JPH07104534B2 - 光偏向装置 - Google Patents

光偏向装置

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JPH07104534B2
JPH07104534B2 JP61283646A JP28364686A JPH07104534B2 JP H07104534 B2 JPH07104534 B2 JP H07104534B2 JP 61283646 A JP61283646 A JP 61283646A JP 28364686 A JP28364686 A JP 28364686A JP H07104534 B2 JPH07104534 B2 JP H07104534B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、光導波路に表面弾性波を発生させ、この表面
弾性波の回折作用によって導波光を偏向させるようにし
た光偏向装置、特に詳細には導波光を2つの表面弾性波
によって2回偏向させることにより、広偏向角範囲が得
られるようにした光偏向装置に関するものである。
(従来の技術) 従来より例えば特開昭61-183626号公報に示されるよう
に、表面弾性波が伝播可能な材料から形成された光導波
路に光を入射させ、この光導波路内を進行する導波光と
交わる方向に表面弾性波を発生させて該表面弾性波によ
って導波光をブラッグ回折させ、そして上記表面弾性波
の周波数を連続的に変化させることにより導波光の回折
角(偏向角)を連続的に変化させるようにした光偏向装
置が公知となっている。このような光偏向装置は、例え
ばガルバノメータミラーやポリゴンミラー等の機械式光
偏向器や、EOD(電気光学光偏向器)やAOD(音響光学光
偏向器)等の光偏向素子を用いる光偏向器に比べると、
小形軽量化が可能で、また機械的動作部分を持たないの
で信頼性も高い、といった特長を有している。
(発明が解決しようとする問題点) ところが上述のような光偏向装置には、偏向角を大きく
とることが困難であるという問題がある。つまりこの光
導波路を用いた光偏向装置においては、光偏向角は表面
弾性波の周波数にほぼ比例するので、大きな偏向角を得
ようとすれば必然的に表面弾性波の周波数を極めて高い
値まで変化させることが必要となる。またこのように表
面弾性波の周波数を広い帯域に亘って変化させるのみな
らず、ブラッグ条件を満たすために、表面弾性波の進行
方向を連続的に変化(ステアリング)させて導波光の表
面弾性波への入射角を制御する必要がある。
上記のような要求に応えるため、例えば前記特開昭61-1
83626号公報にも示されるように、互いに異なる帯域で
周波数が変化する表面弾性波を発生する複数の交叉くし
形電極対(IDT:Inter Digital Transducer)をそれぞれ
表面弾性波発生方向が異なるように配置し、各IDTをス
イッチング作動させるようにした光偏向装置が提案され
ている。
しかし上記構成の光偏向装置は、各IDTが発する表面弾
性波のクロスオーバー周波数を中心にして回折効率が落
ち込むので、偏向された光ビームの光量が、偏向角に応
じて変動してしまうという問題が生じる。
また上記の構成にしても、結局偏向角の高い部分を受け
持つIDTは、極めて高い周波数の表面弾性波を発生しう
るように構成されなければならない。以下、この点につ
いて、具体例を挙げて説明する。表面弾性波の進行方向
に対する導波光の入射角をθとすると、表面弾性波と導
波光との音響光学相互作用による導波光の偏向角αは、
α=2θである。そして導波光の波長、実効屈折率を
λ、Neとし、表面弾性波の波長、周波数、速度をそれぞ
れ∧、f、vとすれば、 2θ=2sin-1(λ/2Ne・∧) λ/Ne・∧ =λ・f/Ne・v……(1) である。したがって偏向角範囲Δ(2θ)は、 Δ(2θ)=Δf・λ/Ne・v となる。ここで例えばλ=0.78μm、Ne=2.2、v=350
0m/sとして偏向角範囲Δ(2θ)=10°を得ようとすれ
ば、表面弾性波の周波数範囲すなわちIDTに印加する高
周波の周波数帯域Δf=1.72GHzが必要となる。この周
波数帯域を、2次回折光の影響を受けないように1オク
ターブとすれば、中心周波数f0=2.57GHz、最大周波数f
2=3.43GHzとなる。この最大周波数f2を得るIDTの周期
∧=1.02μmとなり、IDT電極指の線幅W=∧/4=0.255
μmとなる。
IDTを形成する技術として一般的なフォトリソ法、電子
ビーム描画法においては、現在のところ線幅限界がそれ
ぞれ0.8μm、0.5μm程度であり、したがって上記のよ
うに極めて小さな線幅を有するIDTは実現困難である。
またこのように精細なIDTが将来形成できたとしても、
3.43GHz程度の高周波を生成するドライバーは、製造困
難でかつ極めて高価なものとなるし、このように精細な
IDTには高電圧を印加することが難しくなる。さらに、
上記のように表面弾性波の周波数を高めれば、当然その
波長が短くなるので該表面弾性波が光導波路に吸収され
やすくなり、回折効率が低下することになる。
一方文献IEEE Transactions on Circuits and Systems,
vol.CAS-26,No.12,p1072[Guided-Wave Acoustooptic B
ragg Modulators for Wide-Band Integrated Optic Com
munications and Signal Processing]by C.S.TSAIに
は、前述のように複数のIDTをスイッチング作動させ
ず、1つのIDTを電極指線幅が連続的に変化しかつ各電
極指が円弧状をなす湾曲指IDTとして構成し、この1つ
のIDTによって表面弾性波の周波数および進行方向を広
範囲に亘って連続的に変化させるようにした光偏向装置
が示されている。このような構成においては、前述のよ
うに光ビームの光量が偏向角に応じて変動してしまうと
いう問題は解消できるが、表面弾性波の周波数を極めて
高く設定しなければならない点はそのままであり、それ
により前述と全く同様の問題が生じる。
そこで本発明は、以上述べた光ビームの光量変動を招か
ず、また表面弾性波の周波数を著しく高く設定しなくて
も広偏向角範囲が得られる光偏向装置を提供することを
目的とするものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明による第1の光偏向装置は、前述のように表面弾
性波が伝播可能な材料から形成された光導波路内に導波
光を進行させ、この導波光を表面弾性波によって回折、
偏向させるようにした光偏向装置において、 上記導波光の光路に交わる方向に進行して該導波光を回
折、偏向させる第1の表面弾性波を光導波路において発
生させる第1の表面弾性波発生手段と、 上記のように回折された導波光の光路に交わる方向に進
行して該導波光を、上記回折による偏向をさらに増幅さ
せる方向に回折、偏向させる第2の表面弾性波を光導波
路において発生させる第2の表面弾性波発生手段とを設
け、 上記第1、第2の表面弾性波発生手段をそれぞれ、電極
指間隔が段階的に変化しかつ各電極指の向きが段階的に
変化する傾斜指チャープ交叉くし形電極対と、該電極対
に周波数が連続的に変化する交番電圧を印加するドライ
バーとから構成し、 そしてこれら第1、第2の表面弾性波発生手段を、第1
の表面弾性波によって回折される前、後の導波光の波数
ベクトルをそれぞれ 第2の表面弾性波によって回折された導波光の波数ベク
トルを 第1、第2の表面弾性波の波数ベクトルを としたとき、 なる条件を満たしながらそれぞれ第1、第2の表面弾性
数の周波数および進行方向を連続的に変化させるように
形成したことを特徴とするものである。
また本発明による第2の光偏向装置は、上記第1の光偏
向装置におけるのと同様の波数ベクトルの関係を満たす
ように第1、第2の表面弾性波発生手段を配設し、それ
らから発生させた第1、第2の表面弾性波を利用して同
様に導波光を2回回折させるものであるが、特に第1、
第2の表面弾性波発生手段をそれぞれ、電極指間隔が段
階的に変化しかつ各電極指が円弧状をなす湾曲指交叉く
し形電極対と、該電極対に周波数が連続的に変化する交
番電圧を印加するドライバーとから構成したものであ
る。
(作用) 上記の構成においては、第1の表面弾性波によって偏向
された導波光が第2の表面弾性波よって再度偏向される
から、第1、第2の表面弾性波それぞれの周波数帯域を
さほど広く設定しなくても、全体として広偏向角範囲が
得られるようになる。
(実施例) 以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。
第1図は本発明の一実施例による光偏向装置10を示すも
のである。この光偏向装置10は、基板11上に形成された
光導波路12と、この光導波路12上に形成された光ビーム
入射用集光性回折格子(Focusing Grating Coupler、以
下FGCと称する)13と、光ビーム出射用FGC14と、これら
のFGC13、14の間を進行する導波光の光路に交わる方向
に進行する表面弾性波15、16をそれぞれ発生させる第
1、第2の傾斜指チャープ交叉くし形電極対(Tilted-F
inger Chirped Inter Digital Transducer、以下傾斜指
チャープIDTと称する)17、18と、上記表面弾性波15、1
6を発生させるためにこれらの傾斜指チャープIDT17、18
に高周波の交番電圧を印加する高周波アンプ19と、上記
電圧の周波数を連続的に変化(掃引)させるスイーパー
20とを有している。
本実施例においては一例として、基板11にLiNbO3ウェハ
を用い、このウェハの表面にTi拡散膜を設けることによ
り光導波路12を形成している。なお基板11としてその他
サファイア、Si等からなる結晶性基板が用いられてもよ
い。また光導波路12も上記のTi拡散に限らず、基板11上
にその他の材料をスパッタ、蒸着する等して形成するこ
ともできる。なお光導波路については、例えばティー
タミール(T.Tamir)編「インテグレイテッド オプテ
ィクス(Integrated Optics)」(トピックス イン
アプライド フィジックス(Topics in Applied Physic
s)第7巻)スプリンガー フェアラーグ(Springer-Ve
rlag)刊(1975):西原、春名、栖原共著「光集積回
路」オーム社刊(1985)等の成著に詳細な記述があり、
本発明では光導波路12としてこれら公知の光導波路のい
ずれをも使用できる。ただし、この光導波路12は、上記
Ti拡散膜等、後述する表面弾性波が伝播可能な材料から
形成されなければならない。また光導波路は2層以上の
積層構造を有していてもよい。
傾斜指チャープIDT17、18は、例えば光導波光路12の表
面にポジ型電子線レジストを塗布し、さらにその上にAu
導電用薄膜を蒸着し、電極パターンを電子線描画し、Au
薄膜を剥離後現像を行ない、次いでCr薄膜、Al薄膜を蒸
着後、有機溶媒中でリフトオフを行なうことによって形
成することができる。なお傾斜指チャープIDT17、18
は、基板11や光導波路12が圧電性を有する材料からなる
場合には、直接光導波路12内あるいは基板11上に設置し
ても表面弾性波15、16を発生させることができるが、そ
うでない場合には基板11あるいは光導波路12の一部に例
えばZnO等からなる圧電性薄膜を蒸着、スパッタ等によ
って形成し、そこにIDT17、18を設置すればよい。
偏向される光ビームLは、例えば半導体レーザ等の光源
21から、FGC13に向けて射出される。この光ビームL
(発散ビーム)は、FGC13によって平行ビームとされた
上で光導波路12内に取り込まれ、該光導波路12内を導波
する。この導波光L1は、第1の傾斜指チャープIDT17か
ら発せられた第1の表面弾性波15との音響光学相互作用
により、図示のように回折(Bragg回折)する。こうし
て回折、偏向した導波光L2は、第2の傾斜指チャープID
T18から発せられた第2の表面弾性波16との音響光学相
互作用により、上記偏向をさらに増幅させる方向に回折
する。そして前述のように、第1の傾斜指チャープIDT1
7に印加される交番電圧の周波数が連続的に変化するの
で、第1の表面弾性波15の周波数が連続的に変化する。
前述の第(1)式から明らかなように、表面弾性波15に
よって回折した導波光L2の偏向角は表面弾性波15の周波
数にほぼ比例するので、上記のように表面弾性波15の周
波数が変化することにより、導波光L2は矢印Aで示すよ
うに連続的に偏向する。この導波光L2は次に第2の表面
弾性波16によって偏向されるが、この第2の表面弾性波
16も第1の表面弾性波15と同様に周波数が連続的に変化
するので、第2の表面弾性波16を通過した後の導波光L3
は、矢印Bで示すように連続的に偏向する。この導波光
L3はFGC14によって光導波路12外に出射せしめられ、ま
たその集光作用によって1点に集束される。
次に、導波光L3の偏向角範囲2Δ(2θ)について、第
2図を参照して説明する。この第2図は、第1の傾斜指
チャープIDT17および第2の傾斜指チャープIDT18の詳細
な形状と配置状態を示している。図示されるように第1
の傾斜指チャープIDT17および第2の傾斜指チャープIDT
18はそれぞれ、電極指の間隔が変化率一定で段階的に変
化するとともに、各電極指の向きも変化率一定で段階的
に変化するように形成されている。第1の傾斜指チャー
プIDT17および第2の傾斜指チャープIDT18とも電極指の
間隔が狭い方(図中上端部)が導波光側に位置するよう
に配置され、前述のように印加電圧の周波数が掃引され
ることにより、それぞれこの上端部が最大周波数f2=2G
Hz、そして下端部が最小周波数f1=1GHzの表面弾性波1
5、16を発生するようになっている。そして第1の傾斜
指チャープIDT17は、上端部と下端部の電極指が互いに
3°傾いた形状とされ、導波光L1の進行方向に対して上
端部の電極指が6°の角度をなし、下端部の電極指が3
°の角度をなすように配置されている。一方第2の傾斜
指チャープIDT18は、上端部と下端部の電極指が互いに
9°傾いた形状とされ、導波光L1の進行方向に対して上
端部の電極指が18°の角度をなし、下端部の電極指が9
°の角度をなすように配置されている。なお、両傾斜指
チャープIDT17、18のアース電極は互いに一体化されて
もよい。また以上述べたような傾斜指チャープIDTにつ
いては、例えば前述のC.S.TSAIによる文献において詳し
い説明がなされている。
第1の傾斜指チャープIDT17、第2の傾斜指チャープIDT
18からそれぞれ2GHzの表面弾性波15、16が発せられたと
きの光ビームの回折状態は第2図ので示す状態とな
る。つまりこの場合は、2GHzの表面弾性波15に対して導
波光L1が入射角6°で入射し、この角度はブラッグ条件
を満足している。すなわち導波光L1、回折後の導波光L2
の波数ベクトルをそれぞれ 表面弾性波15の波数ベクトルを とすると、第3図(1)に示すように となっている。つまり回折された導波光L2の進行方向
は、ベクトル の向きとなる(偏向角α=2θ=12°)。またこのと
き、2GHzの表面弾性波16は第2の傾斜指チャープIDT18
の第2図中上端部の電極指(第1の傾斜指チャープIDT1
7の上端部と12°の角度をなす)によって励振され該電
極指と直角な向きに進行するから、この表面弾性波16に
対する導波光L2の入射角も6°となり、そして表面弾性
波16は表面弾性波15と同波長であるから、ブラッグ条件
を満足する。すなわち表面弾性波16による回折後の導波
光L3の波数ベクトルを 表面弾性波16の波数ベクトルを とすると、第3図(1)に示すように となっている。
上記の状態から表面弾性波15,16の周波数が1GHzまで次
第に下げられる。表面弾性波15,16の各波数ベクトル の大きさ は、その波長を∧とすると2π/∧であるから、結局表
面弾性波15,16の周波数に比例する。したがって、表面
弾性波15,16の周波数が1GHzのとき、表面弾性波15,16の
波数ベクトル の大きさは、周波数が2GHzのときの1/2となる。またこ
の場合の表面弾性波15、表面弾性波16の進行方向つまり
波数ベクトル の向きは、1GHzの表面弾性波15,16を励振する第1の傾
斜指チャープIDT17、第2の傾斜指チャープIDT18の電極
指部分が前述のように2GHzの表面弾性波15,16を励振す
る電極指部分に対してそれぞれ3°、9°傾いているか
ら、2GHzの表面弾性波15,16の波数ベクトル の向きから各々3°、9°変化する。また、第3図
(1)においてabであるから結局、表面弾性波15,1
6の周波数が1GHz場合の波数ベクトル は、第3図(2)に示すものとなる。
以上説明した通り、表面弾性波15,16の周波数が1GHzで
ある場合も、前述の の関係が成立している。
そして波数ベクトル 導波光L1の波長をλとするとn・2π/λ(nは屈折
率)で、この波長は導波光L2、L3についても同じである
から、結局常に であり、一方表面弾性波15の波数ベクトル の大きさはその波長を∧とすると2π/∧で、この波長
は常に表面弾性波16の波長と等しいから である。また波数ベクトル の向きは、先に説明したように表面弾性波15、16の周波
数が2GHzから1GHzに変化する際に、それぞれ固有の一定
変化率で変化する。したがって、表面弾性波15,16の周
波数が上記のように2GHzから1GHzに変化する間、常に前
述の の関係が成り立ち、導波光L1と表面弾性波15とのブラッ
グ条件、導波光L2と表面弾性波16とのブラッグ条件が常
に満たされる。
以上の説明から明らかなように、表面弾性波15、16の周
波数が2GHz、1GHzのとき、2回回折した導波光L3の進行
方向はそれぞれ第3図(1)のベクトルlk3、第3図
(2)のベクトル の向き(第2図に,′で示す向き)であり、その差
は2Δ(2θ)=24−12=12°である。つまり本装置に
あっては、光導波路内において12°の広偏向角範囲が得
られる。ちなみに、周波数が1GHzから2GHzまで変化する
(2次回折光の影響を受けないように周波数帯域を1オ
クターブとする)1つの表面弾性波のみで光ビーム偏向
を行なう場合には、偏向角範囲は6°となる。
なお表面弾性波15、16の周波数を1GHzよりもさらに低く
すれば、導波光L3は第3図(2)に′で示した位置よ
りもさらに大きく偏向する。しかしこの位置には、上記
周波数が2GHzのとき僅かであるが1回回折の導波光L2
出射するので、本実施例におけるように第3図(2)の
〜′の範囲を光ビーム偏向範囲として利用するのが
好ましい。
光導波路12から出射した光ビームL4の偏向角範囲Δδ
は、上述の光導波路内の偏向角範囲2Δ(2θ)よりも
さらに広くなる。これは、光導波路12の屈折率が空気の
屈折率よりも大きいためである。
以上の説明では、表面弾性波15、16の周波数を2GHzから
1GHzに連続的に変化させるようにしているが、この反対
に1GHzから2GHzまで変化させるようにしてもよい。この
場合は光ビームL′の偏向の方向が逆になるだけであ
る。また上記周波数を2→1→2→1GHzとなるように変
化させれば、光ビームL′が往復で偏向するようにな
り、光ビームの往復走査が可能となる。
また以上説明の実施例では、周波数2GHzの表面弾性波15
に対する導波光L1の入射角(つまり第1の傾斜指チャー
プIDT17の2GHzを励振する電極指と導波光L1の進行方向
がなす角度)を6°とし、第1の傾斜指チャープIDT17
の1GHzを励振する電極指が上記導波光L1の進行方向とな
す角を3°、一方第2の傾斜指チャープIDT18の2GHz、1
GHzを励振する電極指が上記進行方向となす角をそれぞ
れ18°、9°としているが、一般に表面弾性波15、16の
最小、最大周波数をf1、f2(f2=2f1)とする場合に
は、上記の例において6°、3°、18°、9°と設定さ
れた各角度を各々θ、θ/2、3θ、3θ/2とすれば、い
かなる場合も常に前述のブラッグ条件を満足させること
が可能となる。このことは、第3図(1)、(2)を参
照すれば自明であろう。
なお傾斜指チャープIDT17、18の形状を上記θで規定さ
れる形状とする場合においても、表面弾性波15、16の最
小、最大周波数f1、f2をf2=2f1となるように設定する
ことは必ずしも必要ではなく、例えば最大周波数f2を2f
1なる値よりもやや小さめに設定しても構わない。しか
し上記のような形状に傾斜指チャープIDT17、18を形成
する以上はこのIDT形状を最大限活かして、最小周波数f
1のとき発生する2次回折光が偏向角範囲に入り込まな
いで最大偏向角範囲が得られるようになるf1からf2=2f
1の間で表面弾性波周波数を変化させるのが好ましい。
さらに本発明においては、表面弾性波15、16の最小、最
大周波数f1、f2をf2=2f1となるように設定し、また表
面弾性波15、16の周波数を常に互いが等しくなるように
変化させることは必ずしも必要ではなく、表面弾性波1
5、16の周波数および進行方向を個別に変化させても、
第1、第2の傾斜指チャープIDT17、18の形状および配
置状態によって前述の の関係を満たすことが可能である。
しかし、上記実施例におけるように、表面弾性波15、16
の周波数を同じように変化させれば、2つの傾斜指チャ
ープIDTを共通のドライバーで駆動可能となり、高価な
ドライバーが1つで済むので好都合である。
また本発明による第2の装置においては、以上説明した
傾斜指チャープIDT17、18に代えて、電極指間隔が段階
的に変化しかつ各電極指が円弧状をなすいわゆる湾曲指
IDTを使用して、第1、第2の表面弾性波の周波数およ
び進行方向を連続的に変化させる。第4図はこの湾曲指
IDTの配置例を示している。この例においては第1の湾
曲指IDT117も、第2の湾曲指IDT118も図中右端の電極指
部分が最大周波数f2の表面弾性波15、16を発生し、左端
の電極指部分が最小周波数f1の表面弾性波15、16(図中
破線で示す)を発生するように構成されている。この場
合もf2=2f1とするのであれば、最大周波数f2の第1の
表面弾性波15に対する導波光L1の入射角をθとして、第
1の湾曲指IDT117の左端の電極指部分が上記導波光L1
進行方向に対してθ/2の角度をなし一方第2の湾曲指ID
T118の右端、左端の電極指部分が上記導波光L1の進行方
向に対してそれぞれ3θ、3θ/2の角度をなすように両
IDT117、118を作成、配置すればよい。
また光導波路12を前述のTi拡散LiNbO3に代えてZnOから
なる光導波路にした場合には、一例として表面弾性波1
5、16の最大、最小周波数を1.0GHz、0.5GHzすると、2
Δ(2θ)=8°程度の偏向角範囲が得られる。
また本発明においては、光導波路に3つ以上の表面弾性
波を伝播させ、これらの表面弾性波によって導波光を3
回以上回折、偏向させるようにしてもよい。この装置に
おいても、隣り合う2つの表面弾性波により以上述べた
通りの作用効果が得られる訳であるから、このような光
偏向装置も本発明の装置に含まれるものとする。
さらに、光ビームを光導波路12内に入射させ、またそこ
から外部に出射させるためには、前述のFGC13、14の
他、カプラープリズム等を用いてもよいし、あるいは光
導波路12の端面から直接光ビームを入射、出射させるよ
うにしてもよい。また発散ビームである光ビームLを平
行ビーム化したり、光導波路12から出射する光ビーム
L′を集束させるためには、導波路レンズや通常の外部
レンズを用いることもできる。
(発明の効果) 以上詳細に説明した通り本発明の光偏向装置において
は、表面弾性波によって一度偏向させた光ビームをさら
に別の表面弾性波によって偏向させて広偏向角範囲を得
るようにしているので、複数のIDTをスイッチング作動
させる場合のように偏向された光ビームの光量が偏向角
に応じて変動してしまうことがない。したがって本発明
装置によれば精密な光ビーム走査記録あるいは読取りが
可能となり、また上記のように広偏向角範囲が得られる
から光偏向装置から被走査面までの距離を短くして、光
走査記録装置や読取装置の小型化を達成することができ
る。
そして本発明装置においては、個々の表面弾性波の周波
数を著しく高く設定しなくても上述のように広偏向角範
囲が得られるようになっているから、表面弾性波発生手
段としてIDTを用いる場合にはその線幅を極端に小さく
設定する必要がなく、このIDTを現在確立されている技
術によって容易に製造可能となる。また上記の通りであ
るから、IDTに印加する交番電圧の周波数も著しく高く
設定する必要がなくなり、したがってIDTのドライバー
が容易かつ安価に形成可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例装置を示す概略斜視図、 第2図は上記実施例装置の一部を拡大して示す平面図、 第3図は本発明における光ビーム偏向の仕組みを説明す
る説明図、 第4図は本発明において用いられる表面弾性波発生手段
の他の例を示す平面図である。 10……光偏向装置、11……基板 12……光導波路 13……光ビーム入射用FGC 14……光ビーム出射用FGC 15……表面弾性波、16……表面弾性波 17……第1の傾斜指チャープIDT 18……第2の傾斜指チャープIDT 19……高周波アンプ 20……スイーパー、21……光源 117……第1の湾曲指IDT 118……第2の湾曲指IDT L1……第1の表面弾性波に入射する前の導波光 L2……第1の表面弾性波を通過した導波光 L3……第2の表面弾性波を通過した導波光 lk1……導波光L1の波数ベクトル lk2……導波光L2の波数ベクトル lk3……導波光L3の波数ベクトル lK1……第1の表面弾性波の波数ベクトル lK2……第2の表面弾性波の波数ベクトル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−164718(JP,A) IEEE TRANSACTIONS ON CIRCVITS AND SYS TEMS Vol.CAS−26,No. 12,P.1072〜1098

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面弾性波が伝播可能な材料から形成され
    た光導波路と、 この光導波路内を進行する導波光の光路に交わる方向に
    進行して該導波光を回折、偏向させる第1の表面弾性波
    を前記光導波路において発生させる第1の表面弾性波発
    生手段と、 回折された前記導波光の光路に交わる方向に進行して該
    導波光を、前記回折による偏向をさらに増幅させる方向
    に回折、偏向させる第2の表面弾性波を前記光導波路に
    おいて発生させる第2の表面弾性波発生手段とからな
    り、 前記第1、第2の表面弾性波発生手段がそれぞれ、電極
    指間隔が段階的に変化しかつ各電極指の向きが段階的に
    変化する傾斜指チャープ交叉くし形電極対と、該電極対
    に周波数が連続的に変化する交番電圧を印加するドライ
    バーとから構成され、 前記第1および第2の表面弾性波発生手段が、前記第1
    の表面弾性波によって回折される前、後の導波光の波数
    ベクトルをそれぞれ 第2の表面弾性波によって回折された導波光の波数ベク
    トルを 第1、第2の表面弾性波の波数ベクトルを としたとき、 なる条件を満たしながらそれぞれ第1、第2の表面弾性
    波の周波数および進行方向を連続的に変化させるように
    形成されていることを特徴とする光偏向装置。
  2. 【請求項2】前記第1、第2の表面弾性波発生手段がと
    もに、周波数f1〜f2(f22f1)の間で互いに同じ値を
    とりながら周波数が変化する表面弾性波を発生するよう
    に構成され、 周波数f2の第1の表面弾性波に入射する導波光L1の入射
    角をθとすると、第1の表面弾性波発生手段を構成する
    前記傾斜指チャープ交叉くし形電極対が、周波数f1の第
    1の表面弾性波を発生する部分の電極指が前記導波光L1
    の進行方向に対してθ/2の角度をなし、 第2の表面弾性波発生手段を構成する前記傾斜指チャー
    プ交叉くし形電極対が、周波数f2,f1の表面弾性波を発
    生する部分の電極指がそれぞれ前記導波光L1の進行方向
    に対して3θ,3θ/2の角度をなすように形成されている
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の光偏向装
    置。
  3. 【請求項3】前記第1、第2の表面弾性波発生手段を構
    成する各傾斜指チャープ交叉くし形電極対が、共通のド
    ライバーによって駆動されることを特徴とする特許請求
    の範囲第2項記載の光偏向装置。
  4. 【請求項4】表面弾性波が伝播可能な材料から形成され
    た光導波路と、 この光導波路内を進行する導波光の光路に交わる方向に
    進行して該導波光を回折、偏向させる第1の表面弾性波
    を前記光導波路において発生させる第1の表面弾性波発
    生手段と、 回折された前記導波光の光路に交わる方向に進行して該
    導波光を、前記回折による偏向をさらに増幅させる方向
    に回折、偏向させる第2の表面弾性波を前記光導波路に
    おいて発生させる第2の表面弾性波発生手段とからな
    り、 前記第1、第2の表面弾性波発生手段がそれぞれ、電極
    指間隔が段階的に変化しかつ各電極指が円弧状をなす湾
    曲指交叉くし形電極対と、該電極対に周波数が連続的に
    変化する交番電圧を印加するドライバーとから構成さ
    れ、 前記第1および第2の表面弾性波発生手段が、前記第1
    の表面弾性波によって回折される前、後の導波光の波数
    ベクトルをそれぞれ 第2の表面弾性波によって回折された導波光の波数ベク
    トルを 第1、第2の表面弾性数の波数ベクトルを としたとき、 なる条件を満たしながらそれぞれ第1、第2の表面弾性
    波の周波数および進行方向を連続的に変化させるように
    形成されていることを特徴とする光偏向装置。
  5. 【請求項5】前記第1、第2の表面弾性波発生手段がと
    もに、周波数f1〜f2(f22f1)の間で互いに同じ値を
    とりながら周波数が変化する表面弾性波を発生するよう
    に構成され、 周波数f2の第1の表面弾性波に入射する導波光L1の入射
    角をθとすると、第1の表面弾性波発生手段を構成する
    前記湾曲指交叉くし形電極対が、周波数f1の第1の表面
    弾性波を発生する部分の電極指が前記導波光L1の進行方
    向に対してθ/2の角度をなし、 第2の表面弾性波発生手段を構成する前記湾曲指交叉く
    し形電極対が、周波数f2,f1の表面弾性波を発生する部
    分の電極指がそれぞれ前記導波光L1の進行方向に対して
    3θ,3θ/2の角度をなすように形成されていることを特
    徴とする特許請求の範囲第4項記載の光偏向装置。
  6. 【請求項6】前記第1、第2の表面弾性波発生手段を構
    成する各湾曲指交叉くし形電極対が、共通のドライバー
    によって駆動されることを特徴とする特許請求の範囲第
    5項記載の光偏向装置。
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EP87117581A EP0270027B1 (en) 1986-11-28 1987-11-27 Optical deflecting apparatus
US07/127,020 US4929042A (en) 1986-11-28 1987-11-27 Variable acoustical deflection of an optical wave in an optical waveguide
DE3750694T DE3750694T2 (de) 1986-11-28 1987-11-27 Optische Ablenkeinrichtung.

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GB2139842A (en) * 1983-05-11 1984-11-14 Standard Telephones Cables Ltd Acoustic optic device

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