JPH077835A - ガス絶縁装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 導体に高電圧が課電されてもサージ抑制が可
能な信頼性の高いガス絶縁装置を提供する。 【構成】 導体３にアモルファス金属の磁性材と絶縁シ
ートとを交互に多数回巻回して形成したコア10を外装
し、さらにこのコア10を絶縁物11でモールドする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はガス絶縁装置に係り、特
に高周波サージを抑制し、過電圧が加わることを防ぐガ
ス絶縁装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】変電所に用いられる高電圧回路の開閉装
置として近年ガス絶縁装置が広く用いられている。この
ガス絶縁装置には母線、遮断器、断路器等があり、接地
された金属容器内に夫々の導体が絶縁支持された状態で
収納され、さらに金属容器内に絶縁性能の優れたＳＦ₆
ガスが封入されており絶縁が保持されている。このよう
なガス絶縁装置においては、その内部で発生したサージ
がほとんど減衰することなく次々に伝播する。また断路
器や遮断器の操作によって、ガス絶縁装置内に極めて高
い電圧の高周波サージが発生することは良く知られてい
る。この高周波サージは、運転電圧の数倍にも達するこ
とがあるため、絶縁スペーサやＳＦ₆ ガス空間において
絶縁破壊事故を引き起す可能性があった。

【０００３】そこで、この高周波サージを抑制するため
に以下の提案がなされている。ここで従来のガス絶縁母
線について図６を参照して説明する。１は接地された円
筒状の金属容器であり、この金属容器１内には絶縁スペ
ーサ２で絶縁支持された導体３が収納されている。この
導体３の周囲には渦電流損の少ないフェライト等の磁性
材を円筒状に形成した円筒部材４が配設されており、さ
らにこの円筒部材４の外周にはシールド５が配設されて
いる。このシールド５と円筒部材４との間にはギャップ
ｇが形成されている。

【０００４】このように構成することにより、磁性材か
らなる円筒部材４が有する大きなインダクタンス成分に
より、発生したサージを吸収することができ、サージを
低減することができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
導体に課電される電圧が高くなってきており、電圧が高
くなるに従い発生するサージエネルギーも増加する。こ
れに対し上述のようにフェライトのような渦電流損の少
ない磁性材を円筒状に形成した円筒部材４では発生した
サージエネルギーを吸収しきれず、高電圧時における大
きなサージ抑制効果を期待することができなかった。さ
らに高電圧となるためシールド５の先端部に形成されて
いるギャップｇの部分において絶縁破壊を生じるおそれ
があった。

【０００６】そこで本発明は上述のような問題点を解決
するために導体に高電圧が課電されている場合において
も、ガス絶縁装置内で発生したり、ガス絶縁装置に進入
してくるエネルギーの大きなサージを充分に抑制するこ
とができるサージ抑制装置を有するガス絶縁装置を提供
することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために接地容器内に導体を絶縁支持して収納しこの
接地容器内に絶縁ガスを封入したガス絶縁装置におい
て、前記導体に磁性材と絶縁シートとを交互に重ね合せ
多数回巻回して形成したコアを絶縁物で覆ったサージ抑
制装置を外装したガス絶縁装置を提供する。

【０００８】また、前記サージ抑制装置が筒状部材を介
して前記導体に外装されたガス絶縁装置を提供する。さ
らに上記のガス絶縁装置における磁性体としてアモルフ
ァス金属を用いたガス絶縁装置を提供する。

【０００９】

【作用】このように構成することにより、サージ抑制装
置にサージが侵入し磁性材間に高い電圧が発生するが磁
性材と絶縁シートとを交互に重ね巻きしているため磁性
材間が絶縁シートにより確実に絶縁されるので絶縁破壊
を防止することができる。またコアを絶縁物で覆ったの
でコア間の絶縁性能を確保することが可能となる。

【００１０】

【実施例】本発明によるガス絶縁装置の一実施例につい
て図１乃至図３を参照して説明する。なお図６と同一部
分には同一符号を用い説明は省略する。金属容器１内に
収納された導体３には金属あるいは絶縁物で形成された
円筒部材６が外装され、さらにこの円筒部材６にはサー
ジ抑制装置７が外装されている。このサージ抑制装置７
は図３に示すようにアモルファス金属等のヒステリシス
損の大きな磁性材８と絶縁シート９とを交互に重ね合せ
多数回巻回してコア10を形成し、このコア10を導体３の
長手方向に所定間隔をおいて複数個配置し、これらのコ
ア10をエポキシ樹脂等の絶縁物11で一体にモールドまた
は、コーティングして形成されている。

【００１１】次に本実施例の作用、効果について説明す
る。導体３に侵入してきた高周波サージは、アモルファ
ス金属等のヒステリシス損の大きな磁性材８によりサー
ジエネルギーが吸収される。その結果、サージを抑制す
ることができる。磁性材８の層間は磁性材８と交互に重
ね合せて巻回されている絶縁シート９により絶縁が充分
に保たれており、隣り合うコア10との間の絶縁は絶縁物
11により保持されている。このため磁性材８が層間及び
隣接するコア10間で絶縁破壊を生じることはない。磁性
材８にはアモルファス金属等のヒステリシス損の大きな
材料を用いているので侵入してきたサージエネルギーを
効果的に吸収し、侵入サージの電圧値及び電流値を大幅
に低減し、サージ抑制効果を発揮することができる。

【００１２】次に本発明によるガス絶縁装置の他の実施
例について図４及び図５を参照して説明する。なお図１
乃至図３、図６と同一部分には同一符号を付し説明は省
略する。前記実施例においては、導体３に外装した円筒
部材６を介してコア10を配設していたが、図４に示すよ
うに導体３の周りに直接アモルファス金属等のヒステリ
シス損の大きい磁性材８と絶縁シートとを交互に重ね合
わせて多数回巻回したコア10を配設し、このコア10を含
めた導体３全体を絶縁物11でモールドまたはコーティン
グしても良い。この実施例によっても前記実施例と同様
な効果を奏することができる。

【００１３】また図５に示すように複数のコア10をまと
めて絶縁物11によりモールドまたはコーティングしても
良い。この場合も前記実施例と同様な効果を奏すること
ができるとともにサージ抑制装置７の軸方向長さを短縮
することが可能となる。

【００１４】さらに上記の夫々の実施例における磁性材
８として焼鈍を施したアモルファス金属を用いることに
よりヒステリシス特性をより高角形化させることが可能
となる。従ってヒステリシス損がさらに大きくなり、吸
収エネルギー量が増大するのでサージ抑制効果をさらに
向上させることができる。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、導
体に磁性材と絶縁シートとを交互に重ね合せ多数回巻回
して形成したコアを絶縁物で覆ったサージ抑制装置を外
装させたので導体に高電圧が課電されてもサージ抑制が
可能となり、信頼性の高いガス絶縁装置を提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるガス絶縁装置の一実施例を示す斜
視図。

【図２】図１に示すガス絶縁装置の断面図。

【図３】図２に示すＡ部の拡大図。

【図４】本発明によるガス絶縁装置の他の実施例を示す
断面図。

【図５】本発明によるガス絶縁装置の他の実施例を示す
断面図。

【図６】従来のガス絶縁装置を示す断面図。

【符号の説明】

１…金属容器、３…導体、６…円筒部材、７…サージ抑
制装置、８…磁性材、９…絶縁シート、10…コア、11…
絶縁物。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 接地容器内に導体を絶縁支持して収納し
   この接地容器内に絶縁ガスを封入したガス絶縁装置にお
   いて、前記導体に磁性材と絶縁シートとを交互に重ね合
   せ多数回巻回して形成したコアを絶縁物で覆ったサージ
   抑制装置を外装したことを特徴とするガス絶縁装置。
2. 【請求項２】 前記サージ抑制装置を前記導体に筒状部
   材を介して外装したことを特徴とする請求項１記載のガ
   ス絶縁装置。
3. 【請求項３】 前記磁性体はアモルファス金属であるこ
   とを特徴とする請求項２または請求項３に記載のガス絶
   縁装置。