JPH0777790B2 - スチレン系樹脂複合材料およびその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂複合材料およびその製造方法

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JPH0777790B2
JPH0777790B2 JP63316168A JP31616888A JPH0777790B2 JP H0777790 B2 JPH0777790 B2 JP H0777790B2 JP 63316168 A JP63316168 A JP 63316168A JP 31616888 A JP31616888 A JP 31616888A JP H0777790 B2 JPH0777790 B2 JP H0777790B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、スチレン系樹脂複合材料およびその製造方法
に関し、さらに詳しくは主としてシンジオタクチック構
造を有するスチレン系重合体あるいはその組成物からな
る成形体の表面に、硬度が高くかつ優れた密着性を有す
るハードコート層を形成したスチレン系樹脂複合材料お
よびその製造方法に関する。
〔従来の技術および発明が解決しようとする課題〕
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、
結晶性ポリマーであり、アタクチック構造のスチレン系
重合体に比べて機械的強度,耐熱性,耐薬品性等にすぐ
れたものであるため、種々の用途が期待されている。し
かし、表面硬度や耐溶剤性においては、未だ充分でない
ため、各種のハードコート処理が検討されている。
ハードコート材としては、従来から、アクリル系及びシ
リコーン系のものが知られている。これらのうち、アク
リル系ハードコート材は、紫外線照射等により比較的に
容易に塗膜を形成することができるが、密着性及び硬度
の点で充分でない。他方、シリコーン系ハードコート材
は、プライマー処理を施すことにより密着性の良好な塗
膜を形成することができるが、熱硬化による硬化を必要
とするため、処理に長時間を要するという問題がある。
また、これらのハードコート材は、主としてシンジオタ
クチック構造のスチレン系重合体やその組成物から成る
成形体に対する密着性が悪い。
そこで、本発明者らは、上記シンジオタクチック構造を
有するスチレン系重合体から成る成形体に対して、1コ
ートで良好な密着性を有し、かつ塗膜硬度及び耐溶剤性
に優れた塗膜を形成できる材料を開発すべく、鋭意研究
を重ねた。
〔課題を解決するための手段〕
その結果、硬化性ホスファゼン化合物を基材である上記
スチレン系重合体にコートすると、硬度大きく、かつ基
材の密着性が良好な層を形成でき、密着性,硬度及び耐
溶剤性において優れた複合材料が得られることを見出し
た。本発明はかかる知見に基いて完成したものである。
すなわち、本発明は主としてシンジオタクチック構造を
有するスチレン系重合体あるいはその組成物からなる成
形体の表面に、硬化性ホスファゼン化合物を主体とする
層を形成してなるスチレン系樹脂複合材料を提供すると
共に、上記スチレン系重合体あるいはその組成物からな
る成形体の表面に、硬化性ホスファゼン化合物を主体と
する層を形成することを特徴とするスチレン系樹脂複合
材料の製造方法を提供するものである。
本発明において、成形体の素材として用いるスチレン系
重合体は、主としてシンジオタクチック構造を有するも
のであるが、ここで主としてシンジオタクチック構造と
は、立体化学構造が主としてシンジオタクチック構造、
即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖で
あるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位
置する立体構造を有するものであり、そのタクティシテ
ィーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)に
より定量される。13C−NMR法により測定されるタクティ
シティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例
えば2個の場合はダイアッド,3個の場合はトリアッド,5
個の場合はペンタッドによって示すことができるが、本
発明に言う主としてシンジオタクチック構造を有するス
チレン系重合体とは、通常はダイアッドで75%以上、好
ましくは85%以上、若しくはペンタッド(ラセミペンタ
ッド)で30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタク
ティシティーを有するポリスチレン,ポリ(アルキルス
チレン),ポリ(ハロゲン化スチレン),ポリ(アルコ
キシスチレン),ポリ(ビニル安息香酸エステル)およ
びこれらの混合物、あるいはこれらを主成分とする共重
合体を指称する。シンジオタクティシティーの低いスチ
レン系重合体では、耐熱性等の物性が従来のポリスチレ
ンと同等である。なお、ここでポリ(アルキルスチレ
ン)としては、ポリ(メチルスチレン),ポリ(エチル
スチレン),ポリ(イソプロピルスチレン),ポリ(タ
ーシャリーブチルスチレン)などがあり、ポリ(ハロゲ
ン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン),ポ
リ(ブロモスチレン),ポリ(フルオロスチレン)など
がある。また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、
ポリ(メトキシスチレン),ポリ(エトキシスチレン)
などがある。これらのうち特に好ましいスチレン系重合
体としては、ポリスチレン,ポリ(p−メチルスチレ
ン),ポリ(m−メチルスチレン),ポリ(p−ターシ
ャリーブチルスチレン),ポリ(p−クロロスチレ
ン),ポリ(m−クロロスチレン),ポリ(p−フルオ
ロスチレン)、更にはスチレンとp−メチルスチレンと
の共重合体をあげることができる(特開昭62−187708号
公報)。
また、本発明に用いるスチレン系重合体は、分子量につ
いては特に制限はないが、重量平均分子量が10,000以上
のものが好ましく、とりわけ50,000以上のものが最適で
ある。ここで、重量平均分子量が10,000未満のものは延
伸が充分にできない。さらに、分子量分布についてはそ
の広狭は制約がなく、様々なものを充当することが可能
である。なお、この主としてシンジオタクチック構造を
有するスチレン系重合体は、融点が160〜310℃であっ
て、従来のアタクチック構造のスチレン系重合体に比べ
て耐熱性が格段に優れている。
このような主としてシンジオタクチック構造を有するス
チレン系重合体は、例えば不活性炭化水素溶媒中または
溶媒の不存在下に、チタン化合物及び水とトリアルキル
アルミニウムの縮合生成物を触媒としてスチレン系単量
体(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を重合す
ることにより製造することができる(特開昭62−187708
号公報)。
本発明においては、上記のように主としてシンジオタク
チック構造を有するスチレン系重合体を用いるが、成形
性,延伸性,その他目的とする性質に応じて、熱可塑性
樹脂,ゴム,無機充填剤,酸化防止剤,核剤,可塑剤,
相溶化剤,着色剤,帯電防止剤等の各種添加剤を配合し
て組成物とすることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えばアタクチック構造のポリ
スチレン,アイソタクチック構造のポリスチレン,AS樹
脂,ABS樹脂などのスチレン系重合体をはじめ、ポリエチ
レンテレフタレートなどのポリエステル,ポリカーボネ
ート,ポリフェニレンオキサイド,ポリスルホン,ポリ
エーテルスルホンなどのポリエーテル,ポリアミド,ポ
リフェニレンスルフィド(PPS),ポリオキシメチレン
などの縮合系重合体、ポリアクリル酸,ポリアクリル酸
エステル,ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系
重合体,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,
ポリ4−メチルペンテン−1,エチレン−プロピレン共重
合体などのポリオレフィン、あるいはポリ塩化ビニル,
ポリ塩化ビニリデン,ポリ弗化ビニリデンなどの含ハロ
ゲンビニル化合物重合体などが挙げられる。
また、ゴムとしては、様々なものが使用可能であるが、
最も好適なものはスチレン系化合物をその一成分として
含むゴム状共重合体で、例えば、スチレン−ブタジエン
ブロック共重合体のブタジエン部分を一部あるいは完全
に水素化したゴム(SEBS),スチレン−ブタジエン共重
合体ゴム(SBR),アクリル酸メチル−ブタジエン−ス
チレン共重合体ゴム,アクリロニトリル−ブタジエン−
スチレン共重合体ゴム(ABSゴム),アクリロニトリル
−アルキルアクリレート−ブタジエン−スチレン共重合
体ゴム(AABS),メタクリル酸メチル−アルキルアクリ
レート−スチレン共重合体ゴム(MAS),メタクリル酸
メチル−アルキルアクリレート−ブタジエン−スチレン
共重合体ゴム(MABS)などが挙げられる。これらのスチ
レン系化合物をその一成分として含むゴム状共重合体
は、スチレン単位を有するため、主としてシンジオタク
チック構造を有するスチレン系重合体に対する分散性が
良好であり、その結果、物性の改善効果が著しい。
さらに用いることのできるゴムの他の例としては、天然
ゴム,ポリブタジエン,ポリイソプレン,ポリイソブチ
レン,ネオプレン,エチレン−プロピレン共重合体ゴ
ム,ポリスルフィドゴム,チオコールゴム,アクリルゴ
ム,ウレタンゴム,シリコーンゴム,エピクロルヒドリ
ンゴム,ポリエーテル・エステルゴム,ポリエステル・
エステルゴムなどが挙げられる。
さらに無機充填剤としては、繊維状のものであると、粒
状,粉状のものであるとを問わない。繊維状無機充填材
としてはガラス繊維,炭素繊維,アルミナ繊維等が挙げ
られる。一方、粒状,粉状無機充填材としてはタルク,
カーボンブラック,グラファイト,二酸化チタン,シリ
カ,マイカ,炭酸カルシウム,硫酸カルシウム,炭酸バ
リウム,炭酸マグネシウム,硫酸マグネシウム,硫酸バ
リウム,オキシサルフェート,酸化スズ,アルミナ,カ
オリン,炭化ケイ素,金属粉末等が挙げられる。
また酸化防止剤としては様々なものがあるが、特にトリ
ス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト,ト
リス(モノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト等
のモノホスファイトやジホスファイト等のリン系酸化防
止剤およびフェノール系酸化防止剤が好ましい。ジホス
ファイトとしては、一般式 〔式中、R1,R2はそれぞれ炭素数1〜20のアルキル基,
炭素数3〜20のシクロアルキル基あるいは炭素数6〜20
のアリール基を示す。〕 で表わされるリン系化合物を用いることが好ましい。
上記一般式で表わされるリン系化合物の具体例として
は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト;ジオクチルペンタエリスリトールジホスファイト;
ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト;ビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト;ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−
メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト;ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファ
イトなどが挙げられる。
また、フェノール系酸化防止剤としては、既知のものを
使用することができ、その具体例としては、2,6−ジ−
t−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジフェニル−
4−メトキシフェノール;2,2′−メチレンビス(6−t
−ブチル−4−メチルフェノール);2,2′−メチレンビ
ス〔4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フ
ェノール〕;1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−2−メチルフェニル)ブタン;2,2′−メチレンビス
(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール);2,2′
−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノー
ル);1,1,3−トリス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−2−メチルフェニル)ブタン;2,2−ビス−(5−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4
−n−ドデシルメルカプトブタン;エチレングリコール
−ビス〔3,3−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)ブチレート〕;1,1−ビス(3,5−ジメチル−
2−ヒドロキシフェニル)−3−(n−ドデシルチオ)
−ブタン;4,4′−チオビス(6−t−ブチル−3−メチ
ルフェノール);1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベン
ゼン;2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)マロン酸ジオクタデシルエステル;n−オク
タデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチ
ルフェニル)プロピオネート;テトラキス〔メチレン
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシン
ナメート)〕メタンなどが挙げられる。
上記の酸化防止剤は、前記の主としてシンジオタクチッ
ク構造を有するスチレン系重合体100重量部に対し、0.0
001〜2重量部、好ましくは0.001〜1重量部の割合で配
合される。ここで酸化防止剤の配合割合が0.0001重量部
未満であると分子量低下が著しく、一方、2重量部を超
えると機械的強度に影響があるため、いずれも好ましく
ない。
本発明においては、上記のようなスチレン系重合体ある
いはその組成物からなる成形体の表面に、硬化性ホスフ
ァゼン化合物を主体とする層を形成するが、この層を形
成する前の成形体の形状,成形方法,結晶化度などにつ
いては特に制限はなく、目的とする成形体に要求される
特性などに応じて適宜決定することがきる。例えば、そ
の形状は、フィルム状,シート状,繊維状,ボルト等の
容器などがあり、またその成形方法は、目的とする成形
品に応じて、押出成形,射出成形,熱成形,インフレー
ション成形,紡糸,延伸成形などを適用することができ
る。さらに、結晶化度については特に制限はなく、結晶
性,非晶性のいずれでもよい。また、必要に応じて、成
形後に熱処理を施したものも使用することができる。
本発明においては、特に、本発明のスチレン系重合体お
よびその組成物より得られた延伸フィルムあるいは更に
熱処理を施した延伸フィルムのほかに、ブロー成形によ
って得られた容器、溶融紡糸によって得られる繊維,不
織布、T−ダイなどを用いた押出成形によって得られる
シートなどが好適に使用される。
ここで、シートあるいは円筒状の成形体を成形するに
は、前記のスチレン系重合体あるいはその組成物を溶融
し、T−ダイ、円筒ダイ等のダイを取りつけ、押出機で
押し出すことにより成形することができる。この際、冷
却方法や条件により、結晶化度を調節できる。また、円
筒ダイより押し出されたものをブロー成形することによ
りボトル状にすることもできる。
さらに、複雑な形状の成形体を得るには、上記のように
して得たシートやチューブを更に熱成形等で成形するこ
とや、直接射出成形することができる。
本発明においては、このような成形体の表面に硬化性ホ
スファゼン化合物を主体とする層を設ける。
本発明に使用する硬化性ホスファゼン化合物は一般式 NP(A)(B) ・・・〔I〕 〔式中、a,bはa>0,b≧0であり、かつa+b=2を満
たす実数を示し、Aは重合硬化性基を示し、Bは非重合
硬化性基を示す。〕 で表わされる繰返し単位を有し、重合度が3以上である
化合物である。
本発明において成形体の表面に形成するハードコート層
は、上述の如く一般式〔I〕で表わされる繰返し単位を
有するホスファゼン化合物を主成分として含むコーティ
ング材を硬化させたものであるが、ここで一般式〔I〕
は、単一の化合物を表示するものではなく、数種の化合
物の混合物の平均値としての表示である。したがって、
各基の数を示すaおよびbは、必ずしも整数に限定され
ず、小数をも含む実数である。また、重合度についても
同様に3以上の範囲の整数のみならず、小数をも含む実
数である。
上記一般式〔I〕の繰返し単位をもつホスファゼン化合
物は、各置換基の種類により様々なものがある。
式中、Aは重合硬化性基を示すが、この重合硬化性基と
は、紫外線,可視光線や電子線の照射,化学的硬化剤の
使用あるいは加熱等により反応して硬化する官能基を意
味し、通常は反応性二重結合を有する基である。この反
応性二重結合を有する基としては、各種のものがある
が、例えばアクリロイル基,メタクロイル基あるいはア
リル基を含む官能基があげられる。
上記アクリロイル基を含む官能基あるいはメタクリロイ
ル基を含む官能基は、アクリロイルオキシ基やメタクリ
ロイルオキシ基、さらには 一般式 〔式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素
数1〜12(好ましくは1〜5)のアルキレン基(分岐ア
ルキレン基を含む)を示す。〕 で表わされるものである。
この一般式〔II〕で表わされる基の具体例としては、2
−ヒドロキシエチルメタクリレート,2−ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート,3−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート,2−ヒドロキシブチルメタクルレート,3−ヒドロキ
シブチルメタクリレート,4−ヒドロキシブチルメタクリ
レート,5−ヒドロキシペンチルメタクリレート,6−ヒド
ロキシ−3−メチルヘキシルメタクリレート,5−ヒドロ
キシヘキシルメタクリレート,3−ヒドロキシ−2−t−
ブチルプロピルメタクリレート,3−ヒドロキシ−2,2−
ジメチルヘキシルメタクリレート,3−ヒドロキシ−2−
メチル−2−エチルプロピルメタクリレートおよび12−
ヒドロキシドデシルメタクリレートなどのメタクリレー
ト類中の水酸基から水素原子を除いた残基、並びに2−
ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシプロピル
アクリレート,3−ヒドロキシプロピルアクリレート,2−
ヒドロキシブチルアクリレート,3−ヒドロキシブチルア
クリレート,4−ヒドロキシブチルアクリレート,5−ヒド
ロキシペンチルアクリレート,6−ヒドロキシ−3−メチ
ルヘキシルアクリレート,5−ヒドロキシヘキシルアクリ
レート,3−ヒドロキシ−2−t−ブチルプロピルアクリ
レート,3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルヘキシルアクリ
レート,3−ヒドロキシ−2−メチル−2−エチルプロピ
ルアクリレートおよび12−ヒドロキシドデシルアクリレ
ートなどのアクリレート類中の水酸基から水素原子を除
いた残基を挙げることができる。特に好ましい基は、2
−ヒドロキシエチルメタクリレート残基および2−ヒド
ロキシエチルアクリレート残基である。
また、このアクリロイル基やメタクリロイル基を含む官
能基は、上述の一般式〔II〕のもののほかに、 一般式 〔式中、R1及びR2は前記と同じである。〕 で表わされる官能基、すなわちヒドロキシアルキル置換
(メタ)アクリルアミドの水酸基から水素原子を除いた
残基、さらに一般式 〔式中、R1は前記と同じである。〕 で表わされる官能基、即ちアクリルアミドやメタクリル
アミドのアミノ基から水素原子を一個除いた残基をあげ
ることができる。
さらに、アリル基を含む官能基としては、アリル基その
もののほか、例えばアリルオキシ基(CH2=CH−CH2O
−)があるが、このアリルオキシ基に限らず、広く、 一般式 あるいは 〔式中、R1及びR2は前記と同じであり、R3及びR4はそれ
ぞれ独立に水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示
す。〕 で表わされる官能基、即ち水酸基を一個有するアリル化
合物の水酸基から水素原子を除いた残基をあげることが
できる。この一般式〔V〕〜〔VII〕で表わされる官能
基の具体例としては、 などのアリル化合物中の水酸基から水素原子を除いた残
基がある。
一方、一般式〔I〕中のBは、前述の如く式: R5M− ・・・〔VIII〕 あるいは で表わされる基を示す。ここで、式〔VIII〕中Mは酸素
原子,硫黄原子又はイミノ基を示し、R5は炭素数1〜18
のアルキル基あるいは炭素数1〜18のハロゲン化アルキ
ル基を示す。具体的には、メトキシ基,エトキシ基,プ
ロポキシ基,ブトキシ基,ペンチルオキシ基,ヘキシル
オキシ基,ヘプチルオキシ基,オクチルオキシ基などの
アルコキシ基,ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素な
ど)で置換された同様のアルコキシ基,メチルチオ基,
エチルチオ基,プロピルチオ基,ブチルチオ基,ペンチ
ルチオ基,ヘプチルチオ基,オクチルチオ基などのアル
キルチオ基,ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素な
ど)で置換された同様のアルキルチオ基,メチルイミノ
基,エチルイミノ基,プロピルイミノ基,ブチルイミノ
基,ペンチルイミノ基,ヘキシルイミノ基,ヘプチルイ
ミノ基,オクチルイミノ基などのアルキルイミノ基,ハ
ロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素など)で置換された
同様のアルキルイミノ基等をあげることができる。ま
た、式〔IX〕中Mは前記と同じであり、R6〜R10はそれ
ぞれ独立に水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜4のア
ルキル基又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基を示
す。式〔IX〕の基は、具体的には、フェノキシ基,チオ
フェニル基,ハロゲン化フェノキシ基(2,4,6−トリブ
ロモフェノキシ基,4−ブロモフェノキシ基,2−クロロフ
ェノキシ基,2,4−ジクロロフェノキシ基など)およびハ
ロゲン化チオフェニル基(4−クロロフェニルチオ基な
ど)、あるいはアニリンおよびハロゲン化アニリン(2
−クロロアニリン,2,4−ジクロロアニリン,2,4,6−トリ
ブロモアニリンなど)のアミノ基より水素原子を取り除
いた残基などをあげることができる。
また、前述の一般式〔I〕中のa,bについては、0<a
≦2,0≦b<2であり、かつa+b=2を満たす実数で
あればよいが、好ましくは0.6≦a≦2.0≦b≦1.4であ
る。
なお置換基Aは、一般式〔I〕のホスファゼン化合物を
主成分とするハードコート層が硬化する際に作用する基
であり、また置換基Bは、その硬化体の物性を調節する
とともに、重合性能を調節する作用を示す基である。し
たがって、a,bを適宜選定することにより、このホスフ
ァゼン化合物を主成分とするハードコート層を有する複
合材料の諸物性が規定されることとなる。
但し、a=0のものは硬化性を有しないので、このよう
なホスファゼン化合物は、本発明のハードコート層の成
分からは除外される。しかし、a=2,b=0のもの、即
ち、 一般式 NP(A) ・・・〔I′〕 で表わされる繰返し単位を有するホスファゼン化合物
は、本発明のハードコート層の成分として利用できる。
本発明に用いるホスファゼン化合物は、上述の一般式
〔I〕の繰返し単位を有するものであるが、その重合度
は3以上、好ましくは3〜10,000の範囲、さらに好まし
くは3〜18の範囲であり、とりわけ3あるいは4もしく
はそれらの混合物が最適である。また、一般式〔I〕の
繰返し単位が鎖状に結合(重合)したものもあるが、好
ましくは環状に結合(重合)したものである。
このようなホスファゼン化合物の具体例をあげると、次
の如くである。
で表わされる環状化合物 式 NP(OCH2CH=CH2 で表わされる環状化合物 式 NP(OC2H4O2CCH=CH2 で表わされる環状化合物 で表わされる環状化合物 式 NP{(OCH2CH3)(OC2H4O2CCH=CH2)} で表わされる環状化合物, で表わさる環状化合物, で表わされる環状化合物, で表わされる環状化合物, で表わされる環状化合物, で表わされる環状化合物および で表わされる環状化合物 などがある。
このようなホスファゼン化合物は、様々な方法により製
造することができ、特に制限はない。例えば置換基Aと
して一般式〔II〕で表わされる基を導入したいときは、
この一般式〔II〕に対応するヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート、即ち一般式 〔式中、R1,R2は前記と同じ。〕 で表わされるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
を用い、また置換基Aとして一般式〔III〕で表わされ
る基を導入したいときは、これに対応する一般式 〔式中、R1,R2は前記と同じ。〕 で表わされるヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミ
ドを用い、また置換基Aとして一般式〔IV〕で表わされ
る基を導入したいときは、これに対応する一般式 〔式中、R1は前記と同じ。〕 で表わされる(メタ)アクリルアミドを用い、あるいは
置換基Aとして一般式〔V〕〜〔VII〕で表わされる基
を導入したいときは、これに対応する一般式 あるいは 〔式中、R1,R3,R4は前記と同じ。〕 で表わされるアリルアルコール,アリルフェノール,ヒ
ドロキシ安息香酸のアリルエステルあるいはその誘導体
を用いる。
一方、置換基Bとして導入する一般式〔VIII〕で表わさ
れる基において、Mが酸素原子のときは R5OH 〔式中R5は前記と同じ。〕 で表わされるアルカノール,ハロゲン化アルカノールあ
るいはその誘導体を用い、Mが硫黄原子のときは R5SH 〔式中R5は前記と同じ。〕 で表わされるアルキルメルカプタン,ハロゲン化アルキ
ルメルカプタンあるいはその誘導体を用い、Mがイミド
基のときは R5NH2 〔式中R5は前記と同じ。〕 で表わされるアルキルアミン、ハロゲン化アルキルアミ
ンあるいはその誘導体を用いる。
また、置換基Bとして導入する一般式〔IX〕で表わされ
る基において、Mが酸素原子のときは一般式 式 〔式中、R6〜R10は前記と同じ。〕 で表わされるフェノール類を用い、またMが硫黄原子の
ときは、 一般式 式 〔式中、R6〜R10は前記と同じ。〕 で表わされるチオフェノール類を用い、さらにMがイミ
ノ基のときは、 一般式 式 〔式中、R6〜R10は前記と同じ。〕 で表わされるアニリンあるいはその誘導体を用いる。
これらの置換基Aを形成する化合物と置換基Bを形成す
る化合物とを、クロロホスファゼン(式(NPCl2
表わされる環状化合物あるいは式Cl4P・(NPCl2n-1
NPCl3で表わされる鎖状化合物、nは3以上、好ましく
は3〜18)などと反応させれば、所望する一般式〔I〕
のホスファゼン化合物が得られる。
なお、上記の置換基Bを形成する化合物が、アルコール
類,メルカプタン類,フェノール類やチオフェノール類
のときは、予め金属ナトリウムや金属カリウム等のアル
カリ金属を反応させてアルコラート類,フェノラート
類,メルカプチド,チオフェノラート類としておくこと
が好ましい。
また、上述の置換基A,Bをそれぞれ形成する化合物とク
ロロホスファゼンとの反応にあたっては、第三級アミン
等の脱ハロゲン化水素剤を用いることが好ましい。この
第三級アミンとしては、例えばトリメチルアミン,トリ
エチルアミン,トリイソプロピルアミン,トリ−n−プ
ロピルアミン,トリ−n−ブチルアミン,ピリジンおよ
びピコリンなどをあげることができ、このなかでもピリ
ジンが好適である。
さらに、この反応は通常有機溶媒中で行われる。用いる
有機溶媒としては、ベンゼン,トルエン,キシレン,ク
ロロホルム,シクロヘキサン,塩化メチレン,テトラヒ
ドロフラン,1,4−ジオキサンをあげることができる。こ
れらを単独であるいは組合せて使用することができる。
以上の如き反応により、成形体の表面に形成するハード
コート層の主成分であるホスファゼン化合物が得られ
る。
成形体表面にハードコート層を形成するには、上述のホ
スファゼン化合物、あるいは必要に応じてホスファゼン
化合物と共重合可能な単官能性単量体及び/又は多官能
性単量体及びハードコート層に常用の添加剤を含有させ
てコーティング材を調製し、これを成形体表面に塗布,
スプレーあるいは成形体を該コーティング材に浸漬し、
活性エネルギー線を照射したり、加熱するなどして硬化
させればよい。
ホスファゼン化合物と共重合可能な単官能性単量体、多
官能性単量体としては、アクリロイル基,メタクリロイ
ル基,ビニル基あるいはアリル基をもつ各種化合物な
ど、反応性二重結合を有する化合物をあげることができ
る。
また、添加剤としては、無機充填剤,有機充填剤,帯電
防止剤,紫外線防止剤などがあげられる。
無機充填剤としては、微粉末状のシリカ,アルミナ,ガ
ラス,セラミック等(溶剤分散型でもよい)を使用する
ことができる。
また、有機充填剤としては、微粉末状のアクリル樹脂な
どが挙げられる。
また、コーティング材(塗布液)は作業性,膜厚制御な
どのうえから有機溶剤で希釈して使用することができ
る。かかる有機溶剤として、メチルエチルケトン,メチ
ルイソブチルケトンなどのケトン類、2−プロパノー
ル,1−ブタノールなどのアルコール類、セロソルブ類、
酢酸エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素などを単
独あるいは適宜混合して使用することができる。
塗布後の硬化には上述のように活性エネルギー線(可視
光線,紫外線,電子線,X線,γ線など)照射や加熱硬
化、常温硬化などの方法を利用する。
なお、可視光線,紫外線を用いた硬化方法を利用する場
合は、反応開始剤(光増感剤)を使用する。かかる反応
開始剤は塗布液中に添加しておけばよい。反応開始剤の
例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケ
トン,ジベンゾイル,ベンゾイル,ベンゾインメチルエ
ーテル,ベンゾインエチルエーテル,p−クロロベンゾフ
ェノン,p−メトキシベンゾフェノン,ベンゾイルパーオ
キサイド,ジ−t−ブチルバーオキサイドおよびカンフ
ァキノンをあげることができ、これらを単独であるいは
組合せて使用することができる。さらには、2−メチル
−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ
−1−プロパノンなども好適に使用することができる。
また、加熱硬化あるいは常温硬化の方法による場合は、
重合開始剤として通常は過酸化物系の化合物およびアミ
ノ系の化合物を単独あるいは組合せて使用する。過酸化
物系の化合物の例としては、ベンゾイルパーオキサイ
ド;p−クロロベンゾイルパーオキサイド;2,4−ジクロロ
ベンゾイルパーオキサイド;t−ブチルヒドロパーオキサ
イド;ジ−t−ブチルパーオキサイド;ジクミルパーオ
キサイド;t−ブチルパーオキシアセテート;t−ブチルパ
ーオキシベンゾエートなどを挙げることができる。ま
た、アミン系の化合物の例としては、N,N,−ジエタノー
ル−p−トルイジン;ジメチル−p−トルイジン;p−ト
ルイジン;メチルアミン;t−ブチルアミン;メチルエチ
ルアミン;ジフェニルアミン;4,4′−ジニトロジフェニ
ルアミン;o−ニトロアミン;p−ブロモアニリン;2,4,6−
トリブロモアニリンなどを挙げることができる。
本発明のハードコート層を形成する成分の組成の一例を
次に示す。
(a) ホスファゼン化合物 100重量部 (b) 無機充填剤 0〜100重量部 (c) ホスファゼン化合物と共重合可能な単官能性単
量体及び/又は多官能性単量体 0〜100重量部 (d) 帯電防止剤 0〜10 重量部 〔(a)〜(c)の固形分100重量部に対して〕 (e) 有機溶剤 (f) 光開始剤あるいは熱重合開始剤0.05〜5重量部
〔(a)〜(c)の硬化性化合物100重量部に対して〕 有機溶剤は、必ずしも使用する必要はないが、前述の如
く作業性、硬化後の膜厚制御のうえから好ましくは前記
の(a)〜(e)の混合物の重量濃度が0.5〜60%とな
るように有機溶剤に溶解すればよい。
本発明においては、通常はハードコート層を0.01〜1000
μmの厚さに形成する。0.01μm未満では、機械的強度
が不充分であり、また1000μmを超えると可撓性が劣る
ことがある。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく
説明する。
参考例1(シンジオタクチック構造を有するポリスチレ
ン(SPS)の製造) 反応容器に、溶媒としてトルエン2と触媒成分として
シクロペンタジエニルチタニウムトリクロリド1ミリモ
ルおよびメチルアミノキサンをアルミニウム原子として
0.8モル加え、20℃においてこれにスチレン3.6を加
え、1時間重合反応を行なった。
反応終了後、生成物を塩酸−メタノール混合液で洗浄
し、触媒成分を分解除去した。ついで乾燥し、スチレン
系重合体(ポリスチレン;SPS)330gを得た。次に、この
重合体をメチルエチルケトンを溶媒としてソックスレー
抽出し、抽出残分95重量%を得た。このものの重量平均
分子量は290,000、数平均分子量は158,000であり、融点
は270℃であった。また、この重合体は、13C−NMRによ
る分析(溶媒:1,2−ジクロロベンゼン)から、シンジオ
タクチック構造に基因する145.35ppmに吸収が認めら
れ、そのピーク面積から算出したラセミペンタッドでの
シンジオタクティシティーは96%であった。
参考例2(SPSからなる成形体の製造) 上記参考例1で得られたSPSに、酸化防止剤として、ビ
ス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト及びテトラキス〔メチレン(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメー
ト)〕メタンをおのおの0.1重量部ずつ混合し、直径40m
mの二軸押出機にて押出して、ペレット化した。
得られたペレットを、直径40mmの一軸押出機の先端にT
ダイを取り付けた装置に供給し、シリンダー温度300
℃、Tダイ温度310℃の条件で押出し、肉厚1300μmの
シートを得た。このとき、シートの冷却用ロールは表面
温度30℃であった。
このようにして得られた延伸用原反シートは、透明で密
度1.04g/m3,ガラス転移温度100℃,結晶化度2%であっ
た。
次いでこのシートを、延伸温度120℃で縦横に2.5倍ずつ
同時延伸を行った。得られた延伸フィルムを格子状の固
定具に固定し、250℃で30秒間熱処理した。こ時のフィ
ルムの厚さは200μmであった。
参考例3(3mm厚のSPS平板の成形) 参考例2で製造したペレットを用いて射出成形機を用い
て溶融温度290℃、金型温度150℃で厚さ3mmの平板を得
た。この平板の結晶化度は49%であった。
製造例1 硬化性ホスファゼン化合物(A)の製造 2容のフラスコ内でヘキサクロロシクロトリホスファ
ゼン(式(NPCl2の環状化合物)86.8gを脱水したベ
ンゼン338gに溶解した。このベンゼン溶液に110gの炭酸
ナトリウム、155gのピリジンおよび0.23gのヒドロキノ
ンを加えて攪拌した。
別に2−ヒドロキシエチルメタクリレート200mlをベン
ゼン237mlに溶解し、この溶液を上記のフラスコ中に滴
下し、50℃で8時間かけて反応させた。さらに、室温で
15時間放置した後、濾過してピリジンの塩酸塩及び炭酸
ナトリウムを除去した。
濾液を水洗し、次いで芒硝を用いて乾燥させ、減圧蒸留
により溶剤を除去して、粘稠性の1,1,3,3,5,5−ヘキサ
(メタクリロイルエチレンジオキシ)シクロトリホスフ
ァゼン200gを得た。
製造例2 硬化性ホスファゼン化合物(B)の製造 温度計,攪拌装置,滴下ロート及びコンデンサーを取り
つけた2容のフラスコ内に、テトラヒドロフラン100m
l及び金属ナトリウム25.5gを投入した。この反応液中に
フェノール104g(1.11モル)を滴下し、滴下後、3時間
還流してフェノラートを得た。
次に、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン198g(0.55
5モル)をベンゼン400mlに溶解した溶液を上記フェノラ
ートを含むテトラヒドロフラン溶液中に滴下した。その
後、還流下に4時間かけて反応を進行させた。
次いで、反応液の温度を室温にまで戻し、ピリジン352g
(4.45モル)を加えた。さらに2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート381g(2.45モル)を滴下ロートから徐々に
滴下した後、60℃で20時間かけて反応させた。次いで、
析出した固体を濾別し、得られた瀘液中の溶媒を減圧蒸
留により除去し、残渣を充分乾燥させて黄色液状物452g
を得た。
実施例1及び2 硬化性ホスファゼン化合物(A)にイソプロピルアルコ
ールとメチルイソブチルケトンの(1:1重量比)混合溶
剤を添加し、粘度が10センチポイズになるように調整
し、光開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン(チバガイギー社製)を上記硬化性化合物に
対して3重量部添加した。溶解後、バーコーター(No.2
0)により参考例2及び3で製造したSPS樹脂成形品(厚
さ200μmのフィルム及び厚さ3μmの平板)に塗布
し、積算光量が500ミリジュール/cm2になるように紫外
線を照射し、膜厚6μmの塗膜をそれぞれ得た。
実施例3及び4 実施例1における硬化性ホスファゼン化合物(A)の代
わりに、硬化性ホスファゼン化合物(B)を用いた以外
は、実施例1と同様の操作により膜厚6μmの塗膜をそ
れぞれ得た。
比較例1 参考例3で製造した厚さ3mmのSPS平板をそのまま用い
た。
比較例2 市販のアクリル系コーティング材を用いて、実施例1と
同様の方法により幕厚6μmの塗膜を得た。
実施例1〜4及び比較例1,2で得られた塗膜の評価結果
を第1表に、評価条件と判定基準を第1表に示す。
〔発明の効果〕 以上の如く、本発明によれば、大きな硬度を有するとと
もに、基材への密着性に優れ、塗膜の剥離のない複合材
料が得られる。
したがって、本発明の複合材料は、硬度,耐候性,耐熱
性,耐溶剤性,耐薬品性などの物性に優れた塗膜を有す
る各種成形品、例えば建材,自動車部品等に有効に利用
することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主としてシンジオタクチック構造を有する
    スチレン系重合体あるいはその組成物からなる成形体の
    表面に、硬化性ホスファゼン化合物を主体とする層を形
    成してなるスチレン系樹脂複合材料。
  2. 【請求項2】主としてシンジオタクチック構造を有する
    スチレン系重合体あるいはその組成物からなる成形体の
    表面に、硬化性ホスファゼン化合物を主体とする層を形
    成することを特徴とするスチレン系樹脂複合材料の製造
    方法。
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