JPH07783B2 - ニトロソジフェニルアミン誘導体からなる光安定化剤及びその利用物 - Google Patents

ニトロソジフェニルアミン誘導体からなる光安定化剤及びその利用物

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JPH07783B2
JPH07783B2 JP1120539A JP12053989A JPH07783B2 JP H07783 B2 JPH07783 B2 JP H07783B2 JP 1120539 A JP1120539 A JP 1120539A JP 12053989 A JP12053989 A JP 12053989A JP H07783 B2 JPH07783 B2 JP H07783B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は光安定化剤に関し、特に光退化性有機物質の光
に対する安定性を改善するための光安定化剤、更に特定
的にはシアニン色素の光安定化剤及びその利用に関す
る。本明細書中で光退化性有機物質とは光の照射により
退化、劣化、変化、退色、変色等の変化をする有機物質
を総称するが、特にシアニン色素を重要な対象としてい
る。
[従来の技術] 従来から有機色素は繊維やプラスチックスの着色や分析
用指標(指示薬)、写真用感光剤等に広く用いられてき
た。最近は機能性色素として従来と異なった考え方でそ
の利用を図っている。例えば色素レーザー、光エネルギ
ー変換、光記録があげられる。これらのうちいかなる用
途に用いられるかにかかわらず、色素にはいくつかの課
題がある。
有機色素の薄膜を記録層として用いた光記録媒体もよく
知られている。このような光記録媒体に用いられている
色素は、光記録媒体の製造後長い時間が経過すると、そ
の間に記録媒体が様々な形態で光にさらされるため、光
劣化を起こし色素の持つ記録特性が悪くなるため、この
ような原因による記録媒体の光劣化を防止することが重
要な課題となっている。この種の光記録媒体の光劣化防
止法としては種々の光安定化剤を添加することが行なわ
れているが、従来使用されてきた光安定化剤は耐光性及
び色素との相溶性が充分でなく、そのため記録層の保存
性や記録再生特性も充分満足できるものではなかった。
一方、記録媒体の薄膜形成は通常、蒸着、塗布などの方
法によって行なわれるが、塗布による薄膜形成方法は他
の方法に比し大面積化、容量性等の点で工業的に有利で
ある。塗布法が採用できるためには全ての記録媒体が溶
剤に溶解できなければならない。しかし、従来用いられ
てきた記録媒体材料のうち、有機色素は一般の有機溶剤
に比較的良く溶解するものが多いが、光安定化剤は溶解
性の悪いものが多く、このため塗布方法により記録媒体
用薄膜を形成することは困難であるという欠点があっ
た。
色素に求められる不可欠の特性には染着性および洗濯堅
牢度がよいこと、濃度が適度に高いこと、日光堅牢度が
高いこと等がある。シアニン色素はその色相の鮮明なこ
と、濃度が濃い(分子吸光係数が大きい)ことなどから
着目されていたが日光堅牢度が悪いためその用途は限定
されていた[堀口、合成染料、p.311(三共出版)]。
日光堅牢度の向上に関する方法としては、長波長域に光
吸収を有する金属錯体を添加する方法(特開昭59−2158
92号、同62−193891号、同62−207688号、同63−199248
号、同63−19293号)、酸素による退色を抑制する物質
を添加する方法(特開昭59−55705号)、メチン連鎖の
なかに環を導入する方法(特開昭62−187088号、同62−
196180号、同62−207684号、同63−33477号)等が提案
されている。しかしこれらの提案のいずれも問題を十分
に解決してはいない。また、金属錯体の添加や色素の構
造改良による方法は色素を各種溶剤に溶解しにくくする
ことが多いという欠点も持っている。
[発明が解決しようとする課題] 従来行なわれてきた添加剤の使用あるいは色素構造の改
良等による光安定化方法は溶剤特に極性溶剤に対する色
素の溶解性を悪くするため、使用方法及び使用量の点か
ら問題の解決に不満足な場合が多かった。そこで色素に
対する光安定化効果が良好であるばかりでなく、溶剤に
対する溶解性が良く、色素との相溶性が良好で色素の溶
解性をも損なわない添加剤として使用できる光安定化剤
を開発し、これを各種光劣化反応の防止に役立つ光安定
化剤として利用すること、たとえば、有機色素特にシア
ニン色素の光安定化剤として利用すること、又は、有機
色素を光記録用薄膜として用いる光記録媒体の保存性や
記録再生特性を改善するための光安定化剤として提供す
ること等が本発明の解決しようとする課題である。
[課題を解決するための手段] 有機色素は光照射により退色あるいは変色するがその機
構は定かでないものが多い。その原因は色素の構造と環
境(例えば基質、大気とその汚染物質、湿度、温度な
ど)との相互作用があるからである。色素の光退色機構
について記したまとまった文献としてCharles H.Giles
およびRobert B.Mckayの総説“The Lightfastness of D
yes.A Review"; Textile Research Journal 33巻p.527
(1963);北尾、“機能性色素の化学"p.65(シーエム
シー);赤松、平島、他、“光化学の利用"p.169(共立
出版)等があるが、シアニン色素の光退色機構及び光安
定化条件については明示されていない。そこで本発明者
らは鋭意研究の結果、シアニン色素は光照射により自動
酸化でなく光分解(ラジカル分解)し、退色するという
仮説を立て、種々のラジカル分解抑制剤または同等の機
能を示すと予測される化合物の中からシアニン色素の光
安定化に効果のあるものを探索し非常に有効な一連の化
合物を見い出した。即ち下記の一般式(I)で表わされ
るニトロソジフェニルアミン誘導体である。これらは溶
剤特にメタノール、エタノール、アセトン等の汎用極性
溶剤によく溶解し、シアニン色素の好ましい諸特性を損
なうことなく溶剤中に共存せしめ得るので、同色素の光
安定化剤として使用する上で極めて好都合である。
一般式 (Rは低級アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、カル
ボキシル基、シアノ基、ヒドロキシエチル基、アミノ
基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、スルホン酸アミ
ド基及びその誘導体、カルボン酸アミド基及びその誘導
体からなる群より選ばれた1つまたは複数の置換基であ
る。) 尚、上記一般式で表わされる化合物からなる本発明の光
安定化剤は、同化合物単独の使用で効果があることは言
うまでもないが、本発明と同時に達成され本発明と同日
に特許出願された発明の名称がそれぞれ「ニトロソアニ
リン誘導体からなる光安定化剤及びその利用物」、「ニ
トロソ基を持つフェノール又はナフトールの誘導体から
なる光安定化剤及びその利用物」及び「1−ピクリル−
2,2−ジアリールヒドラジル遊離基からなる光安定化剤
及びその利用物」の特許出願明細書において開示された
光安定化剤の1種または2種以上と組み合わせて使用す
ることによっても所望の効果を発揮することができ、か
つ組み合わせによる特別の不都合は生じないことが確認
されている。上記の一般式(I)で表わされる構造を持
ち、本発明の実施に特に有利に使用できるニトロソジフ
ェニルアミン誘導体の具体例をいくつか挙げると次の通
りである。
(1)4−ニトロソジフェニルアミン (2)4−ニトロソ−2′−メチルジフェニルアミン (3)4−ニトロソ−3′−メチルジフェニルアミン (4)4−ニトロソ−4′−メチルジフェニルアミン (5)4−ニトロソ−4′−メトキシジフェニルアミン (6)4−ニトロソ−4′−エトキシジフェニルアミン (7)4−ニトロソ−4′−アミノジフェニルアミン (8)4−ニトロソ−4′−ジメチルアミノジフェニル
アミン (9)4−ニトロソ−4′−カルボキシジフェニルアミ
(10)4−ニトロソ−4′−ニトロジフェニルアミン (11)4−ニトロソ−4′−シアノジフェニルアミン これらの光安定化剤は、光安定化するための有機物質と
共に、1種類単独で使用することもできるし、2種類以
上組み合わせて使用することもできる。
光安定化剤の使用量は通常シアニン色素等の光退化性有
機物質1モルに対し0.01〜1モルでよいが必要度に応じ
て増減することができる。好ましくはシアニン色素を1
モルに対し0.1〜1モルである。もっとも多く使用する
こともできるが当然色濃度がうすくなり、用途によって
は目的の色濃度が得られない場合も生じ得る。また、使
用量が少ない場合には効果が明確でないことがある。
本発明の光安定化剤によって安定化させることのできる
光退化性有機物質としては、ポリメチン系色素、トリア
リールメタン系色素、ピリリウム系色素、フェナンスレ
ン系色素、テトラデヒドロコリン系色素、トリアリール
アミン系色素、スクアリリム系色素、クロコニックメチ
ン系色素、メロシアニン系色素等が例示できる。使用で
きる特に好ましいシアニン色素としては、インドレニン
系シアニン色素、チアゾール系シアニン色素等があり、
さらに望ましいシアニン色素としては、インドジカルボ
シアニンが例示できる。
以下実施例により説明するがこれらは単に例示のために
示すものであって、本発明をこれらに限定するためのも
のではない。実施例においては被着色体としての基質は
ガラス板又はポリカーボネート(PC)板としたが、勿論
他の基質、たとえば繊維、紙、フィルム等を用いる場合
も同等の効果が得られる。また溶解する溶剤としてはエ
タノールの使用例を示した。これは他の極性溶剤も使用
できるが、毒性、揮発性、基質に対する侵食性等を考慮
に入れるとエタノールが最良であったからである。
[実施例1] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK2421(株式
会社日本感光色素研究所製シアニン色素)3.0重量部及
び4−ニトロソジフェニルアミン(前記(1)の化合
物)1.0重量部を順次投入し、20〜30℃の温度で1時間
攪拌を続けた。次いで東洋濾紙No.2(定性用)を用いて
自然濾過を行ない、瀘液を用いてガラス板にスピンコー
ト法で塗布した。このようにして均等に塗布したガラス
板試片の最大吸収波長λmaxを測定基準として測定した
後、塗布面に上方に20cmの距離からランプ(入江製作所
製DR400T)の光を、前記λmaxの測定時を起点としてそ
れれぞれ3時間、6時間および9時間照射し、上記各所
定時間照射後その時点における最大吸収波長λmaxの測
定を行ない、前期測定基準とそれらの測定値とから退色
率を算出した。結果を第1表に示す。
[実施例2] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK2421を3.0重
量部及び4−ニトロソジフェニルアミンを0.1重量部順
次投入し、20〜30℃の温度で1時間攪拌を続けた。以後
の操作は実施例1の場合と全く同様に行ない、退色率を
算出した。結果を第1表に示す。
[比較例1] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK2421を3.0重
量部及び次の式で表わされる構造を持つジフェニルアミ
ン: 1.0重量部を順次投入し、20〜30℃の温度で1時間攪拌
を続けた。以後の操作は実施例1の場合と全く同様に行
ない、退色率を算出した。結果を第1表に示す。
[実施例3] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK1414(株式
会社日本感光色素研究所製シアニン色素)を3.0重量部
及び4−ニトロソ−4′−メチルジフェニルアミン(前
記(4)の化合物)0.3重量部を順次投入し、20〜30℃
の温度で1時間攪拌を続けた。以後の操作は基質として
PC板を用いたこと以外は実施例1と全く同様に行なっ
た。結果を第1表に示す。
[実施例4] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK1414を3.0重
量部、及び4−ニトロソ−4′−メトキシジフェニルア
ミン(前記(5)の化合物)0.5重量部を順次投入し、2
0〜30℃の温度で1時間攪拌を続けた。以後の操作は実
施例3と全く同様に行なった。結果を第1表に示す。
[実施例5] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK1414を5.0重
量部、及び4−ニトロソ−4′−メチルジフェニルアミ
ン(前記(4)の化合物)2.0重量部を順次投入し、20
〜30℃の温度で1時間攪拌を続けた。以後の操作は実施
例3と全く同様に行なった。結果を第1表に示す。
[実施例6] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK3219(株式
会社日本感光色素研究所製シアニン色素)4.0重量部及
び4−ニトロソ−4′−カルボキシジフェニルアミン
(前記(9)の化合物)1.0重量部を順次投入し、20〜3
0℃の温度で1時間攪拌を続けた。以後の操作は実施例
3と全く同様に行なった。結果を第1表に示す。
[比較例2] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK2421を3.0重
量部及びPA1006(三井東圧ファイン株式会社製ニッケル
錯体)0.5重量部を順次投入し、20〜30℃の温度で1時
間攪拌を続けたが溶解しない色素が多量にあった。以後
の操作は実施例3と同様に行なった。結果を第1表に示
す。
[比較例3] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK2421を3.0重
量部投入し、20〜30℃の温度で1時間攪拌を続けた。ジ
フェニルアミン誘導体は使用せず、その他の操作は実施
例3と同様に行なった。結果を第1表に示す。
[比較例4] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK1414を3.0重
量部投入、し20〜30℃の温度で1時間攪拌を行なった。
ジフェニルアミン誘導体は使用せず、その他の操作は実
施例3の場合と全く同様に行なった。結果を第1表に示
す。
[比較例5] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK1414を3.0重
量部、及びジフェニルアミンを1.0重量部順次投入し、2
0〜30℃の温度で1時間攪拌を行なった。その他の操作
は実施例3の場合と全く同様に行なった。結果を第1表
に示す。
[比較例6] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK3219を3.0重
量部投入し、20〜30℃の温度で1時間攪拌を行なった。
ジフェニルアミン誘導体は使用せず、その他の操作は実
施例3の場合と全く同様に行なった。結果を第1表に示
す。
[比較例7] エタノール100重量部に、かきまぜながらNK3219を3.0重
量部、及びジフエニルアミンを1.0重量部順次投入し、2
0〜30℃の温度で1時間攪拌を行なった。その他の操作
は実施例3の場合と全く同様に行なった。結果を第1表
に示す。
下記の第1表は各実施例及び各比較例の実験結果を総括
した光照射時間と退色率の関係を示すものである。
[発明の効果] 第1表に示す実験結果からわかるようにニトロジフェニ
ルアミン誘導体の光安定化剤としての使用効果は顕著な
ものがある。
なおこれらの化合物は有機溶剤特に汎用極性有機溶剤へ
の溶解性が良いため塗布法による製造が可能であり、量
的効果も期待できる(実施例1と2参照)。また、実施
例1(ガラス板使用)及び実施例3(プラスチック板使
用)の比較から基質の違いによる効果の差は小さく、ニ
トロソジフェニルアミン誘導体の使用はいずれの場合に
も有効であることがわかる。これらの誘導体を有機色素
の薄膜を記録層として用いる光記録媒体中に光安定化剤
として添加使用することにより記録層の保存性や記録再
生特性の優れた光記録媒体が得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (Rは低級アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、カル
    ボキシル基、シアノ基、ヒドロキシエチル基、アミノ
    基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、スルホン酸アミ
    ド基及びその誘導体、カルボン酸アミド基及びその誘導
    体からなる群より選ばれた1つまたは複数の置換基であ
    る。)で表わされるニトロソジフェニルアミン誘導体か
    らなる光安定化剤。
  2. 【請求項2】一般式 (Rは低級アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、カル
    ボキシル基、シアノ基、ヒドキシエチル基、アミノ基、
    ヒドロキシル基、アルコキシル基、スルホン酸アミド及
    びその誘導体、カルボン酸アミド基及びその誘導体から
    なる群より選ばれた1つまたは複数の置換基である。)
    で表わされるニトロソジフェニルアミン誘導体からな
    る、光退化性有機物質を光に対して安定化させるため
    の、光安定化剤。
  3. 【請求項3】前記有機物質が色素である請求項2記載の
    光安定化剤。
  4. 【請求項4】前記色素がシアニン色素である請求項3記
    載の光安定化剤。
  5. 【請求項5】一般式 (Rは低級アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、カル
    ボキシル基、シアノ基、ヒドロキシエチル基、アミノ
    基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、スルホン酸アミ
    ド基及びその誘導体、カルボン酸アミド基及びその誘導
    体からなる群より選ばれた1つまたは複数の置換基であ
    る。)で表わされるニトロソジフェニルアミン誘導体か
    らなる光安定化剤を含む光記録媒体。
  6. 【請求項6】前記光記録媒体がシアニン色素を含む記録
    媒体である請求項5記載の光記録媒体。
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