので、この
ような補正を行なえば光偏向装置の大幅なコストアップ
を招く。
一方、上述のような光偏向装置には、偏向角を大きくと
ることが困難であるという問題もある。つまりこの光導
波路を用いた光偏向装置においては、光偏向角は表面弾
性波の周波数にほぼ比例するので、大きな偏向角を得よ
うとすれば必然的に表面弾性波の周波数を極めて高い値
まで変化させることが必要となる。またこのように表面
弾性波の周波数を広い帯域に亘って変化させるのみなら
ず、ブラッグ条件を満たすために、表面弾性波の進行方
向を連続的に変化(ステアリング)させて導波光の表面
弾性波への入射角を制御する必要がある。
上記のような要求に応えるため、例えば前記特開昭61-1
83626号公報にも示されるように、互いに異なる帯域で
周波数が変化する表面弾性波を発生する複数の交叉くし
形電極対(IDT:Inter Digital Transducer)をそれぞれ
表面弾性波発生方向が異なるように配置し、各IDTをス
イッチング作動させるようにした光偏向装置が提案され
ている。
しかし上記構成の光偏向装置は、各IDTが発する表面弾
性波のクロスオーバー周波数を中心にして回折効率が落
ち込むので、傾向された光ビームの光量が、偏向角に応
じて変動してしまうという問題が生じる。
また上記の構成にしても、結局偏向角の高い部分を受け
持つIDTは、極めて高い周波数の表面弾性波を発生しう
るように構成されなければならない。以下、この点につ
いて、具体例を挙げて説明する。表面弾性波の進行方向
に対する導波光の入射角をθとすると、表面弾性波と導
波光との音響光学相互作用による導波光の偏向角δは、
δ=2θである。そして導波光の波長、実効屈折率を
λ、Neとし、表面弾性波の波長、周波数、速度をそれぞ
れΛ、f、vとすれば、 2θ=2sin-1(λ/2Ne・Λ) λ/Ne・Λ =λ・f/Ne・v ……(1) である。したがって偏向角範囲Δ(2θ)は、 Δ(2θ)=Δf・λ/Ne・v となる。ここで例えばλ=0.78μm、Ne=2.2、v=350
0m/sとして偏向角範囲Δ(2θ)=10°を得ようとすれ
ば、表面弾性波の周波数範囲すなわちIDTに印加する高
周波の周波数帯域Δf=1.72GHzが必要となる。この周
波数帯域を、2次回折光の影響を受けないように1オク
ターブとすれば、中心周波数f0=2.57GHz、最大周波数
2=3.43GHzとなる。この最大周波数f2を得るIDTの周
期Λ=1.02μmとなり、IDT電極指の線幅W=Λ/4=0.2
55μmとなる。
IDTを形成する技術として一般的なフォトリソ法、電子
ビーム描画法においては、現在のところ線幅限界がそれ
ぞれ0.8μm、0.5μm程度であり、したがって上記のよ
うに極めて小さい線幅を有するIDTは実現困難である。
またこのように精細なIDTが将来形成できたとしても、
3.43GHz程度の高周波を生成するドライバーは、製造困
難でかつ極めて高価なものとなるし、このように精細な
IDTには高電圧を印加することが難しくなる。さらに、
上記のように表面弾性波の周波数を高めれば、当然その
波長が短くなるので該表面弾性波が光導波路に吸収され
やすくなり、回折効率が低下することになる。
一方文献IEEE Transactions on Circuits and Systems,
vol.CAS-26,No.12,p1072[Guided-Wave Acoustooptic B
ragg Modulators for Wide-Band Integrated Optic Com
munications and Signal Processing]by C.S.TSAIに
は、前述のように複数のIDTをスイッチング作動させ
ず、1つのIDTを電極指線幅が連続的に変化しかつ各電
極指が円弧状をなす湾曲指IDTとして構成し、この1つ
のIDTによって表面弾性波の周波数および進行方向を広
範囲に亘って連続的に変化させるようにした光偏向装置
が示されている。このような構成においては、前述のよ
うに光ビームの光量が偏向角に応じて変動してしまうと
いう問題は解消できるが、表面弾性波の周波数を極めて
高く設定しなければならない点はそのままであり、それ
により前述と全く同様の問題が生じる。
そこで本発明は、以上述べた光ビームの光量変動を招か
ず、また表面弾性波の周波数を著しく高く設定しなくて
も広偏向角範囲が得られ、そして簡単な構成で前述した
シリンドリカルレンズ効果を補正することができ、その
上偏向速度を可変とすることもできる光偏向装置を提供
することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段及び作用) 本発明による光偏向装置は、前述のように表面弾性波が
伝播可能な材料から形成された光導波路内に導波光を進
行させ、この導波光を表面弾性波によって回折、偏向さ
せるようにした光偏向装置において、 上記導波光の光路に交わる方向に進行して該導波光を回
折、偏向させる第1の表面弾性波を光導波路において発
生させる第1の表面弾性波発生手段と、 上記のように回折された導波光の光路に交わる方向に進
行して該導波光を、上記回折による偏向をさらに増幅さ
せる方向に回折、偏向させる第2の表面弾性波を光導波
路において発生させる第2の表面弾性波発生手段とを設
け、 そしてこれら第1、第2の表面弾性波発生手段を、それ
ぞれの表面弾性波発生部分が導波光をはさんで互いに反
対側に位置するようにした上で、第1の表面弾性波によ
って回折される前、後の導波光の波数ベクトルをそれぞ
第2の表面弾性波によって回折された導波光の波数ベク
トルを 第1、第2の表面弾性波の波数ベクトルを としたとき、 なる条件を満たしながらそれぞれ第1、第2の表面弾性
波の周波数および進行方向を連続的に変化させるように
形成したことを特徴とするものである。
上記のような第1、第2の表面弾性波発生手段は、例え
ば電極指間隔が段階的に変化しかつ各電極指の向きが段
階的に変化する湾曲指交叉くし形電極対(Tilted-Finge
r Chirped IDT)と、前述のVCOおよび高周波アンプ等か
らなり、この電極対に周波数が連続的に変化する交番電
圧を印加するドライバーとの組合せによって形成するこ
とができる。その場合は、傾斜指チャープIDTが上述の
表面弾性波発生部分に相当し、これらのIDTがそれぞれ
導波光をはさんで互いに反対側に配置される。
上記の構成においては、第1の表面弾性波によって偏向
された導波光が第2の表面弾性波によって再度偏向され
るから、第1、第2の表面弾性波それぞれの周波数帯域
をさほど広く設定しなくても、全体として広偏向角範囲
が得られるようになる。
また上記の構成においては、前記(2)式を満足させる
ために、第1および第2の表面弾性波の周波数は、とも
に次第に増大するか、あるいはともに次第に低下するよ
うに制御されるので、第1および第2の表面弾性波発生
手段の表面弾性波発生部が導波光をはさんで互いに反対
側に配置されていれば、これらの表面弾性波のうちの一
方は前記第4図の(1)に示すように波長が変化するも
のとなり、他方は第4図の(2)に示すように波長が変
化するものとなる。つまり第1および第2の表面弾性波
の一方は導波光を収束させるシリンドリカルレンズ効果
を示し、他方は導波光を発散させるシリンドリカルレン
ズ効果を示すようになるので、それぞれの静的レンズ効
果が相殺されることになる。
第1および第2の表面弾性波発生手段を、前述したよう
な傾斜指チャープIDTと、このIDTに周波数掃引した交番
電圧を印加するドライバーとから構成する場合は、両ID
Tを共通のドライバーによって駆動するのが好ましい。
そうすれば、両IDTの導波光に対する設置位置等を適切
に定めることにより、第1の表面弾性波の導波光幅方向
に亘る波長分布状態と、第2の表面弾性波についてのそ
れとを、導波光幅方向に関してほぼ正反対の関係にする
ことができる。そうなっていれば、前述した静的シリン
ドリルカルレンズ効果がほぼ完全に相殺されるようにな
り、2回回折後の導波光はほぼ完全に平行光となりう
る。
また両IDTを共通のドライバーによって駆動すれば、第
1および第2の表面弾性波による各動的シリンドリカル
レンズ効果も、導波光幅方向に亘ってほぼ裏返しの状態
となり、この動的シリンドリカルレンズ効果をも相殺で
きるようになる。
(実施例) 以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。
第1図は本発明の一実施例による光偏向装置を示すもの
である。この光偏向装置10は、基板11上に形成された光
導波路12と、この光導波路12上に形成された光ビーム入
射用集光性回折格子(Focusing Grating Coupler、以下
FGCと称する)13と、光ビーム出射用FGC14と、これらの
FGC13、14の間を進行する導波光の光路に交わる方向に
進行する表面弾性波15、16をそれぞれ発生させる第1、
第2の湾曲指交叉くし形電極対(Tilted-Finger Chirpe
d Inter Digital Transducer、以下湾曲指IDTと称す
る)17、18と、上記表面弾性波15、16を発生させるため
にこれらの湾曲指IDT17、18に高周波の交番電圧を印加
する高周波アンプ19と、上記電圧の周波数を連続的に変
化(掃引)させるVCO20とを有している。
本実施例においては一例として、基板11にLiNbO3ウェハ
を用い、このウェハの表面にTi拡散膜を設けることによ
り光導波路12を形成している。なお基板11としてその他
サファイア、Si等からなる結晶性基板が用いられてもよ
い。また光導波路12も上記のTi拡散に限らず、基板11上
にその他の材料をスパッタ、蒸着する等して形成するこ
ともできる。なお光導波路については、例えばティー
タミール(T.Tamir)編「インテグレイテッド オプテ
ィクス(Integrated Opties)」(トピックス イン
アプライド フィジックス(Topies in Applied Physic
s)第7巻)スプリンガー フェアラーグ(Springer−V
erlag)刊(1975);西原、春名、栖原共著「光集積回
路」オーム社刊(1985)等の成著に詳細な記述があり、
本発明では光導波路12としてこれら公知の光導波路のい
ずれをも使用できる。ただし、この光導波路12は、上記
Ti拡散膜等、後述する表面弾性波が伝播可能な材料から
形成されなければならない。また光導波路は2層以上の
積層構造を有していてもよい。
湾曲指IDT17、18は、例えば光導波路12の表面にポジ型
電子線レジストを塗布し、さらにその上にAu導電用薄膜
を蒸着し、電極パターンを電子線描画し、Au薄膜を剥離
後現像を行ない、次いでCr薄膜、Al薄膜を蒸着後、有機
溶媒中でリフトオフを行なうことによって形成すること
ができる。なお湾曲指IDT17、18は、基板11や光導波路1
2が圧電性を有する材料からなる場合には、直接光導波
路12内あるいは基板11上に設置しても表面弾性波15、16
を発生させることができるが、そうでない場合には基板
11あるいは光導波路12の一部に例えばZnO等からなる圧
電性薄膜を蒸着、スパッタ等によって形成し、そこにID
T17、18を設置すればよい。
偏向される光ビームLは、例えば半導体レーザ等の光源
21から、FGC13に向けて射出される。この光ビームL
(発散ビーム)は、FGC13によって平行ビームとされた
上で光導波路12内に取り込まれ、該光導波路12内を導波
する。この導波光L1は、第1の湾曲指IDT17から発せら
れた第1の表面弾性波15との音響光学相互作用により、
図示のように回折(Bragg回折)する。そして前述のよ
うに、第1の湾曲指IDT17に印加される交番電圧の周波
数が連続的に変化するので、第1の表面弾性波15の周波
数が連続的に変化する。前述の第(1)式から明らかな
ように、表面弾性波15によって回折した導波光L2の偏向
角は表面弾性波15の周波数にほぼ比例するので、上記の
ように表面弾性波15の周波数が変化することにより、導
波光L2は矢印Aで示すように連続的に偏向する。この導
波光L2は次に第2の表面弾性波16によって偏向される
が、この第2の表面弾性波16も第1の表面弾性波15と同
様に周波数が連続的に変化するので、第2の表面弾性波
16を通過した後の導波光L3は、矢印Bで示すように連続
的に偏向する。こうして第1および第2の表面弾性波1
5、16によって偏向された導波光L3はFGC14によって光導
波路12外に出射せしめられ、またその集光作用によって
1点に集束される。
次に、導波光L3の偏向角範囲2Δ(2θ)について、第
2図を参照して説明する。この第2図は、第1の湾曲指
IDT17および第2の湾曲指IDT18の詳細な形状と配置状態
を示している。図示されるように第1の湾曲指IDT17お
よび第2の湾曲指IDT18はそれぞれ、電極指の間隔が変
化率一定で段階的に変化するとともに、各電極指の向き
を変化率一定で段階的に変化するように形成されてい
る。第1の湾曲指IDT17および第2の湾曲指IDT18は、導
波光L1〜L3の光路をはさんで互いに反対側に位置し、そ
してともに電極指の間隔が狭い方が導波光側に位置する
ように配置され、前述のように印加電圧の周波数が掃引
されることにより、それぞれ導波光側の端部が最大周波
数f2=2GHz、そして導波光から遠い側の端部が最小周
波数f1=1GHzの表面弾性波15、16を発生するようにな
っている。そして第1の湾曲指IDT17は、上端部と下端
部の電極指が互いに3°傾いた形状とされ、導波光L1
進行方向に対して上端部の電極指が6°の角度をなし、
下端部の電極指が3°の角度をなすように配置されてい
る。一方、第2の湾曲指IDT18は、上端部と下端部の電
極指が互いに9°傾いた形状とされ、導波光L1の進行方
向に対して下端部の電極指が18°の角度をなし、上端部
の電極指が9°の角度をなすように配置されている。な
お、両湾曲指IDT17、18のアース電極は互いに一体化さ
れてもよい。また以上述べたような傾斜指チャープIDT
については、例えば前述のC.S.TSAIによる文献において
詳しく説明がなされている。
第1の湾曲指IDT17、第2の湾曲指IDT18からそれぞれ2G
Hzの表面弾性波15、16が発せられたときの光ビームの回
折状態は、第2ので示す状態となる。つまりこの場合
は、2GHzの表面弾性波15に対して導波光L1が入射角6°
で入射し、この角度はブラッグ条件を満足している。す
なわち導波光L1、回折後の導波光L2の波数ベクトルをそ
れぞれ 表面弾性波15の波数ベクトルを とすると、第3図(1)に示すように となっている。つまり回折された導波光L2の進行方向
は、ベクトル の向きとなる(偏向角=2θ=12°)。またこのとき、
2GHzの表面弾性波16は第2の湾曲指IDT18の第2図中下
端部の電極指(第1の湾曲指IDT17の上端部と12°の角
度をなす)によって励振され該電極指と直角な向きに進
行するから、この表面弾性波16に対する導波光L2の入射
角も6°となり、そして表面弾性波16は表面弾性波15と
同波長であるから、ブラッグ条件を満足する。すなわち
表面弾性波16による回折後の導波光L3の波数ベクトルを 表面弾性波16の波数ベクトルを とすると、第3図(1)に示すように となっている。このとき導波光L1に対する導波光L3の偏
向角をδ3とすると、δ3=24°である。
上記の状態から表面弾性波15,16の周波数が1GHzまで次
第に下げられる。表面弾性波15,16の各波数ベクトル の大きさ は、その波長をΛとすると2π/Λであるから、結局表
面弾性波15,16の周波数に比例する。したがって、表面
弾性波15,16の周波数が1GHzのとき、表面弾性波15,16の
波数ベクトル の大きさは、周波数が2GHzのときの1/2となる。またこ
の場合の表面弾性波15、表面弾性波16の進行方向つまり
波数ベクトル の向きは、1GHzの表面弾性波15,16を励振する第1の湾
曲指IDT17、第2の湾曲指IDT18の電極指部分が前述のよ
うに2GHzの表面弾性波15,16を励振する電極指部分に対
してそれぞれ3°、9°傾いているから、2GHzの表面弾
性波15,16の波数ベクトル の向きから各々3°、9°変化する。また、第3図
(1)においてはaであるから結局、表面弾性波15,1
6の周波数が1GHz場合の波数ベクトル は、第3図(2)に示すものとなる。そして、このとき
の導波光L1に対する導波光L3の偏向角をδ2とすると、
δ2=12°である。
以上説明した通り、表面弾性波15,16の周波数が1GHzで
ある場合も、前述の(2)式、つまり の関係が成立している。
そして波数ベクトル は、導波光L1の波長をλとするとn・2π/λ(nは屈
折率)で、この波長は導波光L2、L3についても同じであ
るから、結局常に であり、一方表面弾性波15の波数ベクトル はその波長をΛとすると2π/Λで、この波長は常に表
面弾性波16の波長と等しいから である。また波数ベクトル の向きは、先に説明したように表面弾性波15、16の周波
数が2GHzから1GHzに変化する際に、それぞれ固有の一定
変化率で変化する。したがって、表面弾性波15,16の周
波数が上記のように2GHzから1GHzに変化する間、常に前
述の(2)式の関係が成り立ち、導波光L1と表面弾性波
15とのブラッグ条件、導波光L2と表面弾性波16とのブラ
ッグ条件が常に満たされる。
以上の説明から明らかなように、表面弾性波15、16の周
波数が2GHz、1GHzのとき、2回回折した導波光L3の進行
方向はそれぞれ第3図(1)のベクトル 第3図(2)のベクトル の向き(第2図に,′で示す向き)であり、その差
は24−12=12°である。つまり表面弾性波15および16に
よる導波光の2回回折により、12°の広偏向角範囲が得
られる。ちなみに、周波数が1GHzから2GHzまで変化する
(2次回折光の影響を受けないように周波数帯域を1オ
クターブとする)1つの表面弾性波のみで光ビーム偏向
を行なう場合には、偏向角範囲は6°となる。
次にシリンドリカルレンズ効果の補正について、第5図
を参照して説明する。この第5図においては、表面弾性
波15および16の波長を、その進行方向に対して直角な横
線の間隔によって概略的に示してある。IDT17、18に印
加される交番電圧の周波数は、前述した通り次第に低下
するように掃引される。そこで、表面弾性波15の導波光
幅方向に亘る波長分布状態は、図示のように、図中上側
に行くにつれて次第に波長が小さくなるものとなってい
る。したがって先に説明した通り、この表面弾性波15を
通過した後の導波光L2は、シリンドリカルレンズ効果に
より発散するようになる。それに対して表面弾性波16の
導波光幅方向に亘る波長分布状態は、図示のように、図
中下側に行くにつれて次第に波長が小さくなるものとな
っている。したがって、この表面弾性波16に入射する発
散状態の導波光L2は、該表面弾性波16のシリンドリカル
レンズ効果により集光されるので、この表面弾性波16を
通過した後の導波光L3は平行ビームとなる。以上のよう
にして、第1の表面弾性波15による静的シリンドリカル
レンズ効果と、第2の表面弾性波16による静的シリンド
リカルレンズ効果とが相殺し合うので、本装置において
は、このシリンドリカルレンズ効果を補正するために補
正レンズ等を設ける必要がない。また偏向速度が変えら
れても上記の相殺し合う関係は常に成立するので、シリ
ンドリカルレンズ効果の補正が常に正確に行なわれる。
その上本実施例の光偏向装置においては、IDT17と18に
高周波の交番電圧を印加するためのVCO20が共用されて
いるので、このVCO20の前記非線形性により生じる動的
シリンドリカルレンズ効果は、表面弾性波15と16とでは
導波光幅方向に関していわば互いに裏返しの関係で現わ
れるから、これらの動的シリンドリカルレンズ効果も相
殺し合うようになる。
なお以上の説明では、表面弾性波15、16の周波数を2GHz
から1GHzに連続的に変化させるようにしているが、この
反対に1GHzから2GHzまで変化させるようにしてもよい。
この場合は光ビームL′の偏向の方向が逆になる。そし
てこの場合は、上記実施例におけるのとは反対に、導波
光L2が第1の表面弾性波15の静的シリンドリカルレンズ
効果(凸レンズ効果)により収束し、次いで第2の表面
弾性波16の静的シリンドリカルレンズ効果(凹レンズ効
果)により導波光L3が平行ビーム化される。また上記周
波数を2→1→2→1GHzとなるように変化させれば、光
ビームL′が往復で偏向するようになり、光ビームの往
復走査が可能となる。
また以上説明の実施例では、周波数2GHzの表面弾性波15
に対する導波光L1の入射角(つまり第1の湾曲指IDT17
の2GHzを励振する電極指と導波光L1の進行方向がなす角
度)を6°とし、第1の湾曲指IDT17の1GHzを励振する
電極指が上記導波光L1の進行方向となす角を3°、一方
第2の湾曲指IDT18の2GHz、1GHzを励振する電極指が上
記進行方向となす角をそれぞれ18°、9°としている
が、一般に表面弾性波15、16の最小、最大周波数を
1、f2(f2=2f1)とする場合には、上記の例におい
て6°、3°、18°、9°と設定された各角度を各々
θ、θ/2、3θ、3θ/2とすれば、いかなる場合も常に
前述のブラッグ条件を満足させることが可能となる。こ
のことは、第3図(1)、(2)を参照すれば自明であ
ろう。
なお湾曲指IDT17、18の形状を上記θで規定される形状
とする場合においても、表面弾性波15、16の最小、最大
周波数f1、f2をf2=2f1となるように設定することは
必ずしも必要ではなく、例えば最大周波数f2を2f1なる
値よりもやや小さめに設定しても構わない。しかし上記
のような現状に湾曲指IDT17、18を形成する以上はこのI
DT形状を最大限活かして、最小周波数f1のとき発生す
る2次回折光が偏向角範囲に入り込まないで最大偏向角
範囲が得られるようになるf1からf2=2f1の間で表面
弾性波周波数を変化させるのが好ましい。
さらに本発明においては、表面弾性波15、16の最小、最
大周波数f1、f2をf2=2f1となるように設定し、また
表面弾性波15、16の周波数を常に互いが等しくなるよう
に変化させることは必ずしも必要ではなく、表面弾性波
15、16の周波数および進行方向を個別に変化させても、
第1、第2の湾曲指IDT17、18の形状および配置状態に
よって前述の(2)式の関係を満たすことが可能であ
る。
しかし、上記実施例におけるように、表面弾性波15、16
の周波数を同じように変化させれば、2つの湾曲指IDT
を共通のドライバーで駆動可能となり、高価なドライバ
ーが1つで済む上、シリンドリカルレンズ効果の補正を
良好かつ容易に行なえるので好都合である。
(発明の効果) 以上詳細に説明した通り本発明の光偏向装置において
は、表面弾性波によって1回回折させた光ビームをさら
に別の表面弾性波によって回折させるようにしているの
で、極めて広い偏向角範囲が得られる。したがって本発
明の光偏向装置を用いれば、光偏向装置から被走査面ま
での距離を短くして、光走査記録装置や読取装置の小型
化を達成することができる。
そして本発明装置においては、個々の表面弾性波の周波
数を著しく高く設定しなくても上述のように広偏向角範
囲が得られるようになっているから、表面弾性波発生手
段としてIDTを用いる場合にはその線幅を極端に小さく
設定する必要がなく、このIDTを現在確立されている技
術によって容易に製造可能となる。また上記の通りであ
るから、IDTに印加する交番電圧の周波数も著しく高く
設定する必要がなくなり、したがってIDTのドライバー
が容易かつ安価に形成可能となる。
さらに本発明装置は、2つの表面弾性波発生部を、導波
光をはさんで互いに反対側に配置したことにより、表面
弾性波のシリンドリカルレンズ効果を簡単に補正するこ
とができ、したがってこの補正のための高価な補正回路
や特別の補正レンズが不要となり、このような手段によ
ってシリンドリカルレンズ効果補正を行なう従来装置に
比べれば、安価に形成することができる。また本発明装
置は、上記補正のために偏向速度が限定されてしまうこ
とがないから、汎用性が高いものとなりうる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例装置を示す概略斜視図、 第2図は上記実施例装置の一部を拡大して示す平面図、 第3図は本発明における光ビーム偏向の仕組みを説明す
る説明図、 第4図は本発明に係る表面弾性波のシリンドリカルレン
ズ効果を説明する説明図、 第5図は本発明におけるシリンドリカルレンズ効果の補
正を説明する説明図である。 10……光偏向装置、11……基板 12……光導波路、13……光ビーム入射用FGC 14……光ビーム出射用FGC 15……第1の表面弾性波、16……第2の表面弾性波 17……第1の湾曲指IDT 18……第2の湾曲指IDT 19……高周波アンプ、20……VCO 21……光源 L1……第1の表面弾性波に入射する前の導波光 L2……第1の表面弾性波を通過した導波光 L3……第2の表面弾性波を通過した導波光

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面弾性波が伝播可能な材料から形成され
    た光導波路と、 この光導波路内を進行する導波光の光路に交わる方向に
    進行して該導波光を回折、偏向させる第1の表面弾性波
    を前記光導波路において発生させる第1の表面弾性波発
    生手段と、 回折された前記導波光の光路に交わる方向に進行して該
    導波光を、前記回折による偏向をさらに増幅させる方向
    に回折、偏向させる第2の表面弾性波を前記光導波路に
    おいて発生させる第2の表面弾性波発生手段とを有し、 前記第1および第2の表面弾性波発生手段が、それぞれ
    の表面弾性波発生部分が前記導波光をはさんで互いに反
    対側に位置し、かつ前記第1の表面弾性波によって回折
    される前、後の導波光の波数ベクトルをそれぞれ 第2の表面弾性波によって回折された導波光の波数ベク
    トルを 第1、第2の表面弾性波の波数ベクトルを としたとき、 なる条件を満たしながらそれぞれ第1、第2の表面弾性
    波の周波数および進行方向を連続的に変化させるように
    形成されていることを特徴とする光偏向装置。
  2. 【請求項2】前記第1、第2の表面弾性波発生手段がそ
    れぞれ、前記表面弾性波発生部分として、電極指間隔が
    段階的に変化しかつ各電極指の向きが段階的に変化する
    湾曲指交叉くし形電極対を備え、 これらの交叉くし形電極対が、共通のドライバーによっ
    て駆動されることを特徴とする請求項1記載の光偏向装
    置。
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