JPH0778310B2 - ポリエステル系繊維コーティング加工布及びその製法 - Google Patents

ポリエステル系繊維コーティング加工布及びその製法

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JPH0778310B2 JP63263412A JP26341288A JPH0778310B2 JP H0778310 B2 JPH0778310 B2 JP H0778310B2 JP 63263412 A JP63263412 A JP 63263412A JP 26341288 A JP26341288 A JP 26341288A JP H0778310 B2 JPH0778310 B2 JP H0778310B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、染料移行性のないポリエステル繊維コーティ
ング加工布及びその製法に関する。
[従来の技術] 現在、一般的に利用されているコーティング加工布とし
ては、ナイロン繊維を主体とした織編物で例えば、撥水
・防水、透湿・撥水、通気性、防災防融コーティング等
の加工を施した各種製品が衣料用または産業用として幅
広く利用されている。
ところが、近年になってナイロン繊維の原料の高騰から
ポリエステルとの価格差が一段と拡大されてきた。そこ
でナイロン繊維に替わるものとして、寸法安定性、強
度、耐光性、また素材の多様性等の特徴に優位性を有す
るポリエステル繊維のコーティング加工の開発が盛んに
行なわれるようになってきた。
しかし、ポリエステル繊維のコーティング加工布は、コ
ーティング膜へ染料が移行し著しく汚染するという致命
的な問題を有していた。この理由としては、例えばナイ
ロンの酸性染料染めのように繊維と染料が化学的に結合
されたものでなく、ポリエステル繊維の分散染料染めの
場合は、繊維基質を弛緩し、染料分子を物理的に押し込
んで染料を完結させたものであり、更に分散染料は有機
溶剤や合成樹脂に対して溶解性、親和性を有する特性
上、コーティング加工により繊維内の染料がコーティン
グ被膜層に移行すると考えられる。
従ってコーティング加工布において、濃色と淡色又は白
色のコーティング面が接触すると濃色側の染料が淡色又
は白色のコーティング面にまで容易に移行し、汚染を生
ずることになる。かかる問題に関しては、現在までに種
々検討が行なわれてきたが完全なものではなく実用化に
至っていないのが現状である。
また、特開昭60-45686号公報には、アルミニウム、銅、
銀等の金属微粉末、チタン酸カリウム、二酸化チタン、
酸化第二錫等の金属酸化物でかつ分散染料と相溶性の悪
い物質を用い、昇華する染料を阻止する方法が提案され
ているが、本発明は、移行してくる染料をすべて捕収し
て染料移行による汚染を防止するもので全く思想の異な
るものである。
また特公昭61-5502号公報には、SiO2がAl2O3で被覆され
たシリカゾルを建材の表面に塗布した後乾燥することに
より、着色物質の滲出による建材表面の着色汚損を防止
する方法が提案されているが、本発明におけるように、
分散染料で染色されたポリエステル繊維布帛のコーティ
ング製品における布帛から他の布帛への染料の移行を抑
えることを目的とするものとは全く異なり、木材などの
建材表面でのリグニン、タンニンあるいはコンゴーレッ
ドのような塩基性染料など着色物質の滲出、変色を抑え
ようとするものであって、目的も構成も全く異なるもの
である。
また、特開昭58-4873号公報および特公昭62-53632号公
報には、目的は全く異なるが、SiO2を主成分とする多孔
性粒子を含むポリウレタン樹脂皮膜を形成せしめた繊維
構造物に、パーフルオロアルキル基を有する撥水剤を付
与する繊維構造物の加工方法が提案されている。
しかし、これら両発明の目的とするところは、ポリウレ
タン樹脂中の粒子の微細孔を空気、蒸気の流路とするこ
とによって、通気性、透湿性を持った防水布帛を得よう
とするものである。
本発明は、分散染料で染色されたポリエステル繊維布帛
において、その移行し易い分散染料を孔の中に閉じこめ
て、布帛面から他の布帛面への移動・汚染を抑えようと
するものであり、これら両発明とは技術思想が異なるも
のである。
したがって、本発明においては、使用される二酸化ケイ
素としては、分散染料の分子の大きさを考慮して、孔の
大きさを設計してあるのに対して、前記特開昭58-4873
号公報および特公昭62-53632号公報にはそのような認識
と配慮はなされていない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結
果、本発明に到達した。本発明は、染料移行性のない、
かつ加工法の容易なポリエステル繊維コーティング加工
布及びその製法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は次の構成を有する。
(1)分散染料で着色されたポリエステル繊維構造物か
らなるコーティング加工布であって、孔径が150Åより
小さい微細孔を有すると共に、表面積500m2/g以上を有
する二酸化ケイ素がコーティング樹脂被膜中に含有され
ていることを特徴とするポリエステル繊維コーティング
加工布。
(2)分散染料で着色されたポリエステル繊維布帛のコ
ーティング加工に際し、孔径が150Åより小さい微細孔
を有すると共に、表面積500m2/g以上を有する二酸化ケ
イ素を含有するコーティング樹脂を用いてコーティング
加工することを特徴とするポリエステル繊維コーティン
グ加工布の製法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるコーティング加工布の特徴は、分散染料
と親和性、相溶性の小さい樹脂被膜や微粒子等で染料の
移行を阻止する従来の技術とは異なり、移行する染料を
すべて捕収し、染料移行汚染を防止しようとする技術思
想である。
本発明におけるポリエステル繊維構造物とは、ポリエス
テル100%の織編物、不織物はもとより、ポリエステル
繊維を必須とする混紡、混繊、交撚、交織、交編等いず
れに対しても可能であり特に限定されるものではない
が、ポリエステル100%やポリエステル高率混の方がそ
の効果が顕著である。
次に本発明におけるコーティング加工布の製造方法につ
いて述べる。
本発明に使用するコーティング用ポリエステル織編物の
染色は、特に限定された分散染料、または特別な染色条
件を必要とするものではなく、通常に染色されたものを
使用できる。
本発明の製法は、予めコーティング用の樹脂中に二酸化
ケイ素を分散せしめるものであり、使用する粒子の大き
さ(一次粒子が凝集して形成する二次粒子の大きさ)は
最大15μmで小さい方が良い。
また粒子中の細孔径の大きさは、150Åより小さいもの
が用いられる。好ましくは10Å〜100Åが効果の点で良
い。ここで粒子中の細孔径とは、二酸化ケイ素の単体、
すなわち、一次粒子の単体と単体の間隙を意味するもも
のである。
なお、本発明でいう細孔径とは、JIS−K1150に記載の水
銀圧入法による平均細孔直径の測定により求められるも
のである。すなわち、ポロシメーター(水銀圧入装置)
を用いて、外部から圧力を加え純粋な水銀をその圧力に
応じて逐次二酸化ケイ素の細孔内に充満させ、圧力と圧
入水銀量を測定し、圧力に対応する細孔直径に換算して
得られる細孔径分布から平均細孔直径を求めるのであ
る。圧力から細孔直径への換算は、具体的には下記式に
より算出される。
pD=−4γcosθ=1.5×104 D=1.5×104/p ここに、p:圧力[Pa] D:細孔直径[nm] θ:水銀の接触角(=140°) γ:水銀の表面張力(0.48N/m) また、細孔直径とは、二酸化ケイ素の一次粒子の単体と
単体の間隙である細孔を同一面積の円形とみなしたとき
のその直径を表すものである。
また二酸化ケイ素微粒子の有する表面積は、500m2/g以
上であることが重要である。500m2/g未満では本発明の
効果が不十分である。ここでいう表面積とは、一次粒子
の表面積の和をいう。
二酸化ケイ素の付着量としては、布帛重量に対して0.5
〜15重量%が好ましく、より好ましくは1.5〜10重量%
である。
本発明の製法に用いられるコーティング用樹脂として
は、ウレタン系、アクリル系、シリコン系、塩化ビニル
系、酢酸ビニル系など一般のコーティング加工に使用さ
れる各種樹脂剤を自由に選択することができる。
また、樹脂中に均一に二酸化ケイ素を分散させることが
重要であり、不均一分散は、汚染防止効果の低下および
コーティング品位を悪化する原因になる。
これら樹脂剤を用いたコーティング方法としては、特に
限定されるものではなく通常の方法で加工することがで
きる。
[発明の作用] 本発明は、単に二酸化ケイ素を予め繊維表面に付着させ
るか、またはコーティング用の樹脂中に含有せしめるこ
とにより意外にも昇華する染料を吸着し染料の移行を防
止する効果を示すものである。
以下実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこ
れらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例] (1)実施例中の染料移行汚染堅牢性の評価は次の方法
にしたがって行なった。
試験片(5cm×5cm)のコーティング面と非コーティング
面にポリエステル添付白布(試験片と同一の生地で試験
片と同一の樹脂をコーティングしたもの、5cm×5cm)の
コーティング面が接触するように、ガラス板2枚の間に
はさみ、200grの荷重をかけて恒温乾燥機(100℃±2
℃)中に48時間放置し、放冷後、試験片から添付白布へ
の染料移行状態を汚染用グレースケールで等級判定を行
なった。
なお、実施例、比較例の結果は第1表にまとめて示し
た。
(2)また実施例、比較例中に用いたコーティング用樹
脂は次のものを使用した。
ポリエステル系ポリウレタン樹脂 (クリスボン 8006HV :大日本インキ株式会社製) アクリル樹脂 (クリスコート P−1120:大日本インキ株式会社製) シリコーン樹脂 (東レシリコーンSD8001 :東レシリコーン株式会社) 実施例1 たて糸50デニール、よこ糸が75デニールのポリエステル
フィラメント糸使い平織物を分散染料レゾリン、ブルー
FBL(Resoline Blue FBL)3%o.w.f、温度130℃で60分
間染色し、通常の洗浄を行ない、乾燥後180℃のヒート
セットを行なってコーティング用染色布を得た。
次にポリエステル系ポリウレタン樹脂のデメチルホルム
アミド溶液中に粒子径3μm、細孔径50Å、更に表面積
が500m2/gを有する二酸化ケイ素(富士デヴィソン化学
株式会社製「サイロイド55シリーズ」の試作品)を樹脂
固型分量に対して15%分散せしめ、これをナイフコータ
ーでコーティングし、コーティング加工布を得た。
比較例1 実施例1と同様の方法で、粒子径20μm、細孔径210
Å、更に表面積が150m2/gの二酸化ケイ素(富士デヴィ
ソン化学株式会社製の試作品)を用いたコーティング加
工布を得た。
実施例2 コーティング樹脂にアクリル及びシリコン樹脂を用いる
以外は実施例1と同様の方法でコーティング加工布を得
た。
比較例2 二酸化ケイ素を除いたアクリル樹脂、シリコン樹脂をそ
れぞれ別々に用いた以外は実施例2と同様の方法でコー
ティング加工布を得た。
第1表から明らかのように本発明は、高い移行汚染堅牢
性を示した。これに対し比較例は、移行汚染堅牢性が劣
り実用性の認められないものであった。
[発明の効果] 本発明のポリエステル繊維コーティング加工布は、染料
移行が抑制され、汚染防止が著しく向上する。
しかも、従来のコーティング加工品にみられた表面のヌ
ルヌル感が消え、ドライタッチになる。
また使用する微粒子そのものが空気層を有するため、ウ
ィンタースポーツ用コーティング加工布においては保温
性も高める効果もある。
一方、加工法においても、非常に簡単かつ特別な装置も
必要とせず有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−4873(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分散染料で着色されたポリエステル繊維構
    造物からなるコーティング加工布であって、孔径が150
    Åより小さい微細孔を有すると共に、表面積500m2/g以
    上を有する二酸化ケイ素がコーティング樹脂被膜中に含
    有されていることを特徴とするポリエステル繊維コーテ
    ィング加工布。
  2. 【請求項2】分散染料で着色されたポリエステル繊維布
    帛のコーティング加工に際し、孔径が150Åより小さい
    微細孔を有すると共に、表面積500m2/g以上を有する二
    酸化ケイ素を含有するコーティング樹脂を用いてコーテ
    ィング加工することを特徴とするポリエステル繊維コー
    ティング加工布の製法。
JP63263412A 1988-10-19 1988-10-19 ポリエステル系繊維コーティング加工布及びその製法 Expired - Fee Related JPH0778310B2 (ja)

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