JPH0777544B2 - 多孔質体サイレージ用乳酸菌スターター及びこれを用いたサイレージ調製法 - Google Patents

多孔質体サイレージ用乳酸菌スターター及びこれを用いたサイレージ調製法

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JPH0777544B2
JPH0777544B2 JP3286719A JP28671991A JPH0777544B2 JP H0777544 B2 JPH0777544 B2 JP H0777544B2 JP 3286719 A JP3286719 A JP 3286719A JP 28671991 A JP28671991 A JP 28671991A JP H0777544 B2 JPH0777544 B2 JP H0777544B2
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義仁 赤井
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キチン又はキトサンを
利用した多孔質体に乳酸菌を包埋してなる多孔質体乳酸
菌スターター及びこれを用いて良質なサイレージを調製
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】牧草等を放置すれば有害微生物が増殖し
腐敗する。これを防止したのがサイレージであり、その
原理は牧草等を密閉容器へ入れ嫌気的条件の下、乳酸発
酵を促進させ全体のpHを低下させることで、バチルス
属等の好気性菌、カビ、酵母やクロストリジュウム属等
の嫌気性菌等の増殖を抑制するものである。この原理に
基づき、従来より好気性菌を抑制する目的で密封を完全
にしたり、水分の調整や糖含量を高めたり、さらには乳
酸菌を添加し速やかに乳酸発酵を促進したりする等、品
質の良いサイレージを調製するための様々な工夫がなさ
れている。
【0003】サイレージの改良方法には大別して2つあ
り、1つは乳酸発酵を直接促進させることで他の有害発
酵を間接的に抑えるもの、もう1つは有害発酵を直接抑
制し、間接的に乳酸発酵を助長するものである。前者の
例としては、サイレージ原料に乳酸菌とオリゴ糖を添加
する試み(特開平1−174343号公報)や、特定の
ラクトバチルス属微生物、ストレプトコッカス属微生物
を有効菌として施用する試み(特開平1−211487
号高)等、また、後者の例としてはサイレージ原料に乳
酸菌とギ酸を併用添加する試み(特開平1−16561
号公報)等が知られている。しかし、これらの方法にお
いては、乳酸発酵促進と有害発酵抑制は作用効果上、そ
れぞれ主従関係にあり、両者ともに高進させるものでは
なかった。
【0004】
【発明が解決する課題】本発明は、上述した従来技術の
実情に鑑み、乳酸醗酵促進と有害醗酵抑制をともに高進
させることにより、より速やかに乳酸菌を成育し易い環
境を作り出し、良質のサイレージを高収率で得ることを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的は、次の手段
により達成される。すなわち、本発明は、キチン又はキ
トサン耐性乳酸菌の培養物に、キチン又はキトサンと植
物繊維質を加えてなる多孔質体サイレージ用乳酸菌スタ
ーターであり、また、これを用いたサイレージ調製法で
あって、サイレージ原料に対し上記多孔質体サイレージ
用乳酸菌スターターを乳酸菌数103〜107CFU/g
になるように施用し嫌気的条件下で乳酸発酵させること
を特徴とするサイレージ調製法である。本発明によれ
ば、雑菌の抑制と乳酸菌の生育促進を同時に行うことに
よって、より速やかに、かつ容易に乳酸菌を生育し易い
環境を作りだすことができ、良質のサイレージを高収率
で調製することが可能となる。
【0006】品質の良いサイレージを調製するために
は、雑菌の繁殖を極力抑え、乳酸醗酵を速やかに行わせ
ることが大事である。キチンやキトサンには、一般に抗
菌作用または殺菌作用のあることが知られているが、こ
れらの作用を有効に発揮させるためには、キチンやキト
サンを有機酸や無機酸等に一旦溶解する必要がある。そ
こで発明者らは第1段階としてキチンやキトサンに対し
て耐性のあるサイレージ用乳酸菌を培養し、この培養物
中の乳酸にキチンとキトサンを溶解させることによっ
て、雑菌の繁殖を抑えながら乳酸菌の増殖を促すサイレ
ージ用乳酸菌スターター混合物を調製した。このものは
本質的に雑菌の抑制と乳酸菌の増殖をもたらす作用効果
を有するものであるが、スターターとしての機能を発揮
させるには不充分であった。そこで、第2段階として上
記機能を発揮させる形態を付与させるべく、さらに、お
から等の繊維質を加えた後に凍結乾燥することにより、
抗菌性または殺菌性を残し、しかも適度に保水性に優れ
た性質が付与でき、これにより乳酸菌の生育環境を良好
に保つ、多孔質体のサイレージ用乳酸菌スターターを完
成するに到った。
【0007】以下、本発明を詳述する。まず、本発明の
スターターにおけるキチン又はキトサンはその抗菌作用
又は殺菌作用により、土壌由来の一般細菌が抑制され、
これにより乳酸菌がより速やかに生育し、さらにその働
きにより雑菌の増殖がなお一層抑制され、一段とサイレ
ージの品質、収率を向上させる。また、その抗菌作用又
は殺菌作用は、特にサイレージの品質に大きな影響を及
ぼす好気性の芽胞細菌であるバチルス属及び嫌気性の芽
胞細菌であるクロストリジュウム属の細菌の生育を阻害
し、サイレージの品質、収率を向上させる。また、キチ
ン、キトサンは構造体を形成し、適度な保水性も有する
ため多孔質体のスタータ支持体として有効である。
【0008】本発明において、キチンとはその性状、製
法、原料等は問わず、構造上、アミノ基のアセチル化さ
れたD−グルコサミンがβ−1,4結合した直鎖分子か
らなる多糖類をいい、脱アセチル化物、エーテル化物、
エステル化物、ヒドロキシエチル化物等の誘導体を含む
ものである。また、キチンの脱アセチル化物は特にキト
サンと称するが、製法等は問わずに用いることができ
る。キチンは極めて安定な多糖類で濃無機酸や無水ギ酸
以外には一般に無機、有機溶媒に不溶〜難溶であり、取
扱い上の制約を受けることがある。
【0009】一方、キトサンは酸の存在下で塩を作って
溶けるため取扱い上便利である。キチンやキトサンの重
合度や脱アセチル化度は、それらの溶解性、加工性、安
定性等に影響を及ぼし、重合度の低いものほど、溶解性
は良好で加工性はよいが、構造体とした場合の保形性、
強度等が低下する傾向がある。また脱アセチル化度は低
いものほど反応性が乏しく溶解性が劣る傾向がある。抗
菌性はアミノ基にあると考えられるため、一分子中のア
ミノ基の比率が比較的高いキトサン、さらに脱アセチル
化度が高いキトサンは、抗菌性の見地から好ましい。ま
た、キトサンは後述する繊維質との定着性も良好で、一
般には、キトサンを用いるとよい。ただし、キトサンを
用いた場合は構造体の耐水性、保水性が低下することが
あるため、繊維質との配合比を適正化したり、水分量の
調整をする等を実施するとよい。キトサンの重合度は概
ね100以上、脱アセチル化度は50〜100%程度が
好ましい。また、キトサンとキチンの混合物を用いても
よく、溶解性等の調整をすることができる(「キチン又
はキトサン」とはそれぞれ単独又は混合を意味する)。
【0010】次に、本発明のスターターの有効菌である
乳酸菌はキチン又はキトサンに対して耐性のあるサイレ
ージ用乳酸菌である。この乳酸菌を用いるためキチン、
キトサンを併用するにもかかわらず乳酸醗酵を促進する
ことができる。この菌株は各種サイレージ用乳酸菌から
選別した自然界に存在する株である。キチン、キトサン
耐性を指標としてサイレージ用乳酸菌を選別する方法と
しては、例えば、キチン又はキトサン1〜2%及び乳酸
1〜2%を添加したMRS寒天培地(pH3.5〜5)
に、各種サイレージ用乳酸菌を塗沫し、37℃にて嫌気
培養した際のコロニー形成株を、キトサン耐性乳酸菌株
として採取すればよい。なお、実際の使用に当たっては
実施例に示したような乳酸菌のキチン又はキトサン耐性
の確認試験を実施した上で使用するとよい(確認試験と
選別試験の培養条件は相違している)。尚上記におい
て、チキン又はキトサン1〜2%とするのは、スタータ
ー調製時に乳酸菌培養物中に添加するキチン又はキトサ
ン添加量が0.1〜2%だからである。なお、基本の培
養培地は上記のものに限らずGAMブイヨン培地、M1
7培地、トリプトソイブイヨン培地等いずれも用い得
る。乳酸菌としてはLactobacillus 属(乳酸桿菌)、Le
uconostoc 属(ヘテロ型乳酸球菌)、Pediococcus 属
(ホモ型乳酸球菌)、Staphylococcus属(ホモ型乳酸
菌)等を用い得る。適性のある好ましい菌株としてはL.
casei, L. plantarum, L. brevis, S. faecalis, Leu
c. mesenteroides, P. cerevisiae,等から選別された
1種以上のサイレージ用乳酸菌である。L. Plantarumは
不活性乳酸を生成することからよくサイレージの熟成に
用いられ、L. caseiはチーズスターターとしてよく用い
られカゼインの分解可能があるがサイレージでは弊害は
なく、また、S. faecalis は耐性が高い等、菌株それぞ
れに特徴があるため、適宜、目的とするサイレージの品
質等により選択すればよい。
【0011】次に、本発明のスターターにおける植物繊
維質はスターターの構造性を保持し適度に保水性を発揮
するばかりでなく、これを添加することで、乳酸菌に栄
養源を提供し、乳酸菌の生育環境を整えるとともに、サ
イレージそのものの栄養価を高めることができる。この
ような繊維質は繊維を主成分とし繊維として不溶性植物
繊維または水溶性植物繊維を含有するものがよい。ここ
で不溶性植物繊維はセルロースを主成分に含むものが多
いが、表面に親水性の活性基をもち、キチンやキトサン
との定着性を有する特徴を有するものがよい。また、形
状は繊維状がよい。構造性を構築し易いためである。代
表的には、木材、穀物を由来とする植物繊維である。木
材繊維としてはモミ、トドマツ等の針葉樹由来の繊維ま
たは広葉樹由来の繊維等であり、例えばパルプ繊維ある
いは木材パルプとして入手できるものである。また穀物
繊維としては小麦等のフスマや大豆等の外皮由来の繊維
等であり、例えば、大豆圧搾残渣(おから)等を利用で
きる。これらは1種以上用いることができ、また、結晶
セルロースも用い得る。特におからは乳酸菌に対する栄
養源として優れており、また、サイレージ自体の栄養価
も高めることができ、さらに構造体としての強度も付与
することができ、好ましい。おからの一般分析の一例を
示せば、水分81.1%、たんぱく質4.8%、油3.
6%、炭水化物9.7%、灰分0.8%程度である。
【0012】一方、水溶性植物繊維を用いた場合は、多
孔質体の構造性が低減し、例えば、サイレージ調製中に
速やかに溶解してしまうが、サイレージ調製の初期にお
ける乳酸発酵が重要であることを鑑みれば、水溶性植物
繊維による多孔質体も用い得る。ここに水溶性植物繊維
とは、多糖類を主体とした水溶性の難消化性成分をい
い、その由来問わず、植物由来多糖類、海藻由来多糖
類、微生物由来多糖類、及び化学修飾多糖類等があげら
れる。植物由来多糖類としては、グアガム、ローカスト
ビーンガム、タラガム、ベクチン、マンナン、ヘミセル
ロース、β−グルカン等の穀物ガム質が例示され、海藻
由来多糖類としては、アルギン酸、カラギーナン、ファ
セレラン等があり、微生物由来多糖類として、キサンタ
ンガム、プルラン等があげられるし、化学修飾多糖類と
しては、ポリデキストロース、カルボキシルメチルセル
ロース等がある。尚、上述の不溶性及び水溶性植物繊維
は1種又は2種以上の混合物として用いることができ
る。
【0013】また、本発明のスターターは、上記乳酸
菌、キチン又はキトサン、繊維質を必須成分とするが、
この他必要により大豆タンパク等の植物性タンパク等を
含有することができる。
【0014】次に、本発明のスターターは多孔質体であ
る。多孔質体中に乳酸菌を包埋することにより、乳酸菌
の生育に必要な水分の補給と栄養源となる糖質を利用し
易くし、乳酸菌の生育環境を改善することができる。す
なわち、乳酸菌−キチン又はキトサン−繊維質はそれぞ
れ一体化し、かつ、多孔質体であるため表面積が大きく
なっているため活性が高く、サイレージ原料が半乾燥の
状態であっても乳酸菌生育に適度な水分及び栄養源を確
保でき、かつ雑菌生育の抑制が可能となる。多孔質体の
好ましい嵩比重としては0.01〜0.1g/cc程度
が作用効果を発揮させる上で有効である。孔径は特に限
定されないが通常10〜500μm程度でよい。
【0015】このような多孔質体サイレージ用乳酸菌ス
ターターは、次のようにして得ることができる。キチン
又はキトサン耐性のある乳酸菌を、乳酸菌用培地又は8
〜12%濃度の獣乳に105〜107個/gとなるように
接種し、嫌気的条件下で37℃(25〜40℃の範囲)
にて20時間(4〜24時間の範囲)培養した後、キチ
ン又はキトサンを0.1〜2%濃度となるよう添加し、
充分混合する。次いで、このキチン又はキトサン入り乳
酸菌培養物100部に対し、水と繊維質(例えば、水3
50〜400部とおから150〜100部又は水100
〜150部とパルプ1〜2部)を加え、よく練り合せた
後凍結乾燥(水分2〜4%)し、多孔質体サイレージ用
乳酸菌スターターを調製する。スターター中の乳酸菌数
(生菌数)は通常107〜109CFU/g程度である。
また、スターターの形状は破砕物が一般的であるが、後
述するように牧草に混合し、牧草とともに細断して用い
てもよい。
【0016】上記の調製法において、接種する乳酸菌数
が少なければ培養に時間を要し、またスターター中の乳
酸菌数が少なくなる一方、多くなれば培養を短期間で終
了できる。培養後の培養液のpHは通常3.5〜5程度
であり、キトサンを溶解するには充分であるが、キチン
の溶解には不足である。キチン使用の場合は予め無水ギ
酸等に溶解しておくか微粒状にしておくとよい。
【0017】キチン又はキトサンの添加量は乳酸菌の培
養物中0.1〜2%濃度程度が好ましい。この範囲以外
でも、作用効果を奏するが、少なければ充分な抗菌性、
殺菌性が得られず、また、構造体とした場合の強度が低
下し崩壊し易い、一方、多ければサイレージ用乳酸菌の
増殖促進効果を阻害する場合がある。なお、形状は粉体
が使用上便利である。
【0018】繊維質の量は用いる繊維質の種類により異
なる。おから等は比較的多く添加し、栄養的価値また向
上を図ることができる一方で、パルプ等では吸収性が大
きくセルロースが主成分であり、乳酸発酵には有効では
ないため比較的少量の添加でよい。
【0019】凍結乾燥は、乳酸菌の活性を低減させず適
度な多孔質体を形成する上で、有効である。凍結温度は
−20〜−40℃程度でよい。
【0020】次に、本発明のスターターを用いたサイレ
ージ調製法について説明する。この調製法は、基本的
に、生〜半乾燥のサイレージ原料に対し前記多孔質体サ
イレージ用乳酸菌スターターを乳酸菌数103〜107
FU/gになるように施用し嫌気的条件下でい乳酸発酵
させることを特徴とする。
【0021】サイレージ原料としては、デントコーン、
アルファルファー、クローバー、オーチャード、チモシ
ー等、通常サイレージとして用い得る牧草類ならいずれ
でもよい。これらは好ましくは糖含量の高い時期に収穫
するとよい。刈り取った原料は、そのまま1〜2日間予
備乾燥して、水分含量を70%程度にするとよい。水分
活性を低下させることで、水分要求量の大きい酪酸菌や
カビ、イースト菌等の繁殖を抑制できるからである。な
お、天候が悪く、乾燥が不充分となっても、本発明のス
ターターを用いれば良好なサイレージを調製可能であ
る。
【0022】予備乾燥終了後の原料はそのまま、あるい
は細断して密閉容器に詰める。この密閉容器の種類はタ
ワー、バンカー、スタック、ロールバッグ等、いずれを
用いてもよい。多孔質体サイレージ用乳酸菌スターター
は、実際の使用に当たっては、細断した後、牧草に混合
し、又は牧草とともに細断して用いることができる。
【0023】スターターの施用量は乳酸菌生菌数が原料
当たり103〜107CFU/g、好ましくは104〜1
6CFU/g程度となるようにするとよい。少なけれ
ば乳酸発酵が充分に促進されず、また、有害発酵の抑制
も不充分となる。一方、多くなっても効果の向上は有意
でなくなる。
【0024】このようにして、スターターを添加して原
料を詰め、密封を保持すると、詰め込み後1〜3日間で
好気性菌の増殖が終了して、酸素が消費しつくされ嫌気
状態となり、添加した乳酸菌が植物中の糖と添加した繊
維質を栄養源として急速に増殖を始める。この間、キチ
ン、キトサンにより有効に雑菌の増殖が抑制されてい
る。
【0025】そしてこの活発な乳酸発酵により1.0〜
2.0%の乳酸が生成し、pHは4前後まで低下し得
る。すなわち、本発明のスターターを用いれば、例え乳
酸発酵力の比較的弱い乳酸菌でも、初期の発酵力を大幅
に促進させることができ、かつ、持続性も向上する。し
かも、pHの低下は急激にすぎず、乳酸発酵を順調に進
行させることができる。pHの低下が急激すぎれば乳酸
発酵も抑制されるからである。こうして詰め込み後15
〜25日で極めて安定した良質サイレージができる。な
お、本発明のスターターを用いれば容器を開封後の後発
酵も抑制できる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 (乳酸菌のキトサン耐性の確認) A. 予めキトサン耐性乳酸菌として選別してあるラク
トバチルス・カゼイ(L.casei ATTC 393 )をMRS培
地中に、28℃にて20時間嫌気培養した。この培養液
0.5mlを新たに調製したMRS培地20mlに接種
し、さらに、キトサン(脱アセチル化度80%)1%、
酢酸1%及びパルプ(トドマツ由来)1%を含有する水
系混合物を凍結乾燥することによって得られた多孔質体
100mgをこれに加え、30℃にて10日間培養し
た。表1に示したように、キトサン多孔質体を添加して
も乳酸菌の菌数は対照の無添加と比べて差がなく、同乳
酸菌にキトサン耐性のあることが確認された。確認試験
の培養条件において28℃20時間としたのは乳酸菌の
増殖を定常期にして凍結乾燥に対する耐性を高めるた
め、キトサン多孔質体を用いたのは実際の使用条件に即
した状態にするため、多孔質体中キトサン:酢酸:パル
プ=1:1:1としたのは多孔質体を形成する上で最適
の混合比であるため、多孔質体を加えた後の培養を30
℃10日間としたのは培養初期における乳酸菌の生育状
態を判定するためである。
【0027】
【表1】 B. 予めキトサン耐性乳酸菌として選別してあるラク
トバチルス・プランタルム(NCFB 1752)をMRS培地
中、28℃にて20時間培養した。この培養液0.5m
lを新たに調製したMRS培地20mlに接種し、さら
に上記Aと同様にキトサン多孔質体100mgを添加
し、30℃にて10日間培養した。表2に示したよう
に、キトサン多孔質体を添加しても乳酸菌の菌数は対照
の無添加と比べて差がなく、同乳酸菌にキトサン耐性の
あることが確認された。
【0028】
【表2】 次に実施例にしたがって多孔質体サイレージ用乳酸菌ス
ターターの効果を具体的に説明する。なお、部は重量部
を表す。
【0029】実施例1 ラクトバチルス・カゼイ(ATCC 393)をMRS培地(1
7個/g)に接種し、37℃にて20時間培養した
後、これにキトサン粉末(脱アセチル化度80%)を
1.5%濃度となるよう添加し、充分混合溶解した。次
いで、このキトサン入り乳酸菌培養物100部に対し水
400部とおから(水分80%)100部を加え、よく
練り合せた後、これを凍結乾燥(25℃)して多孔質体
サイレージ用乳酸菌スターターを調製した(嵩比重0.
02g/cc、水分2〜4%)。多孔質体中の乳酸菌菌
数は、4.3×109 CFU/gであった。この多孔質
体スターター0.1gを0.5mm角に刻み、土壌0.
05gとともに20mlの標準ブイヨンに懸濁し、37
℃にて5時間培養後の一般細菌数を測定した。表3に示
したように、多孔質体スターターの添加により、一般細
菌の生育が抑制された。
【0030】
【表3】 次に標準ブイヨン培地で培養したバチルス・スブチリス
(B. subutilis)0.05mlを、新たに調製した標準
ブイヨン培地20mlに懸濁し、0.5mm角に刻んだ
上記多孔質体スターター0.1gを添加して37℃にて
3日間培養した。図1のように多孔質体スターターを添
加した試料中の菌数は、3日後も10個以下であった。
【0031】また、乾燥した牧草(アルファルファ、水
分40〜60%)100g対して上記多孔質スターター
を1g添加し混合して密閉容器へ入れ、37℃で7日間
培養した後、牧草中の乳酸菌数を測定した。一方、同じ
配合組成で多孔質体とせず単に混合体とした通常形態の
乳酸菌スターター(通常スターター)を添加し測定を行
った。結果を図3に示す。図3から明らかなように、通
常のスターターを用いた場合に比べ、多孔質体のスター
ターにした場合の乳酸菌の増殖度が有意に高かった。こ
のように、本スターターを用いれば雑菌による有害発酵
を抑え、かつ乳酸発酵が促進されることがわかる。
【0032】なお、通常スターターでは、乳酸菌であ
る。L.casei の初期における増殖が緩慢なためpHの低
下も徐々に生ずる結果、乳酸菌の生育が2日以降も継続
していたが、多孔質体スターターでは同じ菌株を用いて
いるにもかかわらず初期に乳酸発酵が著しく促進される
ため、pH低下も急で、乳酸菌の生育は2日以降抑制さ
れていた。ただし、初期の乳酸発酵に有害発酵を抑制す
る上で極めて重要であることを鑑みれば、多孔質体スタ
ーターは良質サイレージ調製に大きく寄与することがわ
かる。
【0033】実施例2 ラクトバチルス・プランタルム(L.plantarum NCFB 175
2)を8〜12%濃度の獣乳に接種し(107個/g)、
37℃20時間培養した後、これにキトサン粉末を1.
5%濃度となるように添加し、充分混合溶解した。次い
で、このキトサン入り乳酸菌培養物100部に対し、水
100部とパルプ(トドマツ由来)1部を加え、よく練
り合せた後、これを凍結乾燥して多孔質体サイレージ用
乳酸菌スターターを調製した(嵩比重0.02〜0.0
3g/cc、水分2〜4%)。多孔質体中の乳酸菌菌数
は、7.5×108 CFU/gであった。
【0034】次に、GAMブイヨン培地で培養したクロ
ストリジュウム・ブチリクム(C. butyricum)培養液
0.05mlを新たに調製したGAMブイヨン培地20
mlに懸濁し、0.5mm角に刻んだ上記多孔質体スタ
ーター0.1gを添加して37℃にて10日間培養し
た。図2のように、多孔質体スターターを添加した試料
中の菌数は、10日後も100のオーダーであった。
【0035】また、実施例1と同様にして、乾燥した牧
草100gに対して多孔質体スターターを1g添加し培
養した後、牧草中の乳酸菌数を測定した。一方、同配合
の混合物スターター(通常スターター)を添加し同様の
測定を行った。結果を図4に示す。図4から明らかなよ
うに、通常の乳酸菌スターターを添加した場合に比べ、
多孔質体のスターターにした場合の乳酸菌の増殖度が有
意に高く7日後でも生菌数の低下は見られなかった。こ
のように、本スターターを用いれば雑菌による有害発酵
を抑え、かつ乳酸発酵が促進されることがわかる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるスタ
ーターによれば、次の効果が得られ、該スターターは酪
農業において極めて有用性が高い。 1)キチン・キトサンの抗菌作用又は殺菌作用により、
土壌由来の一般細菌が抑制され、これにより乳酸菌がよ
り速やかに生育し、さらにその働きにより雑菌の増殖が
なお一層抑制され、一段とサイレージの品質、収率を向
上させることができる。 2)キチン・キトサンの抗菌作用又は殺菌作用により、
特にサイレージの品質に大きな影響を及ぼす好気性の芽
胞細菌であるバチルス属及び嫌気性の芽胞細菌であるク
ロストリジュウム属の細菌の生育を阻害し、サイレージ
の品質、収率を向上させることができる。 3)多孔質体中に乳酸菌を包埋することにより、乳酸菌
の生育に必要な水分の補給と栄養源となる糖質を利用し
易くし、乳酸菌の生育環境を改善することができる。 4)おからを添加することにより、乳酸菌に栄養源を提
供し、乳酸菌の生育環境を整えるとともに、サイレージ
そのものの栄養価を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1において得られた多孔質体
スターターによるB.subtilisに対する増殖抑制効果を
示す図である。
【図2】本発明の実施例2において得られた多孔質体ス
ターターによるCl.butyricumに対する増殖抑制効果を
示す図である。
【図3】 実施例1において得られた多孔質体スタータ
ーによるサイレージ中のL.caseiの生菌数変化を示す図
である。
【図4】 実施例2において得られた多孔質体スタータ
ーによるサイレージ中のL.plantarumの生菌数変化を示
す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キチン又はキトサン耐性乳酸菌の培養物
    キチン又はキトサンおよび植物繊維質を混合し凍結乾
    燥して調製される多孔質体であって、サイレージ調製中
    の有害発酵抑制作用を有するサイレージ用乳酸菌スター
    ター。
  2. 【請求項2】 キチン又はキトサン耐性乳酸菌が、L. c
    asei, L.plantarum, L. brevis, S. faecalis, Leuc. m
    esenteroides, P.cerevisiae から選別された1種以上
    のサイレージ用乳酸菌である請求項1記載の多孔質体サ
    イレージ用乳酸菌スターター。
  3. 【請求項3】 サイレージ原料に対し請求項1の多孔質
    体サイレージ用乳酸菌スターターを乳酸菌数103〜1
    7CFU/gになるように施用し嫌気的条件下で乳酸
    発酵させることを特徴とするサイレージ調製法。
JP3286719A 1991-10-31 1991-10-31 多孔質体サイレージ用乳酸菌スターター及びこれを用いたサイレージ調製法 Expired - Lifetime JPH0777544B2 (ja)

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