JPH077770Y2 - 運動靴底のスパイク取付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は主として陸上競技用、ゴ
ルフ用或いは野球用の運動靴の靴底に装着されるスパイ
ク取付装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の多くのスパイク付運動靴の靴底は
その主体がゴム、合成樹脂若しくはこれらの混用物の成
形物であり、該主体に取付けられるスパイク取付装置は
金属の成形物であり、かつ前記主体は該スパイク取付装
置の各ナットの埋込み部部位が他の部位より肉厚に形成
されていた。

【０００３】ところが金属の成形物である前記スパイク
取付装置の各ナットと合成樹脂の成形物は密着結合がし
難いので外れ易い。また前記主体は少なくともそのスパ
イク取付装置の各ナットの埋込み部位が肉厚であるから
重量が増大して軽快性を損なうのみならず特に前部踏付
部辺における屈曲性を低下するおそれがあった。

【０００４】

【本考案が解決しようとする課題】本考案は前述の従来
のスパイク取付装置を備えた運動靴の欠陥を克服してス
パイク取付装置における各ナットと各スパイクの結合及
びスパイク取付装置の各ナットと運動靴の靴底の結合が
強固であり、かつ靴底がより軽量であって、その曲性も
良好となるようなスパイク取付装置を提供することを課
題とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は前述の課題を解
決するために、スパイク取付装置の前記各ナットａは少
なくともその中央に前記のスパイクｂの軸１を嵌合する
透孔２及び同じくスパイクｂの軸１の下端の第２フラン
ジ３を嵌合する透孔又は凹み４並びに前記運動靴底の主
体ｃの下面側に埋設される第２突出片５と同じく前記主
体ｃの上面６に当接される第１突出片７を合成樹脂で成
形してなり、同じく前記各スパイクｂは軸１とその下端
の第２フランジ３及び該第２フランジ３より前記軸１の
先端８よりでかつ前記各ナットａの第１突出片７に当接
する第１フランジ９を金属で成形してなり、前記各ナッ
トａの合成樹脂の弾力により該各ナットａの透孔２及び
透孔又は凹み４内に前記各スパイクの第２フランジ３及
び軸１を嵌合固定することを新規な手段とする。

【０００６】

【作用】本考案のスパイク取付装置はその各ナットａが
運動靴底の主体ｃと同じ合成樹脂の成形物であるから、
これら各ナットａと主体ｃとが密着結合し易い、またこ
れら主体ｃと各ナットａ或いは各ナットａのみの合成樹
脂の弾力で各スパイクｂの結合、取り外しに利用でき
る。前記各ナットａはその第１突出片７の周縁沿いに１
個若しくは複数個の小突起１０若しくは１０、１０を設
けているので各スパイクｂが深く突き刺ったとき各スパ
イクｂの滑り止め及びキック力を助長できる。また更
に、各ナットａの第１突出片７と第２突出片５によっ
て、前記運動靴底の主体ｃを挟持できるのみならず、前
記主体ｃに膨出部の如き肉厚部分を設けない。

【０００７】

【実施例】本考案のスパイク取付装置は、運動靴底の主
体ｃの所定部位に、例えば図１で示すように陸上競技用
の場合は主として前部辺におけるスパイク取付部位に、
図２で示すようにゴルフ用或いは野球用の場合は主とし
て前部辺及び踵部辺におけるスパイク取付部位に取着さ
れる。また図４で示すような各ナットａと図６で示され
をりかつ前記各ナットａと結合する各スパイクｂから構
成されている。前記各ナットａは図１及び図３で示され
ているように通常３個乃至６個若しくそれ以上の個数の
ものが運動靴底の主体ｃに取着される。即ち前記各ナッ
トａは前記主体ｃの上面６とその少なくとも下面が当接
している第１突出片７と、同じく前記主体ｃの下面側に
少なくともその一部が埋め込まれている第２突出片５
と、前記各スパイクｂの軸１を嵌合する中央の透孔２
と、同じく前記各スパイクｂの第２フランジ３を嵌合す
る透孔若しくは凹み４及び、前記第１突出片７の周縁沿
いに突設した１個若しくは複数個の小突起１０若しくは
１０、１０等で構成されている。前記各ナットａはその
第１突出片７における前記中央の透孔２と小突起１０若
しくは１０、１０の間に前記各スパイクｂの第１フラン
ジ９を嵌合する嵌合凹み１２を設けることができる。こ
のような該各ナットａは、前記運動靴底の主体ｃと同様
に公知の合成樹脂を射出若しくは注入して成形する所謂
インジェクション製法よって成形される。

【０００８】次に各スパイクｂはその軸１の下端に前記
各ナットａの中央の透孔若しくは凹み４に嵌合される第
２フランジ部３と、同じく前記各ナットａの中央の透孔
２内に嵌合される軸１と、該軸１の上端にある先端８
と、該先端８と前記第２フランジ３の中間にあって前記
各ナットａの第１突出片７の上面側の嵌合凹み１２内に
嵌合される第１フランジ９等からなる金属の成形物であ
る。前記各スパイクｂは、公知のスパイク材例えば鋼
鉄、チタン鋼或いは鋼鉄材製のものの少なくとも先端部
辺の外表面にセラツミックの被膜を設けたもの或いは先
端部にタンガロイ（商品名）やイゲタロイ（商品名）の
如き超硬質のチップを熔着したものも必要に応じて用い
ることができる。

【０００９】

【別実施例】本考案のスパイク取付装置は、図１乃至図
４及び図６等で示された代表的な実施例で示すものの他
に、図１、図２、図５及び図７等で示されるものもあ
る。即ち本実施例に係るスパイク取付装置は、図５で示
されているような各ナットａと図７で示されている各ス
パイクｂがそれぞれネジ１４と１５で螺合結合されてな
るものである。即ち前記各ナットａは、前記運動靴底の
主体ｃと同様に合成樹脂の形成物であって、その中央に
前記各スパイクｂのネジ１５と螺合するネジ１４と、前
記主体ｃの上面に当接する第１突出片７と、同じくその
少なくとも上面が前記主体ｃの下方部分に埋め込まれて
いる第２突出片５と、前記第１突出片７の周縁沿いに突
設した１個若しくは複数個の小突起１０若しくは１０、
１０と同じく前記第１突出片７と前記ネジ１４の間にあ
って前記各スパイクｂの第１フランジ９を嵌合する嵌合
凹み１２等から形成されている。前記各スパイクｂは、
前記各ナットａのネジ１４と螺合するネジ１５と先端８
及び該先端８とネジ１５の間に前記各ナットの第１突出
片７の嵌合凹み１２内に嵌合される第１フランジ９等か
ら形成されている。

【００１０】なお、前記ネジ１４を有する各ナットａ
は、前記ネジ１４と螺合するネジ部品を各ナットａと同
じ容積のキャビティを有する下型の凹部の所定部位に固
定し、該ネジ部品を固定した下型を上型で密閉し、その
後にこれら上型と下型内のナット形キャビティ内に所望
の合成樹脂を射出し、射出した合成樹脂を硬化成形した
後に前記上型を除去し前記下型内からネジ部品付ナット
を型出し該ネジ部品付ナットからネジ部品を取り外して
所望ナットａを成形できる。これらの各ナットａはポリ
ウレタン樹脂、ナイロンの如き熱可塑性樹脂材で成形し
たものを用いればよい。

【００１１】

【考案の効果】本考案に係るスパイク取付装置の各ナッ
トａはこれを装着する運動靴底の主体ｃと同じ合成樹脂
の成形物であるから、前記主体ｃに密着結合し易い。ま
た前記主体ｃの所定部位に密着結合した各ナットａの中
央の透孔２と透孔若しくは凹み４内に各スパイクｂの第
２フランジ３及び軸１を各ナットａの弾力を利用して嵌
合結合及び取外しが容易にできるから各ナットａの交換
ができるので経済的である。更に各ナットａの第１突出
片７の周縁沿いに１個若しくは複数個の小突起１０若し
くは１０、１０を設けているから、各スパイクｂが深く
地面等に突き刺ったとき（地面等が柔らかいとき）、該
各スパイクｂの防滑力やキック力を助長できるので、靴
着用者のランニングスピードを増しかつ安全にランニン
グできる。更にまた、前記各ナットａの第１突出片７と
第２突出片５によって前記運動靴底の主体ｃを挟持して
いるので、各ナットａの前記主体ｃへの密着結合を強化
できるのみならず、前記主体ｃに膨大部の如き肉厚部分
を形成することがないので、前記該主体ｃが屈曲性を喪
失することがなくかつ、靴着用者のランニングや歩行の
フットワークをスムーズに行わせしめ、疲労を軽減する
ことができる等、実用的効果が大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るスパイク取付装置が装着された、
主として陸上競技用の運動靴の靴底の一部拡大平面略
図。

【図２】同じく、スパイク取付装着された、主としてゴ
ルフ用の運動靴の靴底の平面略図。

【図３】同じく、図１のＸ−Ｘ線に沿う横断面略図。

【図４】同じく、その主要部の一つであるナットの拡大
断面略図。

【図５】同じく、その別実施例のナットの拡大断面略
図。

【図６】同じく、その主要部の他の一つであるスパイク
の側面略図。

【図７】同じく、その他の実施例のスパイクの側面略
図。

【符号の説明】

ａ ナット ｂ スパイク ｃ 靴底の主体 １ スパイクの軸 ２ ナットの中央の透孔 ３ スパイクの第２フランジ ４ ナットの透孔又は凹み ５ ナットの第２突出片 ６ 主体の上面 ７ ナットの第１突出片 ８ スパイクの先端 ９ スパイクの第１フランジ １０ 小突起 １１ 凹みの底面 １２ ナットの嵌合凹み

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂の成形物でなる運動靴底の主体
   におけるその所定部位に装着する、スパイクとこれに結
   合したナットからなるスパイク取付装置において、各ナ
   ットａは少なくともその中央に前記のスパイクｂの軸１
   を嵌合する透孔２及び同じくスパイクｂの軸１の下端の
   第２フランジ部３を嵌合する透孔又は凹み４並びに前記
   運動靴底の主体ｃの下面側に埋設される第２突出片５と
   同じく前記主体ｃの上面６に当接される第１突出片７を
   合成樹脂で成形してなり、同じく前記各スパイクｂは軸
   １とその下端の第２フランジ３及び該第２フランジ３よ
   り前記軸１の先端８よりでかつ前記各ナットａの第１突
   出片７に当接する第１フランジ９を金属で成形してな
   り、前記各ナットａの合成樹脂の弾力により該各ナット
   ａの透孔２及び透孔又は凹み４内に前記各スパイクの第
   ２フランジ３及び軸１を嵌合固定することを特徴とす
   る、運動靴底のスパイク取付装置。
2. 【請求項２】 前記ナットａはその第１突出片７の周縁
   沿いに滑り止め小突起１０を１個若しく複数個形成した
   ことを特徴とする請求項１記載の運動靴底のスパイク取
   付装置。
3. 【請求項３】 前記ナットａはその透孔２にネジ１４と
   該ネジ孔の下方に凹み４の底面１１を形成してなり、同
   じく前記各スパイクｂはその軸１にネジ１５を形成しか
   つ前記第２フランジ３を除去してなり、前記各スパイク
   ｂのネジ１５を前記各ナットａのネジ１４に螺合せしめ
   ることを特徴とする、請求項１若しく請求項２のいずれ
   かの１項に記載の運動靴底のスパイク取付装置。