JP2523590Y2 - スパイクシューズの靴底 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、通常の着用およびスポ
ーツのプレイ時の着用の両用に供することができるスパ
イクシューズの靴底に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】野球、ゴルフなどいわゆる足をふんばら
なければならないスポーツを行うときには、足場を確実
に確保するためにスパイクシューズが使用される。

【０００３】スパイクシューズは靴底に突起物であるス
パイクを設けたものであり、このスパイクが地面にめり
込んで足場を固定するから、ここ一番というときに充分
力を発揮することができる。

【０００４】スパイクは、主に金属製の棒状物を靴底に
植設することによって形成させることが多いが、合成樹
脂製のものが用いられることもある。合成樹脂製のもの
では植設しないで当初から靴底と一体的に製造する場合
もある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】通常スパイクシューズ
は、それを必要とするスポーツを行う直前に、常用の履
物から履き換えるのが普通である。そしてプレイが終れ
ば再度常用の履物に履き換える。

【０００６】しかし、逐一履き換えるのが面倒なときも
ある。たとえば、ゴルフの１ラウンド終了後のつぎのラ
ウンドにそなえての待機中や、野球などの試合場所変更
のために移動しなければならない場合などがこれに相当
する。

【０００７】そこで、そのようなときはスパイクシュー
ズは履いたままとする場合が多いが、スパイクシューズ
は靴底に剛体を打ち付けたものであるから、歩行面が屋
内のフロアのようなときは歩行の都度大きな足音が発生
して耳ざわりであり、また不愉快である。さらに移動に
際しスパイクシューズを着用したままで自動車を運転す
るような場合には、硬いスパイクが邪魔をして足下の運
転操作は円滑に行うことができない。

【０００８】本考案は、スパイクシューズの従来の上記
のような欠点を解消するためになされたものであって、
スポーツ実行時および通常の着用時の両用に供すること
ができ、かつ、状況に応じて容易にスパイクを取り換え
ることができる靴底を提供することを目的とするもので
ある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案の請求項１記載の
スパイクシューズの靴底は、靴底表面に露出するように
インサートが埋設された靴底本体と、芯金の外周にゴム
製の緩衝部が環状に設けられたスパイクとからなり、上
記インサートの靴底表面に露出した部分には雌螺子が、
上記芯金の基端には雄螺子がそれぞれ螺設され、上記ス
パイクがインサートに螺着されることによって靴底本体
とスパイクとを一体化され、上記緩衝部の遊端が芯金の
遊端よりも突出してなることを特徴とするものである。

【００１０】本考案の請求項２記載のスパイクシューズ
の靴底は、上記芯金の螺設部と非螺設部との境界に鍔部
が設けられ、この鍔部および緩衝部を貫通して締付け孔
が設けられていることを特徴とするものである。

【００１１】本考案の請求項３記載のスパイクシューズ
の靴底は、突起が靴底本体に一体に形成され、かつ突起
の基部にはインサートが埋設されてなり、インサートに
は雌螺子が螺設され、上記突起にはその先端から上記雌
螺子に至る嵌挿孔が形成され、基端に雄螺子が螺設され
た芯金が上記嵌挿孔を通してインサートにねじ込み量調
節可能に螺着され、所定のねじ込み量で突起の遊端が芯
金の遊端よりも突出するように寸法設定されていること
を特徴とするものである。

【００１２】

【作用】請求項１記載のスパイクシューズの靴底によれ
ば、靴底本体の底面には雌螺子の螺設されたインサート
が埋設され、それの螺設部にスパイクを螺着して靴底が
形成されている。上記芯金は緩衝部の中央部にめり込ん
だ状態としてあるから、通常の着用時にはこの緩衝部の
遊端が接地する。この部分はゴム製であるからクッショ
ン性をもって接地し、歩行に際して耳ざわりな異音を発
することはないし、履き心地も快適である。

【００１３】またスポーツ実行時、特に足をふんばると
きや駆けるときには、通常の着用状態よりも大きな力が
靴底本体に加わるが、そのときにはその力によって緩衝
部の環状遊端は歪んで凹むから芯金は露出し、この芯金
が地面にめり込んでスパイク本来の機能を発揮する。

【００１４】請求項２記載のスパイクシューズの靴底に
よれば、芯金の螺設部と非螺設部との境界に鍔部が設け
られ、この鍔部および緩衝部を貫通して締付け孔が設け
られているため、上記締め付け孔に所定の締め付け金具
の先端部を嵌挿し、芯金の軸心回りに締め付け金具を回
転することによって容易に芯金の靴底に対する着脱が行
われる。

【００１５】請求項３の靴底によれば、スパイクは靴底
本体に一体に形成した突起と該突起に嵌挿した芯金とで
構成され、突起の基部には雌螺子の螺設されたインサー
トが埋設してあると共に芯金の基端には雄螺子が螺設し
てあるから、芯金のねじ込み量の調節は芯金を回転させ
ることによって容易に行うことができる。

【００１６】

【実施例】次に、実施例を基に本考案をさらに詳細に説
明する。 実施例１ 図１は本考案のスパイクシューズの靴底の一例を示す斜
視図である。図２は図１の部分拡大断面図であり、図３
はその平面図である。この実施例は、請求項１記載のス
パイクシューズの靴底を具体化した例である。

【００１７】１は靴底本体であり、通常ゴム製であるが
合成樹脂製としてもよい。靴底本体１の所定の場所には
所定個数のインサート２を埋設する。該埋設は靴底本体
１を成形するとき予め型の中にインサート２を配置して
おき、その後射出成形を行う方式が一般的である。

【００１８】インサート２は金属製とする場合が多い
が、特にそれに限定するものではなく、強度の高い合成
樹脂（いわゆるエンジニアリングプラスチックス類）を
使用することもできる。

【００１９】インサート２の形状は円筒状であり、その
内壁には雌螺子２１を螺設してある。またその底部には
回り止めのために非円形にした鍔部２２を形成してあ
る。靴底本体１に対するインサート２の埋設は、該イン
サート２を鍔部２２が靴底本体１の内部に埋没するよう
に型内に予め配置してから射出成形によって行う。成形
完了後型から靴底本体１を取り出したときには雌螺子２
１が靴底面に露出した状態となっている。

【００２０】５はインサート２に螺着するスパイクであ
り、芯金３とゴム製の緩衝部４とから構成される。この
スパイク５も芯金３を内装した型に加熱溶融したゴムを
射出して製造する。

【００２１】芯金３の基端側には雄螺子３２が螺設して
あり、遊端側はドーム状の露出部３３を形成させてあ
る。また、雄螺子３２と露出部３３の境界部には鍔部３
１を設けてある。

【００２２】緩衝部４は上記芯金３の鍔部３１と非螺設
部分とを環状に取り囲むように設けてある。この場合、
芯金３の露出部３３は覆わないようにし、露出部３３の
外周に外輪部４１を形成するようにしてある。外輪部４
１の頂部と露出部３３の頂部との距離Ｓは、人体の重量
が通常の状態で外輪部４１に加わったとき、それの歪に
よる凹みによっても芯金３の露出部３３が接地しないだ
けの距離としている。

【００２３】緩衝部４の靴底本体１との接触部分はなだ
らかな裾部４２を形成するようにし、裾部４２と外輪部
４１の中間部分には雄螺子３１をも貫通した締付け孔４
３を芯金３を中心とする円上に複数個穿孔してある。

【００２４】このようにして形成したスパイク５を靴底
本体１に埋設したインサート２に螺着することによって
図１に示すような本考案のスパイクシューズの靴底が完
成する。なお、スパイク５を螺着するとき、緩衝部４に
は締付け孔４３が穿孔されているから、鍔部３１の穴に
到達するまで図示しない締め付け金具を嵌挿し、それを
回すことによってスパイク５の確実な螺着を行うことが
できる。

【００２５】また、芯金３の外周はなだらかな裾部４２
を形成させてあるから、芯金３を螺着したとき靴底本体
１との一体感が得られ美的である。

【００２６】本考案は以上詳述したように、靴底本体１
に装着するスパイク５は弾力性あるゴム製の緩衝部４と
硬い金属製の芯金３との複合によって構成し、しかも緩
衝部４の外輪部４１が芯金３の露出部３３を取り囲むよ
うにして設けてあるから、本考案の靴底を装着したスパ
イクシューズを着用して通常の歩行に供するときには、
弾力性ある緩衝部４の外輪部４１のみが接地するので快
適な歩行が行われると共に、芯金３の接地による耳ざわ
りな異音も発生せず具合がよい。

【００２７】これに対して、野球やゴルフなどのスポー
ツのプレイ時に足に力を入れてふんばったり駆けたりす
ると、靴底本体１に大きな重量が加わるから緩衝部４の
外輪部４１は凹んで芯金３の露出部３３が接地するの
で、芯金３が本来のスパイクの機能を発揮してプレイの
動作を安定させる。

【００２８】本考案は、以上のように一足でもって通常
の靴とスパイクシューズとの機能を兼ね備えさせること
ができるから、目的に応じて頻繁に履き換える必要はな
い。

【００２９】また、スパイク５の緩衝部４が摩耗して上
記所定の距離Ｓを確保することができなくなったときに
は、適宜新しいものと取り換えることができる。

【００３０】この場合スパイクの取り外しは、図示しな
い治具を締付け孔４３に嵌め込んで取り付け時とは逆の
方向に回すことによって容易に行うことができる。

【００３１】実施例２ 図４は本考案のスパイクシューズの靴底の他の例を示す
拡大断面図である。

【００３２】この実施例（請求項３記載の靴底を具体化
した例）は、靴底本体１に突起４’を一体に形成させて
なるものである。この突起４’は実施例１の緩衝部４に
相当するものである。そしてその基部にはインサート２
を埋設してある。インサート２には雌螺子２１が螺設し
てあり、その雌螺子２１に向けて突起４’の先端から後
述する芯金３を差し込む嵌挿孔を設けてある。従って、
突起４’の先端は実施例１の場合と同様に環状の外輪部
４１を形成している。

【００３３】この嵌挿孔に芯金３を嵌挿して突起４’の
外周と共にスパイク５とする。芯金３の基部には雄螺子
３２が螺設してあり、該雄螺子３２をインサート２の雌
螺子２１に螺合させて上記嵌挿孔内に芯金３を装着す
る。

【００３４】このとき、芯金３の装着は突起４’の外輪
部４１が螺着した芯金３の露出部３３よりも距離Ｓだけ
突出させる状態とするのは実施例１の場合と同様であ
る。

【００３５】そして、この実施例２の場合は芯金３は突
起４’とは独立にインサート２に螺合するものであるか
ら、上記距離Ｓ（ねじ込み量）は任意に調節可能とする
ことができる。

【００３６】突起４’の基部にインサート２が埋設され
た靴底本体１の製造は、実施例１と同様射出成形によっ
て行うことができる。

【００３７】３ａは芯金３の露出部３３に設けた締付け
溝であって、芯金３をインサート２に螺着して回転させ
るときに図示しない締付け金具を嵌挿するためのもので
ある。

【００３８】この実施例２の場合、突起４’先端の外輪
部４１の頂部と芯金３の露出部３３の頂部との距離Ｓ
は、芯金３を回すことによって適宜調節可能であるか
ら、体重に応じてＳの値を適切なものに設定することが
できて好都合である。

【００３９】また、度重なるスパイクシューズの使用に
よって突起４’の外輪部４１が摩耗して低くなったとき
には、芯金３をねじ込んで再度所定の距離Ｓを確保する
ことができるから、スパイク５の耐用期間延長に寄与す
ることができ経済的である。

【００４０】

【考案の効果】以上詳述したように、本考案の請求項１
記載のスパイクシューズの靴底は、インサートが埋設さ
れた靴底本体と、芯金の外周にゴム製の緩衝部が設けら
れたスパイクとからなり、インサートには雌螺子が螺設
されているとともに、上記芯金の基端には上記雌螺子に
対応した雄螺子が螺設され、スパイクがインサートに螺
着された状態で緩衝部の遊端が芯金の遊端よりも突出し
てなるものである。

【００４１】従って、スパイクシューズを通常の着用に
供するときにも、スポーツのプレイ時の着用に供すると
きにも、一々履き換えることなく一足で用を足すことが
でき便利である。しかも、スパイクは容易に取り換える
ことができるため、着用者の体重やグランドの状況等、
四囲の状況に応じてスパイクを適切なものに取り換える
ことにより、常に最適のコンディションでスパイクシュ
ーズを利用することが可能になる。さらに、スパイクが
摩耗等によって損傷しても、新品と容易に交換すること
が可能であり、スパイクシューズそのものを新品と交換
する必要がなく経済的である。

【００４２】本考案の請求項２記載のスパイクシューズ
の靴底によれば、芯金の螺設部と非螺設部との境界に鍔
部が設けられ、この鍔部および緩衝部を貫通して締付け
孔が設けられているため、この締め付け孔に所定の締め
付け金具の先端部を嵌挿し、芯金の軸心回りに締め付け
金具を回転することによって、靴底に対する芯金の着脱
操作が容易に行い得るようになるため、四囲の状況に応
じて迅速に芯金の交換を行うことができ好都合である。

【００４３】本考案の請求項３記載のスパイクシューズ
の靴底は、靴底本体に一体に形成された突起の基部に雌
螺子の螺設されたインサートが埋設され、上記突起に先
端から雌螺子に至る嵌挿孔が穿設され、基端に雄螺子が
螺設された芯金が上記嵌挿孔を通してインサートにねじ
込み量調節可能に螺着され、所定のねじ込み量で突起の
遊端（外輪部）が芯金の遊端よりも突出するように寸法
設定されてなるものである。

【００４４】従って、上記ねじ込み量を調節することに
よって、スパイクの外輪部と芯金の露出部との位置関係
を適宜調節可能とすることが可能であり、体重に応じ
て、または摩耗等による損傷に応じて外輪部の突出量を
適正な値に設定することができるため、個人差による適
用範囲を拡大させることができるとともに、スパイクの
損傷によって靴底本体そのものの取り換えを行わなくて
もよく経済的に有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のスパイクシューズの靴底の一例を示す
斜視図である。

【図２】図１の部分拡大断面図である。

【図３】図２の平面図である。

【図４】本考案のスパイクシューズの靴底の他の例を示
す部分拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 靴底本体 ２ インサート ２１ 雌螺子 ２２ 鍔部 ３ 芯金 ３１ 鍔部 ３２ 雄螺子 ３３ 露出部 ３ａ 締付け溝 ４ 緩衝部 ４’ 突起 ４１ 外輪部 ４２ 裾部 ４３ 締付け孔 ５ スパイク

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 靴底表面に露出するようにインサートが
   埋設された靴底本体と、芯金の外周にゴム製の緩衝部が
   環状に設けられたスパイクとからなり、上記インサート
   の靴底表面に露出した部分には雌螺子が、上記芯金の基
   端には雄螺子がそれぞれ螺設され、上記スパイクがイン
   サートに螺着されることによって靴底本体とスパイクと
   が一体化され、上記緩衝部の遊端が芯金の遊端よりも突
   出してなることを特徴とするスパイクシューズの靴底。
2. 【請求項２】 上記芯金の螺設部と非螺設部との境界に
   鍔部が設けられ、この鍔部および緩衝部を貫通して締付
   け孔が設けられてなることを特徴とする請求項１記載の
   スパイクシューズの靴底。
3. 【請求項３】 突起が靴底本体に一体に形成され、かつ
   突起の基部にはインサートが埋設されてなり、インサー
   トには雌螺子が螺設され、上記突起にはその先端から上
   記雌螺子に至る嵌挿孔が形成され、基端に雄螺子が螺設
   された芯金が上記嵌挿孔を通してインサートにねじ込み
   量調節可能に螺着され、所定のねじ込み量で突起の遊端
   が芯金の遊端よりも突出するように寸法設定されている
   ことを特徴とするスパイクシューズの靴底。